明 細 書
香りの多次元的機能評価方法および神経活動促進香料
技術分野
[0001] 本発明は香りの多次元的機能評価方法、その方法により見出された神経活動促進 香料およびその香料を含有する香料組成物に関する。また、本発明は交感神経活 動促進香料および該香料を含む組成物を有する香料組成物に関する。詳しくは、本 発明は 2, 2, 6—トリメチルシクロへキサンカルボン酸エステル類および 2, 2, 6—トリア ルキルシクロへキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも 1種の化合物か らなる交感神経活動促進香料に関する。また、 2, 2, 6—トリアルキルシクロへキサン カルボン酸エステル類および 2, 2, 6—トリアルキルシクロへキセンカルボン酸エステ ル類から選ばれる少なくとも 1種の化合物からなるストレス低減性交感神経活動促進 香料に関する。さらに、本発明はそれら香料を含有する交感神経活動促進香料組成 物あるいはそれら香料を含有するストレス低減性交感神経活動促進香料組成物に関 する。
[0002] 本発明は、また、気分状態改善香料およびその香料を含有する香料組成物に関す る。より詳しくは大環状ムスク化合物およびカンフォレニル型サンダル類カゝら選ばれる 少なくとも 1種の化合物からなる気分状態改善香料およびその香料を含有する気分 状態改善香料組成物に関する。
背景技術
[0003] 自律神経系は交感神経系と副交感神経系の 2系統に大別され、交感神経系の作用 と副交感神経系の作用はお互 ヽに拮抗的に作用することが知られて 、る。交感神経 の作用としては、人の活動状態を促進する作用が知られており、たとえばエネルギー を発散させたり、汗を出したり、緊張を高めたりする働きがある。交感神経の作用を高 めるためには、交感神経を高める薬を服用すればよいのである力 交感神経の作用 を促進する香料が身近に存在すれば、手軽に利用することができるうえ、香料の匂い を楽しむことができるので、好都合である。
すでに、ジャスミンアブソリュート、 ローズオイノレ、クローブオイノレ、イランイランオイノレ
などが人の活動状態を高める作用を有することが知られており、それらは市販されて V、るので容易に入手可能である。
[0004] 最近、グレープフルーツ果実からの抽出物を身体の部分に塗布することにより局部 的皮下脂肪過多に効果がある事が報告されており(特許文献 1を参照)、また、ダレ ープフルーツオイルが交感神経の働きを活発にする作用を有するとの報告がなされ (特許文献 2参照)注目を浴びて 、るところである。ここで開示されて 、るグレープフ ルーツオイルを製造するためにはグレープフルーツ果実を製造原料とすることになる のであるから、天然物原料の品質や量を確保するときの不安定さが問題点として残さ れている。
なお、ァニスアルデヒドにも生理的、心理的高揚効果があると報告されているが(特許 文献 3参照)、ここでも上記と同様な問題点を有する。
[0005] 一方、近年の社会情勢の複雑ィ匕に応じて、多くの人は精神的ストレスあるいは神経 的ストレスを余儀なく受けることとなる。このストレスを受けることにより、ヒトはたとえば 免疫力の低下、ノイローゼなどの精神的障害、体調の不良などの身体への影響、不 安や動揺、倦怠感ややる気の消失などの心理的影響を受けることがある。上記ストレ スを解消するために 、ろ 、ろな方法が報告されて 、る力 とくに香りの力を利用する 方法は、注射や内服に頼る化学療法と違いヒトに優しい方法であり、それだけ有利で ある。その一つの方法として、いわゆるァロマテラピーが知られている。この療法はた とえば植物内に存在する天然香料など、すでに知られている香料を吸入することによ り、香料が神経系などに微妙に作用し、人への安らぎ感ゃ満足感などを与え、ストレ スを解消する療法である。この方法は、人にやさしい方法であり、それだけ優れた方 法であるということができる。
[0006] そして、上記ァロマテラピーに使用されている香料としては、精油が多く用いられてい る。
一方、現在までに数多くの香料が報告され、いろいろと研究されているところであり、 たとえばストレス緩和用の香料組成物が報告されている (特許文献 4を参照)。ところ 1S この報告ではストレス緩和といっても、睡眠不足によるストレスを緩和することでし 力なぐ人への安らぎ感ゃ満足感などを与えることによりストレスを緩和することではな
い。
また、ストレス性物質の分泌を抑制する香料組成物が報告されている (特許文献 5を 参照)。この報告ではメチルジヒドロジヤスモネイトなどを含有する香料組成物が、角 層中のプロテアーゼ活性を促進させ、角層の剥離'代謝を正常化することを開示して いるにすぎない。
さらに、副作用が少ないあるいは全くない副交感神経作用剤としてミカン科精油、ュ 一カリ油、タイム油などが報告されている (特許文献 6を参照)。そこでは経皮吸収剤 に精油を含ませて皮膚に直接接触させることにより、心拍数の変化力 算出した LF ZHF値が低下することからこれらの精油による副交感神経の活性ィ匕を示して!/、る。
[0007] すなわち、従来の香りの生理的、心理的評価方法は、ほとんどの場合、香料の匂い を被験者が嗅ぎ、尿中の化合物の増加量を知るとか、香料を被験者の皮膚に接触さ せ、該皮膚の角層内の特定の化合物の増加量を知るとか、香料を被験者の腕表面 に直接接触させ、その心拍数の変動を知る方法などのごとぐ香料の匂いをひとつの 指標と対応させて、その指標の数値の変動を解析し、もって香りを評価し、香料の機 能の評価を行って 、るにすぎな 、。
また、上記香料は、そのほとんどがいわゆる精油といわれるものであり、原料としては 天然物に由来し、気候などの予測不可能な事態に原料素材の品質や収穫量などが 影響され、原料の確保に問題点があると指摘されている。
[0008] 従来から優れた効能を有する香料を開発する研究が行われて!/ヽる。そして、香料を ヒトが吸引したときに、その香料のヒトへの影響は極めて複雑であるにもかかわらず、 従来からの研究方法のほとんどは、ある特定の香りに対して特定の指標一つに着目 し、いろいろと検討しているにすぎない。また、その香りの評価も、香料の香りが有す る機能を、何らかの単一指標で評価する場合が殆どであり、これは極めて一面的な 評価方法であり、香料を適切に評価して 、るとは 、えな 、。
[0009] 特許文献 1 :特開平 9 291038号公報
特許文献 2 :特開 2002— 193824号公報
特許文献 3 :特開 2001— 19992号公報
特許文献 4:特開 2001-49286号公報
特許文献 5 :特開 2001— 199832号公報
特許文献 6:特開平 11 209294号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] そこで、本発明者らは、精神活動を促進する機能を有する香料、例えば気分状態改 善に有効な香料を見出すべく研究する最中、香りと、ヒトと、ストレスとは極めて複雑な 関係であるという点に着目し、香料の香りが有する機能を、何らかの単一指標で評価 することは極めて一面的な評価方法であり、適切な評価方法ではないとの結論に至 つ 7こ。
本発明の課題は、香料の香りの機能評価をより適性な方法で評価する方法を開発す ることである。また。上記方法を多くの香料に適用し、精神活動を促進する機能を有 する香料、例えば気分状態改善効果のある香料を見出し、提供することでもある。
[0011] また、本発明の課題は原料調達に不安定さがなぐ副作用が少ないか全くない交感 神経活動促進香料を提供することでもある。また、その香料を含む香料組成物を提 供することが本発明の課題である。さらに、原料調達に不安定さがなぐストレス低減 性を示し、しカゝも副作用のな ヽ交感神経活動促進香料およびその香料を含む香料 組成物を提供することも本発明の課題である。
