JPH1073706A - 両面が回折面からなる回折型光学素子 - Google Patents
両面が回折面からなる回折型光学素子Info
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- JPH1073706A JPH1073706A JP8229772A JP22977296A JPH1073706A JP H1073706 A JPH1073706 A JP H1073706A JP 8229772 A JP8229772 A JP 8229772A JP 22977296 A JP22977296 A JP 22977296A JP H1073706 A JPH1073706 A JP H1073706A
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Abstract
縮することを目的とし、銀塩カメラや電子カメラ等のカ
メラ用光学系に利用できる回折型光学素子。 【解決手段】 単レンズの両面が共に回折面にて構成さ
れ、両面共に平面であか、両面共に曲率を有し、被写体
側より順に、正パワー及び正パワー、正パワー及び負パ
ワー、負パワー及び正パワーの回折面からなる。
Description
レンズ作用を持った回折面を有するような回折型光学素
子(以下、Diffractive Optical
Elementを略してDOEと称する。)に関するも
のであり、特に、両面が回折面にて構成された単レンズ
からなるレンズ系等に利用されるものである。
光学系は、撮影レンズに代表されるように高仕様・高性
能になる程多くのレンズ枚数と複雑な構成が要求され
る。しかし、全ての光学系が複雑な構成をしている訳で
はなく、単レンズ1枚にて構成される光学系もある。例
えば、図1に示されるようなアクティブ型の測距装置で
ある。これは、三角測距の原理に基づく方法であり、図
1を参照にして簡単に説明すると、11は赤外発光ダイ
オード(以下、IREDと称す。)、12はIREDか
ら発せられた赤外光を投射する投光レンズ系、13は被
写体、14は被写体からの反射光を集光する受光レンズ
系、15は集光された光の位置を測定する位置検出手段
(以下、PSDと称す。)である。IRED11から発
せられた赤外光は投光レンズ系12によって被写体13
へ投射される。被写体13によって反射された光は投光
レンズ系12から基線長だけ離れて設けられた受光レン
ズ系14によってPSD15上に集光される。そして、
PSD15上の位置情報から被写体13までの距離を算
出する方法である。
れる投光レンズ系や受光レンズ系としては、1枚の単レ
ンズにて構成されることが多い。また、製品によっては
反射面を有するプリズム状の場合もあるが、基本的には
1枚構成であることに変わりはない。これらの投光レン
ズ系あるいは受光レンズ系は明るさが重要であるため、
レンズ径、厚み共に大きなものになってしまう。
るレンズ系も単レンズにて構成される。これは、撮影レ
ンズやファインダーレンズ等とは別にカメラボディ内に
配置されており、被写体の測光を行うものである。図2
を参照にして説明すると、21は集光レンズ、22はフ
ィルター、23は受光素子である。22のフィルターは
受光素子23の分光感度をフィルムの特性に合わせるも
のであり、基本的には赤外光をカットする作用を持って
いる。集光レンズ21はコンパクト化とコストダウンの
ために1枚の単レンズにて構成されることが多いが、十
分な明るさと撮影レンズの画角に応じた測光角度を必要
とするため、やはり大きなレンズになってしまう。
ィルムに代表されるような安価なカメラには、プラスチ
ック製の単レンズが用いられている。図3は概念図であ
るが、単レンズからなる撮影レンズ31、明るさ絞り3
2、フィルム面33にて構成される。フィルム面33
は、通常その長手方向に沿って被写体側に凹面を向けた
湾曲した面となっている。単レンズの場合は、球面収差
を小さくするか、あるいは、低次コマ収差を小さくする
程度の自由度しかなく、レンズのベンディング形状を選
択する余地はない。すなわち、一般的には、絞りに対し
て凹面を向けたメニスカスレンズとなる例が多く、した
がって、収差補正上レンズ形状は決まってしまうので、
レンズ全長を短縮する余裕はない。
化が大幅に進められ、更なる小型化が求められている。
カメラボディ内には多くの部品が配置されているが、小
型化のため、それら部品点数の削減や部品の小型化が必
要であり、上記した各種レンズ系も小型化が要求される
