JPH0712193Y2 - 自動車のフロア構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車のフロア構造に関し、特にベルトアン
カ部を支持する支持構造を著しく強化したものに関す
る。

〔従来の技術〕

一般に、自動車のフロアパネルの中央部には車室側へ突
出するフロアトンネルが前後方向に形成され、このフロ
アトンネルの下側にはプロプラシャフトが配設される。
上記フロアトンネルの前後方向中央部においてプロペラ
シャフトはセンタベアリングで支承されるが、このセン
タベアリングを装着するフロアトンネルの近傍部には、
補強用の左右１対のフレームメンバが前後方向に配設さ
れフロアパネルに接合されている。一方、フロアパネル
のパネル剛性を高めるためフロアパネルには複数のクロ
スメンバが設けられる。

上記フレームメンバとクロスメンバの交差部における両
者の接合フランジの結合構造については、一方の接合フ
ランジの端部を他方の接合フランジに重ね合せてフロア
パネルの下面に接合する構造が一般に採用されていた。

一方、シートベルトの少なくとも一方の下端部は、シー
トベルトアンカプレートを介してフロアパネルに固着さ
れるが、自動車の衝突時にはシートベルトに大荷重が作
用するのでシートベルトアンカプレートを固着するフロ
アパネルの部分やホイールハウスインナの部分に補強用
のアンカナットプレートを接合し、このアンカナットプ
レートで補強した個所にシートベルトアンカプレートを
固着する構造が採用されている。この場合、アンカナッ
トプレートの取付構造が複雑化し、部材数が増え、十分
な強度・剛性が得られないなどの問題がある。

そこで、実公昭56-44599号公報には、後輪のホイールハ
ウスインナの近傍部においてサイドフレームの接合フラ
ンジをホイールハウスインナ側へ延長してフランジ広幅
部を形成し、そのフランジ広幅部の下面側に、サスペン
ションのコイルスプリングを受けるスプリングシートブ
ラケットを接合し、これらフロアパネルとフランジ広幅
部とスプリングシートブラケットとが３枚重ねに接合さ
れた部分にシートベルト取付金具を固着してなるシート
ベルトのベルト端部固定構造が記載されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記従来技術のように、フレームメンバとクロスメンバ
との交差部における両者の接合フランジの結合構造にお
いて、一方の接合フランジの端部を他方の接合フランジ
に重ね合せてフロアパネルの下面にスポット溶接するだ
けでは、両者の接合フランジの接合強度が十分でないと
いう欠点がある。上記公報に記載のベルト端部固定構造
では、後輪サスペンションに付随するスプリングシート
ブラケットを活用する関係上、前部座席のシートベルト
のベルト端部固定構造には適用できないという欠点があ
る。

本考案の目的は、ベルトアンカ部の強度を著しく強化で
きる自動車のフロア構造を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案に係る自動車のフロア構造は、フロアパネルと、
上記フロアパネルに設けられ、そのフロアパネルの一般
平面部より車室内方へ突出した１対の側壁部と両側壁部
の上端にわたる上壁部とからなる断面ほぼ逆Ｕ字状で車
体前後方向に延びるトンネル部と、上記フロアパネルの
一般平面部に一方のフランジが接合され、他方のフラン
ジがトンネル部の上壁部に接合されて車体前後方向に延
びるフレームメンバと、上記フロアパネルの一般平面部
にフランジ部を介して接合され、そのフランジ部の一部
が、フレームメンバをフロアパネルの一般平面部に接合
する接合部に重合して接合され且つトンネル部に対して
直交して車幅方向に延びるクロスメンバと、上記フロア
パネルの一般平面部とフレームメンバのフランジとクロ
スメンバのフランジ部との重合部に重合して接合される
レインフォースメントと、上記レインフォースメントに
連結されたシートベルト部材とを備えたものである。

〔作用〕

本考案の自動車のフロア構造においては、フロアパネル
とフレームメンバのフランジとクロスメンバのフランジ
部との重合部にレインフォースメントを重合して接合
し、その４重の重合部にシートベルト部材を連結するた
め、ベルトアンカ部の強度を十分に強化できる。