[0012] なお、上記気分状態改善香料とは、香料力も発せられる匂いをヒトが嗅いだときに、ヒ トの気分状態を改善することができる香料を意味し、気分状態を改善するとは、ヒトの 気分状態が良い気分状態になることを意味する。ここで、気分状態とはヒトの心理的、 生理的な状態を意味し、良い気分状態とはヒトが望む気分状態を意味する。また、本 発明での気分状態改善香料としては、副交感神経系活動促進香料、ストレス低減香 料、鎮静香料を例示することができる。さらには、ヒトの心理的、生理的な状態は複雑 であり、本発明での気分状態改善香料としては、ストレス低減性副交感神経系活動 促進香料、ストレス低減性鎮静香料、副交感神経系活動促進性鎮静香料、さらには ストレス低減性のある副交感神経系活動促進性鎮静香料が好ましい。
課題を解決するための手段
[0013] 本発明者らは、上記課題を解決すべく研究する一環として、ヒトとストレスと香料との
関係をいろいろと調べている最中、香料を吸引したときの香料のヒトへの影響は複雑 であること、およびそれにもかかわらず、従来力もの研究方法のほとんどは、ある香り に対して特定の指標一つに着目し、検討していることに気づいた。そのような方法に 固執するかぎり、新たな知見は得られないとの結論に達し、つぎのような新規な評価 方法を開発した。
[0014] すなわち、中枢神経系指標に属する指標、自律神経系指標に属する指標、心理系 指標に属する指標および行動系指標に属する指標から選ばれる少なくとも 2種ある いは 3種以上の指標を組み合わせて、香りを多次元的に機能評価する方法を開発し た。これらの指標を複数個組み合わせると共に経過時間の要素を加えることで、香り のヒトへの影響を総合的に把握し、香料の機能を評価することができるので、あらたな 知見が得られると予測した。
そして、上記香りの多次元的機能評価方法を数多くの香料に適用した結果、遂に下 記のような発明を完成した。
[0015] また、本発明者らは香りの複雑さ、ストレス反応の複雑さをふまえて、中枢神経系の 生理反応と自律神経系の生理反応をポリグラフィックに記録し、さらにストレス評価質 問紙による心理指標、課題成績という行動指標も同時に計測することにより、香りとス トレス反応の関係を多次元的に評価する方法に到達した。
さらに、自律神経系については、香りの効果というものを考えた場合、交感神経系'副 交感神経系の反応をそれぞれ独立で評価できるように配慮し、他方の影響を受けに くい指標を選択した。
また、上記 4つの指標の同時計測に加え、 CNVによる香りの意識水準、すなわち香 りの覚醒 ·鎮静効果というものも含めて多次元的な香りの機能の評価法を完成した。
[0016] さらに、その香りの多次元的機能評価法を他の香料に適用し、香料の機能を評価 し、気分状態改善効果を有する香料を見出した。
[0017] すなわち、本発明は次のとおりである。
請求項 1の発明は、中枢神経系指標に属する指標、自律神経系指標に属する指標 、心理系指標に属する指標および行動系指標に属する指標から選ばれる少なくとも 2種あるいは 3種以上の指標を組み合わせることを特徴とする香りの多次元的機能評
価方法である。
請求項 2の発明は、中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、 自律神経系指 標に属する指標の中で交感神経系指標に属する指標が活性ィ匕を示すことを特徴と する交感神経活動促進香料である。
請求項 3の発明は、中枢神経系指標に属する指標が正の値を取り、 自律神経系指 標に属する指標の中で副交感神経系指標に属する指標が活性ィ匕を示し、心理系指 標に属する指標が不快な心理状態の抑制化を示すことを特徴とする副交感神経活 動促進香料である。
請求項 4の発明は、請求項 2の交感神経活動促進香料を含有することを特徴とする 香料組成物である。
請求項 5の発明は、請求項 3の副交感神経活動促進香料を含有することを特徴とす る香料組成物である。
[0018] 請求項 6の発明は、成分 (A): 2, 2, 6—トリアルキルシクロへキサンカルボン酸エス テル類および 2, 2, 6 トリアルキルシクロへキセンカルボン酸エステル類から選ばれ る少なくとも 1種の化合物力もなる請求項 2記載の交感神経活動促進香料である。 請求項 7の発明は、成分 (A)の化合物が 2, 2, 6—トリメチルシクロへキサンカルボン 酸ェチル、 2, 2, 6 トリメチルー 4, 6—シクロへキサジェンカルボン酸ェチル、 2, 2, 6 —トリメチルー 4—シクロへキセンカルボン酸メチル、 α—シクロゲラン酸メチル、 j8—シク 口ゲラン酸メチル、 γ—シクロゲラン酸メチル、 α—シクロゲラン酸ェチル、 β—シクロゲ ラン酸ェチル、 Ίーシクロゲラン酸ェチル、および 2, 2 ジメチルー 6—ェチルー 5—シク 口へキセンカルボン酸ェチルである請求項 6記載の交感神経活動促進香料である。
[0019] 請求項 8の発明は、 成分 (Β) :大環状ムスク化合物および成分 (C) :カンフォレニル 型サンダル類力 選ばれる 1種あるいは 2種以上の化合物力 なり、気分状態改善の ために用いる請求項 3記載の副交感神経活動促進香料であるが、この発明は前記 化合物からなることを特徴とする気分状態改善香料であるということもできる。
請求項 9の発明は、 成分 (Β)に属する化合物が 3—メチルシクロペンタデカノン 1、 3 ーメチルー 4—シクロペンタデセン 1 オン、 9ーシクロペンタデカン 1 オン、シクロべ ンタデカノン、シクロへキサデセノン、シクロへキサデカノン、シクロペンタデカノリド、
シクロペンタデセン 1 lor 12 オリド、シクロペンタデセン 7 オリド、シクロへキサデ カノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカジォエート、 12—ォキサへキサデ力ノリ ド、 11 ォキサへキサデカノリド、 10 ォキサへキサデカノリドである請求項 8記載の 副交感神経活動促進香料である力 この発明は前記化合物からなる請求項 8記載の 気分状態改善香料であると 、うこともできる。
請求項 10の発明は、 成分 (C)に属する化合物が 3—メチルー 5— (2, 2, 3 トリメチル —3—シクロペンテン 1 ィル)—ペンタン 2 オール、 2—ェチルー 4— (2, 2, 3—トリメ チルー 3—シクロペンテンー1 ィル)—2—ブテンー1 オール、(E) - (R)—2-ェチルー 4 -(2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—2—ブテン 1 オール、 2—メチ ルー 4一(2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—2—ブテン 1 オール、 2— メチルー 4一(2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) ブタン 1 オール、 3 ーメチルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) 4 ペンテン 2—ォ ール、 3, 3 ジメチルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) 4 ペン テン 2 オール、 2—メチルー 4ーメチレン 4— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン —1 ィル)—ブタノール、 [1ーメチルー 2— (1, 2, 2—トリメチルビシクロ [3. 1. 0]へキサ 3—ィルメチル)シクロプロピル]メタノールである請求項 8記載の副交感神経活動促 進香料であるが、この発明は前記化合物力 なる請求項 8記載の気分状態改善香料 であるということもできる。
[0020] 請求項 11の発明は、請求項 6に記載の交感神経活動促進香料を含有することを特 徴とする請求項 4記載の香料組成物である。
請求項 12の発明は、請求項 8に記載の副交感神経活動促進香料を含有することを 特徴とする請求項 5記載の香料組成物であるが、また、請求項 8に記載の気分状態 改善香料を含有することを特徴とする気分状態改善香料組成物ということもできる。
[0021] 以下、香りを多次元的に機能評価する方法を詳細に説明する。
