[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPH10310725A - 水系塗料および粘性制御剤 - Google Patents

水系塗料および粘性制御剤

Info

Publication number
JPH10310725A
JPH10310725A JP12089397A JP12089397A JPH10310725A JP H10310725 A JPH10310725 A JP H10310725A JP 12089397 A JP12089397 A JP 12089397A JP 12089397 A JP12089397 A JP 12089397A JP H10310725 A JPH10310725 A JP H10310725A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
viscosity
water
paint
present
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12089397A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Nakamura
浩 中村
Kazuyuki Tate
和幸 舘
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP12089397A priority Critical patent/JPH10310725A/ja
Publication of JPH10310725A publication Critical patent/JPH10310725A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた塗装作業性と形成された塗膜の高い仕
上がり品質とを両立することができる水系塗料を提供す
ること。 【解決手段】 上記課題を解決するための本発明の水系
塗料は、温度の上昇に応じて粘度が上昇する水系塗料で
あって、その固形分全量に対して0.01重量%〜10
重量%の範囲内の量の粘性制御剤が配合されており、こ
こで該粘性制御剤は、温度の上昇に応じて該塗料の粘度
を上昇させ得るものであることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水系塗料に関し、詳
しくは、温度コントロールによって粘度を異ならせるこ
とができる水系塗料および水系塗料用粘性制御剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】塗料の粘性を制御することは、高い仕上
がり品質の塗膜を得るために重要である。特に塗料をス
プレー塗装する場合、塗料供給時やスプレー塗装時には
当該塗料の微粒化を良好に保つために低い粘度(非ニュ
ートン流体における見かけの粘度。以下同じ。)が要求
される一方、塗着時においては当該塗料のたれ等を防ぐ
ために十分なレベルの高い粘度が要求される。さらに、
より高い仕上がり品質の塗膜を得るためには塗着後の塗
面のレベリング(フロー)性を良好に保つことがよく、
そのためには濃度上昇に伴う粘度上昇を小さくすること
が望ましい。特に水系(水性)塗料(いわゆる水溶性樹
脂塗料、ディスパージョン塗料、エマルション塗料を包
含する。以下同じ。)をスプレー塗装する場合、水が蒸
発しにくいために塗着するまでに濃度が上昇せず、たれ
を生じやすくなる。そこで、水系塗料を用いる場合には
塗装工程毎に塗料に要求される粘性(流動性)が異なっ
ており、工程条件に応じて粘性挙動を制御し得る水系塗
料の開発が望まれている。
【0003】従来、水系塗料の粘性を制御する種々の方
法が試みられている。例えば、特開平3−22301号
公報には、スプレー塗装時におけるような低濃度で水系
塗料を使用する場合におけるたれ防止のために当該水系
塗料に擬塑性流動(せん断速度の低下に伴って粘度が上
昇する流動)を発現させる増粘剤として疎水化ヒドロキ
シエチルセルロースを使用することが開示されている。
この他にも従来からポリアクリル酸のような種々の化合
物が水系塗料用増粘剤として知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この種
の従来の増粘剤を水系塗料に添加した場合には、例えば
スプレー塗装における塗料供給時のように本来低粘度が
