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JP7293099B2 - 製紙用シームフェルト - Google Patents

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JP7293099B2
JP7293099B2 JP2019220931A JP2019220931A JP7293099B2 JP 7293099 B2 JP7293099 B2 JP 7293099B2 JP 2019220931 A JP2019220931 A JP 2019220931A JP 2019220931 A JP2019220931 A JP 2019220931A JP 7293099 B2 JP7293099 B2 JP 7293099B2
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Description

本開示は、互いに連結されるべく両端部に形成されたループを含む製紙用シームフェルトに関する。
製紙用フェルトは、抄紙機やパルプマシン等における湿紙から水分を機械的に搾るプレスパートで、湿紙の運搬及び搾水のために使用される。製紙用フェルトは、経糸及び緯糸が互いに織られた基布と、短繊維からなるバット繊維層とをニードリングによって一体化して形成される。製紙用フェルトには、湿紙運搬性、搾水性、紙の表面にマークを付けない表面性(紙面性)、機器に装着されてから好ましい状態になるまでの時間に関する初期馴染み性、防汚性、及び耐久性等が要求される。
フェルトを抄紙機に取り付ける際の作業性を向上させるため、フェルトの走行経路、いわゆるフェルトランに有端のフェルトを引き込んだ上でその両端部を互いに連結して無端とする、いわゆるシームフェルトが広く普及している。この種のシームフェルトでは、基布を構成する経糸の折り返しにより経方向の両端部に形成されたループを互いのループ孔が整合するように交互に配置し、ループ孔に芯線を通して両端部を連結する構成が一般的である。
フェルトの空隙量が増大すると、搾水性が向上する。シームフェルトの空隙量を増大させるため、ループを含む第1基布層に加えて、第1基布層の製紙面側に第2基布層が設けられた製紙フェルト用シーム基布が知られている。
特許文献1は、図4(A)に示すような基布100aを開示している。基布100aは、第1基布層101と、第2基布層102aとを備える。第1基布層101と、第2基布層102aとは、製織で結合する形態ではない(結合糸を有さない)ラミネートタイプの基布層であり、ニードルでバット繊維層とともに結合される。第1基布層101は、互いに織り込まれた経糸103及び緯糸104を含み、経糸103が丈方向の両端部で折り返されることによりループ105が形成されている。両端部のループ105を互いに整合させて芯線106をループ105内に通すことにより無端状となる。第2基布層102aは、互いに織り込まれた経糸107a及び緯糸108aを含み、ループ105を有さず、シーム部で切断されている。
特許文献2は、図4(B)に示すような基布100bを開示している。基布100bは、第1基布層101と、第2基布層102bとを備える。第2基布層102bは、互いに織り込まれた経糸107b及び緯糸108bを含み、ループ105を有さず、シーム部で切断されている。経糸107bが第1基布層101の緯糸104を織り込むことにより、第2基布層102bが第1基布層101に接結している。
図4(C)に示すような基布100cが提案されている。基布100cは、第1基布層101と、第2基布層102cとを備える。第2基布層102cは、互いに織り込まれた経糸107c及び緯糸108cを含み、ループ105を有さず、シーム部で切断されている。シーム部に位置する経糸107cの端部は両端にループを有するが、芯線を挿通して両端のループ同士は結合されていはいない。
特許文献3は、図4(D)に示すような基布100dを開示している。基布100dは、第1基布層101と、第2基布層102dとを備える。第2基布層102dは、経糸107dのみを含む。経糸107dが第1基布層101の緯糸104を織り込むことにより、第2基布層102dが第1基布層101に接結している。
