JPS602032Y2 - 車両用ディスクブレ−キにおけるシ−ル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用ディスクブレーキ装置、特に筒状の装置
本体の内部に、摩擦パッドをブレーキディスクに押圧す
るための押圧機構を配設し、この押圧機構に連結されて
該押圧機構を作動させるための作動レバーを、前記装置
本体の外周面に開口した長孔を通して該装置本体外へ突
出させ、前記作動レバーと装置本体間には、該作動レバ
ーと前記長孔との間隙を外部より密封するシール材を設
けた形式の、ディスクブレーキ装置におけるシール装置
に関する。

従来、上記シール材を、上記長孔の内周縁部に嵌着され
る比較的厚肉の取付部即ちビード部と、このビード部に
一体に連設されて自由端が上記作動レバーに嵌着される
ブーツ部とより構成したものが一般に知られているが、
このものでは、上記ビード部の特に一対の長辺部の剛性
が低いので、同長辺部とそれが嵌着される前記長孔内周
縁部との密着性が悪く、作動レバーの回動に伴って該長
辺部が引張力を受けるとそれは容易に曲げ変形して長孔
の内周縁部との間に間隙を生じ、そこから外部の粉塵、
泥水等が装置本体内に侵入して制動能力を低下させる惧
れがある。

また上記従来のものでは、上記長孔の有効開口面積が上
記ビード部の厚み分だけ狭くなるので、長孔の実際の開
口面積を必要以上に大きく設定しなければならず、それ
だけ装置本体の剛性が低下する不具合もあり、かかる不
具合は、前記惧れを排除するためにビード部の一対の長
辺部の肉厚を分厚く設定した場合に一層顕著に現れる。

本考案は、上記に鑑み提案されたもので、従来のものの
前記惧れ、不具合をすべて解消し得る構造簡単な前記シ
ール装置を提供することを目的とするもので、その特徴
とするところは、前記装置本体の外周面には、前記長孔
が底面に開口する環状溝が凹設され、前記シール材は、
前記作動レバ−が遊嵌する透孔を有し前記環状溝に嵌着
された環状取付部と、前記作動レバーに自由端が嵌着さ
れ前記透孔内を外部より遮蔽するブーツ部とを一体に形
成して構成されることにある。

以下、図面により本考案の一実施例について説明する。

第１図において１は車輪で、そのホイール２は車軸３の
ブラケット４にボルト５によって固定されている。

上記ブラケット４の突出部端面にブレーキディスクがボ
ルト７によって固定されている。

上記ホイール２の内側空間Ｓ□の上部にキャリパ本体８
が位置し、その本体８は、車体フレーム９ａに固定した
ブラケット９に２本のボルト１０によって支持されてい
る。

第５図に示すようにキャリパ本体８の支持部とボルト１
０との間にスリーブ１１が介在し、キャリパ本体８はス
リーブ１１に対し摺動可能である。

１２．１３は両者の摺動面を塵埃、泥水等より保護する
可撓性ブーツである。

上記キャリパ本体８は第１．４図に示すように基部１４
とカバ一部１５の二つ割に構成されており、両者１４．
１５によって形成される空間Ｓ内にブレーキディスク６
の一部が位置する。

そのブレーキディスク６の左右両側に固定摩擦パッド１
６と可動摩擦パッド１７が位置し、それらの基板１８．
１９がカバ一部１５の外部からキャリパ基部１４にねじ
込んだボルト２０に吊下げ支持されている。

上記ボルト２０は図示例では２本設けられ、上記のよう
に各パッドを支持すると共にカバ一部１５を基部１４に
締付は固定するために使用されている。

他の２本のボルト２１．２１はカバ一部１５を基部１４
に固定するためにのみ使用されている。

上記キャリパ基部１４内に可動摩擦パッド１７の基部１
９に当接するカップ形のピストン２２が摺動可能に嵌合
され、その口縁内周面にキャリパ基部内に小ねじ２３に
よって固定されたガイド筒２４の一部が嵌合されている
。

