JPH1124065A

JPH1124065A - 液晶表示装置

Info

Publication number: JPH1124065A
Application number: JP9181030A
Authority: JP
Inventors: Hiroyuki Moriwaki; 弘幸森脇; 和也 ▲吉▼村; Kazuya Yoshimura; Takeyuki Ashida; 丈行芦田
Original assignee: Sharp Corp
Current assignee: Sharp Corp
Priority date: 1997-07-07
Filing date: 1997-07-07
Publication date: 1999-01-29
Also published as: US5995180A

Abstract

(57)【要約】【課題】高明度で高コントラストであってペーパーホ
ワイト化が可能な液晶表示装置を提供する。【解決手段】液晶セル１を挟み込む一対の偏光板の上
側偏光板１０は、入射光を反射成分と透過成分とに偏光
する。こうして、高分子二色偏光板を用いた場合に吸収
される光を反射光として利用して明度を向上する。一
方、下側偏光板６は、入射光を吸収成分と透過成分とに
偏光する。こうして、下側偏光板６からの反射光を無く
し、下側偏光板６からの反射光が上側偏光板１０で反射
されることに起因するコントラストの低下を回避する。
また、上側偏光板１０は、反射光および透過光において
フラットな分光特性を有し、ａ＊値ｂ＊値は共に１以下
を呈する。したがって、上側偏光板１０における反射光
および透過光には着色が起こらず、ペーパーホワイト化
を容易に実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、偏光光を利用し
た液晶表示装置、特には、高明度高コントラストな液晶
表示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】液晶表示装置における液晶素子は、外部
光を変調する非発光素子であるために低消費電力であ
る。また、薄型軽量であるためにフラットディスプレイ
に適用できる。そこで、上記液晶素子は、上述の利点を
発揮して、時計,電卓,コンピュータ端末,ワードプロセ
ッサあるいはテレビ受信機等に用いられ、情報表示装置
として広い分野にわたって利用されている。

【０００３】現代社会は高度情報化社会と言われてお
り、情報の流通量が増大し、各個人における情報の収集
や選択に対する要求が増大している。このような社会的
背景において、個人用の携帯用情報端末の必要性が広く
認識され、その実現が期待されており、接触的に開発が
進められている。

【０００４】ところで、最近、次世代携帯端末モジュー
ル用として、背景およびオフ電圧時の色調色が紙のよう
に白く且つオン電圧時の黒レベルが良好な紙に鉛筆書き
したような高明度高コントラストな特に反射型の液晶表
示装置が求められている。

【０００５】しかしながら、従来の透過型,半透過型お
よび反射型の液晶表示装置では、以下のように、入射光
は、少なくとも偏光板を２度通過した後に出射されるよ
うになっている。すなわち、一般的に、透過型液晶表示
装置では、一対の偏光板間に液晶素子を配置して構成さ
れている。そして、一方の偏光板側から入射された入射
光を他方の偏光板を通過して出射させている。また、反
射型液晶表示装置では、偏光板,液晶素子,偏光板及び反
射板を上述の順番で積層して構成されている。そして、
最外の偏光板からの入射光を反射板で反射させ、上記最
外の偏光板を通過して出射させている。

【０００６】上記液晶素子を挟む両偏光板として、高分
子二色偏光板が広く実用化されている。この偏光板は、
入射光のうち、一定方向の偏光面の光だけを通して他の
光をほぼ吸収する。この場合、理論的には入射光の５０
％の光が失われてしまい、このことが液晶パネルの高明
度化における最大の問題となる。特に、反射型液晶表示
装置の場合には、入射光は偏光板を４回通過した後出射
するため、上述の問題はより深刻である。また、液晶層
から反射板までの距離による視差によって表示に陰が生
じ、視認性が著しく低下する。そこで、上記反射型液晶
表示装置における視差による視認性の低下を解消して高
明度化を図るための種々の提案がなされている。

【０００７】上述のような反射型液晶表示装置として、
例えば、特開平６−２３０３６２号公報に開示されたも
のがある。この液晶表示装置は、反射型のＴＮ(ツイス
テッドネマチック)型液晶表示装置である。液晶素子の
一方側には、偏光板を配置している。また、上記液晶素
子の他方側には、液晶素子側から順に１/４波長板,コレ
ステリック液晶ポリマフィルムおよび光吸収板を互いに
密着させて配置している。そして、上記偏光板側から入
射した不要な光を上記光吸収板で吸収させ、特定の波長
範囲の光だけを再び上記偏光板を通過させて出射させる
ようにしている。つまり、上記１/４波長板およびコレ
ステリック液晶ポリマフィルムを上記他方側の偏光板と
して用い、上記光吸収板を反射板の変わりに用いて不要
な光を吸収することによって、出射される光は上記液晶
素子からの反射光だけになる。したがって、影が無くな
ることによって視認性の低下が解消され、偏光板を１枚
に減らすことによって明るさを向上している。

