JPH10324084A - 合成樹脂製クリップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂素材のもつ弾性を利用して構成され
るものでありながら、咬持力を長期間維持できる耐久性
を持ち、かつ合成樹脂の成形機能を活用して、従来品に
無かった装飾性を備え、またシンプルな構造とすること
によって成形および組立コストを低減した合成樹脂製ク
リップを安価に提供することにある。 【解決手段】 咬持部(3) の方向へ鈎形に屈曲した形状
の係止脚部(4) を、副基板(2) の内面に副基板(2) と一
体に成形立設し、該係止脚部(4) を基板(1) の面上に形
成した係止穴(6) に挿入し、該係止穴(6) の縁部に立設
した支持突起(7)を抱持して、該支持突起(7) の頂部と
副基板(2) の内面が接するようにし、かつ係止穴(6) の
外面縁部に係止脚部(4) の弾性により付勢される咬持力
が作用するようにその先端部を係止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として携帯電
話、ポケットベル等の携帯用品の携行用ストラップを衣
服等に咬着支持する場合または文房具としての書類クリ
ップ、メモ用クリップとして或は物干し用クリップとし
て使用する合成樹脂製クリップに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、携帯電話、ポケットベル等の
携帯用品を衣服のポケット等に入れて携行する際には、
携行用ストラップの一端に取り付けた開閉式のクリップ
で衣服の一部を挟着しておき、使用者が俯いた時等にお
ける、携帯用品の不用意な落下を防止している。

【０００３】この用に供されているクリップは、単純操
作により脱着ができる操作性を有しながら、携帯用品を
衣服等に確実に咬止できる咬持力と、該咬持力を長期間
維持する耐久性、及び衣服の外面に露出することから外
形が小振りで品位に優れた装飾性を兼備することが要求
される。

【０００４】具体的には、表面に装飾的な模様等をあし
らった装飾基板と操作側基板とを相互対向面の後端寄り
の位置で先端部が開閉するように傾斜副基板を連結ピン
で連結し、該連結ピンに先端部間で対象物を挟着するよ
うにバネを弾装して、該傾斜副基板の先端を該装飾基板
の先端に弾性的に接離、開閉させるようにした金属製ク
リップの他、特開平７ー２７３２７に開示されているよ
うに、両側縁に軸支片対を突出した合成樹脂製クリップ
本体の頂部に、折り返し可能な弾力帯を延長形成し、そ
の弾力帯から前記クリップ本体に対応すると共に弾力
帯、または弾力帯と補強金属片により端部がクリップ本
体の端部から跳ね上がる弾力を与えられた可動片を成形
してなり、該可動片の前記軸支片対の内側を通る部分付
近に押圧により前記端部をクリップ本体の端部に接合す
る傾斜部を形成し、回転により押圧脚によって前記傾斜
部を押圧して端部をクリップ本体の端部に接合する合成
樹脂製押圧片を前記軸支片対に軸支したことを特徴とす
る合成樹脂製クリップが知られている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公知の金
属製クリップは、金属端が衣服の生地や、使用者の手指
等へ損傷を与える虞がある他、錆が発生すると美感を著
しく損ねたり、錆の程度によっては使用不能に陥ったり
し、また、金属素材の成形機能の限度により装飾基板の
装飾性が画一的で、嗜好の多様化への対応にも自ら限界
がある。

【０００６】一方上記公知の合成樹脂製クリップは合成
樹脂素材特有の成形機能を活用して生かして成形され、
素材の持つ弾性を利用して構成されているものの、クリ
ップ本体に延長形成した弾力帯をクリップ本体上に折り
返して変形を与えることで、弾力帯に連続する可動片に
弾力を与えているため、可動片の開放状態から衣服等を
咬持した状態にすると弾力帯の折り曲げ部に大きな曲げ
応力が作用し、該折り曲げ部のヘタリにより弾性が損な
われるだけでなく、長期間の使用において繰り返し開閉
した場合に、疲労による劣化が進行して折り曲げ部や軸
支片対に軸支された合成樹脂製押圧片の軸の折損が原因
となって、咬持機能を早期に喪失するなど耐久性に問題
がある。これに対処すべく、十分な強度を得ようとして
部材の厚みを増すと部品形状が複雑なため、全体に嵩高
くなってしまい、外観体裁の悪化を招来する弊害があ
る。

