(1)概要
本実施形態の監視システム100は、図1に示すように、分電盤1に接続されている回路を監視するために用いられる。監視システム100は、検知部712と、提示部713と、を備えている。本実施形態では、監視システム100の構成要素は、分電盤1の内部に配置される計測アダプタ7(後述する)が有している。
検知部712は、分電盤1に接続されている回路に関するイベントの発生を検知する。本開示でいう「分電盤に接続されている回路」は、分電盤1の内部に設置されている主幹ブレーカ3、分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、及び連系ブレーカ6を含み得る。また、本開示でいう「分電盤に接続されている回路」は、分岐ブレーカ4の二次側に電気的に接続されるコンセント22若しくは電気機器24、又は分岐ブレーカ4の二次側に直接、電気的に接続される電気機器23を含み得る。さらに、本開示でいう「回路」は、連系ブレーカ6の二次側に電気的に接続される分散電源21を含み得る。以下では、主幹ブレーカ3、分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、及び連系ブレーカ6を特に区別しない場合、「回路遮断器2」という。
また、本開示でいう「イベント」は、例えば主幹ブレーカ3若しくは分岐ブレーカ4等の回路遮断器2が回路を遮断すること、又は回路遮断器2の経年劣化により回路遮断器2が新品への交換を必要とする時期に達したこと等を含み得る。回路遮断器2は、例えば、短絡電流、漏電電流又は過電流等の異常電流が流れる場合、落雷によって発生するサージ電流が流れる場合、単相三線式配線における中性線の欠相が発生した場合、及び地震が発生した場合などに回路を遮断する。本実施形態では、回路遮断器2が回路を遮断した場合、検知部712は、イベントとして、回路遮断器2の遮断動作に伴う停電の発生を検知する。
提示部713は、検知部712でイベントの発生を検知した場合に、イベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。本開示でいう「ユーザ」は、分電盤1のユーザであって、例えば分電盤1の設置されている施設500が住宅であれば、住人である。つまり、本開示でいう「ユーザ」は、基本的に分電盤1の設置されている施設500の利用者である。
本開示でいう「推奨情報」は、例えば回路遮断器2が回路を遮断したこと(つまり、停電の発生)がイベントである場合、回路遮断器2を含む回路を復旧させるためにユーザが踏むべき手順を含む。つまり、本実施形態では、提示部713は、推奨情報として、停電から復旧するための手順を含む復旧情報を提示する。また、本開示でいう「推奨情報」は、例えば回路遮断器2が新品への交換を必要とする時期に達したことがイベントである場合、回路遮断器2を新品に交換するようにユーザに促す情報を含む。
上述のように、本実施形態では、分電盤1に接続されている回路に関するイベントが発生した場合に、提示部713がイベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。このため、ユーザは、推奨情報を確認することにより、発生したイベントに対してどのような行動を起こせばよいかを知ることができる。つまり、本実施形態では、ユーザの使い勝手を向上できる、という利点がある。
(2)詳細
以下、本実施形態の監視システム100及び監視システム100を備える分電盤1について図1~図4を用いて詳細に説明する。
分電盤1の分電盤用キャビネット10(図2参照)は、例えば、戸建て住宅又は集合住宅の住戸等の施設500に設置されて使用される。なお、分電盤1が設置される施設500は、戸建て住宅又は集合住宅の各住戸に限定されず、非住宅の建物(例えば、工場、商業用ビル、オフィスビル、病院、学校等)に設置されてもよい。
以下の説明では、特に断りがない限り、図2~図4においてX軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向と規定する。また、X軸方向及びZ軸方向とそれぞれ直交する方向を前後方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、分電盤用キャビネット10及び分電盤1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
(2.1)分電盤
まず、分電盤1について説明する。分電盤1は、図1に示すように、監視システム100と、監視システム100を収容する分電盤用キャビネット10と、を備えている。分電盤用キャビネット10は、図2に示すように、回路遮断器2と、計測アダプタ7と、電流計測装置8と、バックアップ電源9と、を収容する。ここで、回路遮断器2は、主幹ブレーカ3と、複数の分岐ブレーカ4と、感震ブレーカ5と、連系ブレーカ6と、を含んでいる。なお、分電盤用キャビネット10が、計測アダプタ7、電流計測装置8、及びバックアップ電源9を収容することは必須ではなく、適宜省略が可能である。
分電盤用キャビネット10は、前面が開口した箱状のボディ11(図2参照)と、ボディ11の開口を塞ぐカバー12(図3参照)と、を備えている。図2においては、カバー12の図示を省略している。分電盤用キャビネット10は、造営材(例えば建物の壁110)に取り付けられる。なお、分電盤用キャビネット10は、壁110(図2参照)に設けられた取付孔に一部又は全体が埋め込まれた状態で取り付けられてもよい。分電盤用キャビネット10は、例えば、平均的な身長の子供では手が届かないような高さ位置であって、平均的な身長の大人であれば操作が可能なような高さ位置に設けられる。
また、分電盤用キャビネット10は、分電盤用キャビネット10が壁110に取り付けられた状態でカバー12の前面121を覆う蓋体13(図4参照)をさらに備える。蓋体13は、閉位置と開位置との間で移動可能な状態でカバー12に取り付けられる。閉位置は、カバー12の前面121を覆う位置(図4に示す位置)である。開位置は、カバー12の前面121の少なくとも一部を覆わない位置(図3において二点鎖線で示す位置)である。なお、蓋体13は、ある方向からカバー12を見た場合にカバー12の前面121の一部を覆っていればよく、本実施形態では、閉位置にある蓋体13は、カバー12を前方から見た場合にカバー12の前面121のほぼ全体を覆っている。
分電盤用キャビネット10の内部には、図2に示すように、主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、計測アダプタ7、及び電流計測装置8が収容されている。主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、計測アダプタ7、及び電流計測装置8は、ボディ11に直接又は取付用の部品等を介して取り付けられている。図2は、分電盤用キャビネット10の内部における主幹ブレーカ3、複数の分岐ブレーカ4、感震ブレーカ5、連系ブレーカ6、計測アダプタ7、及び電流計測装置8の配置を示しているが、これらの配置は一例であり、適宜変更が可能である。また、図2ではバックアップ電源9の図示を省略しているが、バックアップ電源9は分電盤用キャビネット10の内部の適宜の位置に配置されていればよい。
