JP7240092B2 - 偏光板、画像表示装置、および偏光板の製造方法 - Google Patents
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Description
1つの実施形態においては、上記加熱処理における最高加熱温度が115℃以下である。
本発明の別の局面によれば、偏光板が提供される。この偏光板は、ポリエステル系樹脂基材と、上記ポリエステル系樹脂基材の片側に積層された偏光子とを有し、上記偏光子の厚みが10μm以下であり、ヘイズ値が1.6%未満であり、上記偏光子側の面を、粘着剤を介してガラスに貼り合せて60℃/90%Rhで500時間保管したときに上記ガラスからの剥がれが生じない。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記偏光板を有する。
図1は、本発明の1つの実施形態による偏光板の製造方法により得られる偏光板の概略断面図である。偏光板100は、ポリエステル系樹脂基材20と、ポリエステル系樹脂基材20の片側に積層された偏光子10とを有する。偏光子10の厚みは10μm以下である。
ポリエステル系樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体は、任意の適切な方法により作製され得る。好ましくは、ポリエステル系樹脂基材上にPVA系樹脂を含む塗布液を塗布し、乾燥することにより、ポリエステル系樹脂基材の片側にPVA系樹脂層が形成された積層体が得られ得る。1つの実施形態においては、ポリエステル系樹脂基材上に易接着層形成用組成物を塗布し、乾燥することにより、易接着層を形成し、該易接着層上にPVA系樹脂層を形成する。
空中延伸処理は、上記積層体をその長手方向に搬送しながら、熱ロール間の周速差により延伸する熱ロール延伸工程を含む。空中延伸処理は、代表的には、ゾーン延伸工程と熱ロール延伸工程とを含む。なお、ゾーン延伸工程と熱ロール延伸工程の順序は限定されず、ゾーン延伸工程が先に行われてもよく、熱ロール延伸工程が先に行われてもよい。ゾーン延伸工程は省略されてもよい。1つの実施形態においては、ゾーン延伸工程および熱ロール延伸工程がこの順に行われる。
上記不溶化処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。不溶化処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~4重量部である。不溶化浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃~50℃である。好ましくは、不溶化処理は、上記水中延伸や上記染色処理の前に行う。
PVA系樹脂層の染色は、代表的には、PVA系樹脂層にヨウ素を吸着させることにより行う。当該吸着方法としては、例えば、ヨウ素を含む染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法、PVA系樹脂層に当該染色液を塗工する方法、当該染色液をPVA系樹脂層に噴霧する方法等が挙げられる。好ましくは、染色液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬させる方法である。ヨウ素が良好に吸着し得るからである。
上記架橋処理は、代表的には、ホウ酸水溶液にPVA系樹脂層(積層体)を浸漬することにより行う。架橋処理を施すことにより、PVA系樹脂層に耐水性を付与することができる。当該ホウ酸水溶液の濃度は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部である。また、上記染色処理後に架橋処理を行う場合、さらに、ヨウ化物を配合することが好ましい。ヨウ化物を配合することにより、PVA系樹脂層に吸着させたヨウ素の溶出を抑制することができる。ヨウ化物の配合量は、水100重量部に対して、好ましくは1重量部~5重量部である。ヨウ化物の具体例は、上述のとおりである。架橋浴(ホウ酸水溶液)の液温は、好ましくは20℃~60℃である。好ましくは、架橋処理は水中延伸処理の前に行う。好ましい実施形態においては、空中延伸処理、染色処理および架橋処理をこの順で行う。
偏光板の製造工程は、上記のとおり、積層体を延伸浴中で水中延伸処理することを含む。具体的には、上記積層体の空中延伸方向と平行な方向に水中延伸する。水中延伸によれば、上記ポリエステル系樹脂基材やPVA系樹脂層のガラス転移温度(代表的には、80℃程度)よりも低い温度で延伸し得、PVA系樹脂層を、その結晶化を抑えながら、高倍率に延伸することができる。その結果、優れた光学特性(例えば、偏光度)を有する偏光子を作製することができる。なお、本明細書において「平行な方向」とは、0°±5.0°である場合を包含し、好ましくは0°±3.0°、さらに好ましくは0°±1.0°である。
洗浄処理は、代表的には、ヨウ化カリウム水溶液にPVA系樹脂層を浸漬することにより行う。乾燥処理における乾燥温度は、好ましくは30℃~100℃である。
加熱処理は、水中延伸後に行われる。加熱処理により、ポリエステル系樹脂基材の結晶化が進行し得る。
加熱処理は、代表的には加熱手段160内に配置された搬送ロールを加熱する(いわゆる熱ドラムロール(加熱ロール)を用いる)ことにより行う(熱ドラムロール加熱方式)。1つの実施形態においては、加熱手段160はオーブンであり、オーブン内に熱風を送風することによる加熱方式(オーブン加熱方式)を併用してもよい。熱ドラムロール加熱方式とオーブン加熱方式とを併用することにより、熱ドラムロール間での急峻な温度変化を抑制することができ、積層体の幅方向の収縮を容易に制御することができる。オーブンの炉内の温度は、好ましくは30℃~100℃である。また、オーブンによる加熱時間は、好ましくは1秒~300秒である。熱風の風速は、好ましくは10m/s~30m/s程度である。なお、当該風速はオーブン内における風速であり、ミニベーン型デジタル風速計により測定することができる。
