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JPH11310539A - 口腔内崩壊型組成物及びその製造方法 - Google Patents

口腔内崩壊型組成物及びその製造方法

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Publication number
JPH11310539A
JPH11310539A JP4776099A JP4776099A JPH11310539A JP H11310539 A JPH11310539 A JP H11310539A JP 4776099 A JP4776099 A JP 4776099A JP 4776099 A JP4776099 A JP 4776099A JP H11310539 A JPH11310539 A JP H11310539A
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tablet
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JP4776099A
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Kiyoshi Tamura
清 田村
Masaki Yamada
昌樹 山田
Kiyobumi Ishikawa
清文 石川
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Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Banyu Phamaceutical Co Ltd filed Critical Banyu Phamaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製剤の取扱いにおいて必要とされる適切な強
度を有し、しかも口腔内において速やかに崩壊する口腔
内崩壊型組成物及びその製造方法並びに口腔内崩壊型製
剤を提供すること。 【解決手段】 口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊型
の硬化成型体組成物である。有機酸と炭酸塩とこれらと
ネットワークを形成しているネットワーク維持剤及び着
色防止剤とを含有する。ネットワーク維持剤はコーンス
ターチなどの難水溶性固形物質であり、着色防止剤はエ
リスリトール等の水溶性糖類である。有機酸と炭酸塩と
の混合物100重量部に対し、上記ネットワーク維持剤
を25.0〜625.0重量部、上記着色防止剤を2
5.0〜937.5重量部配合して成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、口腔内崩壊型組成
物及びその製造方法に係り、更に詳細には、製剤の取扱
い上必要な強度を有し、しかも口腔内において速やかに
崩壊する口腔内崩壊型組成物、その製造方法及び該組成
物を用いた口腔内崩壊型製剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】高齢化
社会の到来に当たり、老化に関する多方面からの研究が
盛んに行われるようになり、その一分野として、高齢者
に投与最適な新規製剤についての調査研究報告がなされ
ている。この調査研究報告では、内服薬の自己服薬の可
否、服用する際に摂取する飲食物、及び剤形の服用性に
ついて調査が行われており、また、現在使用されている
剤形の中で最も服用しやすい剤形、将来希望する剤形及
び内服薬の味の嗜好についても患者の希望が調査され
た。
【0003】かかる調査研究報告によって、高齢者が医
薬品の服用において剤形の面から多くの問題点を抱えて
いることが指摘され、この結果、現在用いられている剤
形の多くは一般成人向けのものであることから、介添え
を必要とする身体不自由な高齢者でも容易に服用でき、
更に服用しにくさから服用拒否を示す高齢者のためにも
服用しやすい剤形の開発が望まれるようになった。ま
た、高齢者でも容易に服用できる剤形は、小児や一般成
人にとっても好ましいものである。
【0004】更に、この調査研究報告によれば、高齢者
にとって好ましい新規製剤として、口腔内溶解型製剤、
ペースト状製剤及びゼリー状製剤が提案されているが、
特に口腔内溶解型製剤はその流通過程での安定性等を考
慮すると最も現実的な製剤であると考えられており、こ
の観点から、このタイプの製剤がさかんに検討・開発さ
れている。
【0005】上述のような背景において、特公昭62−
50445号公報には、ゼラチン、デキストリン、加水
分解デキストラン又はアルギネート、あるいは上記物質
一種以上とポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジ
ン又はアラビアガムとの混合物、あるいはポリビニルア
ルコールとポリビニルピロリジンとの混合物又はアラビ
アガムとポリビニルピロリジンとの混合物から選んだ医
薬的に許容可能な水溶性又は水分散性重合体単体物質の
ネットワークを含み、且つこのネットワークは単位用量
の医薬物質を含み、そして10〜200mg/mlの密
度を有する、経口投与用の固形医薬剤形が記載されてい
る。しかしながら、かかる製剤は、凍結乾燥により調製
されるため、凍結乾燥のための製造設備が必要であり、
コスト高となる。また、凍結乾燥で得られた製剤は強度
が小さいため、一般に取扱いが不便であるという課題が
ある。
【0006】また、国際公開WO93/12769号に
は、活性成分と乳糖及び/又はマンニトールからなる糖
類と、固形成分に対し、0.12〜1.2w/w%の寒
天からなる密度が400mg/ml乃至1000mg/
mlである製剤取扱い上十分な強度を有する口腔内崩壊
性の固形製剤が記載されている。しかしながら、この固
形製剤の製造方法は、懸濁液を鋳型に流し込み、この懸
濁液を乾燥するというものであり、一般の錠剤の製造方
法と異なり煩雑であるという課題がある。
【0007】国際公開WO95/20380号には、成
型性の低い糖及び成型性の高い糖類を含有してなる、口
腔内において速やかな崩壊性、溶解性を有する口腔内溶
解型圧縮成型物が記載されている。しかしながら、この
圧縮成型物を製造するに当たっては、成型性の高い糖類
が造粒物の表面にあるため、打錠時にスティキング等の
打錠障害が発生するという課題が残されている。
【0008】特開平9−48726号公報には、薬物及
び加湿により成型可能に湿潤し且つ成型後の乾燥により
該形状を維持する物質からなり、これら成分が低密度で
加湿、成型されることにより崩壊容易に構成されてなる
口腔内速崩壊性製剤が記載されている。また、特開平8
−291051号公報には、薬剤、水溶性結合剤及び水
溶性賦形剤を含む乾燥状態の錠剤材料を錠剤の形態とし
て次段の製造工程へ移行させる際にその形態を維持可能
な硬度をとるために、最低必要な低圧力で加圧成型する
打錠工程と、上記打錠工程で成型された錠剤に吸湿させ
るための加湿工程と、上記加湿工程で加湿された錠剤を
乾燥させる乾燥工程とを備えることを特徴とする速溶解
性錠剤の製造方法が記載されている。しかしながら、何
れの製剤又は製造方法においても、成型された成型物を
加湿する工程が必要であり、この加湿工程で錠剤がふや
けて錠剤の外観が損なわれ、商品価値が低下するという
課題がある。
【0009】特開平5−271054号公報には、薬効
成分と糖類と上記糖類の粒子表面が湿る程度の水分を含
む混合物を打錠する口腔内溶解型錠剤の製造方法が記載
されているが、この製造方法は、打錠用の混合物に強制
的に水分を添加し、湿った状態で打錠を行う湿式打錠法
を用いたものであり、打錠障害により生産性が十分でな
いという課題を残している。これと同様に湿式打錠法に
分類されるものとして、欧州特許出願公開EP0590
963A1号記載の製造方法があるが、この製造方法で
は、湿式打錠時の打錠障害を解消するために、非常に特
殊な製造機器を用いており、製造コスト及び生産性の問
題を孕んでいる。また、国際公開WO95/34290
