本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
図1は、実施形態に係るレーザー加工装置の概略の構成例を示す斜視図である。図1に示すレーザー加工装置1は、被加工物であるウエーハ201の分割予定ライン202(図2参照)に沿った改質層をウエーハ201の内部に形成する。
実施形態に係るレーザー加工装置1の加工対象であるウエーハ201は、本実施形態では、シリコン、サファイア、ガリウムヒ素などを基板とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハである。なお、被加工物は、例えば、インターポーザー基板や、ガラス基板等の板状部材であってもよい。ウエーハ201は、表面201aに、交差(本実施形態では、直交)する複数の分割予定ライン202(図2参照)によって区画された複数の領域にそれぞれデバイス203(図2参照)が形成されている。
ウエーハ201は、環状フレーム211の開口に粘着テープ212を介して固定されたフレームユニット210の形態で、レーザー加工が施される。本実施形態において、フレームユニット210は、図1に示すように、ウエーハ201の表面201a側が粘着テープ212に貼着された第1フレームユニット210aと、ウエーハ201の裏面側が粘着テープ212に貼着された状態の第2フレームユニット210bとを含む。また、本実施形態において、複数の第1フレームユニット210a及び第2フレームユニット210bは、粘着テープ212が鉛直方向の下側とされた状態でカセット2に収容されている。なお、図1では、第1フレームユニット210aについて、粘着テープ212が鉛直方向の上側とされた状態を示している。
レーザー加工装置1は、図1に示すように、フレームユニット210のウエーハ201を支持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10とレーザー光線照射ユニット50とをX軸方向に相対移動させるX軸移動手段20と、チャックテーブル10とレーザー光線照射ユニット50とをY軸方向に相対移動させるY軸移動手段30と、チャックテーブル10をZ軸方向と平行な中心軸線回りに回転させる回転手段40と、チャックテーブル10に支持されたウエーハ201にレーザー光線を照射するレーザー光線照射ユニット50と、複数のフレームユニット210を収容するカセット2を支持するカセット支持台60と、カセット支持台60に支持されたカセット2とチャックテーブル10との間でフレームユニット210を搬送する搬送ユニット70と、各構成要素を制御する制御ユニット100と、を備える。
チャックテーブル10は、ウエーハ201を保持する保持面10aを有する。保持面10aは、金属やポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続されている。本実施形態において、保持面10a上には、ウエーハ201のデバイス203を保護するための図示しない保護部材が設けられている。チャックテーブル10は、保持面10aにより第1フレームユニット210aを保持する際には、図示しない保護部材及び粘着テープ212を介して、ウエーハ201のデバイス203が形成された表面201a側を吸引して保持する。また、チャックテーブル10は、保持面10aにより第2フレームユニット210bを保持する際には、図示しない保護部材を介して、ウエーハ201の表面201a側を吸引して保持する。なお、ウエーハ201のデバイス203を保護するために、保護部材を用いることなく、保持面10aにウエーハ201のデバイス203が形成された領域とは接触しない凹部を設けてもよい。チャックテーブル10の周囲には、ウエーハ201の周囲の環状フレーム211を挟持するクランプ部11が複数配置されている。
X軸移動手段20は、チャックテーブル10をX軸方向に移動させることで、チャックテーブル10をX軸方向に加工送りする加工送り手段である。X軸移動手段20は、軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるパルスモータと、チャックテーブル10をX軸方向に移動自在に支持するガイドレールとを備える。
Y軸移動手段30は、チャックテーブル10をY軸方向に移動させることで、チャックテーブル10を割り出し送りする割り出し送り手段である。Y軸移動手段30は、軸心回りに回転自在に設けられたボールねじと、ボールねじを軸心回りに回転させるパルスモータと、チャックテーブル10をY軸方向に移動自在に支持するガイドレールとを備える。
回転手段40は、チャックテーブル10をZ軸方向と平行な中心軸線回りに回転させる。回転手段40は、X軸移動手段20によりX軸方向に移動される移動テーブル12上に配置されている。