ようになってきた。このような状況に鑑みて、後記する
本発明では、回折型光学素子を利用することによって単
レンズの更なる小型化、特に薄型化を目的としている。
説明する。DOEに関しては、「光学」22巻635〜
642頁及び730〜737頁に詳しく解説されてい
る。
用に基づいているのに対し、DOEは光の回折作用に基
づいている。一般的に、図4で示すような回折格子へ光
が入射したとき、回折作用にて射出される光は以下の関
係式を満たす。 sinθ−sinθ’=mλ/d ・・・(a) ただし、θは入射角、θ’は射出角、λは光の波長、d
は回折格子のピッチ、mは回折次数である。
回折格子のピッチを適切に構成してやれば、光を一点に
集光させること、すなわちレンズ作用を持たせることが
できる。このとき、j番目の格子のリング半径をrj 、
回折面の焦点距離をfとすると、1次近似の領域にて以
下の式を満たす。
成する振幅変調型、屈折率あるいは光路長を変える位相
変調型等が提案されている。振幅変調型のDOEでは複
数の回折次数光が発生するため、例えば入射光の光量と
1次回折光の光量比(以下、回折効率と称する。)は最
大でも6%程度である。あるいは、振幅変調型のDOE
を漂白処理等を施して位相変調型へ改良したとしても、
回折効率は最大で34%程度である。しかし、同じく位
相変調型のDOEでも、その断面形状を図5(a)に示
すような鋸形状で構成すれば回折効率を100%まで向
上できる。このようなDOEをキノフォームと称してい
る。このとき、鋸状の山の高さは次式で与えられる。 h=mλ/(n−1) ・・・(c) ただし、hは山の高さ、nは基材の屈折率である。
率100%は只一つの波長に対してのみ達成される。ま
た、キノフォーム形状を図5(b)のように階段近似し
たものはバイナリー光学素子と呼ばれたりするが、これ
はリソグラフィー的手法にて比較的容易に製作できる。
バイナリー光学素子では、4段階近似で81%、8段階
近似で95%、16段階近似で99%の回折効率が得ら
れることが知られている。
が知られているが、本発明ではウルトラ・ハイ・インデ
ックス法を用いている。この手法については、"Mathema
tical equivalence between a holographic optical el
ement and ultra-high indexlens"J. Opt. Sos. Am. 6
9,486-487 、又は、"Using a conventional opticaldes
ign program to design holographic optical element
s" Opt. Eng. 19,649-653 等に示されている。すなわ
ち、DOEは厚みが0で屈折率が非常に大きな屈折面と
等価であることが知られている。
つの重要な特徴がある。第1の特徴は、非球面作用であ
る。回折格子のピッチを適切に構成すれば、光を完全に
一点に集めることができるが、これは非球面にて球面収
差を0に補正することと同じ作用である。第2の特徴
は、色の分散が非常に大きいことである。アッベ数で表
現すれば−3.45という値になり、従来の屈折作用の
材料と比べると、数10倍の色収差がしかも符号が−だ
から逆方向に発生する。分散が大きいことは、自然光の
下で使用されるレンズ系にDOEを応用するときに最大
の問題となる。また、DOEの任意の波長における屈折
率は、以下の(d)式にて与えられる。
率、λ0 は基準波長、n(λ0 )はそのときの屈折率で
ある。
装置へ応用した例としては、特開平7−63982号の
ものが知られている。この公報において、マスターレン
ズのIRED側にコンバーターレンズを挿入して変倍を
行うものであるが、このとき、マスターレンズは凸平形
状、コンバーターレンズは凹平形状であり、各平面を回
折面にて構成している。その結果、マスターレンズを固
定のままで変倍を実現しているが、小型化への考慮はな
されていない。
例として、"Hybrid diffractive-lenses and achromat
s" Appl.Opt.27,2960-2971 が知られている。この先行
例においては、近軸の色収差補正の原理に基づいて、ア
ッベ数−3.45の回折型レンズと従来の屈折型レンズ
を組み合わせて色収差補正を行った場合の計算例が示さ
れている。具体的には、物体側面は凸面であり、像側面
は平面であるようなレンズにおいて、像側の平面上に回
折面を構成しており、このとき、軸上色収差のアクロマ
ート化と残存する2次スペクトルについて示されてい
