雨宮京子氏【新型コロナで欧米波乱、米大統領選後の景色は?】(2) <相場観特集>
―2万3000円台で強調展開の日経平均、11月相場を読む―
名実ともに11月相場入りとなった週明け2日の東京株式市場は、大きく買い優勢に傾いた。前週は週を通じて高い日がなく週末は350円強の大幅安に見舞われたが、足もとはリバウンド狙いの動きが顕在化した。しかし、何といってもあす3日に米大統領選の投開票というビッグイベントを控えマーケットには緊張感が漂っている。東京市場はあすが文化の日で休場ながら、4日以降の相場に大統領選の結果が色濃く反映されることになりそうだ。先読みに定評のある市場関係者2人にずばり11月相場の展望を聞いた。
●「トランプ再選が最強だが、国内政治にも思惑」
雨宮京子氏(経済ジャーナリスト)
日経平均株価は前週の下げの反動もあって足もとは先物を絡め大きく反発に転じたが、米大統領選の結果いかんで波乱含みの値動きに陥ることもあり注意は必要と思う。今回の大統領選は情報が錯綜し、結局すべてフタを開けてみないことには分からないが、個人的にはトランプ氏が勝利する確率が50%、バイデン氏勝利の可能性が30%、そして、すんなりと決まらず法廷闘争に持ち込まれる可能性が20%というイメージでみている。
トランプ大統領が勝利した場合、これまでマーケットにフレンドリーな政策姿勢を打ち出してきた現職の大統領が続投することで、投資環境としてはポジティブでありこれが最善のシナリオと思われる。NYダウは2万8000ドル台復帰をうかがい、日経平均も2万4000円大台に再チャレンジする強調展開が想定される。また、バイデン氏が勝利した場合も、上院を民主党が制し「トリプルブルー」が実現するのであれば、目先的には財政出動期待を背景に上値を指向するであろう。ただ、バイデン氏は法人増税や富裕層への証券課税強化の動きなどを公約に掲げている以上、相場にとってマイナス要素も拭えず、買い一巡後は不安定感を増し下値リスクが再度意識される局面もありそうだ。更に、警戒されるのはすんなりと決着がつかず法廷闘争に持ち込まれた場合だ。これは追加経済対策の発動も後ズレすることで、目先株式市場の下値リスクが高まることは避けにくい。NYダウは2万5000ドル台前半まで水準を落とし、東京市場もリスクオフの波に揉まれそうだ。日経平均は6月中旬の安値水準である2万1500円前後への深押しもあり得る。
一方、日本国内に目を向ければ、決算発表たけなわであるが企業業績は上方修正が多く、相場にとって思いのほか風向きが良い。また、政治面では年内解散(12月解散)の可能性があるとみている。これは変化を好む株式市場にとって上昇の原動力となり、その際には日経平均が独歩高に転じるパターンもありそうだ。
個別では、まずソニー <6758> に注目したい。ゲーム、エンターテインメント分野で巣ごもり消費関連として年末商戦への期待が株価に反映されやすい。また、トヨタグループで自動車部品が好調なデンソー <6902> や、中国関連では10月下旬に業績見通しを増額しマーケットの話題を集めた日本電産 <6594> などをマーク。米アップルのiPhone12発売で、国内最有力サプライヤーとして改めて脚光を浴びそうな村田製作所 <6981> も目が離せない。このほか、直近IPO銘柄では、日本最大のグルメプラットフォームを運営し、「Go To イート」関連でもあるRetty <7356> [東証M]に着目したい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
経済ジャーナリスト。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券 投資情報部などを経て現在に至る。
株探ニュース