【０００８】また、特開平１−１３３００３号公報に
は、光の吸収を防止した高性能偏光板が開示されてい
る。この高性能偏光板は、１/４波長板にコレステリッ
ク相からなる高分子液晶層を積層したものである。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のコレステリック液晶ポリマフィルムを用いた液晶表
示装置(特開平６−２３０３６２号公報)では、コレステ
リック液晶ポリフィルムが特定の波長範囲の光のみを反
射する。また、１/４波長板は、特定の波長の光を直線
偏光に変換する能力を有しているが、総ての可視波長領
域の光を直線偏光に変換することは不可能である。以上
のことから、射出光は着色してしまいペーパーホワイト
化ができないという問題がある。

【００１０】また、１/４波長板にコレステリック相か
らなる高分子液晶層を積層した高性能偏光板を用いる液
晶表示装置(特開平１−１３３００３号公報)の場合に
も、上述の場合と同様に、射出光はコレステリック液晶
および１/４波長板を透過するのでペーパーホワイト化
ができない。

【００１１】そこで、特開平８−２７１７３１号公報に
開示されている液晶表示装置においては、多相のコレス
テリックフィルムと直線偏光に変換する光の波長が異な
る複数の１/４波長板とを積層することによって、全可
視光波長領域の光を直線偏光に変換することを可能にし
ている。しかしながら、この液晶表示装置では、積層さ
れる層数が多いために透過率が落ちるという問題があ
る。

【００１２】そこで、この発明の目的は、高明度で高コ
ントラストであってペーパーホワイト化が可能な液晶表
示装置を提供することにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、液晶層とこの液晶層を挟み
込む一対の偏光層を有する液晶表示装置において、上記
一対の偏光層のうち,観測者側に位置する一方の偏光層
は,入射光を反射光と透過光とに分離する偏光層であ
り、上記一対の偏光層のうち,他方の偏光層は,入射光の
一部を透過し残りを吸収する偏光層であることを特徴と
している。

【００１４】上記構成によれば、液晶層を挟み込む一対
の偏光層のうち観測者側に位置する一方の偏光層に入射
された光は、反射成光と透過光とに分離される。こうし
て、二色偏光板を用いた場合には吸収されてしまう光を
反射光として利用することによって高明度が得られる。
さらに、反観測者側に位置する他方の偏光層に入射され
た光は、一部が透過され、残りは吸収される。その結
果、上記他方の偏光層からの反射光が無くなり、上記他
方の偏光板層からの反射光が上記一方の偏光層で反射さ
れることに起因するコントラストの低下が回避される。

【００１５】また、請求項２に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記一方の偏光層
は、上記反射光の分光特性が略フラットな偏光層である
ことを特徴としている。

【００１６】上記構成によれば、上記一方の偏光層から
の反射光は略フラットな分光特性を有している。そのた
めに、上記一方の偏光層からの反射光は着色しない。

【００１７】また、請求項３に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記一方の偏光層
は、ＣＩＥＬＡＢ空間のクロマティクネス指数ａ＊,ｂ
＊の値がａ＊≦１,ｂ＊≦１を呈すると共に、上記透過
光の分光特性が略フラットな偏光層であることを特徴と
している。

【００１８】上記構成によれば、上記一方の偏光層は無
彩色であり、光が透過する際に特定の波長の光が吸収さ
れることが無い。したがって、上記一方の偏光層を透過
した光は着色しない。

【００１９】また、請求項４に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記一方の偏光層
は、入射光を、直線偏光の反射光と直線偏光の透過光と
に分離することを特徴としている。

【００２０】上記構成によれば、上記一方の偏光層から
の反射光および透過光は直線偏光であるから、上記一方
の偏光層からの反射光および透過光を直線偏光させるた
めの層を設ける必要がない。そのために、上記一方の偏
光層からの反射光および透過光を直線偏光させる層によ
る着色現象が回避される。

【００２１】また、請求項５に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記他方の偏光層
は、二色性偏光板であることを特徴としている。

【００２２】上記構成によれば、入射光の一部を透過し
残りを吸収する上記他方の偏光層が容易に構成される。

【００２３】また、請求項６に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記一方の偏光層の
観測者側に光拡散層を積層したことを特徴としている。