る。しかし、倍率色収差やその他の収差に関しては触れ
ておらず、具体的な設計データもない。
写体側に凸な正メニスカスレンズと絞りを配置し、正レ
ンズの像側面を回折面にて構成された例が示されてい
る。この先行例では、屈折系と回折系の組み合わせによ
り色収差を補正し、レンズ部品を増やすことなく高性能
を達成したものである。
記先行例は、2つ共に色収差補正が目的であり、レンズ
系の部品を増やさないことによる小型化の利点は説明さ
れているが、単レンズの全長を短縮するという内容は含
まれていない。
のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的
は、DOEを用いて単レンズの全長を短縮することであ
り、銀塩カメラや電子カメラ等のカメラ用光学系に利用
できるDOEを提供することである。
明の回折型光学素子は、両面共に回折面にて構成される
ことを特徴とするものである。
であることが望ましい。また、回折型光学素子は、被写
体側より順に、正パワー及び負パワーの回折面からなる
ことが望ましい。
る理由と作用について説明する。
面にて構成されることを特徴とするものであり、これを
利用するレンズ系は、両面共に回折面にて構成された回
折型光学素子からなることを特徴としている。
てレンズの全長の短縮を図る場合、コマ収差補正のため
に両面共に回折面が必要となる。また、面が曲率を有し
たレンズにてレンズ全長の短縮を図る場合、像側主点を
被写体側へ寄せればよいが、そのためには、レンズを強
いメニスカス形状で構成する必要があり、面のパワーが
強いために、収差の発生量が大きくなる。両面共に回折
面にて構成すれば、これらの収差を補正でき、全長短縮
が可能となる。
より具体的な第1の構成は、両面共に回折面にて構成さ
れた回折型光学素子において、両面共に平面にて構成さ
れるものである。
測光装置のレンズ系は焦点距離が短いので、レンズ面の
パワーが大変に強くなり、さらに、Fナンバーが非常に
小さいことと相まって、レンズ面のサグ量(レンズ面の
面頂からの変化量)が非常に大きくなっていた。そのた
め、レンズの径や厚みが共に大きくなり、小型化は困難
であった。その対策として、レンズ面のパワーを両面に
分割しようとしても、収差補正上被写体側の面にパワー
が集中するために、改善されなかった。従来の屈折面に
対して、回折面はサグ量を0にできるので、特に薄型化
の効果は大きい。
状の場合、前記(c)式より数波長から数10波長程度
の凹凸があるが、実質的に平面と見なしてよい。また、
レンズの厚みも加工上の制約条件や組立上の条件等で決
まる程度まで薄くすることが可能である。したがって、
DOEを両面平面の平板状のレンズとすれば、大幅な薄
型化が実現できる。このとき、収差補正上、両面共に回
折面で構成する理由を以下に説明する。
は球面収差の補正のみでよいから、非球面作用の効果に
より片面の回折面にて十分な収差補正が可能である。し
かし、使用画角が広くなった場合、例えば測距装置のレ
ンズ系では5°程度の画角であり、測光装置のレンズ系
では20°程度の画角が使われるが、このような場合
は、球面収差のみならず、コマ収差の補正も必要であ
る。しかしながら、平板状のレンズではコマ収差の発生
を防げない。そこで、球面収差とコマ収差を共に補正す
るために平板状のレンズの両面を回折面にて構成する。
の回折面、62は反対側の回折面、63は像面であり、
絞りは61面と一致しているとする。そして、無限物点
から平行光が入射したとき、各面におけるマージナル光
線64と主光線65の光線高をy及びy’とする。ウル
トラ・ハイ・インデックス法によると、回折面の屈折率
は非常に大きく、逆に曲率は非常に小さいから、被写体
側の回折面61で発生する球面収差やコマ収差は略0で
ある。一方、反対側の回折面62では負の球面収差と正
のコマ収差が発生し、性能を劣化させる。この場合、反
対側の回折面62で発生する正のコマ収差の補正が困難
となる。また、"Design of a wide field diffractive
landscape lens" Appl.Opt.28,3950-3959 より、以下の
関係式が得られる。
数及びコマ収差係数であり、SI* 及びSII* は絞りが
一致していないときの各収差係数である。図6の場合、
(f)式に従って回折面62のSIでSIIを打ち消すよ
うに構成される。このとき、y’/yが小さいためにS
Iが負で大きな値となってしまう。その結果、回折面6
2で発生した負の球面収差をキャンセルするために、回
