JPH0624954A - 化粧料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）： （Ａ）尿素、（Ｂ）丁子、緑茶、葛根、桑白皮、甘草、
オウゴン、アロエ及び橙皮のそれぞれの抽出物から選ば
れる一種又は二種以上、（Ｃ）水、を含有する化粧料。 【効果】 角質層の水分保持、角質溶解剥離、抗菌、皮
膚吸収亢進等の作用が長期間にわたって維持され、しか
も皮膚刺激等の副作用をもたらすことがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は化粧料に関し、さらに詳
しくは尿素を安定に配合し得る水含有化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、尿素は角質層の水分保持能を向
上させ、さらには角質溶解剥離作用、抗菌作用、皮膚吸
収亢進等の皮膚科学的に重要な薬理作用を有することが
知られており、上記尿素の機能を医薬や化粧料に応用す
る試みが、近年、さかんになされている。

【０００３】尿素含有製剤を製造するには、まず尿素水
溶液を得なければならないが、尿素は、通常、水の存在
により不安定化し、長期間保存すると二酸化炭素とアン
モニアとに分解して上記効力を失なうとともに、水溶液
pHが非生理的範囲にまで上昇する傾向を示す。さらに、
乳化化粧料の場合には、発生するアンモニアが乳化系を
崩壊させ、成分分離をひき起すこともある。

【０００４】このような水含有製剤での尿素の分解を抑
制するため、尿素安定化剤、例えば乳酸（特公昭４７−
４７６６２号公報）、ヒドロキシルアミン塩酸塩（特公
昭５８−２２４７５号公報）、脂肪族ジカルボン酸（特
開昭５２−１０５２２５号公報）、アラントイン（特開
昭５８−４８４４１号公報）、アンモニウム化合物（特
開昭５９−８７０３５号公報）、中性アミノ酸、酸性ア
ミノ酸又はアミノ酸アルカリ塩（特開昭５９−１３４７
７２号公報）等を添加する方法が報告されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の尿素安定化剤は、いずれもある程度の効果は有する
ものの、数ケ月にわたる長期保存で十分な効果をもたら
すに足るものではない。そこで、皮膚等への刺激を発生
させることなく、長期保存に耐え得る尿素安定化剤を配
合した化粧料の開発が望まれていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実
情に鑑み鋭意検討した結果、尿素配合化粧料が、特定の
植物抽出物の添加により、従来にない安定性と皮膚への
安全性をもたらすことを見出し、本発明を完成するに至
った。

【０００７】すなわち、本発明は、下記成分（Ａ）、
（Ｂ）及び（Ｃ）： （Ａ）尿素、（Ｂ）丁子、緑茶、葛根、桑白皮、甘草、
オウゴン、アロエ及び橙皮のそれぞれの抽出物から選ば
れる一種又は二種以上、（Ｃ）水、を含有することを特
徴とする化粧料を提供するものである。

【０００８】本発明に使用される成分（Ａ）の尿素の本
発明化粧料への配合量は特に限定されないが、０．０５
〜１０．０重量％（以下単に％という）が好ましい。
０．０５％未満では十分な作用が得られず、１０％を超
えても効果の増大は殆んどみられない。

【０００９】本発明に使用される成分（Ｂ）の植物抽出
物は、上記それぞれの植物を水、メタノール、エタノー
ル、１，３−ブチレングリコール、プロピレングリコー
ル等の親水性有機溶媒若しくはこれらの混合溶媒で抽出
して得られる液状物又は該液状物を乾燥して得られる粉
末である。例えば、丁子の抽出物を得るには、丁子のつ
ぼみを乾燥して細切し、これに水／エタノール混合液を
加え、時々攪拌した後室温にて浸漬し、圧搾分離して抽
出液を得た後濾過すればよい。

【００１０】成分（Ｂ）の植物抽出物の市販品として
は、例えばファルコレックス チョウジ、緑茶リキッ
ド、カッコンエキスパウダー、ファルコレックス ソウ
ハクヒ、オウゴンエキスパウダー、オウゴンリキッド
Ｂ、オウゴンリキッドＥ、オウゴンリキッドＳＥ（以
上、一丸ファルコス（株）製）等が挙げられる。

【００１１】成分（Ｂ）は、本発明化粧料中に固形分と
して０．００１〜２０％、特に０．００５〜１０％配合
することが好ましい。

【００１２】本発明に使用される成分（Ｃ）の水は精製
水であることが好ましい。配合量はとくに限定されず、
各種化粧料への配合可能量であればよい。

【００１３】本発明化粧料の水相pHはとくに限定されな
いが、非生理的pH範囲では皮膚刺激が発生することがあ
り好ましくない。好ましいpH範囲は５．０〜８．０であ
る。