香りを多次元的に機能評価する方法は、中枢神経系と自律神経系とを組み合わせる ことを特徴とする。すなわち、中枢神経系指標に属する指標、自律神経系指標に属 する指標、心理系指標に属する指標および行動系指標に属する指標から選ばれる 少なくとも 2種あるいは 3種以上の指標を組み合わせることを特徴とする香りを多次元
的に機能評価する方法である。ここで、自律神経系指標に属する指標として、交感神 経系指標に属する指標あるいは副交感神経系指標に属する指標がある。なお、これ らの指標に加えて、内分泌系や免疫系などの生化学的計測による指標を加えてもよ い。好適な生化学的指標としては、コルチゾール量、副腎皮質刺激ホルモン (ACT H)量、カテコールアミン量、免疫グロブリン量などが挙げられる。
[0022] まず、中枢神経系指標に属する指標について説明する。中枢神経系指標に属する 指標の計測例として、脳波の α波、 β波、 0波などの比率の計測、脳波の a波の周 波数ゆらぎの測定、 CNVによる香りの意識水準の計測、脳波の P の測定、脳磁波
300
の計測、脳内血流量の分布の測定などを挙げることができる。
中枢神経系指標に属する代表的な指標として、 CNVによる香りの意識水準 (覚醒効 果、鎮静効果)、および脳波の OC波の周波数ゆらぎを例示できる。
[0023] まず、 CNVによる香りの意識水準(覚醒 ·鎮静効果)について説明する。この CNVに よる意識水準の計測方法は香りの機能評価の一つの手法として公知の方法であり、 香りの覚醒 ·鎮静効果について、香りを嗅いだ後の前頭葉の脳波 (CNV)を測定し、 香り機能を評価する方法である。 CNVとは、 Contingent Negative Variationの 頭文字をとつたもので、随伴性陰性変動と呼ばれており、中枢神経系反応のひとつ である、脳電図のノリエーシヨンのひとつであり、広義には事象関連電位と呼ばれる ものの一種である。
[0024] 次に、脳波の a波の周波数ゆらぎを説明する。脳波は、下は 0.数へルツから上は約 40ヘルツくらいまでの様々な周波数の波が混在しており、その中の周波数が 8から 1 2Hzのものを脳波の α波という。この α波の周波数を持つ波は時間とともに不規則に 変化する。本発明では、ストレス負荷された被験者の脳波の a波を測定し、 a波周波 数ゆらぎのスペクトル力 被験者の感情状態を測定した。
α波周波数ゆらぎが、ストレス負荷により生じる感情状態に対応して、 0から 1の範囲 で、そのゆらぎ係数 (傾斜度:傾き)を変えていくのであり、 α波周波数ゆらぎ係数が 1に近ければその人のその時の感情状態がポジティブであり、 a波周波数ゆらぎ係 数が 0に近ければその人のその時の感情状態がネガティブであると評価できる。 なお、脳波は頭皮上に電極を装着するだけで測定可能である。
[0025] 以下、自律神経系指標に属する指標について説明する。自律神経系指標に属する 指標の計測例として、たとえば瞳孔反応の測定、心電図、血圧や呼吸の測定、表面 血流の測定、指尖脈波の測定などが挙げられる。
自律神経は交感神経と副交感神経に大別されており、内臓器官などの調節を担って いる。その際、神経末端力も放出されるアドレナリン、アセチルコリンなどが作用を及 ぼし、心臓、血管、瞳孔、胃腸活動、汗腺等の働きをほぼ拮抗的に調節している。従 つて、自律神経活動の測定方法としては、アドレナリンやアセチルコリン量などを直接 的に測定する方法や、心拍、血流、血圧、発汗、瞳孔反応等を測定する方法が報告 されている。香料の自律神経系に対する作用を測定するにあたっては、適切な方法 であれば、特に測定方法は限定されない。
[0026] 以下、自律神経系指標に属する指標の中で、交感神経系指標に属する指標につい て説明する。
本発明では交感神経系に属する指標の代表例として皮膚温度を採用したが、それ に限定されないのであり、他の指標を採用してもよい。ヒトの表面皮膚温度は、外気 温が一定の場合、皮膚組織内を循環する血流量に依存して変化し、この皮膚組織 内を循環する血流量は血管平滑筋の収縮 '拡張により調整されている。血管平滑筋 が拡張すると局所血流量が増加し、皮膚温度が上昇すること、この血管平滑筋は主 に交感神経性血管収縮繊維の支配を受けて ヽることが知られて 、る。このことから、 交感神経活動が亢進すると血管平滑筋が縮小し、末梢循環が抑制されるため血流 量の減少と皮膚温の低下が生じることになる。
ヒトの指尖部や鼻部などのヒトの皮膚温度を連続的に測定することにより交感神経活 動を知ることができる。
[0027] 自律神経支配を受けている心臓血管系の反応として、本発明では心電図の波形をも 選び、指標とする。
[0028] 以下、副交感神経系に属する指標について説明する。
本発明では自律神経支配を受けている心臓血管系の反応として、心電図の波形を 選び、副交感神経系に属する指標の代表例としている力 それに限定されないので あり、他の副交感神経系に属する指標を採用してもょ 、。
心電図の波形を観察すると、 R波と呼ばれるピークが観察できる。この R波のピークと 次の R波とのインターバル (R— R間隔)は交感神経系の影響を受けな!/、成分が含ま れることが知られているので、その(R— R間隔)を解析することによって、副交感神経 活動を知ることができる。
[0029] 次に、心理系指標に属する指標について説明する。
ヒトの心理状態や感情状態を、多面的な尺度を用いて測定するために、心理指標を 用いることは広く知られている。本発明では、それら公知の心理系指標に属する指標 を適宜使用すればよいのであり、とくに制限されない。代表的な指標としては、一過 性ストレス主観質問紙を挙げることができる。さらに詳しく説明すると、一過性ストレス 主観質問紙によって得られる、心地よさ、怒り、不安 '動揺、倦怠の 4因子にストレス感 という項目を指標として挙げられる。さらに、香りの強さと香りの快'不快の程度を指標 として加えた。
[0030] 次に行動系指標に属する指標について説明する。
ヒトの心理状態や感情状態への香りの効用を被験者の行動から測定する方法はすで に知られている。それらの方法としては、フリッカーテスト、クレペリンテスト、模擬的 V TR作業、文字消去法などを例示することができる。
本発明では、それらの方法を適宜利用することができるのであって、とくに制限されな い。本発明での具体的な負荷内容は、表示画面上でランダムに移動するターゲット( Target)がフレーム(Frame)内に収まるよう被験者がフレームを動かすことにある。 フレーム内にターゲットが収まらない限り、大きな音が鳴るように設定されて!、る。
[0031] 以下、香りの多次元的機能評価方法を香料に適用して、新たに見出された有効な香 料について説明する。
上記評価方法を香料に適用した結果、中枢神経系指標に属する指標が正の値を取 り、自律神経系指標に属する指標の中で交感神経系指標に属する指標が活性化を 示す交感神経活動促進香料を見出した。また、中枢神経系指標に属する指標が正 の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で副交感神経系指標に属する指標 が活性化を示し、心理系指標に属する指標が不快な心理状態の抑制化を示す副交 感神経活動促進香料を見出した。なお、この副交感神経活動促進香料は、中枢神
経系指標に属する指標が正の値を取り、自律神経系指標に属する指標の中で副交 感神経系指標に属する指標が活性化を示すか、交感神経系指標に属する指標が抑 制化を示すか、副交感神経系指標に属する指標が活性ィヒを示すと共に交感神経系 指標に属する指標が抑制化を示し、心理系指標に属する指標が不快な心理状態の 抑制化を示すことを特徴とする副交感神経活動促進香料、および/または交感神経 活動抑制香料であるということもできる。ここで、前記中枢神経系指標に属する指標 が正の値を取るとは、中枢神経系指標に属する指標が正の感情状態を示す値を取 るカゝ、または活性ィ匕を示す値を取ることを意味する。
さらに、これらの香料に通常使用する香料あるいは慣用の配合剤を加えて香料組成 物として賦香する対象物に添加 ·配合してもよ ヽ。
さらに、下記香料が交感神経活動促進香料あるいはストレス低減性交感神経活動促 進香料として有効であることが判明した。