また、図4(E)及び(F)に示すような基布100e,100fが実際に使用されている。図4(E)に示す基布100eでは、第2基布層102eが緯糸108eのみからなる不織布基布(緯糸108eを緯方向に並べて溶融バット層を使用して一体化した緯糸108eのみからなる基布層)であり、図4(F)に示す基布100fでは、第2基布層102fが経糸107fのみからなる不織布基布(経糸107fを経方向に並べて溶融バット層を使用して一体化した経糸107fのみからなる基布層)である。第1基布層101と、第2基布層102e,102fは、ラミネートタイプの基布層であり、ニードルでバット繊維層とともに結合されている(緯糸108e及び経糸107fは、第1基布層101の緯糸104を織りこまず、第2基布層102e,102fは、第1基布層101に接結していない)。また、第1基布層101と第2基布層102e,102fは、上下が逆に使用される形態も、使われている。
特開平11-100787号公報 特表2004-517226号公報 特開2010-100947号公報
シームフェルトの走行面側は、抄紙機等との接触により使用時間とともに摩耗する。特に、ループの走行面側の摩耗がシームフェルトの耐久性に大きく影響する。本発明は、ループの摩耗を抑制することにより耐久性を向上させた製紙用シームフェルトを提供することを目的とする。
本発明のある実施形態は、互いに連結されるべく両端部に形成されたループ(6)を有する基布(2)と、前記基布(2)に一体化されたバット層(3)とを備える製紙用シームフェルト(1)であって、前記基布(2)は、地緯糸(8)と、前記ループ(6)を形成するべく折り返されて、製紙面側で前記地緯糸(8)に織り込まれた上段部(10)及び走行面側で前記地緯糸(8,8b)に織り込まれた中段部(11)を含む地経糸(9)と、前記走行面側で前記地緯糸(8,8b)に織り込まれた下段部を含む追加経糸(12)を備え、完全組織において、各々の前記追加経糸(12)が前記地緯糸(8,8b)に対して製紙面側を通るように織り込む回数及び本数は、各々の前記中段部(11)が前記地緯糸(8,8b)に対して製紙面側を通るように織り込む回数及び本数の半分以下であり、前記追加経糸(12)は、前記地経糸(9)よりも太いことを特徴とする。
この構成によれば、追加経糸の大部分が中段部よりも走行面側に配置され、抄紙機等との接触により使用時間とともに摩耗する糸が太い追加経糸となり、また、中段部及びループの走行面側の摩耗が抑制されるため、耐久性が向上した製紙用シームフェルトを提供することができる。
本発明のある実施形態に係る製紙用シームフェルト(1)は、上記構成において、前記地緯糸が前記上段部及び前記中段部に交互に織り込まれていることによって、前記地緯糸(8)及び前記地経糸(9)が2重織り組織を形成していることを特徴とする。
この構成によれば、1重織りに比較して地緯糸及び地経糸の密度が高いため、伸びが少なく寸法安定性が高く、剛性が向上する。また、地緯糸が上段部及び中段部を繋いでいるため、ニードリング時に上段部及び中段部が互いに丈方向にずれることを抑制できる。
本発明のある実施形態に係る製紙用シームフェルト(1)は、上記第1の構成において、前記地緯糸(8)が、前記上段部(10)に織り込まれる上地緯糸(8a)と、前記中段部(11)に織り込まれる下地緯糸(8b)とを含むことによって、2つの1重織り組織が互いに重なり合ったラミネート状組織が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、地緯糸が多くなるためフェルトの空隙量が増大する。
本発明のある実施形態に係る製紙用シームフェルト(1)は、上記構成のいずれかにおいて、前記追加経糸(12)の太さは、前記地経糸(9)の太さの1.02倍以上1.5倍以下であることを特徴とする。
追加経糸の太さが地経糸の太さの1.02倍以上であることにより、耐久性が向上し、追加経糸の太さが地経糸の太さの1.5倍以下であることにより、基布内の隙間を確保して搾水性の低下が抑制される。
本発明のある実施形態に係る製紙用シームフェルト(1)は、上記構成において、前記地経糸(9)は、0.3mm以上0.55mm以下の太さを有するモノフィラメントで構成され、前記追加経糸(12)は、直径0.08mm以上0.22mm以下の直径を有するモノフィラメントを30本以下3本以上で撚った撚り糸、又は、3本の上撚りからなるマルチフィラメントの撚り糸で構成されたことを特徴とする。
