[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JPH0933462A - 大気圧下測定用イオンビーム分析装置 - Google Patents

大気圧下測定用イオンビーム分析装置

Info

Publication number
JPH0933462A
JPH0933462A JP7179065A JP17906595A JPH0933462A JP H0933462 A JPH0933462 A JP H0933462A JP 7179065 A JP7179065 A JP 7179065A JP 17906595 A JP17906595 A JP 17906595A JP H0933462 A JPH0933462 A JP H0933462A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ion beam
atmospheric pressure
exit window
thin film
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7179065A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Inoue
憲一 井上
Kiyotaka Ishibashi
清隆 石橋
Kazuji Yokoyama
和司 横山
Chikara Ichihara
主税 一原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP7179065A priority Critical patent/JPH0933462A/ja
Publication of JPH0933462A publication Critical patent/JPH0933462A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜よりなるイオンビーム出口窓の厚みを従
来出口窓に比べてその使用寿命が短くなることなく薄く
し、これによりイオンビームを用いた粒子励起X線放出
法(PIXE法)での検出感度、ラザフォード後方散乱
分光法(RBS法)での測定分解能を向上させる。 【解決手段】 大気圧にされる試料室を備える一方、水
素イオンまたはヘリウムイオンによるイオンビームを集
束させ、このイオンビームを薄膜よりなるイオンビーム
出口窓を透過させて真空側から大気圧側へ導いて前記試
料室内に配置された試料Sに照射する集束レンズを備
え、イオンビームを用いて試料SについてPIXE法、
RBS法による組成分析を行う大気圧下測定用イオンビ
ーム分析装置において、イオンビーム出口窓2の大気圧
側の表面にヘリウムガスを吹き付けるための冷却用ノズ
ル孔14aを有する部材14を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば生体細胞
のような真空中で変質する試料の組成分析に用いられる
大気圧下測定用イオンビーム分析装置に関し、大気圧に
される試料室を有し、軽イオン(水素イオンまたはヘリ
ウムイオン)による高エネルギのイオンビームをイオン
ビーム出口窓を透過させて真空側から大気圧側へ導いて
試料室内に配置された試料に照射し、その試料について
粒子励起X線放出法、ラザフォード後方散乱分光法によ
る組成分析を行う大気圧下測定用イオンビーム分析装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、粒子励起X線放出法(P
IXE法:Particle Induced Xray E-mission )、及び
ラザフォード後方散乱分光法(RBS法:Rutherford B
acksc-attering Spectroscopy )は、水素イオンまたは
ヘリウムイオンによる高エネルギのイオンビームを利用
して試料の表面あるいは表面近傍の化学組成や試料深さ
方向における組成変化を知るための代表的な分析手法で
ある。
【0003】前者のPIXE法は、照射したイオンが試
料内原子に衝突すると、その内殻電子を励起することで
特性X線が放出されるので、この特性X線を検出するこ
とにより、その特性X線のスペクトルから試料の組成元
素を同定・検出しうる方法である。また、後者のRBS
法は、質量M1 でエネルギE0 のイオンを試料内の質量
2 の原子に衝突させると、弾性散乱されて跳ね返され
たイオンのエネルギEが衝突相手の原子核の質量M2
関数となることから、跳ね返された散乱イオンのエネル
ギースペクトルを測定することにより、試料の組成元素
の質量が推定できる方法であり、とりわけ散乱イオンと
して後方に散乱されるイオンを利用するときがもっとも
測定分解能が高く、その名が付けられている。
【0004】そして、1〜3MeV程度の高エネルギを