【００２４】上記構成によれば、上記一方の偏光層にお
ける鏡面反射光が光拡散層によって拡散されて、反射光
による上記鏡面反射の写り込みが防止される。

【００２５】また、請求項７に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記他方の偏光層の
反観測者側に光反射層を備えたことを特徴としている。

【００２６】上記構成によれば、観測者側の偏光層とし
て二色偏光板を使用した場合には吸収される光を反射光
として利用して高明度を図り、反観測者側の偏光層から
の反射光に起因するコントラストの低下を回避する反射
型の液晶表示装置あるいは半透過型の液晶表示装置が得
られる。

【００２７】また、請求項８に係る発明は、請求項７に
係る発明の液晶表示装置において、上記光反射層は、光
の反射方向に指向性を有していることを特徴としてい
る。

【００２８】上記構成によれば、上記光反射層によっ
て、視角方向に広い範囲からの光が特定の方向に反射さ
れる。こうして、上記視角方向に広い範囲の光が集めら
れて、さらに明度が上げられる。

【００２９】また、請求項９に係る発明は、請求項１に
係る発明の液晶表示装置において、上記一方の偏光層に
は、透過光特性および反射光特性に関して表裏がないこ
とを特徴としている。

【００３０】上記構成によれば、上記一方の偏光層に
は、透過光特性および反射光特性に関して表裏がない。
したがって、本液晶表示装置の生産時に上記一方の偏光
層の表裏が逆になってしまったとしても透過光特性およ
び反射光特性に変化はない。

【００３１】

【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。＜第１実施の形態＞図１は、本実施の形態の液晶表示装
置としての反射型白黒液晶表示装置における断面図であ
る。図１において、１は液晶セルであり、液晶を駆動す
るための電極２が形成された主基板３と、ＩＴＯ等の透
明電極４が形成された対向基板５によって挟持されてい
る。

【００３２】上記主基板３の下面には入射光を吸収成分
と透過成分に偏光する下側偏光板６が形成され、この下
側偏光板６の下面には反射板７が形成されている。ここ
で、液晶セル１は一般的なＳＴＮ(超ツイステッドネマ
チック)型の液晶セルであり、反射板７は一般的な拡散
銀反射板である。尚、入射光を吸収成分と透過成分とに
偏光する下側偏光板６として、具体的には、日東電工社
製のヨウ素系二色性偏光板ＥＧ１２２５ＤＵを使用し
た。また、液晶セル１の屈折率異方性Δｎは０.１４で
あり、セルギャップｄは６μmであり、液晶層のツイス
ト角は２４０度である。

【００３３】また、上記対向基板５の上面には下側位相
差板８及び上側位相差板９が順次積層され、上側位相差
板９の上面には入射光を反射成分と透過成分とに偏光す
る上側偏光板１０が形成されている。尚、入射光を反射
成分と透過成分に偏光する上側偏光板１０として、具体
的には、住友３Ｍ社製の導光板フィルムＤＢＥＦを使用
した。また、上側位相差板９と下側位相差板８とのレタ
デーションは４２８nmである。

【００３４】尚、上記ＤＢＥＦは、特開平６−２３０３
６２号公報に開示された従来のコレステリック液晶ポリ
マフィルムと１/４波長板とを用いた偏光子の場合と異
なって、透過光特性および反射光特性に関して表裏が無
く、二色性偏光板のように表裏逆にして使用することが
可能である。したがって、本反射型白黒液晶表示装置の
生産時において、上側偏光板１０の表裏を間違えても差
し支えなく生産性を高めることができる。

【００３５】図２は、図１に示す反射型白黒液晶表示装
置の各軸の配置方向を示す。図２において、観測者から
見て時計回りの角度を正とする。上側ラビング軸１５と
下側位相差板８の遅相軸１６との交差角を、上側ラビン
グ軸１５から＋８０度に設定している。また、上側ラビ
ング軸１５と上側位相差板９の遅相軸１７との交差角
を、上側ラビング軸１５から＋１２５度に設定してい
る。また、上側ラビング軸１５と上側偏光板反射軸１８
との交差角を、上側ラビング軸１５から＋５５度に設定
している。また、下側ラビング軸１９と下側偏光板吸収
軸２０の交差角を、下側ラビング軸１９から−５０度に
設定している。これらの交差角は飽くまでも一例であ
り、この発明の構成を拘束するものではない。

