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JP7184847B2 - 金属粉焼結ペースト及びその製造方法、導電性材料の製造方法 - Google Patents

金属粉焼結ペースト及びその製造方法、導電性材料の製造方法 Download PDF

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JP7184847B2 JP2020111979A JP2020111979A JP7184847B2 JP 7184847 B2 JP7184847 B2 JP 7184847B2 JP 2020111979 A JP2020111979 A JP 2020111979A JP 2020111979 A JP2020111979 A JP 2020111979A JP 7184847 B2 JP7184847 B2 JP 7184847B2
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Description

本発明は、金属粉焼結ペースト、その製造方法、および導電性材料の製造方法に関する。
従来、発光素子を光源とする発光装置やパワー半導体装置において、実装部材の上にパワー半導体素子等を配置する際、金属粒子を有機溶剤などの分散媒に分散した金属粉焼結ペーストを用いたものが知られている。実装部材とパワー半導体素子等との間に金属粉焼結ペーストを配置し、200℃前後の加熱によって金属粉焼結ペースト中の金属粒子同士が焼結する事で接合を行っている。
また、発光素子と実装部材との接合方法としては、樹脂を含む接着剤や共晶を用いた鉛フリー半田を発光素子と実装部材との間に配置する方法が知られている。
ただし、鉛フリー半田は、一般的に融点が300℃以上であるため、高温加熱による部材劣化や、接合後冷却時における基板と部材との熱膨張係数の差による応力で、部材損傷が発生する可能性がある。そのため、鉛フリー半田を用いる方法では、使用できる部材の選択肢が狭い場合もある。
金属粉焼結ペーストにおいて、例えば金属粉として銀を用いる場合は、理論的耐熱限界となる銀の融点は約962℃であるが、200℃前後の加熱により接合する。従って、金属粉焼結ペーストは、得られる発光装置の接合温度および耐熱性の点で、共晶を用いた鉛フリー共晶半田に比べて優れている。
また金属粉焼結ペーストにおいて、金属粉として金を含まない場合、発光素子の実装によく用いられる金錫共晶半田に比べて安価である。
金属粉焼結ペーストには樹脂を含むものもあるが、焼結により高温が必要となる点と、樹脂成分、もしくは樹脂の揮発分が周辺部材を汚染する点で、樹脂を含まず揮発性有機溶剤を分散媒とするものが優れる。
金属粉焼結ペーストを用いる方法は、樹脂を含む接着剤を用いる方法に比べ、樹脂劣化が発生しないため、得られた発光装置の耐熱性や放熱性の点で優れている。
金属粉焼結ペーストとして、例えば、加熱焼結性金属粒子とフラックスとからなるペースト状であり、加熱により焼結して該金属粒子と同等の融点を有する多孔質焼結物となる金属製部材用接合材による金属製部材接合体の製造方法が知られている(例えば、特許文献1)。具体的には、この方法は、(A)平均粒径(メディアン径D50)が0.2μm以上10μm以下であり融点が400℃より高く加熱焼結性のある銀粒子または銅粒子と、(B)(b)酸化膜除去活性剤であるアミン類の塩化水素酸塩若しくは臭素酸塩、カルボン酸または有機ハロゲン化物と、(c)チキソトロピック剤と、(d)溶剤とからなる液状物、あるいは、(b)酸化膜除去活性剤であるアミン類の塩化水素酸塩もしくは臭素酸塩、カルボン酸または有機ハロゲン化物と(d)溶剤とからなる液状物と、からなるペースト状物を複数の金属製部材間に介在させ、200℃以上400℃以下で加熱することにより、銀粒子または銅粒子(A)同士が焼結して銀粒子または銅粒子(A)と同等の融点を有し、断面における空隙率が5~50面積%である多孔質焼結物となり、複数の金属製部材同士を接合する、金属製部材接合体の製造方法である。
また、金属粉焼結ペーストとして、表面に分散剤が吸着した金属微粒子を分散媒中に分
散させてなる金属微粒子分散体であって、該分散剤は、分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有し、該分散媒の比誘電率が、12.0以上であること金属微粒子分散体も知られている(特許文献2)。
さらに、金属粉焼結ペーストとして、脂肪酸と脂肪族アミンとで表面が被覆された金属微粒子を、脂肪酸誘導体が添加された疎水性溶媒中に分散させてなり、前記脂肪酸誘導体は、炭素数が12~20である脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸エチルエステルである金属微粒子分散液が知られている(特許文献3)。
特許第5301385号 特開2007-200775号 特許第5778494号
金属粉焼結ペーストに用いられる揮発性の有機溶剤は、樹脂を含む接着剤に比べて低粘度であるため、しばしば接合対象である基板側電極表面の微細な凹凸によって、有機溶剤成分が濡れ広がる事がある。有機溶剤成分の濡れ広がりは毛細管現象によるブリード現象である。これにより、基板内の予期せぬ部分にブリードする事で、プロセス中に有機溶剤が基板底面へ漏れてしまったり、汚染によるワイヤーボンド不良を引き起こしてしまったりする。
そこで、本発明は、ブリード発生を抑制した金属粉焼結ペースト及びその製造方法ならびに、その金属粉焼結ペーストを用いた導電性材料の製造方法を提供する。