持つイオンビームを用いて行うこのようなPIXE法、
あるいはRBS法による組成分析では、試料を真空チャ
ンバ内に配置して分析を行うことが一般的である。つま
り、内部が真空排気されたビームライン管内を通過して
きたイオンビームを、同じく真空排気された真空チャン
バ内に導いて、試料に照射するようにしている。
【0005】これに対して、真空中で変質する試料(例
えば生体細胞)、酸素を嫌う試料などについては、大気
圧にされる試料室を備えた大気圧下測定用イオンビーム
分析装置により、水素イオンまたはヘリウムイオンによ
るイオンビームを、薄膜よりなるイオンビーム出口窓を
透過させて真空側から大気圧側へ導いて試料室内に配置
された試料に照射し、その試料についてPIXE法、あ
るいはRBS法による組成分析が行われている。
【0006】そして、この従来の大気圧下測定用イオン
ビーム分析装置では、イオンビームを真空側から大気圧
側へ透過させるための薄膜よりなるイオンビーム出口窓
として、例えばカプトンや、マイラー等よりなる有機高
分子薄膜、あるいはアルミニウム薄膜が用いられてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
大気圧下測定用イオンビーム分析装置では、薄膜よりな
るイオンビーム出口窓の厚みが厚いため、出口窓透過に
よるイオンビームのエネルギ損失が大きくなるととも
に、エネルギ・ストラグリング現象により個々のイオン
の持つエネルギ値が大きくばらつくというエネルギ分散
が生じる。
【0008】このため、試料中の複数元素を分離識別す
るために試料衝突時のイオンエネルギが高く、且つイオ
ン個々のエネルギが揃っていることが要求されるRBS
法による試料の組成分析を行う場合には、測定分解能が
悪いという問題があった。また、PIXE法による組成
分析を行う場合には、出口窓透過によるエネルギ損失で
試料衝突時のイオンビームエネルギが減少するため、検
出感度が悪いという問題があった。なお、薄膜よりなる
イオンビーム出口窓はイオンビームが透過することで発
熱し、この発熱による変質がイオンビーム出口窓の強度
劣化を招くことになるので、この点を考慮して、従来の
大気圧下測定用イオンビーム分析装置では、長時間にわ
たって真空が破れることのないようにイオンビーム出口
窓の厚みが設定されていた。
【0009】そこでこの発明は、真空側から大気圧側に
イオンビームを透過させるイオンビーム出口窓を強制冷
却する手段を設けることにより、薄膜よりなるイオンビ
ーム出口窓の厚みを従来出口窓に比べてその使用寿命が
短くなることなく薄くすることができて、イオンビーム
を用いた粒子励起X線放出法(PIXE法)での検出感
度、ラザフォード後方散乱分光法(RBS法)での測定
分解能を向上させることができるようにした大気圧下測
定用イオンビーム分析装置を提供することを課題とする
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するも
のとして、請求項1の発明は、大気圧にされる試料室を
備える一方、水素イオンまたはヘリウムイオンによるイ
オンビームを集束させ、このイオンビームを薄膜よりな
るイオンビーム出口窓を透過させて真空側から大気圧側
へ導いて前記試料室内に配置された試料に照射する集束
レンズを備え、イオンビームを用いて前記試料について
粒子励起X線放出法、ラザフォード後方散乱分光法によ
る組成分析を行う大気圧下測定用イオンビーム分析装置
において、前記イオンビーム出口窓の大気圧側の表面
に、イオンビーム出口窓に対して化学的に不活性で、熱
伝導率が大きい軽元素気体を吹き付け、イオンビーム出
口窓を強制冷却するイオンビーム出口窓冷却手段を備え
ていることを特徴とするものである。
【0011】請求項2の発明は、請求項1記載の大気圧
下測定用イオンビーム分析装置において、前記イオンビ
ーム出口窓が、ベリリウム薄膜、気相合成ダイヤモンド
薄膜、ダイヤモンド状炭素薄膜から選ばれた1種より構
成されており、前記軽元素気体がヘリウムであることを
特徴とするものである。請求項3の発明は、請求項1又
は2記載の大気圧下測定用イオンビーム分析装置におい
て、前記集束レンズが、イオンビームをイオンビーム出
口窓位置、もしくはその近傍位置にて焦点を結ぶように
集束させることを特徴とするものである。
【0012】以下、このような特徴を有するこの発明に
よる大気圧下測定用イオンビーム分析装置により、前記
課題が解決されることについて述べる。従来装置では、
イオンビーム出口窓は、イオンビームが透過する薄膜自
体の窓面に沿う熱伝導だけで熱放出がなされていた。
【0013】これに対して、この発明による大気圧下測
定用イオンビーム分析装置においては、イオンビーム出
口窓冷却手段により、薄膜よりなるイオンビーム出口窓
