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ノンプログラマーが半年で400以上の業務を自動化!メルカリが作る「Karakuri」とは

〜ノンプログラマーでも、ルーティン業務を「自動化」できる!社員の3人に1人が「Zapier」を活用し、全社で400以上のワークフローを自動化した事例〜

ルーティン業務を自動化したいけれど、その仕組みを作れるエンジニアのリソースが足りない…という課題をお持ちではないだろうか。

株式会社メルカリでは、このような課題を解決するため、ノンプログラマーに向けた「業務自動化の勉強会」を2017年10月より開始。

▼実際の「業務自動化の勉強会」の様子


これまでに、総務・経理・PR・経営企画など多岐にわたる部署から120人以上が参加し、累計で自動化されたワークフローは400を超えるという。

そこで活用されているのは、1,000種類以上のWebアプリケーションを連携し、ワークフローを簡単に自動化できる「Zapier」だ。

例えば、総務の「全社会議のSlack通知」、PRの「曜日別の当番通知」、全社で月2,000回以上使用される「翻訳bot」など、これらは全て、Zapierによるアプリ連携でその自動化を実現している。

今回は、全社的な業務自動化を推進するエンジニアの根本 征さんと、PRチームで自動化担当を務める鈴木 万里奈さんに、詳しいお話を伺った。

※6月24日、内容を一部修正しました。

チームから全社の課題解決へ。ノンプログラマー向け「勉強会」を開催

根本 僕は、もともと文系大学の出身なのですが、英語以外の武器を身に付けたいと思っていた頃に、ちょうどプログラミングと出会いました。

それから、独学で勉強して開発するうちに、だんだん面白くなってきて。2016年に、Webエンジニアとしてメルカリに新卒入社しました。

その後、Webの開発を経て、現在はAutomation & Quality Assurance(以下、AQA)という、自動化とサービスの品質テストを担当するグループに所属しています。

そもそもメルカリには、エンジニアの行動指針のひとつに「Automation, Karakuri」というものがあります。

これは、人力で無理やり頑張るのではなく、機械にできることは全て機械にやらせることで作業を自動化しましょうと。そして、人的エラーが発生しないカラクリを作りましょう、という行動指針です。


このエンジニア文化を、自動化の取り組みを通じて全社に広めていくことが、僕のミッションだと思っていて。

そのきっかけとなったのは、AQAチーム内で実施していたテスト自動化のためのチーム勉強会でした。

その勉強会に、ある時、プログラミングに興味のあるカスタマーサポートの人が参加してくれたことがあったんですね。

そこで現場の課題を聞いた時に、ある程度のプログラミングができるようになれば、それを解決できるのではないかと思いまして。

その経験から、他部署にいるノンプログラマーのメンバーにも、似たようなニーズがあるのではないかと思い、徐々に総務などのコーポレートメンバーにも声がけをして、全社的な活動へと広めていきました。

経理、総務、経営企画も。400以上のワークフローをZapierで自動化!

根本 この「自動化を学ぶ勉強会」は、2017年の10月にスタートし、これまでに120人を超えるメンバーが参加しています。

参加者のほぼ全員がノンプログラマーで、その所属部署は、経理や総務などのコーポレート部門から、経営企画、PRと多岐にわたります。

▼左:鈴木さん(PR)、右:根本さん(エンジニア)


全社員が閲覧できるカレンダーに勉強会の予定を同期しているので、誰でも気軽に参加することが可能です。

週1のペースで開催しているのですが、各回に5〜10人ほどが集まり、各チームで自動化したい業務をヒアリングしながら、相談ベースで進めています。

また、定期の勉強会以外でも、個別に相談があれば、その都度応じています。

当初は、プログラミングで課題解決をしようと思っていたのですが、調べを進めていくうちに、複数のアプリを連携させてワークフローを作ることのできる「Zapier」というサービスを知りまして。

これを使えば、ノンプログラミングで簡単に業務を自動化できると思い、2017年11月にZapierの導入を決めました。

勉強会では、「スプレッドシートで数値を更新したらSlackで通知したい」「Googleカレンダーの調整をSlack上で完結したい」「JIRAのタスクを自動生成したい」といった日々のルーティン業務に関する相談が多いんですね。

そこで、Zapierの使い方をいちからレクチャーした上で、1人ひとりが個々に自動化したいワークフローを定義し、複数アプリを連携させる形で自動化しています。

また、Zapierのチームプランを使うと、チームの共有フォルダを作成できます。そこで個人のワークフローを共有すれば、お互いに編集することが可能です。

▼Zapierの管理画面(共有フォルダでワークフローを公開)

そのため、他のメンバーが作ったワークフローで「いいな」と思うものがあれば、それをコピペして自分の業務にも応用できますし、上手く動いていないワークフローがあれば、その原因を分かる人が修正を加える、といったこともできます。