上記評価方法を香料に適用した結果、下記香料が交感神経活動促進香料あるいは ストレス低減性交感神経活動促進香料として有効であることが判明した。
すなわち、 2, 2, 6—トリアルキルシクロへキサンカルボン酸エステル類および 2, 2, 6 —トリアルキルシクロへキセンカルボン酸エステル類である。
上記化合物において、シクロへキサン環あるいはシクロへキセン環に結合するアルキ ル基がメチル基、ェチル基であり、アルコール成分に由来するアルキル力メチル基、 ェチル基である化合物が代表的な化合物である。それら代表的な化合物を例示する と、 2, 2, 6—トリメチルシクロへキサンカルボン酸ェチル (テサロン:高砂香料工業株 式会社)、 2, 2, 6—トリメチルー 4, 6—シクロへキサジェンカルボン酸ェチル(ェチルサ フラネート:タエスト社)、 2, 2, 6—トリメチルー 4ーシクロへキセンカルボン酸メチル (メ チルサフラネート:タエスト社)、 aーシクロゲラン酸メチル 13ーシクロゲラン酸メチル、 Ύーシクロゲラン酸メチル、 ひーシクロゲラン酸ェチル、 j8—シクロゲラン酸ェチル、 γ ーシクロゲラン酸ェチル、および 2, 2—ジメチルー 6—ェチルー 5—シクロへキセンカルボ ン酸ェチル(ジペスコン:ジボーダン社)である。なお、 2, 2—ジメチルー 6—ェチルー 5— シクロへキセンカルボン酸ェチルの異性体として 2, 2, 5, 6—テトラメチルー 5—シクロ へキセンカルボン酸ェチルを挙げることができる。本発明では、 2, 2—ジメチルー 6—
ェチルー 5—シクロへキセンカルボン酸ェチルと 2, 2, 5, 6—テトラメチルー 5—シクロへ キセンカルボン酸ェチルとの混合物も本発明の上記香料に属する。それら化合物は 公知の製法により調製することができるが、市販品を購入してもよい。
上記、香料はすでに知られているが、それら香料が交感神経活動促進能を有するこ とは全く知られておらず、ましてやそれら香料がストレス低減性をも有することは全く 知られていなかった。
[0033] 上記化合物自体だけでも交感神経活動促進香料として有効であるが、他の配合剤 などを配合してもよい。他の配合剤としては、香料、交感神経活動促進剤、増量剤、 抗菌剤などが挙げられる。配合剤の具体例としては、カブサイシン、スピラントール、 ジンゲロン、ピペリン等の抗肥満 '痩身能を持つ化合物、カフェイン等のキサンチン誘 導体、カテキン等のカテキン類、中国茶、緑茶抽出物、ウイキヨウ、シャタヤク、ショウ キヨウ、トウガラシ、ジンジャー、オランダセンニチ、ラベンダーなどの生薬、タマリンド 、イノシット、デキストラン硫酸、ギムネマシルベスターなどがある。これら配合剤は 1種 あるいは 2種以上併用してもょ 、。
それらの配合量は使用する交感神経活動促進香料や他の配合成分との関係等によ り適宜変更されるのであり、本発明の所期の効果を損なわない限り配合することがで きるが、たとえば、調合香料中における交感神経活動促進香料の好ましい配合量は 統合香料を基準として約 10— 80% (重量)である。また、交感神経活動促進香料を 含む香料組成物にお 、て、交感神経活動促進香料の好まし 、配合量は香料組成物 を基準として約 10— 50重量%である。
[0034] 以下、上記機能評価方法を適用した結果、新たに見出された気分状態改善香料に ついて説明する。
本発明でいう気分状態改善香料として、大環状ムスク化合物、カンフォレニル型サン ダル類をあげることができる。
大環状ムスク化合物は、 15— 16個の炭素原子力もなる環状の化合物であり、さらに 酸素原子が存在していてもよい化合物である。好ましい大環状ムスク化合物として、 3 ーメチルシクロペンタデカノン 1 (ムスコン)、 3—メチルー 4ーシクロペンタデセン 1ーォ ン(デヒドロムスコン)、 9—シクロペンタデカン 1 オン(ジべトン)、シクロペンタデカノ
ン(ェギザルトン:フィルメニッヒ社)、シクロへキサデセノン (アンブレトン:高砂香料ェ 業株式会社)、シクロへキサデカノン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデセン— 11 orl2 オリド、シクロペンタデセン 7 オリド、シクロへキサデカノリド(へキサデカノラ イド: IFF社)、エチレンブラシレート (ムスク T:高砂香料工業株式会社)、エチレンドデ カジォエート (ムスク C— 14:高砂香料工業株式会社)、 12-ォキサへキサデカノリド( ムスク 781 :IFF社)、 11 ォキサへキサデカノリド(ムスク R— 1 :タエスト社)、 10—ォキ サへキサデカノリド (ォキサライド:高砂香料工業株式会社)を例示することができる。 それら化合物は公知の製法により調製することができるが、市販品を購入してもよい 上記、香料はすでに知られているが、上記香料が気分状態改善香料として有効であ るとは全く知られておらず、ましてやそれら香料が副交感神経系活動促進香料、スト レス低減香料として有効であるとは全く知られていな力つた。
カンフォレニル型サンダル類は、 2, 2, 3—トリメチルシクロペンテ-ル基を有する脂環 式アルコールともいえる。好ましい上記脂環式アルコールとして、 3—メチルー 5—(2, 2 , 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) ペンタン 2 オール(サンダロア:ジボ ダン社)、 2-ェチル -4- (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—2—ブテン —1 オール(バタダノール: IFF社)、(E)— (R)— 2-ェチル - 4- (2, 2, 3—トリメチルー 3 -シクロペンテン- 1-ィル)—2-ブテン- 1-オール(レポサンドール:高砂香料工業株 式会社)、 2-メチル -4- (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—2—ブテン —1 オール (サンダルマイソルコア:花王株式会社)、 2-メチル -4- (2, 2, 3—トリメチ ルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—ブタン 1 オール(ブラマノール:シムライズ社)、 3 ーメチルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) 4 ペンテン 2—ォ ール(エバノール:ジボダン社)、 3, 3 ジメチルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロべ ンテン 1 ィル) 4 ペンテン 2 オール(ポリサントール:フィルメニッヒ社)、 2—メチ ルー 4ーメチレン 4— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)ーブタノール( フィルサントール:フィルメニッヒ社)、 [1ーメチルー 2— (1, 2, 2—トリメチルビシクロ [3. 1 . 0]へキサ— 3—ィルメチル)シクロプロピル]メタノール(ジャバノール:ジボダン社)を ί列示することができる。
それら化合物は公知の製法により調製することができるが、市販品を購入してもよい 上記、香料はすでに知られているが、上記香料が気分状態改善香料として有効であ るとは全く知られておらず、ましてやそれら香料が副交感神経系活動促進香料、スト レス低減香料、鎮静香料として有効であるとは全く知られて ヽなかった。
[0036] 上記化合物自体だけでも気分状態改善香料として有効であるが、他の配合剤などを 配合してもよい。他の配合剤としては、上記以外の香料、副交感神経活動促進剤、 増量剤、抗菌剤などが挙げられる。配合剤の具体例としては、カテキン等のカテキン 類、中国茶、緑茶抽出物、生薬、タマリンド、デキストラン硫酸、ギムネマシルベスター などがある。これら配合剤は 1種あるいは 2種以上併用してもよい。