は、その大気圧側の表面に、冷却用の気体が吹き付けら
れて強制冷却されるので、真空側から大気圧側に透過す
る際のイオンビームのエネルギ損失による発熱がすみや
かに取り除かれて、イオンビーム出口窓を構成する薄膜
の材質が、強度劣化につながるような変質を起こすこと
がない。
【0014】これにより、イオンビーム出口窓の厚みを
従来出口窓に比べて使用寿命が短くなることなく薄くす
ることができるので、高いエネルギを持ち、エネルギ分
散の小さいイオンビームを試料に照射することができ
て、RBS法での測定分解能、PIXE法での検出感度
を向上させることができる。
【0015】イオンビーム出口窓の大気圧側の表面に吹
き付ける強制冷却用気体としては、イオンビーム出口窓
を構成する薄膜に対して化学的に不活性で、且つ、熱伝
導率が大きい軽元素気体であることが必要がある。出口
窓を構成する薄膜に対して化学的に不活性な軽元素気体
を使用することにより、イオンビーム透過によってイオ
ン化あるいは励起された薄膜組成分子と強制冷却用気体
とが化学反応して薄膜が変質することを防ぐことができ
る。そして、軽元素気体は、抜熱性能が良く、つまり熱
伝導率が大きくて強制冷却媒体として適しており、ま
た、軽元素の気体を使用することで、イオンビーム出口
窓を透過して試料に照射されるまでの間における、この
強制冷却用軽元素気体によるイオンビームのエネルギ損
失やエネルギ分散を極めて少なくすることができる。
【0016】イオンビーム出口窓は、ベリリウム薄膜、
気相合成ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンド状炭素薄膜か
ら選ばれた1種より構成されているものがよい。以下、
このことについて説明する。
【0017】イオンビーム出口窓を構成する薄膜として
は、強度劣化につながる放射線損傷(結晶欠陥など)
や、発熱による温度上昇に誘発される化学変化を起こさ
ないものがよい。温度上昇を抑えるには、薄膜は、発熱
量が小さく、比熱が大きく、熱伝導率が大きいものがよ
い。そして、イオンビーム出口窓透過時のイオンビーム
の薄膜単位厚さ当たりのエネルギ損失(発熱)が薄膜構
成原子の原子番号に比例するので、出口窓を構成する薄
膜は、軽元素でなるものが好ましい。また、イオンビー
ム出口窓の上流側に散乱イオン検出器を配設し、試料か
らの散乱イオンをイオンビーム出口窓を通して前記検出
器によって検出するようにしたRBS法による分析を行
う際には、イオンビーム出口窓を示す信号と、試料の分
析対象の中元素、重元素を示す信号とが重ならないよう
にするためにも、出口窓を構成する薄膜は、軽元素でな
るものが好ましい。
【0018】表1に、アルミニウム、銅、金およびカプ
トンの各従来薄膜と、この発明に係るベリリウム薄膜、
及びダイヤモンド状炭素薄膜についての諸特性を示す。
なお、気相合成ダイヤモンド薄膜の特性は、表1に示す
ダイヤモンド状炭素薄膜のそれと同じである。
【0019】
【表1】
【0020】表1の総合指標〔(Z/C)/κ〕は、原
子番号Z、比熱C及び熱伝導率κの三者を組み合わせた
ものであって、その値が小さいことが好ましく、ベリリ
ウム薄膜、ダイヤモンド状炭素薄膜及び気相合成ダイヤ
モンド薄膜が良いことがわかる。なお、厚み1μm以下
の均質なベリリウム薄膜を作製することは難しい一方、
気相合成ダイヤモンド薄膜及びダイヤモンド状炭素薄膜
は、気相成長法により比較的容易に均質な薄膜が得られ
ることから、実用的である。
【0021】さて、前述したように、イオンビーム出口
窓の大気圧側の表面に吹き付ける強制冷却用気体として
は、熱伝導率が大きく、イオンビーム出口窓を構成する
薄膜と化学的に反応しないものである必要がある。表2
に各種気体の特性を示す。
【0022】
【表2】
【0023】表2から理解されるように、軽い気体ほど
熱伝導率が大きく、とりわけ、ヘリウムは、不活性であ
りイオンビーム出口窓の冷却用気体として最適である。
そして、軽元素の気体であるヘリウムを使用すること
で、イオンビーム出口窓を透過して試料に照射されるま
での間におけるこの強制冷却用気体によるイオンビーム
のエネルギ損失やエネルギ分散を極めて少なくすること
ができる。
【0024】この発明による大気圧下測定用イオンビー
ム分析装置では、イオンビーム出口窓の上流側に配設さ
れた集束レンズにより、イオンビームをイオンビーム出
口窓位置、もしくは出口窓位置より1mm程度の近傍位
置にてその焦点を結ぶように集束させることがよい。イ
オンビーム出口窓位置、もしくはその近傍位置において
ビーム径を従来の直径1〜2mmから直径300μm以
下に絞り込めるため、イオンビーム出口窓における薄膜
でなるビーム透過部の面積が小さくてすむ。真空が破れ
ることなく真空側と大気圧側とを隔てるイオンビーム出
口窓に必要な強度は、前記ビーム透過部の面積に比例す