号及び国際公開WO93/15724号公報記載の製造
方法はともに湿式打錠法に分類されるが、特殊な賦形剤
を使用しているか又は生産性が低いといった課題があ
る。
【0010】特公昭58−24410号公報には、錠剤
内容物を錠剤内容物に対して不活性な−30℃乃至+2
5℃で凍結する溶剤と混合し、この際、溶剤を全混合物
の5乃至80重量%とし、混合物を不活性冷却媒体中に
入れることにより固化させ、溶剤の凍結点より低い温度
で圧縮して錠剤とし、更に凍結乾燥又は自然乾燥により
溶剤を揮発させて崩壊性の良好な多孔性錠剤を製造する
方法が記載されている。また、特開平3−86837号
公報には、水溶性、水和性のゲルあるいは泡沫物質から
なる組成物から実質的に全ての水分が除去されるまで、
約0℃又はそれ以下の温度で無水エタノールのような無
機有機液体乾燥剤に接触させることによって得られる、
十分な強度を備えた容易に溶解しうる担体物質が記載さ
れている。しかしながら、何れの製造方法も製造工程が
複雑で、且つ凍結乾燥等の製造設備が必要となりコスト
が高くなるという課題があった。
【0011】国際公開WO93/01805号と米国特
許第5178578号明細書には、放出制御粒子を含む
口腔内崩壊型製剤についての記載があるが、これは単な
る混合物又は配合物を打錠するだけのことであるため、
口腔内崩壊型製剤の特性である口腔内における速やかな
崩壊性について検討の余地が残る。また、特開平8−3
01751号公報には、未硬化剪断型マトリックスと放
出制御型システムを混合し、成型・硬化する急速溶解性
食用単位が記載されているが、未硬化剪断型マトリック
スとして、具体的には非晶質化した糖類を使用しなけれ
ばならず、かかる非晶質化処理が煩雑である。
【0012】特開平2−32014号公報には、経口投
与に適した湿製錠剤の形態の固形製剤が記載されている
が、スプレードライ工程、続いてエタノール/水又は水
単独で湿潤隗を調製し、鋳型に入れ乾燥させて錠剤を得
る方法であるため、製造工程が煩雑であり生産性が低い
ことが予想される。
【0013】また、特開昭61−15830号公報に
は、制酸剤と製菓用甘味料及び可塑剤を含む製菓用基材
を含み、多孔性極微細結晶構造を有する制酸剤組成物が
記載されているが、製造方法が煩雑であり生産性に課題
がある。
【0014】更に、発泡錠タイプのものとしては、国際
公開WO97/09037号記載のものが知られている
が、この発泡錠は1錠が約5gと極めて大きく、口腔内
で崩壊させることを前提としておらず、むしろ飲料水中
で発泡させて得られた液剤を服用することを想定してい
るものであり、本発明が意図するようなそのまま服用で
きる口腔内崩壊型製剤とは技術分野が異なる。
【0015】また、同様の発泡錠タイプのものとして、
特公平5−500956号公報、特公平1−28321
9号公報,特開平7−10744号公報,米国特許第4
004036号,第4265847号明細書記載のもの
があるが、これらも混合物又は配合物を打錠するだけで
あるため、口腔内崩壊型製剤の特性である口腔内におけ
る速やかな崩壊性について検討の余地が残るという課題
があった。
【0016】本発明は、上述したような従来技術の有す
る課題に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、製剤の取扱いにおいて必要とされる適切な強度
を有し、しかも口腔内において速やかに崩壊する口腔内
崩壊型組成物及びその製造方法並びに口腔内崩壊型製剤
を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく、新規な口腔内崩壊型製剤の技術開発を図
るべく種々検討をしたところ、有機酸、炭酸塩、特定の
ネットワーク維持剤及び着色防止剤を含む実質的に乾燥
状態の混合物を成型し、得られた実質的に乾燥状態の成
型体に簡易な特定処理を施すことにより、予想外にも製
造工程や保存及び流通過程で壊れない程度の適度な強度
が得られ、且つ口腔内での速やかな崩壊性が実現できる
ことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】即ち、本発明の口腔内崩壊型組成物は、口
腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊型の硬化成型体組成
物であって、有機酸と、炭酸塩と、これらとネットワー
クを形成しているネットワーク維持剤及び着色防止剤と
を含有し、上記ネットワーク維持剤が、コーンスター
チ、ポテトスターチ、カルボキシメチルスターチナトリ
ウム、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセ
ルロース及びクロスカルメロースナトリウムから成る群
より選ばれた少なくとも1種の難水溶性固形物質であ
り、上記着色防止剤が、エリスリトール、キシリトー
ル、マンニトール及び乳糖から成る群より選ばれた少な
くとも1種の水溶性糖類であり、上記有機酸と炭酸塩と
の混合物100重量部に対し、上記ネットワーク維持剤
を25.0〜625.0重量部、上記着色防止剤を2
5.0〜937.5重量部配合して成る、ことを特徴と
する。
【0019】また、本発明の口腔内崩壊型組成物の好適
形態は、上記有機酸と炭酸塩との混合比が、重量比で
1:1〜9:1であることを特徴とする。
【0020】更に、本発明の口腔内崩壊型組成物の他の
好適形態は、上記炭酸塩が水に易溶であることを特徴と
する。
【0021】更にまた、本発明の口腔内崩壊型組成物の
更に他の好適形態は、空隙率が30〜60%であり、錠
剤強度が1〜10kpであり、健常成人での口溶け時間
が1.5分以内であることを特徴とする。
【0022】また、本発明の口腔内崩壊型製剤は、上述
のような口腔内崩壊型組成物に、薬効成分を添加して成
ることを特徴とする。
【0023】本発明の口腔内崩壊型製剤の好適形態は、
上記薬効成分が、中枢神経系用薬、アレルギー用薬、循
環器官用薬、呼吸器官用薬、消化器官用薬、ホルモン
剤、腫瘍用薬、抗生物質及び生理活性ペプチド類から成
る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特
徴とする。
【0024】また、本発明の口腔内崩壊型組成物の製造
方法は、口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊型の硬化
成型体組成物を製造するに当たり、(1)4.0〜6
0.1重量%の有機酸と、0.8〜33.4重量%の炭
酸塩と、コーンスターチ、ポテトスターチ、カルボキシ
メチルスターチナトリウム、結晶セルロース、低置換度
ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスカルメロース
ナトリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の難
水溶性固形物質であるネットワーク維持剤16.0〜5
0.0重量%と、エリスリトール、キシリトール、マン
ニトール及び乳糖から成る群より選ばれた少なくとも1
種の水溶性糖類である着色防止剤16.0〜75.0重
量%と、を混合して成型用混合物を得、(2)得られた
実質的に乾燥状態の成型用混合物を1〜130kg/c
の成型圧で成型し、(3)次いで、得られた成型体
を40〜120℃で加熱することにより、この成型体か
ら炭酸ガス及び水分を放出させるとともに、この成型体
中に上記有機酸、炭酸塩、ネットワーク維持剤、着色防
止剤及びこれらの反応生成物のネットワークを形成し、
これにより、該成型体を所望の強度にする、ことを特徴
とする
【0025】更に、本発明の口腔内崩壊型組成物の製造
方法の好適形態は、上記有機酸、炭酸塩、ネットワーク
維持剤及び着色防止剤のそれぞれを造粒した後に混合す
るか、又はこれら成分全てを混合した後に造粒すること
により、上記成型用混合物を造粒することを特徴とす
る。
【0026】更に、本発明の口腔内崩壊型組成物の製造
方法の好適形態は、上記造粒を湿式法で行い、当該造粒
した成型用混合物を上記成型前に乾燥することにより、
上記実質的に乾燥状態の成型用混合物を得ることを特徴
とする。
【0027】