この構成によれば、追加経糸が過度に扁平化することが抑制されるため、空隙量が減少することが抑制される。更に、これらの効果を発揮させつつ、追加経糸の太さを地経糸に対して1.02倍以上1.5倍以下に調整することが容易になる。
本発明のある実施形態に係る製紙用シームフェルト(1)は、上記構成のいずれかにおいて、前記完全組織において、前記上段部(10)を構成する前記地経糸(9)、前記中段部(11)を構成する前記地経糸(9)及び前記下段部(12)を構成する前記追加経糸(12)の本数は、互いに等しいことを特徴とする。
この構成によれば、追加経糸によって構成される下段部の本数が上段部及び中段部の地経糸の本数に等しいため、空隙量を増大させることができる。
本発明によれば、ループの摩耗を抑制することにより耐久性を向上させた製紙用シームフェルトを提供することができる。
実施形態に係る製紙用シームフェルトのシーム部の経方向の模式的断面図 実施形態及びその変形例に係る基布の緯方向の模式的断面図(A:実施形態、B:変形例) 実施形態に係る基布の製造方法を示す説明図 従来技術に係る基布のシーム部の模式的断面図
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は実施形態に係る製紙用シームフェルト(以下、単に「フェルト」と記す)1のシーム部の経方向の断面(緯方向に直交する断面)を示す。フェルト1は、基布2と、基布2の製紙面側及び走行面側に短繊維を積層してニードリングによって一体化して形成されたバット層3とを備える。フェルト1は丈方向(機械方向、経方向)に無端状とされて抄紙機に取り付けられ、外側が湿紙を載置する製紙面側となり、内側が走行面側となる。また、以下の説明において、フェルト1及び基布2の厚さ方向を上下方向とし、製紙面側を「上」、走行面側を「下」と記す。
図2(A)は、実施形態に係る基布2の緯方向の断面(経方向に直交する断面)を示す。図1及び図2(A)に示すように、基布2は、丈方向の両端部にループ6を有する。フェルトランにフェルト1を引き込んだ上で、基布2の両端部のループ6同士を互いに整合するように交互に配置し、ループ6内に芯線7を通すことにより、両端部が連結されてフェルト1が無端状になる。
基布2は、フェルト1の幅方向(機械直交方向、緯方向)に延在する地緯糸8と、地緯糸8に織り込まれてフェルト1の丈方向に延在する地経糸9とを備える。地経糸9は、製紙面側で地緯糸8に織り込まれた上段部10と、走行面側で地緯糸8に織り込まれた中段部11とを含む。地経糸9における上段部10と中段部11との境界部分が、折り返されることによってループ6を形成している。
地緯糸8が上段部10及び中段部11に交互に織り込まれることによって、地緯糸8及び地経糸9が2重織り組織を形成している。なお、ここで、地緯糸8が上段部10及び中段部11に交互に織り込まれるとは、地緯糸8が、1本又は連続する複数本の上段部10の上を1回又は複数回通ることと、1本又は連続する複数本の中段部11の下を1回又は複数回通ることが交互に表れることを意味する。
図2(B)は、変形例に係る基布2の緯方向の断面(経方向に直交する断面)を示している。なお、変形例の経方向断面は、符号を除いて図1と同じになる(図1において、括弧を付した符号は変形例の符号であり、括弧を付した符号が併記されていない符号は実施形態と変形とに共通の符号である)。図2(B)に示す変形例では、地緯糸8が上段部10に織り込まれる上地緯糸8aと中段部11に織り込まれる下地緯糸8bとを含むことによって、2つの1重織り組織が互いに重なり合ったラミネート状組織が形成されている。図では、地緯糸8及び地経糸9によって形成される組織がラミネート状組織であり、上地緯糸8aと上段部10とが互いに平織りで織り込まれ、下地緯糸8bと中段部11とが互いに平織りで織り込まれている場合を示すが、平織り以外の組織で織り込まれてもよい。
図1及び図2に示すように、基布2は、走行面側で地緯糸8(地緯糸8及び地経糸9によって構成された層が2重織り組織の場合)又は下地緯糸8b(地緯糸8及び地経糸9によって構成された層がラミネート状組織の場合)に織り込まれた追加経糸12を更に含む。追加経糸12は、連結用のループ6を形成しておらず、シーム部で切断されている。