るので、したがって、薄膜よりなる出口窓をより薄くす
ることができる。これにより、高いエネルギを持ち、エ
ネルギ分散の小さいイオンビームを試料に照射すること
ができて、RBS法での測定分解能、PIXE法での検
出感度をより向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明について説明する。図1はこの発明による大気圧下測
定用イオンビーム分析装置の全体構成を示す構成説明図
である。
【0026】図1において、1は大気圧にされ、試料S
が配置される試料室(グローブボックス)であり、2は
水素イオンまたはヘリウムイオンよりなるイオンビーム
を真空側から大気圧にされた試料室1内へ透過させるた
めの後述するイオンビーム出口窓である。試料室1には
イオンビーム出口窓2を強制冷却するための後述するイ
オンビーム出口窓冷却手段が設けられている。
【0027】図1に示すように、この大気圧下測定用イ
オンビーム分析装置は、前記の試料室1及びイオンビー
ム出口窓2を備える他、水素イオンまたはヘリウムイオ
ンを発生させるイオン源3と、この発生させたイオンを
加速する加速器4と、加速されたイオンビームを所定口
径で切り出す対物スリット5と、切り出されたイオンビ
ームから分析に利用する質量のイオン種のみを選別する
イオン種選別系6と、このイオン種選別系6を通過した
イオンビームを偏向させて試料S上の所定位置に照射す
るための偏向電極7と、イオン種選別系6と偏向電極7
を通過したイオンビームを集束させ、このイオンビーム
を薄膜よりなるイオンビーム出口窓2を透過させて真空
側から大気圧側へ導き、試料室1内に配置された試料S
に照射する集束レンズとしての2連の四重極磁気レンズ
8とを備えてなるものである。
【0028】なお、前記イオン種選別系6は、E×B型
質量分離器6aと質量分離スリット6bとより構成され
ている。E×B型質量分離器6aは、イオン軌道上に直
交した一様磁場及び一様電場を発生させて、分析に利用
する質量のイオン種のみを下流側へ直進させ、その他の
ものを偏向して下流の質量分離スリット6bに衝突させ
て排除するものである。
【0029】図2は図1に示す大気圧下測定用イオンビ
ーム分析装置の要部構成を示す構成説明図、図3は図2
に示すイオンビーム出口窓及び冷却用ノズル孔を示す模
式的な断面図である。
【0030】図2に示すように、ビームライン管9の先
端には、後述のイオンビーム出口窓2が設けられたビー
ム取出し部10が連結されており、イオンビームを導く
ためのビームライン管9及びビーム取出し部10の内側
は所定の真空度に維持されるようになっている。ビーム
取出し部10内におけるイオンビーム出口窓2とは反対
側の位置には、RBS分析用の環状型の散乱イオン検出
用半導体検出器11が配設されている。ビーム取出し部
上流側のビームライン管9の先端側には、ビームライン
管9を囲繞するようにこれと同軸状に2連の四重極磁気
レンズ8が配設されている。
【0031】一方、試料室1内には、試料ステージ13
に載置された試料Sを覗き込むようにPIXE分析用の
特性X線検出用半導体検出器12が配設されるととも
に、イオンビーム出口窓2の近傍位置に、この出口窓2
の大気圧側の表面にヘリウムガスを吹き付けるための冷
却用ノズル孔14aを有する出口窓固定部材14が配設
されている。試料室1の外側に設けられた液体窒素タン
ク15から、前記検出器12を冷却するための液体窒素
が供給されるようになっている。
【0032】そして、試料室1には、ヘリウムガスボン
ベ16よりガス導入管17を経て試料室内雰囲気用のヘ
リウムガスが導入され、他方でポンプ等で構成される空
気排出系18により排気管19を経て排気されることに
より、試料室1内は、大気圧のヘリウムガスで充たされ
た状態に維持されるようになっている。また、冷却用ノ
ズル孔14aには、ヘリウムガスボンベ20よりヘリウ
ムガス供給管21を経て冷却用のヘリウムガスが供給さ
れるようになされている。
【0033】図3に示すように、イオンビーム出口窓2
は、厚み0.25mmのシリコン基板2a上に厚み10
μmの気相合成ダイヤモンド薄膜2bを気相成長させ、
しかる後、基板側からバックエッチングして中央部に凹
みを設けて厚み1〜3μmのビーム透過部を形成してな
るものである。気相合成ダイヤモンド薄膜2bの気相合
成は、マイクロ波CVD(化学気相蒸着)装置を使用
し、メタンと水素とを混合した原料ガス(メタン濃度:
0.5%)に、酸素をその濃度が0.1%となるように
添加したものを用いて行った。なお、従来のカプトン薄
膜の厚みは、10μm程度であった。
【0034】前記のイオンビーム出口窓2は、ビーム取
出し部10の開口部の部位に、そのダイヤモンド薄膜2
b側を大気圧側に位置させて真空シール用のパッキング
材22を挟み込んだ状態で、環状の出口窓固定部材14