本発明の実施形態に係る金属粉焼結ペーストは、平均粒径(メジアン径)が0.3μm~5μmの銀の粒子を主成分として含み、アニオン性の界面活性剤を更に含み、実質的に樹脂を含まない。
本発明の実施形態に係る金属粉焼結ペーストの製造方法は、アニオン性の界面活性剤と、平均粒径(メジアン径)が0.3μm~5μmの銀の粒子とを混合することを含み、ただし実質的に樹脂とは混合しない。
本発明の実施形態に係る導電性材料の製造方法は、前記金属粉焼結ペーストを焼成する工程を含む。
本発明の金属粉焼結ペーストにより、加熱時にブリード発生を抑制することができる。
以下、本実施形態の金属粉焼結ペースト、金属粉焼結ペーストの製造方法、ならびに導電性材料および導電性材料の製造方法について説明する。
本発明の金属粉焼結ペーストは、平均粒径(メジアン径)が0.3μm~5μmの銀の粒子を主成分として含み、アニオン性の界面活性剤を含み、実質的に樹脂を含まない。
また、本発明の金属粉焼結ペーストの製造方法は、アニオン性の界面活性剤と、平均粒径(メジアン径)が0.3μm~5μmの銀の粒子とを混合することを含み、ただし実質的に樹脂とは混合しない。
本発明の金属粉焼結ペーストにおいては、一般にマイナスの表面電位を持つ銀や金とい
った電極に対して、アニオン性の界面活性剤が電界による耐ブリード性を発揮することにより、基板底面への漏れや汚染によるワイヤーボンド不良が改善され、安定した半導体装置等の製造が可能になる。
[銀の粒子]
金属粉焼結ペーストに用いる金属粒子は、銀の粒子が主成分である。すなわち、金属粒子における銀の粒子の含有率は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上、よりこのましくは90質量%以上であることを意味する。この銀の粒子は、平均粒径(メジアン径)が1種類のものであっても、2種類以上のものを混合して用いてもよい。銀の粒子は、平均粒径(メジアン径)が0.3μm~5μmであり、好ましくは1.0μm~4μmであり、より好ましくは1.5μm~3.5μmである。これにより電気抵抗値を小さくすることができる。銀の粒子以外の金属粒子は、平均粒径(メジアン径)が、0.1μm~15μmのものを使用することもできるが、0.3μm~10μmが好ましく、0.3μm~5μmがより好ましい。
銀の粒子は、粒径が0.3μm未満の粒子の含有量が5質量%以下であるのが好ましく、4質量%以下であるのがより好ましい。
銀の粒子は、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量が15質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましい。
銀の粒子の平均粒径(メジアン径)は、レーザー回折の方法により測定することができる。なお、平均粒径(メジアン径)とは、粒度分布から求めた積算堆積頻度が50%の値を意味する。以下、平均粒径は特に断りのない限りメジアン径を意味する。
また、銀の粒子は、比表面積が0.4m2/g~1.5m2/gであり、好ましくは0.6m2/g~0.9m2/gであり、より好ましくは0.66m2/g~0.74m2/gである。これにより隣接する銀粒子の接合面積を大きくすることができ、かつ銀粒子の添加による粘度上昇が小さいため、ペースト中に銀粒子を多く含む事ができる。これによりボイドの発生が抑えられ、高い接合強度が得られる。金属粉焼結ペーストの主原料である金属粒子の比表面積は、BETの方法により測定することができる。
銀の粒子の形態は限定されないが、例えば、球状、扁平な形状、フレーク状、多面体等が挙げられ、フレーク状が好ましい。フレーク状とすることで隣り合う銀の粒子との接触面積が大きくなり、電気抵抗が下がるからである。金属粒子の形態は、平均粒径が所定の範囲内の金属粒子に関して、均等であるのが好ましい。金属粒子は、平均粒径が2種類以上のものを混合する場合、それぞれの平均粒径の金属粒子の形態は、同一であっても異なっていてもよい。例えば、平均粒径が3μmである金属粒子と平均粒径が0.3μmである金属粒子の2種類を混合する場合、平均粒径が0.3μmである金属粒子は球状であり、平均粒径が3μmである金属粒子は扁平な形状であってもよい。
金属粉焼結ペーストは、銀の粒子を主成分として含む。金属粉焼結ペーストは、銀の粒子以外の金属粒子としては、例えば、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムの金属粒子を1種以上使用できる。
銀の粒子の含有量が、ペーストに対して70質量%以上であるのが好ましく、85質量%以上であるのがより好ましく、90質量%以上であるのがさらに好ましい。銀の粒子の含有量が所定の範囲であると、得られる導電性材料の接合強度が高くなるからである。
[界面活性剤]
金属粉焼結ペーストにはアニオン性の界面活性剤が含まれる。アニオン性による電界により、一般にマイナスの表面電位を持つ銀や金といった電極に対して、アニオン性の界面活性剤が電界による耐ブリード性を発揮することにより、基板底面への漏れや汚染によるワイヤーボンド不良が改善され、安定した半導体装置の製造が可能になる。
界面活性剤は、揮発性が高いものが好ましい。具体的にはTG-DTA(示差熱・熱重量同
時分析)において室温付近から毎分2℃で昇温した際に、350℃時点の残渣が初期質量に対して20質量%以下となるものが好ましく、5質量%以下となるものがさらに好ましい。前記残渣が20質量%以下であれば、焼成時に揮発残渣が焼結を疎外しないため、接合強度が高くなるためである。
アニオン性界面活性剤は、カルボキシル基、またはその塩を含むカルボン酸型であるのが好ましく、下記式(I)で表されるカルボン酸型であるのがより好ましい。

