ビリヤニ太郎さんが作るチキンビリヤニ(ビリヤニ太郎さん提供)
最近、グルメな人々の間でブームになっているのがビリヤニです。カレーとまるで風貌が違うこの食べ物。まだ食べたことがなくても、「聞いたことある!」「お店で見かけたことがある!」という方も多いのではないでしょうか?
とはいえ、カレーやピザといった料理に比べれば、まだまだビリヤニは日本ではメジャーな存在とはいえません。お店で見かけても、「何だかよく分からないし、いつもどおりカレーでいいや」という人がほとんどでは?
かくいう筆者もビリヤニではなくカレーを頼むことが多いのですが、そんなに話題になっているならビリヤニを食べてみたい! そしてその前にきちんとビリヤニがどんな料理なのか知っておきたい! というわけで、聞きに行ってきました。
教えてくれるのは、ビリヤニの普及に努める「日本ビリヤニ協会」のビリヤニ太郎さん。
インドや周辺国で絶大な人気を誇る「ビリヤニ」の普及活動を行う団体。「ビリヤニを国民食へ!」というミッションのもと、誰しもが昼食のときに「ラーメン、牛丼、ビリヤニ」で悩む日を目指している。
ビリヤニを伝授する会(料理教室)を開催して作り方を教えたり、炊飯器で簡単に作れるビリヤニキットを開発・販売したり、ビリヤニ職人を認定する試験なども行ったりしている。
日本ビリヤニ協会の公式ページ
ビリヤニ太郎さんのブログ
……全く分からないけど、ビリヤニへの熱い思いをひしひしと感じる! ここまで夢中にさせるビリヤニの沼とは何なのか?
そこで「ビリヤニって、いったい何なの?」という初歩の初歩から、ビリヤニの作り方、実際に初めて食べてみたレポート、現地さながらのビリヤニを味わえるビリヤニ太郎さんのオススメ店を紹介します。この記事さえ読めば、ビリヤニという料理をざっくり理解できますよ!
申し遅れましたが、聞き手はライターの山田井ユウキです!
- ビリヤニは「インドのお寿司」なんじゃないか
- 本場のビリヤニを日本で食べるならここ! ビリヤニ太郎さんオススメのお店
- 王道なビリヤニの作り方と、炊飯器でも作れる簡単キット
- インドでビリヤニを食べて衝撃のおいしさに感動。そこからのめり込んでいった
- 実際にビリヤニを食べてみたら、驚きのおいしさについおかわり!
- ソレドコでTwitterやってます!
- 今回紹介した商品
ビリヤニは「インドのお寿司」なんじゃないか
――初歩的すぎる質問なのですが、ビリヤニっていったいどんな料理なのでしょうか?
簡単にいえば「スパイスとお肉の炊き込みご飯」です。ただ、ビリヤニをはっきりと定義づけることは難しいんです。
インドやその周辺国で食されている料理ですが、各地域で作り方も違いますし、材料も多様です。僕はビリヤニを食べるためにいろいろな国を回ったのですが、本当にそれぞれの地域で違っていてどれも魅力的なんですよ。
ビリヤニ太郎さんが食べ歩いた本場のビリヤニたち(ビリヤニ太郎さん提供)
日本人にとってのお寿司や赤飯のような料理だといえば分かりやすいかもしれません。
コンビニなどでも気軽に買えるし、一方でお祝い事があったときにも食べるもの。小さい子からお年寄りまで皆が大好きです。
現地でのビリヤニもそういう立ち位置の料理です。屋台でも食べますし、結婚式にも欠かせません。
――なるほど、インドの人たちにとってはファストフードでもありごちそうでもあるんですね!
