西川和久の不定期コラム

ファーウェイ「MediaPad M5」(Wi-Fiモデル)

~2,560×1,600ドットのパネルを搭載した8.4型Androidタブレット

MediaPad M5(スタンドは別)

【お詫びと訂正】初出時に、microSDカードを利用不可能としておりましたが、本製品はmicroSDカードを利用可能です。また、Media Pad M5 Proに関してLTE版があるという書き方になっていましたが、Wi-Fi版のみとなります。お詫びして訂正させていただきます。

 ファーウェイは5月10日、10.8型と8.4型のAndroidタブレットを発表し、18日より販売を開始した。

 それぞれWi-Fi/LTEモデルが用意されているが、8.4型のWi-Fiモデルが編集部から送られてきたので、試用レポートをお届けしたい。

Kirin 960/4GB/32GB/8.4型WQXGAのAndroidタブレット

 同社のMediaPadは、クラスにより数種類あり、Mシリーズはその中でも上位クラスだ。前モデルに相当する「MediaPad M3」(M4は存在しない)は2016年後半の発売で、久々の新機種となった。

 5月10日に発表があったのは、冒頭で書いたとおり、8.4型の「MediaPad M5」と10.8型の「Media Pad M5 Pro」。前者はWi-Fi版とLTE版があり、後者はWi-Fi版のみ。手元に届いたのは前者のWi-Fi版だ。2年近くでどう変わったのか興味のあるところ。おもな仕様は以下の通り。

ファーウェイ「MediaPad M5」(Wi-Fiモデル)の仕様
SoCHUAWEI Kirin 960 オクタコア(Cortex-A73 2.4GHz×4、Cortex-A53 1.8GHz×4)
メモリ4GB
ストレージ32GB
OSAndroid 8.0 / EMUI 8.0
ディスプレイ約8.4型WQXGA/2,560x1,600ドットIPS、タッチ対応
ネットワークIEEE 802.11ac対応、Bluetooth 4.2
その他インターフェイスUSB 2.0 Type-C、microSDカードスロット、前面800万画素/背面1,200万画素カメラ、ステレオスピーカー(Harman Kardonチューニング)、内蔵マイク
測位方式GPS、AGPS(LTEモデルのみ)、GLONASS、BDS
センサー指紋認証、加速度、照度、電子コンパス、ホール、ジャイロ
WAN(LTEモデルのみ)FDD-LTE: Band 1/3/4/5/7/8/12/17/18/19/20/26、TDD-LTE: Band 34/38/39/40/41、W-CDMA: Band 1/2/5/6/8/19、GSM: 850/900/1,800/1,900MHz
バッテリ5,100mAh(急速充電対応)
サイズ/重量約124.8×212.6×7.3mm(幅×奥行き×高さ)/約320g
税別価格37,800円(Wi-Fiモデル)、45,800円(LTEモデル)

 SoCはKirin 960。Cortex-A73 2.4GHz×4とCortex-A53 1.8GHz×4のオクタコアだ。前モデルに相当するMediaPad M3は、Kirin 950(A72 2.3GHz×4、A53 1.8GHz×4)だったので、強化された部分となる。メモリは4GBで、ストレージは32GB搭載と変わらず。OSはAndroid 8.0をベースにした、EMUI 8.0を採用している。

 ディスプレイはタッチ対応の約8.4型2,560x1,600ドットIPSパネル。ネットワークは、IEEE 802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.2。LTEモデルはnano SIMスロット搭載で、対応バンドは表のとおりとなる。

 そのほかのインターフェイスは、USB 2.0 Type-C (DP-Alt Mode非対応)、前面800万画素/背面1,200万画素カメラ、ステレオスピーカー(Harman Kardonチューニング)、内蔵マイク。

 サウンドはハイレゾ(内蔵の音楽アプリで再生)にも対応する。3.5mmヘッドフォンジャックは非搭載で、USB Type-C to 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタが付属。3.5mmヘッドフォンジャック非対応なのは、個人的には結構痛い。

