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JP7304197B2 - 電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラム - Google Patents

電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラムに関する。
組電池は、多数のセルを直列接続することで大きな電力を供給することができるようにした電池である。こうした組電池は、電気自動車(Electric Vehicle:EV)や、メガソーラなどの太陽光発電設備及び風力発電設備などに併設される蓄電池システムといった様々な用途で用いられている。例えば、電気自動車における組電池は、充電設備からの充電により電気を蓄積し、蓄積した電気から車両を駆動するモータへ電力を供給する。
電気自動車(EV)は、環境負荷も少なく、効率も高く、多様なエネルギーからの電気が利用できるなどのメリットから、普及が進められている。近年では、電気自動車の一般販売や急速充電スタンドなどといったインフラ整備も進んでいる。また、環境負荷の観点から、メガソーラや風力発電なども設備の増大が見込まれている。このように、組電池を用いる様々な機械や施設などの増大から、組電池の利用は増加の一途をたどっている。
ただし、組電池を長期間使用した場合、例えば電気自動車であれば、搭載している組電池が劣化することが考えられる。その上、組電池の劣化により電気自動車自体の性能変化が発生することが考えられる。特に、組電池の電池容量は、経過時間や充放電時間などといった使用の度合いに応じて、徐々に劣化して、電池容量が減少する。
このような組電池の劣化は、電気自動車に限らず、組電池を使用している電力貯蔵を目的とした装置においても同様に発生する。そこで、時間の経過などの使用の度合いにしたがって、組電池の劣化を逐次判定することが好ましい。
組電池の劣化の判定方法として、組電池の計測電圧及び計測電流の相関から見かけの抵抗値を算出し、算出した見かけの抵抗値を用いて電圧の電流に対する依存性を補正して擬似的に定電流での放電電圧曲線を推定し、電池の劣化を判定する方法がある。
他にも、組電池の劣化の判定の技術として、例えば、多段階充電等での一定量の第1電圧で所定の充電を行い、途中から第2電圧で充電を継続し、第2電圧による充電にかかった時間を用いて劣化を判定する従来技術がある。また、定電流充電を行った時間に基づいて電池の劣化を判定する従来技術がある。
特開2013-057603号公報 特開2001-286064号公報 特開2016-173260号公報
しかしながら、計測電圧及び計測電流の相関から算出された見かけの抵抗値を温度により整理すると、組電池の温度を所定区分に分けた場合に、温度の区分毎に放電容量と見かけの抵抗値との相関が得られることが分かった。すなわち、見かけの抵抗値の算出には組電池の温度も大きな影響を及ぼすことから、温度を考慮して見かけの抵抗値の評価しなければ、見かけの抵抗値を用いて推定された放電容量は確度が低く、正確に組電池の劣化を把握することは困難である。
また、電気自動車などで実際に使用されている組電池は取り外すことが困難であることから、定電流充電に掛かった時間により電池の劣化を判定する従来技術を用いて、実際に使用されている組電池の容量を逐次判定することは困難である。さらに、充電電圧を第1の電圧から第2の電圧に変化させ、第2の電圧による充電に掛かった時間から劣化を判定する従来技術においても定電流充電が前提となっており、実際に使用されている組電池の容量を逐次判定することは困難である。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、組電池の劣化状態を容易且つ正確に把握する電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラムを提供することを目的とする。
本願の開示する電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラムの一つの態様において、計測部は、時間経過にしたがって組電池から供給される電圧及び電流、並びに、組電池温度を計測する。算出部は、前記計測部により計測された前記電圧及び前記電流を基に、前記組電池の放電容量及び抵抗値を算出する。評価用抵抗値取得部は、前記算出部により算出された前記組電池の放電容量及び抵抗値の関係を基に評価用抵抗値を取得する。相関関係取得部は、前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値の対数、前記算出部により算出された放電容量及び前記組電池温度の平均絶対温度の逆数を用いて重回帰分析を実施して回帰平面として得られる3次元平面を、評価用抵抗値と評価用放電容量と組電池温度との相関関係として取得する。放電容量取得部は、前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値、前記計測部により計測された組電池温度及び前記相関関係取得部により算出された前記相関関係を基に、前記組電池の評価用放電容量を求める。
1つの側面では、本発明は、組電池の劣化状態を容易且つ正確に把握することができる。
図1は、相関関係分析装置のブロック図である。 図2は、実施例1に係る電池劣化判定装置を搭載した電気自動車のブロック図である。 図3Aは、組電池の電圧の計測結果を表す図である。 図3Bは、組電池の電流の計測結果を表す図である。 図3Cは、組電池の温度の計測結果を表す図である。 図4は、電圧と放電容量との関係を表す図である。 図5は、放電容量毎の電圧と電流との関係を表す図である。 図6は、放電容量と補正を加えた電圧との対応関係を表す図である。 図7は、見かけの放電容量を説明するための図である。 図8は、経過日数と見かけの放電容量との関係を表す図である。 図9は、電気自動車の1Ah毎の放電容量の区分を用いた場合の放電容量に対する見かけの抵抗値の変化とその近似直線及びSOC100%での見かけの抵抗値を表す図である。 図10は、実施例1に係る3次元相関平面を表す図である。 図11は、プロットされた見かけの放電容量に関する点の見かけの抵抗値方向のバラつきを説明するための図である。 図12は、実施例1に係る電池劣化判定装置による3次元相関平面の算出のフローチャートである。 図13は、見かけの放電容量の取得を説明するための図である。 図14は、実施例1に係る電池劣化判定装置による見かけの放電容量の算出のフローチャートである。 図15は、実施例2に係る電池劣化判定装置を搭載した電気自動車のブロック図である。 図16は、実施例2に係る3次元相関平面を表す図である。 図17は、プロットされた経過日数に関する点の見かけの抵抗値方向のバラつきを説明するための図である。 図18は、実施例2に係る電池劣化判定装置による劣化予測相関平面の算出のフローチャートである。 図19は、実施例2に係る電池劣化判定装置による劣化判定予測のフローチャートである。