主幹ブレーカ3は、分電盤用キャビネット10の内部において、左右方向の中央よりもやや左側の位置に配置されている。なお、分電盤用キャビネット10の内部での主幹ブレーカ3の位置は、例えば中央よりも右側等、他の位置であってもよい。主幹ブレーカ3は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続された接点31(図1参照)を備える。主幹ブレーカ3は、接点31をオン又はオフにするための操作レバーを前面に備えている。また、主幹ブレーカ3は、例えば接点31に漏電電流が流れる異常状態を検出する検出部32(図1参照)を備えている。主幹ブレーカ3は、検出部32にて接点31に漏電電流が流れる異常状態を検出すると、接点31を開極させる。これにより、主幹ブレーカ3は、主幹ブレーカ3の二次側の回路への電力供給を遮断し、回路を保護している。また、主幹ブレーカ3は、検出部32にて短絡電流又は過負荷電流等の過電流を検出すると、接点31を開極させる。また、主幹ブレーカ3の検出部32は、単相三線式配線における中性線の欠相状態を検出する機能を有する。そして、主幹ブレーカ3は、検出部32が中性線の欠相状態を検出すると、接点31を開極させる。なお、主幹ブレーカ3は、所定の制限値を超える電流が流れると、接点31を開極させるリミッタ機能を備えていてもよい。
主幹ブレーカ3の二次側端子には、単相三線式配線における第1電圧極(L1相)の導電バー、第2電圧極(L2相)の導電バー、及び中性極(N相)の導電バーが接続されている。各導電バーは、導電部材により左右方向に長い長尺板状に形成されており、分電盤用キャビネット10の内部において、上下方向の中央であって主幹ブレーカ3の右側の位置に配置されている。
複数の分岐ブレーカ4は、各導電バーの上側と下側とに分かれて、それぞれ複数個ずつ左右方向に並ぶように配置されている。本実施形態では、図2に示すように、各導電バーの上側には、12個の分岐ブレーカ4が左右方向に並ぶように配置されている。また、各導電バーの下側には、11個の分岐ブレーカ4が左右方向に並ぶように配置されている。
各分岐ブレーカ4は、一対の一次側端子と、一対の二次側端子と、を備えている。各分岐ブレーカ4は、一次側端子と二次側端子との間に電気的に接続される接点を有している。各分岐ブレーカ4の前面には、各分岐ブレーカ4が内蔵する接点をオン又はオフにするための操作レバーが設けられている。
分岐ブレーカ4には、100V用と200V用とがある。100V用の分岐ブレーカ4が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バー及び第2電圧極の導電バーのうちの一方と、中性極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。200V用の分岐ブレーカ4が備える一対の一次側端子は、第1電圧極の導電バーと、第2電圧極の導電バーとにそれぞれ電気的に接続される。また、分岐ブレーカ4の二次側端子には、対応する配線が電気的に接続される。各分岐ブレーカ4の二次側端子に接続された配線には、例えば、照明器具、給湯設備等の電気機器23、コンセント22(図1参照)又は壁スイッチ等の配線器具が負荷として1つ以上接続される。したがって、分電盤1は、分岐ブレーカ4の二次側端子に配線を介して接続された電気機器23、又はコンセント22に接続された電気機器24(例えば空調機器又はテレビ受像器等)等に電力を供給することができる。
また、分岐ブレーカ4は、分岐ブレーカ4が内蔵する接点に、短絡電流又は過負荷電流等の過電流が流れる異常状態を検出する検出部41(図1参照)を備えている。分岐ブレーカ4は、検出部41にて接点に過電流が流れる異常状態を検出すると、接点を開極させる。これにより、分岐ブレーカ4は、分岐ブレーカ4の二次側の回路への電力供給を遮断し、回路を保護している。また、検出部41は、分岐ブレーカ4が接続された回路の漏電状態を検出する機能を備えている。そして、分岐ブレーカ4は、検出部41が漏電の発生を検出すると、回路を遮断する。なお、検出部41は、分岐ブレーカ4に接続された回路で電線等が断線しかかっている異常状態を検出する機能を備えていてもよい。例えば、検出部41が、回路に流れる電流の電流波形に基づいて、電線が断線しかかっている場合に断続的に発生するアークを検出すると、分岐ブレーカ4が回路を遮断してもよい。
感震ブレーカ5は、導電バーの下側において、分岐ブレーカ4と左右方向に並ぶように配置されている。感震ブレーカ5は、分電盤用キャビネット10に加わる振動を検出する感震センサ51を有している。感震センサ51が所定の基準値(例えば震度5の地震動)を超える大きさの振動を検出すると、感震ブレーカ5は回路を遮断する遮断動作を行う。感震ブレーカ5は、例えば第1電圧極又は第2電圧極と中性極との間を比較的低抵抗のインピーダンス要素を介して電気的に接続することで疑似的な漏電状態を発生させる。感震ブレーカ5が疑似的な漏電状態を発生させると、主幹ブレーカ3の検出部32が、感震ブレーカ5が発生させた疑似的な漏電状態を検出し、主幹ブレーカ3が接点31を開極させる。これにより、地震等によって分電盤用キャビネット10に基準値を超える大きさの振動が加わると、主幹ブレーカ3の二次側に接続された回路への電力供給を遮断することができる。
連系ブレーカ6には、施設500に設けられた分散電源21が接続される。連系ブレーカ6は、主幹ブレーカ3の二次側端子に電気的に接続された導電バーと、分散電源21との間に電気的に接続される。連系ブレーカの接点がオンになると、分散電源21が系統電源20と連系して負荷に電力を供給することができる。一方、連系ブレーカ6の接点がオフになると、分散電源21が系統電源20から解列される。連系ブレーカ6は、例えば漏電の発生を検出する検出機能を有している。連系ブレーカ6の検出機能が漏電の発生を検出すると、連系ブレーカ6は遮断動作を行い、分散電源21を系統電源20から解列させる。なお、連系ブレーカ6は、短絡電流等の過電流を検出する検出機能を備えていてもよく、連系ブレーカ6の検出機能が過電流を検出すると、連系ブレーカ6が遮断動作を行うように構成されてもよい。
電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ4の各々に接続された負荷(電気機器23,24等)に流れる電流を計測するように構成されている。電流計測装置8は、例えば、基板と、複数のコイルと、を有している。基板は、左右方向に長い板状である。基板には、複数の孔が形成されている。複数の孔には、導電バーから延びて分岐ブレーカ4の一次側端子に接続される端子がそれぞれ挿入される。コイルは、例えばロゴスキコイルであり、基板の孔の周りに形成されている。本実施形態では、電流計測装置8は、複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6の各々に流れる電流を計測する。ここにおいて、電流計測装置8(電流センサ)は、分電盤1が設置される施設500で使用されるエネルギーを管理するエネルギーマネジメントシステムに用いられるセンサと共用される。なお、電流計測装置8はロゴスキコイルを有するものに限定されず、例えば、変流器(カレントトランス)、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗等のセンサを有するものでもよい。