【０００７】また、構成部品の形状が複雑であることに
より、成形型の製作に手数を要して型費の増大を招くと
ともに、組立の手数も増加して作業に時間を要するた
め、成形及び組立のコストが嵩んで高価となり、さらに
使用時においても構造上、不用意に押圧片が起こされる
とロックが解除されて可動片が開放されたままとなって
携帯用品の不用意な落下を招く等の問題があり、これら
の点に解決すべき課題があった。

【０００８】そこで本発明は、合成樹脂素材のもつ弾性
を利用して構成されるものでありながら、咬持力を長期
間維持できる耐久性を持ち、かつ合成樹脂の成形機能を
活用して、従来品に無かった装飾性を備え、またシンプ
ルな構造として、成形製作コストおよび組立コストま低
減化を図り、安価な合成樹脂製クリップを提供すること
を目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明に係る合成樹脂製
クリップは、咬持部の方向へ鈎形に屈曲した形状の係止
脚部を内面に一体に成形立設した操作側の副基板と、前
記係止脚部が挿入される係止穴及びストラップを通すた
めの透孔を設けるとともに該係止穴の外面側であって咬
持部寄りに係止部を又係止穴の内面側縁部に支持突起を
立設した基板とを、前記副基板の係止脚部を基板の係止
穴に挿通してその先端を前記係止部に係止させるととも
に基板の支持突起の頂部を支点として開閉し、係止脚部
の弾性により咬持部に咬持力が付勢されるように結合し
た構成とする手段により、前記課題を解決するようにし
たものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】及び

【実施例】本発明の実施例に係る合成樹脂製クリップ
は、図１は合成樹脂製クリップの分解状態の断面図、図
２は合成樹脂製クリップの上面図、図３は図２のＡーＡ
線における断面図、図４は合成樹脂製クリップの操作状
態の側面図であって、耐疲労性及び耐クリープ性に優
れ、成形流動性にも優れたポリアセタール樹脂を用い
て、射出成形手段により成形した、操作側となる副基板
(2) とこれと結合される基板(1) との二部品からなり、
図４に示すように、手先操作で副基板(2) の後部を基板
(1) の後部と合わせるように押圧して咬持部(3) を開
き、部材の弾性反発力で衣服の端部等を挟んで咬持する
ものである。

【００１１】前記操作側となる副基板(2) は、図２に示
すように、平面形状が両端を丸く滑らかに形成した細幅
長形の副基体(2a)であって、その後端の外面に手先で押
圧する場合の滑り止め用の溝(11)が、また先端の内面に
は後記基板(1) と咬合する歯状突起(10)が形成されてお
り、さらに図１及び図３に示すように、副基体(2a)の内
面には長手方向中心線上の中間位置稍後方において係止
脚部(4) を一体成形した構成である。

【００１２】該係止脚部(4) は、副基体(2a)の幅でその
内面に対して垂直に起立し、途中を咬持部(3) の方向へ
直角に屈曲した形状とするとともに、その屈曲部から先
端へ向かう程厚さを薄くなり且つ副基体(2a)の内面と一
定の間隔(W) を成し、先端には後記基板(1) に係止する
ための顎部(5) を形成した構成とする。

