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JP7321809B2 - 臭いの生成抑制方法 - Google Patents

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JP7321809B2
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Description

本発明は、臭いの生成抑制方法に関する。
さらに本発明は、例えば生物学、生化学、生理科学の分野においてpHを制御する方法に関する。
近年、消費者の生活環境への関心の高まりから、身の回りの不快な臭気の低減又は除去することが望まれている。下着、タオル及びハンカチ等の人の皮膚と直接接触するような繊維製品、又は皮脂を含んだ汗や角質などを吸収若しくはこれらが付着する可能性のある繊維製品は、特有の臭いを生ずることがある。
これまでに、臭いの原因物質を生成する原因菌(微生物)の細胞内で起こる、臭いの原因物質への代謝反応を制御することで、臭いの生成を抑制する方法が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、皮脂汚れ成分が生乾き臭原因物質の1種である4-メチル-3-ヘキセン酸への変換を抑制する剤として、特定の構造を有するケトン化合物が開示されている。特許文献2には、β-グルコニダーゼの活性を阻害し、尿臭の生成を抑制する剤として、大環状ケトン化合物が開示されている。また、安息香酸などの特定の構造を有する有機カルボン酸を使用し、微生物を殺菌することで臭いの生成を抑制する技術も知られている。
一方、臭いの原因菌の細胞質内のpH環境を酸性側にすることで、脂肪酸代謝関連酵素の活性が抑制されることが知られており(非特許文献1参照)、細胞内のpHを制御する方法が検討されている。
例えば、特許文献3には、植物細胞等の細胞内のpHを変更する活性を有するポリペプチドをコードする核酸分子を用いて、植物細胞の液胞内のpHを調整することが開示されている。特許文献4には、細胞内のpHを測定できるpHプローブが開示されており、細胞内のpHを制御するニーズが示されている。特許文献5には、細胞内のpHを増加させる有効量の薬剤を投与することが記載されている。
しかしこれまでに、臭いの原因菌の細胞質内のpH環境を制御することで、臭いの生成抑制することについては知られていない。
特開2012-127012号公報 国際公開第2009/037861号 国際公開第2007/137345号 国際公開第2016/138116号 国際公開第2016/142445号
European J. Biochem., 1969, vol. 7, p. 559-574
特許文献1又は特許文献2に開示の臭い生成抑制剤は、剤そのものが臭気を有するものが多く、適切な使用場面や使用量で用いる必要がある。また、環境との共存の観点から、とりわけ微生物を殺菌することなく、臭い生成の抑制の検討が必要な場合がある。
そこで本発明は、臭いの原因となる微生物を殺菌することなく、臭いの原因菌からの臭い生成を抑制できる、臭い生成抑制方法の提供を課題とする。
さらに本発明は、界面活性剤膜で隔てられた水を含む2つの相のうち、一方の相のpHを制御する方法の提供を課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者は、臭いの原因物質、原因菌、及び発生のメカニズムの観点から鋭意検討を行った。その結果、カルボキシル基を有する有機酸又はその塩の水中における、後述する式で算出されるlogDが-1.5以上1.5以下の範囲で、水中で前記有機酸又はその塩と微生物とを接触させることで、微生物の菌数を維持しつつ、微生物が生成する臭いの生成を抑制できること、並びに微生物の細胞膜内のpHを低下させることができることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明は、下記(a)成分、水及び微生物を接触させ、前記微生物が生成する臭い物質の量を抑制する、臭い生成抑制方法であって、(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、下記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、臭い生成抑制方法に関する。

(a)成分:有機カルボン酸又はその塩

logD=ClogP-log[1+10(pH-pKa)] 式(1)
[式(1)中、ClogPは(a)成分の酸型の状態での水/オクタノール分配係数の対数値の計算logP値であり、pHは(a)成分を含む水のpHであり、pKaは(a)成分のpKaである。]
また本発明は、界面活性剤膜で隔てられた水を含む2つの相において、一方の相に存在する前記(a)成分の前記式(1)で算出されるlogDを-1.5以上1.5以下に制御し、前記界面活性剤膜で隔てられた他方の相のpHを低下させる、pHの制御方法に関する。
本発明の臭い生成抑制方法によれば、臭いの原因となる微生物を殺菌することなく、臭いの原因菌からの臭い生成を抑制することができる。
さらに本発明は、界面活性剤膜で隔てられた水を含む2つの相において、一方の相のpHを効率的に制御することができる。
<(a)成分>
本発明の方法で用いる(a)成分は、有機カルボン酸又はその塩である。
(a)成分は、(a)成分を含む水のpHにおける(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下となる状態で、水中で微生物と接触させることで、微生物の細胞膜内のpHが低下する。その結果、(a)成分が微生物内に浸透しやすくなり、微生物内に浸透した(a)成分が微生物内の臭い物質を生成する代謝系の働きを抑制し、臭い物質の生成を抑制することができる。特に、微生物内に(a)成分を浸透させることで、細胞内のpHが低下し、その結果、脂肪酸代謝関連酵素の活性を抑制し、脂肪酸の代謝を制御することができる。
さらに(a)成分は、(a)成分を含む水のpHにおける(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下となる状態で、界面活性剤膜で隔てられた一方の相に存在させることで、(a)成分が界面活性剤膜に吸着し、界面活性剤膜で隔てられた、(a)成分が存在していない他方の相に分配しやすくなる。その結果、界面活性剤で隔てられ、(a)成分が分配された他方の相のpHを制御することができる。本明細書において「pHを制御する」とは、pHを低下させることを含む。
本発明においては、前記(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、下記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDを-1.5以上1.5以下とする。

logD=ClogP-log[1+10(pH-pKa)] 式(1)