以下に、本願の開示する電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する電池劣化判定装置、相関関係分析装置、組電池、電池劣化判定方法及び電池劣化判定プログラムが限定されるものではない。
図1は、相関関係分析装置のブロック図である。図2は、実施例1に係る電池劣化判定装置を搭載した電気自動車のブロック図である。以下では、図2に示すように電気自動車100に搭載された組電池2の劣化判定を例に説明するが、判定対象は、他の電力貯蔵を目的とした装置に使用される蓄電池システムなどに搭載された蓄電池でもよい。他の電力貯蔵を目的とした装置としては、例えば、家庭用蓄電池や、発電所や変電所に配置される系統安定用の蓄電池などがある。
相関関係分析装置50は、図1に示すように、データ保持部51、放電容量算出部52、見かけの抵抗値算出部53、評価用抵抗値取得部54、見かけの放電容量取得部55及び相関平面算出部56を有する。
データ保持部51は、電気自動車100に搭載された組電池2の電流、電圧及び温度のデータを保持する。例えば、電気自動車100をバッテリー残量が10%以下になるまで走行させ、その間の組電池2の電圧及び電流の値を計測することで、図3A及び図3Bで示される各走行経過時間に対応する組電池2の電圧及び電流が得られる。図3Aは、組電池の電圧の計測結果を表す図である。図3Aは、横軸で走行経過時間を表し、縦軸で電圧を表す。また、図3Bは、組電池の電流の計測結果を表す図である。図3Bは、横軸で走行経過時間を表し、縦軸で電流を表す。
また、その間の組電池2の温度を計測することで、図3Cで示す各走行経過時間に対応する組電池2の温度が得られる。図3Cは、組電池の温度の計測結果を表す図である。図3Cは、横軸で走行経過時間を表し、縦軸で温度を表す。データ保持部51は、図3A~3Cで表される各データを保持する。
放電容量算出部52は、データ保持部51からデータを取得し、過去の各時点での計測電流を積算することで、各時点での計測電圧に対応する放電容量を算出する。そして、放電容量算出部52は、算出した各時点での計測電圧に対応する放電容量を見かけの抵抗値算出部53へ出力する。
見かけの抵抗値算出部53は、各時点での計測電圧に対応する放電容量を放電容量算出部52から取得する。そして、見かけの抵抗値算出部53は、各時点での放電容量と計測電圧とを対応させて、横軸が放電容量を表し、縦軸が電圧を表す座標系にプロットすることで、図4におけるグラフ101を取得する。図3は、電圧と放電容量との関係を表す図である。図4は、横軸で放電容量を表し、縦軸で電圧を表す。
ここで、グラフ101は、回生やその他の条件などにより各放電容量に対して計測電圧に揺れを有する。そこで、見かけの抵抗値算出部53は、電圧の補正を以下のように行う。具体的には、見かけの抵抗値算出部53は、特定の放電容量から所定の幅にある放電容量に対応した計測電流及び計測電圧の値を、横軸が電流を表し、縦軸が電圧を表す座標系にプロットする。本実施例では、見かけの抵抗値算出部53は、10,20及び30Ahのそれぞれから±0.5Ahの放電容量として、放電容量毎にプロットした点の近似直線を求めることで、図5で表されるグラフを取得する。図5は、放電容量毎の電圧と電流との関係を表す図である。図5は、横軸で電流を表し、縦軸で電圧を表す。図5の各グラフは、それぞれ10±0.5Ah、20±0.5Ah及び30±0.5Ahの放電容量における電流と電圧の関係を表すグラフである。
そして、見かけの抵抗値算出部53は、図5の各グラフから各放電容量に対応する見かけの抵抗値を算出する。具体的には、見かけの抵抗値算出部53は、図5の各グラフの傾きを見かけの抵抗値として取得する。この放電容量算出部52及び見かけの抵抗値算出部53が、相関関係分析装置50における「算出部」の一例にあたる。
ここで、見かけの抵抗値算出部53により算出された見かけの抵抗値及び計測電流を用いて計測電圧を補正し、補正した結果を図3の座標系上にプロットすることで、図6に示す放電容量と補正を加えた電圧との対応関係を表す放電電圧曲線102が取得される。図6は、放電容量と補正を加えた電圧との対応関係を表す図である。
この放電電圧曲線102の算出を、例えば走行経過に応じて行い、走行経過に応じた放電電圧曲線102を算出する。放電電圧曲線102で表される補正データは、計測データから求めたグラフ101に比べて電圧変動が小さい。また、グラフ103は、組電池2に含まれる単電池の放電特性から組電池2としての電圧に換算することで求まる放電電圧曲線の文献値を表す。放電電圧曲線102は、0~40Ah程度までの範囲でグラフ103と似た放電電圧曲線であり、補正データが妥当な値を有することが分かる。
見かけの放電容量取得部55は、見かけの抵抗値算出部53による補正後の放電電圧曲線102における放電末期の変曲点での放電容量を見かけの放電容量として求める。本実施例では、見かけの放電容量取得部55は、355Vの電圧に対応する放電容量を見かけの放電容量とする。すなわち、見かけの放電容量取得部55は、355Vでカットオフした放電容量を見かけの放電容量とする。図7における破線104が355Vの値を表している。図7は、見かけの放電容量を説明するための図である。より詳しくは、本実施例では、見かけの放電容量取得部55は、各放電電圧曲線102における355±0.5Vの電圧に対応する放電容量を取得し、取得した放電容量の平均を見かけの放電容量として求める。例えば、図7では、見かけの放電容量は、43.5Ahと求められる。この見かけの放電容量取得部55が、相関関係分析装置50における「評価用放電容量取得部」の一例にあたり、見かけの「放電容量が評価用放電容量」の一例にあたる。