1O(CH2CH(R2)O)n1CH2COOR3 (I)

[式中、R1は炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルキル基であり、R2は-Hまたは-CH3または-CH2CH3、-CH2CH2CH3のいずれかであり、R3は-Hまたはア
ルカリ金属であり、n1は2~5の範囲である。]
また、前記アニオン性界面活性剤は、下記式(II)で表されるカルボン酸型であるのがより好ましい。

11-C(O)N(R12)(CH2n2COOR13 (II)

[式中、R11は、炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルキル基であり、R12は-Hまたは-CH3または-CH2CH3、-CH2CH2CH3のいずれかであり、R13は-H、NH+(C24OH)3またはアルカリ金属であり、n2は1~5の範囲である。]
また、前記アニオン性界面活性剤は、下記式(III)で表されるカルボン酸型であるのがより好ましい。

21-CH=CH-(CH2n3COOR22 (III)

[式中、R21は、炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルキル基であり、R22は-Hまたはアルカリ金属であり、n3は1~10の範囲である。]
また、前記アニオン性界面活性剤は、下記式(IV)で表されるカルボン酸型であるのがより好ましい。

31-COOR32 (IV)

[式中、R31は、OHまたはCOOR33(R33は、アルカリ金属である)で任意に置換された炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルキル基またはアルコキシ基であり、R32は-Hまたはアルカリ金属である。]
また、前記アニオン性界面活性剤は、スルホ基、またはその塩を含むスルホン酸型であるのが好ましく、下記式(V)で表されるスルホン酸型であるのがさらに好ましい。

41-SO342 (V)

[式中、R41は、OHまたはCOOR43(R43は、アルキル基である)で任意に置換された炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルキル基、アラルキル基もしくはアルケニル基またはアラルキル基であり、R42は、-Hまたはアルカリ金属である。]
また、アニオン性界面活性剤は、カルボキシル基、またはその塩とスルホ基、またはその塩を両方含むカルボン-スルホン酸型であるのが好ましく、下記式(VI)で表されるカルボン-スルホン酸型であるのがさらに好ましい。
Figure 0007184847000001
[式中、R51は炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルコキシ基またはR54-CONH-であり(R54は、炭素数7以上の直鎖または分岐のあるアルキル基)、R52およびR53
は-Hまたはアルカリ金属であり、n5は1~8の範囲であり、n6は0~1の範囲であり、n7は0~1の範囲である。]
また、アニオン性界面活性剤は、リン酸エステル構造、またはその塩であるリン酸エステル型であるのが好ましく、下記式(VII)で表される硫酸エステル型であるのがさらに好ましい。

61-O-PO(OR62)OR6 (VII)