バックアップ電源9は、ニッケル水素電池又はリチウムイオン電池等の二次電池であるバッテリ91と、バッテリ91を充電する充電回路とを含む。バックアップ電源9の充電回路は、主幹ブレーカ3の一次側から電力の供給を受けて、バッテリ91を充電する。バックアップ電源9は、系統電源20が停電した場合に、バッテリ91を電源として計測アダプタ7等に電力を供給する。したがって、系統電源20が停電した場合でも、計測アダプタ7は、バックアップ電源9から電力の供給を受けて動作することができる。
(2.2)監視システム
次に、監視システム100について図1を用いて説明する。本実施形態では、既に述べたように、監視システム100の構成要素は計測アダプタ7に含まれているので、以下では、計測アダプタ7の説明と併せて、監視システム100について説明する。
計測アダプタ7は、分電盤用キャビネット10の内部において、主幹ブレーカ3の左側に配置されている。計測アダプタ7は、主幹ブレーカ3の一次側から電力の供給を受けて動作するので、主幹ブレーカ3が遮断動作を行った場合でも動作が可能である。なお、系統電源20が停電した場合には、計測アダプタ7は、バックアップ電源9から電力の供給を受けるので、系統電源20の停電時でも動作が可能である。
より詳しくは、本実施形態の計測アダプタ7は、制御部71と、通信部72と、通知部73と、記憶部74と、ユーザ検知部75と、を備えている。
計測アダプタ7は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、制御部71としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
制御部71は、計測部711、検知部712、及び提示部713の機能を備える。
計測部711は、分電盤1内の主幹ブレーカ3及び分岐ブレーカ4の少なくとも一方を通過する電力を計測する。本実施形態の計測アダプタ7は、主幹ブレーカ3に流れる電流を計測する主幹電流計測装置、及び電流計測装置8と電気的に接続されている。ここに、主幹電流計測装置は、例えばカレントトランス(CT)からなる電流センサを備えている。計測アダプタ7の計測部711は、電流計測装置8が計測した複数の分岐ブレーカ4及び連系ブレーカ6の各々に流れる電流値を、電流計測装置8から受け取る。さらに、計測アダプタ7の計測部711は、主幹電流計測装置が計測した電流値を主幹電流計測装置から受け取る。計測部711は、電流計測装置8、及び主幹電流計測装置が計測した電流値のそれぞれを電力値(瞬時電力値)に変換する。また、計測部711は、収集した瞬時電力のデータを所定時間に亘って積算した電力量のデータを演算する機能を有している。
検知部712は、分電盤1に接続されている回路に関するイベントの発生を検知する。例えば、検知部712は、複数の回路遮断器2にそれぞれ流れる電流の電流値を計測部711から収集する。また、検知部712は、感震ブレーカ5から感震センサ51の測定結果を監視情報として収集する。例えば、計測アダプタ7及び感震ブレーカ5がそれぞれ無線通信機能を備えている場合、計測アダプタ7と感震ブレーカ5とが通信を行うことによって検知部712は感震ブレーカ5から感震センサ51の測定結果を収集する。そして、検知部712は、収集した情報に基づいて、いずれかの回路遮断器2が遮断動作を行ったこと、つまり、イベントとして停電が発生したことを検知する。また、検知部712は、いずれかの回路遮断器2が遮断動作を行ったことを検知した場合、収集した情報に基づいて、回路遮断器2が遮断動作を行う原因が漏電、短絡、過負荷、中性線の欠相、地震、及び落雷等のいずれであるかを推定する。
また、検知部712は、収集した情報に基づいて、回路遮断器2の経年劣化に関する経年情報を推定する。回路遮断器2の経年情報は、例えば回路遮断器2が遮断動作を行っていない状態での累積時間を回路遮断器2ごとに計った使用時間等である。
検知部712で推定された推定結果(回路遮断器2の遮断動作の原因、及び回路遮断器2の経年情報)は、記憶部74に記憶される。ここで、回路遮断器2の遮断動作の原因の推定結果を記憶部74に記憶させる場合、検知部712は、回路遮断器2が回路を遮断する前に記憶部74に記憶させてもよいし、回路遮断器2が回路を遮断した後に記憶部74に記憶させてもよい。
提示部713は、検知部712でイベントの発生を検知した場合に、イベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。本実施形態では、記憶部74には、推奨情報がイベントと1対1に紐付けられて記憶されている。そして、提示部713は、イベントの発生後における適宜のタイミングで、発生したイベントに対応する推奨情報を記憶部74から読み出し、読み出した推奨情報を適宜の手段により提示する。
例えば、提示部713は、計測アダプタ7に備え付けの表示装置(例えば、液晶ディスプレイ等)、又は計測アダプタ7に接続された表示装置に文字列及び/又は画像を表示することにより、ユーザに対して推奨情報を視覚的に提示する。また、例えば、提示部713は、計測アダプタ7に備え付けのスピーカ、又は計測アダプタ7に接続されたスピーカから音声メッセージを出力することにより、ユーザに対して推奨情報を聴覚的に提示する。
ここで、回路遮断器2の遮断動作に伴う停電の発生がイベントである場合、提示部713は、推奨情報として、停電から復旧するための手順を含む復旧情報を提示する。以下、回路遮断器2の遮断動作の原因(つまり、停電の原因)ごとの復旧情報の具体例を列挙する。
地震により停電が発生した場合、提示部713は、復旧情報として、主幹ブレーカ3をオンにすること、又は感震ブレーカ5が傾き検知機能を有している場合は傾き検知機能をリセットする手順と併せて主幹ブレーカ3をオンにすること、を提示する。また、提示部713は、ユーザが停電から復旧させることができない場合を考慮して、電気工事事業者への連絡先及び電気工事事業者への連絡を促す旨を復旧情報として提示する。ここでいう「連絡先」は、例えば、電話番号、メールアドレス、又は電気工事事業者がホームページを開設している場合にはホームページのURL(Uniform Resource Locator)を含み得る。