[式(1)中、ClogPは(a)成分の酸型の状態での水/オクタノール分配係数の対数値の計算logP値であり、pHは(a)成分を含む水のpHであり、pKaは(a)成分のpKaである。]
本発明においてlogDは、(a)成分の酸型のClogP、酸解離定数(pKa)、並びに(a)成分と水を含む組成物のpHを基に算出することができる。logDは(a)成分の酸型のClogP、(a)成分を含む水のpH、及びpKaを考慮した、水/オクタノール分配係数の計算値である。
logDの考え方は、例えば、Li Xing, Robert C. Glen, Novel Methods for the Prediction of logP, pKa, and logD, J. Chem. Inf. Comput. Sci. 2002, vol. 42, p. 796-805に開示されており、周知の概念である。
本発明においてlogDを算出するために、ClogPの値及びpKaの値を熱力学物性推算ソフトウェア「COSMOtherm」(モルシス社)で計算する。
本発明で用いる(a)成分として具体的には、炭素原子数8以上14以下の脂肪族多価カルボン酸又はその塩が挙げられる。logDを所望の範囲に調整しやすい点で、(a)成分の炭素原子数は好ましくは8以上であり、より好ましくは9以上であり、そして、好ましくは14以下であり、より好ましくは12以下であり、更に好ましくは10以下である。
本発明で用いる(a)成分としては、logDを所望の範囲に制御できる観点から、(a)成分の分子量とカルボキシル基1つあたりの分子量の比である、((a)成分の分子量)/(カルボキシル基の分子量)で表される値が、1.9以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.2以上がさらに好ましい。そして同じ観点から、((a)成分の分子量)/(カルボキシル基の分子量)で表される値は3.5以下が好ましく、3.2以下がより好ましく、3.0以下がより好ましく、2.8以下がさらに好ましい。((a)成分の分子量)/(カルボキシル基の分子量)で表される値を前記数値範囲とすることで、微生物を殺菌することなく、logDを所望の範囲に制御点で好ましい。尚本発明において、カルボキシル基の分子量は、酸型のカルボキシル基、すなわちCOOHの分子量の値である45とする。また、(a)成分の分子量を算出する場合のカルボン酸は、酸型の値を用いる。
本発明で用いる(a)成分としては、脂肪族ジカルボン酸及びその塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましく、具体的な例としては、スベリン酸(炭素原子数8)、アゼライン酸(炭素原子数9)、セバシン酸(炭素原子数10)、ドデカン二酸(炭素原子数12)、テトラデカン二酸(炭素原子数14)及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。さらに前記塩としては、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
本発明で用いる(a)成分として別の具体例としては、前記式(1)で算出されるlogDを所望の範囲に制御しやすい観点から、一つのナフタレン基と一つのカルボキシル基を有する有機カルボン酸又はその塩が挙げられる。このような有機カルボン酸は、任意の水酸基を有していてもよい。さらに前記塩としてはナトリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩が挙げられる。
具体的な例としては、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボン酸、2-ヒロドキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒロドキシ-2-ナフタレンカルボン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
本発明において、前記(a)成分として市販のものを用いてもよい。あるいは、通常の製造方法で前記(a)成分を合成することもできる。
(a)成分と水とを含む組成物の質量に対する(a)成分の含有量は、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上であり、より更に好ましくは0.08質量%以上である。そして、(a)成分の含有量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。
<水>
本発明の方法で用いる水としては、イオン交換水、蒸留水、水道水、汗、雨などを使用することができる。
(a)成分と水とを含む組成物中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、界面活性剤や香料などの任意成分が含まれていてもよい。
例えば、(a)成分と水とを含む組成物中に、本発明の効果を阻害しない範囲で、(b)成分として、界面活性剤、好ましくは(b1)ノニオン界面活性剤及び(b2)アニオン界面活性剤(但し、(a)成分は除く。)をからなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤を含むことができる。
(b1)成分としては、(a)成分による臭い生成抑制効果をより向上できる観点から、HLBが9以上15以下のノニオン界面活性剤が好ましい。(b1)成分のHLBは、ポリオキシエチレン基を有するノニオン界面活性剤の場合には、下記式(2)で表されるグリフィン(Griffin)法により求められる。

HLB値=〔((b1)成分のポリオキシエチレン基部分の分子量)/((b)成分の分子量)〕×20 (2)

尚、(b1)成分のポリオキシエチレン基部分の分子量は、ポリオキシエチレン基の平均付加モル数の値を用いて算出するものとする。
また、ポリオキシエチレン基を有さないノニオン界面活性剤の場合には、デービス法により求めることができる。ここで、デービス法によるHLBの算出方法は、「界面活性剤 物性・応用・化学生態学」(北原文雄ら著 講談社サイエンティフィック1990年5月20日第7刷発行)の24頁~25頁に記載されている方法を用いることにより算出することができる。
(b1)成分のHLBは、繊維製品などに付着した汚れの洗浄性に優れる観点(以下、洗浄性の観点ともいう)から、好ましくは9.0以上、より好ましくは9.5以上、より好ましくは10以上、より更に好ましくは10.5以上、より更に好ましくは11.0以上である。そして、HLBは、好ましくは15以下、より好ましくは14.5以下、より好ましくは14以下、より更に好ましくは13以下、より更に好ましくは12以下である。
(b2)成分の具体例としては、下記(b21)成分、(b22)成分、(b23)成分及び(b24)成分からなる群より選ばれる1種以上のアニオン界面活性剤が挙げられる。