今はZapier導入から半年ほどですが、社員約650人のうち、既に250人以上がアカウントを持っています。

そこで自動化されたワークフロー数も累計で400を超え、その実行回数は25,000回以上になります。

ZapierとPythonの組み合わせで、曜日別の当番をSlack通知

鈴木 私は、今年の4月に新卒で入社し、PRチームが行う業務の自動化を担当しています。

昨年の10月から、PRチームでインターンをしていたのですが、当時みんな忙しくて「やりたいけど手が回っていないこと」って結構あるなと感じていたんです。

であれば、それを私が実行すればいいんじゃないかと思いまして。ちょうどその頃、「社内でめちゃくちゃ仕事を自動化してる人がいる」という噂を聞きつけたのですが(笑)、それが根本でした。

勉強会に参加した当初は、ターミナルやコマンドって何? といった状態でしたが、Zapierの操作方法を教わり、実際に自分で作ってみると「こんなに簡単にできるんだ!」という驚きが大きくて。

私はこれまでに、PRチームのルーティン業務をいくつか自動化してきたのですが、ZapierとPythonを組み合わせて作成したのが「曜日別の当番通知」です。

PRチームでは、社内の資料確認や社外からの取材依頼などの1次対応を当番制で担当しているのですが、その通知を自動化しました。

具体的には、時間をトリガーとして、曜日別に設定された担当者のメンションをつけてSlack通知する、というワークフローです。

▼Slack上で、曜日別の担当者をbot通知


この仕組みを作ろうと思った時に、曜日別でメンションの宛名を変更できる機能がZapierにはないことがハードルだったんですね。

そこで根本に相談し、その部分のみPythonを使うことで、一連のワークフローの自動化を実現しました。

この仕組みを作ることで、今後担当者が変わっても名前の部分のみ書き換えれば実行されるので、メンテナンスもかなり楽になりましたね。

月2,000回実行される「翻訳bot」でコミュニケーションが円滑に

根本 また、勉強会での学びを発展させて、PRチーム以外でも、様々な部署で色んな人が自動化の仕組みを作っています。

その中でも現在、最も利用されているものが「翻訳bot」です。社内にグローバルメンバーが増えてきているため、かなり重宝されていて、月に2,000回以上は使われていますね。

仕組みとしては、Slack上で翻訳したいメッセージに特定のスタンプをつけると、日↔︎英の翻訳をしてくれるbotです。

▼月2,000回以上使われている「翻訳bot」


これを作ったのは、Androidエンジニアの方なんです。もともと自動化については全く経験がなかったのですが、通常業務外で興味ある分野の開発ができる「Be Professional Day」があった際に、Zapierを使ってほんの20分程度で作ってしまいました。

また、プログラミングを全く知らないコーポレートのメンバーも、よくZapierを活用しています。

例えば、まだ勉強会を始めて間もない頃に、総務のメンバーがGoogleカレンダーとSlackを連携して、全社会議の時間を通知するbotを作ったんですね。

それがきっかけとなって、「自分の部署でもこのワークフローを自動化したい」とか、「自分にも出来るかも?」みたいに心理的なハードルが下がって、一気に全社へと広まった部分はありますね。

課題は「継続性」。現場の推進者を立て、持続的な活動を目指す

根本 こうして全社的に活動が広まってきた一方で、「継続性」が今後の課題だと思っていて。

というのも、どうしても「1回作って終わり」になってしまう人が一定数いますし、継続的にZapierを使ってくれている人でも、個人の業務範囲に留まってしまうケースも多いんですね。

例えば、自分に対するSlackのbot通知が量産されたりして。もちろん、こういった個人レベルの改善も大切なのですが、よりチームや全社の業務を効率化するような仕組みを作っていきたいと考えています。

そこで、今取り組んでいるのが、各部署に自動化の「担当者」を立てることです。

結局、現場の課題はそこで働く人たちが一番よく分かっているので、その課題を吸い上げて自動化を推進していく人が、各部署にいることが重要だと思っています。

そのため、各部署で興味を持ってくれている人に対して、定期的に情報交換をしたり、一緒にご飯を食べに行って話を聞いたり、といった活動をしていますね。

鈴木 PRチームでは、私が「自動化の担当者」みたいな感じで定着してきているので、困ったことがあれば「『すずまり』に相談してみよう」といったように、チームのメンバーから頼られることも多くなっています。

また、他の社員からピアボーナスの「メルチップ」とともに「ありがとう」の言葉をもらえたり、何より実務で本当に助かっているので、これからも継続していきたいと思っています。

根本 また、僕としては、自分がすべてを教えるのではなく、最終的にはそれぞれのチームで、試行錯誤しながら自動化を実現してもらいたいと思っています。

というのも、Zapierだけでは解決できない課題もあるんですよね。

なので、ここまではZapierが使えるなとか、今のワークフロー自体を変えたら、もっと仕組み化できるんじゃないか、みたいなところまで、各自で考えられるようになるといいですね。(了)

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