【００３６】図１に示す構成を有する反射型白黒液晶表
示装置においては、上側偏光板１０によって、入射光を
反射成分と透過成分とに分離偏光するようにしている。
したがって、従来の高分子二色偏光板を用いた場合に吸
収されていた光を反射光として利用可能になるため、明
度を向上できるのである。また、上記下側偏光板６によ
って、入射光を吸収成分と透過成分とに分離偏光するよ
うにしている。したがって、下側偏光板６からの反射光
がなくなるために黒レベルの低下(つまりは、コントラ
ストの低下)を以下のように回避できるのである。

【００３７】すなわち、液晶層の上下を反射光を伴うよ
うな偏光板で挟んだ場合には、下側の偏光板で反射した
光は上側の偏光板に到達し、その一部は上側の偏光板で
反射される。そして、この上側の偏光板からの反射光の
一部は下側の偏光板や反射板で再度反射される(この場
合に再度反射される光の成分は、従来の高分子二色偏光
板の場合には吸収される成分である)。以後、上下の偏
光板で反射を繰り返すうちに偏光状態が乱れ、本来なら
ば下側の偏光板で吸収されるべき成分の光が上側の偏光
板を透過してしまい、黒レベルの低下をもたらす。その
結果、コントラストが低下して視認性が低下するのであ
る。ところが、本実施の形態における下側偏光板６は、
入射光を吸収成分と透過成分とに分離偏光する。したが
って、上述のような再反射は起こらず、黒レベルの低下
を回避できるのである。

【００３８】図３は、上記上側偏光板１０として用いら
れた住友３Ｍ社製の導光板フィルムＤＢＥＦ(以下、単
にＤＢＥＦと言う)における反射率の分光特性を示す。
尚、この反射率の分光特性は、図４に示すように、ＤＢ
ＥＦの法線に対して３０度の傾斜角で照射した場合の法
線方向への反射光の分光特性である。図３から、上記Ｄ
ＢＥＦの反射率は全波長領域において概ねフラットな分
光特性を有していることが分かる。このように、上側偏
光板１０として用いられたＤＢＥＦは、その反射光にお
いてフラットな分光特性を有している。したがって、本
実施の形態における上側偏光板１０で反射した光には着
色が起こらない。

【００３９】また、図５は、上記下側偏光板６として用
いられた日東電工社製のヨウ素系二色性偏光板ＥＧ１２
２５ＤＵ(以下、単にＥＧ１２２５ＤＵと言う)と、上側
偏光板１０として用いられたＤＢＥＦとにおける透過率
の分光特性を示す。図５から上記ＥＧ１２２５ＤＵおよ
びＤＢＥＦの透過率は全波長領域において概ねフラット
な分光特性を有していることが分かる。

【００４０】図６は、上記ＤＢＥＦの彩度を示す。尚、
彩度の評価には、ＣＩＥ(Ｌ＊ａ＊ｂ＊)色空間を用いて
行った。尚、Ｌ＊,ａ＊,ｂ＊は、ＣＩＥ１９７６Ｌ＊ａ
＊ｂ＊表色系(ＪＩＳＺ８７２９−(１９８０))におい
て、式(１),式(２)および式(３)で定義される均等知覚
色空間である。Ｌ＊＝１１６(Ｙ/Ｙ₀)^1/3−１６ …（１）ａ＊＝５００〔(Ｘ−Ｘ₀)^1/3−(Ｙ−Ｙ₀)^1/3〕 …（２）ｂ＊＝２００〔(Ｙ−Ｙ₀)^1/3−(Ｚ−Ｚ₀)^1/3〕 …（３）ここで、Ｘ₀,Ｙ₀,Ｚ₀は照明に用いた標準の光の三刺激
値であり、Ｘ,Ｙ,Ｚは対象としている物体の三刺激値で
ある。明度指数Ｌ＊は明度を示し、クロマティクネス指
数ａ＊およびｂ＊は彩度を示す。

【００４１】図６から分かるように、上記ＤＢＥＦのク
ロマティクネス指数ａ＊,ｂ＊は、夫々ａ＊≦１,ｂ＊≦
１である。また、(ａ＊²＋ｂ＊²)^1/2で定義される無彩
色度は０.１９である。したがって、本実施の形態にお
ける上側偏光板１０においては、図５に示すように透過
率がフラットな分光特性を有していることと併せて、透
過光には着色が起こらない。これに対して、上記二色性
偏光板のクロマティクネス指数ａ＊,ｂ＊は、ａ＊＝−
１.０６４１７,ｂ＊＝４.２６５３４であり、ａ＊＜−
１,ｂ＊＞１である。