折面61では逆に正の大きな球面収差を発生させる必要
がある。
へ対応するためには、球面収差とコマ収差を補正するこ
とが重要であり、両面共に回折面とすることが必要とな
る。そして、このときの面は、その周辺部において、被
写体側の面は発散作用を有し、被写体と反対側の面は収
斂作用を有していることが特徴である。
の異なる大きな球面収差が発生しており、これらの球面
収差を互いに打ち消し合っているので、両面の偏心精度
が大変に厳しくなってしまう。このような問題を解決す
るためには、レンズ径に比べてレンズ厚みを厚くする
と、コマ収差補正に必要な球面収差量が小さくて済むか
ら、両面の偏心精度を緩和できる。このとき、具体的に
は、下記条件式を満たすことが望ましい。
光学素子の径である。
ズが薄くなると、収差補正上両面で発生する正負の球面
収差が大きくなるので、両面の偏心精度が厳しくなる。
また、(1)式の上限の1.5を越えてレンズが厚くな
ると、全長短縮の目的に反する。
現するためのより具体的な第2の構成は、回折型光学素
子を両面共に回折面にて構成し、回折面のパワーを被写
体側より順に、正パワー及び負パワーにて構成するもの
である。
が平面であるかあるいは曲率を有する面であるかに係わ
らず、いわゆるテレフォトタイプの構成として、主点位
置を被写体側へ移動できるから、レンズ全長の短縮が可
能となる。従来の屈折系で同様の構成を用いると、レン
ズ全長短縮の効果が得られる程度のパワーを持たせるに
は面の曲率が大きくなってしまうので、十分な収差補正
はできなかった。しかし、回折系を利用すれば、収差補
正とレンズ全長短縮を両立できる。
(3)式を満たすことが望ましい。
と反対側の回折面の焦点距離である。
収差補正を要するレンズ系に適用される条件である。撮
影レンズにおいては、たとえ安価な単レンズであって
も、平板状の回折型レンズでは、色収差の発生が大きく
実用に耐えない。また、先行技術で述べたような凸平形
状のレンズにしても、コマ収差の補正が不十分であり、
さらに、非点収差の色収差が大きく発生してしまい、た
とえ回折面を用いたとしても十分な性能は得られない。
したがって、両面共に曲率を有するレンズ面で構成し、
さらに、1面の回折面を用いることで単色収差と色収差
を良好に補正することができる。しかし、これだけでは
全長の短縮は困難なので、本発明では、両面は共に回折
面で構成し、各回折面のパワーを被写体側より順に正パ
ワー及び負パワーの配置とした。このとき、条件式
(2)を満たすことが望ましい。(2)式の下限の−2
0を越えて負パワーが弱くなると、全長短縮の効果が得
られない。また、(2)式の上限の−2を越えて負パワ
ーが強くなると、全長短縮には有利だが、倍率色収差の
発生が大きくなり、好ましくない。回折面の場合、分散
が非常に大きいので、パワーの変化に対して色収差の発
生が顕著である。
や測光装置のレンズ系等に適用されるものである。これ
らのレンズでは、色収差の発生が小さいか、あるいは、
大きな問題とはならないので、条件式(2)よりも比較
的強いパワーを与えて全長の短縮が可能である。このと
き、条件式(3)を満たすことが望ましい。(3)式の
下限の−5を越えて負パワーが弱くなると、全長短縮の
効果が得られない。また、(3)式の上限を越えて負パ
ワーを強くすると、全長短縮には有利だが、単色収差の
補正が困難となり、好ましくない。
共に曲率を有する場合の方が、収差補正の自由度が高
く、高仕様・高性能なレンズ系が得られる。このとき、
DOEは被写体に凸面を向けた形状が好ましい。その結
果、被写体側面の正パワーを屈折面にて多く負担できる
ため、回折面のパワーを小さくできる。回折パターンは
回折面のパワーが小さい程その間隔が大きくなるので、
加工が容易になる。同様に、後述する実施例の撮影レン
ズや測距装置のレンズのように、被写体と反対側の面が
凹面であれば、負パワーを屈折面にて多く負担できるた
め、回折面の負担を小さくできる。すなわち、これらの
レンズは被写体側に凸面を向けたメニスカス形状が好ま
しい。
いては、両パワーの間隔が遠い方がテレフォト化の効果
を得られやすい。つまり、レンズ厚みが厚い程各回折面
のパワーを小さくできるので、収差補正上好ましい。こ
のとき、下記条件式(4)を満たすことが望ましい。 0.2<d/f<1.5 ・・・(4) ただし、dは回折型光学素子の中心の厚み、fは回折型
光学素子の焦点距離である。
くなると、全長短縮のための各面のパワーが強くなりす
ぎて、単色収差の補正が困難となる。一方、(4)式の