[式中、R61及びR62は、直鎖または分岐のあるアルキル基であり、R63は、-Hまたはアルカリ金属である。]
界面活性剤の含有量は、ペーストに対して10質量%を上限とすることが好ましい。また、界面活性剤の含有量は、ペーストに対して2質量%以下であるのが好ましい。焼成により完全に揮発させることができるからである。
界面活性剤は、表面粗さRaが0.04μmの金電極に対する接触角が10度以上であることが好ましい。任意に含まれる分散媒のブリードが抑えられるためである。金属粉焼結ペーストに含まれる界面活性剤の接触角は、接触角計によって測定することができる。
界面活性剤は、25℃で液状であるのが好ましい。ペースト中の固形分が抑えられるため、銀粉を多く含む事が可能になり、ボイドが発生しにくくなるためである。
[有機溶剤]
金属粉焼結ペーストは、分散媒として有機溶剤を含む事が好ましい。銀の粒子を有機溶剤に均一に分散する事で、印刷やディスペンスといった手法により効率的に高品質な塗布が可能になるからである。
金属粉焼結ペーストには樹脂を含むものもあるが、焼結により高温が必要となる点と、樹脂成分、もしくはその揮発分が周辺部材を汚染する点で、樹脂を含まず揮発性有機溶剤を分散媒とするものが優れる。しかし金属粉焼結ペーストによく用いられる揮発性の有機溶剤は、樹脂を含む接着剤に比べて低粘度であるため、しばしば接合対象である基板側電
極表面の微細な凹凸によって、有機溶剤成分が濡れ広がる事がある。この場合基板内の予期せぬ部分にブリードする事で、プロセス中に有機溶剤が基板底面へ漏れてしまったり、汚染によるワイヤーボンド不良を引き起こしてしまったりする。一方、本実施形態の金属粉焼結ペーストにおいては、アニオン性界面活性剤を含むため、有機溶媒を含んだ場合でもそのブリードを抑制することができる。
分散媒は、1種類の有機溶剤であっても、2種類以上の有機溶剤の混合物であってもよく、ジオールとエーテルとの混合物であるのが好ましい。このような分散媒を用いる金属粉焼結ペーストにより低温で素子と実装部材を接合することができるためである。
分散媒の沸点は300℃以下であることが好ましく、150℃~250℃であるのがより好ましい。分散媒の沸点が150℃~250℃の範囲であると、分散媒揮発による金属粉焼結ペーストの室温時粘度変化を抑制することができて作業性が良好であるからである。さらに、分散媒の沸点が範囲であると、前記分散媒は焼成により完全に揮発させることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール(2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール)、1,2-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール類;2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,2,-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのアルキレンオキサイド付加物;1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール類が挙げられる。
エーテルとしては、例えば、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3-ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
分散媒がジオールとエーテルとの混合物の場合、ジオールとエーテルの質量比は、ジオール:エーテル=7~9:2であるのが好ましい。このような有機溶剤の混合物を用いる金属粉焼結ペーストにより低温で素子と実装部材を接合することができるためである。
分散媒の含有量は、金属粉焼結ペーストの塗布方法により必要粘度が変化するため特に限定するものではない。金属粉焼結ペーストを焼成して得られる焼結体接合層の空隙率を抑制するため、金属粉焼結ペーストに対する分散媒の含有量は、30質量%を上限とすることが好ましい。
[樹脂]
金属粉焼結ペーストは、実質的に樹脂を含まない。樹脂としては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の結合剤、ポリアミド樹脂などの硬化剤が挙げられる。
<金属粉焼結ペーストの製造方法>
また、アニオン性の界面活性剤と、平均粒径(メジアン径)が0.3μm~5μmの銀の粒子とを混合することを含み、ただし実質的に樹脂とは混合しない金属粉焼結ペーストの製造方法である。
金属粉焼結ペーストが分散媒を更に含む場合、金属粉焼結ペーストの製造方法は、アニオン性の界面活性剤と、平均粒径が0.3μm~5μmの銀の粒子と、分散媒とを混合することを含み、ただし実質的に樹脂とは混合しない。
金属粉焼結ペーストの製造方法における混合は、室温で行うことができ、脱泡工程を含む事が好ましい。脱泡工程を含む事により、チップ下に気泡が入る事による接合強度の低下を防ぐ事ができる。
<金属粉焼結ペースト>
170℃60分の大気オーブンによる焼成によって電気抵抗が6μΩ・cm以下の導電性材料が得られる金属粉焼結ペーストが好ましい。
表面粗さRa0.04μmの金電極に対して金属粉焼結ペーストを塗布し、20分待機後に分散媒の濡れ広がりの直径/元のペースト直径が1.4以下になる金属粉焼結ペーストが好ましい。このような金属粉焼結ペーストは、基板底面への漏れや汚染によるワイヤーボンド不良が改善され、安定した半導体装置の製造が可能になるからである。
表面粗さRa0.48μmの金電極に対して金属粉焼結ペーストを塗布し、20分待機後に分散媒の濡れ広がりの直径/元のペースト直径が3.0以下になる事を特徴とする前記金属粉焼結ペーストが好ましい。このような金属粉焼結ペーストは、基板底面への漏れや汚染によるワイヤーボンド不良が改善され、安定した半導体装置の製造が可能になるからである。
<導電性材料の製造方法>
また、本発明は、本発明の金属粉焼結ペーストを焼成する工程を含む導電性材料の製造方法である。
[焼成条件]
前記焼成は、非酸化性雰囲気下、大気下、真空雰囲気下、酸素もしくは混合ガス雰囲気下、気流中などの雰囲気下等で行ってもよいが、酸素、オゾン又は大気雰囲気下で行われるのが好ましい。この雰囲気下で焼成すれば、銀の熱拡散が加速され、より高い焼結強度を有する導電性材料が得られるからである。
本発明において、前記焼成は、150℃~320℃の範囲の温度で行われるのが好ましい。温度範囲で焼成される場合、半導体素子等が実装される樹脂パッケージの融点よりも低い温度で、金属接合が可能だからである。また、焼成は、160℃~260℃の範囲の温度で行われるのがより好ましく、170℃~195℃の範囲の温度で行われるのがさらに好ましい。従来の樹脂を含む接着剤を想定したリードフレームは200℃以上で劣化する部材が含まれるためである。
前記焼成は、表面粗さRa0.04μmの金電極に対して金属粉焼結ペーストを塗布し、20分待機後に、(分散媒の濡れ広がりの直径)/(元のペースト直径)が1.4以下になるように行われるのが好ましい。このような物性を得るためには、前記アニオン性界面活性剤を添加すればよい。
焼成は、表面粗さRa0.48μmの金電極に対して金属粉焼結ペーストを塗布し、2
0分待機後に、(分散媒の濡れ広がりの直径)/(元のペースト直径)が3.0以下になるように行われるのが好ましい。このような物性を得るためには、前記アニオン性界面活性剤を添加すればよい。