をボルト締めすることにより固定されている。この出口
窓固定部材14の冷却用ノズル孔14aに、前記ヘリウ
ムガス供給管21が接続されている。冷却用ノズル孔1
4aを有する出口窓固定部材14、ヘリウムガス供給管
21及びヘリウムガスボンベ20は、イオンビーム出口
窓冷却手段を構成している。
【0035】次に、このように構成された大気圧下測定
用イオンビーム分析装置の動作を説明する。試料室1内
は大気圧のヘリウムガスで充たされた状態に維持されて
いる。1〜3MeV程度のエネルギーを持つ水素イオン
またはヘリウムイオンによるイオンビームは、2連の四
重極磁気レンズ8によってイオンビーム出口窓2の位置
にてその焦点を結ぶように集束力を付与されるので、ビ
ームライン管9から散乱イオン検出用半導体検出器11
の中央開口部を通過してビーム取出し部10内に入射さ
れ、イオンビーム出口窓2にてその焦点を結ぶようにし
てこの出口窓2を透過する。
【0036】この場合、イオンビーム出口窓2を構成す
る気相合成ダイヤモンド薄膜2b(ビーム透過部)は、
その大気圧側の表面に冷却用ノズル孔14aからのヘリ
ウムガスが吹き付けられて強制冷却されているので、ビ
ーム透過時のイオンビームのエネルギ損失による発熱が
すみやかに取り除かれて、強度劣化につながるような変
質を起こすことがない。
【0037】このように強制冷却が施されたイオンビー
ム出口窓2を透過したイオンビームは、発散しながら試
料室1内に配置された試料Sに照射される。そして、試
料Sについて、試料Sからの散乱イオンが散乱イオン検
出用半導体検出器11によって検出されて、RBS法に
よる組成分析が行われる一方、試料Sから特性X線が特
性X線検出用半導体検出器12によって検出されて、P
IXE法による組成分析が行われる。
【0038】このように、イオンビーム出口窓2を気相
合成ダイヤモンド薄膜2bにより構成し、この気相合成
ダイヤモンド薄膜2bの大気圧側表面に、この薄膜2b
に対して化学的に不活性で、熱伝導率が大きいヘリウム
ガスを吹き付け、この薄膜2bを強制冷却するように構
成したものであるから、気相合成ダイヤモンド薄膜2b
は、透過時のイオンビームのエネルギ損失による発熱が
すみやかに取り除かれて、強度劣化につながるような変
質を起こすことがない。これにより、出口窓2を構成す
る気相合成ダイヤモンド薄膜2bは、その厚みが従来出
口窓に比べて使用寿命を短くすることなく薄いものでよ
いことから、高いエネルギを持ち、エネルギ分散の小さ
いイオンビームを試料Sに照射することができて、RB
S法での測定分解能、PIXE法での検出感度を従来よ
り向上させることができる。
【0039】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1、2の発明
による大気圧下測定用イオンビーム分析装置によると、
真空側から大気圧側にイオンビームを透過させるイオン
ビーム出口窓を、これに軽元素気体を吹き付けて強制冷
却するようにしたものであるから、薄膜よりなるイオン
ビーム出口窓の厚みを従来出口窓に比べてその使用寿命
が短くなることなく薄くすることができて、試料にイオ
ンビームを照射して組成分析を行う際に、粒子励起X線
放出法での検出感度、ラザフォード後方散乱分光法での
測定分解能を従来より向上させることができる。
【0040】請求項3の発明による大気圧下測定用イオ
ンビーム分析装置によると、集束レンズにより、イオン
ビームをイオンビーム出口窓位置、もしくはその近傍位
置にてその焦点を結ぶように集束させるようにしたもの
であるから、薄膜よりなるイオンビーム出口窓の厚みが
より薄いものでよく、これにより、粒子励起X線放出法
での検出感度、ラザフォード後方散乱分光法での測定分
解能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による大気圧下測定用イオンビーム分
析装置の全体構成を示す構成説明図である。
【図2】図1に示す大気圧下測定用イオンビーム分析装
置の要部構成を示す構成説明図である。
【図3】図2に示すイオンビーム出口窓及び冷却用ノズ
ル孔を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1…試料室 2…イオンビーム出口窓 2a…シリコン
基板 2b…気相合成ダイヤモンド薄膜 3…イオン源
4…加速器 5…対物スリット 6…イオン種選別系
7…偏向電極 8…四重極磁気レンズ 9…ビームラ
イン管 10…ビーム取出し部 11…散乱イオン検出
用半導体検出器 12…特性X線検出用半導体検出器
13…試料ステージ 14…出口窓固定部材 14a…
冷却用ノズル孔 15…液体窒素タンク 16,20…
ヘリウムガスボンベ 17…ガス導入管 18…空気排
出系 19…排気管 21…ヘリウムガス供給管 22
