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Microsoft、Windows 10サポート終了後のセキュリティ更新を有償提供へ。組織向けに最長3年間
2023年12月6日 08:37
Microsoftは12月5日(米国時間、日本時間12月6日)に報道発表を行ない、Windows 10のEoS(End of Support、サポート終了)に関する発表を行なった。EoSの予定そのものは2025年10月14日で変わらないものの、以降もWindows 10の利用を希望する組織(企業や教育機関など)向けには、有償でESU(Extended Security Update、拡張セキュリティ更新プログラム)の提供すると明らかにした。
ESUはWindows 7のEoSのときにも実施したプログラムで、有償でESUを購入した組織に対して、Windows OSのセキュリティ更新プログラムを提供する。期間は最長3年間で、購入した組織は対象となるWindows 10デバイスで月例のセキュリティ更新プログラムを受け取れる。
段階的に進むWindows 10の引退への道。EoSは2025年10月14日
MicrosoftはWindows 10の後継製品となるWindows 11の提供を2021年10月から開始している。Windows 10からWindows 11へのアップグレードは、Windows 10を実行しているPCがWindows 11の動作要件(プロセッサやTPMの有無など)を満たしていれば無償で行なえる。
新しいバージョンとしてWindows 11が登場したことにより、Windows 10の引退が段階的に進められることはすでに明らかにされており、機能更新プログラム(Feature Updates)と呼ばれる大規模な機能アップデートを含む年次アップデートは、2022年10月にリリースされた22H2が最後となる。その後は2025年10月14日に予定されているEoSまで、セキュリティ更新プログラム(Security Update)のみが提供される。
ただしそれも例外はあり、先日MicrosoftはWindows 10に「Copilot in Windows(in preview)」(プレビュー版Copilot in Windows)を提供すると発表している。しかし、その段階でもEoSの予定は変わらないとMicrosoftは強調していた。
組織には有償で最長3年間ESUを提供。ただし技術サポートはなく、個人ユーザーは対象外
今回Microsoftが発表したのは、Windows 10のESUで、EoS後に最長3年間有償で提供するプログラムだ。ESUはWindows 7のEoS時にも提供されていたが、Windows 10のEoS時にも同様のプログラムが提供されることが今回明らかになった。
ESUは、契約した組織(企業や教育機関)に対して、年間のサブスクリプション契約ベースで最長3年間にわたって提供される拡張プログラムで、契約した組織が利用するWindows 10デバイスに対して、クリティカルおよび重要に分類される月例のセキュリティ更新プログラムが提供される。それにより、たとえばEoS後に大規模なセキュリティホールがWindows OSに見つかった場合、対象のWindows 10にもその対策パッチが提供されることになる。
ただし、すでに機能アップデートに関しては提供を終了しているので、新機能、顧客が見つけたセキュリティがらみではないOSバグ修正、デザイン変更要求の反映などはESUには含まれないし、技術サポートに関しても提供されない。あくまでセキュリティ更新プログラムだけが提供されるというものになる。
対象となるOSのSKUや料金など、Windows 10 ESUの詳細に関しては今後発表するとMicrosoftは説明しているが、同じくESUが提供されたWindows 7のときは、「Windows 7 Professional」と「Windows 7 Enterprise」がターゲットになっており、Windows 10でも「Pro」、「Business」、「Enterprise」など企業向けのSKUのみが対象になる可能性が高い。なお、このESUは組織が対象になるため、「Home」や「Pro」などの一般消費者が購入したPCは最初から対象外となる。その意味で、今回の発表は個人ユーザーには影響はない。
なお、MicrosoftがクラウドベースのVDIとして提供している「Windows 365」のうち、Windows 10ベースになっている仮想マシンおよびAzure Virtual Desktopの「Windows 10 instance」に関してはWindows 10 ESUが無償で提供されると説明している。