偏光板は、上記のとおり、ポリエステル系樹脂基材と、ポリエステル系樹脂基材の片側に積層された厚み10μm以下の偏光子とを有する。本発明の偏光板のヘイズ値は、1.6%未満である。偏光板は、偏光子側の面を、アクリル系粘着剤を介してガラスに貼り合せて60℃/90%Rhで500時間保管したときに、ガラスからの剥がれが生じない。ポリエステル系樹脂基材の厚みは、好ましくは10μm~200μm、さらに好ましくは20μm~150μmである。偏光子は、好ましくは、ポリエステル系樹脂基材の一方の面に密着して(換言すれば、接着層を介さずに)積層されている。偏光板は、好ましくは、ポリエステル系樹脂基材と偏光子との間に易接着層を有する。偏光板は、偏光子のポリエステル系樹脂基材とは反対側に保護フィルムを有していてもよい。ポリエステル系樹脂基材は、代表的には偏光子の保護層として機能する。本実施形態の偏光板は、偏光子側の面を他の光学部材に貼り合せたときの該光学部材との密着性が高く、高温高湿環境下における剥がれを抑制し得、さらに、画像表示装置の表示画面のギラツキを抑制し得る。すなわち、本発明の偏光板は、他の光学部材との密着性と、画像表示装置の表示特性(防眩性)とを両立し得る。
上記A項に記載の製造方法によって得られる上記B項に記載の偏光板は、液晶表示装置などの画像表示装置に適用され得る。したがって、本発明は、上記偏光板を用いた画像表示装置を包含する。本発明の実施形態による画像表示装置は、上記B項に記載の偏光板を備える。
(1)厚み
デジタルマイクロメーター(アンリツ社製、製品名「KC-351C」)を用いて測定した。
(2)防眩性評価
各実施例および比較例の偏光板のヘイズ値を、JIS 7136で定める方法により、ヘイズメーター(村上色彩科学研究所社製、商品名「HN-150」)を用いて測定した。偏光板の防眩性の評価は、ヘイズ値が1.6%未満であれば良好(○)とし、ヘイズ値が1.6%以上であれば不良(×)とした。
(3)密着性評価
実施例および比較例で得られた長尺状の偏光板を100mm(MD方向)×100mm(TD方向)のサイズに切り取り、評価用サンプルとした。上記評価用サンプルの偏光子側を、アクリル系粘着剤(厚み20μm、日東電工株式会社製、製品名「偏光板用汎用粘着剤」)を介してガラスに貼り合せ、60℃/90%Rhで500時間保管した後、評価用サンプルの端部におけるガラスからの剥がれの有無を確認した。また、評価用サンプルがガラスから剥がれていた場合には、剥がれた部分の長さ(剥がれ長さ)を測定した。偏光板の密着性の評価は、評価用サンプルの端部におけるガラスからの剥がれが無い場合に良好(○)とし、評価用サンプルの端部におけるガラスからの剥がれが有りの場合は不良(×)とした。
ポリエステル系樹脂基材として、長尺状で非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm、IPA変性度:5mol%)を用いた。(変性度=[エチレンイソフタレートユニット]/[エチレンテレフタレートユニット+エチレンイソフタレートユニット])
ポリエステル系樹脂基材の片面に、コロナ処理(処理条件:50W・min/m2)を施し、このコロナ処理面に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(PVA)(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)の変性ポリオレフィン樹脂水性分散体(ユニチカ社製、商品名「アローベースSE1030N」)と純水を混合した混合液(固形分濃度4.0%)を、乾燥後の厚みが2000nmになるように塗布し、65℃で2分間乾燥し、下塗り層を形成した。ここで、混合液におけるアセトアセチル変性PVAと変性ポリオレフィンとの固形分配合比は30:70であった。次いで、下塗り層面に、PVA(重合度4200、ケン化度99.2モル%)90重量部およびアセトアセチル変性PVA(日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ410」)10重量部で配合したPVA系樹脂と、PVA系樹脂100重量部に対して13重量部となるようにヨウ化カリウムを配合した水溶液を、25℃で塗布および60℃で3分間乾燥して、厚み13μmのPVA系樹脂層を形成した。こうして、積層体を作製した。
得られた積層体を、140℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温40℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴(水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液)に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温40℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を5重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、ホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を3重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)の延伸浴(延伸浴温度:67℃)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.75倍(総延伸倍率:5.5倍)に一軸延伸を行った(水中延伸処理)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3.5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