完全組織は織物の基本となる組織の最小単位であり、織物は完全組織を丈方向及び幅方向に繰り返して織られている。完全組織において、追加経糸12が地緯糸8の上を通るように地緯糸8を織り込む回数及び織り込まれる地緯糸8の本数は、中段部11が地緯糸8の上を通るように地緯糸8を織り込む回数及び織り込まれる地緯糸8の本数の半分以下である。このため、基布2の厚さ方向において、追加経糸12は、中段部11よりも走行面側に位置する部分が多くなり、経糸の下段部を構成している。ここで、中段部11及び追加経糸12は、地緯糸8の上を通る区間で、連続する複数本の地緯糸8の上を通ってもよい。
実施形態に係る基布2の完全組織は、8本の地緯糸8と、8本の地経糸9からなる上段部10と、8本の地経糸9からなる中段部11と、8本の追加経糸12とによって構成される。地緯糸8は、1組の上段部10と中段部11の間、1本の上段部10の上、1組の上段部10と中段部11の間、追加経糸12の下、1組の上段部10と中段部11の間、1本の上段部10の上、1組の上段部10と中段部11の間、1組の中段部11と追加経糸12の間を順に通るように配置される。従って、本実施形態では、完全組織において、中段部11が1本の地緯糸8の上を2回通っているのに対して、追加経糸12は1本の地緯糸8の上を1回通っている。また、地緯糸8における追加経糸12が上を通る部分では、中段部11もその上を通っている。このように、追加経糸12が地緯糸8を織り込む回数は、中段部11が地緯糸8を織り込む回数の半分以下であり、追加経糸12に織り込まれた地緯糸8の本数は、中段部11に織り込まれた地緯糸8の本数の半分以下である。完全組織の構成は、上記の構成に限定されないが、完全組織における上段部10、中段部11及び追加経糸12(下段部)の本数は互いに等しいことが好ましい。
変形例に係る基布2の完全組織は、4本の上地緯糸8aと、4本の下地緯糸8bと、4本の地経糸9からなる上段部10と、4本の地経糸9からなる中段部11と、4本の追加経糸12とによって構成される。上地緯糸8aは、上段部10に平織りで織り込まれ、下地緯糸8bは、1組の上段部10と中段部11との間、1本の追加経糸12の下、1組の上段部10と中段部11との間、1組の中段部11と追加経糸12との間を順に通るように配置される。
芯線7、地緯糸8、地経糸9及び追加経糸12の素材として、例えば、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を使用できる。芯線7は、これらの素材の糸の5~10本の撚り糸であることが好ましい。地緯糸8は、好ましくは、0.3mm以上0.55mm以下の太さを有するモノフィラメントであり、丈方向に1cm当たり約11本以上約24本以下(1インチ当たり30本以上60本以下)で配置される。地経糸9は、好ましくは、0.3mm以上0.55mm以下の太さを有するモノフィラメントであり、幅方向に1cm当たり約15本以上約24本以下(1インチ当たり40本以上60本以下)で配置される。
下段部を構成する追加経糸12は、上段部10及び中段部11を含む地経糸9よりも太い。好ましくは、追加経糸12の太さは、地経糸9の太さの1.02倍以上1.5倍以下である。追加経糸12は、好ましくは、撚り糸であり、更に好ましくは、直径0.08mm以上0.22mm以下の直径を有するモノフィラメントを30本以下3本以上(モノフィラメントの糸径が小さいと本数が多く、糸径が大きいと本数が少ない)で撚った撚り糸、又は、3本の上撚りからなるマルチフィラメントの撚り糸である。例えば、追加経糸12は、3/10/8の糸(8本のモノフィラメントを10本撚り、その10本の下撚りした撚糸を更に3本撚った(逆方向に撚って上撚りした)諸撚糸)、3/8/10の糸、又は3/6/12の糸である。また、例えば、追加経糸12は、3/20の糸(20本のモノフィラメントを3本撚った片撚糸(撚りのない20本のモノフィラメントを3本集めて一方向に撚っただけの糸))である。また、例えば、追加経糸12は、その数本~数十本を下撚りしたマルチフィラメント糸3本を更に上撚りした諸撚糸である。
図3は、基布2の製造方法を示す。基布2は、袋織りで製織される。すなわち、基布2は、地緯糸8を整経糸とし、地経糸9及び追加経糸12を打ち込み糸として製織される。整経糸である地緯糸8に平行に1本の耳糸13(製織用の芯線)が配置されている。地経糸9に取り付けられたシャットル(図示せず)を耳糸13で折り返しながら周回させることにより、地経糸9が地緯糸8に織り込まれる。また、追加経糸12に取り付けられたシャットル(図示せず)を地経糸9の外側で周回させることにより、追加経糸12が地緯糸8に織り込まれる。基布2に対して積層した短繊維からなるバット層3(図1参照)をニードリングによって一体化することによりフェルト1(図1参照)が製造される。追加経糸12は、ニードリングの前又は後にシーム部で切断される。フェルト1は、基布2の製造時とは表裏を反転させて使用される。