ここで、見かけの放電容量と経過日数の関係は、図8のように表される。図8は、経過日数と見かけの放電容量との関係を表す図である。図8は、横軸で経過日数の平方根を表し、縦軸で見かけの放電容量を表す。図8では、車両A~Fの6台の電気自動車における経過日数と見かけの放電容量の関係を表している。車両A~Fに関して、グラフ105で示されるように、右肩下がりの直線で近似的に経過日数と見かけの放電容量との関係が表される。すなわち、経過日数に応じて見かけの放電容量が低下していくことが分かる。したがって、見かけの放電容量によりどの程度電池が劣化したのかを判定することができる。
見かけの抵抗値取得部53は、計測電流及び計測電圧を用いて、組電池2において、1Ah毎の放電容量における見かけの抵抗値を算出する。
評価用抵抗値取得部54は、見かけの抵抗値取得部53により計測電流及び計測電圧を用いて算出された、組電池2における1Ah毎の放電容量における見かけの抵抗値を取得する。評価用抵抗値取得部54は、放電容量算出部52により算出された放電容量と抵抗値算出部53により算出された見かけの抵抗値とを対応させて、横軸が放電容量を表し、縦軸が抵抗値を表す座標系上にプロットする。そして、評価用抵抗値取得部54は、プロットした点の近似直線161及び171を求めることで、図9のグラフ106及び107で示される見かけの抵抗値と放電容量との相関関係を求める。図9は、電気自動車の1Ah毎の放電容量の区分を用いた場合の放電容量に対する見かけの抵抗値の変化とその近似直線及びSOC(State Of Charge)100%での見かけの抵抗値を表す図である。図9は、横軸で放電容量を表し、縦軸で見かけの抵抗値を表す。
グラフ106及び107は、1台の車両について異なる日時の計測データを用いて求めた見かけの抵抗値と放電容量の相関関係を表すグラフである。グラフ107は、グラフ106のおよそ1年後の計測データに基づく。組電池2の温度は、両日ともにほぼ同じ温度である。グラフ106及び107で示したように、相関関係を表す近似直線161及び171の傾きはほぼ同じであるが、y切片で表されるSOC100%での見かけの抵抗値162は、1年後の見かけの抵抗値172に示すように増大する。したがって、SOC100%での見かけの抵抗値を用いることで、組電池2の劣化状態を判定することができる。そこで、評価用抵抗値取得部54は、本実施例では、内部抵抗の劣化を評価する値としてSOC100%での見かけの抵抗値を用いる。
ここで、いくつかの走行試験における計測データから求めたSOC100%での見かけの抵抗値と経過日数との関係から、見かけの抵抗値は、温度によって変化することが分かる。また、いくつかの走行試験における計測データから求めた見かけの放電容量と経過日数との関係から、見かけの放電容量も、温度によって変化することが分かる。すなわち、見かけの抵抗値や見かけの放電容量を評価する場合、温度を考慮することが好ましい。
見かけの抵抗値は、イオンの動きにくさと言うこともできる。そして、イオンの移動は、化学反応と考えることができる。そこで、化学反応速度の温度依存性を説明する式として知られる次の数式(1)で表されるアレニウスの式を用いる。
Figure 0007304197000001
ここで、kは、反応速度定数であり、Eαは、活性化エネルギーであり、Tは絶対温度である。
この式の対数を取ると次の数式(2)が得られる。
Figure 0007304197000002
この数式(2)から、反応速度定数の対数lnkを絶対温度の逆数1/Tに対してプロットすると直線が得られることが分かる。
相関平面算出部56は、見かけの放電容量算出部55から見かけの放電容量を取得する。また、相関平面算出部56は、評価用抵抗値取得部54から見かけの抵抗値を取得する。また、相関平面算出部56は、データ保持部51から組電池2の平均絶対温度を取得する。
そして、相関平面算出部56は、組電池2の内部抵抗の劣化の程度を表す見かけの抵抗値の温度依存性を調べるために、見かけの抵抗値の対数、組電池2の平均絶対温度の逆数、及び、見かけの放電容量の3要素で重回帰分析を実施して、回帰平面として図10に示す3次元相関平面108を取得する。図10は、実施例1に係る3次元相関平面を表す図である。ここで、図10におけるプロットされた点は、見かけの抵抗値の対数と、組電池2の平均絶対温度の逆数と、見かけの放電容量との組をプロットした点である。プロットされた点は、3次元相関平面108に対してバラつきが少ない。例えば、図11は、プロットされた見かけの放電容量に関する点の見かけの抵抗値方向のバラつきを説明するための図である。図11に示すように、取得した3要素の値をプロットした点は、3次元相関平面108に対して抵抗値方向のバラつきが少ない。このことから、図10に示す3次元相関平面108により、見かけの抵抗値の対数と、組電池2の平均絶対温度の逆数と、見かけの放電容量との3要素の相関が適切に表されているといえる。その後、相関平面算出部56は、例えば、取得した3次元相関平面108を図2の電気自動車100に搭載された電池劣化判定装置1へ提供する。この相関平面算出部56が、相関関係分析装置50における「相関関係取得部」の一例にあたり、3次元相関平面108が、「前記評価用抵抗値と前記評価用放電容量と前記組電池温度との相関関係」の一例にあたる。
次に、図12を参照して、本実施例に係る電池劣化判定装置による三次元相関平面の算出の流れについて説明する。図12は、実施例1に係る電池劣化判定装置による3次元相関平面の算出のフローチャートである。
データ保持部51は、過去の各時点での組電池2の計測電流及び計測電圧、並びに計測温度を取得し格納する(ステップS1)。
放電容量算出部52は、データ保持部51から計測電流をデータ保持部51から取得する。放電容量算出部52は、取得した計測電流を積算して各時点での放電容量を算出する。そして、放電容量算出部52は、算出した各時点での放電容量を見かけの抵抗値算出部53へ出力する。見かけの抵抗値算出部53は、電流及び電圧の入力を計測部11から受ける。また、見かけの抵抗値算出部53は、放電容量の入力を放電容量算出部12から受ける。そして、見かけの抵抗値算出部53は、取得した計測電流、計測電圧及び放電容量から放電電圧曲線を求める(ステップS2)。見かけの抵抗値算出部53は、放電電圧曲線を見かけの放電容量取得部55へ出力する。
次に、見かけの抵抗値算出部53は、放電電圧曲線の中から有効データを抽出する(ステップS3)。
次に、見かけの抵抗値算出部53は、抽出した有効データを、放電容量の変化幅の所定の区間で分割する(ステップS4)。