【作用】本発明の口腔内崩壊型組成物が、優れた口腔内
崩壊性と製剤として適切な強度を示すに至るメカニズム
の詳細は明かではないが、現時点では以下のように推察
される。
【0028】即ち、本発明の口腔内崩壊型組成物は、有
機酸、炭酸塩、ネットワーク維持剤たる難水溶性固形物
質及び着色防止剤たる水溶性糖類を含有する混合物をか
なり低い成型圧で成型し、得られた成型体中で炭酸ガス
と水を化学反応で発生させ、次いで、これら炭酸ガス及
び水分を除去することにより得られる。従って、本組成
物は、成型時では、低い成型圧に起因して内部に多くの
空隙を有し、このままでは強度が不十分なはずである。
【0029】ところが、成型後の炭酸ガスと水の発生及
びその除去処理の初期に、有機酸、炭酸塩、難水溶性固
形物質及び水溶性糖類の全てから、これらに含まれてい
る水分が放出され、この放出水分に有機酸、炭酸塩及び
水溶性糖類が溶解し、溶解した有機酸と炭酸塩が反応し
て炭酸ガスと水を発生し、再び溶解、反応のサイクルを
繰り返し、最終的にこのサイクルが停止することにより
乾燥固化し、これら原料相互のネットワークを形成して
本組成物を硬化させ、本組成物が有する適切な物理的強
度を実現する。なお、上記難水溶性固形物質は、このネ
ットワーク化の際に当該ネットワークが膨張又は収縮す
るのを抑制する機能を果たし、本組成物の形状維持に貢
献する。
【0030】ここで、本明細書において、「ネットワー
ク」とは、本発明の組成物に適切な物理的強度を与える
原料相互の連結を意味し、具体的には、有機酸と炭酸塩
との化学反応によって局所的に発生した少量の水分に、
有機酸と炭酸塩を含む原料の一部、特に原料粒子の表面
が溶解し、この溶解している部分を介して原料粒子同士
が接近し、これらが乾燥する過程で原料そのもの及び反
応生成物として非晶質状態又は結晶状態で硬化すること
によって本組成物に与えられる、原料及びこれらの反応
生成物相互の連結を言うものとする。
【0031】一方、上述の現象の進行に伴い発生した炭
酸ガスと水は本組成物外に飛散することにより、上記の
低い成型圧(及びネットワーク化)と相俟って適度な多
孔質化を促し、口腔内での速やかな崩壊性を実現するも
のと思われる。なお、上述のような内部に空隙を有する
組成物において、口腔内崩壊性と錠剤強度との微妙で良
好なバランスを判断するには、本発明で規定する空隙率
と錠剤強度を判断材料とするのが好適であると考えられ
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の口腔内崩壊型組成
物について詳細に説明する。本発明の口腔内崩壊型組成
物は、上述の如く、有機酸、炭酸塩、ネットワーク維持
剤及び着色防止剤を含有するものであり、また、本発明
の口腔内崩壊型製剤は、本発明の口腔内崩壊型組成物に
薬効成分を添加したものであり、両者は崩壊性及び強度
につきほぼ共通の性質を有するため、以下、両者を併せ
て説明する。
【0033】ここで、本発明の口腔内崩壊型製剤におけ
る薬効成分としては、その形状や薬効領域によって限定
されるものではなく、例えば、中枢神経系用薬、末梢神
経系用薬、感覚器官用薬、アレルギー用薬、循環器官用
薬、呼吸器官用薬、消化器官用薬、ホルモン剤、泌尿生
殖器官及び肛門用薬、ビタミン剤、滋養強壮変質剤、血
液及び体液用薬、代謝性医薬品、細胞賦活用薬、腫瘍用
薬、診断用薬、物理的障害用薬、抗生物質、化学療法
剤、生物学的薬剤、生理活性ペプチド類、寄生動物に対
する薬などを挙げることができ、所要に応じて、これら
の薬効成分の一種又は複数の成分を混合して用いること
ができる。
【0034】また、上記薬効成分の配合量は、その性質
にもよるが、固形成分、即ち本発明の口腔内崩壊型組成
物全体の80重量%以下であり。好ましくは0.03〜
50重量%であり、更に好ましくは0.03〜20重量
%とすることが望ましい。薬効成分の配合量が、80重
量%を超えると、最終製品の口腔内崩壊性と錠剤強度と
の良好なバランスが得られず、好ましくない。
【0035】なお、本発明の製剤は、固形製剤、代表的
には錠剤形態を採るが、従来公知の手法により、苦みマ
スク等のマスキングを施すことできる。かかるマスキン
グは、薬効成分の原末や顆粒に施し、これを打錠するこ
ともできる。
【0036】本組成物は、以下に詳述する有機酸、炭酸
塩、ネットワーク維持剤及び着色防止剤を必須成分とす
るが、これらの配合比は重量比で、有機酸と炭酸塩との
混合物:ネットワーク維持剤:着色防止剤=100:2
5.0〜625.0:25.0〜937.5である。こ
の配合比の範囲を逸脱すると、本発明が意図する効果が
得られないことがあり、好ましくない。また、本組成物
において、有機酸と炭酸塩との混合比は、重量比で有機
酸:炭酸塩=1:1〜9:1とすることが好ましい。こ
の範囲を逸脱すると、本発明が意図する効果が得られな
いことがあり、好ましくない。
【0037】まず、有機酸の好適例としては、L−酒石
酸、無水クエン酸、乳酸、dl−リンゴ酸、フマル酸及
びL−アスコルビン酸等を挙げることができ、これらの
中でも無水クエン酸、L−酒石酸及びdl−リンゴ酸等
が特に好適である。また、本発明においては、これら有
機酸を単独で又は二種以上併用することも可能である。
かかる有機酸は、本組成物製造の際の上記脱炭酸ガス及
び脱水工程において、炭酸塩と反応して水を生成する機
能を果たす外、ネットワークを形成する機能を果たす。
【0038】本発明の口腔内崩壊型組成物における有機
酸の含有量は、得られる組成物が、意図する口腔内崩壊
性及び錠剤強度を実現できるようなものであれば十分で
あるが、通常4.0〜60.1重量%であり、好ましく
は15.0〜40.0重量%である。有機酸の含有量が
4.0重量%未満又は60.1重量%を超えると、最終
製品における口腔内崩壊性と錠剤強度との良好なバラン
スが得られず、好ましくない。
【0039】また、炭酸塩の好適例としては、炭酸水素
ナトリウム、炭酸水素カリウム及び炭酸ナトリウム等を
挙げることができるが、上述した原料相互のネットワー
ク化や有機酸との反応に際し、発生した水に迅速に溶解
するという観点からは、水に対して易溶の炭酸塩を特に
好ましく使用することができる。
【0040】なお、これら炭酸塩も単独で又は二種以上
を併用してもよく、本組成物中の炭酸塩の含有量は、上
記同様に意図する特性を実現できるようなものであれば
十分であるが、通常0.8〜33.4重量%、好ましく
は2.5〜15.0重量%である。炭酸塩の含有量が
0.8重量%未満又は33.4重量%を超えると、最終
製品における口腔内崩壊性と錠剤強度との良好なバラン
スが得られず、好ましくない。
【0041】次に、ネットワーク維持剤としては、コー
ンスターチ、ポテトスターチ、カルボキシメチルスター
チナトリウム、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプ
ロピルセルロース又はクロスカルメロースナトリウム、
及びこれらの任意の混合物に係る難水溶性固形物質が用
いられる。このネットワーク維持剤は、上述の脱炭酸ガ
ス及び脱水工程で生ずる本組成物(固形)の膨張による
変形や収縮による空隙の減少を抑制する機能を果たす。
なお、このネットワーク維持剤を添加しないと、得られ
る口腔内崩壊型組成物などが、後述する加熱工程で収縮
して固くなり過ぎ、口溶けが悪くなる。
【0042】かかるネットワーク維持剤の配合量は、通
常16.0〜50.0重量%、好ましくは25.0〜5
0.0重量%である。ネットワーク維持剤の配合量が1
6.0重量%未満では、後述する加熱工程で、錠剤が収
縮して固くなり過ぎ口溶けが悪くなり、50.0重量%
を超えると、十分な錠剤強度が得られず、好ましくな
い。
【0043】一方、着色防止剤としては、エリスリトー
ル、キシリトール、マンニトール又は乳糖及びこれらの
任意の混合物に係る水溶性糖類が用いられる。また、乳
糖としては、異性化乳糖及び還元乳糖などが用いられ
る。なお、この着色防止剤を添加しないと、得られる口
腔内崩壊型組成物及び製剤の服用時における味がまずく
なる外、製造工程において錠剤が変色を引き起こす。
【0044】かかる着色防止剤の含有量は、通常16.