【００１３】また前記副基板(2) と結合する基板(1)
は、前記副基板(2) より幅及び長さを略相似形状でサイ
ズを大きくした細幅長形の主基体(1a)であって、平面形
状が前記副基板(2) と同様に両端を丸く滑らかな形状と
し、長手方向に長い長方形の係止穴(6) を形成するとと
もに、前記副基板(2) との結合時に該副基板(2) の係止
脚部(4) の先端側寄り内面に接する高さの、断面頂部を
半円形にした厚板状の支持突起(7) を主基体(1a)と一体
に起立形成し、先端部の内面には前記副基板（２）の歯
状突起（１０）と咬合する歯状突起(10)を、また後端部
にはストラップ(S) の一端を通すための透孔(9) を形成
した構成となっている。

【００１４】そして前記基板(1) の係止穴(6) の外面側
であって咬持部側縁部に、前記副基板(2) の係止脚部
(4) を挿入した場合に、該係止脚部(4) の先端の顎部
(5) が、部材の弾性弾発力が付勢された状態で係止され
るように凹部(8) を形成する。

【００１５】前記凹部(8) と係止穴(6) とは、前記支持
突起(7) の頂部と前端部を結ぶ仮想の接線(L) となす距
離(D) が前端部に向かうにつれて増加する傾斜面(6a)で
通じた状態で、かつ前記凹部(8) 付近での距離(D) が前
記副基板(2) からの係止脚部(4) の起立した間隔(W) よ
り若干広くなるように形成されている。

【００１６】上記説明した基板(1) と副基板(2) とは、
該副基板(2) に形成した係止脚部(4) の先端部分を基板
(1) の内面側から係止穴(6) に挿入して、該係止脚部
(4) の屈曲した部分で前記支持突起(7) を抱持しつつ、
係止脚部(4) の付け根付近が支持突起(7) の頂部に当接
するまで一杯に挿入し、係止脚部(4) の顎部(5) を弾性
反発力で付勢した状態で凹部(8) の端に係止させること
により結合され、合成樹脂製クリップの組立ては完了す
る。

【００１７】このように組立てられた本考案に係る合成
樹脂製クリップ合成樹脂製クリップは、相互を連結して
いる係止脚部(4) による弾性力の付勢と、基板(1) の支
持突起(7) の頂部を支点として、常に絞止部に挟着力が
作用する状態となり、この状態で図４に示すように、手
先操作で副基板(2) と基板(1) のそれぞれの後部に、対
向する操作力を弾性付勢力に抗して作用させることによ
り咬持部を開き、その間に衣服の端部等の対象物を挟ん
で咬持させるものであり、前記基板(1) の後端部に設け
た透孔(9) に、携帯用品等に装着されるストラップ(S)
を通して連結し使用する。

【００１８】なお、本発明の構成は上記実施例に限定さ
れるものではない。例えば係止脚部(4) は必ずしも副基
板(2) の内面に対して直角に屈曲する必要はなく、係止
穴(6) 、凹部(8) 、または支持突起(7) 等との関係にお
いて、係止脚部(4) が係止穴(6) に挿入された状態で咬
持部に弾性弾発力により付勢された咬持力を生じる構成
であればよい。

【００１９】また携帯用品の携行用ストラップを通すた
めの基板(1) の透孔(9) に代えて、透孔を有した環体
（図示省略）を基板や副基板に突設してもよいし、係止
脚部(4) と支持突起(7) で形成される空間(12)にストラ
ップを通すようにすることも考えられる。

【００２０】さらに、本実施例では合成樹脂素材として
ポリアセタール樹脂を使用したが、これに限られるもの
ではなく、この他の耐疲労性、耐クリープ性及び成形機
能に優れた公知の合成樹脂素材を使用できることはいう
までもない。

【００２１】また上記実施例では、携帯電話、ポケット
ベル等の携帯用品の携行用ストラップを衣服等に咬着支
持する場合に使用する合成樹脂製クリップについて説明
したが、文房具としての書類クリップ、メモ用クリップ
として或は物干し用クリップとして使用する場合におい
ても、製作、組立が簡単で安価に提供できるとともに優
れた耐久性と挟着機能が発揮される合成樹脂製クリップ
とすることができるものである。なお、ストラップは、
物干し用クリップ等において使用される吊り紐等を含む
ものである。

