本当に面白い小説は重要な結末に到達した時に、冒頭から書かれてきたことまで一気に頭の中が巻き戻されるような興奮がある。
ヨルシカのライブは、その物語が頭の中で巻き戻る興奮に、音楽によって揺らされてきた感情たちも巻き込まれることで、凄まじい感動が生まれる。
まさに2024年版にアップデートされた「前世」の、物語と音楽が生み出す感動の渦はヤバかった。

また本当に面白かった小説の、もうすぐ読み終わる時のあの温かくもせつない独特の感覚も空間的にはっきりと味わうことができた。
作品としてのライブを極めてきたヨルシカの中でも屈指の傑作だった。（古河晋）