要求される状況下においても当該塗料の粘度を高くしが
ちであり、スプレーノズルへの塗料供給装置(機構)の
供給圧の高圧力化、そしてその結果として装置の大型化
を必要とする。また、この種の従来の増粘剤を添加した
水系塗料では濃度上昇に伴う粘度上昇が顕著であり、結
果、塗着後のレベリング性が悪くなりがちで塗膜の良好
な仕上がりが得られ難かった。
【0005】本発明は、上記従来の増粘剤では解決でき
なかった水系塗料の状況に応じた粘性制御を実現するも
のであり、その目的とするところは、塗料の温度を上げ
ることによって当該塗料の粘度を上昇させることができ
る水系塗料用粘性制御剤、および、そのような粘性制御
剤を含有する水系塗料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、水系塗料に
添加される物質であって当該塗料の粘性を制御し得る物
質を鋭意検討した結果、一般的な液状塗料の粘性挙動と
は異なり、温度の上昇に応じて水系塗料の粘度を上昇さ
せ得る高分子物質を見出し、当該物質からなる水系塗料
用粘性制御剤、および、当該粘性制御剤を種々の樹脂組
成物(塗膜形成主要素)とともに配合させて成る水系塗
料を開発して本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、水系塗料の粘性を制
御するための粘性制御剤であって、温度の上昇に応じて
当該塗料の粘度を上昇させ得るものであることを特徴と
する粘性制御剤(以下「本発明の粘性制御剤」とい
う。)を提供する。
【0008】さらに本発明は、水系塗料であって、その
塗料には固形分全量に対して0.01重量%〜10重量
%の範囲内の量の粘性制御剤が配合されており、ここで
当該粘性制御剤は温度の上昇に応じて当該塗料の粘度を
上昇させ得るものであることを特徴とする水系塗料(以
下「本発明の水系塗料」という。)を提供する。
【0009】本発明の粘性制御剤は、一般的な液状塗料
におけるような温度上昇に伴って粘度が低下する粘性挙
動とは全く異なり、温度の上昇に応じて水系塗料の粘度
を上昇させることができる。また、温度の低下に応じて
当該水系塗料の粘度を低下させることができる。すなわ
ち、本発明の粘性制御剤によれば、温度の調節によって
水系塗料の粘性(流動性)を適宜変化させることができ
る。従って、本発明の粘性制御剤が配合されて成る本発
明の水系塗料においては、低温条件下で粘度が相対的に
低く、逆に高温条件下で粘度が相対的に高い。このた
め、本発明の水系塗料によれば、当該塗料を所望する低
粘度を示すような比較的低温域において塗装(典型的に
はスプレー塗装における塗料供給時およびスプレー時)
に供することによって被塗物への良好な塗着を行うこと
ができるとともに、塗着後に被塗物を高温条件下に曝す
(即ち、塗着した塗料の温度を上げる)ことによって塗
面からの塗料のたれを防止することができる。さらに、
塗装後の乾燥工程において被塗物を低温条件下に曝す
(即ち、塗着した塗料の温度を下げる)、あるいは放冷
(蒸発による冷却を含む)することによってレベリング
を良好に保ち得るため、本発明の水系塗料からなる仕上
がり品質の良い塗膜を形成することが可能である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、典型的には以下のよう
に実施され得る。
【0011】本発明の粘性制御剤として用いられる物質
(混合物および複合体を包含する。)は、水溶性ポリマ
ーであってそれ単独または界面活性剤とともに水に溶解
もしくは分散された際に、温度の上昇に応じて当該水分
散液(分子状分散すなわち水溶液状態を包含する。以下
同じ)の粘度を上昇させる物質として特定され得る。こ
こで水溶性ポリマーとは、親水基を含有するために水に
溶解あるいは分散するポリマーをいう。本発明の粘性制
御剤として用いられる水溶性ポリマーの典型的なもの
は、部分的に疎水化された水溶性ポリマー(以下「部分
疎水化水溶性ポリマー」という。)である。このような
部分疎水化水溶性ポリマーは、以下に例示するような水
溶性ポリマーに部分的に疎水基(例えばアルキル基)を
導入することによって生成することができる。
【0012】本発明の粘性制御剤に好適に用いられる上
記部分疎水化水溶性ポリマーを生成する(即ち部分的に
疎水基を導入する)ために好ましい水溶性ポリマーは、
セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチル
セルロース等のセルロース誘導体、あるいは、ポリアク
リル酸、ポリスチレンスルホン酸等の高分子電解質、あ
るいは、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、
ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の親
水基含有ポリマー、あるいは、アルギン酸、キサンタ
ン、カードラン、カラギーナン(カラゲニン)、ジェラ
ン等の多糖類である。
【0013】また、本発明の粘性制御剤として上記種々
の部分疎水化水溶性ポリマーとともに界面活性剤を含め
る場合は非イオン性の界面活性剤が好ましく、ポリオキ
シエチレンのアルキルエーテルやポリオキシエチレンの
フェニルエーテルが特に好ましい。なお、本発明の粘性
制御剤の調製にあたっては、上述の界面活性剤の添加が
常に必須の条件というものではなく、例えばメチルセル
ロース、エチルセルロースのようなセルロース誘導体を
部分疎水化水溶性ポリマーとして本発明の粘性制御剤に
適用する場合には、上記界面活性剤の添加は要求されな
い。
【0014】本発明の粘性制御剤は上記部分疎水化水溶
性ポリマーまたは当該ポリマーと上記界面活性剤から構
成されるため、水系塗料の性状に特に限定されるもので
はない。従って、本発明の粘性制御剤は、無機物あるい
は有機物を含む水分散液の粘度特性を調整するのに有用
であり、例えば、天然および合成ラテックス、各種合成
樹脂エマルション、分散性樹脂の水分散液、水に不溶性
の無機および有機物質のスラリーおよびコロイド状分散
体(コロイダルディスパーション)およびこれらの混合
組成物を包含する種々の性状の水系塗料に適用すること
ができる。
【0015】また、上記のとおり、本発明の粘性制御剤
の塗料への適用幅が広い結果、本発明の粘性制御剤を含
有することを特徴とする本発明の水系塗料では、いわゆ
る塗膜形成主要素(基体樹脂)の他、種々の顔料(例え
ば、アルミニウムペースト、酸化チタン、カーボンブラ
ック、マイカ、キナクリドン等)および染料、分散剤、
酸化防止剤、紫外線吸収剤、あるいは消泡剤などを含有
または混合させることができる。
【0016】本発明の水系塗料では、その固形分全量に
対して0.01重量%〜10重量%の範囲内の量の上記
本発明の粘性制御剤が配合されていればよく、このこと
によって、温度の上昇に応じて粘度が上昇する特性が当
該塗料に付与され得る。特に、本発明の粘性制御剤を固
形分全量に対して0.1重量%〜5重量%の範囲内の量
となるように水系塗料に配合することが特に好ましい。
一方、本発明の粘性制御剤の配合量が固形分全量に対し
て10重量%よりも高すぎる場合は、水系塗料の親水性
が必要以上に高くなるため塗膜の耐水性の観点から望ま
しくない。また、本発明の粘性制御剤の配合量が固形分
全量に対して0.01重量%よりも低すぎる場合は、上
記粘度特性を制御するのに十分とはいえない。
【0017】本発明の水系塗料を適用する被塗物につい
ては特に制限はなく、例えば、自動車、船舶、航空機等
の輸送機器や建築物、あるいは電気器具などの塗装に適
用され得る。本発明の水系塗料では、温度コントロール
によって当該塗料の粘度を所望するレベルに制御するこ
とができるため、特に優れた塗装作業性と高い仕上がり
品質が求められる自動車等のボディの塗装に好ましく適
用される。また、本発明の水系塗料は、温度コントロー
ルによって粘度を随意に調節することができるため、例
えば、本発明の水系塗料をスプレー塗装する場合、使用
する塗料供給装置に特に制限はなく、プランジャーポン
プ、ギアポンプ等の一般的な圧送ポンプ、圧送タンク、
重力式カップ、吸い上げ式カップ等を好適に使用するこ
とができる。
【0018】次に、本発明の水系塗料を用いる場合の好
ましい塗装方法について説明する。塗装工程において
は、被塗物の表面に本発明の水系塗料を塗装する方法に
は特に制限がなく、従来の水系塗料の塗装方法のほとん
どが適用できる。典型的には霧化式塗装(例えば、エア
スプレー塗装、エアレススプレー塗装、エア霧化式もし
くは回転霧化式静電塗装)またははけ塗りあるいはディ
ップコート法などによって塗装することができる。優れ
た塗装作業性と高い仕上がり品質が求められる被塗物に
塗装する場合は霧化式塗装が好ましい。また、被塗物の
温度調節方法についても特に限定はなく通常の塗装工程
において行われ得る種々の方法が用いられる。例えば、
被塗物を加熱する場合には被塗物周囲の雰囲気を加熱す