上限の1.5を越えて厚くなると、DOEの厚みで巨大
化してしまう。ただし、DOEが反射面を有するプリズ
ムとして構成される場合は、(4)式を適用しない。
てのパワーを負担するため、回折パターンの間隔が小さ
くなりすぎる問題がある。その結果、加工や製造が非常
に困難となる。また、間隔が波長の数倍程度まで細かく
なると、最早平面型のDOEとして見なせなくなる。そ
こで、平板状のレンズにおいて、両面共に正パワーの回
折面にて構成すれば、パワーを分割できるので、回折パ
ターンの間隔を広げることができ、加工性を改善でき
る。
被写体側の面が発散作用で反対側の面が収斂作用を有す
ると述べた。このとき、被写体側の面において近軸的な
パワーを収斂作用に設定すると、レンズの中心から周辺
に向かって収斂作用から発散作用へと変化して行き、正
負のパワーが混合した形状となるため、製造上の困難が
予想される。そこで、平板状のレンズにおいて、被写体
側を負パワーとし、反対側を正パワーとすれば、収差補
正の作用と矛盾がなくなり、加工が容易となる。ただ
し、回折パターンの間隔は小さいままなので、このよう
な場合、高次回折光を用いるとよい。ただし、回折次数
が大きい程、設計波長と使用波長が異なったときの回折
効率の低下が激しくなる。したがって、撮影レンズのよ
うに広い波長領域で用いられるDOEでは、設計回折次
数はせいぜい2次程度が限界である。一方、測距装置に
用いられるレンズ系は、IREDの波長領域が狭いの
で、10次以上の回折次数を用いることができる。しか
し、この場合にも、回折パターンの間隔が広がると同時
に回折パターンの深さも深くなって行く。
用いたレンズ系の実施例1〜11について説明する。本
発明による回折型光学素子の回折面は、ウルトラ・ハイ
・インデックス法を用いて設計しており、具体的には、
回折面は厚みが0で波長がd−lineのときの屈折率
が1001、また、波長が900nmのときの屈折率が
1533の屈折型レンズとして表現されている。したが
って、後記する数値データにおいても、以下に示すよう
な通常の非球面式にて記載する。すなわち、光軸方向を
Z軸、光軸と垂直な方向をY軸とすると、非球面は以下
の式にて表せられる。
径)、Kは円錐係数、A4 、A6 、A8 、A10はそれぞ
れ4次、6次、8次、10次の非球面係数である。
Eの基材表面である。そして、実際の製造においては、
回折面の非球面形状と基材表面の形状との差及び屈折率
から位相変化を求め、この位相変化を回折格子のピッチ
に換算して基材表面上に回折格子を形成する。つまり、
後述する各実施例において、最終的にレンズとしての作
用を有するのは基材の面である。
7に断面を示すようなものがある。図の(a)は、透明
部71と不透明部72が交互に配列され、不透明部72
の厚みはほぼ0であるが、振幅変調型と呼ばれる回折面
である。図の(b)は、屈折率の異なる高屈折率部73
と低屈折率部74を交互に配列して、屈折率差による位
相差にて回折作用を持たせたものである。図の(c)
は、矩形状の凹凸を交互に配列して厚みの差による位相
差にて回折作用を持たせたものである。これは2レベル
のバイナリー素子でもある。図の(d)は、表面を鋸歯
形状にしたものであり、キノフォームと呼ばれ、連続的
な厚みの差による位相差にて回折作用を持たせたもので
ある(図5(a))。図の(e)と(f)は、キノフォ
ームを4レベル及び8レベルで近似したバイナリー素子
である(図5(b))。このように回折面の形状にはい
くつかの形式があるが、本発明では、回折効率を高くし
て光量を有効に利用したいため、図7(d)のキノフォ
ームや図7(e)や図7(f)等の4レベル以上のバイ
ナリー素子を用いることが望ましい。
面図をそれぞれ図8〜図18に示す。各実施例の数値デ
ータは後記するが、実施例1から実施例4までは、撮影
レンズの設計例である。これらの実施例は何れも基材表
面は両面共に曲率を有しており、絞りに対して凹面を向
けたメニスカス形状として構成することで、単色収差を
良好に補正している。また、カメラ等に用いられる撮影
レンズは、g−lineからC−lineの波長領域に
わたって、色収差を補正することが望ましい。
りを有する単レンズであり、アクリル基材の両面を回折
面にて構成している。両面共正パワーを有しており、各
回折面の焦点距離は、被写体側より順に、968.68
mm、380.66mmである。
りを有する単レンズであり、アクリル基材の両面を回折
面にて構成している。2つの回折面は、被写体側より順