0〜75.0重量%、好ましくは16.0〜60.0重
量%である。着色防止剤の含有量が16.0重量%未満
では、錠剤が製造工程で変色し、75.0重量%を超え
ると、十分な錠剤強度が得られず、好ましくない。
【0045】また、本発明の口腔内崩壊型組成物は、上
述のように適切な口腔内崩壊性を具備するものである
が、その指標として好適な空隙率は、30〜60%であ
り、本発明の口腔内崩壊型製剤の空隙率もこれに準ず
る。ここで、この空隙率は、水銀圧入法により錠剤の体
積及び全細孔体積を測定し、この測定値を用いて、次式
(1) 空隙率(%)=(全細孔体積/錠剤体積)×100…(1) から算出されるものを示すものとする。この空隙率が3
0%未満では、口腔内での崩壊に時間を要し、60%を
超えると、十分な強度が得られないことがあり、好まし
くない。
【0046】上述のように、本発明の組成物及び製剤
は、口腔内での崩壊性に優れ、且つ物理的強度(錠剤強
度)も強い。このように、口腔内での良好な崩壊性と製
剤上の適切な強度とを兼備させたことが、本発明の利点
であり、例えば、その錠剤強度は、通常1〜10kp、
好ましくは1.5〜7kp程度である。また、口溶け
(健康な成人男子の口腔内の唾液で錠剤が完全に崩壊す
るまでの時間)は通常1.5分以内、好ましくは1分以
内である。更に、崩壊時間(日本薬局方第13改正に記
載されている崩壊試験法による測定値)は通常1分以
内、好ましくは30秒以内である。
【0047】なお、本組成物の必須成分は、上述した有
機酸、炭酸塩、ネットワーク維持剤及び着色防止剤であ
るが、上記崩壊性その他の特性に悪影響を与えない限
り、錠剤の製造に一般に用いられる種類の添加剤を含有
させることも可能である。かかる添加剤としては、例え
ば、結合剤、滑沢剤、甘味料、香料及び着色剤などが挙
げられる。
【0048】結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン及びメチルセルロース等が挙
げられる。
【0049】滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、
ショ糖脂肪酸エステル、タルク及びポリエチレングリコ
ール等を例示できる。
【0050】甘味料としては、エリスリトール、キシリ
トール、マンニトール、乳糖、サッカリンナトリウム、
グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア
及びソーマチン等が挙げられる。香料としては、例え
ば、レモン、レモンライム、オレンジ及びメントール等
が挙げられる。着色料としては、例えば、食用黄色5
号、食用赤色5号、食用レーキ色素、三二酸化鉄及び黄
色三二酸化鉄等が挙げられる。
【0051】なお、上述した添加剤は、単独で又は二種
以上を組み合わせて使用することができ、更に、これら
の添加剤は、製造工程の何れの段階においても添加する
ことができる。即ち、これらの添加剤は、有機酸、炭酸
塩、ネットワーク維持剤及び着色防止剤の混合時、造粒
時又は成型直前の何れの工程においても、適宜適量添加
することができる。
【0052】次に、本発明の口腔内崩壊型組成物の製造
方法について説明する。上述の如く、本製造方法では、
まず、有機酸、炭酸塩、ネットワーク維持剤及び着色防
止剤を混合し、この成型用混合物を1〜130kg/c
の成型圧で成型する。そして、その後、得られた実
質的に乾燥状態の成型体を40〜120℃で加熱し、こ
の成型体から炭酸ガスと水分を放出するとともに、上記
4成分のネットワークを形成することにより、適度な強
度及び崩壊性を有する錠剤形態の口腔内崩壊型組成物を
得ることができる。
【0053】ここで、上記必須4成分の配合量は、上述
のように、有機酸4.0〜60.1重量%、炭酸塩0.
8〜33.4重量%、ネットワーク維持剤16.0〜5
0.0重量%、着色防止剤16.0〜75.0重量%で
ある。
【0054】また、混合の方法は、特に限定されるもの
ではなく、上記有機酸などの原料をそのままで又は造粒
した後に行うことができるが、本発明においては、得ら
れる成型用混合物を実質的に乾燥状態とし、次工程で得
られる成型体が実質的に乾燥状態となっていることを要
する。ここで、「実質的に乾燥状態」とは、カールフィ
ッシャー法で測定する含有水分率が5w/w%以下であ
ることを意味する。成型用混合物が実質的に乾燥した状
態でない場合には、打錠時にスティッキングを起こし易
くなる外、原料粉体を成型に供する際に連続的且つ定量
的に供給できないことがあり、好ましくない。
【0055】なお、かかる原料の造粒は、原料混合の前
後を問わず、且つ原料を全部、個々に又は任意の組み合
わせで配合して行うことができるが、このように造粒を
行っておけば、後の成型工程において、この混合物の錠
剤成型機への供給を円滑に行うことができるようにな
り、好適である。更に、造粒法としては、乾式又は湿式
のいずれでも行うことができるが、湿式造粒を行った場
合には、上記の理由や圧縮成型時の製造性の観点から、
成型前に水分を実質的に乾燥状態に至るまで除去してお
く必要がある。
【0056】また、成型用混合物の成型には、一般に単
発錠剤機やロータリー式錠剤機などが用いられるが、こ
れに限定されるものではなく、特殊仕様の錠剤機なども
使用できる。打錠の際の成型圧力は、通常1〜130k
g/cmであり、好ましくは10〜100kg/cm
、更に好ましくは20〜80kg/cmとする。成
型圧力が1kg/cm未満では、その後の製造工程で
成型物が破損し易く、130kg/cmを超えると、
最終製品の口腔内での崩壊性が悪くなり、好ましくな
い。
【0057】なお、本組成物に薬効成分を添加して成る
本発明の口腔内崩壊型製剤を製造する際には、薬効成分
の添加は上記成型前までに行えばよい。また、上述した
有機酸及び/又は炭酸塩などの配合量は、対象となる薬
効成分の酸・塩基性に応じて、適宜変更することが可能
である。
【0058】上述のようにして得られる成型体は、実質
的に乾燥状態のものであり、その後に加熱され、成型体
から炭酸ガスと水分の放出が行われ、これと同時に上記
ネットワーク化が実行される。なお、従来の口腔内崩壊
型錠剤の製法では、特開平5−271054号公報や特
開平8−291051号公報にも記載されているよう
に、成型用混合物や成型体自体に水分添加を行って成型
体を湿潤状態にし、その後に乾燥を行って錠剤を得るこ
とが行われているが、本発明では、そのような水分添加
工程は不必要であり、一工程省略により製造コストの低
減を図ることができる。
【0059】また、上述の加熱〜ネットワーク化工程
は、本発明者らの知見によって導き出されたものであ
り、本発明の顕著性を示すもので、他の製剤技術には類
を見ないものであり、従来とは反対の動機付けを提供す
るものである。
【0060】即ち、従来、有機酸と炭酸塩とを含む発泡
錠などにおいて、このような加熱を行うことは当該発泡
錠を劣化させることになるので、厳に慎むべき事項とさ
れていた。また、2層構造の発泡錠などでは、かかる層
構造を採用することで、炭酸塩と有機酸とが直接接触す
る面積を極力低減し、保存安定性などが悪化するのを防
止する工夫がなされている。更に、炭酸塩を有機酸と共
存させて包装容器内に入れると、微量の水分によって反
応が起きるので、炭酸ガスの発生により包装容器の内圧
が高まり容器が膨れ、場合によっては破損を引き起こす
ことがある。このような事態が発生すると、商品価値が
無くなるばかりでなく、消費者の信用をも失墜してしま
うことが知られている。
【0061】かかる事態を回避すべく、特開昭58−2
13714号公報では、炭酸塩とボウ硝の複塩を予め調
製しておき、これに有機酸を配合する方法が開示されて
いる。また、特開昭58−105910号公報では、ポ
リエチレングリコール(以下、「PEG」と略す)と他
の発泡成分とを配合した後、加熱して溶融せしめ、発泡
成分をPEG中に埋め込む方法が開示されている。更
に、特開昭61−176519号公報では、50℃以下
で結晶水を遊離しない有機酸とPEGとを加熱溶融混合
後、冷却、粉末化し、これに重炭酸ナトリウムと炭酸ナ
トリウムを添加する方法が開示されている。これらの手
法はいずれも炭酸塩と有機酸とが共存することによる組
成物の不安定化を防ぐために提案されたものであり、炭
酸塩と有機酸が反応しないように工夫された技術であ
る。
【0062】これに対し、本発明では、製造工程におい
て、有機酸と炭酸塩とを積極的に接触させて加熱し、こ
れらの一部を反応させることによって、得られる錠剤の
強度を良好なものとした。しかも、かかる加熱〜ネット
ワーク化工程を実施することにより、本組成物の保存安
定性を向上することを実現したものである。
【0063】この理由の詳細は現時点では必ずしも明ら
かではないが、本発明所定の加熱〜ネットワーク化工程
により、成型体中で相互に隣接ないしは近接した有機酸
粒と炭酸塩粒との炭酸ガス及び水分生成反応が強制的に
行われる過程で、これらが中和されてネットワークを形
成して硬化し、この一方、炭酸ガス及び水分生成反応に
関与しなかった有機酸粒と炭酸塩粒とは、かかるネット
ワークによって隔離されて相互の直接接触や反応が抑制
され、これにより、錠剤の保存安定性が向上する。ま
た、これとともに、錠剤内には、経口投与時の速やかな
崩壊と好適な口当たりに必要とされる量の有機酸と炭酸
塩とがバランスよく残存するため、本発明が意図する効
果が得られるものと推察される。
【0064】なお、本発明者らは、上述の加熱工程にお
いて、有機酸と炭酸塩との化学反応により炭酸ガスと水
が当該成型体から発生していることを、日本ベル(株)
製の全自動昇温脱離スペクトル装置を用いた実験で証明
している(図1及び図2参照)。即ち、後述する実施例
2と同様の処方の成型体からは、加熱開始10分程度で
120℃付近に達したところで、炭酸ガスと水の発生が
検出された。これに対し、後述する比較例5の処方にお
いてエリスリトールをマンニトールに代えたもの、即ち
このものは有機酸を含まない処方であるが、化学反応に
よる炭酸ガス及び水の発生は検出されなかった。
【0065】なお、上述の加熱〜ネットワーク化工程の
進行に伴い発生した炭酸ガスと水は本組成物外に飛散す
ることにより、上記の低い成型圧(及びネットワーク
化)と相俟って適度な多孔質化を促し、口腔内での速や
かな崩壊性を実現するものと思われるが、炭酸ガスと水
の発生に関与する有機酸や炭酸塩などは、ネットワーク
形成以外にも口腔内での速やかな口溶けや好適な口当た
りに関与しており、その全部が飛散してしまう訳ではな
い。従って、この点において、単純に重炭酸アンモニウ
ムなどの揮発性成分を全部揮発させて錠剤の多孔質化を
実現する特許第2640570号記載の技術とは発明思
想を全く異にする。
【0066】上記成型体の加熱は、例えば、マイクロ波
乾燥機や通風乾燥機を用いて行うことができる。加熱温
度は、得られる組成物又は製剤(特に錠剤)が上述の空
隙率や錠剤強度等を有し、これらが製造工程、包装工
程、流通工程及び患者の取扱い時において必要な強度
と、良好な口腔内崩壊性を発揮できるような温度であれ
ばよい。具体的には、加熱温度は、40〜120℃であ
り、好ましくは60〜120℃である。なお、加熱温度
の上限は、配合されている添加剤又は薬効成分の融点以
下であることが好ましいが、取扱い上必要な強度が得ら
れ、口腔内で速やかに崩壊する特性が得られる限り、こ