 測位方式は、GPS、AGPS(LTEモデルのみ)、GLONASS、BDS。センサーは指紋認証、加速度、照度、電子コンパス、ホール、ジャイロを搭載している。

 急速充電(9V/2A)対応の5,100mAhバッテリを内蔵し、サイズは約124.8×212.6×7.3mm(幅×奥行き×高さ)、重量約320g。カラーバリエーションはスペースグレーのみ。税別価格は、Wi-Fiモデルで37,800円、LTEモデルで45,800円だ。

 前モデルは31,980円/37,800円で、SoCはパワーアップしたものの、パネル、メモリ、ストレージは変わらず、背面カメラ1,200万画素へ、3.5mmヘッドフォンジャックは非搭載となった

 また、Wi-Fiモデルの価格は、新しいiPad 32GB/Wi-Fiモデルと同じで、パネルサイズが違うため、用途も少し異なりそうだが、価格を合わせてきた印象だ。

前面。パネル中央上に800万画素前面カメラ、中央下に指紋センサー。ナビボタンはデフォルトではソフトウェア式
背面。色はメタリックな濃いシルバー。左上に1,200万画素背面カメラ。
左側面/下側面。下側面にUSB Type-Cとスピーカー用のスリット
右側面/上側面。右側面に音量±ボタンと電源ボタン。上側面にスピーカー用のスリット
microSDカードスロット
指紋センサー。設定/システム/システムナビゲーションで、Home/戻るなどの機能を持たすこともできる
付属品。イジェクトピン、USBケーブル、USB式ACアダプタ、USB Type-C to 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ。USB式ACアダプタは貸出機で海外仕様のプラグになっている。イジェクトピンは付属するものの実質意味はない
重量は実測で322g

 筐体は、背面がメタリックな濃い目のシルバー、前面がブラック。MediaPad M3ではホワイトだった(MediaPad M5 Proはホワイト)。

 2.5D曲面ガラスを採用しているとはいえ、外観は一般的なタブレットだ。縦位置時、片手で両サイドを持つのはかなりギリギリ。片側を持ち続けるにしても、実測で322gは結構辛い。

 前面は、パネル中央上に800万画素前面カメラ、中央下に指紋センサー。ナビボタンはデフォルトではソフトウェア式だ。背面は左上に1,200万画素背面カメラ。下側面にUSB Type-Cとスピーカー用のスリット。右側面に音量±ボタンと電源ボタン。上側面にスピーカー用のスリットを配置。カメラに関しては、後述しているので参考にしてほしい。

 付属品は、イジェクトピン、USBケーブル、USB ACアダプタ、USB Type-C to 3.5mmヘッドフォンジャックアダプタ。写真のACアダプタは、評価版のためプラグの形状が海外仕様となっている。

 約8.4型WQXGA/2,560x1,600ドットのIPSパネルは、発色、コントラスト、明るさ、視野角、すべて良好。後述する設定/画面/カラーモードで、色域や色温度が変更できる。タッチの反応もスムーズだ。

 コンテンツに応じて表示を最適化する「ClariVu」は、比較するものがないため、その効果ははっきりとは分からなかった。指紋センサーは、高さが狭いので登録はややし辛いものの、いったん登録してしまえば瞬時に認識する。

 振動やノイズはもちろん皆無。発熱も、試用した範囲ではとくに発生しなかった。サウンドは、横位置時スピーカーが左右に配置され、ステレオ感はもちろんのこと、最大時はうるさいほどの音量となる。加えて鳴りっぷりや抜けも良く、Harman Kardonチューニングの効力がうかがえる。

音楽アプリ
Huawei Histenサウンド効果

 イヤフォンでの鳴り方もスピーカーと同系統で、スピーカーからイヤフォンに切り替えても違和感はない。また、Huawei Histenサウンド効果によって、好みの音色や左右の距離感=3Dオーディオも調整可能だ(イコライザとは排他)。

 いずれにしても、サウンド関連に関しては、これまでレビューしてきた中ではかなり良い方だ。音楽はもちろん、パネルも綺麗なので、動画も十分楽しめる。

ハードウェア/ソフトウェア/パワーとバランスの良い1台

 セットアップは、一般的な手順にHUAWEI ID関連を追加した程度(同社最近のパターン)なので省略した。指紋認証に関しては、PIN、パスワード、パターンのいずれか設定後、登録可能だ。登録自体は、指紋中央と周囲(ギャップ)と2段階で行なう。

