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“バリュー系特急株”に乗れ!「とっておき好業績株スペシャル」7選 <株探トップ特集>

特集
2023年2月4日 19時30分

―その業績好調に理由あり、好決算銘柄の中から新たなるダイヤモンドの輝きを見いだす―

週末3日の東京市場は主力株をはじめ総じて買いが優勢となり、日経平均株価は2万7000円台半ばで頑強な値動きを示した。今週は週央から名実ともに2月相場入りしたが、1月相場を振り返れば、欧州株市場や米国株市場の上昇に追随する形で日本株も上値指向を強めた月だった。特に1月後半からの上げ足の強さは投資家心理を明らかにポジティブへと変化させている。株高の背景には欧米の過度なインフレ懸念の後退(=過度な利上げ懸念の後退)と中国のゼロコロナ政策解除に伴う経済再開期待がある。とはいえ、2月相場では1月相場の反動も警戒されるところ。「節分天井」という言葉もある。ここでどういう投資手法をとるかは投資家にとって重要な課題といえる。

この時期、好決算を発表した銘柄には「決算プレー」と言われる短期筋の買いが流入するが、その一瞬で終わらせてしまってはあまりに芸がない。ひと呼吸おいてからが本当の勝負である。それらの銘柄の中から輝きを放つものを拾い上げ、株価動向を横にらみに中期スタンスで投資の機会をうかがう。今回のトップ特集では、既に好決算発表済みの割安感の強い株の中から、上値期待の大きい7銘柄にスポットライトを当てた。

●「休むも相場」ではもったいない

高値圏で推移する欧米株はやや買い疲れ感も拭えないが、日本株の方は相対的に出遅れムードが強い。1月第4週に外国人投資家が現先合計で1兆3000億円以上の大幅買い越しを記録。これは先物絡みのショートカバーによる部分が大きいとはいえ、足もとで潮の流れの変化を示唆していることに変わりはない。個別株の物色意欲も旺盛である。

ただ、企業の決算発表が本格化するなか、決算跨(また)ぎで個別株に投資するのは短期的な値動きに翻弄されやすくリスクも否定できない。好決算を先取りして買ったつもりが事前の市場コンセンサスに届かず、増収増益で売りの洗礼を浴びるということも往々にしてある。したがって“休むも相場”を決め込むのも一つの投資作戦には違いないが、それはチャンスの芽を一つ潰しているともいえる。この時期は丁半博打的な決算プレーよりも、リスクとリターンの見合いから、はるかに期待値の高い手段があるからだ。

●決算発表直後のノイズを回避する

決算跨ぎではなく、既に決算発表済みの銘柄に意図的にひと呼吸おいて注目する。内容の伴う銘柄には時間を経ても株価に浮揚力が働きやすいという特性を念頭に置いて、好決算を発表した後の銘柄を何日か継続ウォッチングするという作業がまず必要となる。決算発表直後に生じるノイズによって振らされた株価が落ち着きを取り戻したところで、改めて買い出動するというのが実践的な手段だ。

物色の矛先を向けるのは基本的に好業績株でなければならない。国策や社会現象などを基点としたテーマ買いの動きであれば基本的に決算内容は不問となりやすいが、この時期はマーケットが四半期決算というハードルを意識して資金が巡るため、収益面で優位性を持っているということが最強テーマとなる。

これは好決算を発表しながらコンセンサス未達で売られた株も当然ながら含まれる。また、決算発表のピークはもう少し先で、この時期に好決算発表済みの銘柄を絞り込むとなると3月期はもちろん、6月期、9月期、12月期決算以外のものが中心となりやすい。実際「決算プレー待ち」の銘柄は当該日のイベントドリブンを警戒して自然な動きが出にくい一方、決算発表通過後の銘柄の方は、株価の連続性が機能してチャートなどのテクニカル分析はやりやすくなる。

●実力と短期値幅を追求した7銘柄

好決算を発表しても高PER銘柄などは、全体相場がリスクオンの地合いであればよいが、そうでない場合は下値リスクも相応に警戒される。したがって、成長力を持ちながらバリュー株としての割安感も身にまとい、更に中期的に株価の先高期待を想起させる材料性を内包する銘柄がベストチョイスとなる。もっとも、すべてを兼ね備えた銘柄を選び出すのは困難が伴うが、成長力が強ければそれは元来PERの高さにも反映されるものであり、その際の匙(さじ)加減や境界線の引き方については投資家の感性に委ねられる。