れに限定されるものではない。
【0067】以上のようにして得られる本発明の口腔内
崩壊型組成物に係る錠剤は、そのまま経口投与すること
を前提とするため、その重量及び大きさには自ずと適切
な範囲があり、具体的には、約100〜1000mg、
約6〜12mmφ×2〜6mm(厚み)の範囲のものが
好適である。重量及び大きさが上記範囲を逸脱すると、
口腔内で占める物理的容積率が高く、服用が困難とな
り、好ましくない。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。なお、各例で得られた組成物や製剤につ
き、下記の性能評価を行った。
【0069】[空隙率]島津製作所製のオートポア92
20型を用いて水銀圧入法を行い、全細孔体積及び錠剤
体積を測定し、上述の(1)式から算出した。なお、測
定は3回行い、その平均値を示した。
【0070】[錠剤強度]錠剤硬度計(6D,Schl
euniger社製)を用いて測定した。測定は3回行
い、その平均値を示した。
【0071】[口溶け]健康な成人男子の口腔内の唾液
により、錠剤が完全に崩壊するまでの時間を測定した。
測定は3回行い、その平均値を示した。
【0072】(実施例1)乳鉢に、マンニトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表1に示した配合で添加し、約3分間混合した。次
いで、この混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約
10kg/cmの圧力を加えることによって成型を行
った。この成型物を、通風乾燥機を用いて115℃で1
0分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥
することにより、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を
得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得
られた結果を表31に示した。
【0073】
【表1】
【0074】(実施例2)実施例1と同様の操作を繰り
返し、マンニトール等の混合物を得た。次いで、得られ
た混合物6gに約0.2mlの精製水を添加して約2分
間混合した後、50℃で1時間乾燥した。この乾燥した
混合物を500μm目開きの篩を介して整粒し、造粒し
た成型用混合物を得た。しかる後、実施例1と同様に成
型及び加熱を行い、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥
することにより、本例の口腔内崩壊型組成物を得た。上
述の性能評価を行い、得られた結果を表31に示した。
【0075】(実施例3)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそ
れぞれ表2に示した配合で添加し、約3分間混合した。
次いで、得られた混合物6gに約0.6mlの精製水を
添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥し
た。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介し
て整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この
混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約10kg/
cmの圧力を加えることによって成型を行った。この
成型物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加熱し
た後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得られ
た錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を
表31に示した。
【0076】
【表2】
【0077】(実施例4)乳鉢に、キシリトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表3に示した配合で添加し、約3分間混合した。次
いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を添
加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥した。
この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介して整
粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この混合
物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg/cm
の圧力を加えることによって成型を行った。この成型
物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加熱した
後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得られ
た錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を
表31に示した。
【0078】
【表3】
【0079】(実施例5)乳鉢に、マンニトール、結晶
セルロース、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表4に示した配合で添加し、約3分間混合した。次
いで、得られた混合物6gに約0.3mlの精製水を添
加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥した。
この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介して整
粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この混合
物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg/cm
の圧力を加えることによって成型を行った。この成型
物を、通風乾燥機を用いて110℃で10分間加熱した
後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得られ
た錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を
表31に示した。
【0080】
【表4】
【0081】(実施例6)乳鉢に、エリスリトール、カ
ルボキシメチルスターチナトリウム、無水クエン酸、炭
酸水素ナトリウムをそれぞれ表5に示した配合で添加
し、約3分間混合した。次いで、得られた混合物6gに
約0.2mlの精製水を添加して約2分間混合した後、
50℃で1時間乾燥した。この乾燥した混合物を500
μm目開きの篩を介して整粒し、造粒した成型用混合物
を得た。次いで、この混合物に、直径1cmの杵及び臼
を用いて約20kg/cmの圧力を加えることによっ
て成型を行った。この成型物を、通風乾燥機を用いて6
0℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で
一晩乾燥することにより、本例の口腔内崩壊型組成物
(錠剤)を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価
を行い、得られた結果を表31に示した。
【0082】
【表5】
【0083】(実施例7)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素カリウムをそれ
ぞれ表6に示した配合で添加し、約3分間混合した。次
いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を添
加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥した。
この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介して整
粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この混合
物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg/cm
の圧力を加えることによって成型を行った。この成型
物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加熱した
後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得られ
た錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を
表31に示した。
【0084】
【表6】
【0085】(実施例8)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそ
れぞれ表7に示した配合で添加し、約3分間混合した。
次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を
添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥し
た。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介し
て整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この
混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg/
cmの圧力を加えることによって成型を行った。この
成型物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加熱し
た後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得られ
た錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を
表31に示した。
【0086】
【表7】
【0087】(実施例9)乳鉢に、マンニトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表8に示した配合で添加し、約3分間混合した。次
いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を添
加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥した。
この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介して整
粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この混合
物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg/cm
の圧力を加えることによって成型を行った。この成型