漏電により停電が発生した場合、提示部713は、まず全ての分岐ブレーカ4をオフにすること、次に主幹ブレーカ3をオンにすること、その後、分岐ブレーカ4を1つずつオンにすること、を復旧情報として提示する。また、提示部713は、いずれかの分岐ブレーカ4をオンにしたタイミングで主幹ブレーカ3がオフになった場合、その分岐ブレーカ4が接続されている回路にて漏電が生じていることが特定可能である旨を、復旧情報として提示する。さらに、提示部713は、漏電が生じている分岐ブレーカ4を除いた分岐ブレーカ4をオンにした後に主幹ブレーカ3をオンにすること、を復旧情報として提示する。その他、提示部713は、ユーザが停電から復旧させることができない場合を考慮して、電気工事事業者への連絡先及び電気工事事業者への連絡を促す旨を復旧情報として提示する。
短絡又は中性線の欠相により停電が発生した場合、提示部713は、電気工事事業者への連絡先及び電気工事事業者への連絡を促す旨を復旧情報として提示する。
過負荷により停電が発生した場合、提示部713は、使用する電気機器23,24の数を減らすことを促す旨を復旧情報として提示する。この場合、提示部713は、不使用状態になると生活に支障をきたす電気機器23,24(例えば、冷蔵庫など)を不使用状態にしないように促す旨を、併せて復旧情報として提示してもよい。その他、提示部713は、ユーザが停電から復旧させることができない場合を考慮して、電気工事事業者への連絡先及び電気工事事業者への連絡を促す旨を復旧情報として提示する。
また、回路遮断器2が新品への交換を必要とする時期に達したことがイベントである場合、提示部713は、推奨情報として、回路遮断器2の新品への交換を促す情報を提示する。
また、本実施形態では、イベントが停電である場合、提示部713は、推奨情報を提示する前に、ユーザが行うべき安全確認の手順を含む確認情報を提示する。確認情報は、推奨情報と同様に、イベントと1対1に紐付けられて記憶部74に記憶されている。確認情報の提示方法は、復旧情報(推奨情報)の提示方法と同様である。確認情報は、例えば電気機器23,24が動作中であるか停止中であるかの確認をユーザに促す旨、又はコンセント22から電気機器23,24の電源プラグを抜いているか否かの確認をユーザに促す旨などを含み得る。
さらに、本実施形態では、提示部713は、判定部714にてユーザが安全確認の手順を実行したと判定すると、復旧情報を提示する。ここで、判定部714は、ユーザが安全確認の手順を実行したか否かを判定する。一例として、判定部714は、計測アダプタ7に備え付けの操作部(例えば、押釦など)が操作されたことをもって、ユーザが安全確認の手順を実行したと判定する。つまり、ユーザは、提示部713により確認情報を提示されると、確認情報にしたがって安全確認の手順を実行した後に、計測アダプタ7の操作部を操作する。このとき、提示部713は、「安全確認を行いましたか?」等のメッセージを表示装置又はスピーカを用いてユーザに知らせてもよい。また、提示部713は、計測アダプタ7のどの押釦を押せばよいか等、ユーザが操作すべき操作部を表示装置又はスピーカを用いてユーザに知らせてもよい。
本実施形態では、イベントが回路遮断器2の遮断動作に伴う停電の発生である場合、提示部713は、ユーザが停電からの復旧作業を行う際に、復旧情報を提示する。本開示でいう「復旧作業を行う際」とは、ユーザが復旧作業を行おうとする意思を直接的又は間接的に監視システム100が確認した時点を含む。例えば、提示部713は、後述するユーザ検知部75の検知結果に基づいて、復旧情報を提示する。つまり、提示部713は、ユーザ検知部75にてユーザが復旧作業を行う起点となる動作を検知すると、復旧情報を提示する。
本実施形態では、計測アダプタ7には、主幹ブレーカ3が遮断動作を行った場合でも主幹ブレーカ3の一次側から電力が供給される。このため、系統電源20が停電していない場合、検知部712及び提示部713は動作可能である。また、計測アダプタ7には、系統電源20の停電時にはバックアップ電源9から電力が供給される。このため、系統電源20が停電している場合でも、検知部712及び提示部713は動作可能である。なお、本実施形態では、計測アダプタ7の外部にバックアップ電源9が設けられているが、計測アダプタ7にバックアップ電源9が内蔵されていてもよい。
通信部72は、施設500に設置されたコントローラ25等との間で通信を行う。コントローラ25は、HEMS(Home Energy Management System)に対応する機器(以下、HEMS対応機器という)の制御又は監視を行う。つまり、コントローラ25は、計測アダプタ7と通信を行うことによって、複数の分岐ブレーカ4に接続された複数の負荷(電気機器23,24等)の各々での瞬時電力や電力量を取得することができ、HEMS対応機器を制御又は監視することができる。コントローラ25は、分電盤用キャビネット10の外部に配置されている。ここに、HEMS対応機器は、例えばスマートメータ、太陽光発電装置、蓄電装置、燃料電池、電気自動車、エアコン、照明器具、給湯装置、冷蔵庫、又はテレビ受像機等を含む。なお、HEMS対応機器は、これらの機器に限定されない。
通信部72とコントローラ25との間の通信方式は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した、電波を媒体とした無線通信である。通信部72とコントローラ25との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信であってもよい。また、通信部72とコントローラ25との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、ECHONET Lite(登録商標)等である。
通知部73は、インターネットのような広域ネットワーク200を介して、管理サーバ300及び情報端末400と通信する通信機能を有している。ここにおいて、情報端末400は、例えば分電盤1のユーザが携帯する端末であり、例えばスマートフォン又はタブレット型のコンピュータである。また、情報端末400は、例えばデスクトップ型又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ等であってもよい。通知部73は、復旧情報及びユーザが行うべき安全確認の手順(つまり、確認情報)をユーザの有する情報端末400に通知する。
一例として、通知部73は、回路遮断器2の遮断動作が行われる(停電が発生する)と、停電の原因に応じて記憶部74から読み出された復旧情報と、記憶部74から読み出された確認情報と、を含む信号を、情報端末400へ送信する。ユーザは、情報端末400を操作して、例えばメールを閲覧したり、情報端末400にインストールされている監視システム100用のアプリケーションを起動したりすることにより、復旧情報及び確認情報を知ることができる。
記憶部74は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書換え可能な不揮発性メモリ、及びRAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリ等を備える。記憶部74は、推奨情報及び確認情報を記憶する。また、記憶部74は、回路遮断器2の遮断動作が行われたこと、つまり停電の原因を記憶する。