ただ、ビリヤニがいくら多様な料理だとしても、何でもありにしてしまうと、特に日本ではまったくの別物になってしまう可能性があります。例えば日本米を使ったビリヤニは、さすがにビリヤニとは呼べないのではと思いますね。
――日本はアレンジが得意ですもんね。
僕たちは正統派のビリヤニを知ってほしいという思いで活動しています。そこで、日本ビリヤニ協会では次のようにビリヤニを定義することにしました。
1. インドの高級米「バスマティ」と、2種類以上のスパイスを使用していること
2. フライパンではなく「パッキ、カッチ、生米(ヒンドゥー式)」のいずれかの作り方を用いていること
3. 肉が入る場合は豚肉以外を使っていること
1について、ビリヤニはバスマティライスという細長い米を使います。香り高いのと粘り気が少ないのが特徴のお米でビリヤニには欠かせません。
2について、パッキとはグレービーという濃いカレーとお米を交互に層にして蒸し上げる調理法。一番メジャーな作り方ですね。
カッチとはスパイスとヨーグルトで一晩漬けたお肉の上に米を重ねて火にかける調理法です。
生米(ヒンドゥー式)というのは、グレービー(カレー)に生米を入れて炊き込む調理法ですね。
3について、ビリヤニはもともとイスラム教徒が食べていた料理です。現在インドはヒンドゥー教徒が多いですが、いまでもイスラム教の教えにのっとり、豚肉を使わずチキンやマトンを使うことが多いですね。地域によってはビーフ、あるいは魚を使うこともあります。
本場のビリヤニを日本で食べるならここ! ビリヤニ太郎さんオススメのお店
――ここ最近、日本でもビリヤニを食べられるお店が増えてきたように思います。
そうですね。ここ2~3年で盛り上がってきています。ビリヤニは米料理なので、日本人にとってもなじみやすいと思うんですよね。
――ビリヤニ太郎さん的にオススメのお店ってどこでしょう?
アレンジもいいのですが、やはりまずは本場のビリヤニを知っていただきたいです。
都内でしたら新橋の「カーン・ケバブ・ビリヤニ」。店名にビリヤニと入っているくらいで、日本のビリヤニ発展に貢献しているお店だと思います。御徒町の「アンドーラ・キッチン」はビリヤニの聖地・ハイデラバードのビリヤニをそのまま出しているお店です。
カーンケバブビリヤニ(東京・新橋)のビリヤニ(ビリヤニ太郎さん提供)
あとは埼玉・八潮の「カラチの空」です。八潮はパキスタン人の方がたくさん住んでいて、その人たち向けに本場の味を楽しめるお店が多いんです。ちなみに「カラチ」というのもパキスタンでビリヤニが有名な都市の名前です。大阪だと心斎橋のパキスタン料理店「アリーズキッチン」がオススメですね。
富山県の射水(いみず)市にもパキスタン料理店が集まっていて、やはり本場仕込みのビリヤニを出しているお店が多いです。
――ビリヤニはどんなふうに食べるのがオススメですか?
できればビリヤニ単体で食べてほしいですね。戦争中に一食で兵士をお腹いっぱいにできる食事として生まれたという説もあるんです。なので単体で食べるのがオススメです。
付け合わせはライタと呼ばれるヨーグルトソースが定番です。ビリヤニにかけるとマイルドな味わいにしてくれます。あとはスライスした生の玉ねぎをかじるのも一般的ですね。
ビリヤニの付け合わせとしてよく食されているライタ(ビリヤニ太郎さん提供)
――飲み物を合わせるなら何がオススメですか?
現地での定番はコーラなので、ぜひコーラと一緒にどうぞ!
王道なビリヤニの作り方と、炊飯器でも作れる簡単キット
――代表的なビリヤニの作り方について教えてください。
先ほども紹介しましたが、ほとんどのビリヤニは「パッキ」という調理法で作ります。
まず肉とスパイスを炒めて、グレービーというカレーを作ります。
次にバスマティライスをパスタのように茹でるのですが、後ほど蒸すことも考えて、この段階では少しかために仕上げるのがポイントです。
先ほどのグレービーの上に半分ほど茹でたバスマティライスをのせ、グレービー→お米→グレービー→お米と層を作って、一緒に蒸し上げれば完成です。蒸す時間は家庭であればじっくり弱火で30分ほどでいいでしょう。
本格的なチキンビリヤニを作る手順。肉とスパイスを炒めたカレーの上に米を重ねて蒸し上げる
(ビリヤニ太郎さん提供)
具はチキンかマトンが主流です。インド料理なのでスパイスは多種多様ですが、主に使われるのはクミン、コリアンダー、ターメリック、チリパウダー、シナモン、クローブ、カルダモンあたり。ただし、必ずしも全て使わなくてもOKです。
「スパイス」を詳しく見る
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「コリアンダー」を詳しく見る
「ターメリック」を詳しく見る
「チリパウダー」を詳しく見る
「シナモン」を詳しく見る
「クローブ」を詳しく見る
「カルダモン」を詳しく見る
――「カッチ」という調理法についても教えてください。
カッチビリヤニは、まず鶏肉をヨーグルトとスパイスでマリネして漬け込んでおきます。そのお肉に半茹でにしたバスマティライスをのせるんです。ふたをして火にかけた後、蒸らしたら完成です。
これはビリヤニの聖地と名高いインド・ハイデラバードに特有の調理方法です。
パッキ:ほとんどのビリヤニがこの作り方
・肉とスパイスを炒めてグレービー(カレー)を作る
・バスマティライスを茹でる(かためにする)
・カレー→お米→カレー→お米と層を作り蒸し上げる
カッチ:ビリヤニの聖地、ハイデラバードに特有の作り方
・鶏肉をヨーグルトとスパイスでマリネして漬け込む
・バスマティライスを半茹でにする
・マリネした生の肉の上にお米をのせて一緒に火にかける
――定義上、バスマティライスが必須ということですが、どこで購入すれば良いでしょうか?