<導電性材料>
本発明の導電性材料は、本発明の金属粉焼結ペーストを焼成して得られる。前記導電性材料の空隙率は5体積%~35体積%が好ましく、5体積%~25体積%であるのがより好ましく、5体積%~20体積%であるのがさらに好ましい。導電性材料は、接合強度が高いという利点を有する。
本発明の導電性材料は、電気抵抗値が50μΩ・cm以下であるのが好ましい。電気抵抗が低いほど、電極として用いる場合には電力のロスが抑えられ、また放熱性に優れるためである。電気抵抗値は、10μΩ・cm以下であるのがより好ましく、6μΩ・cm以下であるのがさらに好ましい。
以下、実施例、比較例、参考例を元に、本実施形態に係る金属粉焼結ペースト、金属粉焼結ペーストの製造方法、導電性材料、および導電性材料の製造方法について説明する。
[実施例1]
有機溶剤である2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(0.58g)とジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.14g)および、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトLCA-H」、ラウレス-5-カルボン酸、25℃で液状、0.09g)を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌、次いで15秒間脱泡のサイクルを1サイクル用いて攪拌し、溶剤混合物を得た。
フレーク状銀粒子(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名「AgC-239」、フレーク状、平均粒径(メジアン径)が2.7μm、比表面積が0.7m2/g、粒径0.3μ
m未満の粒子の含有量は1質量%、粒径0.5μm以下の粒子の含有量は3質量%、9.19g)を計量して前記溶剤混合物に加えた。得られた混合物を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを、1サイクル用いて攪拌し、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例2]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトLCA-25NH」、ラウレス-4-カルボン酸、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例3]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(花王株式会社製、製品名「カオーセラ8110」、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例4]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトLCA-30D」、ラウレス-4カルボン酸ナトリウム、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の
粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例5]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトLCA-25N」、ラウレス-4カルボン酸Na、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例6]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトECA」、トリデセス-4カルボン酸Na、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例7]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「オレオイルザルコシン221P」、N-オレオイル-N-メチルグリシン(オレイルザルコシン酸)、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例8]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ノンサールOK-1」、オレイン酸カリウム(水溶液)、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例9]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ソフティルトAS-L」、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンナトリウム塩、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例10]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ソフティルトAT-L」、N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニントリエタノールアミン塩、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例11]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「フィレットL」、N-ラウロイル-N-メチルグリシン-ナトリウム塩、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例12]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ノンサールOK-2」、オレイン酸カリウム(水溶液)、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例13]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ノンサールLK-30」、ヤシ脂肪酸カリウム(水溶液)、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例14]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトSHAA」、ラウリルグルコール酢酸Na、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例15]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(花王株式会社製、製品名「ラテムルASK」、アルケニルコハク酸ジカリウム、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例16]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名「ネオハイテノールS-70」、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例17]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトESS」、スルホコハク酸パレス-2Na、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例18]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトA-5000」、スルホコハク酸PEG-5ラウラミド2Na、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例19]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「パーソフトSK」、アルキル硫酸エステル-ナトリウム塩、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例20]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ニューレックスR-25L」、直鎖型アルキルベンゼン-スルホン酸ナトリウム、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例21]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「サンベース」
、α-スルホ脂肪酸メチル-エステルナトリウム塩、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例22]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(日油社製、製品名「ニッサントラックスK-40」、ポリオキシエチレン-ラウリルエーテル-硫酸エステルナトリウム塩、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例23]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名「ネオゲンAO-90」、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、25℃で粉末、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例24]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(花王株式会社製、製品名「ラテムルPS」、アルカンスルフォン酸ナトリウム、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[実施例25]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(第一工業製薬社製、製品名「プライサーフDBS」、アルキルリン酸エステルナトリウム、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[比較例1]
液状界面活性剤として、カチオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「レボンTM-16」、セトリモニウムクロリド、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[比較例2]
液状界面活性剤として、ノニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「エマルミンNL-70」、ラウレス-7、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[比較例3]
液状界面活性剤として、ノニオン性液状界面活性剤(花王株式会社製、製品名「カオーセラ8200」、25℃で液状、0.09g)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
[比較例4]
有機溶剤である2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(0.65g)とジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.16g)を混合し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを1サイクル用いて攪拌し、溶剤混合物を得た。
フレーク状銀粒子(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名「AgC-239」、9.19g)を計量して溶剤混合物に加えた。得られた混合物を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを、1サイクル用いて攪拌し、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.9質量%)。
表1および2に実施例1乃至25及び比較例1乃至4のブリード比と電気抵抗と接合強度の測定結果を示す。電気抵抗測定の結果、電気抵抗が10μΩ・cm以上となったものは接合性に期待できないため、接合強度の評価からは一部除外した。また表3には表1で結果の良かった実施例1と、界面活性剤を添加していない比較例4とを、焼成温度を変えて電気抵抗を測定した結果を示す。ブリード比と電気抵抗と接合強度の測定は次のように行った。
得られた金属粉焼結ペーストを、表面粗さRa0.04μmの金電極を表面に有する基
板上へ、スタンピング法により170±50μmの直径となるよう塗布し、20分待機後にブリードした分散媒を含めた直径を測定し、ブリード比=ブリード後の直径/元のペースト直径として算出した。
得られた金属粉焼結ペーストを、ガラス基板(厚み1mm)にスクリ-ン印刷法により厚み100μmに塗布した。導電性材料用組成物が塗布されたガラス基板を、表1および2においては170℃、表3においては指定温度で、大気雰囲気下で60分加熱した。得られた配線(導電性材料)を製品名「MCP-T600」(三菱化学株式会社製)を用い4端子法にて電気抵抗を測定した。
得られた金属粉焼結ペーストを、スタンピング法により、銀電極を表面に有する基板上へ塗布し、裏面に銀電極を有し、外形500×300μm、厚み150μmのサファイア基板を有する半導体素子をマウントした。金属粉焼結ペーストを介して半導体素子がマウントされた基板を、大気オーブンを用いて170℃で60分加熱し、その後、冷却した。基板から半導体素子を剥す方向に剪断力をかけ、剥離したときの強度を接合強度として測定した。
また表1および2には実施例1乃至15及び比較例1乃至3に用いた界面活性剤についてTG-DTAによる揮発性評価を行い、350℃時点での残渣(質量%)を追記した。TG-DTAはエスアイアイ・ナノテクノロジー社のTG/DTA6300を用いて、アルミ製オープンサンプルパン使用、サンプル質量5mg、ガス流量エアー毎分200mL、開始温度30℃、昇温速度毎分2℃の条件で実施し、350℃到達時の残渣質量を初期質量に対する比率で算出した。
Figure 0007184847000002
Figure 0007184847000003
Figure 0007184847000004