それらの配合量は使用する副交感神経活動促進香料、共存させる他の香料や他の 配合成分との関係等により適宜変更されるのであり、本発明の所期の効果を損なわ ない限り配合することができるのであるが、たとえば、調合香料中における気分状態 改善香料の好ましい配合量は統合香料を基準として約 10— 80% (重量)である。ま た、気分状態改善香料を含む香料組成物において、気分状態改善香料の好ましい 配合量は香料組成物を基準として約 10— 50重量%である。
[0037] 本発明の交感神経活動促進香料あるいはその香料を含む組成物は、および本発明 の気分状態改善香料ある 、はその香料を含む組成物は、多方面に利用することが できる。例えばフレダランス製品、基礎化粧品、仕上げィ匕粧品、頭髪化粧品、日焼け 化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹼、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上 げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭,芳香剤、お香、雑貨;飲 食品類、口腔用組成物、医薬品類に配合することができる。
これらに交感神経活動促進香料組成物を配合させる量はとくに制限されないが、通 常約 0. 005— 2% (重量)である。また、気分状態改善香料組成物を配合させる量も とくに制限されないが、通常約 0. 005— 2% (重量)である。
[0038] 上記フレダランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロ ンなどが挙げられ、基礎ィ匕粧品としては、洗顔クリーム、ノ -シングクリーム、クレンジ ングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、ノック、
メイク落としなどが挙げられ、仕上げィ匕粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、 固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頰紅、アイライナー、マスカラ 、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなどが挙げられ、 頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、へアーステック、ヘア 一ソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘア 一リキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤などが挙げられる。
[0039] 日焼けィ匕粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品などが挙げられ、薬用化 粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジエル、パーマメントウェ ーブ剤、薬用石鹼、薬用シャンプー、薬用皮膚ィ匕粧料などが挙げられ、ヘアケア製 品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント 、ヘアパックなどが挙げられ、石鹼としては、化粧石鹼、浴用石鹼、香水石鹼、透明 石鹼、合成石鹼などが挙げられ、身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプ 一、ハンドソープなどが挙げられ、浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、ノ《スタブレツ ト、バスリキッド、等)、フォームバス(バブルバス、等)、バスオイル(バスパフューム、 バスカプセル、等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなどが挙げられ、洗剤とし ては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹼、コンパクト洗剤、粉 石鹼、などが挙げられ、柔軟仕上げ剤としては、ソフナ一、ファー-チアケア一などが 挙げられ、洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄 剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤などが挙げられ、台所用洗剤とし ては、台所用石鹼、台所用合成石鹼、食器用洗剤などが挙げられ、漂白剤としては 、酸化型漂白剤 (塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、等)、還元型漂白剤 (硫黄系漂白 剤、等)、光学的漂白剤、などが挙げられ、エアゾール剤としては、スプレータイプ、 ノ ゥダースプレーなどが挙げられ、消臭 '芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイ プ、リキッドタイプなどが挙げられ、雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットぺー パーなどが挙げられる。
[0040] また、飲食品類としては、例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、 清涼飲料、ドリンク剤類の如き飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャン ディー類の如き冷菓;和'洋菓子類、ジャム類、キャンディ一類、ゼリー類、ガム類、パ
ン類、コーヒー類、ココア類、紅茶類、ウーロン茶類、緑茶類の如き嗜好飲料類;和風 スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類、風味調味料、各種インスタント飲 料乃至食品類、各種スナック食品類など;口腔用組成物としては、例えば、歯磨き、 口腔洗浄料、マウスゥォッシュ、トローチ、チューインガム類など;医薬品類としては、 ハツプ剤、軟膏剤の如き皮膚外用剤、内服剤などが挙げられる。本発明では、これら に限定されな 、ことは 、うまでもな!/、。
発明の効果
[0041] 本発明によれば、香りの多次元的機能評価方法が提供でき、その評価法に従って香 料を評価し、交感神経活動促進香料を提供することができる。また、ストレス低減性の ある交感神経活動促進香料を提供することができる。さらにそれら香料を含む交感神 経活動促進香料組成物およびストレス低減性のある交感神経活動促進香料組成物 を提供することができた。上記香料あるいは香料組成物は多方面に利用することが でき、交感神経活動促進作用やストレス低減性を与えることができる。さら〖こは、痩身 効果を有するので極めて実用的である。
[0042] また、本発明の香りの多次元的機能評価方法に従って香料を評価し、気分状態改善 香料を提供することができる。また、副交感神経活動促進香料、ストレス低減性香料 、鎮静香料やそれらの複数の作用を有する香料を提供することができる。さらに、前 記香料をヒトに適用すると、ストレスを低減でき、鎮静効果によりゆったりとした満足感 を持つことができ、気分状態がよくなるという実用的な効果をもたらすことができる。
[0043] (発明の実施の形態)
以下、図を参照しながら、本発明の香りの多次元的機能評価方法についてより具体 的に説明する。
[0044] 図 1は、本発明のストレス負荷実験の実験パラダイムを示す図である。
実際の実験パラダイムは次のとおりである。香りを呈示しないコントロール条件と呈示 する-オイ呈示条件は、二オイ呈示の有無以外のパラダイムは同じである。最初に、 被験者に脳波用電極、心電図用電極、皮膚温センサを装着した後に、最初に 6分間 、安静閉眼状態で脳波'心電図'皮膚温を記録し、その後に 12分間、ストレス負荷で あるトラッキング課題を行う。課題終了後、引き続いて 20分間、安静閉眼状態で脳波
•心電図 ·皮膚温を記録し、実験終了となる。つまり、脳波 ·心電図 ·皮膚温は、実験 が始まってから終了するまで、連続的に記録されている。二オイ呈示条件の場合には 、このストレス負荷期に-オイを呈示する。