レーザー光線照射ユニット50は、チャックテーブル10に保持されたウエーハ201にレーザー加工を施す。レーザー光線照射ユニット50は、チャックテーブル10に保持されたウエーハ201に、ウエーハ201に対して透過性を有する波長(例えば1064nm等)のレーザー光を照射してウエーハ201の内部に改質層を形成する。レーザー光線照射ユニット50は、レーザー光を発振する発振手段と、ウエーハ201の所望の位置にレーザー光を集光させる集光手段とを有する。
カセット支持台60は、その上面がカセット2を載置する載置面60aとされている。カセット支持台60は、鉛直方向に移動自在なカセットエレベータとして構成されている。レーザー加工装置1は、図1に示すように、レーザー加工前のウエーハ201(フレームユニット210)、及び、レーザー加工後のウエーハ201(フレームユニット210)を仮置きするための一対のレール75を備えている。カセットエレベータとして構成されたカセット支持台60は、カセット2からフレームユニット210を取り出す際、または、カセット2へとフレームユニット210を収容する際には、図1に示すように、載置面60aに搭載したカセット2の各フレームユニット210を支持する棚またはガイドレールの高さが一対のレール75と概ね同じ高さとなる位置に位置づけられる。
搬送ユニット70は、カセット2からレーザー加工前のウエーハ201(フレームユニット210)を取り出し、カセット2にレーザー加工後のウエーハ201(フレームユニット210)を収容する第1アーム71(図3参照)と、一対のレール75とチャックテーブル10との間でウエーハ201(フレームユニット210)を搬送する第2アーム72とを備える。第1アーム71は、図3に示すように、フレームユニット210の外周縁210eを保持可能とされている。搬送ユニット70は、カセット2からレーザー加工前のウエーハ201(フレームユニット210)を第1アーム71によって取り出し、一対のレール75に仮置きする。また、搬送ユニット70は、レーザー加工後、第2アーム72によって一対のレール75に仮置きされたウエーハ201(フレームユニット210)を、第1アーム71によってカセット2に収容する。
制御ユニット100は、上述した構成要素をそれぞれ制御して、ウエーハ201に対するレーザー加工動作をレーザー加工装置1に実施させるものである。制御ユニット100は、コンピュータシステムを含む。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)またはRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インターフェース装置とを有する。
制御ユニット100の演算処理装置は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムに従って演算処理を実施して、レーザー加工装置1を制御するための制御信号を、入出力インターフェース装置を介してレーザー加工装置1の上述した構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示パネルや、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる図示しない入力手段と接続されている。入力手段は、表示パネルに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。
制御ユニット100は、ウエーハ201を加工する加工条件を設定する加工条件設定部101を有する。加工条件は、改質層を形成する予定の位置、言い換えると、レーザー光線を照射すべき位置である、改質層の形成位置の情報を含む。加工条件設定部101は、図示しない記憶部に記憶された加工条件に基づいて、各ウエーハ201に改質層を形成する位置を設定する。制御ユニット100は、この設定に従って、レーザー光線照射ユニット50を制御し、ウエーハ201へとレーザー光を照射して、分割予定ライン202に沿った改質層をウエーハ201の内部に形成する。
また、本実施形態において、加工条件設定部101は、図示しない記憶部に記憶された加工条件に基づいて、ウエーハ201にレーザー光線を直接照射するか、ウエーハ201にレーザー光線を粘着テープ212越しに照射するかを設定する。加工条件設定部101は、ウエーハ201の表面201a側が粘着テープ212に貼着された第1フレームユニット210aにレーザー加工を施す場合、ウエーハ201に対して、ウエーハ201の裏面側からレーザー光線を直接照射すると設定する。加工条件設定部101は、ウエーハ201の裏面側が粘着テープ212に貼着された状態の第2フレームユニット210bにレーザー加工を施す場合、ウエーハ201に対して、ウエーハ201の裏面側から粘着テープ212越しにレーザー光線を照射すると設定する。