インド食材店に行けば買えますよ。いまは通販でも購入できますよ。
――家庭で作るのはさすがに大変そうですね。
日本ビリヤニ協会が出している「炊飯器で作れるキット」がオススメです。バスマティライスも必要なスパイス類もグレービーもセットになっているので具材(鶏肉)さえ用意すれば手軽に作れます。
炊きたてのビリヤニはなんともいえないおいしさですし、自分で作る以外にはなかなか味わえません。本当においしいので、ぜひ一度作ってみてほしいです!
インドでビリヤニを食べて衝撃のおいしさに感動。そこからのめり込んでいった
――ビリヤニ太郎さんはどうしてそんなにビリヤニに夢中なんですか? 何がキッカケでのめりこんでいったのでしょう?
もともと食べることが好きで、特にインド料理にハマっていました。どうせなら本場のインド料理が食べたいと思って、インドに行くことにしたんです。
――そこでビリヤニに出会ったと。
インドでは主にカレーを食べていたのですが、あるとき屋台で売られていたビリヤニが気になり、好奇心で食べてみたら衝撃的においしかったんです。鼻から抜ける独特な香りはそれまでになかった体験でした。
帰国後、日本でもビリヤニを食べたいと思って探したのですが、インド料理店ではビリヤニが見つからなかったんです。日本でももっとビリヤニが知られてほしいという思いから、2011年に「日本ビリヤニ協会」を設立して活動しています。
インドにてビリヤニを食べ歩いていた頃のビリヤニ太郎さん(ビリヤニ太郎さん提供)
いくら最近話題になっているとはいえ、一般の方にはまだまだ知られていないと思うので、今後もビリヤニの魅力を伝えていきたいですね。日本ビリヤニ協会の目標は、昼食時に「ラーメン、牛丼、ビリヤニ」で悩む日が来ることですから。
――ありがとうございました!
実際にビリヤニを食べてみたら、驚きのおいしさについおかわり!
ビリヤニ太郎さんにお話を伺った日は、ちょうど埼玉県蕨市で「わらんちゅフェスティバル」が開催されており、ビリヤニ太郎さんもチキンビリヤニのブースを出店されていました。
せっかくなので一食いただいてみることに。
日本米とは違って、バスマティライスの食感はふわっと軽やか。お米料理というとがっつりしたイメージがありますが、これならいくらでも食べられそう。
食べてみると、ビリヤニ太郎さんの言う通り、バスマティライスの香りに驚かされます。なんともいえない芳しさが鼻から抜け、そこに刺激的なスパイスの香りが追いかけてきて食欲がどんどん湧いてきます。チキンも柔らかでジューシー! うーん、これはおいしい!
結局、取材が終わった後にプライベートでもう1つ買って食べてしまいました。
これからは積極的に食べたいと思うおいしさ。スパイス料理が好きな人、特にカレーが好きな人はぜひ食べてみてほしいですね。
聞き手:山田井ユウキ
フリーライター/カメラマン。得意ジャンルはゲーム、ワイン、IT、ガジェット、AIなどいろいろ。体を張った記事からBtoBの真面目な記事まで何でも書きます。
ソレドコでTwitterやってます!
今回紹介した商品
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