表1および2に示すように、界面活性剤を添加していない比較例4に比べて、アニオン性界面活性剤を添加した実施例1~25については全てブリード比が小さくなり、改善が見られた。対してカチオン性界面活性剤を加えた比較例1では変化が見られず、ノニオン性界面活性剤を加えた比較例2及び3では逆にブリード比が大きくなり悪化してしまった。以上の事からアニオン性界面活性剤によってブリード性が改善される事は明らかである
一方焼結性については、アニオン性のカルボン酸型である実施例1~15の中において、350℃残渣が20質量%を越える揮発性の悪かった実施例6と実施例15のみが、添加していない比較例4に比べて悪化した。さらに350℃残渣が5質量%以下の、揮発性が良い実施例1~3のみで40MPaを越える高い接合強度が得られた。
一方カチオン性界面活性剤を用いた比較例1においては、350℃残渣が5質量%以下であったが接合強度は5MPaと低かった。ノニオン性界面活性剤を用いたものでは、揮発
性の悪い比較例3では接合強度が低かったが、揮発性の良い比較例2では高かった。ただしアニオン性界面活性剤の実施例1~3と比較すると、揮発性は勝っているにも関わらず接合強度は40MPaには届いていなかった。
以上の結果からアニオン性界面活性剤を用いる事でブリード性が改善される上に、揮発性の高い界面活性剤を選択する事で接合強度を維持、もしくは向上させる事ができるとわかる。具体的には350℃残渣で20質量%以下が好ましく、5質量%以下が最も好ましい。改善が見られた実施例1では表3に示すように低温で低抵抗に達する事が確認され、焼成温度としては樹脂接着系の材料と同等となる180℃付近で十分と考えられる。
[実施例26]
有機溶剤である2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(0.38g)とジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.09g)および、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトLCA-H」、ラウレス-5-カルボン酸、25℃で液状、0.05g)を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌、次いで15秒間脱泡のサイクルを1サイクル用いて攪拌し、溶剤混合物を得た。
フレーク状銀粒子(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名「AgC-239」、フレーク状、平均粒径(メジアン径)が2.5μm、比表面積が0.7m2/g、粒径0.3μ
m未満の粒子の含有量は1質量%、粒径0.5μm以下の粒子の含有量は3質量%、5.00g)を計量して前記溶剤混合物に加えた。得られた混合物を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを、1サイクル用いて攪拌した。攪拌後、メッシュ(330Tメッシュ、線径40μm)を用いてろ過し、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、90.6質量%)。
[実施例27]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(三洋化成工業株式会社製、製品名「ビューライトLCA-25NH」、ラウレス-4-カルボン酸、25℃で液状、0.05g)を用いた以外は、実施例26と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、90.6質量%)。
[実施例28]
液状界面活性剤として、アニオン性液状界面活性剤(花王株式会社製、製品名「カオーセラ8110」、25℃で液状、0.05g)を用いた以外は、実施例26と同様に行い、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、90.6質量%)。
[比較例5]
液状界面活性剤として、ノニオン性液状界面活性剤(花王株式会社製、製品名「カオーセラ8200」、25℃で液状、0.05g)を用いた以外は、実施例26と同様に行い
、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、90.6質量%)。
[比較例6]
有機溶剤である2-エチル-1,3-ヘキサンジオール(3.01g)とジエチレングリコールモノブチルエーテル(0.75g)を混合し、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを1サイクル用いて攪拌し、溶剤混合物を得た。
フレーク状銀粒子(福田金属箔粉工業株式会社製、製品名「AgC-239」、40.00g)を計量して溶剤混合物に加えた。得られた混合物を、自転・公転ミキサー(商品名「あわとり錬太郎AR-250」、株式会社シンキー製)にて1分間攪拌および15秒間脱泡のサイクルを、1サイクル用いて攪拌した。攪拌後、メッシュ(330Tメッシュ、線径40μm)を用いてろ過し、金属粉焼結ペーストを得た(銀の粒子の含有量は、91.4質量%)。
表4に実施例26乃至28及び比較例5および6の、原料界面活性剤の金電極に対する接触角と、ペースト自体のブリード比、及び接合強度の測定結果を示す。原料界面活性剤の金電極に対する接触角とブリード比、及び接合強度の測定は次のように行った。
実施例26乃至28及び比較例5に用いた界面活性剤そのものについて、Ra0.04μmの表面粗さを持つ金電極に対して、接触角計CA-X150を用いて接触角を測定した。
得られた金属粉焼結ペーストを、スタンピング法により、金電極を表面に有する基板上へ塗布し、裏面に銀電極を有し、外形500×300μm、厚み150μmのサファイア基板を有する半導体素子をマウントした。金属粉焼結ペーストを介して半導体素子がマウントされた基板を、大気オーブンを用いて175℃で90分加熱し、その後、冷却した。基板から半導体素子を剥す方向に剪断力をかけ、剥離したときの強度を接合強度として測定した。
得られた金属粉焼結ペーストを、金電極を表面に有し、表面粗さの異なる2種類の基板上へ、スタンピング法により170±50μmの直径となるよう塗布し、20分待機後にブリードした分散媒を含めた直径を測定し、ブリード比=ブリード後の直径/元のペースト直径として算出した。
Figure 0007184847000005
表4に示すように、Ra0.04μmの金電極への接触角が10度を超えるアニオン性界面活性剤を用いた実施例26~28においては、界面活性剤を用いない比較例6と比較して、Ra0.04μmの金電極とRa0.48μmの金電極の両方でブリード比が小さくなり、ブリードし難くなっている事が確認できた。また全ての条件で金電極のRaが大きいほどブリード比は大きかった。Ra0.04μmの金電極への接触角が10度未満であるノニオン性界面活性剤を用いた比較例5ではブリード比が大きくなり、悪化する結果になっていた。これらの結果から、電極への接触角が大きい界面活性剤を添加する事でブリードが抑えられる事がわかった。
さらに接合強度については、界面活性剤を添加しない比較例6と比較すると実施例26~28では20MPaを超える十分な接合強度を確保できた。
本実施形態の金属粉焼結ペーストは、例えば、耐熱パワー配線、部品電極、ダイアタッチ、微細バンプ、フラットパネル、ソーラ配線等の製造用途およびウェハ接続等の用途、またこれらを組み合わせて製造する電子部品の製造に適用できる。また、本実施形態の導電性材料の製造方法は、例えば、LEDやLDなどの発光素子を用いた発光装置を製造する際にも適用できる。