次に、見かけの抵抗値算出部53は、横軸が電流を表し、縦軸が電圧を表す座標系上に、区間毎の有効データに対応する計測電流及び計測電圧をプロットする。次に、見かけの抵抗値算出部53は、プロットした点の近似直線を求める。そして、見かけの抵抗値算出部53は、近似直線の傾きを各区間における見かけの抵抗値として取得する(ステップS5)。その後、見かけの抵抗値算出部53は、求めた見かけの抵抗値を評価用抵抗値取得部14へ出力する。
見かけの放電容量取得部55は、放電電圧曲線の入力を見かけの抵抗値算出部53から受ける。そして、見かけの放電容量取得部55は、放電電圧曲線の355Vでカットオフした放電容量を見かけの放電容量として取得する(ステップS6)。見かけの放電了承取得部55は、取得した見かけの放電容量を相関平面算出部56へ出力する。
評価用抵抗値取得部14は、見かけの抵抗値の入力を見かけの抵抗値算出部13から受ける。次に、評価用抵抗値取得部14は、横軸で放電容量を表し、縦軸で抵抗値を表し、原点の値をそれぞれ0とした座標系上に、所定区間毎の放電容量に応じた見かけの抵抗値をプロットする。次に、評価用抵抗値取得部14は、プロットした点の近似直線を求める。そして、評価用抵抗値取得部14は、近似直線の縦軸との切片の抵抗値を、満充電状態における見かけの抵抗値として取得する(ステップS7)。その後、評価用抵抗値取得部14は、満充電状態における見かけの抵抗値を相関平面算出部56へ出力する。
相関平面算出部56は、見かけの放電容量算出部55から見かけの放電容量を取得する。また、相関平面算出部56は、評価用抵抗値取得部54から見かけの抵抗値を取得する。また、相関平面算出部56は、データ保持部51から組電池2の平均絶対温度を取得する。そして、相関平面算出部56は、見かけの抵抗値の対数、組電池2の平均絶対温度の逆数、及び、見かけの放電容量の3要素で重回帰分析を実施して、回帰平面である3次元相関平面108を取得する(ステップS8)。
次に、図2の電気自動車100に搭載された電池劣化判定装置1について説明する。電気自動車100は、電池劣化判定装置1、組電池2、モータ3及び温度センサ4を有する。モータ3は、組電池2から供給された電力により駆動する。
電池劣化判定装置1は、組電池2からモータ3へ供給される電気を基に、組電池2の放電容量を推定し、組電池2の劣化状態を判定する。温度センサ4は、組電池2の温度を計測する。
電池劣化判定装置1は、計測部11、放電容量算出部12、見かけの抵抗値算出部13、評価用抵抗値取得部14、相関関係記憶部15、見かけの放電容量取得部16、劣化判定部17及び報知部18を有する。
相関関係記憶部15は、抵抗値と見かけの放電容量と温度との相関関係を記憶する。具体的には、本実施例に係る相関関係記憶部15は、SOC100%での抵抗値と見かけの放電容量と温度との相関関係を表す相関平面を記憶する。ここで、SOC100%での抵抗値とは、満充電の場合の組電池2の抵抗値である。また、見かけの放電容量とは、ある決められた電圧における組電池2の放電容量であり、組電池2の劣化状態の判断基準となる値である。本実施例では、組電池2の放電電圧曲線における放電末期の変曲点での放電容量を見かけの放電容量とする。より具体的には、本実施例では、355Vの電圧に対応する放電容量を見かけの放電容量とする。この相関関係記憶部15が、「記憶部」の一例にあたる。本実施例では、相関関係記憶部15は、相関関係分析装置50により求められた、3次元相関平面108で示される見かけの抵抗値の対数と、組電池2の平均絶対温度の逆数と、見かけの放電容量との関係を表す相関平面を記憶する。
計測部11は、組電池2から出力される電気の電流及び電圧を計測する。また、計測部11は、温度センサ4で計測された組電池2の温度を取得する。そして、計測部11は、計測電流を放電容量算出部12へ出力する。また、計測部11は、計測電流及び計測電圧を見かけの抵抗値算出部13へ出力する。さらに、計測部11は、組電池2の温度を見かけの放電容量取得部16へ出力する。
放電容量算出部12は、計測電流の入力を計測部11から受ける。そして、放電容量算出部12は、所定時間における計測電流からその時の放電容量を算出する。例えば、放電容量算出部12は、所定時間における計測電流を積算することで放電容量を算出する。そして、放電容量算出部12は、算出した放電容量を見かけの抵抗値算出部13へ出力する。
見かけの抵抗値算出部13は、計測電流及び計測電圧の入力を計測部11から受ける。また、見かけの抵抗値算出部13は、放電容量の入力を放電容量算出部12から受ける。そして、見かけの抵抗値算出部13は、計測電圧及び放電容量の関係から、横軸で放電容量を表し、縦軸で電圧を表す座標系上における放電電圧曲線を取得する。例えば、見かけの抵抗値算出部13は、各時点での放電容量を求める際に用いた計測電流に対応する計測電圧を、各時点での放電容量に対応させて座標系上にプロットしていくことで放電電圧曲線を得ることができる。そして、見かけの抵抗値算出部13は、放電電圧曲線の各時点のデータのうち、回生なし(すなわち、電流が放電側)で且つ電流増加報告(すなわち、1秒前の電流よりもその時点での値が大きい場合)のデータを抽出する。以下、この抽出されたデータを、「有効データ」という。
このように、本実施例では、以下に説明する抵抗値の算出にあたり、回生なし且つ電流増加報告のデータのみを用いる。この点、組電池2における充電特性と放電特性とは特性が異なる。そのため、充電側のデータを抵抗値の算出に用いた場合、異なる特性のデータが混ざってしまうため、抵抗値の算出が困難となる。そこで、本実施例では、適切な抵抗値の算出のために上述した有効データのみを用いている。ただし、放電特性と充電特性との間の特性の補正を行うなどすることで、充電側のデータを抵抗値の算出に用いることも可能である。
次に、見かけの抵抗値算出部13は、横軸で放電容量を表し、縦軸で電流を表す座標系上における放電電圧曲線を、放電容量の変化幅の所定の区間で有効データを分割し、各区間における有効データを特定する。有効データの分割は、例えば、10Ahの幅で分割する。
そして、見かけの抵抗値算出部13は、横軸が電流を表し、縦軸が電圧を表す座標系上に、区間毎の有効データに対応する計測電流及び計測電圧をプロットする。そして、見かけの抵抗値算出部13は、近似直線の傾きを各区間における見かけの抵抗値として取得する。
ここで、本実施例では、放電容量の区分(データ分けのための区間の細かさ)を1Ah毎としている。ただし、分割する放電容量の区分を細かくするにしたがい、算出される見かけの抵抗値の個数が増加するため、見かけの抵抗値算出部13は、データ分けの区分を細かくすることで近似直線の精度を向上させることができる。