ユーザ検知部75は、いずれかの回路遮断器2が遮断動作を行った後において、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作を検知する。一例として、ユーザ検知部75は、計測アダプタ7に設けられてユーザの操作を受け付ける入力受付部である。そして、ユーザ検知部75は、入力受付部にてユーザの操作を受け付けると、ユーザが計測アダプタ7を操作する動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知する。
また、一例として、ユーザ検知部75は、近接センサ、赤外線センサ、加速度センサ、及び振動センサのうちの1以上のセンサの検知結果を取得する構成であってもよい。上記1以上のセンサは、例えば分電盤1のカバー12又は蓋体13に取り付けられる。そして、ユーザ検知部75は、上記1以上のセンサの検知結果に基づいて、ユーザが分電盤1のカバー12又は蓋体13を開く動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知する。
また、一例として、ユーザ検知部75は、人感センサの検知結果を取得する構成であってもよい。人感センサは、赤外線、超音波、及び電磁波のうちのいずれか1つを用いて人の存在を検知するセンサであり、分電盤1に取り付けられる。また、人感センサは、撮像画像から人の存在を検知するイメージセンサであってもよい。そして、ユーザ検知部75は、人感センサの検知結果に基づいて、ユーザが分電盤1に接近する動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知する。
また、ユーザ検知部75は、ユーザが情報端末400を携帯している場合、通知部73を介した計測アダプタ7と情報端末400との通信結果に基づいて、ユーザが分電盤1に接近する動作を検知してもよい。また、ユーザ検知部75は、情報端末400の発する電波を通知部73が受信することをもって、ユーザが分電盤1へ接近する動作を検知してもよい。これらの場合、ユーザ検知部75は、情報端末400にインストールされている監視システム100用のアプリケーションが起動している状態でのみ、ユーザが分電盤1に接近する動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知してもよい。その他、ユーザ検知部75は、上記の監視システム100用のアプリケーションをユーザが起動する動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知してもよい。
(3)動作
以下、本実施形態の監視システム100の動作について図5を用いて説明する。以下の説明では、ユーザ検知部75は、人感センサの検知結果に基づいて、ユーザ(人)が分電盤1へ接近する動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知する、と仮定する。
まず、検知部712にて分電盤1に接続されている回路に関するイベントの発生を検知したとする(S1)。ここで、発生したイベントが、いずれかの回路遮断器2が遮断動作を行ったこと(つまり、停電の発生)であれば(S2:Yes)、監視システム100(制御部71)は、停電の発生フラグを立てる(S3)。一方、発生したイベントが停電の発生でなければ(S2:No)、提示部713は、推奨情報を提示する(S9)。一例として、発生したイベントが、いずれかの回路遮断器2が新品への交換を必要とする時期に達したことであると仮定する。この場合、提示部713は、推奨情報として、回路遮断器2の新品への交換を促す情報を、通知部73を介して情報端末400へ送信する。
監視システム100においては、人感センサが分電盤1の周囲における人の存否を検知する(S4)。そして、人感センサにより人の存在が検知され(S4:Yes)、かつ、停電の発生フラグが立っている場合(S5:Yes)、ユーザ検知部75は、ユーザが分電盤1へ接近する動作を、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作として検知する。一方、人感センサにより人の存在が検知されない場合(S4:No)、又は人感センサにより人の存在が検知されているが停電の発生フラグが立っていない場合(S5:No)、ユーザ検知部75では、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作が検知されない。
ユーザ検知部75にてユーザが復旧作業を行う起点となる動作が検知されると、提示部713は、確認情報を提示する(S6)。そして、確認情報の提示後、判定部714にてユーザが安全確認の手順を実行したと判定すると(S7:Yes)、提示部713は、次に復旧情報を提示する。一方、判定部714にてユーザが安全確認の手順を実行したと判定しない場合(S7:No)、提示部713は、判定部714にてユーザが安全確認の手順を実行したと判定されるまで、確認情報を提示し続ける(S6)。
上述のように、本実施形態では、分電盤1に接続されている回路に関するイベントが発生した場合に、提示部713がイベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。このため、ユーザは、推奨情報を確認することにより、発生したイベントに対してどのような行動を起こせばよいかを知ることができる。例えば、イベントが停電の発生である場合、ユーザは、復旧情報(推奨情報)を確認することにより、自ら停電からの復旧の手順を調べることを要さずに、復旧作業を行うことが可能である。また、例えば、回路遮断器2が新品への交換を必要とする時期に達したことがイベントである場合、ユーザは、推奨情報を確認することにより、回路遮断器2に何らかの不具合が生じる前に、回路遮断器2を交換することが可能である。つまり、本実施形態では、ユーザの使い勝手を向上できる、という利点がある。
(4)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、監視システム100と同様の機能は、監視方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
一態様に係る監視方法は、分電盤1に接続されている回路に関するイベントの発生を検知し、イベントの発生を検知した場合に、イベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。
一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の監視方法を実行させるためのプログラムである。