しかも、フレームメンバの一方のフランジがフロアパネ
ルの一般平面部に接合され、フレームメンバの他方のフ
ランジがトンネル部の上壁部に接合されているため、シ
ートベルト部材からフレームメンバに作用する荷重を、
トンネル部の側壁部にも分担させることができるから、
高剛性のトンネル部を有効活用してベルトアンカ部の強
度を著しく向上させることができる。

〔考案の効果〕

本考案に係る自動車のフロア構造によれば、以上説明し
たように、フロアパネルとフレームメンバのフランジと
クロスメンバのフランジ部との重合部にレインフォース
メントを重合して接合し、その４重の重合部にシートベ
ルト部材を連結するため、ベルトアンカ部の強度を十分
に強化できるうえ、フレームメンバの一方のフランジ
を、トンネル部の上壁部に接合することで、ベルトアン
カ部からフレームメンバに作用する荷重をトンネル部に
も分担させ、トンネル部を有効活用してベルトアンカ部
の強度を著しく強化できる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基いて説明する。第１図
・第２図に示すように、自動車のフロアパネル１の中央
部には、車室側へ突出させたフロアトンネル２が前後方
向に向けて形成され、フロアトンネル２の下側にはプロ
ペラシャフトが配設される。

上記フロアトンネル２は、フロアパネル１の一般平面部
1aよりも車室内方へ突出した１対の側壁部2aと、両側壁
部2aの上端にわたる上壁部2bとで、断面ほぼ逆Ｕ字に形
成されている。

上記フロアパネル１の左右両側縁部には閉断面状のサイ
ドシル３が設けられている。

上記フロアパネル１のパネル剛性を高めるため、フロア
トンネル２と各サイドシル３の間のフロアパネル１の一
般平面部1aの下面には溝型のサイドフレーム４が閉断面
をなすように接合されるとともに、前席シート５の前部
に対応する位置においてフロアパネル１の上面には大形
の下向き溝型断面の第３クロスメンバ６が閉断面をなす
ように接合され、また、前席シート５の後端に対応する
位置においてフロアパネル１の一般平面部1aの下面には
溝型断面の第４クロスメンバ７が閉断面をなすように接
合され、また、後席シートの前部に対応する位置におい
てフロアパネル１の一般平面部1aの下面には溝型断面の
第５クロスメンバ８が閉断面をなすように接合されてい
る。

上記フロアトンネル１の下側に配設されるプロペラシャ
フトの前後方向略中央部を支承するセンタベアリング９
（第３図参照）を装着し且つ補強するため、第４クロス
メンバ７と第５クロスメンバ８とに亙って左右１対の前
後方向に延びるフレームメンバ10がフロアパネル２に沿
ってフロアパネル１の下面に接合されている。

第２図・第３図に示すように、各フレームメンバ10は逆
台形状の開断面部材で、その上端縁の１対の接合フラン
ジ10a・10bのうち車幅中心側の接合フランジ10aはフロ
アトンネル２の上壁部2bの下面に接合されまた車幅外側
の接合フランジ10bはフロアトンネル２の近くのフロア
パネル１の一般平面部1aの下面に接合され、各フレーム
メンバ10とフロアパネル１とで閉断面が形成され、各フ
レームメンバ10の前端部は接合フランジ（図示略）を介
して第４クロスメンバ７の後端面に接合され、また、後
端部は接合フランジ（図示略）を介して第５クロスメン
バ８の前端面に接合されている。

上記フレームメンバ10はその長さ方向中央部から前端に
かけて平面視で車幅方向外側へ傾斜するとともにその幅
も徐々に拡大し、左右のフレームメンバ10の前部同士の
間には第３図に示すようにセンタベアリング９が装着さ
れ、このセンタベアリング９でプロペラシャフト11が支
承されている。第２図・第４図・第５図に示すように、
上記フレームメンバ10と第４クロスメンバ７との交差部
において、第４クロスメンバ７の後部接合フランジ7aの
下面にフレームメンバ10の外側の接合フランジ10bが重
ね合され、これら接合フランジ7a・10b及びその後方近
傍部の接合フランジ10bの下面には平面視台形状のレイ
ンフォースメント12が配設され、これらはフロアパネル
１に接合されている。