見かけの抵抗値算出部13は、算出した各放電容量の所定区間における見かけの抵抗値を評価用抵抗値取得部14へ出力する。この放電容量算出部12及び見かけの抵抗値算出部13が、「算出部」の一例にあたる。
評価用抵抗値取得部14は、所定区間毎の見かけの抵抗値の入力を見かけの抵抗値算出部13から受ける。次に、評価用抵抗値取得部14は、横軸で放電容量を表し、縦軸で抵抗値を表し、原点の値をそれぞれ0とした座標系上に、所定区間毎の放電容量に応じた見かけの抵抗値をプロットする。次に、評価用抵抗値取得部14は、プロットした点の近似直線を求める。例えば、評価用抵抗値取得部14は、最小近似法などを用いて各点の直線近似を行い、図8で示した近似直線と同様に近似直線を求める。
そして、評価用抵抗値取得部14は、近似直線の縦軸との切片における抵抗値、すなわち満充電状態における見かけの抵抗値を取得する。言い換えれば、評価用抵抗値取得部14は、放電容量が0Ah、すなわちSOC100%の抵抗値を満充電状態における見かけの抵抗値として取得する。例えば、評価用抵抗値取得部14は、図8に示す近似直線161の切片162における抵抗値や、近似直線171の切片172における抵抗値を満充電状態における見かけの抵抗値として取得する。この満充電状態における見かけの抵抗値が「評価用抵抗値」の一例にあたる。
その後、評価用抵抗値取得部14は、満充電状態における見かけの抵抗値を見かけの放電容量取得部16へ出力する。
ただし、放電容量の区分を細かくするにしたがい、算出される見かけの抵抗値の個数が増加するため、見かけの抵抗値算出部13は、区間の分割を細かくすることで近似直線の精度を向上させることができる。また、放電容量が少ない区間の放電容量及び抵抗値のデータのみを用いても、評価用抵抗値取得部14は、放電容量が多い場合までの点を用いた場合とほぼ同様の近似直線を求めることができる。
ここで、用いるデータ区間に係わらず、見かけの抵抗値を示す点の近似直線としてほぼ同様の近似直線を求めることができる。したがって、評価用抵抗値取得部14は、電気自動車100が走り出しから短時間で収集した放電容量及び抵抗値のみを用いて満充電状態における見かけの抵抗値を算出することができる。ただし、走り出し直後には、組電池2の温度が安定していないため、計測電流及び計測電圧の値が、温度安定後の組電池2とずれが生じる可能性がある。そこで、評価用抵抗値取得部14は、走り出し直後の一定期間を除き、それ以降の所定期間の放電容量及び抵抗値を用いて近似直線を求めてもよい。
見かけの放電容量取得部16は、満充電状態における見かけの抵抗値の入力を評価用抵抗値取得部14から受ける。また、見かけの放電容量取得部16は、組電池2の温度の入力を計測部11から受ける。次に、見かけの放電容量取得部16は、組電池2の平均温度を算出する。そして、見かけの放電容量取得部16は、相関関係記憶部15が保持する相関平面を用いて、図13に示すように、満充電状態における見かけの抵抗値及びに組電池2の平均温度に対応する見かけの放電容量を取得する。図13は、見かけの放電容量の取得を説明するための図である。図13は、X軸で絶対温度の逆数を表し、Y軸で見かけの放電容量を表し、Z軸で見かけの抵抗値を表す。ここで、図13では、見かけの放電容量の抽出が分かり易いように、図10と座標の向きを変えて表した。図13の相関平面109は、図10の3次元相関平面108にあたる。例えば、見かけの放電容量取得部16は、抵抗値201を満充電における見かけの抵抗値として受信し、絶対温度の逆数202を組電池2の平均絶対温度の逆数として取得した場合、相関平面109から放電容量203を見かけの放電容量として取得する。
その後、見かけの放電容量取得部16は、取得した見かけの放電容量を劣化判定部17へ出力する。ここで、本実施例では、組電池2の劣化状態を判定するために、満充電状態における見かけの抵抗値に対応する放電容量を求めている。これは、0Ahの時の抵抗値が現実の抵抗値に最も近いと考えられるため、その抵抗値に対応する放電容量が理想的な放電容量と考えられるからである。したがって、満充電状態における見かけの抵抗値に対応する放電容量を用いることで、より適切に組電池2の劣化状態を判定することができる。ただし、判定基準に用いる見かけの抵抗値の放電容量は他の値を取ることもでき、相関関係カーブの作成と評価に用いる見かけの抵抗値を求める際の放電容量の値が一致していれば、他の放電容量を評価の基準として用いることもできる。この見かけの放電容量取得部16が、「放電容量取得部」の一例にあたる。そして、満充電状態における見かけの抵抗値に対応する放電容量が、「評価用放電容量」の一例にあたる。
劣化判定部17は、見かけの放電容量の入力を見かけの放電容量取得部16から受ける。ここで、劣化判定部17は、組電池2の劣化の判定基準である放電容量閾値を予め記憶している。そして、劣化判定部17は、受信した見かけの放電容量が放電容量閾値以上か否かを判定する。受信した放電容量が放電容量閾値以上の場合、劣化判定部17は、組電池2が劣化していないと判定し、処理を終了する。
一方、受信した見かけの放電容量が放電容量閾値未満の場合、劣化判定部17は、組電池2が劣化していると判定し、組電池2の劣化を報知部18に通知する。
報知部18は、組電池2の劣化の通知を劣化判定部17から受ける。そして、報知部18は、組電池2の劣化を電気自動車100の利用者に通知する。
ここで、本実施例では、閾値を用いて劣化を判定し、利用者に通知したが、利用者へ通知する情報はこれに限らない。例えば、報知部18は、見かけの放電容量取得部16が求めた見かけの放電容量を利用者に通知するように構成してもよい。その場合、利用者は、通知された見かけの放電容量を参照して組電池2の劣化状態を判断する。
次に、図14を参照して、本実施例に係る電池劣化判定装置による見かけの放電容量の算出の流れについて説明する。図14は、実施例1に係る電池劣化判定装置による見かけの放電容量の算出のフローチャートである。
温度センサ4は、組電池2の温度を計測する。そして、計測部11は、計測された組電池2の温度を取得する。また、計測部11は、組電池2の電流及び電圧を計測する(ステップS11)。そして、計測部11は、計測電流を放電容量算出部12へ出力する。また、計測部11は、計測電流及び計測電圧を見かけの抵抗値算出部13へ出力する。さらに、計測部11は、組電池2の温度を見かけの放電容量取得部16へ出力する。