以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における監視システム100は、例えば、検知部712等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における監視システム100としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、監視システム100における複数の機能が、1つの筐体(計測アダプタ7)に集約されていることは監視システム100に必須の構成ではなく、監視システム100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、検知部712等、監視システム100の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上述の実施形態のように、監視システム100の全ての機能が、1つの筐体(計測アダプタ7)に集約されていてもよい。
上述の実施形態において、例えば図6に示すように、計測アダプタ7は通知部73を備えていなくてもよい。つまり、監視システム100は、インターネット等の広域ネットワーク200を介して管理サーバ300及び情報端末400と通信する通信機能を有していなくてもよい。この態様では、ユーザに対する推奨情報及び確認情報の提示は、分電盤1のみで行われることになる。
上述の実施形態において、推奨情報、確認情報、及び停電の原因等は、分電盤1の記憶部74ではなく、分電盤1の外部に記憶されていてもよい。例えば、監視システム100は、検知部712にてイベントとして回路遮断器2の遮断動作に伴う停電の発生を検知した場合、通知部73を介して停電の原因などを管理サーバ300に送信し、管理サーバ300が有する記憶部に記憶させてもよい。この態様では、監視システム100は、例えばユーザ検知部75にてユーザが復旧作業を行う起点となる動作を検知すると、通知部73を介して管理サーバ300に問い合わせることにより、停電の原因に応じた推奨情報及び確認情報を取得する。この態様では、管理サーバ300が施設500の外部にあるので、施設500を含む地域が停電した場合でも、管理サーバ300は停電の影響を受ける可能性が低く、停電の影響を受けずに推奨情報などを保管することができる。
また、上述の実施形態において、監視システム100は、検知部712にてイベントとして停電の発生を検知した場合、通知部73を介して停電の原因などを情報端末400に送信し、情報端末400が有する記憶部に記憶させてもよい。この態様では、ユーザは、例えば情報端末400にインストールされている監視システム100用のアプリケーションを起動することにより、停電の原因に応じた推奨情報及び確認情報を知ることができる。この態様では、情報端末400が内蔵のバッテリからの電力を得て動作するので、施設500を含む地域が停電した場合でも、情報端末400は停電の影響を受ける可能性が低く、停電の影響を受けずに推奨情報などを保管することができる。
上述の実施形態において、「イベント」は、コンセント22又は電気機器23,24の経年劣化によりコンセント22又は電気機器23,24が新品への交換を必要とする時期に達したことを含んでいてもよい。
上述の実施形態において、提示部713は、復旧情報として定型文を提示してもよい。この定型文は、回路遮断器2の遮断原因ごとの停電から復旧するための手順の一覧であるのが好ましい。同様に、提示部713は、確認情報として定型文を提示してもよい。この定型文は、回路遮断器2の遮断原因ごとの安全確認の手順の一覧であるのが好ましい。
上述の実施形態において、確認情報は、回路遮断器2の遮断動作の原因となった電気機器23,24の電源プラグのコンセント22からの抜去を促すことを含んでいてもよい。また、確認情報は、回路遮断器2の遮断動作の原因となった電気機器23,24が接続されている分岐ブレーカ4について電気工事事業者への連絡を促すことを含み得る。その他、確認情報は、施設500への電力供給の状況をユーザに通知し、待機を促すことを含み得る。
上述の実施形態において、安全確認の手順(つまり、確認情報)は、停電の原因に応じて異なっていてもよい。例えば、漏電により停電が発生した場合、提示部713は、洗濯機などの電気機器23,24にアース線が接続されているか否かの確認を促す旨を、確認情報として提示してもよい。また、例えば、地震により停電が発生した場合、提示部713は、暖房機器などの熱源機器に、カーテンなどの可燃物が接触しているか否かの確認を促す旨を、確認情報として提示してもよい。
上述の実施形態において、提示部713は、イベントの発生回数に応じて提示する情報の内容を変更してもよい。例えば、提示部713は、ある回路遮断器2での遮断動作が初めて行われた時点では復旧情報を提示し、遮断動作の回数が所定の回数を上回ると、復旧情報に代えて、回路遮断器2の新品への交換を促す旨を提示してもよい。
上述の実施形態において、検知部712は、例えば、機械学習された学習済みモデルを用いて、回路遮断器2が遮断動作を行う原因(つまり、停電の原因)を推定してもよい。なお、検知部712が使用する学習済みモデルは、監視システム100の使用中において再学習を実行可能であってもよい。
上述の実施形態において、推奨情報(復旧情報)及び確認情報を表示装置に提示する態様では、表示装置はタッチパネル式のディスプレイであってもよい。この態様では、判定部714は、ユーザがディスプレイに触れたことをもって、ユーザが安全確認の手順を実行したと判定してもよい。その他、判定部714は、例えば分電盤1に設置されたマイクロホンにてユーザの肯定を表すメッセージを取得したことをもって、ユーザが安全確認の手順を実行したと判定してもよい。
上述の実施形態において、検知部712は、イベントとして、分電盤1に接続されている回路における配線C11の配線異常を検知してもよい。本開示でいう「配線異常」は、回路に含まれている配線C11における絶縁劣化又は半断線等の異常を含み得る。本開示でいう「半断線」は、断線しかかっている状態を意味し、具体的には、配線C11がより線であれば、より線を構成する複数本の素線のうちの一部の素線が断線した状態である。配線異常は、一例として、配線C11が一対の電線で構成される場合に、一対の電線の両方が短絡することでアーク(いわゆるパラレルアーク)が発生することを含み得る。また、配線異常は、一例として、配線C11が一対の電線で構成される場合に、一対の電線のうちの一方が半断線することでアーク(いわゆるシリーズアーク)が発生することを含み得る。
上述の実施形態では、分電盤1には、複数の回路が接続されている。したがって、検知部712は、回路ごとに、配線C11における配線異常を検知する。検知部712は、回路を流れる電流に基づいて、配線C11の配線異常を検知する。上述の実施形態では、検知部712は、計測アダプタ7に設けられている。そして、計測アダプタ7は、上述のように、電流計測装置8が計測した電流値を取得している。このため、検知部712では、複数の回路の各々に流れる電流に基づいて、個々の回路に含まれる配線C11の配線異常を検知することが可能である。検知部712で検知された配線C11の配線異常に関する詳細情報は、記憶部74に記憶される。