心理指標を記載した質問紙を、このグレーの三角形で示した各フェイズの境目、つま り安静期の初め、安静期とストレス負荷期の境目、ストレス負荷期と回復期の境目、回 復期の終わりのそれぞれの時期に被験者に渡し、質問紙の質問に被験者が書き込 むという形で心理評価を行う。なお、二オイ呈示条件の場合には、二オイ呈示終了時 に、心理評価用の質問紙への書き込みと同時に、二オイの主観的な強度と快 不快 感を評定する。
[0045] まず、脳波の場合は、ストレス負荷直後の 6分間の区間での a波周波数ゆらぎの状 態が、二オイの有無でどう変化するか知る。また、自律神経系活動の場合、この 12分 間のストレス負荷期に生じる心電図と皮膚温度の変化パターンが、二オイの有無によ つて、どのように変化したか知る。心理指標については、ストレス負荷直後の主観評 価が-オイの有無でどう変わるか知る。
それらの生理指標 ·心理指標に加えて、行動指標としての作業成績が二オイの有無 でどのように変化した力、それ力も別の実験で得られた CNVのデータから、その-ォ ィが覚醒水準にどのような効果を持っているのか知る。これらの変化を総合的に判断 して、香りの機能を評価する。
[0046] 図 2はストレス課題と作業成績についての説明図である。
ストレス課題としては、トラッキング課題を用いた。このトラッキング課題は、コンビユー タのディスプレイ上を、かなり小さなターゲットがランダムな軌跡を描いて移動する。画 面上には、比較的大きなフレームも表示されており、このフレームは被験者が手元の マウスを操作することにより、自由に動かすことが出来る。被験者の課題は、手元のマ ウスを操作して、ランダムに逃げ回るターゲットが常にフレームの中にとどまるよう、フ レームを移動させ追跡することである。ターゲットがフレーム外にある状態、つまり条 件が達成されていない状態では、フレームがフラッシュし、コンピュータ力もフルボリュ ームで警告音であるビープ音が鳴り響くように設定されて 、る。ブーブー ·ブーブーと 警告音にさらされながら、ちょこま力と逃げ回るターゲットを被験者は 12分間連続で
追跡し続ける。この課題の成績をエラー数、すなわち 12分間で、何回ターゲットを逃 力 Sしたかという回数と、平均再捕捉時間、つまり、ー且とり逃がしたターゲットを再び捕 まえるまでに力かった平均時間で評価する。
[0047] 図 3Aおよび Bは CNV計測法での電位変動を示す図である。
CNVを含む事象関連電位を計測する場合には、何らかの課題や刺激を与えることを 繰り返し、数十回分の試行を加算平均することによって、課題や情報処理、または情 動や覚醒水準などの大脳の状態に関連した電位変動が得られる。 CNVの場合は、 予告刺激 (S1)と反応刺激 (S2)、およびこの反応刺激に対して、例えばボタン押しな どの何らかの運動反応を求めるという、予告刺激 反応刺激 運動反応という一連の ノ ダイムにより大脳の状態に関連した電位変動が誘発され (図 A)、図 3Bに示され るような波形として示される。
CNVとは、この S1— S2間の陰性の変動成分のことを意味する。この CNVについては、 S1呈示後 0. 4秒から 1秒の早期成分と、 S2に近い、 S1呈示後 1秒から S2呈示直前ま での後期成分と 2つの成分力も成っている。早期成分は、課題に対する注意や覚醒 水準に対応して変化することが知られている。つまり、課題に対する注意を操作しな い条件下では、早期成分の変動で覚醒水準の変化を評価出来る。覚醒水準が下が ると (鎮静的な香りの場合)、この部分の面積が小さくなる。反対に覚醒水準が上昇す ると (覚醒的な香りの場合)、この部分の面積が大きくなる。
[0048] 図 4Aおよび B、図 5を用いて脳波の a波周波数ゆらぎ解析を説明する。
測定した脳波(Orinigal EEG) (図 A)にフィルタをかけ、 8から 12Hzの周波数帯の波 を抽出する(Filtered EEG) (図 B)。この α波の周波数は微妙にゆらいでいる。例えば 、 8ヘルツ · 11ヘルツ · 9ヘルツ · 10ヘルツ · 8ヘルツ · 12ヘルツ · · ·のようである。この ようにひとつひとつの α波の周波数の時系列ゆらぎを FFTスペクトル解析し、縦軸が エネルギー量で横軸がゆらぎ周波数である図 5のような右下がりのスペクトルが得ら れる。すなわち、スペクトルの傾きが周波数、 f分の 1になるということで、 f分の 1スぺク トルなどとも言われている。
さて、ヒトへのストレス負荷が非常に軽い場合、スペクトルの傾きが大きぐすなわち f 分の 1に近ぐ負荷が重くなるに従ってこのスペクトルの傾きが小さくなり 0に近づいて
いく。このように、 α波周波数ゆらぎを解析することによって、その人のその時の感情 状態がポジティブなのかネガティブなのかということが評価できる。
[0049] 図 6を用いて副交感神経系の指標の解析を説明する。
自律神経系の指標としての心電図の波形でのそれぞれのピークの中の R波と呼ばれ るピークのインターバル (R— R間隔)を解析することによって、副交感神経活動を測る ことが出来る。この R— R間隔を FFTスペクトル解析を使って変動解析すると、右側のよ うなスペクトルが得られる。このように低周波側と高周波側にそれぞれピークを持つ二 峰性のスペクトルを示すが、この 2つのピークのうち、 0. 15Hz力ら 0. 5Hzの間の HF 成分と呼ばれる高周波側のピークの面積は副交感神経の活動状態に対応して変化 することが知られている。
そして、副交感神経活動が抑制されると、心拍数の増加や拍動ゆらぎの減少が起こり 、その結果、 R— R間隔が短縮し、 HF成分が減少する。したがって、 HF成分は、副交 感神経神経活動が亢進すると増大し、副交感神経活動が抑制されると減少すると 、 う変化をする。
[0050] 図 7は一過性ストレス主観評価質問紙に記載された 15項目の様々な感情状態を表 す言葉を記載した図である。
心理指標についての解析方法について説明する。 15項目の様々な感情状態を表 す言葉力 構成されている一過性ストレス主観評価質問紙を用い、これらの項目に っ 、て、全く感じな ヽ (0点)力 非常に感じた(10点)までの 10点満点で被験者が回 答する。これらの回答した素点を処理して、主観的なストレス状態を 4つの因子で評 価する。その 4因子は、心地よさ、怒り、不安 '動揺、倦怠である。また、独自にストレス 感と ヽぅ項目を付け加え、総合的な主観的なストレス感を全く感じな 、(0点)から非常 に感じた(10点)までの 10点満点で評価する。二オイ呈示直後の質問紙には、図 7の ように、二オイの主観的な強度を 10点満点で、快-不快を- 5点から + 5点の間で評 価する。
なお、上記 4因子と 15項目との関係は次のとおりである。
心地よさは、気持ちよい、安心した、心地よい、さわやかな、の各項目に対応し、怒り は、腹立たしい、むしゃくしゃした、怒りを感じた、むっとした、の各項目に対応し、不
安 '動揺は、くよくよした、ふさいだ、うろたえた、びくびくした、の各項目に対応し、倦 怠は、ぐったりした、気が滅入った、むなしい、の各項目に対応する。
上記 4因子は対応するそれぞれの項目の評価点の平均値により、評価されることにな る。
[0051] 以下、上記香りの多次元的機能評価方法を適用して、得られた結果を示すレーダー チャートについて説明する。
図 8は、そのレーダーチャートを示す。なお、図 8は二オイを呈示していないときのレ 一ダーチャートである。
レーダーチャートは全体的なストレス反応パターンとして表示できるので、レーダーチ ヤートを観察'検討することによって、香料特性の理解を容易にすることができる。 上記測定し検討した指標は、それぞれ単位も違えば、変化する幅も異なる。それらを 揃えて、全体の反応パターンとしての理解を容易にするために、データの標準化を 行い、すべてのパラメータを平均が 0、分散が 1になるように変換してある。このデータ の標準化は一般的に行われている方法を用いて行うことができる。