放電容量算出部12は、計測電流の入力を計測部11から受ける。放電容量算出部12は、計測部11から受信した計測電流を積算して各時点での放電容量を算出する。そして、放電容量算出部12は、算出した各時点での放電容量を見かけの抵抗値算出部13へ出力する。見かけの抵抗値算出部13は、計測電流及び計測電圧の入力を計測部11から受ける。また、見かけの抵抗値算出部13は、放電容量の入力を放電容量算出部12から受ける。そして、見かけの抵抗値算出部13は、取得した計測電流、計測電圧及び放電容量から放電電圧曲線を求める(ステップS12)。
次に、見かけの抵抗値算出部13は、放電電圧曲線の中から有効データを抽出する(ステップS13)。
次に、見かけの抵抗値算出部13は、抽出した有効データを、放電容量の変化幅の所定の区間で分割する(ステップS14)。
次に、見かけの抵抗値算出部13は、横軸が電流を表し、縦軸が電圧を表す座標系上に、区間毎の有効データに対応する計測電流及び計測電圧をプロットする。次に、見かけの抵抗値算出部13は、プロットした点の近似直線を求める。そして、見かけの抵抗値算出部13は、近似直線の傾きを各区間における見かけの抵抗値として取得する(ステップS15)。その後、見かけの抵抗値算出部13は、求めた見かけの抵抗値を評価用抵抗値取得部14へ出力する。
評価用抵抗値取得部14は、見かけの抵抗値の入力を見かけの抵抗値算出部13から受ける。次に、評価用抵抗値取得部14は、横軸で放電容量を表し、縦軸で抵抗値を表し、原点の値をそれぞれ0とした座標系上に、所定区間毎の放電容量に応じた見かけの抵抗値をプロットする。次に、評価用抵抗値取得部14は、プロットした点の近似直線を求める。そして、評価用抵抗値取得部14は、近似直線の縦軸との切片の抵抗値を、満充電状態における見かけの抵抗値として取得する(ステップS16)。その後、評価用抵抗値取得部14は、満充電状態における見かけの抵抗値を見かけの放電容量取得部16へ出力する。
見かけの放電容量取得部16は、組電池2の温度の入力を計測部11から受ける。そして、見かけの放電容量取得部16は、組電池2の平均温度を算出する。また、見かけの放電容量取得部16は、満充電状態における見かけの抵抗値の入力を評価用抵抗値取得部14から受ける。そして、見かけの放電容量取得部16は、相関関係記憶部15が保持する相関平面から、満充電状態における見かけの抵抗値及び組電池2の平均温度に対応する見かけの放電容量を取得する(ステップS17)。
以上に説明したように、本実施例に係る電池劣化判定装置は、使用中の組電池の電圧及び電流からその時点での抵抗値を推定し、その推定した抵抗値及び組電池の温度を基に、その時点での組電池の放電容量を推定する。これにより、使用中の組電池の放電容量が温度を考慮した上で推定でき、容易且つ正確に組電池の劣化状態を判定することができる。
また、本実施例に係る電池劣化判定装置は、短時間の計測で放電容量が推定できるので、長時間の組電池の使用を行わずに放電容量が推定でき、より容易に組電池の劣化状態を判定することができる。
本実施例に係る相関関係分析装置も、図1のブロック図で表される。本実施例に係る相関関係分析装置50は、見かけの抵抗、組電池2の温度及び経過日数の相関関係を表す3次元相関平面を求めることが実施例1と異なる。
実施例1における相関平面の算出と同様の処理により、相関平面算出部56は、見かけの抵抗値の対数及び組電池2の平均温度を取得する。さらに、相関平面算出部56は、各抵抗値を取得した時点での経過日数をデータ保持部51から取得する。そして、相関平面算出部56は、見かけの抵抗値の対数、組電池2の平均絶対温度の逆数、及び、経過日数の平方根の3要素で重回帰分析を実施して、回帰平面として図14に示す3次元相関平面121を得る。
図14は、実施例2に係る3次元相関平面を表す図である。ここで、図14におけるプロットされた点は、見かけの抵抗値の対数と、組電池2の平均絶対温度の逆数と、経過日数の平方根との組をプロットした点である。プロットされた点は、3次元相関平面121に対してバラつきが少ない。例えば、図15は、プロットされた経過日数に関する点の見かけの抵抗値方向のバラつきを説明するための図である。図15に示すように、取得した3要素の値をプロットした点は、3次元相関平面121に対して抵抗値方向のバラつきが少ない。このことから、図14に示す3次元相関平面121により、見かけの抵抗値の対数と、組電池2の平均絶対温度の逆数と、経過日数の平方根との3要素の相関が適切に表されているといえる。相関平面算出部56は、図15に示す電池劣化判定装置1へ求めた3次元相関平面121を提供する。
図15は、実施例2に係る電池劣化判定装置を搭載した電気自動車のブロック図である。本実施例に係る電池劣化判定装置1は、見かけの抵抗及び組電池2の温度を用いて劣化予測をすることが実施例1と異なる。以下の説明では、実施例1と同様の各部の動作については説明を省略する。
本実施例では、相関関係記憶部15は、3次元相関平面121で示される見かけの抵抗値の対数と、組電池2の平均絶対温度の逆数と、経過日数の平方根との関係を表す劣化予測用相関平面を記憶する。
入力部5は、電気自動車100に搭載された入力デバイスであり、例えば、カーナビゲーション装置の入力画面などである。操作者は、入力部5を用いて、予測の対象とする日付の組電池2の使用が開始されてからの経過時間を入力する。
劣化予測部19は、予測の対象とする日における組電池2の温度を取得する。ここで、劣化予測部19は、予測の対象とする日付とともに入力部5を用いて操作者から入力された組電池2の温度の情報を取得してもよい。他にも、劣化予測部19は、相関関係記憶部15が保持する過去に計測部11により計測された温度の情報から推測される予測の対象とする日の組電池2の温度を取得してもよい。また、劣化予測部19が、相関関係記憶部15が保持する過去に計測部11により計測された温度の情報を取得し、且つ、予測日の予測気温を取得して、取得した予測気温と過去の計測データから予測対象とする日付の組電池2の温度を推測してもよい。
また、劣化予測部19は、組電池2の使用が開始されてからの経過時間の入力を入力部5から受ける。ここで、本実施例では、劣化予測部19は、経過時間の入力を受けたが、他にも、予測日時を受けて、組電池2の使用が開始された時間からの経過時間を算出してもよい。そして、劣化予測部19は、相関関係記憶部15が保持する劣化予測用相関平面を用いて、組電池2の平均温度及び経過日数の平方根に対応する充電状態における見かけの抵抗値を取得する。すなわち、ここで取得される見かけの抵抗値は、予測日における組電池2の見かけの抵抗値である。その後、劣化予測部19は、取得した見かけの抵抗値を劣化判定部17へ出力する。