【００４２】以上のように、本実施の形態における上側
偏光板１０で反射した光および上側偏光板１０を透過し
た光には着色が起こらない。したがって、ペーパーホワ
イト化を容易に実現できるのである。

【００４３】さらに、上記上側偏光板１０として使用さ
れたＤＢＥＦは、入射光を直線偏光の反射光とこの反射
光の偏光方向に直交する直線偏光の透過光との２つの直
線偏光成分に分けることができる。このように、上記Ｄ
ＢＥＦからの反射光は既に直線偏光であるから、特開平
６−２３０３６２号公報に開示された従来のコレステリ
ック液晶ポリマフィルムを用いた偏光子のように、上記
ＤＢＥＦからの反射光を直線偏光させるための上記１/
４波長板を必要とはしない。したがって、上記１/４波
長板の使用に伴う着色現象を回避できるのである。

【００４４】また、上記ＤＢＥＦからの透過光も直線偏
光でありその偏光方向は、反射光の偏光方向に直交して
いる。このことは、従来から偏光板としてよく使用され
ている二色性偏光板における吸収光と透過光との関係を
踏襲しており、上側偏光板１０の軸配置に二色性偏光板
の軸配置をそのまま適用できる。したがって、上側偏光
板１０を使用するに当たって光学系を新たに設計し直す
必要は無いのである。

【００４５】このように、本実施の形態においては、上
記液晶セル１を挟み込む一対の偏光板６,１０のうち、
観測者側に位置する上側偏光板１０を、入射光を反射成
分と透過成分とに偏光する偏光板としている。したがっ
て、高分子二色偏光板を用いた場合に吸収される光を反
射光として利用可能となり、明度を向上できる。さら
に、反観測者側に位置する下側偏光板６を、入射光を吸
収成分と透過成分とに偏光する偏光板としている。した
がって、下側偏光板６からの反射光を無くして、下側偏
光板６からの反射光が上側偏光板１０で反射されること
に起因する黒レベルの低下、つまりコントラストの低下
を抑制できる。

【００４６】また、上記上側偏光板１０として、反射光
および透過光においてフラットな分光特性を有してお
り、ａ＊値ｂ＊値が共に１以下を呈する無彩色の偏光板
を用いている。したがって、上側偏光板１０における反
射光および透過光には着色が起こらず、ペーパーホワイ
ト化を容易に実現できる。

【００４７】また、上記上側偏光板１０として使用され
たＤＢＥＦは、入射光を直線偏光の反射光とこの反射光
の偏光方向に直交する直線偏光の透過光との２つの直線
偏光成分に分けることができる。したがって、上記上側
偏光板１０の反射光を直線偏光にするための上記１/４
波長板を必要とはせず、上記１/４波長板の使用に伴う
着色現象を回避できる。その場合に、上側偏光板１０か
らの反射光の偏光方向と透過光の偏光方向との関係は、
二色性偏光板における吸収光と透過光との関係と同様で
ある。したがって、上側偏光板１０を用いるために光学
系を新たに設計し直す必要は無い。

【００４８】＜第２実施の形態＞図７は、本実施の形態
における反射型白黒液晶表示装置の断面図である。液晶
セル２１,電極２２,主基板２３,透明電極２４,対向基板
２５,下側偏光板２６,下側位相差板２８,上側位相差板
２９および上側偏光板３０は、第１実施の形態における
液晶セル１,電極２,主基板３,透明電極４,対向基板５,
下側偏光板６,下側位相差板８,上側位相差板９および上
側偏光板１０と同様に構成され、同様に機能する。

【００４９】本実施の形態における反射板２７は、第１
実施の形態における反射板７が拡散銀反射板であるのに
対して、指向性銀反射板である。この指向性銀反射板２
７は、図８(a)に示すように、数１０μm〜数１００μｍ
幅の鋸状の溝３５が形成されている。このように、光の
反射方向に指向性を有する反射板を使用することによっ
て、図８（ｂ）に示すような断面構造を有して反射方向
に指向性の無い拡散銀反射板７よりも、鏡面反射が強
く、法線方向から見て高角度であって視角特性が悪い方
向からの光を法線方向に集めることができるために、さ
らに明度を上げることができる。

【００５０】尚、上記溝の断面構造は鋸状に限定される
ものではない。また、溝の幅によっては表示時に干渉縞
が発生するので、溝の幅を小さくしたり、溝の方向を少
しずらす必要がある。