る方法および/または被塗物を直接加熱する方法のいず
れでもよく、具体的な加熱手段としては温風の印加や熱
風炉、赤外炉、あるいは誘電加熱炉等が適用できる。他
方、被塗物を冷却する場合(被塗物を一旦加熱した後の
放冷を含む)においても被塗物周囲の雰囲気を冷却する
方法および/または被塗物を直接冷却する場合のいずれ
でもよく、具体的な冷却手段としては冷風の印加や低温
槽等あるいは蒸発を伴う放冷が適用できる。
【0019】
【実施例】以下の実施例において、本発明の水系塗料お
よび粘性制御剤をさらに詳細に説明するが、これらはな
んら本発明を限定するものではない。
【0020】<実施例1>先ず、実施例1として、本発
明の粘性制御剤として好適な水溶液を調製し、その温度
に応じた粘性挙動(流動性)を調べた。すなわち、メチ
ルセルロース(和光純薬社製品)2重量%をイオン交換
水に溶解した。次いで得られた水溶液をそのまま3時間
攪拌した後、20℃、40℃、50℃の各温度条件下で
24時間静置した。その後、上記各温度条件下における
水溶液の粘性挙動を測定した。なお、粘性挙動は回転型
粘度計を用いてせん断速度1×10-2-1〜5×102
-1における粘度を測定して評価した。結果を図1に示
す。図1中の白抜き逆三角、白抜き丸、および白抜き四
角が、各々、20℃、40℃、および50℃における本
水溶液のせん断速度(s-1;横軸)に対する粘度(Pa
・s)の変動を示したものである。図1から明らかなよ
うに、本水溶液は、温度の上昇に応じて粘度が上昇する
特性を有するものであり、この傾向はせん断速度が低い
ほど顕著である。特に20℃条件下におかれた水溶液
は、本実施例において測定したせん断速度範囲内におい
て常に40℃条件下および50℃条件下における水溶液
よりも低粘度であった。特に、せん断速度がほぼ1×1
0 -1に至るまでは40℃条件下および50℃条件下
における水溶液よりも顕著に低粘度(常に1×100
a・s未満)であった。また、40℃条件下の水溶液に
ついても、本実施例において測定したせん断速度範囲内
において常に50℃条件下における水溶液よりも低粘度
であった。
【0021】<実施例2>また、実施例2として、本発
明の粘性制御剤として好適な他の水溶液を調製し、その
温度に応じた粘性挙動(流動性)を調べた。すなわち、
部分疎水化ヒドロキシエチルセルロース(アクアロン社
製品「ナトロゾルプラス(商標)」)1重量%およびオ
リゴエチレンオキサイドドデシルエーテル(日本乳化剤
社製品「ニューコール1105(商標)」)4重量%を
イオン交換水に溶解した。次いで得られた水溶液をその
まま3時間攪拌した後、20℃、30℃、40℃の各温
度条件下で24時間静置した。その後、上記各温度条件
下における水溶液の粘性挙動を測定した。なお、粘性挙
動は回転型粘度計を用いてせん断速度1×10-2-1
1×103 -1における粘度を測定して評価した。結果
を図2に示す。図2中の白抜き四角、白抜き丸、および
白抜き逆三角が、各々、20℃、30℃、および40℃
における本水溶液のせん断速度(s-1;横軸)に対する
粘度(Pa・s)の変動を示したものである。図2から
明らかなように、本水溶液は、温度の上昇に応じて粘度
が上昇する特性を有するものであり、この傾向はせん断
速度が低いほど顕著である。特に20℃条件下におかれ
た水溶液は、せん断速度がほぼ1×102 -1に至るま
では30℃条件下および40℃条件下における水溶液よ
りも顕著に低粘度(常に1×100 Pa・s未満)であ
った。また、30℃条件下の水溶液もせん断速度がほぼ
1×101 -1に至るまでは40℃条件下における水溶
液よりも低粘度(1×101 Pa・s未満)であった。
【0022】<比較例1>次に、本発明の粘性制御剤に
対する比較例として、通常のポリマー水溶液を調製し、
その温度に応じた粘性挙動(流動性)を調べた。すなわ
ち、2重量%となるようにポリアクリル酸溶液(大日本
インキ社製品「ボンコートHV(商標)」)をイオン交
換水で希釈した。次いで得られた希釈液にジメチルエタ
ノールアミンをカルボキシル基に対して当量添加し、そ
のまま3時間攪拌した後、10℃、20℃、30℃、4
0℃の各温度条件下で24時間静置した。その後、上記
実施例1および実施例2と同様に、上記各温度条件下に
おける本水溶液の粘性挙動を測定した。なお、粘性挙動
は回転型粘度計を用いてせん断速度5×10-2-1〜5
×102 -1における粘度を測定して評価した。結果を
図3に示す。図3中の白抜き×、白抜き丸、白抜き逆三