物を、通風乾燥機を用いて110℃で10分間加熱した
後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得られ
た錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を
表31に示した。
【0088】
【表8】
【0089】(実施例10)乳鉢に、エリスリトール、
コーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムを
それぞれ表9に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製
水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥
した。この乾燥した混合物を600μm目開きの篩を介
して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、こ
の混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg
/cmの圧力を加えることによって成型を行った。こ
の成型物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加熱
した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することに
より、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得ら
れた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果
を表31に示した。
【0090】
【表9】
【0091】(実施例11)乳鉢に、エリスリトール、
コーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムを
それぞれ表10に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製
水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥
した。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介
して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、こ
の混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg
/cmの圧力を加えることによって成型を行った。こ
の成型物を、通風乾燥機を用いて60℃で10分間加熱
した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することに
より、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得ら
れた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果
を表31に示した。
【0092】
【表10】
【0093】(実施例12)乳鉢に、エリスリトール、
コーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムを
それぞれ表11に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物12gに約0.4mlの精
製水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾
燥した。この乾燥した混合物を600μm目開きの篩を
介して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、
この混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約30k
g/cmの圧力を加えることによって成型を行った。
この成型物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加
熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥すること
により、本例の口腔内崩壊型組成物(錠剤)を得た。得
られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結
果を表31に示した。
【0094】
【表11】
【0095】(実施例13)乳鉢に、シンバスタチン、
エリスリトール、コーンスターチ、無水クエン酸、炭酸
水素ナトリウムをそれぞれ表12に示した配合で添加
し、約3分間混合した。次いで、得られた混合物6gに
約0.2mlの精製水を添加して約2分間混合した後、
50℃で1時間乾燥した。この乾燥した混合物を500
μm目開きの篩を介して整粒し、造粒した成型用混合物
を得た。次いで、この混合物に、直径1cmの杵及び臼
を用いて約60kg/cmの圧力を加えることによっ
て成型を行った。この成型物を、通風乾燥機を用いて7
0℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で
一晩乾燥することにより、本例の口腔内崩壊型製剤(錠
剤)を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行
い、得られた結果を表31に示した。
【0096】
【表12】
【0097】(実施例14)乳鉢に、リザトリプタン、
マンニトール、コーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水
素ナトリウムをそれぞれ表13に示した配合で添加し、
約3分間混合した。次いで、得られた混合物6gに約
0.2mlの精製水を添加して約2分間混合した後、5
0℃で1時間乾燥した。この乾燥した混合物を500μ
m目開きの篩を介して整粒し、造粒した成型用混合物を
得た。次いで、この混合物に、直径1cmの杵及び臼を
用いて約60kg/cmの圧力を加えることによって
成型を行った。この成型物を、通風乾燥機を用いて11
0℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で
一晩乾燥することにより、本例の口腔内崩壊型製剤(錠
剤)を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行
い、得られた結果を表31に示した。
【0098】
【表13】
【0099】(実施例15)乳鉢に、ロサンタンカリウ
ム、エリスリトール、コーンスターチ、無水クエン酸、
炭酸水素ナトリウムをそれぞれ表14に示した配合で添
加し、約3分間混合した。次いで、得られた混合物6g
に約0.2mlの精製水を添加して約2分間混合した
後、50℃で1時間乾燥した。この乾燥した混合物を5
00μm目開きの篩を介して整粒し、造粒した成型用混
合物を得た。次いで、この混合物に、直径1cmの杵及
び臼を用いて約60kg/cmの圧力を加えることに
よって成型を行った。この成型物を、通風乾燥機を用い
て70℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器
中で一晩乾燥することにより、本例の口腔内崩壊型製剤
(錠剤)を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価
を行い、得られた結果を表31に示した。
【0100】
【表14】
【0101】(実施例16)乳鉢に、エンドセリン拮抗
剤である萬有製薬(株)化合物コードJ−104,13
2、マンニトール、コーンスターチ、無水クエン酸、炭
酸水素ナトリウムをそれぞれ表15に示した配合で添加
し、約3分間混合した。次いで、得られた混合物6gに
約0.2mlの精製水を添加して約2分間混合した後、
50℃で1時間乾燥した。この乾燥した混合物を600
μm目開きの篩を介して整粒し、造粒した成型用混合物
を得た。次いで、この混合物に、直径1cmの杵及び臼
を用いて約60kg/cmの圧力を加えることによっ
て成型を行った。この成型物を、通風乾燥機を用いて1
15℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中
で一晩乾燥することにより、本例の口腔内崩壊型製剤
(錠剤)を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価
を行い、得られた結果を表31に示した。
【0102】
【表15】
【0103】(実施例17)乳鉢に、萬有製薬(株)化
合物コードJ−104,135、エリスリトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表16に示した配合で添加し、約3分間混合した。
次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を
添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥し
た。この乾燥した混合物を600μm目開きの篩を介し
て整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この
混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約60kg/
cmの圧力を加えることによって成型を行った。この
成型物を、通風乾燥機を用いて80℃で10分間加熱し
た後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型製剤(錠剤)を得た。得られた
錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を表
31に示した。
【0104】
【表16】
【0105】(実施例18)乳鉢に、萬有製薬(株)化
合物コードJ−112,534、エリスリトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表17に示した配合で添加し、約3分間混合した。
次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を
添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥し
た。この乾燥した混合物を600μm目開きの篩を介し
て整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この
混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約60kg/
cmの圧力を加えることによって成型を行った。この
成型物を、通風乾燥機を用いて80℃で10分間加熱し
た後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の口腔内崩壊型製剤(錠剤)を得た。得られた
錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を表
31に示した。
【0106】
【表17】
【0107】(実施例19)乳鉢に、エリスリトール、
コーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムを
それぞれ表18に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物24gに約0.8mlの精
製水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾
燥した。この乾燥した混合物を600μm目開きの篩を
介して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、
この混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約60k
g/cmの圧力を加えることによって成型を行った。
この成型物を、マイクロ波乾燥機(松下電器産業株式会
社製:NE−A33、2450MHz)を用いて2.6
分間加熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥す
ることにより、本例の口腔内崩壊型製剤(錠剤)を得
た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得ら
れた結果を表31に示した。
【0108】
【表18】
【0109】(比較例1)乳鉢に、マンニトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれ
ぞれ表19に示した配合で添加し、約3分間混合した。
次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製水を
添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥し
た。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介し
て整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、この
混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg/
cmの圧力を加えることによって成型を行った。この
成型物を、通風乾燥機を用いて130℃で10分間加熱
した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することに
より、本例の錠剤を得た。得られた錠剤につき、上述の
性能評価を行い、得られた結果を表32に示した。
【0110】
【表19】
【0111】(比較例2)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそ
れぞれ表20に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製
水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥
した。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介
して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、こ
の混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約200k
g/cmの圧力を加えることによって成型を行った。
この成型物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加
熱した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥すること
により、本例の錠剤を得た。得られた錠剤につき、上述
の性能評価を行い、得られた結果を表32に示した。
【0112】
【表20】
【0113】(比較例3)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそ
れぞれ表21に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製
水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥
した。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介
して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、こ
の混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約20kg
/cmの圧力を加えることによって成型を行った。こ
の成型物を、通風乾燥機を用いて50℃で10分間加熱
した後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することに
より、本例の錠剤を得た。得られた錠剤につき、上述の
性能評価を行い、得られた結果を表32に示した。
【0114】
【表21】
【0115】(比較例4)乳鉢に、マンニトール、コー
ンスターチ、無水クエン酸をそれぞれ表22に示した配
合で添加し、約3分間混合した。次いで、得られた混合
物6gに約0.2mlの精製水を添加して約2分間混合
した後、50℃で1時間乾燥した。この乾燥した混合物
を500μm目開きの篩を介して整粒し、造粒した成型
用混合物を得た。次いで、この混合物に、直径1cmの
杵及び臼を用いて約20kg/cmの圧力を加えるこ
とによって成型を行った。この成型物を、通風乾燥機を
用いて110℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの密
閉容器中で一晩乾燥することにより、本例の錠剤を得
た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得ら
れた結果を表32に示した。
【0116】
【表22】
【0117】(比較例5)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、炭酸水素ナトリウムをそれぞれ表23に
示した配合で添加し、約3分間混合した。次いで、得ら
れた混合物6gに約0.2mlの精製水を添加して約2
分間混合した後、50℃で1時間乾燥した。この乾燥し
た混合物を500μm目開きの篩を介して整粒し、造粒
した成型用混合物を得た。次いで、この混合物に、直径
1cmの杵及び臼を用いて約20kg/cmの圧力を
加えることによって成型を行った。この成型物を、通風
乾燥機を用いて70℃で10分間加熱した後、乾燥剤入
りの密閉容器中で一晩乾燥することにより、本例の錠剤
を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、
得られた結果を表32に示した。
【0118】
【表23】
【0119】(比較例6)乳鉢に、コーンスターチ、無
水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれぞれ表24に示
した配合で添加し、約3分間混合した。次いで、得られ
た混合物6gに約0.2mlの精製水を添加して約2分
間混合した後、50℃で1時間乾燥した。この乾燥した
混合物を600μm目開きの篩を介して整粒し、造粒し
た成型用混合物を得た。次いで、この混合物に、直径1
cmの杵及び臼を用いて約10kg/cmの圧力を加
えることによって成型を行った。この成型物を、通風乾
燥機を用いて115℃で30分間加熱した後、乾燥剤入
りの密閉容器中で一晩乾燥することにより、本例の錠剤
を得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、
得られた結果を表32に示した。
【0120】
【表24】
【0121】(比較例7)乳鉢に、マンニトール、無水
クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそれぞれ表25に示し
た配合で添加し、約3分間混合した。次いで、得られた
混合物6gに約0.2mlの精製水を添加して約2分間
混合した後、50℃で1時間乾燥した。この乾燥した混
合物を600μm目開きの篩を介して整粒し、造粒した
成型用混合物を得た。次いで、この混合物に、直径1c
mの杵及び臼を用いて約20kg/cmの圧力を加え
ることによって成型を行った。この成型物を、通風乾燥
機を用いて115℃で10分間加熱した後、乾燥剤入り
の密閉容器中で一晩乾燥することにより、本例の錠剤を
得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得
られた結果を表32に示した。
【0122】
【表25】
【0123】(比較例8)乳鉢に、エリスリトール、コ
ーンスターチ、無水クエン酸、炭酸水素ナトリウムをそ
れぞれ表26に示した配合で添加し、約3分間混合し
た。次いで、得られた混合物6gに約0.2mlの精製
水を添加して約2分間混合した後、50℃で1時間乾燥
した。この乾燥した混合物を500μm目開きの篩を介
して整粒し、造粒した成型用混合物を得た。次いで、こ
の混合物に、直径1cmの杵及び臼を用いて約400k
g/cmの圧力を加えることによって、本例の錠剤を
得た。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、得
られた結果を表32に示した。
【0124】
【表26】
【0125】(比較例9)エリスリトールに、直径1c
mの杵及び臼を用いて約60kg/cmの圧力を加え
ることによって成型を行った。この成型物を、通風乾燥
機を用いて80℃で10分間加熱した後、乾燥剤入りの
密閉容器中で一晩乾燥することにより、本例の錠剤を得
た。エリスリトールの添加量を表27に示す。得られた
錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を表
32に示した。
【0126】
【表27】
【0127】(比較例10)マンニトールに、直径1c
mの杵及び臼を用いて約60kg/cmの圧力を加え
ることによって成型を行った。この成型物を、通風乾燥
機を用いて115℃で10分間加熱した後、乾燥剤入り
の密閉容器中で一晩乾燥することにより、本例の錠剤を
得た。マンニトールの添加量を表28に示す。得られた
錠剤につき、上述の性能評価を行い、得られた結果を表
32に示した。
【0128】
【表28】
【0129】(比較例11)エリスリトール6gに約
1.0mlの精製水を添加して約2分間混合した後、5
0℃で2時間乾燥した。この乾燥物を600μm目開き
の篩を介して整粒し、造粒した。次いで、このエリスリ
トールに、直径1cmの杵及び臼を用いて約60kg/
cmの圧力を加えることによって成型を行った。この
成型物を、通風乾燥機を用いて80℃で10分間加熱し
た後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の錠剤を得た。エリスリトールの添加量を表2
9に示す。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行
い、得られた結果を表32に示した。
【0130】
【表29】
【0131】(比較例12)マンニトール6gに約1.