…パッキング材 S…試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 一原 主税 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧にされる試料室を備える一方、水
    素イオンまたはヘリウムイオンによるイオンビームを集
    束させ、このイオンビームを薄膜よりなるイオンビーム
    出口窓を透過させて真空側から大気圧側へ導いて前記試
    料室内に配置された試料に照射する集束レンズを備え、
    イオンビームを用いて前記試料について粒子励起X線放
    出法、ラザフォード後方散乱分光法による組成分析を行
    う大気圧下測定用イオンビーム分析装置において、 前記イオンビーム出口窓の大気圧側の表面に、イオンビ
    ーム出口窓に対して化学的に不活性で、熱伝導率が大き
    い軽元素気体を吹き付け、イオンビーム出口窓を強制冷
    却するイオンビーム出口窓冷却手段を備えていることを
    特徴とする大気圧下測定用イオンビーム分析装置。
  2. 【請求項2】 前記イオンビーム出口窓が、ベリリウム
    薄膜、気相合成ダイヤモンド薄膜、ダイヤモンド状炭素
    薄膜から選ばれた1種より構成されており、前記軽元素
    気体がヘリウムであることを特徴とする請求項1記載の
    大気圧下測定用イオンビーム分析装置。
  3. 【請求項3】 前記集束レンズが、イオンビームをイオ
    ンビーム出口窓位置、もしくはその近傍位置にて焦点を
    結ぶように集束させることを特徴とする請求項1又は2
    記載の大気圧下測定用イオンビーム分析装置。
JP7179065A 1995-07-14 1995-07-14 大気圧下測定用イオンビーム分析装置 Withdrawn JPH0933462A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7179065A JPH0933462A (ja) 1995-07-14 1995-07-14 大気圧下測定用イオンビーム分析装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7179065A JPH0933462A (ja) 1995-07-14 1995-07-14 大気圧下測定用イオンビーム分析装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0933462A true JPH0933462A (ja) 1997-02-07

Family

ID=16059498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7179065A Withdrawn JPH0933462A (ja) 1995-07-14 1995-07-14 大気圧下測定用イオンビーム分析装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0933462A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005043227A (ja) * 2003-07-22 2005-02-17 Kobe Steel Ltd 分析装置用磁場発生装置
JP2011095154A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd イオンビーム分析装置
WO2013084651A1 (ja) * 2011-12-06 2013-06-13 株式会社日立ハイテクノロジーズ 走査イオン顕微鏡および二次粒子制御方法
CN112383998A (zh) * 2020-11-24 2021-02-19 中国科学院上海光学精密机械研究所 基于激光加速器的单粒子效应测试装置
CN112911783A (zh) * 2021-03-25 2021-06-04 四川大学 一种适用于高功率束流的薄膜降能器

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005043227A (ja) * 2003-07-22 2005-02-17 Kobe Steel Ltd 分析装置用磁場発生装置
JP2011095154A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Mitsubishi Heavy Ind Ltd イオンビーム分析装置
WO2013084651A1 (ja) * 2011-12-06 2013-06-13 株式会社日立ハイテクノロジーズ 走査イオン顕微鏡および二次粒子制御方法