(b21)成分:アルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(b22)成分:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩
(b23)成分:スルホン酸塩基を有するアニオン界面活性剤
(b24)成分:炭素数が10以上20以下の脂肪酸又はその塩(但し、(b23)成分を除く)
組成物の質量に対する(b)成分の含有量は、臭い生成抑制効果をより高める観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.4質量%以上、より更に好ましくは0.5質量%以上である。そして、(b)成分の含有量は、同じ観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは8質量%以下、より更に好ましくは5質量%以下である。
<界面活性剤膜>
本明細書において、「界面活性剤膜」とは、界面活性剤で形成される膜を意味する。
本発明が適用できる界面活性剤膜としては、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有する界面活性剤で形成される膜が挙げられる。界面活性剤膜は、界面活性剤の分子が1層に並んでできる単分子膜であってもよいし、隙間なく並んだ界面活性剤分子の疎水性部分を内側に、親水性部分を外側に向けて形成された二重膜であってもよい。界面活性剤膜の具体例としては、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するカチオン界面活性剤で形成される膜、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するアニオン界面活性剤で形成される膜、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するノニオン界面活性剤で形成される膜、及び炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有する両性界面活性剤で形成される膜からなる群より選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
また本発明が適用できる界面活性剤は、天然に存在する界面活性剤でもよい。例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロールで例示されるリン脂質であってもよく、ラムノリピッド、ソホロリピッド、トレはロースリピッド等の糖脂質であってもよい。このうち、リン脂質を含む界面活性剤、とりわけ両親媒性物質が特に好ましい。
<微生物>
界面活性剤膜としては、微生物の細胞膜を利用することができる。
本発明を適用できる微生物は、環境中に存在する一般的な微生物に対して用いることができる。例えば、モラクセラ(Moraxella)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、シェードモナス(Pseudomonas)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属細菌、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、キュープリアビダス(Cupriavidus)属細菌、サイクロバクター(Psychorobacter)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、エシェリキア(Escherichia)属細菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌、ブルクホルデリア(Burkholderia)属細菌、サッカロマイセス(Saccaromyces)属酵母、及びロドトルラ(Rhodotorula)属酵母等が挙げられる。
具体的には、モラクセラ・エスピー(Moraxella sp.)、モラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)、アシネトバクター・レイディオレジステンス(Acinetobacter radioresistens)、アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エシェリキア・コーライ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、サイクロバクター・パシフィセンシス(Psychrobacter pacificensis)、サイクロバクター・グラシンコラ(Psychrobacter glacincola)、スフィンゴモナス・ヤノイクヤエ(Sphingomonas yanoikuyae)、ラルストニア エスピー(Ralstonia sp.)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccaromyces cerevisiae)、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロドトルラ・スルーフィエ(Rhodotorula slooffiae)、キュープリアビダス・オキサラティカス(Cupriavidus oxalaticus)及びブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)等が挙げられる。
<臭い生成抑制方法>
本発明の臭い生成抑制方法において、前記(a)成分、水及び微生物を接触させ、微生物が生成する臭い物質の量を抑制する。ここで、(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記組成物中の(a)成分の前記式(1)で算出されるlogDを-1.5以上1.5以下とする。
(a)成分を含む水のpHは、(a)成分のlogDが所望の範囲であり、且つ微生物を殺菌することなく微生物の生菌数が維持できるpHであれば、特に制限はない。微生物の生菌数を維持できる観点から、(a)成分及び水を含む組成物のpHは、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.5以上であり、更に好ましくは5.0以上である。そして同じ観点から、(a)成分及び水を含む組成物のpHは好ましくは10.0以下であり、より好ましくは9.0以下であり、更に好ましくは8.5以下であり、より更に好ましくは8.0以下である。
本発明のpHは、常法に従い測定することができ、例えばガラス電極を用いたpH測定装置で測定することができる。
前記式(1)で算出される(a)成分のlogDは、微生物の代謝制御効果をより高める観点から、-1.5以上である。(a)成分のlogDは、好ましくは-1.2以上であり、より好ましくは-1.0以上であり、更に好ましくは-0.8以上であり、より更に好ましくは-0.5以上であり、より更に好ましくは-0.2以上であり、より更に好ましくは0以上である。そして同じ観点から(a)成分のlogDは1.5以下であり、好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.1以下であり、更に好ましくは1.0以下である。
(a)成分、水及び微生物の接触時間は、微生物の代謝を制御する程度によって適宜決めることができる。微生物の代謝の制御をより大きくする観点から、接触時間は好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上であり、更に好ましくは10分以上であり、より更に好ましくは30分以上であり、より更に好ましくは1時間以上である。そして、接触時間は好ましくは15時間以下であり、より好ましくは12時間以下であり、更に好ましくは8時間以下である。
本発明の臭い生成抑制方法は、(a)成分との接触後の微生物の生菌数を維持しつつ、微生物が生成する臭い物質の量を抑制する方法であることが好ましい。
本明細書において「微生物の生菌数を維持しつつ」とは、(a)成分と接触する前の微生物の生菌数の対数値(1)と、(a)成分と接触後の微生物の生菌数の対数値(2)との差である、対数値(1)-対数値(2)が-1以上2未満であることを意味する。前記の対数値の差は、一般的に殺菌活性値、静菌活性値と呼ばれることもあり、殺菌性を有する又は抗菌性を有するとは、各々殺菌性試験又は抗菌性試験において、殺菌活性値又は静菌活性値が2.2以上であると定義されている。本発明においては、殺菌活性値ないし静菌活性値が-1以上2未満、好ましくは-0.5以上1未満、より好ましくは0以上0.8以下、更に好ましくは0以上0.7以下である場合を「微生物の生菌数を維持する」と称する。
本発明により抑制できる臭いは、微生物の代謝系において、脂肪酸合成系の代謝により生成する臭いに適用することができる。本発明は脂肪酸合成系の代謝により生成する臭いをマスキングにより、臭いを感じにくくするマスキング消臭、または臭い物質を臭い物質に変える化学消臭とは異なり、臭い物質の生成量を抑制する技術である。
<臭い物質>
本発明の臭い抑制方法は、微生物の代謝系において、脂肪酸合成系の代謝により生成する臭いに適用することができる。本発明は脂肪酸合成系の代謝により生成する臭いをマスキングすることにより、臭いを感じにくくするマスキング消臭、または臭い物質を化学作用により臭いにくくする化学消臭とは異なり、臭い物質の生成量を抑制する技術である。