角、および白抜き四角が、各々、10℃、20℃、30
℃、および40℃における本水溶液のせん断速度
(s-1;横軸)に応じた粘度(Pa・s)の変動を示し
たものである。図3から明らかなように、本水溶液は、
いずれの温度条件下においてもせん断速度の増大に伴っ
て粘度が減少し、上記実施例1および実施例2で調製さ
れた各本発明の粘性制御剤とは異なり、温度の上昇に応
じて粘度が低下した。
【0023】<実施例3>次に、上記実施例1で得られ
た粘性制御剤を含有する本発明の水系塗料を調製し、そ
の温度に応じた粘性挙動(流動性)を調べた。すなわ
ち、攪拌機、温度調節器、および冷却管を備えた反応容
器内にエチレングリコールモノブチルエーテルを286
重量部ほど仕込み、温度を120℃に保った。ここに、
メタクリル酸40重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシエ
チル100重量部、アクリル酸n-ブチル140重量部、
メタクリル酸エチル70重量部およびアゾビスイソブチ
ロニトリル6.9重量部からなるモノマー溶液を5時間
かけて添加した。その後1時間攪拌を継続し、不揮発分
55重量%、数平均分子量4800の水系塗料用樹脂組
成物を得、次いで、得られた水系塗料用樹脂組成物をジ
メチルエタノールアミンで酸価に対して当量中和し、水
で25重量%に希釈した後、上記実施例1で調製した粘
性制御剤を当該粘性制御剤固形分が当該水系塗料の固形
分全量に対してほぼ2重量%になるように添加し、さら
に三井東圧化学株式会社製品「サイメル303(商
標)」(メトキシメチロールメラミン)を適量添加し均
一混合し、本発明の水系塗料を得た。
【0024】上記得られた本発明の塗料について、実施
例1と同様に20℃、40℃、50℃の各温度条件下に
おける粘性挙動を測定した。なお、粘性挙動は回転型粘
度計を用いてせん断速度1×10-2-1〜5×102
-1における粘度を測定して評価した。結果を図4に示
す。図4中の白抜き逆三角、白抜き丸、および白抜き四
角が、各々、20℃、40℃、および50℃における本
塗料のせん断速度(s- 1 ;横軸)に対する粘度(Pa
・s)の変動を示したものである。図4から明らかなよ
うに、本塗料は実施例1の水溶液と同様に温度の上昇に
応じて粘度が上昇する特性を有するものであり、この傾
向はせん断速度が低いほど顕著であった。
【0025】<実施例4>次に、上記実施例2で得られ
た粘性制御剤を含有する本発明の水系塗料を調製した。
すなわち、上記実施例3と同一の原料物質および方法に
よって、不揮発分55重量%、数平均分子量4800の
水系塗料用樹脂組成物を得、次いで、得られた水系塗料
用樹脂組成物をジメチルエタノールアミンで酸価に対し
て当量中和し、水で25重量%に希釈した後、上記実施
例2で調製した粘性制御剤を当該粘性制御剤固形分が当
該水系塗料の固形分全量に対してほぼ5重量%になるよ
うに添加し、さらに三井東圧化学株式会社製品「サイメ
ル303(商標)」(メトキシメチロールメラミン)を
適量添加し均一混合し、本発明の水系塗料を得た。
【0026】<比較例2>上記実施例3および実施例4
で得られた各水系塗料に対する一比較例として、上記比
較例1で得られた水溶液を含有する水系塗料を調製し
た。すなわち、上記実施例3と同一の原料物質および方
法によって、不揮発分55重量%、数平均分子量480
0の水系塗料用樹脂組成物を得、次いで、得られた水系
塗料用樹脂組成物をジメチルエタノールアミンで酸価に
対して当量中和し、水で25重量%に希釈した後、上記
比較例1で調製したポリアクリル酸水溶液を当該ポリア
クリル酸部分が当該水系塗料の固形分全量に対してほぼ
2重量%になるように添加し、さらに三井東圧化学株式
会社製品「サイメル303(商標)」(メトキシメチロ
ールメラミン)を適量添加し均一混合し、塗料を得た。
【0027】 <実施例5>(塗料および塗膜の評価)次に、上記実施
例3、実施例4、および比較例2で得られた各塗料をエ
アスプレー塗装に適用した場合の塗料安定性、塗料供給
性、被塗物への塗着後の塗装性(たれにくさおよびレベ
リング性)、ならびにエアスプレー塗装によって形成さ
れた塗膜の外観(肌)を以下のように評価した。
【0028】すなわち、上記各塗料を20℃条件下で圧
送ポンプからエアスプレーガンに各々供給した。この
際、圧送ポンプからの各塗料の塗料供給性を評価した。
次いで、当該エアスプレーガンによって、予め40℃に