【００１４】尿素含有水溶液のpHを安定させるための緩
衝系としては、特に限定されないが、例えばリン酸緩衝
系、クエン酸緩衝系、リン酸−クエン酸緩衝系等が挙げ
られる。

【００１５】本発明の化粧料には、本発明の効果を損な
わない範囲において、上記必須成分以外の通常化粧品、
医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分を適宜
配合することができる。かかる任意成分としては、例え
ばエタノール、油性物質、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳
化剤、薬効成分、粉体、紫外線吸収剤、色素、香料、乳
化安定剤等を挙げることができる。

【００１６】具体的には、油性成分として流動パラフィ
ン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン、ミツ
ロウ、カルナウバロウ、オリーブ油、ラノリン、高級ア
ルコール脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸の合成エステ
ル油、シリコーン油等が挙げられ、保湿剤としてはソル
ビトール、キシリトール、グリセリン、マルチトール、
プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコール、
１，４−ブチレングリコール、ピリドンカルボン酸ナト
リウム、乳酸、乳酸ナトリウム、ポリオキシプロピレン
脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール等が挙げら
れ、増粘剤としてはカルボキシビニルポリマー、カルボ
キシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カラギ
ーナン、ゼラチン等の水溶性高分子、塩化ナトリウム、
塩化カリウム等の電解質などが挙げられ、防腐剤として
はメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベ
ン、ブチルパラベン、安息香酸ナトリウム等が挙げら
れ、乳化剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪
酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオ
キシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン
界面活性剤が挙げられ、粉体としてはタルク、セリサイ
ト、マイカ、カオリン、シリカ、ベントナイト、バーミ
キュライト、亜鉛華、雲母、雲母チタン、酸化マグネシ
ウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、ベンガラ、酸
化鉄、群青等が挙げられる。

【００１７】本発明が対象とする化粧料は、一般の皮膚
化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、外用医
薬品等を包含するものであり、その剤型もその目的に応
じて任意に選択することができ、クリーム状、軟膏状、
乳液状、ローション状、溶液状、ゲル状、パック状、ス
ティック状等とすることができる。なかでも、本発明化
粧料は顔用の化粧料であることが好ましい。

【００１８】本発明の化粧料は、常法に従い製造するこ
とができる。

【００１９】

【発明の効果】本発明化粧料は、その成分である尿素が
長期間にわたり、きわめて安定に存在することから、そ
の良好な生理作用、角質層の水分保持、角質溶解剥離、
抗菌、皮膚吸収亢進等が維持され、しかも皮膚刺激等の
副作用をもたらすことがないものであり、各種化粧料に
応用できる。

【００２０】

【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。

【００２１】実施例１ 以下に組成を示すエモリエントクリームを下記方法によ
り製造した。

【００２２】

【表１】 （重量％） 油相成分： （１）ワセリン ６．０ （２）スクワラン ３３．５ （３）セタノール ４．０ （４）ホホバ油 ５．０ （５）モノ脂肪酸グリセリン ２．０ （６）P.O.E.（20）ソルビタンモノラウリン酸エステル ２．０ （７）メチルパラベン ０．２ 水相成分： （８）グリセリン １５．０ （９）尿素 ５．０ （１０）安定化剤 表２に示す種類及び量 （１１）精製水 残余

【００２３】（製造方法）上記油相成分を混合し、加熱
溶解して７０℃にする。一方、上記水相成分を加熱して
５０℃に保つ。この水相部に油相部を加えて乳化機にて
乳化する。乳化物を熱交換機にて終温３０℃まで冷却し
た後、充填する。

【００２４】得られたエモリエントクリームを４０℃に
て保存し、経日によるアンモニア臭の有無及び皮膚刺激
性（ヒリヒリ感）を下記基準により専門パネリスト１０
名が官能評価した。結果（平均値）を併せて表２に示
す。

【００２５】（評価基準） アンモニア臭：○；アンモニア臭なし、 △；アンモニア臭ややあり、 ×；アンモニア臭あり、 皮膚刺激性：○；皮膚刺激性なし、 △；皮膚刺激性ややあり、 ×；皮膚刺激性あり、