【００２２】

【発明の効果】以上説明した本発明に係る合成樹脂製ク
リップによれば、咬持部の方向へ鈎形に屈曲した形状の
係止脚部を、副基板の内面に副基板と一体に成形立設
し、該係止脚部を基板の面上に形成した係止穴に挿入
し、該係止穴の縁部に立設した支持突起を抱持して、該
支持突起の頂部と副基板の内面が接するようにし、かつ
係止穴の外面縁部に係止脚部の弾性により付勢される咬
持力が作用するようにその先端部を係止したから、基板
及び操作側となる副基板の合成樹脂製の二部品でもって
構成することができ、しかも、部材の弾性弾発力と両基
板の後部の手先による操作とで簡単且つ確実に咬持部が
開閉し、衣服の端等を強く咬持して、携帯用品等の不用
意な脱落を防止することができ、咬持に必要な咬持力は
合成樹脂部材の弾性変形による復元力により発生し、構
造が非常にシンプルであるために、小型のクリップにお
いても各部材に十分な強度を持たせることができ、長期
間の使用においてもその咬持力を維持し耐久性が確保で
きる。

【００２３】また、合成樹脂素材特有の任意な成形性を
活用して、基板、副基板等を自由な形状とし、従来品に
無かった装飾性を備えることができる。

【００２４】さらに、成形段階においては構造がシンプ
ルであるため、射出成形金型の形状の簡素化により型製
作費が安価となり、組立段階において、組立作業は基板
の係止穴に副基板の係止脚部を挿入して係止するだけで
よく、人手による組立の場合でも熟練を要することなく
迅速に作業を行うことができ、自動組立装置による場合
でも複雑な動きを要することなく機械化が可能である。
また部材の強度も高いので欠損品も少なく、成形金型費
と組立コストの低廉化により製造コストを削減すること
ができる。

【００２５】以上により、合成樹脂素材のもつ弾性を利
用して構成されるものでありながら、咬持力を長期間維
持できる耐久性を持ち、かつ合成樹脂の成形性を活用し
て、従来品に無かった装飾性を備え、またシンプルな構
造とすることによって成形および組立コストを低減して
安価に合成樹脂製クリップを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例に係る合成樹脂製クリップの分解状態の
断面図である。

【図２】実施例に係る合成樹脂製クリップの平面図であ
る。

【図３】図２のＡーＡ線における断面図である。

【図４】実施例に係る合成樹脂製クリップの操作状態の
側面図である。

【符号の説明】

(1) 基板 (1a) 主基体 (2) 副基板 (2a) 副基体 (3) 咬持部 (4) 係止脚部 (6) 係止穴 (7) 支持突起 (9) 透孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 咬持部(3) の方向へ鈎形に屈曲した形状
   の係止脚部(4) を内面に一体に成形立設した操作側の副
   基板(2) と、前記係止脚部(4) が挿入される係止穴(6)
   を設けるとともに該係止穴(6) の外面側であって咬持部
   (3) 寄りに係止部を又係止穴(6) の内面側縁部に支持突
   起(7) を立設した基板(1) とを、前記副基板(2) の係止
   脚部(4) を基板(1) の係止穴(6) に挿通してその先端を
   前記係止部に係止させるとともに基板(1) の支持突起
   (7) の頂部を支点として開閉し、係止脚部(4) の弾性に
   より咬持部(3) に咬持力が付勢されるように結合したこ
   とを特徴とする合成樹脂製クリップ。
2. 【請求項２】 基板(1) または副基板(2) のいずれか
   に、ストラップ(S) と接続するための又は引掛部となる
   吊り用装着部を備えた合成樹脂製クリップ。