このように、本実施形態のレーザー加工装置1において、第1フレームユニット210aにレーザー加工を施す際には、ウエーハ201に対してレーザー光線を直接照射する一方で、第2フレームユニット210bにレーザー加工を施す際には、ウエーハ201に対してレーザー光線を粘着テープ212越しに照射する。また、上述したように、本実施形態において、各第1フレームユニット210a及び各第2フレームユニット210bは、粘着テープ212側が鉛直方向の下側とされた状態でカセット2内に収容されている。つまり、第1フレームユニット210aについては、カセット2から取り出したときの姿勢を維持したまま、チャックテーブル10へと搬送し、レーザー加工を施すことになる。一方、第2フレームユニット210bについては、カセット2から取り出した後、粘着テープ212が鉛直方向の上側とされた状態に反転させた上で、チャックテーブル10上に搬送してレーザー加工を施す必要がある。
そこで、実施形態にかかるレーザー加工装置1は、チャックテーブル10への搬入前又は搬出後に、フレームユニット210(本実施形態では、第2フレームユニット210b)の鉛直方向における上下の向きを反転させ、ウエーハ201又は粘着テープ212のどちらかを上向きに設定するフレームユニット反転ユニット90を備えている。図2は、フレームユニット反転ユニットを示す平面図であり、図3は、図2における左側から視たフレームユニット反転ユニットを示す側面図であり、図4は、図2における下側から視たフレームユニット反転ユニットを示す側面図である。以下、図2から図4を参照しながら、フレームユニット反転ユニット90の構成について説明する。また、以下の説明においては、適宜、フレームユニット反転ユニット90を「反転ユニット90」と称する。
本実施形態において、カセット支持台60は、図3に破線で示すように、その内部に反転ユニット90を収容可能な収容部601を有している。収容部601は、一対のレール75側(図3においては、右側)に向けて開口する開口部601aを有する。反転ユニット90は、図1及び図3に示すように、カセット支持台60の下側、すなわちカセット支持台60の収容部601内に配置されている。反転ユニット90は、図3に破線矢印で示すように、カセット支持台60の鉛直方向の移動に伴って鉛直方向に移動可能とされている。反転ユニット90にフレームユニット210を搬出入する際、反転ユニット90は、一対のレール75と対向する高さに位置づけられる。それにより、収容部601の開口部601aを介して、一対のレール75から反転ユニット90へのフレームユニット210の搬入、及び、反転ユニット90から一対のレール75へのフレームユニット210の搬出が可能となる。反転ユニット90へのフレームユニット210の搬出入は、搬送ユニット70の第1アーム71を用いて、図1のY軸方向(図3の左右方向)に沿った向きで行われる。以下の説明において、フレームユニット210が反転ユニット90へと搬出入される方向、すなわち図1のY軸方向(図3の左右方向)を「搬出入方向」と称する。
反転ユニット90は、図2から図4に示すように、基台91と、フレームユニット210を挟んで両側及び上下で対となるガイドレール92と、対となるガイドレール92を回転させる2つの回転機構93と、回転機構93の回転時にフレームユニット210がガイドレール92から飛び出すのを防ぐストッパ94とを有する。
基台91は、カセット支持台60の収容部601に載置される盤状部材である。本実施形態において、基台91は、図2に示すように、フレームユニット210の外径よりも大きく形成されている。また、基台91は、図3及び図4に示すように、搬出入方向に沿って延びる側辺91a(図2参照)の一部に沿って、鉛直方向上側に延びる支持部911を有する。支持部911は、少なくとも、ガイドレール92内に挿入されてストッパ94に当接している状態のフレームユニット210のうち、ガイドレール92の外側に延在する部分の長さよりも、大きい高さに形成される。それにより、回転機構93によってガイドレール92が回転した際に、ガイドレール92内に挿入されたフレームユニット210が基台91と干渉することを防ぐことができる。
各ガイドレール92は、回転機構93を介して支持部911により支持されている。各ガイドレール92は、図2に示すように、搬出入方向に沿って延び、互いに対向して配置される。互いに対向して設けられるガイドレール92同士は、フレームユニット210を挟んで、フレームユニット210の両側で対となる。各ガイドレール92は、図3に示すように、初期状態において、一方の端部92aが開口部601a側に位置する状態で、水平に保たれている。