【００５１】＜第３実施の形態＞図９は、本実施の形態
における反射型白黒液晶表示装置の断面図である。図９
において、液晶セル４１,電極４２,主基板４３,透明電
極４４,対向基板４５,下側偏光板４６,反射板４７,下側
位相差板４８,上側位相差板４９および上側偏光板５０
は、第２実施の形態における液晶セル２１,電極２２,主
基板２３,透明電極２４,対向基板２５,下側偏光板２６,
反射板２７,下側位相差板２８,上側位相差板２９および
上側偏光板３０と同様に構成され、同様に機能する。

【００５２】本実施の形態においては、上記上側偏光板
５０の上面に光拡散板５１を形成している。尚、光拡散
板５１として、具体的には、日東電工社製の拡散板ＡＧ
３０を使用した。この光拡散板５１は、上記上側偏光板
５０における鏡面反射光を拡散し、上側偏光板５０から
の反射光による鏡面反射の写り込みを防止するのであ
る。こうして、上記鏡面反射の写り込みを防止すること
によって、明度の向上とコントラストの向上を図ること
ができる。

【００５３】尚、上記上側偏光板５０からの反射光によ
って鏡面反射の写り込みを防止する効果は、鏡面反射光
を散乱させれば得られる。したがって、上記光拡散板５
１として、高分子フィルムの相構造と相構造との間の屈
折率差を利用する住友化学社製のルミスティー等も使用
可能である。

【００５４】次に、上記第１〜第３実施の形態で述べた
反射型白黒液晶表示装置の光学特性について述べる。こ
こで、上記各反射型白黒液晶表示装置の光学特性は、背
景の明るさ,彩度,黒レベルおよび白さの４項目である。
尚、上記背景の明るさと彩度の評価は、ＣＩＥ(Ｌ＊ａ
＊ｂ＊)色空間を用いて行った。また、上記黒レベルの
評価は、(オフ電圧時の反射率)/(オン電圧時の反射率)
で定義されるコントラストＣoを用いて行った。また、
白さの評価は、式(４)で定義されるＷ＊を用いて行っ
た。Ｗ＊＝１００−〔(１００−Ｌ＊)²＋ａ＊²＋ｂ＊²〕^1/2…（４）

【００５５】また、上記光学特性の評価に、次の２つの
比較サンプルを加えた。（ａ）比較サンプル１液晶セルを挟み込む一対の上側偏光板および下側偏光板
の何れにも、入射光を吸収成分と透過成分とに偏光する
偏光板を用いた。詳しくは、上側偏光板として上記ＥＧ
１２２５ＤＵを使用し、下側偏光板として日東電工社製
のヨウ素系二色性偏光板Ｆ１２２５ＤＵＮを使用した。
尚、反射板は、通常の拡散銀反射板である。

【００５６】（ｂ）比較サンプル２液晶セルを挟み込む一対の上側偏光板および下側偏光板
の何れにも、入射光を反射成分と透過成分とに偏光する
偏光板を用いた。詳しくは、両偏光板として上記ＤＢＥ
Ｆを使用した。尚、上記反射板は、通常の拡散銀反射板
である。

【００５７】第１〜第３実施の形態における反射型白黒
液晶表示装置と比較サンプル１,２との光学特性を図１
０に示す。また、彩度(ａ＊,ｂ＊)を図１１に示す。図
１０において、比較サンプル１は、従来から用いられて
いる反射型白黒液晶表示装置であり、その光学特性は、
Ｌ＊＝５３、ａ＊＝−１１、ｂ＊＝８、Ｗ＊＝５１、Ｃ
o＝１４である。

【００５８】また、比較サンプル２は、上記上側偏光板
と下側偏光板とによって入射光を反射成分と透過成分と
に偏光するので、明度はＬ＊＝６２と、比較サンプル１
に比較して上記反射成分の分だけ高明度化されている。
さらに、上記上側偏光板および下側偏光板に、図６に示
すように、ａ＊≦１,ｂ＊≦１であって無彩色であるＤ
ＢＥＦを使用しているので、彩度はａ＊＝−２,ｂ＊＝
０と無彩色化されている。また、白さもＷ＊＝６２と比
較サンプル１のＷ＊＝５１よりも高い。しかしながら、
上述したように、上記下側偏光板からの反射光が上側偏
光板で反射されることに起因して、コントラストはＣo
＝３と比較サンプル１より著しく減少して、実用レベル
にあるとは言えない。