保温し、垂直に固定した中塗り鋼板に各塗料をエアスプ
レー塗装し、そのまま3分間放置した。この際、各塗料
の塗装性として被塗面からのたれにくさを評価した。次
いで、20℃条件下で当該中塗り鋼板を10分間静置し
た。この際、各塗料の塗装性として塗面のレベリング性
を評価した。次いで、各塗装鋼板を乾燥器内に移し、1
40℃で30分間の焼付けを実施した。そして、得られ
た塗膜の外観(肌)を評価した。また、参考例として、
実施例3で得られた水系塗料を上記と同様の条件で中塗
り鋼板にエアスプレー塗装した後、当該塗装鋼板を20
℃条件下にすることなく40℃条件のまま10分間静置
した後に同様に乾燥器内で140℃、30分間の焼付け
を実施した。そして当該参考例によって得られた塗膜の
外観(肌)も合わせて評価した。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示すように、上記実施例3および実
施例4で得られた本発明の各水系塗料をエアスプレー塗
装した場合であって塗装後に20℃条件下に10分間静
置したもの(表中の実施例3および実施例4の欄参照)
については、塗料安定性、20℃条件下における塗料供
給性、塗装性(たれにくさ及びレベリング性)ならびに
形成された塗膜の外観(肌)のいずれも良好であった
(表中の○)。
【0031】一方、上記比較例2で得られた水系塗料を
エアスプレー塗装したもの(表中の比較例2の欄参照)
については、20℃条件下における粘度が高すぎ、結
果、塗料供給性が不良であった(表中の×)。また、上
記比較例2で得られた水系塗料では温度コントロールに
よっても所望する粘度を示し得ないため、塗着後のレベ
リング性が不良であり、形成された塗膜の外観も好まし
いものではなかった(表中の×)。また、上記実施例3
で得られた本発明の各水系塗料を上述の参考例に従って
エアスプレー塗装したものについては、被塗物へ塗着後
の温度コントロールが好適に行われなかった(40℃条
件のまま10分間静置した;図1参照)ため、レベリン
グ性および塗膜外観が不良であった(表中の×)。
【0032】以上のとおり、本実施例から明らかなよう
に、本発明の水系塗料においては、上記本発明の粘性制
御剤が適量配合されている結果、温度コントロールによ
って当該塗料の粘度(流動性)を塗装工程毎に適宜変化
させることができるため、優れた塗装作業性と塗膜の高
い仕上がり品質とを両立させることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、塗料の温度を上げるこ
とによって当該塗料の粘度を上昇させることができる水
系塗料用の粘性制御剤、および、そのような粘性制御剤
を含有する水系塗料を提供することができる。
【0034】すなわち、本発明の水系塗料では、低温域
で使用する場合には粘度が低くなるため、例えばスプレ
ー塗装の際の塗料供給時やスプレー時の塗料温度、ある
いは塗着後の被塗物の温度を下げることによって、塗装
作業性やレベリング性を向上させることができる。他
方、本発明の水系塗料では、高温域で使用する場合には
粘度が高くなるため、例えば塗着後に被塗物の温度を上
げることによって塗料の塗着面からのたれを防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例に係る本発明の粘性制御剤における温
度条件別せん断速度に対する粘性挙動を示すグラフであ
る。
【図2】一実施例に係る本発明の粘性制御剤における温
度条件別せん断速度に対する粘性挙動を示すグラフであ
る。
【図3】一比較例としての従来の高分子水溶液における
温度条件別せん断速度に対する粘性挙動を示すグラフで
ある。
【図4】一実施例に係る本発明の水系塗料における温度
条件別せん断速度に対する粘性挙動を示すグラフであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水系塗料であって、 その塗料には固形分全量に対して0.01重量%〜10
    重量%の範囲内の量の粘性制御剤が配合されており、 ここで該粘性制御剤は温度の上昇に応じて該塗料の粘度
    を上昇させ得るものであることを特徴とする水系塗料。
  2. 【請求項2】 水系塗料の粘性を制御するための粘性制
    御剤であって、 温度の上昇に応じて該塗料の粘度を上昇させ得るもので
    あることを特徴とする粘性制御剤。