臭い物質は必ずしも限定されるものではないが、代表的な臭い物質として、例えば、下記式で表される化合物からなる、4-メチル-3-ヘキセン酸(以下、「4M3H」ともいう)、又は4-メチルヘキサン酸(以下、「4MH」ともいう)が挙げられる。4-メチル-3-ヘキセン酸には、下記に示すようにシス・トランス異性体が存在し、本発明においては、シス型、トランス型のいずれの構造の化合物も包含するものである。
Figure 0007321809000001
前記の代表的な臭い物質である4M3Hや4MHは、皮脂汚れに含まれる臭い前駆体をもとに、微生物の脂肪酸合成系で生成されることが多い。「皮脂汚れ」とは、衣類等の繊維製品に付着する最も代表的な汚れであり、遊離脂肪酸、グリセリド等の油分を多量に含有しており、それらがほこり中のカーボンや泥、剥離した角質等を閉じ込めたものが、繊維製品等で観察されるものである。また「皮脂汚れ成分」とは、衣類等に通常見られる皮脂汚れの成分であれば特に制限はない。臭い物質の前駆体となり得る物質としては、例えば炭素数9~21(好ましくは炭素数11~19、より好ましくは炭素数17~19)の飽和又は不飽和のアンテイソ脂肪酸(例えば、6-メチルオクタン酸、8-メチルデカン酸、12-メチルテトラデカン酸、14-メチルヘキサデカン酸、16-メチルオクタデカン酸、14-メチルヘキサデセン酸及び16-メチルオクタデセン酸)、並びにその塩及びエステルが挙げられる。但し、これらの中には、皮脂汚れ中には実際には存在しない化合物も含まれる。
本発明の臭い生成抑制方法は、(a)成分と水と微生物が接触する方法に適用することができ、それぞれが接触する順番により特に制限されない。例えば、(a)成分及び水を含む組成物と微生物が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法、水を含み微生物が存在する組成物と(a)成分が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法、並びに、(a)成分と微生物が存在する状態で水が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法、が挙げられる。
(a)成分と水を含む組成物と微生物が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法の例としては、例えば(a)成分と水を含む組成物を微生物に対して噴霧又は塗布する方法、(a)成分と水を含む組成物に微生物を浸漬する方法が挙げられる。組成物を噴霧する方法としては、例えばスプレイヤー等の噴霧器を用いて噴霧する方法が挙げられる。組成物を塗布する方法としては、塗布に用いる用具、例えば、(a)成分と水を含む組成物を含ませた木綿繊維や化繊繊維で構成された、シート状の用具と微生物を接触させて、微生物に(a)成分と水を含む組成物を塗布する方法が挙げられる。
前記の(a)成分と水と微生物が存在する状態は、(a)成分と水と微生物を含む組成物の状態であってもよく、対象物上で、(a)成分と水と微生物を含む組成物の状態であってもよい。対象物としては、繊維製品、硬質表面、皮膚表面、毛髪表面であってもよい、繊維製品の素材としては特に制限はなく、ウール、シルク、木綿等の天然素材、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維、及びこれらの組合せのいずれであってもよい。本発明において、繊維製品の素材は木綿であることが好ましい。繊維製品は未使用であっても、一度以上使用した使用済のものでもよい。(a)成分を接触させる繊維製品は、湿気ないし水分を含んだものでもよいし、乾燥を十分に行ったものであってもよい。硬質表面としては、ガラス、金属、プラスチック、陶器であってもよい。
臭い物質の生成量の抑制のために、(a)成分、水の量は適宜調製することができる。例えば、繊維製品上で本発明の臭い生成抑制方法を実施する場合は、微生物が存在する繊維製品の質量あたりの(a)成分の量が0.01質量%以上1質量%以下となる量で、予め存在させておき、(a)成分が特定のlogDとなるpH又は量の水を接触させ、繊維製品上で(a)成分と水と微生物が接触してもよい。(a)成分と水と微生物が接触する際の、(a)成分と水を含む組成物のpHは、(a)成分が本発明の特定のlogDとなるように、酸剤やアルカリ剤を更に添加して調整してもよく、予め水のpHが(a)成分が水と接触しても予測できるpHであれば、予めlogDが-1.5以上1.5以下の(a)成分を繊維製品上に付着させておいてもよい。
本発明の臭い生成抑制方法の一態様として、(a)成分及び水を含有し、不織布からなるシートと、微生物が付着した対象物とを接触させる、臭い生成抑制方法が挙げられる。この実施態様において、(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDは、-1.5以上1.5以下とする。
本発明の臭い生成抑制方法に好適に用いることができる用具として、(a)成分及び水を含有し、不織布からなるシートが挙げられる。そして、(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下である。
本発明のシートに用いる、(a)成分、水、式(1)、(b)成分などの任意成分に係る事項は、前記の臭い生成抑制方法で記載の事項を用いることができる。
本発明のシートにおいて、不織布は、シート状に加工したものであり、不織布を構成する繊維は、親水性繊維、及び疎水性繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維から構成されるものが好ましい。
本発明において、「親水性繊維」とは、標準状態の水分率(20℃、65%RH)が5%を超える繊維を指している。なお標準状態の水分率は、JIS L 1013、JIS L 1015に規定される方法により測定される。また「疎水性繊維」とは、標準状態の水分率(20℃、65%RH)が5重量%以下の繊維を指す。
本発明のシートに用いることができる疎水性繊維である化学繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維(ナイロンなど)、ポリエステル系繊維(ポリエステルなど)、ポリアクリロニトリル系繊維(アクリルなど)、ポリビニルアルコール系繊維(ビニロンなど)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維(ビニリデンなど)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン系繊維(ポリウレタンなど)、ポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維(ポリクレラールなど)などが挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明のシートに用いることができる親水性繊維としては、種子毛繊維(綿、もめん、カポックなど)、靭皮繊維(麻、亜麻、苧麻、大麻、黄麻など)、葉脈繊維(マニラ麻、サイザル麻など)、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維(羊毛、モヘア、カシミヤ、らくだ毛、アルパカ、ビキュナ、アンゴラなど)、絹繊維(家蚕絹、野蚕絹)、羽毛、セルロース系繊維(レーヨン、ポリノジック、キュプラ、アセテートなど)、親水化ポリエチレンテレフタレート繊維(親水化処理されたポリエチレンテレフタレート繊維であり、前記の標準状態の水分率が親水性繊維の範囲にある繊維)等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
本発明に用いる不織布は、親水性繊維を含むことが好ましい。本発明に用いる不織布は、臭い生成抑制効果をより高める観点から、親水性繊維を50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、より更に好ましくは75質量%以上、含む不織布が好ましい。不織布に含まれる親水性繊維の含有量は、好ましくは100質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
また、臭い生成抑制効果をより高める観点から、本発明に用いる不織布の坪量は、好ましくは10g/m以上、より好ましくは20g/m以上、である。そして、本発明に用いる不織布の坪量は、好ましくは100g/m以下、より好ましくは80g/m以下、更に好ましくは60g/m以下である。
不織布の質量に対する、前記(a)成分及び水を含む組成物の質量割合(含浸率(質量%))は、臭い生成抑制効果をより高める観点から、好ましくは100質量%以上、より好ましくは150質量%以上、より好ましくは200質量%以上、より好ましくは250質量%以上、更に好ましくは300質量%以上、より更に好ましくは350質量%以上、である。そして、同じ観点から、不織布の質量に対する、前記(a)成分及び水を含む組成物の質量割合(含浸率(質量%))は、好ましくは500質量%以下、より好ましくは420質量%以下、より好ましくは380質量%以下、更に好ましくは350質量%以下である。
なお、本発明において、含浸率は、以下の式より算出する。

