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新型コロナ検知で底力発揮、「サーモグラフィー」関連株総まくり <株探トップ特集>

特集
2020年6月3日 19時30分

―エボラ再流行でも注目度アップ、発熱者早期発見の水際対策で需要急拡大―

新型コロナウイルス特措法に基づいて発令された緊急事態宣言が5月25日に全面解除されたことを受け、休業を余儀なくされていた店舗が営業を開始するなど経済活動の再開が本格化しつつある。ただ、2日には東京都の新規感染者数が19日ぶりに30人以上となるなど、予断を許さない状況が続く。クラスター(感染者集団)発生を回避するためには、新型コロナの典型的な症状である発熱者を早期に検知することなどが重要となる。また、コンゴ民主共和国でエボラ出血熱が再び流行していることに対する水際対策の需要なども見込めることから、体温を自動で測定するサーモグラフィーの関心が一段と高まっている。

●都内の学校に配備へ

サーモグラフィーとは、人や物から放射される赤外線を検出し、温度分布を画像表示する装置のこと。物体の温度が高温になると放射される赤外線量が増え、その放射量は物体の温度の4乗に比例して大きくなり、温度が高い物体ほど明るく光る。サーモグラフィーを利用するメリットとしては、対象物から離れたところで非接触による温度測定ができるほか、動いているものや危険で近づけないものでも簡単にリアルタイムで計測することが可能。1点の温度値ではなく、面として広範囲の温度分布を映像化できることから効率的かつ確実に異常温度箇所を検出できるといった特徴もある。

サーモグラフィーは感染症を早期に検出するための有効な手段で、以前から食品加工工場やホテル、医療機関、空港などで利用されているが、ここにきて新たに設置する施設が広がっている。背景には新型コロナに対するリスク対策が社会的に必要となり、オフィスや学校、店舗・商業施設、イベントへの来訪者の検温が、社会経済活動を続けていくうえで不可欠なものになっているからだ。例えば、東京都は5月19日にサーモグラフィーを都内の学校に配備すると発表。飛沫を防止するアクリル板の設置費用などとあわせ、補正予算案に総額42億円(都立学校に6億円、区市町村立学校に28億円、私立学校に8億円)を計上した。

●日本アビオは受注2倍に

スクリーニング(発熱者のチェック)需要の高まりが追い風となっているのが、国内トップブランドである日本アビオニクス <6946> [東証2]だ。同社は赤外線サーモグラフィーカメラの超高性能ハイエンドモデルや用途別専用モデルなど豊富なラインアップが強みで、20年3月期第4四半期(1-3月)の受注台数は前年同期比で約2倍に増加。納入先は民間企業や公共施設、政府機関など多岐にわたる。この他にも多くの問い合わせがあるといい、今期は部品の確保や生産体制の強化により一層努めるという。

ザインエレクトロニクス <6769> [JQ]のグループ会社であるキャセイ・トライテックが、このほど発売したサイネージ型AI(人工知能) 顔認証・体温検知ソリューションの注目度も高い。これは数メートルの距離から非接触で、同時に15人のスクリーニングとマスク着用の有無が検出でき、設置や移動が簡単なことが特長。学校やオフィスビル、商業施設、工場などの入り口での利用が想定されている。

エコモット <3987> [東証M]は4月から、石屋製菓(札幌市)とウェアラブルサーモグラフィーカメラを使った健康管理の実証実験に乗り出しているほか、同月にはAI顔認識と高機能サーモグラフィーカメラで最大16人の体温を同時測定するスクリーニングソリューション「サーモロイドPro」の提供を開始。高精度な温度検出ができることから、新千歳空港の国内線ターミナル到着ロビーゲートに導入された。

●日本ラッドは台湾社製を展開

また、日本ラッド <4736> [JQ]は5月下旬に、台湾のアドバンテック社が新たに開発した感染症拡大防止ソリューションの国内販売・サポート展開を行うと発表。これはAIによる顔検知機能と発熱・密集度などを検知する高機能カメラを組み合わせたもので、外来者発熱スクリーニングシステムや密集度計測システム、ソーシャルディスタンス計測システム、感染者トラッキングシステム(7月提供開始予定)の4つが含まれ、同社は病院や公共施設、工場、製造現場など幅広い業務領域に向けて積極展開する。

アイドママーケティングコミュニケーション <9466> のグループ会社であるニューフォリアは6月1日から、AI顔認証とサーモグラフィーを組み合わせ、わずか1秒で端末前の人物(マスク着用者にも対応)の検温を行うことができる「非接触式AIカメラ検温システム」の販売をスタート。今後はデジタルサイネージやアプリ、IoTソリューションと連携したサービスもあわせて提供する予定だ。

●YSフード、チノーにも注目

このほかでは、北九州市庁舎にサーモグラフィーシステム「SumoLink AI体温測定機」を提供したワイエスフード <3358> [JQ]、米フリアーシステムズ社製の赤外線サーモグラフィーカメラを取り扱う岩崎通信機 <6704> 、グループ会社が赤外線サーモグラフィー関連製品を展開しているアズビル <6845> 、ユニット形体表面温度チェッカーのモデルチェンジを行ったチノー <6850> 、傘下企業が産業向けサーモグラフィーを手掛けているオプテックスグループ <6914> にも注目したい。

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