次いで、積層体を、80~100℃に保たれた複数の加熱ロールを有し、80℃に保たれたオーブンの中で、100℃に保たれた加熱ロールへの接触時間の合計が1秒となるようにして、加熱ロールを用いて搬送しながら加熱処理した。
このようにして、ポリエステル系樹脂基材上に厚み5μmの偏光子が積層された長尺状の偏光板1を得た。偏光板1をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を105℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板2を得た。偏光板2をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を110℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板3を得た。偏光板3をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
積層体を、延伸浴に浸漬させながら縦方向に2.55倍(総延伸倍率:5.1倍)に延伸した(水中延伸処理)こと以外は実施例2と同様にして偏光板4を得た。偏光板4をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を80℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板5を得た。偏光板5をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を95℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板6を得た。偏光板6をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
積層体を、オーブン内で縦方向に2.4倍に延伸し(空中補助延伸)、延伸浴に浸漬させながら縦方向に2.30倍(総延伸倍率:5.5倍)に延伸した(水中延伸処理)こと、および、最高加熱温度を65℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は実施例1と同様にして偏光板7を得た。偏光板7をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を75℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は比較例3と同様にして偏光板8を得た。偏光板8をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を100℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は比較例3と同様にして偏光板9を得た。偏光板9をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を105℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は比較例3と同様にして偏光板10を得た。偏光板10をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
最高加熱温度を110℃、かつ接触時間の合計を1秒としたこと以外は比較例3と同様にして偏光板11を得た。偏光板11をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
積層体を、オーブン内で縦方向に2.6倍に延伸し(空中補助延伸)、延伸浴に浸漬させながら縦方向に2.10倍(総延伸倍率:5.5倍)に延伸した(水中延伸処理)こと以外は実施例1と同様にして偏光板12を得た。偏光板12をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
積層体を、オーブン内で縦方向に2.4倍に延伸し(空中補助延伸)、延伸浴に浸漬させながら縦方向に2.50倍(総延伸倍率:6.0倍)に延伸した(水中延伸処理)こと以外は実施例1と同様にして偏光板13を得た。偏光板13をヘイズ値と密着性の評価に供した。結果を表1に示す。
11 PVA系樹脂層
20 ポリエステル系樹脂基材
100 偏光板
200 積層体
Claims (2)
- ポリエステル系樹脂基材と、前記ポリエステル系樹脂基材の片側に積層された厚み10μm以下の偏光子とを有する偏光板の製造方法であって、
前記ポリエステル系樹脂基材の片側にポリビニルアルコール系樹脂層が形成された積層体を、染色および延伸することにより前記ポリビニルアルコール系樹脂層を偏光子とすること、および
前記ポリエステル系樹脂基材と前記偏光子との積層体を加熱処理することを含み、
前記延伸は、延伸倍率が2.55倍以上2.75倍以下である水中延伸処理と、前記水中延伸処理より前に実施される空中延伸処理と、を含み、前記延伸の総延伸倍率が5.0倍以上であり、
前記加熱処理における最高加熱温度が100℃以上であり、
前記加熱処理は、前記水中延伸処理後に実施され、
前記加熱処理において、前記積層体を熱ドラムロールに沿わせた状態で前記最高加熱温度に加熱し、前記最高加熱温度に保たれた時間が0.2秒から2秒である、
偏光板の製造方法。 - 前記加熱処理における最高加熱温度が115℃以下である、請求項1に記載の偏光板の製造方法。
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