含浸率(質量%)=
(((a)成分と水を含む組成物を含浸させた不織布の質量)/(乾燥した不織布の質量)-1)×100
本発明のシートに含まれる、(a)成分と水とを含む組成物の質量に対する(a)成分の含有量は、臭い生成抑制効果をより高める観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、更に好ましくは0.05質量%以上であり、より更に好ましくは0.08質量%以上である。そして同じ観点から、(a)成分の含有量は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。
本発明のシートと微生物が付着した対象物とを接触させることで、微生物が付着した対象物からの臭いの生成を抑制することができる。
微生物が付着した対象物としては、繊維製品、硬質表面、皮膚表面、毛髪表面のいずれかであってもよい。繊維製品の素材としては特に制限はなく、ウール、シルク、木綿等の天然素材、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維、及びこれらの組合せのいずれであってもよい。本発明において、繊維製品の素材は木綿であることが好ましい。繊維製品は未使用であっても、一度以上使用した使用済のものでもよい。(a)成分を接触させる繊維製品は、湿気ないし水分を含んだものでもよいし、乾燥を十分に行ったものであってもよい。硬質表面としては、ガラス、金属、プラスチック、陶器であってもよい。
<pH制御方法>
本発明のpH制御は、界面活性剤膜で隔てられた水を含む2つの相において、一方の相に存在する前記(a)成分の前記式(1)で算出されるlogDを-1.5以上1.5以下に制御することで、界面活性剤膜で隔てられた他方の相のpHを低下させ、pHを制御することができる。
(a)成分を含む水のpHは、(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下の範囲であり、且つ界面活性剤膜が存在できる程度のpHであれば、特に制限はない。界面活性剤膜、とりわけ微生物の細胞膜で隔てられた内相のpHをより低下できる観点で、(a)成分及び水を含む組成物のpHは、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは4.5以上であり、更に好ましくは5.0以上である。そして同じ観点から、(a)成分及び水を含む組成物のpHは好ましくは10.0以下であり、より好ましくは9.0以下であり、更に好ましくは8.5以下であり、より更に好ましくは8.0以下である。
本発明のpHは、常法に従い測定することができ、例えばガラス電極を用いた測定装置で測定することができる。
前記式(1)で算出される(a)成分のlogDは、界面活性剤膜、とりわけ微生物の細胞膜で隔てられた内相のpHをより低下できる観点から、-1.5以上である。(a)成分のlogDは、好ましくは-1.2以上であり、より好ましくは-1.0以上であり、更に好ましくは-0.8以上であり、より更に好ましくは-0.5以上であり、より更に好ましくは-0.2以上であり、より更に好ましくは0以上である。そして同じ観点から(a)成分のlogDは1.5以下であり、好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.1以下であり、更にこのましくは1.0以下である。
(a)成分、水及び界面活性剤膜、とりわけ微生物の細胞膜、の接触時間は、pHを制御する程度によって適宜決めることができる。pHの制御をより大きくする観点から、接触時間は好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上であり、更に好ましくは10分以上であり、より更に好ましくは30分以上であり、より更に好ましくは1時間以上である。そして、接触時間は好ましくは15時間以下であり、より好ましくは12時間以下であり、更に好ましくは8時間以下である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに下記の方法及びシートを開示する。
<1>
下記(a)成分、水及び微生物を接触させ、前記微生物が生成する臭い物質の量を抑制する、臭い生成抑制方法であって、
(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、下記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、臭い生成抑制方法。