これまでの業績修正の動きについては、数的には上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っている感触があるが、明暗はまちまちで同じ業態であっても勝ち組と負け組にはっきりと分けられている印象が強い。ただ、全体論として世界景気減速を背景とした逆業績相場の色は今のところみられない。ここは森より木を見る個別株戦略で、十分にリターンは期待できそうだ。決算内容から勝ち組に位置する銘柄を対象に、中期投資に耐え得る実力と成長シナリオを備え、なおかつ短期でも値幅妙味が期待できそうな7銘柄を抜粋した。

【三光合成はインドで業容拡大の布石着々】

三光合成 <7888> [東証P]は自動車向けを主力とするプラスチック製工業部品メーカーで業績好調かつ割安感が強い。インドでの自動車需要が高まるなか、同国で生産拠点を増設するなど海外での需要獲得に余念がない。自動車向け以外でも情報通信機器や家庭用電化製品、住宅設備など幅広い分野で同社製品が使われている。また、金型も国内外に製造拠点を有し、グローバル展開を図っている。

世界的な電気自動車(EV)シフトが進むなか、車体軽量化ニーズを中長期的に取り込んでいくことが予想されるが、EVは内燃機関を持たないことからガソリン車と比較してプラスチック部品との相性が良く、それだけ同社の活躍余地は高まることになる。23年5月期は営業利益が前期比10%増の28億円と2ケタ成長を見込む。

株価は年明けからロケットスタートで水準を切り上げているが、依然として500円台と値ごろ感があり、押し目狙いで対処したい。PER8倍台、PBR0.6倍台とバリュー株としての素地も十分であり、株価水準訂正に向けた動きはまだ初動である。

【邦ガスは脱炭素のテーマでもリード役】

東邦ガス <9533> [東証P]は愛知、岐阜、三重の3県を地盤に300万件近い顧客層を持ち、都市ガス では東京ガス <9531> [東証P]、大阪ガス <9532> [東証P]に次ぐ第3位に位置する。業績は急回復局面にある。23年3月期営業利益予想は原油価格の前提見直しに伴う原料コスト低減効果を背景に従来計画の190億円から250億円(前期比40%増)に大幅増額した。

また、環境調和型社会の実現に向けた取り組みを念頭に技術開発も推進している。工業炉を手掛ける日本ファーネス(横浜市神奈川区)と共同で水素と都市ガス兼用の工業用バーナーを実用化していることは注目材料であり、製造工場での水素活用で活躍が期待される。24年から都市ガスと水素を混焼する設備を企業に提供する計画にある。

株価は20年11月と21年3月に7100円台でダブルトップを形成、以降は大幅な調整を強いられたが、1月下旬を境に大底離脱の動きに。時価は依然として高値から65%もディスカウントされた売られ過ぎの水準。PBR0.6倍台で見直し余地は大きい。

【グラファイトは配当大幅増額し新事業に思惑】

グラファイトデザイン <7847> [東証S]はゴルフ シャフトの大手メーカーでカーボン技術を生かした自社ブランド製品に強みを持つ。国内外で自社ブランドのゴルフシャフトが絶好調に推移し、23年2月期の業績予想は期中2度にわたる上方修正を行い、営業利益は7億3500万円(前期比4%増)と期初の大幅減益見通しから一転して増益見通しに変わった。

PERは10倍前後と割安感があるが、特筆に値するのは株主還元の強化だ。今期年間配当は業績に連動した特別配当を加算し、従来計画の20円から30円も上乗せした50円とすることを発表、これに伴い配当利回りも5.8%に達している。なお、中間配当実績は10円であったことで、期末配当だけでも40円と高水準であり、駆け込み権利取り狙いの買いが今後も見込まれる。

同社はゴルフシャフト以外にも独自のカーボン積層技術を武器に異業種との連携を進めており、中期的な業容拡大の原動力となる新事業の可能性が期待されている。トヨタグループとの自動車部品での連携にも思惑がある。株価は時価近辺を踊り場に4ケタ大台指向となろう。