具体的には、 α波周波数ゆらぎ係数の値が小さくなると、相対的にゆらぎ係数が 0に 近づくこと、すなわち感情状態が悪ィ匕したことを表す。また、反対にこの値が大きくな ることは、相対的にゆらぎ係数が lZfすなわち、 -1に近づき、感情状態が良くなつた ことを表す。したがって、このレーダーチャートでは上記変換処理を施した結果を示し てあるので、感情状態がポジティブに変化すると外側に大きくなり、ネガティブに変化 すると内側に小さくなる。ストレス負荷力かかると、感情状態が悪ィ匕するため、ゆらぎ 係数が小さくなるため、内側に変化する。
[0052] CNVにより評価した香りの覚醒 ·鎮静効果では、覚醒効果がある香りの場合外側に大 きくなり、鎮静効果がある香りの場合は、内側に小さくなる。なお、二オイなしでのスト レス反応では、二オイの効果は表現できないので、便宜上、 0とした。
[0053] 皮膚温度解析により得られた交感神経系の反応では、交感神経系活動が亢進した 場合、皮膚温度の低下が生じ、交感神経系活動が亢進した場合に外側に大きぐ交 感神経系活動が抑制された場合、これは皮膚温の上昇という形で現れ、この場合に 内側に小さくなるように数値を変換して表現してある。ストレス負荷力 Sかかることにより
、交感神経系活動の亢進が生じ、このように外側に大きく変化する。
[0054] 心電図 R— Rインターバル解析によって得られた副交感神経系の反応では、副交感神 経活動が亢進し、 HF成分値が相対的に増大すると外側に大きぐ副交感神経活動 が抑制され、 HF成分値が相対的に減少した場合、内側に小さくなる。ストレス負荷に より、副交感神経活動が抑制され HF成分が減少する。
[0055] 行動指標である課題成績では、反応の正確さの指標であるエラー数と、反応の速さ の指標である再捕捉時間 (反応時間)とになる。エラー数が減ると内側に、増えると外 側に変化する。反応時間は短くなると内側に、長くなると外側に変化する。
行動指標については、 CNVと同様に、二オイのないコントロールの状態を基準とした 相対変化で評価しているので、コントロール単独での評価は出来ないことになる。そ こで、 CNV同様、仮〖こ 0とした。
[0056] 心理的指標(以下、 PSSということがある)の因子 1である心地よさの変化、因子 2であ る怒り、因子 3である不安 ·動揺、因子 4である倦怠、そして、総合的なストレス感の評 価値が記載されている。これらの心理指標はいずれも、得点が増えると外側に大きく 、得点が減ると内側に小さくなるように表示してある。したがって、ストレス負荷がかか ると、ポジティブな因子である心地よさが減少し、怒り、不安'同様、倦怠などのネガテ イブな因子が増加し、ストレス感も増加するという心理プロフィールになる。多次元評 価における、一般的な一過性ストレス反応パターンとしては、中枢性反応としての気 分状態の悪化、交感神経系の促進と副交感神経系の抑制、心理的にはポジティブ な因子得点の減少とネガティブな因子得点の増カロ、及びストレス感の増加と 、うこと になる。
[0057] (実施例 1)
ストレス負荷期に、被験者に 2, 2, 6—トリメチルシクロへキサンカルボン酸ェチル(テ サロン)を含む組成物を嗅 、でもら 、、上記香りの多次元的機能評価方法を適用し た。
図 9に、その測定結果を示す。
その結果は次のとおりであった。
α波ゆらぎにはほとんど変化がない。し力しながら、覚醒効果を持ち、交感神経系反
応を促進させる効果を持つ。副交感神経反応には目立った変化がないので、選択的 に交感神経系を促進させている可能性がある。また、行動指標では、エラー数の減 少が見られた。これは、テサロンには作業を効率良く進める作用、あるいは作業成績 を円滑にする作用を有することを示す。さらに、 α波ゆらぎについては、ストレス直後 には顕著な差は見られなかったが、ストレス負荷開始後 7— 12分に、 1/fに近いポ ジティブな変化を示した。これは、テサロンにはストレスに対するポジティブな効果、あ るいはストレスの低減作用があることを示す。
(実施例 2)
本発明が規定する交感神経活動促進香料を含む交感神経活動促進香料組成物の 処方例を下記に示した。
処方例
この香料組成物はフルーティー様の香質を有する香料組成物である。この香料組成 物は各種香粧品に配合でき、交感神経活動促進作用を有する香粧品あるいはストレ スの低減作用を有する香粧品を提供することができるのであるが、とくに、溶媒に希
釈させることにより交感神経活動促進作用を有する香水などとすることが有利である。
[0059] (実施例 3)
本発明の多次元機能評価法をアンブレトンの香質の判別に適用した。
図 10に、その測定結果を示す。
アンブレトンを被験者に呈示することにより、 α波周波数ゆらぎは大きぐすなわち 1 Zfに近い、ポジティブな方向に変化した。また、このアンブレトンは鎮静効果を持つ ことが CNVの測定でゎカゝつた。 自律神経反応については、交感神経活動が抑制さ れ、副交感神経活動が促進されていることがゎカゝつた。これらの生理反応に対して、 行動指標はごらんのように特に変化は示さないのであるが、心理指標は、ポジティブ な因子である心地よさの得点が増加し、ネガティブな因子である怒り、不安 '動揺、倦 怠の得点が減少し、主観的なストレス感も同様に減少した。典型的なストレス反応は、 生理的には、 α波ゆらぎの白色化、交感神経系の促進と副交感神経系の抑制。心 理的には、ポジティブな因子の得点の減少とネガティブな因子の得点の増加と 、うこ とである力ら、アンブレトンを呈示することにより、これらのストレス反応パターンを抑制 していることがわかった。
[0060] (実施例 4)
本発明の多次元機能評価法をムスク Τの香質の判別に適用した。
図 11に、その測定結果を示す。
ムスク Τの場合では、生理的には、 α波周波数ゆらぎが大きぐすなわち lZfに近い 、ポジティブな方向に変化し、鎮静効果を持ち、交感神経系を抑制し、副交感神経 系を促進すること、心理的には、ポジティブな因子の得点を増やし、ネガティブな因 子の得点を減らし、主観的なストレス感も減少するという反応プロフィールを得た。こ のように、ムスク Tはアンブレトンと同様にストレス減少効果があることが反応プロフィ ールからわ力つた。そのほかのムスク Tの特徴としては、中枢性の指標である α波周 波数ゆらぎの変化が、負荷直後から外側の方向への変化は生じたが、それがよりは つきりしたのは負荷後 7— 12分であり、アンブレトンよりも遅い時間帯であった。また、 行動指標にも変化が生じ、反応ストラテジーが、ゆっくり、しかし確実に反応するという 方向に変化した。
[0061] (実施例 5)
本発明の多次元機能評価法をレポサンドールの香質の判別に適用した。
図 12に、その測定結果を示す。
レポサンドールは心理指標のみを見ると、コントロールとほとんど差がなぐまた行動 指標でも差がな力つた。しかしながら、鎮静効果を持つこの香りは、 α波周波数ゆら ぎを、 lZfに近い、ポジティブな方向に変化し、交感神経反応には影響を与えないも のの、副交感神経反応を促進しており、ある程度のストレス軽減作用があるといえる。
[0062] (実施例 6)
本発明が規定する気分状態改善香料を含む気分状態改善香料組成物の処方例を T 己に不し 7こ。
処方例
香料組成物処方例
この香料組成物はムスク様の香質を有する香料組成物である。この香料組成物は各 種香粧品に配合でき、気分状態改善作用を有する香粧品を提供することができるの であるが、とくに、溶媒に希釈させることにより気分状態改善作用を有する香水などに 応用できる。
[0063] (実施例 7)
本発明が規定する気分状態改善香料を含む気分状態改善香料組成物の処方例を T 己に不し 7こ。
処方例
この香料組成物はウディフローラル様の香質を有する香料組成物である。この香料 組成物は各種香粧品に配合でき、気分状態改善作用を有する香粧品を提供するこ とができるのであるが、とくに、溶媒に希釈させることにより気分状態改善作用を有す る香水などとすることが有利である。
本発明を下記のように記載することもできる。
(1)上記請求項 1記載の香りの多次元的機能評価方法において、自律神経系指標 に属する指標が交感神経系指標に属する指標あるいは副交感神経系指標に属する 指標からなることを特徴とする請求項 1記載の香りの多次元的機能評価方法。