(a)成分:有機カルボン酸又はその塩

logD=ClogP-log[1+10(pH-pKa)] 式(1)
[式(1)中、ClogPは(a)成分の酸型の状態での水/オクタノール分配係数の対数値の計算logPであり、pHは(a)成分を含む水のpHであり、pKaは(a)成分のpKaである。]
<2>
前記臭い物質が、4-メチル-3-ヘキセン酸及び4-メチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記<1>に記載の方法。
<3>
前記の臭い生成抑制方法が、(a)成分及び水を含む組成物と微生物が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法、水を含み微生物が存在する組成物と(a)成分が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法、並びに、(a)成分と微生物が存在する状態で水が接触し、(a)成分と水と微生物が接触する方法からなる群より選ばれる1種以上の方法である、前記<1>又は<2>に記載の方法。
<4>
(a)成分及び水を含有し、不織布からなるシートと、微生物が付着した対象物とを接触させる、前記<1>~<3>のいずれか1項に記載の方法であって、(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、前記<1>~<3>のいずれか1項に記載の方法。
<5>
界面活性剤膜で隔てられた水を含む2つの相において、一方の相に存在する前記(a)成分の前記式(1)で算出されるlogDを-1.5以上1.5以下に制御し、前記界面活性剤膜で隔てられた他方の相のpHを低下させる、pHの制御方法。
<6>
前記界面活性剤膜が、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するカチオン界面活性剤で形成される膜、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するアニオン界面活性剤で形成される膜、炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有するノニオン界面活性剤で形成される膜、及び炭素原子数10以上22以下の脂肪族炭化水素基を有する両性界面活性剤で形成される膜、好ましくは微生物の細胞膜である、前記<5>に記載の方法。
<7>
(前記(a)成分の分子量)/(カルボキシル基の分子量)で表される値が1.9以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.2以上であり、3.5以下、好ましくは3.2以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.8以下、である、前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の方法。
<8>
前記(a)成分が、炭素原子数が8以上、好ましくは9以上、であり、14以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、の脂肪族多価カルボン酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、前記<1>~<7>のいずれか1項に記載の方法。
<9>
前記(a)成分が、脂肪族ジカルボン酸及びその塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物、好ましくは、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、前記<1>~<8>のいずれか1項に記載の方法。
<10>
前記(a)成分が、一つのナフタレン基と一つのカルボキシル基を有する有機カルボン酸又はその塩である、前記<1>~<6>のいずれか1項に記載の方法。
<11>
前記有機カルボン酸又はその塩が、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボン酸、2-ヒロドキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒロドキシ-2-ナフタレンカルボン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、前記<10>に記載の方法。
<12>
前記(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される(a)成分のlogDが-1.2以上、好ましくは-1.0以上、より好ましくは-0.8以上、より更に好ましくは-0.5以上、より更に好ましくは-0.2以上、より更に好ましくは0以上、1.3以下、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下、である、前記<1>~<11>のいずれか1項に記載の方法。
<13>
(a)成分との接触後の微生物の生菌数が維持されている、前記<1>~<12>のいずれか1項に記載の方法。
<14>
(a)成分と接触する前の微生物の生菌数の対数値(1)と、(a)成分と接触後の微生物の生菌数の対数値(2)との差(対数値(1)-対数値(2))が-1以上2未満、好ましくは-0.5以上1未満、より好ましくは0以上0.8以下、更に好ましくは0以上0.7以下である、前記<13>に記載の方法。
<15>
(a)成分及び水を含む組成物のpHが、4.0以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、であり、10.0以下、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.5以下、更に好ましくは8.0以下、である、前記<1>~<14>のいずれか1項に記載の方法。
<16>
(a)成分及び水を含む組成物のpHが、5.0以上8.5以下である、前記<1>~<15>のいずれか1項に記載の方法。
<17>
(a)成分、水及び界面活性剤膜、とりわけ微生物、の接触時間が、1分以上、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、更に好ましくは30分以上、より更に好ましくは1時間以上、15時間以下、好ましくは12時間以下、より好ましくは8時間以下、である、前記<1>~<16>のいずれか1項に記載の方法。
<18>
(a)成分と水とを含む組成物の質量に対する(a)成分の含有量が、0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、である、前記<1>~<17>のいずれか1項に記載の方法。
<19>
(a)成分及び水を含有し、不織布からなるシートであって、
(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、シート。
<20>
(前記(a)成分の分子量)/(カルボキシル基の分子量)で表される値が1.9以上、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.2以上であり、3.5以下、好ましくは3.2以下、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.8以下、である、前記<19>に記載のシート。
<21>
前記(a)成分が、炭素原子数が8以上、好ましくは9以上、であり、14以下、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、の脂肪族多価カルボン酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、前記<19>又は<20>に記載のシート。
<22>
前記(a)成分が、脂肪族ジカルボン酸及びその塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物、好ましくは、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、前記<19>~<21>のいずれか1項に記載のシート。
<23>
前記(a)成分が、一つのナフタレン基と一つのカルボキシル基を有する有機カルボン酸又はその塩である、前記<19>に記載のシート。
<24>
前記有機カルボン酸又はその塩が、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボン酸、2-ヒロドキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒロドキシ-2-ナフタレンカルボン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、前記<23>に記載のシート。
<25>
前記(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される(a)成分のlogDが-1.2以上、好ましくは-1.0以上、より好ましくは-0.8以上、より更に好ましくは-0.5以上、より更に好ましくは-0.2以上、より更に好ましくは0以上、1.3以下、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.0以下、である、前記<19>~<24>のいずれか1項に記載のシート。
<26>
(a)成分及び水を含む組成物のpHが、4.0以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5.0以上、であり、10.0以下、好ましくは9.0以下、より好ましくは8.5以下、更に好ましくは8.0以下、である、前記<19>~<25>のいずれか1項に記載のシート。
<27>
(a)成分及び水を含む組成物のpHが、5.0以上8.5以下である、前記<19>~<26>のいずれか1項に記載のシート。
<28>
前記不織布が、親水性繊維、及び疎水性繊維からなる群より選ばれる1種以上の繊維から構成される、前記<19>~<27>のいずれか1項に記載のシート。
<29>
前記疎水性繊維が、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、及びポリ塩化ビニル/ポリビニルアルコール共重合系繊維からなる群より選ばれる1種又は2種以上の繊維である、前記<28>に記載のシート。
<30>
前記親水性繊維が、種子毛繊維、靭皮繊維、葉脈繊維、やし繊維、いぐさ、わら、獣毛繊維、絹繊維、羽毛、セルロース系繊維、及び親水化ポリエチレンテレフタレート繊維からなる群より選ばれる1種又は2種以上の繊維である、前記<28>に記載のシート。
<31>
前記不織布が、親水性繊維を、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上、100質量%以下、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下、含む、前記<28>~<30>のいずれか1項に記載のシート。
<32>
前記不織布の坪量が、10g/m以上、好ましくは20g/m以上、100g/m以下、好ましくは80g/m以下、より好ましくは60g/m以下、である、前記<19>~<31>のいずれか1項に記載のシート。
<33>
前記不織布の質量に対する、前記(a)成分及び水を含む組成物の含浸率(質量%)が、100質量%以上、好ましくは150質量%以上、より好ましくは200質量%以上、より好ましくは250質量%以上、更に好ましくは300質量%以上、より更に好ましくは350質量%以上、500質量%以下、好ましくは420質量%以下、より好ましくは380質量%以下、更に好ましくは350質量%以下、である、前記<19>~<32>のいずれか1項に記載のシート。
<34>
(a)成分と水とを含む組成物の質量に対する(a)成分の含有量が、0.01質量%以上、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.08質量%以上、1質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、である、前記<19>~<33>のいずれか1項に記載のシート。
<35>
微生物が付着した対象物と接触させることで、微生物が付着した対象物からの臭いの生成を抑制するために用いる、前記<19>~<34>のいずれか1項に記載のシート。
<36>
微生物が付着した対象物が、繊維製品、硬質表面、皮膚表面、毛髪表面のいずれかである、前記<35>に記載のシート。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
(1)臭い原因物質の定量方法
試験前日から滅菌した木綿平織布3×3cmに対して、臭い原因物質の前駆体である14-Methylhexadecanoic acid(SIGMA-ALDRICH)を溶解させたメタノール溶液を滴下し、臭い原因物質の前駆体を付着させた。臭い原因物質の前駆体の付着量は、木綿平織布1枚当たり脂肪酸が100μg(1,000μg/g布)となるように設定した。さらに、表1に示す各種有機酸を溶解させたメタノール溶液(1mM)を調製し、基質が付着している布1枚当たりに100μLずつ滴下し、一晩乾燥させた。
また前日からモラクセラ・オスロエンシスATCC 19976株を寒天培養条件で培養し、滅菌イオン交換水に菌体を回収し、OD600=0.1(108CFU/mL)、1/2NB(Nutrient Broth: Difco)の菌懸濁液を調製した。
臭い原因物質の前駆体、及び各種有機酸が存在する布を滅菌済No.3スクリュー管(マルエム)に入れて、前記の菌懸濁液100μLを植菌して、37℃条件下で8時間培養を行った。また同様の操作を菌が存在しない条件で行い、培養前に布(臭い原因物質の前駆体、有機酸存在)のpH測定を行ったところ、いずれもpH6付近となった。
培養後、メタノール3mL添加して30分間超音波をかけて抽出を行った。抽出液をフナコシ社のADAM試薬(0.5 mg/mL MeOH溶液)と1:1(体積比)で混合し、室温暗所条件下で一晩放置させた。その後にHPLCを用いて4-メチル-3-ヘキセン酸、4-メチルヘキサン酸の定量を行った。4-メチル-3-ヘキセン酸、4-メチルヘキサン酸の定量条件を下記に示す。