【００５９】一方、第１実施の形態における反射型白黒
液晶表示装置の場合には、上記下側偏光板６として入射
光を吸収成分と透過成分とに偏光する偏光板を使用した
分、比較サンプル２よりも明度を表すＬ＊値はＬ＊＝５
８と減少している。しかしながら、従来から用いられて
いる反射型白黒液晶表示装置である比較サンプル１のＬ
＊＝５３よりは高く実用レベルにある。また、上記下側
偏光板６を入射光を吸収成分と透過成分とに偏光する偏
光板とすることによって、下側偏光板６からの反射光が
上側偏光板１０で反射されることに起因するコントラス
トの低下を押さえることができ、Ｃo値が比較サンプル
２のＣo＝３からＣo＝６に改善されている。

【００６０】それに加えて、彩度を表すａ＊,ｂ＊の値
は夫々ａ＊＝−９およびｂ＊＝６であり、比較サンプル
１におけるａ＊＝−１１,ｂ＊＝８より改良されてい
る。また、白さを表すＷ＊の値も、比較サンプル１のＷ
＊＝５１からＷ＊＝５７に改良されている。したがっ
て、ペーパーホワイト化が実証された。尚、ａ＊,ｂ＊
＜｜１０｜であればペーパーホワイト化されたと評価で
きる。

【００６１】第２実施の形態における反射型白黒液晶表
示装置の場合には、上記反射板２７として指向性銀反射
板を使用している。したがって、視角方向に多くの光を
集められて明度が上がる。このことは、明度を表すＬ＊
値が第１実施の形態のＬ＊＝５８からＬ＊＝６０に向上
していることから実証された。また、白明度が向上した
分コントラストも第１実施の形態のＣo＝６からＣo＝８
に向上している。

【００６２】第３実施の形態における反射型白黒液晶表
示装置の場合には、上記上側偏光板５０の上面に光拡散
板５１を形成することによって上側偏光板５０の鏡面反
射光による写り込みを防止し、明度の向上とコントラス
トの向上を図っている。この明度とコントラストの向上
は、Ｌ＊値が第２実施の形態のＬ＊＝６０からＬ＊＝６
１に向上し、Ｃo値が第２実施の形態のＣo＝８からＣo
＝９に向上していることから実証された。また、Ｗ＊の
値も６１と、概ね比較サンプル２と同じ値を呈してい
る。

【００６３】上記各実施の形態においては、上記反射板
７,２７,４７を有する反射型白黒液晶表示装置を例に説
明している。しかしながら、この発明は、半透過型液晶
表示装置および透過型液晶表示装置にも適用可能であ
る。また、カラー表示用の液晶表示装置にも適用可能で
ある。

【００６４】

【発明の効果】以上より明らかなように、請求項１に係
る発明の液晶表示装置は、液晶層を挟み込む一対の偏光
層のうち、観測者側に位置する一方の偏光層は入射光を
反射光と透過光とに分離する偏光層であり、他方の偏光
層は入射光の一部を透過し残りを吸収する偏光層である
ので、上記一方の偏光層に入射された光は、反射成光と
透過光とに分離される。したがって、上記一方の偏光層
として二色偏光板を用いた場合には吸収されてしまう光
を反射光として利用することができ、高明度を得ること
ができる。

【００６５】さらに、上記他方の偏光層に入射された光
は、一部が透過され、残りは吸収されるので、上記他方
の偏光層からの反射光が無くなる。したがって、上記他
方の偏光板層からの反射光が上記一方の偏光層で反射さ
れることに起因するコントラストの低下を回避できる。

【００６６】また、請求項２に係る発明の液晶表示装置
における上記一方の偏光層は、上記反射光の分光特性が
略フラットな偏光層であるので、上記一方の偏光層から
の反射光は着色しない。したがって、この発明によれ
ば、ペーパーホワイト化を実現できる。

【００６７】また、請求項３に係る発明の液晶表示装置
における上記一方の偏光層は、ＣＩＥＬＡＢ空間におけ
るクロマティクネス指数ａ＊,ｂ＊の値がａ＊≦１,ｂ＊
≦１を呈すると共に、上記透過光の分光特性が略フラッ
トな偏光層であるので、上記一方の偏光層は無彩色であ
り、光が透過する際に特定の波長の光が吸収されること
は無い。したがって、この発明によれば、ペーパーホワ
イト化を実現できる。

【００６８】また、請求項４に係る発明の液晶表示装置
における上記一方の偏光層は、入射光を直線偏光の反射
光と直線偏光の透過光とに分離するので、上記一方の偏
光層からの反射光および透過光を直線偏光させるための
層を設ける必要がない。したがって、上記一方の偏光層
からの反射光および透過光を直線偏光させる層による着
色現象を回避でき、ペーパーホワイト化を実現できる。