0mlの精製水を添加して約2分間混合した後、50℃
で2時間乾燥した。この乾燥物を600μm目開きの篩
を介して整粒し、造粒した。次いで、このマンニトール
に、直径1cmの杵及び臼を用いて約60kg/cm
の圧力を加えることによって成型を行った。この成型物
を、通風乾燥機を用いて115℃で10分間加熱した
後、乾燥剤入りの密閉容器中で一晩乾燥することによ
り、本例の錠剤を得た。マンニトールの添加量を表30
に示す。得られた錠剤につき、上述の性能評価を行い、
得られた結果を表32に示した。
【0132】
【表30】
【0133】
【表31】
【0134】
【表32】
【0135】表31及び表32から、以下のことが分か
る。比較例9〜12より、水溶性糖類又は湿式造粒され
た水溶性糖類だけでは、所望の錠剤強度及び口溶け時間
を有する錠剤は得られず、所望効果を達成するために
は、有機酸、炭酸塩及びネットワーク維持剤が必要であ
ることが明らかである。更に、比較例4及び5より、有
機酸又は炭酸塩のいずれか一方が存在しない場合にも、
所望の錠剤強度は得られず、このことから、有機酸と炭
酸塩との中和反応が錠剤強度の上昇に関与していること
が明らかとなる。
【0136】また、比較例7のようにネットワーク維持
剤を配合しない場合には、加熱工程で錠剤が収縮し、空
隙率が減少してしまう。この結果、錠剤強度は上昇する
ものの、所望の口溶けが得られない。一方、着色防止剤
を除いた比較例6では、所望の錠剤強度及び口溶けは得
られるものの、服用時の味が悪く、口腔内崩壊錠として
は好ましくない。更に、加熱工程において着色(変色)
してしまうという欠点もある。以上のことから、本発明
において、ネットワーク形成、つまり物理的強度の上昇
は有機酸、炭酸塩及びネットワーク維持剤の間で達成さ
れており、この点において、水溶性糖類を必須成分と
し、これの配合により錠剤強度を得ている多くの周辺特
許と本発明とは技術的思想を異にする。
【0137】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、有機酸、炭酸塩、特定のネットワーク維持剤及び着
色防止剤を含む実質的に乾燥状態の混合物を成型し、得
られた実質的に乾燥状態の成型体に簡易な特定処理を施
すこととしたため、製剤の取扱いにおいて必要とされる
適切な強度を有し、しかも口腔内において速やかに崩壊
する口腔内崩壊型組成物及びその製造法を提供すること
ができる。
【0138】上述のように、本発明の口腔内崩壊型錠剤
は優れた崩壊性を有しているため、服用が容易であり、
且つ適度な強度を有しているため取扱い易く、更に長期
間の保存や安定性に優れている。従って、含有させる薬
効成分に応じて適応される患者のコンプライアンスの向
上を通して、病気の治療、予防に好適に用いることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成型体からの炭酸ガスと水の発生を示すグラフ
である。
【図2】成形体からの水の発生を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/38 A61K 47/38 // A61K 9/46 9/46

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊型
    の硬化成型体組成物であって、 有機酸と、炭酸塩と、これらとネットワークを形成して
    いるネットワーク維持剤及び着色防止剤とを含有し、 上記ネットワーク維持剤が、コーンスターチ、ポテトス
    ターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、結晶セ
    ルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び
    クロスカルメロースナトリウムから成る群より選ばれた
    少なくとも1種の難水溶性固形物質であり、 上記着色防止剤が、エリスリトール、キシリトール、マ
    ンニトール及び乳糖から成る群より選ばれた少なくとも
    1種の水溶性糖類であり、 上記有機酸と炭酸塩との混合物100重量部に対し、上
    記ネットワーク維持剤を25.0〜625.0重量部、
    上記着色防止剤を25.0〜937.5重量部配合して
    成る、 ことを特徴とする口腔内崩壊型組成物。
  2. 【請求項2】 上記有機酸と炭酸塩との混合比が、重量
    比で1:1〜9:1であることを特徴とする請求項1記
    載の口腔内崩壊型組成物。
  3. 【請求項3】 上記炭酸塩が水に易溶であることを特徴
    とする請求項1又は2記載の口腔内崩壊型組成物。
  4. 【請求項4】 空隙率が30〜60%であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の口腔内
    崩壊型組成物。
  5. 【請求項5】 錠剤強度が1〜10kpであることを特
    徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の口腔
    内崩壊型組成物。
  6. 【請求項6】 健常成人での口溶け時間が1.5分以内
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの
    項に記載の口腔内崩壊型組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1つの項に記載
    の口腔内崩壊型組成物に、薬効成分を添加して成ること
    を特徴とする口腔内崩壊型製剤。
  8. 【請求項8】 上記薬効成分が、中枢神経系用薬、アレ
    ルギー用薬、循環器官用薬、呼吸器官用薬、消化器官用
    薬、ホルモン剤、腫瘍用薬、抗生物質及び生理活性ペプ
    チド類から成る群より選ばれた少なくとも1種のもので
    あることを特徴とする請求項7記載の口腔内崩壊型製
    剤。
  9. 【請求項9】 口腔内で速やかに崩壊する口腔内崩壊型
    の硬化成型体組成物を製造するに当たり、(1)4.0
    〜60.1重量%の有機酸と、0.8〜33.4重量%
    の炭酸塩と、コーンスターチ、ポテトスターチ、カルボ
    キシメチルスターチナトリウム、結晶セルロース、低置
    換度ヒドロキシプロピルセルロース及びクロスカルメロ
    ースナトリウムから成る群より選ばれた少なくとも1種
    の難水溶性固形物質であるネットワーク維持剤16.0
    〜50.0重量%と、エリスリトール、キシリトール、
    マンニトール及び乳糖から成る群より選ばれた少なくと
    も1種の水溶性糖類である着色防止剤16.0〜75.
    0重量%と、を混合して成型用混合物を得、(2)得ら
    れた実質的に乾燥状態の成型用混合物を1〜130kg
    /cmの成型圧で成型し、(3)次いで、得られた成
    型体を40〜120℃で加熱することにより、この成型
    体から炭酸ガス及び水分を放出させるとともに、この成
    型体中に上記有機酸、炭酸塩、ネットワーク維持剤、着
    色防止剤及びこれらの反応生成物のネットワークを形成
    し、これにより、該成型体を所望の強度にする、 ことを特徴とする口腔内崩壊型組成物の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記有機酸、炭酸塩、ネットワーク維
    持剤及び着色防止剤のそれぞれを造粒した後に混合する
    か、又はこれら成分全てを混合した後に造粒することに
    より、上記成型用混合物を造粒することを特徴とする請
    求項9記載の口腔内崩壊型組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記造粒を湿式法で行い、当該造粒し
    た成型用混合物を上記成型前に乾燥することにより、上
    記実質的に乾燥状態の成型用混合物を得ることを特徴と
    する請求項10記載の口腔内崩壊型組成物の製造方法。
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