・4-メチル-3-ヘキセン酸、4-メチルヘキサン酸の定量条件
LCカラム:Zorbax C8 4.6×250mm
溶離液:アセトニトリル61%(v/v)、水39%(v/v)
カラム温度:40℃
サンプル注入量:10μL
流速:1.0mL/min
検出:FID Ex.365nm、Em.412nm
(2)菌数変化の試験方法(抗菌試験方法)
前述の臭い原因物質の定量方法と同様の方法で準備した布を滅菌済No.3スクリュー管(マルエム)に入れて、前記の菌液100μLを植菌して、37℃条件下で8時間培養を行った。培養後に20mLのLP希釈液(日本製薬社製)を加えて超音波を10分間照射し、菌の抽出を行った。
抽出液の段階希釈を行い、SCD-LP寒天培地(日本製薬社製)にて混釈後、37℃にて静置培養を1日行った。それぞれの布について得られたコロニー数を計測し、洗浄処理しなかった布の生菌数の常用対数値から、各実施例又は比較例の生菌数の常用対数値を引いたもの(対数値)を静菌活性値とした。
試験前の菌数(CFU/cm)の常用対数値は、6.1(X1とする)であった。培養試験後の菌数(CFU/cm)の常用対数値(X2とする)との差である、(X2-X1)が-1以上2未満であった場合、菌数を維持した状態といえる。尚、培養前に布(臭い原因物質の前駆体、有機酸存在)のpH測定を行ったところ、いずれもpH6となった。
以上の結果を表1に示す。
Figure 0007321809000002
表1に示すように、微生物に接触させる有機カルボン酸のlogDが-1.5以上1.5以下の場合、臭いの原因となる微生物を殺菌することなく、臭い原因物質の生成を抑制することができた(実施例1-1~1-4参照)。
これに対して、有機カルボン酸のlogDが本発明で規定する範囲外の場合、臭い原因物質の生成を抑制することができなかった(比較例1-2~1-5参照)。
実施例2 pH変化の評価方法
実施例において、界面活性剤膜の代表例として、微生物の細胞膜を用いて、pHの変化について評価を行った。即ち微生物と接触する(a)成分と水のpHを適宜選択し、(a)成分のlogDを制御して、微生物と接触させることで、微生物の細胞質内のpH変化を測定した。細胞質内pH変化の評価にはLife Technologies社のpHrodo(R) Green AM Intracellular pH Indicatorsキットを用いた。
前日より培養したモラクセラ・オスロエンシスATCC 19976株をLive Cell Imaging Solution(Life Technologies社、以下「LCIS」という)に懸濁し、遠心分離(5600rpm、10分間、4℃)を行うことで洗浄を行った。洗浄後、OD600=10の菌液5mLを調製し、再度遠心分離を行って菌体を回収した。
pH rodo dye 5μLをpowerload 50μLに添加し撹拌後、LCIS5mLを添加した。得られた混合液5mLを、回収した菌体ペレットに添加して菌体を懸濁させ、37℃で1時間放置した。放置後、遠心分離を行い、LCIS5mLで1回洗浄を行った後に、再度LCIS5mLを添加した。この蛍光染色処理を行った液を菌液Aとする。
蛍光測定セルに対して、リン酸緩衝液(55mM, pH6)2.4mL、菌液A0.3mL、並びに表2に示す各種有機酸のナトリウム塩水溶液0.3mL添加し、撹拌直後に蛍光測定を行った(励起波長509nm、蛍光波長533nm)。蛍光強度の値が高いほど細胞質内環境が酸性に変化していることを示す。
結果を表2に示す。
Figure 0007321809000003
表2に示すように、微生物に接触させる有機カルボン酸のlogDが-1.5以上2以下の場合、蛍光強度の値が上昇し、微生物の細胞膜内のpHが低下した(実施例2-1~2-3参照)。
これに対して、有機カルボン酸のlogDが本発明で規定する範囲外の場合、蛍光強度の値に変化はなく、微生物の細胞膜内のpHを低下させることができなかった(比較例1-2~1-5参照)。
実施例3
表3に示す化合物を用いた以外は、実施例1と同じ操作を行い、4-メチル-3-ヘキセン酸の定量と菌数の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007321809000004
尚、比較例3-1と比較例1-1とでは、布上の4M3H量が異なっている。これは、菌体内の脂肪酸代謝系の活性状態が個体差により異なっているものと推測している。
表3に示すように、比較例3-1での4M3H量に比較して、各実施例3-1~3-4の4M3H量の減少割合が高く、微生物に接触させる有機カルボン酸のlogDが-1.5以上1.5以下の場合、臭いの原因となる微生物を殺菌することなく、臭い原因物質の生成を抑制することができた。
これに対して、有機カルボン酸のlogDが本発明で規定する範囲外の場合、臭い原因物質の生成を抑制することができなかった(比較例3-2参照)。
実施例4
下記表4に記載の組成物を調製した。pHは1質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH調整を行った。
Figure 0007321809000005
不織布(シート状のスパンレース不織布(レーヨン/ポリプロピレン/ポリエステル比=80/10/10、坪量60g/m、150mm×100mm))に対して、表4に記載の組成物を、不織布の質量に対して350質量%の含浸率となるように、組成物を含浸させて、繊維製品用シートを調製した。
(1)臭い原因物質の定量方法
試験前日から滅菌した木綿平織布3×3cmに対して、臭い原因物質の前駆体である14-Methylhexadecanoic acid(SIGMA-ALDRICH)を溶解させたメタノール溶液を滴下し、臭い原因物質の前駆体を付着させた。臭い原因物質の前駆体の付着量は、木綿平織布1枚当たり脂肪酸が100μg(1,000μg/g布)となるように設定した。また前日からモラクセラ・オスロエンシスATCC 19976株を寒天培養条件で培養し、滅菌イオン交換水に菌体を回収し、OD600=0.1(108CFU/mL)、1/2NB(Nutrient Broth: Difco)の菌懸濁液を調製した。
臭い原因物質の前駆体が付着する布を滅菌済No.3スクリュー管(マルエム)に入れて、前記の菌懸濁液100μLを植菌した。さらに、その布に前記の繊維製品用シートを接触させて、5分放置し、繊維製品用シートを布から離した後に、1晩乾燥させた。
布と繊維製品用シートの間にある液体のpHをガラス電極のpHメーターで測定したところ、いずれもpH6であった。
培養後、実施例1と同じ条件で4-メチル-3-ヘキセン酸の定量を行った。
(2)菌数変化の試験方法(抗菌試験方法)
前述の臭い原因物質の定量方法と同様の方法で1晩放置した布を滅菌済No.3スクリュー管(マルエム)に入れて、20mLのLP希釈液(日本製薬社製)を加えて超音波を10分間照射し、菌の抽出を行った。
得られた抽出液に対して、実施例1と同じ方法により、静菌活性値を測定した。尚、培養前に布(臭い原因物質の前駆体、有機酸存在)のpH測定を行ったところ、いずれもpH6となった。
以上の結果を表5に示す。
Figure 0007321809000006
表5に示すように、微生物に接触させる有機カルボン酸のlogDが-1.5以上1.5以下の場合、臭いの原因となる微生物を殺菌することなく、臭い原因物質の生成を抑制することができた(実施例4-1参照)。
これに対して、有機カルボン酸のlogDが本発明で規定する範囲外の場合、臭い原因物質の生成を抑制することができなかった(比較例4-1参照)。