上述の実施形態では、検知部712は、配線C11の配線異常として、アークの発生を検知することが可能である。具体的には、検知部712は、アーク短絡保護遮断器(AFCI:Arc Fault Circuit Interrupter)と同様の技術により、配線C11でアークが発生しているか否かを判定することができる。すなわち、アーク短絡保護遮断器では、電子回路を使用して、配線C11で発生するアークに特有の電流特性及び電圧特性を認識し、配線C11で発生するアークを検知できる。これと同様の原理により、検知部712は、配線C11でアークが発生しているか否かを判定することが可能である。
ここで、配線C11で発生し得るアークには、既に述べたように、パラレルアークと、シリーズアークと、の2種類が存在する。
パラレルアークは、図7Aに示すように、配線C11を構成する一対の電線C10の各導体が接触する等して短絡することにより発生し得る。図7Aにおける点線の矢印は、パラレルアークの発生時において配線C11を流れる電流の経路を表している。パラレルアークの発生時において配線C11を流れる電流の大きさは、例えば数十〔A〕~数百〔A〕である。パラレルアークは、例えば施設500にある器物(例えば、家具等)の端縁に配線C11が引っ掛かることで被覆C12が損傷したり、ステップル等の金属製の部材で配線C11を挟み込んだりすることで生じ得る。また、パラレルアークは、例えば配線C11に過電流が流れて被覆C12が溶融したり、動物が配線C11を噛んだりすることで生じ得る。その他、パラレルアークは、配線C11が長期的に紫外線を浴び続けることで劣化した場合にも生じ得る。
図8Aは、パラレルアークの発生時において配線C11を流れる電流の波形の一例を示す。図8Aに示すように、パラレルアークの発生時においては、配線C11には、断続的にパルス電流が流れる。つまり、パラレルアークの発生時においては、配線C11に流れる電流の波形には、パラレルアークの発生に伴う固有のパターンが含まれる。したがって、検知部712は、例えば電流計測装置8が計測した配線C11を流れる電流の波形と、上記のパターンとを比較することにより、配線C11にパラレルアークが発生しているか否かを判定することが可能である。
シリーズアークは、図7Bに示すように、配線C11を構成する一対の電線C10のうちの一方が半断線することにより発生し得る。図7Bにおける点線の矢印は、シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の経路を表している。シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の大きさは、数〔A〕~十数〔A〕である。つまり、シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の大きさは、配線異常の発生していない通常時において配線C11に接続される負荷(例えば、電気機器23,24)に流れる電流の大きさ以下である。シリーズアークは、例えば配線C11を繰り返し曲げたり、配線C11を過度な力で引っ張ったりすることで生じ得る。
図8Bは、シリーズアークの発生時において配線C11を流れる電流の波形の一例を示す。図8Bに示すように、シリーズアークの発生時においては、配線C11には、シリーズアークに特有の高周波成分が重畳された電流が流れる。したがって、検知部712は、例えば電流計測装置8が計測した配線C11を流れる電流の高周波成分に基づいて、配線C11にシリーズアークが発生しているか否かを判定することが可能である。
なお、検知部712は、配線C11を流れる電流に基づいてアークの発生を検知しているが、これに限らない。例えば、検知部712は、分電盤1に接続された回路に印加される電圧に基づいてアークの発生を検知してもよい。また、検知部712は、配線C11を流れる電流、及び上記回路に印加された電圧の両方に基づいてアークの発生を検知してもよい。
そして、提示部713は、推奨情報として、配線C11の配線異常が検知された場合の対処方法に関する情報を提示してもよい。例えば、提示部713は、まず全ての分岐ブレーカ4をオフにすること、次に主幹ブレーカ3をオンにすること、を対処方法に関する情報として提示してもよい。また、提示部713は、全てのコンセント22から電源コードを抜くこと、を対処方法に関する情報として提示してもよい。また、提示部713は、電気工事事業者への連絡先及び電気工事事業者への連絡を促す旨を、対処方法に関する情報として提示してもよい。
上述の実施形態において、提示部713は、読取装置にて読み取り可能な読取用コードA1(図9参照)であってもよい。読取装置は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子を有する。ここでは、読取装置は、ユーザが所有する端末に内蔵された撮像装置(カメラ)である。読取用コードA1は、例えばQRコード(登録商標)である。読取用コードA1は、例えば、QRコード(登録商標)以外の二次元コードの他、バーコード等の一次元コード、又は三次元コード等であってもよいし、単なる文字列であってもよい。
読取用コードA1は、一例として、専用のウェブサイトのURLを読取可能な情報として有している。このため、ユーザは、ユーザが所有する端末の読取装置にて読取用コードA1を読み取ることで、専用のウェブサイトのURLを取得することが可能である。そして、ユーザは、端末にインストールされている汎用のブラウザを起動させ、かつ、専用のウェブサイトにアクセスすることで、推奨情報を参照することが可能である。
つまり、この態様では、提示部713は、上述の実施形態のように能動的に推奨情報を提示するのではなく、ユーザが読取装置を用いて読取用コードA1を読み取るという作業を経て、受動的に推奨情報を提示する。
ここで、読取用コードA1は、ユーザの目に触れやすい箇所に付されているのが好ましい。例えば、読取用コードA1は、検知部712が収容される筐体、つまり計測アダプタ7の筐体70(図2参照)に付されてもよい。この態様では、ユーザは、蓋体13を開く、又は蓋体13及びカバー12を開くことで、読取用コードA1を視認することが可能である。また、計測アダプタ7が分電盤用キャビネット10の外部に設置されている場合であれば、ユーザは、蓋体13等を開かずとも、読取用コードA1を視認することが可能である。
また、例えば、読取用コードA1は、監視システム100を収容する分電盤用キャビネット10に付されていてもよい。具体的には、例えば図9に示すように、読取用コードA1は、分電盤用キャビネット10のうち蓋体13の前面の四隅のうちの1つの隅(ここでは、右下の隅)に付されていてもよい。この態様では、ユーザは、蓋体13等を開かずとも、読取用コードA1を視認することが可能である。
ここで、読取用コードA1は、図9に示すように、対象物(ここでは、分電盤用キャビネット10の蓋体13)に貼り付け可能なシールA2に印字されているのが好ましい。この態様では、シールA2を対象物の所望の位置に貼り付けるだけで、対象物に読取用コードA1を付すことが可能である。なお、読取用コードA1が印字されたシールA2は、単独で市場に流通し得る。このため、例えば提示部713を備えていない監視システムを収容する分電盤用キャビネットに対して、読取用コードA1が印字されたシールA2を貼り付けることで、提示部713を備えた監視システム100を構築することが可能である。