各ガイドレール92は、図3及び図4に示すように、高さ方向の略中央部において、一方の端部92aから他方の端部92bまで長手方向に沿って延びる溝部921を有する。溝部921は、フレームユニット210の外周縁210eを挿入可能な大きさに形成される。つまり、ガイドレール92の溝部921の上側に位置する部分と、溝部921の下側に位置する部分とは、フレームユニット210を挟んで上下で対となる。なお、ガイドレール92は、溝部921の上側に位置する部分と、溝部921の下側に位置する部分とが別部材で構成され、連結されるものであってもよい。また、各ガイドレール92は、図3に示すように、一方の端部92aの近傍に、ストッパ94が配置されるストッパ配置部922が形成されている。ストッパ配置部922は、溝部921よりも上側に設けられ、溝部921と連通する凹部である。
回転機構93は、各ガイドレール92に対応して、一つずつ設けられている。回転機構93は、支持部911により支持されたエアシリンダ部931と、エアシリンダ部931に取り付けられ、エアシリンダ部931からの動力によって直線運動するラックギヤ932と、ラックギヤ932の直線運動を回転運動に変換するピニオンギヤ933とを有する。
エアシリンダ部931は、図3に白色矢印で示すように、エアの力によって内部のシリンダ931a(図2参照)を動作させ、ラックギヤ932を搬出入方向に沿って直線運動させる。ラックギヤ932は、上面にピニオンギヤ933と噛み合うギヤが形成されている。ピニオンギヤ933は、支持部911上に設けられた軸支持壁911aを介して、ガイドレール92の長手方向の略中央部に軸心が連結されている。これにより、回転機構93は、エアシリンダ部931からの動力によってラックギヤ932の搬出入方向に沿った直線運動をピニオンギヤ933の回転運動へと変換し、ガイドレール92をピニオンギヤ933の軸心回りに回転させる。なお、回転機構93は、制御ユニット100により制御される。
ストッパ94は、各ガイドレール92に一つずつ設けられている。ストッパ94は、図3に示すように、ガイドレール92のストッパ配置部922内に設けられている。図5及び図6は、ガイドレールのストッパの構造を示す端面図である。ストッパ94は、図5に示すように、ストッパ配置部922に搬出入方向及び鉛直方向と直交する方向を軸心として回転自在に取り付けられた回転部941と、回転部941から溝部921内へと延びる規制部942とを有する。回転部941は、ストッパ配置部922の一方側の端面922a近傍に取り付けられる。回転部941は、図示しない付勢手段(例えばバネ等)によって、図5における反時計回り方向に付勢されている。また、規制部942は、回転部941から、溝部921の高さよりも若干短い長さだけ延びる。
ストッパ94は、図5に示す初期状態において、回転部941が図中反時計回り方向に付勢されることにより、規制部942がストッパ配置部922の一方の端面922aに当接した状態を維持する。この際、規制部942は、溝部921内に延在する。ストッパ94は、図6に示すように、ガイドレール92の一方の端部92aから溝部921内へとフレームユニット210が挿入されると、フレームユニット210の外周縁210eによって規制部942が押圧され、回転部941に対する付勢力に抗して図中時計回り方向に回転する。その結果、フレームユニット210が規制部942を押圧している間は、規制部942を含む全体がストッパ配置部922内に収容される。ストッパ94は、フレームユニット210の外周縁210eが、ストッパ配置部922内における規制部942よりもガイドレール92の他方の端部92b側まで進むと(図5に示す破線参照)、図5に示す初期状態に戻る。その結果、ストッパ94の規制部942により、フレームユニット210のガイドレール92の端部92a側への移動が規制されることになる。
次に、ウエーハ201のレーザー加工に際して、反転ユニット90によりフレームユニット210(本実施形態では、第2フレームユニット210b)を反転させ、チャックテーブル10上への搬出入を行う際の動作について、図面に基づいて説明する。図7は、反転ユニットにフレームユニットを搬入する様子を示す説明図であり、図8は、反転ユニットによりフレームユニットを反転させる様子を示す説明図であり、図9は、反転させたフレームユニットを反転ユニットから搬出する様子を示す説明図である。
図7から図9に示す一連の動作は、制御ユニット100の加工条件設定部101により、第2フレームユニット210bについて、ウエーハ201にレーザー光線を粘着テープ212越しに照射するレーザー加工を行うと設定された場合に、制御ユニット100が反転ユニット90を含むレーザー加工装置1の各構成要素を制御することによって実行される。なお、制御ユニット100は、加工条件設定部101により、第1フレームユニット210aについて、ウエーハ201にレーザー光線を直接照射するレーザー加工を行うと設定した場合、フレーム反転ユニット90を用いることなく、第1フレームユニット210aをチャックテーブル10に搬送させる。つまり、制御ユニット100は、加工条件設定部101の設定に対応して搬送ユニット70でフレームユニット210をフレームユニット反転ユニット90に搬入し、フレームユニット反転ユニット90にフレームユニット210を反転させる。
