もともとモバイルEmacs環境が欲しいと思っていました。
そこで、ChromebookでEmacsが使えるようにしてみました。
ASUS C100PAというマシンにインストールしたのですが、
このマシンへのインストール事例は少なそうだったので
ここに記録を残しておきます。
なぜChromebookか?
ChromeOSはLinuxベースであり、crotonにより容易にchroot環境を構築できます。
ChromeOS(Linux)が動作しているということは、chrootしたLinuxでも
ハードが認識された状態であるということです。
一般に、ノートPCにLinuxをインストールした場合、
- Wifiが認識されない
- タッチパネルが認識されない
- ディスプレイの明るさを調節できない
というようなトラブルが起こりがちです。
Chromebookの場合、ChromeOSのほうがハードを認識しているため
このようなことは起こりませんでした。
例えばWifiの場合、ChromeOS側の設定がchroot側でも有効になっています。
タッチパネルも特に設定なしで使えています。
Androidは?
AndroidもまたLinuxベースですが、スマートフォンやタブレットをメインターゲットに
しているため、比較的ガードが固いように思われます。
ChromeOSの場合、かなりあっさりと開発者モードに移行できます。
少しネットで下調べした際も、crotonの成功率は高いように見えました。
使用したマシン
ASUS C100PAを使用します。
コンパクトで軽いというメリットにひかれました(900gを切る軽量10インチ)。
3万円台中盤くらいから入手可能なようです。
インストール作業
基本的に、ネットでてきとうにググったものを真似するのでうまくいきます。
Acer C720のインストール事例が多いようですが、十分参考になります。
secure shell/crosh window(オプション)
chrome上でターミナルを動作させると、bashキーバインドがchromeに取られてしまいます。
例えば、Ctrl-nで新しいウィンドウが開いたり、Ctrl-pで印刷が起動したりします。
croutonメインで使う場合は、
- secure shell
- crosh window
をインストールしておくとよいでしょう。
crouton
chrootを使用してDebianやUbuntuをインストールできます。
内蔵ディスク容量が心もとないのであまり大容量のディストリは避けるようにします。
Ubuntu(Trusty) + xfceを使用しました。
この組み合わせが一番無難なようです。
軽さを追求するならLXDEが候補にあがりますが、
xfceのほうが環境設定は楽だと思います。
インストールについては、他のマシンのインストール例の通りで大丈夫でした。
物にもよりますが、インストールにはまあまあ時間(数十分から数時間?)がかかります。
インストールが終了後すぐに、xfceが使えるようになっています。
日本語
とりあえず日本語が入力できないのは辛いので、
日本語入力環境を構築します。
試行錯誤した結果、この組み合わせに落ち着きました。
- fcitx
- mozc
Emacs
apt-getでもインストールできますが、
今回は自分でビルドして、 24.5.1をインストールしました。
JDK
このマシンはARMアーキテクチャ(Rockchip RK3288C)なので、
Linux ARM v6/v7 Hard Float ABI
を選択しました。
Emacs+CIDERでclojureプログラミングをしていますが、
まあ実用に耐える速度だと思います。
あまりちゃんと動かしていないですが
IntelliJは少し重いように感じています。
ASUS C100PAの注意点
ASUS C100PAの導入を検討する際、以下の点に留意ください。
ARMプロセッサである(X86,X64でない)
このためX86用にビルドされたバイナリは使用できません。
例えば、DropboxのUbuntu用バイナリは使えませんでした(私のやり方が悪いだけかも)。
使いたいソフトウェアがmakeできるか事前に確認しましょう。
aptとJavaが使えるのでだいたいは大丈夫です。
キー操作中に親指がトラックパッドに触れてマウスカーソルが飛ぶ
キーボードのすぐ下にトラックパッドがあります。
誤動作(親指が触れる)でカーソルがとんだり、ポップアップメニューが表示されたりします。
手元にあるMacbook Proをみると、トラックパッド部分が少し窪んでいました。
これによって誤動作が予防されているようです。
とりあえずキー入力中はトラックパッドを無効にする設定でしのいでいます(xfceの設定)。
が、まあまあ気になります。
どうしても気になるようなら、タップではなくパッドを押し込む設定にしようと思います。
メモリ4GB、内蔵ディスクが16GBとやや心もとない
1ヶ月間ほど、必要なソフトをインストールしていきましたが、
ディスク使用率は40%程度です。
SDカードスロットの他にもUSBポート2つありますので、
そちらにcroutonをインストールしている人もいるようです。
その場合は、crotonの暗号化を有効にしておいたほうがいいと思います。
キーボードのピッチが狭い
最初は違和感ありましたが、すぐになれました。
キータッチは固め深めでいい感じです。
個人差があるので、実物を確認することをおすすめします。