に、正パワーと負パワーであり、各回折面の焦点距離
は、159.87mmと−121.05mmである。
絞りを有する単レンズであり、アクリル基材の両面を回
折面にて構成している。2つの回折面は、被写体側より
順に、正パワーと負パワーであり、各回折面の焦点距離
は、204.18mmと−542.18mmである。実
施例2と実施例3を比べると、実施例2の方が回折面の
パワーを強く設定しているので、一層の全長短縮が可能
な反面、倍率色収差の発生が大きくなってしまい、周辺
の性能が劣っている。
ト絞りを有する単レンズであり、ポリカーボネート基材
の両面を回折面にて構成している。2つの回折面は、被
写体側より順に、負パワーと正パワーであり、各回折面
の焦点距離は、−305.61mmと162.62mm
である。
型測距装置の投光レンズに用いた設計例である。何れの
実施例もIREDは発光部を曲率を有する樹脂製パッケ
ージにて覆ったものである。
ル基材の表面を両面共に回折面となし、各々回折面は、
被写体側より順に、正パワー及び負パワーの構成として
いる。基材の表面は両面共に曲率を有し、被写体側に凸
なメニスカス形状となっている。各回折面の焦点距離
は、27.68mmと−28.66mmである。
ル基材の表面を両面共に回折面となし、各々回折面は、
被写体側より順に、正パワー及び負パワーの構成として
いる。基材の表面は両面共に曲率を有し、被写体側に凸
なメニスカス形状となっている。各回折面の焦点距離
は、20.58mmと−9.21mmである。実施例5
と比べて回折面のパワーを強くし、さらに、中心厚を厚
くしているので、全長短縮をより達成できる。
ル基材の表面を両面共に回折面となし、各々回折面は、
被写体側より順に、正パワー及び正パワーの構成として
いるが、基材の表面は両面共に平面であり、平板状のレ
ンズとなっている。各回折面の焦点距離は、23.31
mmと23.31mmである。
平面のアクリル基材の表面を両面共に回折面となし、各
々回折面は、被写体側より順に、正パワー及び負パワー
の構成として、全長短縮を一層可能にしている。各回折
面の焦点距離は、7.50mmと−11.02mmであ
る。
平面のアクリル基材の表面を両面共に回折面となし、各
々回折面は、被写体側より順に、負パワー及び正パワー
の構成としている。各回折面の焦点距離は、−51.9
2mmと10.00mmである。
いられるレンズ系の設計例である。実施例10は、図1
7に示すように、両凸形状のアクリル基材の表面を両面
共に回折面となし、各々回折面は、被写体側より順に、
正パワー及び負パワーの構成としている。各回折面の焦
点距離は、14.40mmと−10.47mmである。
が平面のアクリル基材の表面を両面共に回折面となし、
各々回折面は、被写体側より順に、正パワー及び正パワ
ーの構成としている。各回折面の焦点距離は、6.96
mmと6.96mmである。
基材の表面に回折面を構成している。樹脂材料であれ
ば、成形法によって回折型光学素子を安く大量に生産で
きるので、好ましい。また、部品の軽量化も可能であ
る。撮影レンズや測光装置のレンズのように、広い波長
域で使用されるレンズにおいては、屈折系と回折系にて
色収差補正したときの残存色収差量を減少させるため、
基材としてアクリルのようにアッベ数の大きな材料が望
ましい。
の変化によってレンズの特性が変わってしまうが、基材
としてポリオレフィン系の材料で構成しておけば、この
材料は低吸湿な特性を有しているから、湿度変化による
悪影響をなくすことができる。
を示す。各データ中、Fは全系の焦点距離、fは回折型
光学素子の焦点距離、FNOはFナンバー、fB はバック
フォーカース、ωは半画角、r1 、r2 …は各レンズ面
の曲率半径、d1 、d2 …は各レンズ面間の間隔、
nd1、nd2…は各レンズのd−lineにおける屈折
率、νd1、νd2…は各レンズのd−lineにおけるア
ッべ数、n900,1 、n900,2…は各レンズの波長900
nmの屈折率であり、また、非球面形状は前記(g)式
にて表される。
図19〜図29に示す。各収差図中、(a)は球面収
差、(b)は非点収差、(c)は歪曲収差、(d)は倍
率色収差を示す。
次のように構成することができる。 〔1〕 両面共に回折面にて構成されることを特徴とす
る回折型光学素子。
素子は両面共に平面であることを特徴とする回折型光学
素子。
素子は両面共に曲率を有することを特徴とする回折型光
学素子。
素子は、被写体側より順に、正パワー及び正パワーの回