上記レインフォースメント12の外周部には下方へ所定寸
法延びる補強用のフランジ部12aが一体形成されてい
る。

上記レインフォースメント12の略中央部において、レイ
ンフォースメント12と接合フランジ10bとフロアパネル
１とに亙ってボルト穴13が形成されており、レインフォ
ースメント12に対応する位置でフロアパネル１の上面に
はベルトアンカプレート14が配設され、このベルトアン
カプレート14はそのボルト穴と上記ボルト穴13とに上方
より挿通させたボルト15とナット16によりフロアパネル
１に固着され、上記ベルトアンカプレート14の外側縁か
ら立ち上ったブラケット14aには前席シート５のシート
ベルト部材を構成するバックル部材17の下端部が連結さ
れている。

以上説明したように、上記フロア構造においては、フロ
アパネル１の一般平面部1aとフレームメンバ10の接合フ
ランジ10bと第４クロスメンバ７の接合フランジ7aとの
接合部（重合部に相当する）がレインフォースメント12
で強力に補強されるので、フレームメンバ10と第４クロ
スメンバ７とフロアパネル１との接合強度が増強され
る。上記レインフォースメント12により補強された４重
の接合部にベルトアンカプレート14を固着するので、ベ
ルトアンカ部の支持強度が増強される。

尚、上記レインフォースメント12はフロアパネル１と第
４クロスメンバ７とフレームメンバ10との接合強度を増
強する機能とベルトアンカ部を補強する機能を発揮す
る。

しかも、フレームメンバ10の車幅中心側の接合フランジ
10aをフロアトンネル２の上壁部2bに接合し、車幅外側
の接合フランジ10bをフロアパネル１の一般平面部1aに
接合するので、ベルトアンカプレート14からフレームメ
ンバ10に作用する荷重を、高剛性のフロアトンネル２に
も分担させることができるから、ベルトアンカ部の支持
強度が著しく増強される。

このように、上記フロア構造によれば、フロアパネル１
とフレームメンバ10の接合フランジ10bと第４クロスメ
ンバ７の接合フランジ7aとの３重の接合部に、レインフ
ォースメント12を重合して接合するという簡単な構造に
よって、フロアパネル１とフレームメンバ10と第４クロ
スメンバ７との接合強度を増強し且つベルトアンカ部の
支持強度を高めることが出来るうえ、フロアトンネル２
を有効活用して、ベルトアンカ部の支持強度を著しく高
めることができる。

尚、上記レインフォースメント12は接合フランジ10bと7
aとに亙って設けられるものであればよく、これら接合
フランジ10b・7a及びその近傍部をより広範に補強する
ような大型のものでもよい。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示すもので、第１図は自動車の
フロアパネルの部分斜視図、第２図は上記フロアパネル
の要部平面図、第３図は第２図III-III線断面図、第４
図は第２図IV矢示部切欠平面図、第５図は第４図Ｖ−Ｖ
線断面図である。 １……フロアパネル、1a……一般平面部、２……フロア
トンネル、2a……側壁部、2b……上壁部、７……第４ク
ロスメンバ、7a……接合フランジ、10……フレームメン
バ、10a……接合フランジ、12……レインフォースメン
ト、17……シートベルト部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロアパネルと、 上記フロアパネルに設けられ、そのフロアパネルの一般
   平面部より車室内方へ突出した１対の側壁部と両側壁部
   の上端にわたる上壁部とからなる断面ほぼ逆Ｕ字状で車
   体前後方向に延びるトンネル部と、 上記フロアパネルの一般平面部に一方のフランジが接合
   され、他方のフランジがトンネル部の上壁部に接合され
   て車体前後方向に延びるフレームメンバと、 上記フロアパネルの一般平面部にフランジ部を介して接
   合され、そのフランジ部の一部が、フレームメンバをフ
   ロアパネルの一般平面部に接合する接合部に重合して接
   合され且つトンネル部に対して直交して車幅方向に延び
   るクロスメンバと、 上記フロアパネルの一般平面部とフレームメンバのフラ
   ンジとクロスメンバのフランジ部との重合部に重合して
   接合されるレインフォースメントと、 上記レインフォースメントに連結されたシートベルト部
   材と、 を備えたことを特徴とする自動車のフロア構造。