US9058959B2 (en) 2011-12-06 2015-06-16 Hitachi High-Technologies Corporation Scanning ion microscope and secondary particle control method
DE112012004821B4 (de) 2011-12-06 2019-02-28 Hitachi High-Technologies Corporation Rasterionenmikroskop und Sekundärteilchen-Steuerungsverfahren
CN112383998A (zh) * 2020-11-24 2021-02-19 中国科学院上海光学精密机械研究所 基于激光加速器的单粒子效应测试装置
CN112911783A (zh) * 2021-03-25 2021-06-04 四川大学 一种适用于高功率束流的薄膜降能器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4733073A (en) Method and apparatus for surface diagnostics
US5087815A (en) High resolution mass spectrometry of recoiled ions for isotopic and trace elemental analysis
Pijper et al. Detection of energy-selected secondary electrons in coincidence with energy-loss events in thin carbon foils
US20090041196A1 (en) X-ray tube and x-ray analysis apparatus
JPH01500940A (ja) 走査電子顕微鏡及び試料の表面を電子顕微鏡的に像形成する方法
US20030080292A1 (en) System and method for depth profiling
JP2005098909A (ja) イオン化装置およびこれを用いた質量分析装置
US8541738B2 (en) Surface analyzer of object to be measured and analyzing method
US7495217B1 (en) Film thickness and composition measurement via auger electron spectroscopy and electron probe microanalysis
JPH0933462A (ja) 大気圧下測定用イオンビーム分析装置
JP5135601B2 (ja) X線管及びx線分析装置
Sugimoto et al. A fine-focusing X-ray source using carbon-nanofiber field emitter
US6060707A (en) Apparatus and method for analyzing microscopic area
Higatsberger Solid surfaces analysis
JP3161758B2 (ja) 荷電ビーム処理装置
EP0167561A1 (en) METHOD AND DEVICE FOR EXAMINING SURFACES.
GB2312291A (en) Method of and apparatus for analyzing surface impurities of minute area
Tsuji et al. Characterization of x‐rays emerging from between reflector and sample carrier in reflector‐assisted TXRF analysis
JP2996210B2 (ja) 試料吸収電流分光法
JP2903874B2 (ja) 集束イオンビームによるイオン励起型x線分析装置
JP2000329716A (ja) オージェ電子分光装置および深さ方向分析方法
Sage et al. Quadrupole mass spectrometry and time-of-flight analysis of ions resulting from 532nm pulsed laser ablation of Ni, Al, and ZnO targets
JPH06265491A (ja) 二次電子分光装置
JP3167444B2 (ja) 高効率酸素イオン中性化器および高効率酸素イオン中性化器を用いた耐酸素原子性評価装置
JPH0996614A (ja) 微小領域の表面不純物の分析方法およびこの方法を実施する装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20021001