上記ピストン２２およびガイド筒２４内にユニット化さ
れたカム機構２５が設けられている。

そのカム機構２５は収納ケース２６と、そのケース内に
設けられた長い中空の軸部２７を有する回動カム板２８
と、そのカム板２８と対面する摺動カム板２９と、その
両板２８，２９の各対向面に円周上等間隔に形成した皿
状凹部３０，３１（図では各１個のみ示す）間に挾持さ
れたスラストボール３２と、上記回動カム板２８の背面
と軸部２７に嵌めた環状のケース底板３３との間に介在
させたスラストベアリング３４と、上記摺動カム板２９
の前面とケース２６の折曲げ縁内面との間に介在させた
戻しコイルスプリング３５と、上記摺動カム板２９にね
じ込まれた先端をケース２６の開口２６ａから突出させ
てピストン２２底部内面に当接させた推力伝達兼摩擦パ
ッドの作動間隙調節用ボルト３６とを有する。

上記摺動カム板２９はその周縁の一部にケース２６の側
面の切欠き部２６ｂから突き出る突出部３７を有し、上
記ユニットのケース２６をガイド筒２４に嵌めたとき突
出部３７をガイド筒内面に形成した凹部３８と嵌合させ
て摺動カム板２９の回転を制止するようになっている。

上記回動カム板２８の軸部２７はキャリパ基部１４の貫
通孔３９内に回転可能に嵌合され、先端部４０は基部１
４からホイール２内側の空間Ｓ□外に突出する。

その先端部４０にブレーキ作動レバー４１の基部が角嵌
合（またはスプライン嵌合）され、ワッシャ４３、ナツ
ト回り止め４２を介してナツト４４をねじ込み、作動レ
バー４１を先端部４０に対して固定している。

上記作動レバー４１は軸部２７からホイール２の半径方
向外方へ長く延出し、その先端はホイール２の外周位置
に達している。

上記回動カム板２８の軸部２７の端部から摩擦パッドの
摩耗に伴い、その作動間隙を調節するつまみ４６の軸部
４７が挿入され、その角軸部４８を上記ボルト３６のす
り割４９に嵌合させである。

そのつまみ４６の頂面とキャリパキャップ５０との間に
抜止め用のコイルスプリング５１が介在する。

上記キャリパキャップ５０は例えばプラスチックで形成
され、その口縁内面に等間隔に形成された複数個の突起
部５０ａをキャッパ基部１４の外周面に形成した凹部５
２または貫通孔５３に嵌合させて位置決め固定されてい
る。

またキャリパキャップ５０には、作動レバー４１を遊嵌
させて同レバー４１の回動を許容するための長孔５４が
穿設され、さらにその長孔５４が底面に開口される環状
溝５０ｂがキャップ５０外周面にその周方向に沿って凹
設される。

長孔５４と作動レバー４１との間の隙間は、次に詳述す
るシール材５５により外部より密封される。

シール材５５はゴム製で、前記環状１５０ｂに弾力的に
嵌着され、作動レバー４１が遊挿される透孔５５ｃを穿
設した帯状の環状取付部５５ａと、その取付部５５ａの
透孔５５ｃの周辺部に一体的に連設され、自由端が作動
レバー４１の中間部に嵌着されて透孔５５ｃ内を外部よ
り遮蔽するブーツ部５５ｂとより構成されている。

上記作動レバー４１の先端にブレーキ操作ワイヤ５６が
取付けられ、そのシース部材５７と作動レバー４１との
間に戻しコイルスプリング５８が介在する。

そのシース部材５７はキャリパ基部１４の突出部５９に
固定されている。

６０はコイルスプリング５８の保護用ブーツ、６１はブ
ラケットを車体フレームに取付けるためのボルト挿通孔
である。

次に上記ブレーキ装置の作用を説明すると、操作ワイヤ
５６をコイルスプリング５８に抗して牽引し、作動レバ
ー４１を介して回動カム板２８を回動させると、相対向
する皿状凹部３０，３１の位相がずれて、スラストボー
ル３２はそれ等凹部の斜面を登りながら戻しコイルスプ
リング３５に抗して摺動カム板２９を第１図左方へ摺動
させる。