劣化判定部17は、見かけの抵抗値の入力を見かけの劣化予測部19から受ける。ここで、劣化判定部17は、組電池2の劣化の判定基準である抵抗閾値を予め記憶している。そして、劣化判定部17は、予測日における見かけの抵抗値が抵抗閾値以上か否かを判定する。受信した放電容量が抵抗閾値以上の場合、劣化判定部17は、組電池2が劣化していないと判定し、処理を終了する。
一方、受信した見かけの抵抗値が抵抗閾値未満の場合、劣化判定部17は、組電池2が劣化していると判定し、組電池2の劣化を報知部18に通知する。ここで、本実施例では、見かけの抵抗値を用いて組電池2の劣化を判定してが、これに限らず、例えば、取得した見かけの抵抗値及び組電池2の温度を用いて、予測日における見かけの放電容量を算出して組電池2の劣化判定に用いてもよい。
報知部18は、組電池2の劣化の通知を劣化判定部17から受ける。そして、報知部18は、組電池2の劣化を電気自動車100の利用者に通知する。
次に、図18を参照して、本実施例に係る電池劣化判定装置による劣化予測相関平面の算出の流れについて説明する。図18は、実施例2に係る電池劣化判定装置による劣化予測相関平面の算出のフローチャートである。
データ保持部51は、過去の各時点での組電池2の計測電流及び計測電圧、並びに計測温度を取得し格納する(ステップS101)。この時、データ保持部51は、各計測結果を取得した時点での組電池2の使用開始からの経過日数も取得する。
放電容量算出部52は、データ保持部51から計測電流をデータ保持部51から取得する。放電容量算出部52は、取得した計測電流を積算して各時点での放電容量を算出する。そして、放電容量算出部52は、算出した各時点での放電容量を見かけの抵抗値算出部53へ出力する。見かけの抵抗値算出部53は、電流及び電圧の入力を計測部11から受ける。また、見かけの抵抗値算出部53は、放電容量の入力を放電容量算出部12から受ける。そして、見かけの抵抗値算出部53は、取得した計測電流、計測電圧及び放電容量から放電電圧曲線を求める(ステップS102)。見かけの抵抗値算出部53は、放電電圧曲線を見かけの放電容量取得部55へ出力する。
次に、見かけの抵抗値算出部53は、放電電圧曲線の中から有効データを抽出する(ステップS103)。
次に、見かけの抵抗値算出部53は、抽出した有効データを、放電容量の変化幅の所定の区間で分割する(ステップS104)。
次に、見かけの抵抗値算出部53は、横軸が電流を表し、縦軸が電圧を表す座標系上に、区間毎の有効データに対応する計測電流及び計測電圧をプロットする。次に、見かけの抵抗値算出部53は、プロットした点の近似直線を求める。そして、見かけの抵抗値算出部53は、近似直線の傾きを各区間における見かけの抵抗値として取得する(ステップS105)。その後、見かけの抵抗値算出部53は、求めた見かけの抵抗値を評価用抵抗値取得部14へ出力する。
評価用抵抗値取得部14は、見かけの抵抗値の入力を見かけの抵抗値算出部13から受ける。次に、評価用抵抗値取得部14は、横軸で放電容量を表し、縦軸で抵抗値を表し、原点の値をそれぞれ0とした座標系上に、所定区間毎の放電容量に応じた見かけの抵抗値をプロットする。次に、評価用抵抗値取得部14は、プロットした点の近似直線を求める。そして、評価用抵抗値取得部14は、近似直線の縦軸との切片の抵抗値を、満充電状態における見かけの抵抗値として取得する(ステップS106)。その後、評価用抵抗値取得部14は、満充電状態における見かけの抵抗値を相関平面算出部56へ出力する。
相関平面算出部56は、取得した計測結果の組電池2の使用開始からの経過日数を取得する(ステップS107)。
さらに、相関平面算出部56は、評価用抵抗値取得部54から見かけの抵抗値を取得する。また、相関平面算出部56は、データ保持部51から組電池2の平均絶対温度を取得する。そして、相関平面算出部56は、見かけの抵抗値の対数、組電池2の平均絶対温度の逆数、及び、経過日数の3要素で重回帰分析を実施して、回帰平面である3次元相関平面121を取得する(ステップS108)。
次に、図19を参照して、本実施例に係る電池劣化判定装置による劣化判定予測の流れについて説明する。図19は、実施例2に係る電池劣化判定装置による劣化判定予測のフローチャートである。
温度センサ4は、予測日の組電池2の温度を取得する(ステップS111)。そして、計測部11は、計測電流を放電容量算出部12へ出力する。
劣化予測部19は、組電池2の温度の入力を計測部11から受ける。そして、劣化予測部19は、組電池2の平均温度を算出する。また、劣化予測部19は、組電池2の使用が開始されてからの経過時間の入力を入力部5から受ける(ステップS112)。
そして、劣化予測部19は、相関関係記憶部15が保持する劣化予測用相関平面を用いて、組電池2の平均温度及び経過日数の平方根に対応する充電状態における見かけの抵抗値を取得する(ステップS113)。その後、劣化予測部19は、取得した見かけの抵抗値を劣化判定部17へ出力する。
劣化判定部17は、劣化予測部19から取得した予測日における見かけの抵抗値が抵抗閾値以上か否かにより、組電池2の劣化判定を行う(ステップS114)。
以上に説明したように、本実施例に係る電池劣化判定装置は、組電池の温度及び入力された組電池の使用開始からの経過日数を用いて、予測日の見かけの抵抗値を求める。そして、電池劣化判定装置は、求めた見かけの抵抗値を用いて、予測日における組電池の劣化状態の判定を行う。これにより、いつ組電池が劣化状態になるかが分かり、将来の組電池の劣化状態を容易且つ正確に把握することができる。管理者は、将来の劣化状態の判定結果を用いて予め組電池の劣化に対応することができ、組電池及び電気自動車の信頼性を向上させることができる。
以上に説明した、電池劣化判定装置1は、例えば、電流及び電圧の測定器、CPU(Central Processing Unit)及びメモリ、並びに、劣化予測部19を有するコンピュータで実現できる。測定器は、計測部11の機能を実現する。
メモリは、相関関係記憶部15の機能を実現する。また、例えば、メモリは、図1及び13に例示した放電容量算出部12、見かけの抵抗値算出部13、評価用抵抗値取得部14、見かけの放電容量取得部16、劣化判定部17及び報知部18、並びに、図13に例示した劣化予測部19の機能を実現するプログラムを含む各種プログラムを記憶する。