なお、読取用コードA1は、例えば対象物に直接印字することで、対象物に付されてもよい。また、読取用コードA1は、例えば検知部712にてイベントが検知された時点以降に、計測アダプタ7に備え付けの表示装置、又は計測アダプタ7に接続された表示装置に表示されてもよい。
(まとめ)
以上述べたように、第1の態様に係る監視システム(100)は、検知部(712)と、提示部(713)と、を備える。検知部(712)は、分電盤(1)に接続されている回路に関するイベントの発生を検知する。提示部(713)は、検知部(712)でイベントの発生を検知した場合に、イベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。
この態様によれば、分電盤(1)のユーザは、推奨情報を確認することにより、発生したイベントに対してどのような行動を起こせばよいかを知ることができる。つまり、この態様によれば、ユーザの使い勝手を向上できる、という利点がある。
第2の態様に係る監視システム(100)では、第1の態様において、検知部(712)は、イベントとして停電の発生を検知する。提示部(713)は、推奨情報として、停電から復旧するための手順を含む復旧情報を提示する。
この態様によれば、ユーザが、復旧情報を確認することにより、停電からの復旧作業を行いやすくなる、という利点がある。
第3の態様に係る監視システム(100)では、第2の態様において、提示部(713)は、ユーザが停電からの復旧作業を行う際に、復旧情報を提示する。
この態様によれば、ユーザが復旧作業を行えない状況にある場合にも復旧情報を提示してしまうことを回避できる、という利点がある。
第4の態様に係る監視システム(100)は、第3の態様において、ユーザ検知部(75)をさらに備える。ユーザ検知部(75)は、ユーザが復旧作業を行う起点となる動作を検知する。提示部(713)は、ユーザ検知部(75)の検知結果に基づいて、復旧情報を提示する。
この態様によれば、ユーザが復旧作業を行う際に、適切なタイミングで復旧情報を提示しやすい、という利点がある。
第5の態様に係る監視システム(100)では、第2~第4のいずれかの態様において、提示部(713)は、復旧情報を提示する前に、ユーザが行うべき安全確認の手順を含む確認情報を提示する。
この態様によれば、ユーザが安全確認を行わずに復旧作業を行ってしまうことを防ぎやすい、という利点がある。
第6の態様に係る監視システム(100)では、第5の態様において、確認情報は、停電の原因に応じて異なっている。
この態様によれば、ユーザが、停電の原因に応じた適切な安全確認の手順を踏みやすい、という利点がある。
第7の態様に係る監視システム(100)は、第5又は第6の態様において、判定部(714)をさらに備える。判定部(714)は、ユーザが安全確認の手順を実行したか否かを判定する。提示部(713)は、判定部(714)にてユーザが安全確認の手順を実行したと判定すると、復旧情報を提示する。
この態様によれば、ユーザが安全確認の手順を実行したか否かを判定しない場合と比較して、ユーザが安全確認を行わずに復旧作業を行ってしまうことをより防ぎやすい、という利点がある。
第8の態様に係る監視システム(100)は、第2~第7のいずれかの態様において、通知部(73)をさらに備える。通知部(73)は、復旧情報及びユーザが行うべき安全確認の手順をユーザの有する情報端末(400)に通知する。
この態様によれば、ユーザが、復旧作業が必要であること、及び停電からの復旧に必要な手順を知ることができる、という利点がある。
第9の態様に係る監視システム(100)では、第1~第8のいずれかの態様において、検知部(712)は、イベントとして回路における配線(C11)の配線異常を検知する。提示部(713)は、推奨情報として、配線(C11)の配線異常が検知された場合の対処方法に関する情報を提示する。
この態様によれば、ユーザが、推奨情報を確認することにより、配線(C11)の配線異常に対して対処しやすくなる、という利点がある。
第10の態様に係る監視システム(100)では、第1~第9のいずれかの態様において、提示部(713)は、読取装置にて読み取り可能な読取用コード(A1)である。
この態様によれば、ユーザが、例えばユーザが携帯する端末に内蔵された読取装置を用いて、読取用コード(A1)から推奨情報を容易に取得することが可能である、という利点がある。
第11の態様に係る監視システム(100)では、第10の態様において、読取用コード(A1)は、検知部(712)が収容される筐体(70)に付されている。
この態様によれば、読取用コード(A1)がユーザの目に触れやすくなる、という利点がある。
第12の態様に係る監視システム(100)では、第10の態様において、読取用コード(A1)は、監視システム(100)を収容する分電盤用キャビネット(10)に付されている。
この態様によれば、読取用コード(A1)がユーザの目に触れやすくなる、という利点がある。
第13の態様に係る監視システム(100)では、第10~第12のいずれかの態様において、読取用コード(A1)は、対象物に貼り付け可能なシール(A2)に印字されている。
この態様によれば、読取用コード(A1)を対象物の所望の位置に付しやすい、という利点がある。
第14の態様に係る監視方法は、分電盤(1)に接続されている回路に関するイベントの発生を検知し、イベントの発生を検知した場合に、イベントに応じてユーザが採るべき行動に関する推奨情報を提示する。
この態様によれば、分電盤(1)のユーザは、推奨情報を確認することにより、発生したイベントに対してどのような行動を起こせばよいかを知ることができる。つまり、この態様によれば、ユーザの使い勝手を向上できる、という利点がある。
第15の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第14の態様に係る監視方法を実行させるためのプログラムである。
この態様によれば、分電盤(1)のユーザは、推奨情報を確認することにより、発生したイベントに対してどのような行動を起こせばよいかを知ることができる。つまり、この態様によれば、ユーザの使い勝手を向上できる、という利点がある。
第16の態様に係る分電盤(1)は、第1~第13のいずれかの態様の監視システム(100)と、監視システム(100)を収容する分電盤用キャビネット(10)と、を備える。
この態様によれば、分電盤(1)のユーザは、推奨情報を確認することにより、発生したイベントに対してどのような行動を起こせばよいかを知ることができる。つまり、この態様によれば、ユーザの使い勝手を向上できる、という利点がある。
第2~第13の態様に係る構成については、監視システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。