図1及び図2に記載の実施形態及び変形例に係る基布2の作用効果を図4に記載の従来技術に係る基布100a,b,c,d,e,fと対比しながら説明する。
基布2は、地緯糸8及び地経糸9だけでなく追加経糸12を備えるため、追加経糸12がない場合に比べてフェルト1の空隙量が増加し、搾水性が向上している。
基布2は、追加経糸12が地緯糸8に対して上側を通るように織り込む回数及び本数が、中段部11が地緯糸8に対して上側を通るように織り込む回数及び本数の半分以下であるため、追加経糸12の大部分は、中段部11よりも下方に位置する。そのため、抄紙機との接触により使用時間ともに摩耗する糸は主として追加経糸12となる。摩耗する追加経糸12が地経糸9よりも太いため、基布2の耐久性が向上する。図4に示す従来技術に係る基布100a,b,c,d,e,fでは、特にループ105の下側が摩耗しやすく、この摩耗がフェルト1の製品寿命に大きく影響するが、実施形態及び変形例に係る基布2では、ループ6の下側の摩耗が追加経糸12によって防止されるため、耐久性が大きく向上する。特に、追加経糸12の太さが地経糸9の太さの1.02倍以上の場合は、耐久性が向上し、追加経糸12の太さが地経糸9の太さの1.5倍以下の場合は、追加経糸12間の隙間が確保されるため、搾水性を大きく低減することなく耐久性を向上させることができる。
また、図4に示す従来技術に係る基布100e,fにおいて、第2基布層102e,fを第1基布層101の下側に配置した場合、第2基布層102e,fには溶着バットが使用されて搾水性が大きく阻害され、また、緯糸108e又は経糸107fがフリーな状態なため、絡みが悪く摩耗抑制効果が低くなる。一方、実施形態に係る基布2では溶着バットを使用する必要がないため搾水性が阻害されず、追加経糸12が地緯糸8に織り込まれているため高い摩耗抑制効果を発揮する。
また、下段部を構成する追加経糸12における地緯糸8の下を通っている部分が、中段部11における地緯糸8の下を通っている部分よりも長いため、追加経糸12がない場合に比べて振動が抑制される。
従来技術に係る基布100a,b,c,d,e,fでは、製紙面側に配置される経糸107及び/又は緯糸108を、走行面側に配置される経糸103及び緯糸104よりも細くすることにより紙面性を向上させていた。しかしながら、シーム部では製造される紙にマークが付いてしまった。これは、シーム部で切断される経糸107の切り口の隙間がマークとなってしまうためである。実施形態及び変形例に係る基布2では、地緯糸8及び地経糸9によって構成された層の製紙面側に他の層を加えても十分にシーム部の紙面性を改善できないため、追加経糸12を地緯糸8及び地経糸9によって構成された層の走行面側に設けて耐久性を向上させている。
従来技術に係る基布100a,b,cの様に第2基布層102a,b,cが経糸107a,b,c及び緯糸108a,b,cの双方を含むと、目付(単位面積当たりの重量)が増加する。また、従来技術に係る基布100e,fは、溶着バットを使用するため、目付が増加する。商慣習上、フェルト1の製品価格は目付に基づいて設定されるため、需要者はフェルト1の目付を小さくすることを望む。基布100a,b,c,e,fを備えるフェルトにおいて目付の増加を抑制するためにはバットの使用量を減らす必要がある。一方、実施形態及び変形例に係る基布2において、地緯糸8及び地経糸9によって構成された層に対して重量を増加させているのは追加経糸12のみであるため、目付の増加が抑制される。
従来技術に係る基布100a,c,e,fでは、第2基布層102a,c,e,fが第1基布層101に接結していないため、ニードリング時に、第1基布層101及び第2基布層102a,c,e,fが互いに丈方向にずれる。実施形態に係る基布2は、追加経糸12が地緯糸8に織り込まれている。そのため、ニードリング時における地緯糸8及び地経糸9によって構成された層と追加経糸12との互いの丈方向へのずれを防止できる。また、従来技術に係る基布100eではシーム部で緯糸108eがほつれやすく、基布100fでは経糸107fが抜けやすいが、実施形態に係る基布2では、地緯糸8に織り込まれた追加経糸12を使用しているため、これらの問題が生じ難い。