CPUは、メモリに格納された各種プログラムを読み出し実行することで、放電容量算出部12、見かけの抵抗値算出部13、評価用抵抗値取得部14、見かけの放電容量取得部16、劣化判定部17、報知部18及び劣化予測部19の機能を実現する。
1 電池劣化判定装置
2 組電池
3 モータ
4 温度センサ
5 入力部
11 計測部
12 放電容量算出部
13 見かけの抵抗値算出部
14 評価用抵抗値取得部
15 相関関係記憶部
16 見かけの放電容量取得部
17 劣化判定部
18 報知部
19 劣化予測部

Claims (8)

  1. 時間経過にしたがって組電池から供給される電圧及び電流、並びに、組電池温度を計測する計測部と、
    前記計測部により計測された前記電圧及び前記電流を基に、前記組電池の放電容量及び抵抗値を算出する算出部と、
    前記算出部により算出された前記組電池の放電容量及び抵抗値の関係を基に評価用抵抗値を取得する評価用抵抗値取得部と、
    前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値の対数、前記算出部により算出された放電容量及び前記組電池温度の平均絶対温度の逆数を用いて重回帰分析を実施して回帰平面として得られる3次元平面を、評価用抵抗値と評価用放電容量と組電池温度との相関関係として取得する相関関係取得部と、
    前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値、前記計測部により計測された組電池温度及び前記相関関係取得部により算出された前記相関関係を基に、前記組電池の評価用放電容量を求める放電容量取得部と
    を備えたことを特徴とする電池劣化判定装置。
  2. 前記相関関係は、前記評価用放電容量を前記評価用抵抗値に対応する放電末期の変曲点における前記組電池の放電容量とした場合の、前記評価用抵抗値と、前記評価用放電容量と、前記組電池温度との関係を表す3次元平面で表されることを特徴とする請求項1に記載の電池劣化判定装置。
  3. 前記評価用抵抗値取得部は、前記組電池の放電開始付近の前記組電池の放電容量及び抵抗値を基に前記評価用抵抗値を算出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電池劣化判定装置。
  4. 前記評価用抵抗値取得部は、0Ahの放電容量に対応する抵抗値を前記評価用抵抗値として取得することを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の電池劣化判定装置。
  5. 時間経過にしたがって計測装置により計測された組電池から供給される電圧及び電流、並びに、組電池温度を収集して保持するデータ保持部と、
    前記計測装置により計測された電圧及び電流を基に、前記組電池の放電容量及び抵抗値を算出する算出部と、
    前記算出部により算出された前記組電池の放電容量及び抵抗値の関係を基に評価用抵抗値を取得する評価用抵抗値取得部と、
    前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値の対数、前記算出部により算出された放電容量及び前記計測装置により計測された組電池温度の平均絶対温度の逆数を用いて重回帰分析を実施して回帰平面として得られる3次元平面を、評価用抵抗値と評価用放電容量と組電池温度との相関関係として求める相関関係取得部と
    を備えたことを特徴とする相関関係分析装置。
  6. 1組とされる複数の電池と、
    時間経過にしたがって前記1組の複数の電池から供給される電圧及び電流、並びに、組電池温度を計測する計測部と、
    前記計測部により計測された前記電圧及び前記電流を基に、前記1組の複数の電池の放電容量及び抵抗値を算出する算出部と、
    前記算出部により算出された前記1組の複数の電池の放電容量及び抵抗値の関係を基に評価用抵抗値を取得する評価用抵抗値取得部と、
    前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値の対数、前記算出部により算出された放電容量及び前記組電池温度の平均絶対温度の逆数を用いて重回帰分析を実施して回帰平面として得られる3次元平面を、評価用抵抗値と評価用放電容量と組電池温度との相関関係として取得する相関関係取得部と、
    前記評価用抵抗値取得部により取得された評価用抵抗値、前記計測部により計測された前記1組の複数の電池の温度及び前記相関関係取得部により算出された前記相関関係を基に、前記1組の複数の電池の前記評価用放電容量を求める放電容量取得部と
    を備えたことを特徴とする組電池。
  7. 時間経過にしたがって組電池から供給される電圧及び電流、並びに、組電池温度を計測し、
    計測した前記電圧及び前記電流を基に、前記組電池の放電容量及び抵抗値を算出し、
    算出した前記組電池の放電容量及び抵抗値の関係を基に評価用抵抗値を取得し、
    取得した評価用抵抗値の対数、算出した放電容量及び前記組電池温度の平均絶対温度の逆数を用いて重回帰分析を実施して回帰平面として得られる3次元平面を、評価用抵抗値と評価用放電容量と組電池温度との相関関係として取得し
    取得した評価用抵抗値、計測した組電池温度及び取得した前記相関関係を基に、前記組電池の前記評価用放電容量を求める
    ことを特徴とする電池劣化判定方法。
  8. 時間経過にしたがって組電池から供給される電圧及び電流、並びに、組電池温度を計測し、
    計測した前記電圧及び前記電流を基に、前記組電池の放電容量及び抵抗値を算出し、
    算出した前記組電池の放電容量及び抵抗値の関係を基に評価用抵抗値を取得し、
    取得した評価用抵抗値の対数、算出した放電容量及び前記組電池温度の平均絶対温度の逆数を用いて重回帰分析を実施して回帰平面として得られる3次元平面を、評価用抵抗値と評価用放電容量と組電池温度との相関関係として取得し
    取得した評価用放電容量、計測した組電池温度及び取得した前記相関関係を基に、前記組電池の前記評価用放電容量を求める
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする電池劣化判定プログラム。
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