【セラクはハイスキルIT人材の育成で脚光】

セラク <6199> [東証P]はITインフラ構築・保守のほか、自社で育成したIT人材の派遣事業なども手掛ける。農業IT分野では「みどりクラウド」のシェア拡大に力を入れている。近年加速する企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)需要を捉え、足もとの業績は飛躍的な伸びを実現した。

23年8月期営業利益は前期比60%増の14億2000万円予想と過去最高を更新する見通しにある。クラウドコンピューティング、AI・IoT、ビッグデータといった旺盛なIT投資へのニーズが顕在化するなか、特にIT先端領域の技術力向上の原動力となり得る人材の育成強化に傾注している。直近では1月18日にセールスフォース・ジャパンTableauと協業で人材育成サービスをスタートすることも発表した。

株価は決算発表を受け1月16日にマドを開けて上放れたが、その後も短期筋の利益確定売りをこなし更なる高みを目指す展開に。24年8月期も大幅な利益成長が想定されるなか、昨年来高値1730円の奪回も早晩意識されそうだ。

【信越ポリは16年ぶり最高益予想で一段の増額も】

信越ポリマー <7970> [東証P]は樹脂加工メーカーで半導体ウエハー容器(ウエハーケース)を主力に手掛ける。同社の過半の株式を保有する親会社の信越化学工業 <4063> [東証P]は塩ビ樹脂とシリコンウエハーの世界トップメーカーだが、親子で業績は絶好調といってよい。

世界的な半導体設備投資増強の流れを受けて同社のウエハーケースの需要に陰りはなく、レーザープリンター用ローラーなどOA機器用部品、シリコンゴム成形品も好調で収益を牽引している。22年4-12月期決算は売上高、利益ともに高水準の伸びをみせ、売上高は前年同期比19%増の821億7500万円と2割近い増収、営業利益は同44%増の107億5000万円と既に100億円台に乗せている。

23年3月期通期の営業利益は前期比23%増の120億円と16年ぶりに過去最高利益を更新する見通しにあるが、進捗率を考慮して増額修正の公算が大きい。株価は1月下旬にマドを開けた後もみ合っているが、ここを踊り場に昨年来高値1425円を奪回する展開が想定される。

【AITは中国経済再開追い風に高配当も魅力】

エーアイテイー <9381> [東証P]は関西発祥の国際物流会社だが、中国や東南アジアを中心にアパレル、雑貨、食品、医薬品など小口貨物混載による海上コンテナ輸送を主力としている。顧客のニーズに合わせて、航路や輸送手段など最良・最適といえるサービスを提案できるのが強み。また、デジタルトランスフォーメーション(DX)活用による合理化効果に加え、海上運賃の高止まりも寄与して業績は絶好調といえる。

23年2月期営業利益は前期比38%増の49億3000万円予想と過去最高利益を大幅更新見通しにあるが、第3四半期(22年3-11月)時点で45億6900万円(前年同期比55%増)に達しており、進捗率から一段の増額期待が膨らむ。

PER10倍前後と割安なほか、株主還元姿勢の高さはポイントで、今期年間配当は80円(前期実績58円)を計画、5%を超える配当利回りは魅力となる。今後は中国の経済再開で追い風が強まる可能性も意識される。株価は年初から上値追いが鮮明、中期で昨年来高値1952円奪回も視野に入りそうだ。

【エコーTDは成長路線まい進も株価は超割安圏】

エコートレーディング <7427> [東証S]はペット フードやペット用品の卸大手で、業績はここ数年来、目を見張る利益高成長トレンドをまい進中だ。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に加速したペットブームは、ウィズコロナの社会環境となっても衰える気配がない。

日本のペット市場は現在1兆7000億円前後とみられているが、中国では既に5兆円規模、米国では11兆円規模とみられ、世界的に市場は膨大化の一途にある。にもかかわらず、国内に上場するペット関連企業は少なく、各社はそれだけに収益恩恵を享受しやすい。同社は小型株ながらその関連有力企業の一角として、20年2月期以降の利益成長が際立っている。

23年2月期営業利益は期初見通しを大幅増額し、前期比70%増の7億9000万円を見込んでいる。この成長力にしてPERは8倍前後と超割安圏に位置する。加えて、今期配当は24円を計画し3%を超える配当利回りを確保する一方で、PBRは解散価値の半値以下である0.4倍台に放置されており、大幅な水準訂正余地が意識される。

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