 Androidのバージョンは8.0.0、独自UIであるEMUIのバージョンは8.0.0。ストレージの空きは(若干画面キャプチャが含まれているが)21.06GB

新しい指紋/指紋を登録(1/4)
新しい指紋/指紋の中心を登録(2/4)
新しい指紋/すべてのカ所の指紋登録(3/4)
指紋ID1と2を登録済(1/4)

 本機固有で少し興味深いのは、設定/システム/システムナビゲーションで3タイプ選べること。「仮想ナビゲーションバー」は通常の画面にナビゲーションがあるタイプ=ソフトウェア式だが、「画面外ナビゲーションボタン」や「ナビゲーションメニュー」にすると、画面のナビゲーションが消え、その分少し広く使えるようになる。

 とくに前者は、指紋センサーをタップで[戻る]、長押しで[Home]、(左右どちらでも)横からスワイプで[タスク一覧]など快適に操作できるのでおすすめだ。

 設定/画面/カラーモードでは、画面の色域と色温度が設定でき、好みのバランスで表示可能だ。もちろんブルーライトカット機能(設定/画面/視力保護)も搭載している。

ホーム画面(1/3)
ホーム画面(2/3)
ホーム画面(3/3)
Googleフォルダ
ツールフォルダ
Microsoftフォルダ
おすすめフォルダ
クイックアクセス/通知エ背面
設定/タブレット情報
設定/メモリとストレージ
設定/システム/システムナビゲーション
設定/画面/カラーモード
画面分割は、画面が小さいスマートフォンなどよりは実用的かもしれない。ただしInstagram(またしても!)など、アプリによっては非対応なものもある

 初期起動時のホーム画面は3画面。1画面目はGoogle。2画面目はGoogleフォルダに、「Google」、「Gmail」、「マップ」、「YouTube」、「ドライブ」、「ハングアウト」、「フォト」。「Playストア」、「端末管理」、「設定」、Dockに「Playムービー&TV」、「Play Music」、「メール」、「Chrome」。

 3画面目に「テーマ」、「カレンダー」、「メモ帳」、「ファイル」、「Game Suite」、「ヒント」、「Facebook」、「AbemaTV」、「Yahoo!」、「eBook.Japan」、「ウィルスバスター」。ツールフォルダに「天気」、「電卓」、「音声レコーダー」、「時計」、「連絡先」、「音楽」、「ビデオ」、「ミラー」、「HiCare」、「コンパス」、「バックアップ」、「Phone Clone」、「ダウンロード」、「Quik」。Microsoftフォルダに「Word」、「Excel」、「PowerPoint」、「Outlook」。おすすめフォルダに「Booking.com」、「Instagram」、「Messenger」、「キッズモード」。後述する「Game Suite」以外は、ある意味定番ばかりだ。

壁紙/ウィジェット/エフェクト/設定
ウィジェット1/2
ウィジェット2/2
エフェクト

 ウィジェットは、「オプティマイザ」、「カレンダー」、「ギャラリー」、「時計」、「ドライブ」×2、「Google」、「メール」、「メモ帳」、「マップ」、「音楽」、「画面ロック」、「設定のショートカット」、「天気ウィジェット」、「電源管理」、「連絡先」、「Booking.comホテル」、「Chrome」、「Gmail」、「Gmailのラベル」、「Google Play Music」、「Musicプレイリスト」、「Outlook」。

 またHome画面をページングする時のエフェクトはデフォルトに加え、「パースペクティブ」、「スクイーズ」、「ボックス」、「フリップオーバー」、「回転」、「ページ」、「風車」が用意されている。

 ゲーム専用モードは、「Game Suite」に登録したアプリのみで機能する。作動モードは「ゲームモード」、「スマートモード」、「省電力モード」の3つ。順にパワー/消費電力が小さくなる。

Game Suiteの機能説明(1/4)
Game Suiteの機能説明(2/4)
Game Suiteの機能説明(3/4)
Game Suiteの機能説明(4/4)
自動認識した追加可能なアプリ一覧。Antutu 3DBenchなどは無い
仮でExcelを登録。左下がゲームモードになっている。タップで各モードがループする

