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今も飾っている「いくら」の写真
今も飾っている「いくら」の写真

犬好きだけど猫も好きな私が見つけた 犬と猫が決定的に違うところと見習うべきところ

 先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。

(末尾に写真特集があります)

猫と犬で上下が入れ替わる

 かつては富士丸と暮らし、現在は大吉と福助がいるから、読者は私のことを犬好きだと思っているかもしれないが、実は猫も大好きである。30歳で一回目の結婚をしたとき、相手の女性は猫(いくら)を飼っている人だったので、一時期は猫と暮らしていたこともある(ひそかに雑誌「ねこ」で連載もしている)。

 そんな私から見ても、犬と猫は異なる点が多い。まず、犬のことを下僕だとは思っていないが、立場的には下に見ている部分がある。散歩に行くのもゴハンをあげるのも、どちらかといえば「やってあげている」という感覚がある。

 実際、大福も近くにきて「なでて」とアピールしてきたりするし、なでると気持ち良さそうに目を細めたりしている。そういうときは「こいつ可愛いなぁ」と思う。

八ヶ岳農場にて

 対して猫はどうかというと、なぜか分からないがこちらが下僕になる。ゴハンをあげるときも「召し上がってください」という気持ちになる。

 いきなりひざの上に乗ってきたかと思うと「なでなさい」と目で要求され、その通りなでていると「もういい! しつこい」という感じでプイとどこかへ行ったりする。それで腹が立つかというとそんなことはなく「あ、そうなんですね」と納得してしまう。

 また、夏は寝るときに寄って来ないのに、冬になると「ぴと」と寄り添ってきたりする。ようするに暖を取るために利用されているだけなのだが、くっついてくれるとすごくうれしい。Mっ気はまったくない私がなぜ? と不思議だった。

 これは私だけなのかと思っていたが、猫と暮らす人たちに聞いてみると、たいてい「分かる」という。何かを要求するときの「ニャー」が命令に聞こえるのだ。

洗われる大吉

仕事をする犬と本能で生きる猫

 犬もそこまで従順ではないし、大福だって呼んでも来ないことなんてしょっちゅうあるが、基本的には従ってくれるし、こちらに合わせてくれている部分が多いと思う。

洗われる福ちゃん

 けれど猫はまず言うことなんて聞いてくれないし、犬でいうところの「しつけ」は通用しない。テーブルの上にある物をバンバン叩き落とす猫の場合、そういうところに物を置かないようするしかない。猫は己の道を変えないのだ。

 それは人間と犬猫の距離が近づいた経緯からも分かる。犬は「仕事」を与えられ、それを効率よくこなすために品種改良されてきた歴史があるが、猫はただネズミを狩ってくれるから家や船に居着かせるようになった。それは猫の本能であり、彼らは何も変えていないし、人間の指示に従っているわけでもない。

 猫だってツンケンしているわけではなく、甘えてくることもあるが、それは気分次第で常に自分が主体である。

ドライヤーで乾かされながら寝るひと

犬と猫の決定的な違いとは

 他にも運動神経や体の大きさなど、犬と猫の違いは色々あるが、決定的な違いは「エサに釣られるかどうか」ではないかと思う。

 ご存じの通り、犬はめちゃくちゃエサに釣られる。トレーニングをする際にも、初期は出来たらおやつを一粒あげることからスタートするし、何か言う事を聞いてほしいときはおやつで釣る飼い主は多い。

雨の日のテンションの低い大吉

 私も富士丸と暮らし始めた頃は「しつけ」が重要だと思い込んでいたから、オテ、オスワリ、マテなど出来たらおやつをあげていた。けれどあるとき、おやつで釣られる富士丸も、おやつで釣る自分も妙にむなしく感じたので、一切やらなくなった。

 大吉と福助におやつをあげることはもちろんあるが、その見返りに何かをやらせることはない。

 しかし、猫はそもそもエサに釣られない。人間が手にしたおやつがほしいときは「それ、早くよこしなさいよ」となり、それを与えられることによって何かをやるつもりなんて一切ない。そこが犬と猫で最も違う点ではないだろうか。

さらにテンションの低い福ちゃん

彼らを見習いたいところ

 これはどちらが優れていてどちらが劣っているという話ではない。むしろ、どちらも見習うべき部分が多いと感じている。

 人間はエサで釣られる側だし、状況によってすぐにコロコロ変わる。犬もエサで釣られるが、裏切ることはない。よく映画やドラマなどで悪の組織が「この中にサツのイヌがいる」という場面があるが、犬はそんな器用ではない。

晴れた日はドッグランでバトル

 常に飼い主が好きでそばに居たいから、一時的に他人の家で暮らして「懐いているフリをする」なんて到底出来ないのだ。だからその例えは犬に対して失礼だと昔から思っている。

 それに犬はわりと感情がそのまま表情に出るからうそがつけないし(演技はたまにするけど)、けなげなところがある。人をだましたり、利益のために平気で裏切ったり出来る人間とは大違いなのである。

 どんな相手でも屈することなく、己を曲げることのない猫もすごい。人間社会ではそんなことは不可能ではないかと思うくらい様々なしがらみがあるが、猫はさらりとやってのけている。そう考えると、私も含めて人間は愚かで、犬や猫の方がはるかに立派だなと思うことがよくある。私は犬と暮らしているが、猫のように生きられたら、と憧れている。

なにげなく一緒にいることが多い大福

【前の回】穴澤賢流「しつけ」の方針 犬に厳しくしても意味はない?

DeLoreans9周年フェア開催
著者の穴澤賢さんが運営する”お散歩バッグ・犬用ベッドのオリジナルブランド DeLoreans”では、11月1日から『DeLoreans9周年フェア』を開催します。詳細はこちら

穴澤 賢
1971年大阪生まれ。フリーランス編集兼ライター。ブログ「富士丸な日々」が話題となり、犬関連の書籍や連載を執筆。2015年からは長年犬と暮らした経験から「デロリアンズ」というブランドを立ち上げる。2020年2月には「犬の笑顔を見たいから(世界文化社)」を出版。株式会社デロリアンズ(http://deloreans-shop.com)、インスタグラム @anazawa_masaru ツイッター@Anazawa_Masaru

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この連載について
悩んで学んだ犬のこと
先代犬は富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らす穴澤賢さんが、犬との暮らしで実際に経験した悩みから学んできた“教訓”をお届けしていきます。
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