その摺動はボルト３６を介してピストン２２に伝達され
るので可動摩擦パッド１７がブレーキディスク６の右側
面に圧接する。

そしてその圧接に伴う反力によりキャリパ本体８がスリ
ーブ１１にそって第１，５図右方へ摺動し、固定摩擦パ
ッド１６をブレーキディスク６の左側面に圧接し、かく
して両摩擦パッド１６．１７は均等な圧力をもってブレ
ーキディスク６を挾圧し、その回転を制止する。

以上の実施例において、キャリパ本体８およびキャリパ
キャップ５０は本考案の装置本体を、またカム機構２５
は本考案の押圧機構をそれぞれ構成している。

以上のように本考案によれば、筒状の装置本体の内部に
、摩擦パッドをブレーキディスクに押圧するための押圧
機構を配設し、この押圧機構に連結されて該押圧機構を
作動させるための作動レバーを、前記装置本体の外周面
に開口した長孔を通して該装置本体外へ突出させ、前記
作動レバーと装置本体間には、該作動レバーと前記長孔
との間隙を外部より密封するシール材を設けたものにお
いて、前記装置本体の外周面には、前記長孔が底面に開
口する環状溝が凹設かれ、前記シール材は、前記作動レ
バーが遊嵌する透孔を有し前記環状溝に嵌着された環状
取付部と、前記作動レバーに自由端が嵌着され前記透孔
内を外部より遮蔽するブーツ部とを一体に形成して構成
されるので、シール材取付部としての上記環状取付部は
、これを前記環状溝に単に嵌着させるだけで、装置本体
に対してその半径方向にもまた軸方向にもきわめて強固
に固定することができ、作動レバーの回動に伴い該環状
取付部にブーツ部を介して強い引張力が作用してもそれ
が不用意に動いたり脱落したりするようなことがなく、
従ってその環状取付部と装置本体の長孔内周縁部との間
から粉塵や泥水が装置本体内に侵入するのを確実に阻止
することができ、シール材本来のシール機能を長期に亘
り有効に維持することができる。

しかも前記環状取付部は、装置本体外周面の環状溝に嵌
着されるものであって、前記長孔の内周縁部に嵌着され
るものではないから、該環状取付部の特設によるも前記
長孔の有効開口面積が何等狭められるようなことがなく
、従ってその長孔の形成に伴う装置本体の剛性低下を少
なくすることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を適用したディスクブレーキ
装置の縦断正面図、第２図は第１図矢示Ａ方向からみた
部分側面図、第３図は第１図矢示Ｂ方向からみた部分側
面図、第４図はキャリパ本体の部分横断平面図、第５図
は第２図Ｖ−Ｖ線断面図、第６図は本考案の一実施例の
斜視図である。 １・・・・・・車輪、６・・・・・・ブレーキディスク
、８，５０・・・・・・装置本体としてのキャリパ本体
、キャリパキャップ、１６，１７・・・・・・摩擦パッ
ド、２５・・・・・・押圧機構としてのカム機構、４１
・・・・・・作動レバー、５４・・・・・・長孔、５５
・・・・・・シール材、５５ａ・・・・・・環状取付部
、５５ｂ・・・・・・ブーツ部、５５ｃ・・・・・・透
孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒状の装置本体の内部に、摩擦パッドをブレーキディス
   クに押圧するための押圧機構を配設し、この押圧機構に
   連結されて該押圧機構を作動させるための作動レバーを
   、前記装置本体の外周面に開口した長孔を通して該装置
   本体外へ突出させ、前記作動レバーと装置本体間には、
   該作動レバーと前記長孔との間隙を外部より密封するシ
   ール材を設けたものにおいて、前記装置本体の外周面に
   は、前記長孔が底面に開口する環状溝が凹設され、前記
   シール材は、前記作動レバーが遊嵌する透孔を有し前記
   環状溝に嵌着された環状取付部と、前記作動レバーに自
   由端が嵌着され前記透孔内を外部より遮蔽するブーツ部
   とを一体に形成して構成されることを特徴とする、車両
   用ディスクブレーキ装置におけるシール装置。