折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
素子は、被写体側より順に、正パワー及び負パワーの回
折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
素子は、被写体側より順に、負パワー及び正パワーの回
折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
折型光学素子からなることを特徴とする光学系。
ィルム又は撮像素子に像を形成する結像レンズであるこ
とを特徴とする光学系。
メラ等のアクティブ型の測距装置に用いられる投光レン
ズ又は受光レンズであることを特徴とする光学系。
カメラ等の測光装置に用いられるレンズであることを特
徴とする光学系。
学素子は、被写体側より順に、正パワー及び正パワーの
回折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
学素子は、被写体側より順に、正パワー及び負パワーの
回折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
学素子は、被写体側より順に、負パワー及び正パワーの
回折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
学素子は、被写体側より順に、正パワー及び正パワーの
回折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
学素子は、被写体側より順に、正パワー及び負パワーの
回折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
学素子は、被写体側より順に、負パワー及び正パワーの
回折面からなることを特徴とする回折型光学素子。
2〕、〔13〕の何れか1項において、下記条件式を満
足することを特徴とする回折型光学素子。 0.3<d/φ<1.5 ・・・(1) ただし、dは回折型光学素子の中心の厚み、φは回折型
光学素子の径である。
て、下記条件式を満足することを特徴とする回折型光学
素子。 −20<f2 /f<−2 ・・・(2) ただし、fは回折型光学素子の焦点距離、f2 は被写体
と反対側の回折面の焦点距離である。
て、下記条件式を満足することを特徴とする回折型光学
素子。 −5<f2 /f<−0.5 ・・・(3) ただし、fは回折型光学素子の焦点距離、f2 は被写体
と反対側の回折面の焦点距離である。
て、下記条件式を満足することを特徴とする回折型光学
素子。 0.2<d/f<1.5 ・・・(4) ただし、dは回折型光学素子の中心の厚み、fは回折型
光学素子の焦点距離である。
光学素子は被写体側に凸面を向けたメニスカスレンズで
あることを特徴とする回折型光学素子。
学素子は両面共に曲率を有し、下記条件式を満足するこ
とを特徴とする光学系。 −20<f2 /f<−2 ・・・(2) ただし、fは回折型光学素子の焦点距離、f2 は被写体
と反対側の回折面の焦点距離である。
て、回折型光学素子は両面共に曲率を有し、下記条件式
を満足することを特徴とする光学系。 −5<f2 /f<−0.5 ・・・(3) ただし、fは回折型光学素子の焦点距離、f2 は被写体
と反対側の回折面の焦点距離である。
て、回折型光学素子は下記条件式を満足することを特徴
とする光学系。 0.2<d/f<1.5 ・・・(4) ただし、dは回折型光学素子の中心の厚み、fは回折型
光学素子の焦点距離である。
によって、カメラに用いられる安価な撮影レンズや測距
装置のレンズや測光装置のレンズのように、単レンズに
て構成される光学系を小型化し、レンズ全長の短い光学
系を得ることができる。
念図である。
る。
を示す断面図である。
を説明するための図である。
な形状を示す図である。
る。
る。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
ある。
である。
である。
Claims (3)
- 【請求項1】 両面共に回折面にて構成されることを特
徴とする回折型光学素子。 - 【請求項2】 請求項1において、回折型光学素子は両
面共に平面であることを特徴とする回折型光学素子。 - 【請求項3】 請求項1において、回折型光学素子は、
被写体側より順に、正パワー及び負パワーの回折面から
なることを特徴とする回折型光学素子。
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