【００２６】

【表２】

【００２７】表２に示すように、本発明のエモリエント
クリームは、長期間にわたってアンモニア臭がなく、か
つ皮膚刺激性を示さないという良好な性質を有するもの
であった。一方、従来の安定化剤を使用した比較例にお
いては経日によるアンモニア臭及び皮膚刺激の増加が大
であった。

【００２８】実施例２ 以下に組成を示す化粧水を下記方法により製造した。

【００２９】

【表３】 （重量％） （１）エタノール １５．０ （２）グリセリン ５．０ （３）ポリエチレングリコール1500 ２．０ （４）P.O.E.（20）オレイルエーテル ２．０ （５）メチルパラベン ０．２ （６）尿素 ５．０ （７）植物抽出物 表４に示す種類及び量 （８）精製水 残余

【００３０】（製造方法）精製水に（２）、（３）、
（６）及び（７）を加え、室温下で溶解する。一方、エ
タノールに（４）及び（５）を加え同じく室温下で溶解
した後、水相に加えて可溶化し、濾過した後充填した。

【００３１】得られた化粧水を４０℃にて１２０日間保
存後、実施例１と同様の評価を行なった。結果を併せて
表４に示す。

【００３２】

【表４】

【００３３】表４に示すように、本発明の化粧水は長期
間にわたってアンモニア臭がなく、かつ皮膚刺激性を示
さないという良好な性質を有するものであった。

【００３４】実施例３ 以下に組成を示すエモリエントローションを下記の方法
により製造した。

【００３５】

【表５】 （重量％） 油相成分： （１）セタノール １．０ （２）スクワラン ５．０ （３）ワセリン ２．０ （４）ラノリンアルコール ０．５ （５）ステアリン酸 ２．０ （６）P.O.E.（20）ソルビタンモノラウリン酸エステル ２．０ 水相成分： （７）グリセリン ３．０ （８）プロピレングリコール ３．０ （９）トリエタノールアミン １．０ （１０）尿素 ５．０ （１１）植物抽出物 表６に示す種類及び量 （１２）精製水 残余

【００３６】（製造方法）油相成分を混合し加熱溶解し
て７０℃に保つ。上記水相成分も５０℃で同様に加熱混
合し、この水相部に前述の油相部を加えて、乳化機にて
乳化する。乳化物を３０℃まで冷却した後、充填した。

【００３７】得られたエモリエントローションを４０℃
にて１２０日間保存後、実施例１と同様の評価を行なっ
た。結果を併せて表６に示す。

【００３８】

【表６】

【００３９】表６に示すように、本発明のエモリエント
ローションは長期間にわたってアンモニア臭がなく、か
つ皮膚刺激性を示さないという良好な性質を有するもの
であった。

【００４０】実施例４ 以下に組成を示す美白クリームを下記方法により製造し
た。

【００４１】

【表７】 （重量％） 油相成分： （１）ステアリン酸デカグリセリル １．８ （２）ポリオキシエチレンセチルエーテル １．２ （３）スクワラン １２．０ （４）セタノール ６．０ （５）パルミチン酸セチル ３．０ 水相成分： （６）１，３−ブチレングリコール ６．０ （７）グリセリン ３．０ （８）エデト酸４ナトリウム ０．１ （９）Ｌ−アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩 ３．０ （１０）植物抽出物 表８に示す種類及び量 （１１）尿素 ５．０ （１２）クエン酸ナトリウム １．０ （１３）精製水 残余

【００４２】（製造方法）油相成分を混合し加熱溶解し
て７０℃に保つ。上記水相成分も５０℃で同様に加熱混
合し、この水相部に前述の油相部を加えて、乳化機にて
乳化する。乳化物を３０℃まで冷却した後、充填する。

【００４３】得られた美白クリームを４０℃にて１２０
日間保存後、実施例１と同様の評価を行なった。結果を
併せて表８に示す。

【００４４】

【表８】

【００４５】表８に示すように、本発明の美白クリーム
は、長期間にわたってアンモニア臭がなく、かつ皮膚刺
激性を示さないという良好な性質を有するものであっ
た。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 峰松 義博 アメリカ合衆国 オハイオ州 シンシナチ コートブルック ビレッジ 11424

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下記成分（Ａ）、（Ｂ）及び（Ｃ）： （Ａ）尿素、（Ｂ）丁字、緑茶、葛根、桑白皮、甘草、
   オウゴン、アロエ及び橙皮のそれぞれの抽出物から選ば
   れる一種又は二種以上、（Ｃ）水、を含有することを特
   徴とする化粧料。