 ただ「Game Suite」への追加は、自動的に該当するアプリが一覧に出るだけで(標準ではなぜか、Officeの4アプリ、ウィルスバスター。追加でインストールしたTwitterのみ表示された)、Antutu 3DBenchなどは選べず、実際にどれだけ性能アップするのかは測れなかったため、試用は残念ながらここまでとした。

 カメラの撮影モードは、写真、プロ写真、動画、プロビデオ、HDR、夜間撮影、パノラマ、ライトペインティング、コマ抜き、全フォーカス、フィルタ、ウォーターマーク、文書スキャン、その他。

 写真の画面上にあるアイコンは、ビューティー、アニメーション写真、前面/背面カメラの切替。背景がボケる、ポートレートモードに相当する機能はない。プロ写真は、ISO: 100~1,600、シャッタースピード: 1/4,000~8秒、露出補正: ±4、AF: AF-S/AF-C/MF、WB: 各種WBに加え2,800~7,000K固定の設定ができる。

 設定は、解像度(写真: 13M/10M/8M/6M、動画: UHD4K/FHD 1080p,60fps/FHD 1080p/HD 720p/VGA/QVGA/MMS)、RAW形式(プロ写真のみ)、GPSタグ、カメラグリッド、タイマー、音声シャッター、タップして撮影、スマイルキャプチャ、オブジェクトトラッキング、シャッターボタンを長押し、音量ボタンの機能。

カメラ/モード
カメラ/設定
カメラ/写真
カメラ/プロ写真
作例 ※リンク先原寸
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/309秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/2258秒, -0.5補正)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/186秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/222秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO125, f/2.2, 1/50秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/1143秒, -0.7補正)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/867秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO50, f/2.2, 1/119秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO400, f/2.2, 1/20秒)
背面カメラ、13Mモードで撮影(ISO1000, f/2.2, 1/17秒)

 上記は背面カメラ13Mモードで撮影した作例で、Exifから焦点距離は2mmと結構広角。ただし、スマートフォンと比較して筐体が大きく持ちにくいうえ、ご覧の通りに解像感はそれなりだが、画質はこのクラスとしては普通。ミドル~ハイエンドのスマートフォンがあれば、積極的に使うほどでもないだろう。

 ベンチマークテストは簡易式だが、Google Octane 2.0とAnTuTuベンチマークとの結果を掲載する。結果は、Google Octane 2.0が11,508、AnTuTuベンチマークが18,019(30位)。

 Google Octane 2.0は1万点を超え、実用上差し支えない性能。AnTuTuベンチマークは20万を切っており、高速グループには属さないものの、30位とそれなりに健闘している。このクラスのタブレットとしては十分ではないだろうか。

Google Octane 2.0。11,508
AnTuTuベンチマーク/スコア。18,019
AnTuTuベンチマーク/ランキング。30位
9時間ほど経過して残3%

 バッテリ駆動時間は、音量・輝度50%に設定し、Wi-Fi接続でYouTubeの動画を全画面で繰り返し再生したところ、約9時間で電源が落ちた。音量・輝度50%は、スピーカー出力は結構聴こえる音量、明るさも十分明るいため、通常運用であればこの範囲になると思われる。

 下の動画にあるPC Modeは、普通のUSB式キーボード/マウスを接続しても、認識して機能はするが、PC Modeには切り替わらなかった。やはり専用のキーボードカバーが必要のようだ。

MediaPad M5にキーボードカバーを装着しPC Modeが起動する様子

 以上のようにファーウェイ「MediaPad M5」(Wi-Fiモデル)は、約8.4型2,560×1,600ドットのパネル、メモリ4GB、ストレージ32GBを搭載したAndroidタブレットだ。

 性能、ディスプレイ、サウンドと、このクラスとしては高品質な仕上がりで、いろいろな用途で十分楽しめる内容になっている。3.5mmヘッドフォンジャックがなく、USB Type-Cアダプタ経由となるが、これさえ気にならなければ、8型タブレットとしておすすめの逸品といえよう。