追加経糸12が撚り糸によって構成されるため、バット層3の基布2に対する絡みが良好になる。
地経糸9として、0.3mm以上0.55mm以下の太さを有するモノフィラメントを用いた時、追加経糸12として、直径0.08mm以上0.22mm以下の直径を有するモノフィラメントを30本以下3本以上で撚った撚り糸、又は、3本の上撚りからなるマルチフィラメントの撚り糸を用いると、追加経糸12の太さを、地経糸9の太さの1.02倍以上1.5倍以下に調整しやすい。また、追加経糸12として、このような撚り糸を用いることにより、追加経糸12が過度に扁平化して空隙量が減少することを抑制できる。
実施形態に係る基布2のように地緯糸8及び地経糸9によって構成された層を2重織り組織にすると、1重織りに比較して地緯糸8及び地経糸9の密度が高いため、伸びが少なく寸法安定性が高く、剛性が向上するともに、地緯糸8が上段部10及び中段部11を繋いでいるため、ニードリング時に上段部10及び中段部11が互いに丈方向にずれることを抑制できる。また、変形例に係る基布2のように地緯糸8及び地経糸9によって構成された層を2つの1重織り組織のラミネート状組織にすると、地緯糸8が多くなるため空隙量が増大する。
完全組織において、下段部を構成する追加経糸12の本数が、上段部10及び中段部11の本数に等しいため、空隙量が増大する。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、フェルト1は、抄紙機ではなく、パルプマシン等の他の製紙用機械で使用されてもよい。
1:製紙用シームフェルト
2:基布
6:ループ
7:芯線
8:地緯糸
8a:上地緯糸
8b:下地緯糸
9:地経糸
10:上段部
11:中段部
12:追加経糸

Claims (6)

  1. 互いに連結されるべく両端部に形成されたループを有する基布と、前記基布に一体化されたバット層とを備える製紙用シームフェルトであって、
    前記基布は、
    地緯糸と、
    前記ループを形成するべく折り返されて、製紙面側で前記地緯糸に織り込まれた上段部及び走行面側で前記地緯糸に織り込まれた中段部を含む地経糸と、
    前記走行面側で前記地緯糸に織り込まれた下段部を含む追加経糸を備え、
    完全組織において、各々の前記追加経糸が前記地緯糸に対して製紙面側を通るように織り込む回数及び本数は、各々の前記中段部が前記地緯糸に対して製紙面側を通るように織り込む回数及び本数の半分以下であり、
    前記追加経糸は、前記地経糸よりも太いことを特徴とする製紙用シームフェルト。
  2. 前記地緯糸が前記上段部及び前記中段部に交互に織り込まれていることによって、前記地緯糸及び前記地経糸が2重織り組織を形成していることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シームフェルト。
  3. 前記地緯糸が、前記上段部に織り込まれる上地緯糸と、前記中段部に織り込まれる下地緯糸とを含むことによって、2つの1重織り組織が互いに重なり合ったラミネート状組織が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の製紙用シームフェルト。
  4. 前記追加経糸の太さは、前記地経糸の太さの1.02倍以上1.5倍以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の製紙用シームフェルト。
  5. 前記地経糸は、0.3mm以上0.55mm以下の太さを有するモノフィラメントで構成され、
    前記追加経糸は、直径0.08mm以上0.22mm以下の直径を有するモノフィラメントを30本以下3本以上で撚った撚り糸、又は、3本の上撚りからなるマルチフィラメントの撚り糸で構成されたことを特徴とする請求項4に記載の製紙用シームフェルト。
  6. 前記完全組織において、前記上段部を構成する前記地経糸、前記中段部を構成する前記地経糸及び前記下段部を構成する前記追加経糸の本数は、互いに等しいことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の製紙用シームフェルト。
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