新連載「副業でやらかしまして。」では、大金持ちになるという野望を持ったフリーター「しんま」氏が、株や投資、せどりなどの副業でやらかした経験を語ります。「年収の半分は副業に費やしている」と豪語する同氏が大金持ちになる日は来るのでしょうか!?(毎週水曜更新)
3カ月前に株式市場を揺るがす歴史的な大事件がありました。そう、ブレグジット(Brexit/イギリスのEU離脱問題)です。
僕はこのときやらかしてしまい、大きな損失を出しまったんです……。今日はそんな思い出したくもない失敗談を書いていこうかと思います。
値動きが読めない相場、参加予定はなかったが……
「イギリスがEUを離脱すれば歴史的大事件になる!」
「もし離脱になればどういう値動きになるか想像もできない!」
このとき投資家たちの注目は「イギリスがEU離脱するかどうか」に集まっていました。実際にイギリスがEUを離脱するかは国民投票の結果で決まるとされており、国民投票の速報が発表されるたびに、相場は大きく動きました。
イベントリスクを避ける投資家がほとんどのため、相場自体の流動性は極めて低く、とてもじゃないですが値動きが読めない状況です。僕自身もイベントリスクを避けるタイプのFXトレーダーだったので、国民投票結果が発表される6月24日(日本時間)は一切トレードをせず静観をするつもりでした。こういう相場に手を出しても大けがするだけですからね。
そう、静観するつもりだったんです。この一言を聞くまでは。
「英国民投票は世紀の茶番劇だ! イギリスがEUを離脱するわけがない!」
知り合いの元銀行員の方がそう断言しました。その方は銀行を辞めてから個人投資家に転身し、FXや株で大きな利益を上げている凄腕のトレーダーです。何でも運用資金は何千万円にも上るんだとか。
そんな凄腕のトレーダーが「絶対イギリスはEU離脱はない!」と言い切り、何とイギリスEU残留にかけてドル円を数千万円分買っていたのです。イギリスがEUを離脱すればポンドはもちろんのことドル円などの他の通貨も大きく下落しますが、EUを離脱せず残留という結果になれば逆にポンドは買われ他の通貨も大きく上昇するだろうと予想されていました。その方は残留に賭けてドル円を大量に買っておいたのです。
「お前も『ドル円』買っておけ。絶対イギリスはEU離脱なんてしないから」
そう言われました。通常であればイベント前にポジションを仕込むのはギャンブル的行為なので危険と言われているのですが、その方はかなり成功されているトレーダーで、しかも元銀行員ですから世界情勢やお金の流れにとても詳しい方です。そんなすごい方がEU離脱はないと言い切るのであればそうなのかなと、何となく納得してしまいました。
さらに、経済アナリストや著名な投資家の方々たちも「イギリスのEU離脱はまずない」という意見がほとんどでした。イベントリスクは避けるつもりでしたが、もし本当に皆が言うように離脱なしという結果の可能性が高いなら、今のうちに買いポジションを作っておけば大きな利益を得られることになります。
一度そう考え始めるともう止まらず、ドル円を買っておこうかどうか迷ってしまいました。実を言うと、2016年はFXで負け続けていて合計損失は40万円にもなっていました。40万円の損失は年収200万円のフリーターには大きすぎる金額です。
もしEU残留に賭けてドル円を買っておけば一発逆転をできるかもしれない……。そんな考えが頭によぎりました。そして悩みに悩んだ結果、
結局やるっていうね。ドル円買い増しした。
— しんま13 (@ukodahp91jpyano) 2016年6月24日
6月24日国民投票結果が発表される日に結局ドル円を買ってしまいました。本当はイベントリスクを避けるはずだったのにも関わらずです……。さらに僕はドル円だけにしておけばいいのに、調子に乗ってポンド円も追加で買うという行為に出ます。
「これでEU残留になれば今年の負けがチャラだ!」
そう思うと胸が高鳴りました。
意気込んで買ったものの……
ところがドル円とポンド円の買いポジションを作ってからというものの、次々と離脱優勢のニュースが流れ、ドル円とポンド円はどんどん下落していきました。
自分の考えていたシナリオとは全く逆の展開です。予想では次から次へと残留優勢のニュースが流れるはずだったのに.……。一気に不安になりました。
しかし知り合いの元銀行員の方は、むしろ離脱派が優勢になってくれたから絶好の買い場がやってきたぞと言い、更に追加でドル円を買っていました。「本当に大丈夫かよ」と思いましたが、まあこの方が買い場と言うなら安心か……と事態を楽観視し、何と僕も追加でドル円とポンド円を買ってしまったのです。
これが後に命取りになります。
その後も離脱優勢という状況は変わらず、どんどんドル円とポンド円は下落していく一方で、下落するたびに心臓が締まる思いをしました。不安でしょうがなかったので、「イギリスがEUを離脱しない3つの理由」とか「イギリスはEU残留が濃厚」みたいな、自分に都合の良い情報だけを見て気持ちを落ち着かせようとしました。
もちろんこんなことは投資をする上で全く褒められた行為ではありません。しかしこのときはもう完全に冷静さを欠いていたので、とにかく自分の投資が正しいことを証明するため、自分に都合のいい偏った情報だけを集めていました。
「大丈夫、大丈夫だ! 元銀行員の凄腕投資家が絶対にEU離脱はないと断言してるんだ!」
必死に自分にそう言い聞かせ、次から次へと流れる離脱優勢のニュースにじっと耐えていました。「残留! 残留! 残留!! 残留っ!!」、と呪文のように唱え結果発表の時間を待ちました。
EU離脱、そして強制ロスカットへ
そしてとうとう投票結果の発表時間になりました。結果は、何と「EU離脱」!
誤報かと思いました。
離脱なんてするわけないこんなのウソだと思いました。
しかし誤報でもウソでもなく、間違いなくEU離脱が確定したのです。その瞬間ポンド円とドル円はジェットコースター並みのスピードで急落し、離脱のニュースにあ然としている僕をしり目に、あっという間にポジションは強制ロスカットになりました。
心臓止まりそうな値動き。。。。
— しんま13 (@ukodahp91jpyano) 2016年6月24日
これにより30万円ほど残高があったFX口座は一気に4万円8,000円にまで減ることに。今年の負けを取り返すどころかむしろ損失がふくらむ本末転倒な事態です。
あまりにもショックすぎてしばらくその場から動くことができずずっとパソコンのモニターを眺めていました。人生であんなに身体が震えたのは初めてかもしれません。ちなみに僕にドル円を買っておけと勧めた元銀行員の方は、合計で800万円ほどの損失が出たようです。
「ブレグジット」で学んだこと
正直なところ、「元はと言えばお前が自信満々にイギリスはEU離脱しないなんて豪語したからこっちは損したんだよ!」という気持ちが少なからずはありました。
ですが、よく考えずに人の意見を取り入れ投資した僕の自己責任なのですぐにその怒りは収まり、ただただ自分の愚かさを反省しました。やはり、相場が大きく動くイベントは極力避けた方が無難ですし、何も考えずに人意見を聞いてそのまま投資するのは危険です。25万円はそれを知るための高い授業料となりました……。
後日、バイト先の社員の方からは、「25万円損したんだからたくさんシフト入ろうね」と茶化されました(笑)。
執筆者プロフィール
しんま
3つのバイトを掛け持ちするフリーター。お金持ちになるためにFXやせどりなど様々な副業に手を出すが全て失敗。年収の半分は副業に消えているんだとか。ブログ「しんまは今日も損切りっ」、Twitterはコチラ。
【次回は「株」のやらかし談を紹介します。お楽しみに!】