【００６９】また、請求項５に係る発明の液晶表示装置
における上記他方の偏光層は、二色性偏光板であるの
で、入射光の一部を透過し残りを吸収する上記他方の偏
光層を容易に構成できる。

【００７０】また、請求項６に係る発明の液晶表示装置
は、上記一方の偏光層の観測者側に光拡散層を積層した
ので、上記一方の偏光層における鏡面反射光を上記光拡
散層によって拡散でき、反射光による上記鏡面反射の写
り込みを防止できる。したがって、さらに明度の向上と
コントラストの向上を図ることができる。

【００７１】また、請求項７に係る発明の液晶表示装置
は、上記他方の偏光層の反観測者側に光反射層を備えた
ので、上記一方の偏光層として二色偏光板を使用した場
合には吸収されてしまう光を反射光として利用して高明
度を図り、上記他方の偏光層からの反射光に起因するコ
ントラストの低下を回避する反射型の液晶表示装置ある
いは半透明型の液晶表示装置を得ることができる。

【００７２】また、請求項８に係る発明の液晶表示装置
における上記光反射層は、光の反射方向に指向性を有し
ているので、上記光反射層によって、視角方向に広い範
囲からの光が特定の方向に強く反射される。したがっ
て、上記視角方向に広い範囲の光を集めて、さらに高い
明度を得ることができる。

【００７３】また、請求項９に係る発明の液晶表示装置
における上記一方の偏光層には、透過光特性および反射
光特性に関して表裏がないので、本液晶表示装置の生産
時に上記一方の偏光層の表裏が逆になっても透過光特性
および反射光特性に変化はない。したがって、生産時に
上記一方の偏光層の表裏に注意を払う必要がなく生産性
を高めることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の液晶表示装置としての反射型白黒液
晶表示装置における断面図である。

【図２】図１における各軸の配置方向を示す図である。

【図３】ＤＢＥＦにおける反射率の分光特性図である。

【図４】図３に示す分光特性の測定方法の概略図であ
る。

【図５】ＥＧ１２２５ＤＵおよびＤＢＥＦにおける透過
率の分光特性図である。

【図６】ＤＢＥＦの彩度を示す図である。

【図７】図１とは異なる反射型白黒液晶表示装置の断面
図である。

【図８】図７における反射板の断面図である。

【図９】図１および図７とは異なる反射型白黒液晶表示
装置の断面図である。

【図１０】各反射型白黒液晶表示装置および比較サンプ
ルの光学特性を示す図である。

【図１１】各反射型白黒液晶表示装置および比較サンプ
ルの彩度を示す図である。

【符号の説明】

１,２１,４１…液晶セル、３,２３,４３…主
基板、５,２５,４５…対向基板、６,２６,４
６…下側偏光板、７,２７,４７…反射板、１
０,３０,５０…上側偏光板、３５…溝、
５１…拡散板。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】液晶層とこの液晶層を挟み込む一対の偏
光層を有する液晶表示装置において、上記一対の偏光層のうち、観測者側に位置する一方の偏
光層は、入射光を反射光と透過光とに分離する偏光層で
あり、上記一対の偏光層のうち、他方の偏光層は、入射光の一
部を透過し残りを吸収する偏光層であることを特徴とす
る液晶表示装置。
【請求項２】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記一方の偏光層は、上記反射光の分光特性が略フラッ
トな偏光層であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項３】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記一方の偏光層は、ＣＩＥＬＡＢ空間におけるクロマティクネス指数ａ＊,
ｂ＊の値が、ａ＊≦１,ｂ＊≦１を呈すると共に、上記透過光の分光特性が略フラットな偏光層であること
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項４】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記一方の偏光層は、入射光を、直線偏光の反射光と直
線偏光の透過光とに分離することを特徴とする液晶表示
装置。
【請求項５】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記他方の偏光層は、二色性偏光板であることを特徴と
する液晶表示装置。
【請求項６】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記一方の偏光層の観測者側に、光拡散層を積層したこ
とを特徴とする液晶表示装置。
【請求項７】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記他方の偏光層の反観測者側に、光反射層を備えたこ
とを特徴とする液晶表示装置。
【請求項８】請求項７に記載の液晶表示装置におい
て、上記光反射層は、光の反射方向に指向性を有しているこ
とを特徴とする液晶表示装置。
【請求項９】請求項１に記載の液晶表示装置におい
て、上記一方の偏光層には、透過光特性および反射光特性に
関して表裏がないことを特徴とする液晶表示装置。