Claims (13)

  1. メジアン径が1.0μm~5μmの銀の粒子を主成分として含み、
    前記銀の粒子の全量に対して、粒径が0.3μm未満の銀の粒子の含有量が4質量%以下であり、
    アニオン性の界面活性剤を更に含み
    実質的に樹脂を含まない金属粉焼結ペーストであって、
    前記界面活性剤の含有量が、前記ペーストに対して2質量%以下であり、
    前記界面活性剤が、下記式(I)で表される飽和カルボン酸である金属粉焼結ペースト。

    1O(CH2CH(R2)O)nCH2COOH (I)

    [式中、R1は炭素数7以上の直鎖または分岐のある飽和アルキル基であり、
    2は-Hまたは-CH3または-CH2CH3、-CH2CH2CH3のいずれかであり、
    nは2~5の範囲である]。
  2. 表面粗さRa0.04μmの金電極を表面に有する基板上へ、スタンピング法により170±50μmの直径となるように塗布し、20分待機後にブリードした分散媒を含めた直径を測定したときのブリード比(ブリード比=ブリード後の直径/元のペースト直径)が1.70未満である請求項1に記載の金属粉焼結ペースト。
  3. 前記界面活性剤は、25℃で液状である請求項1または2に記載の金属粉焼結ペースト。
  4. 前記銀の粒子は、フレーク状である請求項1~3のいずれか一項に記載の金属粉焼結ペースト。
  5. 前記銀の粒子の全量に対して、前記銀の粒子は、粒径が0.5μm以下の粒子の含有量が15質量%以下である請求項1~4のいずれか一項に記載の金属粉焼結ペースト。
  6. 分散媒として有機溶剤を更に含む請求項1~5のいずれか一項に記載の金属粉焼結ペースト。
  7. 前記有機溶剤の沸点が、150~250℃の範囲である請求項6に記載の金属粉焼結ペースト。
  8. 前記金属粉焼結ペーストの焼結後の導電性材料の電気抵抗が6μΩ・cm以下である請求項1~7のいずれか一項に記載の金属粉焼結ペースト。
  9. 前記銀の粒子の含有量が、前記ペーストに対して70質量%以上である請求項1~8のいずれか一項に記載の金属粉焼結ペースト。
  10. アニオン性の界面活性剤と、メジアン径が1.0μm~5μmの銀の粒子とを混合することを含み、ただし実質的に樹脂とは混合しない金属粉焼結ペーストの製造方法であって、
    前記銀の粒子の全量に対して、粒径が0.3μm未満の銀の粒子の含有量が4質量%以下である製造方法であって、
    前記界面活性剤が、下記式(I)で表される飽和カルボン酸である製造方法。

    1O(CH2CH(R2)O)nCH2COOH (I)

    [式中、R1は炭素数7以上の直鎖または分岐のある飽和アルキル基であり、
    2は-Hまたは-CH3または-CH2CH3、-CH2CH2CH3のいずれかであり、
    nは2~5の範囲である]。
  11. 請求項1~9のいずれか一項に記載の金属粉焼結ペーストを焼成する工程を含む導電性材料の製造方法。
  12. 前記焼成が、160℃~300℃の範囲の温度で行われる請求項11に記載の導電性材料の製造方法。
  13. 前記焼成は、160℃~250℃で30~120分の大気オーブン中で行われる請求項11に記載の導電性材料の製造方法。
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