Claims (23)

  1. 下記(a)成分、水及び微生物を接触させ、前記微生物が生成する臭い物質の量を抑制
    する、繊維製品から生じる、繊維製品特有の臭いの生成を抑制する方法であって、
    (a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、下記式(1)で算出される前記(a)
    成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、繊維製品から生じる、繊維製品特有の臭いの生成を抑制する方法。

    (a)成分:有機カルボン酸又はその塩

    logD=ClogP-log[1+10(pH-pKa)] 式(1)
    [式(1)中、ClogPは(a)成分の酸型の状態での水/オクタノール分配係数の対
    数値の計算logP値であり、pHは(a)成分を含む水のpHであり、pKaは(a)
    成分のpKaである。]
  2. 前記の、繊維製品特有の臭いが、生乾き臭である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記臭い物質が、4-メチル-3-ヘキセン酸及び4-メチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. (a)成分及び水を含有し、不織布からなるシートと、微生物が付着した対象物とを接
    触させる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法であって、(a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、前記式(1)で算出される前記(a)成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の臭い生成抑制方法。
  5. 前記(a)成分が、炭素原子数8以上14以下の脂肪族多価カルボン酸及びこれらの塩
    からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記(a)成分が、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデ
    カン二酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記(a)成分がセバシン酸である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記(a)成分が、一つのナフタレン基と一つのカルボキシル基を有する有機カルボン酸又はその塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記有機カルボン酸又はその塩が、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボン酸、2-ヒドロキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記有機カルボン酸又はその塩が、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボン酸、2-ヒドロキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項8に記載の方法。
  11. (a)成分との接触後の微生物の生菌数が維持されている、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記の(a)成分及び水を含む組成物のpHが、5.0以上8.5以下である、請求項
    1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. (a)成分及び水を含有し、不織布からなる、繊維製品から生じる、繊維製品特有の臭いの生成を抑制するために用いるシートであって、
    (a)成分及び水を含む組成物のpHにおける、下記式(1)で算出される前記(a)
    成分のlogDが-1.5以上1.5以下である、繊維製品から生じる、繊維製品特有の臭いの生成を抑制するために用いるシート。

    (a)成分:有機カルボン酸又はその塩

    logD=ClogP-log[1+10(pH-pKa)] 式(1)
    [式(1)中、ClogPは(a)成分の酸型の状態での水/オクタノール分配係数の対
    数値の計算logP値であり、pHは(a)成分を含む水のpHであり、pKaは(a)
    成分のpKaである。]
  14. 前記の、繊維製品特有の臭いが、生乾き臭である、請求項13に記載のシート。
  15. 前記の、繊維製品特有の臭いの原因物質が、4-メチル-3-ヘキセン酸及び4-メチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項13又は14に記載のシート。
  16. 前記(a)成分が、炭素原子数8以上14以下の脂肪族多価カルボン酸及びこれらの塩
    からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項13~15のいずれか1項に記載のシート。
  17. 前記(a)成分が、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデ
    カン二酸及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項13~16のいずれか1項に記載のシート。
  18. 前記(a)成分がセバシン酸である、請求項13~16のいずれか1項に記載のシート。
  19. 前記(a)成分が、一つのナフタレン基と一つのカルボキシル基を有する有機カルボン
    酸又はその塩である、請求項13~15のいずれか1項に記載のシート。
  20. 前記有機カルボン酸又はその塩が、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボ
    ン酸、2-ヒドロキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカ
    ルボン酸、6-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボン酸、及びこれらの塩からなる群より
    選ばれる1種以上の化合物である、請求項19に記載のシート。
  21. 前記有機カルボン酸又はその塩が、1-ナフタレンカルボン酸、2-ナフタレンカルボ
    ン酸、2-ヒドロキシ-1-ナフタレンカルボン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカ
    ルボン酸、及びこれらの塩からなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項19に記載のシート。
  22. 前記不織布の質量に対する、前記(a)成分及び水を含む組成物の含浸率(質量%)が
    、100質量%以上500質量%以下である、請求項13~21のいずれか1項に記載のシート。
  23. (a)成分と水とを含む組成物の質量に対する(a)成分の含有量が、0.01質量%
    以上1質量%以下である、請求項13~22のいずれか1項に記載のシート。
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