本屋と文房具屋でならいくらでも時間をつぶせる……というインドア派の人は多いと思う。最近は大型書店の一角に文具と雑貨のコーナーが併設されていることも多く、本好きと文具の親和性の高さはお墨付きとも言えるだろう。
ずらりと並んだ本の棚や、色とりどりのペンやノートを見ているだけでウットリしてしまう……。そんな人にとって天国とも言える場所があるのをご存知だろうか。
新宿の紀伊國屋書店? 池袋のジュンク堂? 丸の内の丸善?
いえいえ……東京・稲城市にある「コーチャンフォー」です!!!!!!!! もう一回言いますね。「コーチャンフォー」です!!!!!!!!!!!!!!
なんそれ!?!?!?
・全国最大級の文具と本のデパート「コーチャンフォー」
本と文具と音楽&映像、そしてカフェをそろえた超大型複合施設「コーチャンフォー」。私は都内の大型文具店を調べていたときにその存在を知った。「コーチャンフォー」と聞いて、ピンとくるのは日本のごくごく一部の地域の人だけだと思う。実は北海道発祥の店だからだ。
その北海道が誇る本と文房具のデパート「コーチャンフォー」がなぜか、東京の稲城市・若葉台にだけ進出しているのだ。大型店舗が集まる立川や豊洲ではなく、稲城市というのは珍しい気がする。
最寄り駅は京王線の若葉台駅。初めて降り立ったが、緑に囲まれた新興住宅地……という印象を受けた。季節は夏真っ盛りで、セミがうるさいくらい鳴いている。東京でありながら、どこか地方都市のような雰囲気がありなつかしい。「コーチャンフォー」はここから徒歩5分ほどの場所にある。
店の前につくと……めっっっちゃデッカい!
ちなみに「コーチャンフォー」という不思議な店名の由来は「4頭立ての馬車(Coach and Four)」らしい。なんとなく、創業者の息子がコウちゃんという名前で「コウちゃんのために」みたいな意味でつけたのかな……と勝手にストーリーを作っていたけど全然違った。よく見ると、店舗の外観に車輪のような飾りがついていた。
・ラビリンスのような本と文具の城
店の中に入ると……そこは完全なるインドア派のパラダイスであった。ワンフロアの中に
・本
・文具&雑貨
・CD&DVD
・マルシェ
・カフェ(ドトール)
が入っているのだが、ワンフロアとは思えないほど、どのエリアも恐ろしく広く、品ぞろえが豊富どころじゃない。
まず目につくのが、どこまでも果てしなく続く本棚……。
ワンジャンルにつき本棚が何列もあり、まるでジュンク堂や三省堂のよう。本好きに伝わりそうな紹介の仕方をすると、この写真に映っているのは全部ちくま文庫である。
人文系だけでなく、楽譜や医学書、入試の過去問といった分野も網羅している。
ところどころ面陳(表紙が見えるような置き方)されており、ゆとりのあるスペースの使い方になっている。そして、場所がないと絶対置けない漫画の全巻セットコーナーもあった。
ちなみに、一番力を入れているのは児童書のようで、児童書コーナーだけで町の書店くらいの広さがある。レジには絵本作家のサインがたくさん飾られていた! ここから沢山の本好きが生まれるんだろうな〜。
・なぜかクセが強いCDコーナー
たくさんあるのは本だけではなく、CDコーナーの充実度もすさまじい。サブスク全盛期で、街からCDショップがどんどん消えているのが嘘のように、大量のCDとDVDが並んでいるのだ。
で、そのセレクトがなんとも絶妙。もちろん最近流行りの藤井風とかYOASOBIのようなミュージシャンも置いているのだが、圧倒的に多いのが邦楽の旧譜。演歌、歌謡曲、そして90年代のミュージシャンの作品がそろいまくっている。
注目したいのが棚の上のプレート。ピックアップされているミュージシャンが尾崎豊、ZARD、オフコース、中島みゆき、中森明菜、野口五郎……。いま何時代なのか、CDが売れまくっていた時代にタイムスリップしてしまったかのようなラインナップなのである。
面陳しているCDのセレクトがまたすごくて、いまヒルビリーバップスのベスト盤を2枚も置いてる店、なかなかないと思う。マニアックとも違う「あ、そういえばいた!」という懐かしさを絶妙に突いてくる。
ちなみに、DVDコーナーもお宝の宝庫。映画はもちろんだが、異常にお笑い系のDVDが充実していて、中には背表紙が色あせているものも……。
今の時代、CDやDVDを欲しがる人は40代以上でコレクター気質の人が多そうだろうから、この振り切ったセレクトはとてもいいと思う。
・ここは文具女子博か…? 文具のすさまじさ
本やCDはもちろんだが、たぶんコーチャンフォーの狂気が最も現れているのが文具コーナーだと思う。
え、もうお腹いっぱい? あ、あとちょっとだけ付き合ってください……。
高級路線の銀座の伊東屋とも、おしゃれなロフトやハンズとも、画材がいっぱいの世界堂とも違った路線でのジャンクな品ぞろえの豊富さ……というか、伊東屋とロフトと世界堂を足して3で割ったうえに、アスクルとファンシーショップまで混ぜたようなすごみがある。
まず、文具好きが色めき立ちそうなのがペンコーナー。写真に映っているのはほんの一部で、ペンの棚だけで3つか4つある。
文化系女子がやたらと集めてしまいがちなマスキングテープもこの3倍くらいある。
色画用紙も豊富……。何に使うかよくわからないけどうっかり買いそうになる。
とまあ、こんな調子で、セロハンテープだけでワンコーナー、消しゴムだけで棚半分みたいなのが続いて、文具好きとしては見てるだけでウットリしてしまうのだが……。
私が懐かしさで震えたのは……子供向けのファンシー文具コーナーであった。(繰り返すが、写真に載っているのは一部で、商品はこの3倍くらいあると思ってほしい)
ちいかわ!
すみっコぐらし!
落として問題になりがちな
交換日記とプロフィール帳!
キャラ物のポケットティッシュ!
先生がノートに押してくれてた
「よくできました」スタンプ!(意外と高い)
子ども用メイクセット!
小学生男子が持ってそうなアニメのペンケース!
中学生男子が持ってそうなPUMAの文房具!
そして、そして……
セイカのぬりえが山のようにある!
このお姫さまのぬりえ、まだ現役だったんかーーー!!!!!
子供の頃、こういうの欲しかった!というアイテムが山のように置いてあり、懐かしさのあまり、うっかり小学生に戻りそうになってしまった。ああ、ノスタルジー!
他にもオシャレな文具や便利なテレワークグッズなど、老若男女どんな文具好きが来ても楽しめる品ぞろえ。文具の祭典「文具女子博」の会場かってレベルなので、文具マニアはわざわざ足を運ぶ価値はあると思う。店内を全部まわるのに2時間以上かかったと思う。
・ドトールもあるぞい
ちなみに、買い物をすると、コーチャンフォー店内のドトールで使えるドリンクワンサイズアップ券がもらえる!
買った本や文具を片手に、コーヒーを飲む……。文化系インドア派にとってこんなに最高の施設は他にはない。私は気づいたら夜までいた。
このドトールがまたすごかったのだが、その話はまた別の機会に!
ちなみに「コーチャンフォー」は2022年10月につくばにも新店舗がオープンするとのこと。茨城県民の皆様、お楽しみに!