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01/16木12:00〜13:00
一流のコピーライターが、自分の経験の中から導きだした鉄板の「売れる型」を持っているように、一流のストーリーライター、シナリオライターも、人々を熱狂させ感動させる鉄板の「シナリオの型」を持っている。
ライティングに限らず、仕事でも学業でも、一度、こうした「自分だけの型」を作り上げてしまうと、スランプに悩むことなく、常に高いクオリティを保つことができる。
そこで、本日は大ヒット映画を連発してきた有名監督であるジョージ・ルーカスの『スター・ウォーズ』を例に、シナリオ作成の鉄板の型をご紹介する。
まずは、下の画像を見て欲しい。これは、『ヒーローズ・ジャーニーの12ステップ』と言って、ハリウッド映画で、繰り返し使われているシナリオ作成の基本型だ。
ご覧頂いて分かる通り、鉄板のストーリは、①最初は平凡な日常から始まり②数々の出来事が起こって行く中で③非日常に突入する。そして、④非日常の世界で数々の試練を乗り越えた末に勝利を掴み、⑤もとの日常を取り戻すという流れで出来ている。
思い返してみて欲しい。例えば、大ヒット映画の『ハリー・ポッター』や、『マトリックス』『スパイダーマン』も、細かく分解していくと、この12ステップで話が構成されていることが分かる。
しかし、急に、そう言われて、理解しろと言われても難しいと思うので、誰もが知っている『スター・ウォーズ エピソード1:ファントムメナス』を例に、このヒーローズ・ジャーニーの12ステップを解説しよう。
1.平凡な日常:キャラクターの日常描写
アナキン・スカイウォーカー少年(後のダースベイダー)が、惑星タトゥーイで奴隷として暮らしている。アナキン・スカイウォーカーは奴隷ながらもジャンク屋の店員として逞しく毎日を生きている。
2.非日常への誘い:日常から非日常へのきっかけの描写
惑星ナブーへの侵略戦争を止めるために行動していたジェダイマスターの、クワイ=ガン・ジンと、弟子のオビ=ワン・ケノービが、惑星ナブーの元首アミダラ女王を救出する。しかし、惑星ナブー離脱後、宇宙船が故障し、やむを得ず惑星タトゥーイに着陸する。そこでアナキン・スカイウォーカーに出会う。
3.非日常の拒絶:非日常に対する葛藤の描写
二人のジェダイが、アナキン・スカイウォーカーの秘められた力を感じる。当のアナキン・スカイウォーカーは、自分の力には無頓着で、アミダラ女王の召使いであるパドメにご執心。
4.師との出会い:葛藤を克服し非日常へ移行する描写
ポッドレースという賭けレースに勝てば、壊れた宇宙船のパーツを手に入れられることになる。アナキン・スカイウォーカーの力で、賭けレースに勝ったクワイ=ガン・ジンは、アナキンを奴隷から解放し、ジェダイになるように諭す。アナキンは、「ジェダイになって母を助ける」という動機で、二人のジェダイに付いていくことを決意する。
5.事件の発端:非日常の本格的な到来の描写
惑星タトゥーイを離れ、惑星コンサルタントに向かった一行は、謎の人物ダース・モールの襲撃を受ける。実は、ダース・モールこそ、裏で侵略戦争を操る黒幕、ダース・ディアスの弟子であった。一行は、何か大きなことが起こっていることを肌で感じ取る。
6.試練、仲間、宿敵との出会い:新しい世界での新しい経験の描写
惑星コンサルタントについた一行は、ジェダイ聖堂を訪れる。ヨーダらのジェダイ評議会の面々は、アナキンの精神的な弱さを指摘して修行を認めない(試練)。クワイ=ガン・ジンは粘る。結論は保留のまま、アミダラ女王の護衛を続行することに。
7.ストーリーの深淵の描写:物語の大テーマの描写
その裏では、惑星ナブーの解放を求め、アミダラ女王が緊急議会に出席する。しかし、汚職にまみれた議会の現状に失望したアミダラ女王は、不信任決議を要求し、選挙の実施を要求するという強硬手段に出る。そして、間髪をいれず、惑星ナブーの解放作戦を決行する。惑星ナブーに降り立った一行は、ナブーの民を必死に説得。協力して解放戦線を戦うことになる。
8.最大のチャレンジ:試練の克服の描写
戦闘の最中、戦闘機のコックピットに隠れたアナキンだが、戦闘機の自動操縦機能が働いたため、そのまま戦線に巻き込まれることになる。突然の事態に困惑しながらも、勇気を出し、大きな戦果を上げる。そんな中、2人のジェダイの前に、ダース・モールが立ちはだかる。
9.勝利:勝利の末、得た結果の描写
ライトセーバーでの死闘の末、ダースモールを倒すも、クワイ=ガン・ジンも致命傷を負う。アナキンを修行させるように伝え息を引き取る。
10.帰路:日常の奪還の描写
アナキンによって、艦隊のコントロール機能を失った敵軍は機能停止。黒幕も逮捕され、ナブー連合軍の勝利に終わる。
11.復活:進化と再生の描写
作戦により亡くなったクワイ=ガン・ジンは、評議会よりナイトの称号を授かる。アナキンは、その意思を継ぎ、立派なジェダイになることを誓う。
12.帰路:エンディングの描写
平和を取り戻した惑星ナブーでは、記念式典が開かれ、友好条約が結ばれる。そして、平和な日常に戻る。
いかがだろうか?このヒーローズ・ジャーニーの12ステップを用いたシナリオは、スターウォーズ以外にもいくらでも見つけることが出来る。
映画で言えば、前述した『マトリックス』や『ハリー・ポッター』が参考となる。また映画ではなく、書籍においても、このヒーローズ・ジャーニーの12ステップを用いて大ヒットしているものが非常に多い。
中でもシナリオ作成の勉強になる書籍の中で、個人的にベストだと思っているものが、本田健氏の『ユダヤ人大富豪の教え』そして、ロバート・キヨサキの『金持ち父さん貧乏父さん』だ。この二冊は、どちらも単なるビジネス書ではなく、ヒーローズ・ジャーニーを用いたストーリー形式となっているため、多くの読者の心を掴んだ。
シナリオ作成、ストーリーライティングを学んでいる人は、視点を変えて、再度、これらの本を読んでみることをオススメする。
私の専門は、コピーライターであって、シナリオライターではないが、両者には共通するところがある。
それは、成果を出すための明確なパターンが存在して、そのパターンに沿って書けば、誰でも一定以上の反応を得られるライティングを書けるということだ。そして、コピーライティングも、扱う商品や価格帯、ターゲット層によって、「使うべきパターン」があるのと同じ様に、シナリオライティングにも作品のテーマや視聴者層によって、効果的なパターンというものがある。
重要なことは、あなたが伝えたいテーマに最適なパターンを選ぶということだ。
この点に関しては、以前、ご紹介した「ピクサーに学ぶ!ストーリライティングの22のルール」と比べてみると、更に楽しんで頂けるだろう。
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