JP12089397A 1997-05-12 1997-05-12 水系塗料および粘性制御剤 Pending JPH10310725A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12089397A JPH10310725A (ja) 1997-05-12 1997-05-12 水系塗料および粘性制御剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12089397A JPH10310725A (ja) 1997-05-12 1997-05-12 水系塗料および粘性制御剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10310725A true JPH10310725A (ja) 1998-11-24

Family

ID=14797605

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12089397A Pending JPH10310725A (ja) 1997-05-12 1997-05-12 水系塗料および粘性制御剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10310725A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020679A (ja) * 2000-07-04 2002-01-23 Nof Corp エマルション塗料組成物、製造方法及びその塗装物品
JP2014148642A (ja) * 2013-02-04 2014-08-21 Nippon Paint Co Ltd 水性塗料組成物、それを用いる複層塗膜形成方法および粘性制御方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002020679A (ja) * 2000-07-04 2002-01-23 Nof Corp エマルション塗料組成物、製造方法及びその塗装物品
JP2014148642A (ja) * 2013-02-04 2014-08-21 Nippon Paint Co Ltd 水性塗料組成物、それを用いる複層塗膜形成方法および粘性制御方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR930009369B1 (ko) 메탈릭 도장방법
CN105061665B (zh) 一种羟基聚丙烯酸酯乳液及其制备方法与应用
CN110511603A (zh) 一种玫瑰精油微胶囊乳液及其制备方法和应用
CN105969021B (zh) 一种反射隔热疏水涂料
JPS6189270A (ja) 改良されたマスチックまたはコーキング配合物
CN107057518B (zh) 低温快干水性环氧底漆及其制备方法
WO1997020004A1 (fr) Composition de resine solidifiable pour peintures a l'eau
JP2947936B2 (ja) 圧縮流体による水系塗料の吹付塗布法
EP0601378B1 (en) Mica-containing pigment composition
JPH0797536A (ja) セルロース添加剤を含んでなる電着塗料組成物
JPH01287162A (ja) 水性塗料組成物
JPS63111976A (ja) 塗装方法
JPH10310725A (ja) 水系塗料および粘性制御剤
JP7042027B2 (ja) 上塗り塗料用二液反応硬化型水性塗料組成物、並びにこれを用いた複層膜形成方法及び塗装体
CN118684810A (zh) 自交联丙烯酸乳液、涂料及制备方法和用途
CN111285953B (zh) 一种丙烯酸乳液及其制备方法
JPH10212430A (ja) 温度に応じて流動性が変化する水系塗料および粘性制御剤
CN114958093A (zh) 一种水性有机色浆
JPH03215504A (ja) 架橋重合体微粒子及びそれを含む塗料組成物
JP2003340364A (ja) 光輝性塗膜の形成方法
JP6496443B1 (ja) 二酸化炭素塗装用水性塗料、コーティング組成物、及び塗装方法
CN114940846B (zh) 一种水性无机色浆
JPH10183065A (ja) 塗料用樹脂組成物
JP2005187512A (ja) 水性粉体スラリー塗料組成物
JPH0452310B2 (ja)