(2)上記請求項 1記載の香りの多次元的機能評価方法を香料に適用し香料の気分 状態改善効果を判別する方法。
(3)上記請求項 1記載の香りの多次元的機能評価方法を香料に適用し香料のストレ ス低減性交感神経活動促進効果を判別する方法。
(4)成分 (Α) : 2 2, 6—トリアルキルシクロへキサンカルボン酸エステル類および 2, 2
, 6—トリアルキルシクロへキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも 1種の 化合物からなることを特徴とするストレス低減性交感神経活動促進香料。
(5)前記 (4)に記載のストレス低減性交感神経活動促進香料を含有することを特徴と するストレス低減性交感神経活動促進香料組成物。
(6)成分 (Α) : 2, 2, 6—トリアルキルシクロへキサンカルボン酸エステル類および 2, 2, 6—トリアルキルシクロへキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも 1種 の化合物からなる作業成績向上性交感神経活動促進香料。
(7)成分 (Α) : 2、 2, 6—トリアルキルシクロへキサンカルボン酸エステル類および 2, 2 , 6—トリアルキルシクロへキセンカルボン酸エステル類から選ばれる少なくとも 1種の 化合物からなるストレス低減性のある作業成績向上性交感神経活動促進香料。
(8) 上記 (6)記載の香料を含有することを特徴とする作業成績向上性交感神経活 動促進香料組成物。
(9) 上記(7)記載の香料を含有することを特徴とするストレス低減性のある作業成 績向上性交感神経活動促進香料組成物。
(10)成分 (Α)の化合物が 2, 2, 6—トリメチルシクロへキサンカルボン酸ェチル、 2, 2, 6—トリメチルー 4, 6—シクロへキサジェンカルボン酸ェチル、 2, 2, 6—トリメチルー 4 ーシクロへキセンカルボン酸メチル、 α—シクロゲラン酸メチル、 j8—シクロゲラン酸メチ ル、 γ—シクロゲラン酸メチル、 α—シクロゲラン酸ェチル、 j8—シクロゲラン酸ェチル
、 Ύーシクロゲラン酸ェチル、および 2, 2—ジメチルー 6—ェチルー 5—シクロへキセン力 ルボン酸ェチルである前記 (4)記載のストレス低減性交感神経活動促進香料。 (11)成分 (C):大環状ムスク化合物および成分 (Β):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなる作業成績向上香料。
(12)成分( :大環状ムスク化合物および成分 (Β):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなる副交感神経系活動促進香料。
(13)成分( :大環状ムスク化合物および成分 (Β):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなるストレス低減香料。
(14)成分 (C):大環状ムスク化合物および成分 (Β):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなる鎮静香料。
(15)成分( :大環状ムスク化合物および成分 (B):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなるストレス低減性副交感神経系活動促進香 料。
(16)成分 (C):大環状ムスク化合物および成分 (B):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなるストレス低減性鎮静香料。
(17)成分( :大環状ムスク化合物および成分 (B):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなる副交感神経系活動促進性鎮静香料。
(18)成分 (C):大環状ムスク化合物および成分 (B):カンフォレニル型サンダル類か ら選ばれる少なくとも 1種の化合物からなるストレス低減性のある副交感神経系活動 促進性鎮静香料。
(19)上記(12)—(18)記載の香料であって、さらに作業成績向上性を有する香料。
(20)成分 (C)に属する化合物が 3—メチルシクロペンタデカノン 1、 3—メチルー 4ーシ クロペンタデセン 1 オン、 9—シクロペンタデカン 1 オン、シクロペンタデカノン、 シクロへキサデセノン、シクロへキサデカノン、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデ セン 1 lor 12 オリド、シクロペンタデセン 7 オリド、シクロへキサデカノリド、ェチレ ンブラシレート、エチレンドデカジォエート、 12—ォキサへキサデカノリド、 11 ォキサ へキサデカノリド、 10—ォキサへキサデカノリドである上記(11)一(18)記載の香料。
(21)成分 (B)に属する化合物が 3—メチルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテ ン一 1 ィル)一ペンタン 2 オール、 2—ェチルー 4— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロべ ンテン 1 ィル)—2—ブテン 1 オール、(E)— (R)— 2—ェチルー 4— (2, 2, 3—トリメ チルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—2—ブテン 1 オール、 2—メチルー 4 2, 2, 3— トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)—2—ブテン— 1 オール、 2—メチルー 4一(2, 2
, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) ブタン 1 オール、 3—メチルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) 4—ペンテン 2 オール、 3, 3 ジメチ ルー 5— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル) 4—ペンテン 2 オール、 2—メチルー 4ーメチレン 4— (2, 2, 3—トリメチルー 3—シクロペンテン 1 ィル)一ブタノ ール、 [1ーメチルー 2— (1, 2, 2—トリメチルビシクロ [3. 1. 0]へキサ— 3 ィルメチル)シ クロプロピル]メタノールである上記(11)一 (18)記載の香料。
(22)上記(11)一 (18)記載の香料を含む香料組成物。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1は、本発明のストレス負荷実験の実験パラダイムを示す図である。
[図 2]図 2はストレス課題と作業成績についての説明図である。
[図 3]図 3は CNV計測法での電位変動を示す図である。
[図 4]図 4は測定した脳波およびそれから一定の周波数を抽出した脳波を示す図で める。
[図 5]図 5は ex波の周波数の時系列ゆらぎを FFTスペクトル解析して得られたスぺタト ルを示す図である。
[図 6]図 6は心電図の一部の波形および R— R間隔を示す図である。
[図 7]図 7は一過性ストレス主観評価質問紙に記載された 15項目の様々な感情状態 を表す言葉を記載した図である。
[図 8]図 8は、本発明の多次元機能評価法を-オイの呈示せずに適用したときの測定 結果を示すレーダーチャートである。
[図 9]図 9は、本発明の多次元機能評価法をテサロンに適用したときの測定結果を示 すレーダーチャートである。
[図 10]図 10は、本発明の多次元機能評価法をアンブレトンに適用したときの測定結 果を示すレーダーチャートである。
[図 11]図 11は、本発明の多次元機能評価法をムスク Tに適用したときの測定結果を 示すレーダーチャートである。
[図 12]図 12は、本発明の多次元機能評価法をレポサンドールに適用したときの測定 結果を示すレーダーチャートである。