制御ユニット100は、まず、カセット2から搬送ユニット70の第1アーム71により取り出したフレームユニット210を、一対のレール75上に仮置きすると、カセット支持台60を図1に示す位置よりも鉛直方向上側に移動させ、収容部601に収容された反転ユニット90を一対のレール75と対向する位置に位置づける。
次に、制御ユニット100は、搬送ユニット70の第1アーム71によって、一対のレール75上から反転ユニット90へとフレームユニット210を搬送する。フレームユニット210は、図7に示すように、反転ユニット90の対となるガイドレール92の一方の端部92a側から各溝部921内へと挿入される。この際、上述したように、ストッパ94は、規制部942がフレームユニット210の外周縁210eによって押圧されることによって回転するため(図6参照)、フレームユニット210の溝部921への挿入が妨げられることはない。フレームユニット210は、ガイドレール92の長手方向における略中央部まで挿入される(図2に示す位置)。それにより、フレームユニット210の外周縁210eによるストッパ94への押圧が解除され、上述したように、ストッパ94が図5に示す初期状態に戻り、フレームユニット210の端部92a側への移動が規制されることになる。
次に、制御ユニット100は、図8に示すように、2つの回転機構93を協調して制御し、エアシリンダ部931からの動力によってラックギヤ932を図中上方向に直線運動させ、ピニオンギヤ933を図中に実線矢印で示す方向に回転させる。その結果、ピニオンギヤ933に連結されたガイドレール92、及び、ガイドレール92の溝部921に挿入されたフレームユニット210も、図中に実線矢印で示す方向に回転する。この際、ガイドレール92の一方の端部92aが鉛直方向下側に位置するように、ガイドレール92を回転させることによって、フレームユニット210の溝部921からの飛び出し(落脱)がストッパ94で防止される。制御ユニット100は、図9に示すように、ガイドレール92の他方の端部92bが開口部601a側(図9における下側)に位置する状態で水平となると、回転機構93によるガイドレール92の回転を止める。この結果、図9に示すように、フレームユニット210の鉛直方向における上下が反転し、粘着テープ212が鉛直方向の上側とされた状態となる。
制御ユニット100は、フレームユニット210の鉛直方向における上下を反転させた後、搬送ユニット70の第1アーム71によってフレームユニット210の外周縁210eを保持して、ガイドレール92の端部92b側から取り出し、再び一対のレール75上へと仮置きする。これにより、粘着テープ212が鉛直方向の上側とされた状態のフレームユニット210を、搬送ユニット70の第2アーム72によってチャックテーブル10上へと搬送し、ウエーハ201に対して粘着テープ212越しにレーザー加工を施すことが可能となる。
本実施形態において、制御ユニット100は、ウエーハ201にレーザー加工を施している間に、反転ユニット90の回転機構93を制御し、図7から図9に示した順序とは逆方向にガイドレール92を回転させ、ガイドレール92の端部92aが開口部601a側に位置する初期状態(図3に示す状態)へと戻しておく。制御ユニット100は、レーザー加工が完了し、搬送ユニット70の第2アーム72によって一対のレール75に仮置きされたフレームユニット210を、搬送ユニット70の第1アーム71を用いて、再び反転ユニット90に搬入する。このとき、フレームユニット210は、粘着テープ212が鉛直方向の上側とされた状態となっている。
制御ユニット100は、再び図7から図9に示す手順を実行し、粘着テープ212が鉛直方向の上側とされた状態のフレームユニット210を反転させて、粘着テープ212が鉛直方向の下側とされた状態とする。そして、制御ユニット100は、フレームユニット210を搬送ユニット70の第1アーム71によって反転ユニット90から取り出して、一対のレール75上に仮置きし、カセット支持台60を図1に示す位置まで移動させて、第1アーム71によってフレームユニット210をカセット2内に収容する。これにより、レーザー加工前と同様に、レーザー加工完了後のフレームユニット210を、粘着テープ212が鉛直方向の下側とされた状態でカセット2内に収容することができる。
以上説明したように、実施形態にかかるレーザー加工装置1は、ガイドレール92、ガイドレール92を回転させる回転機構93、及び、フレームユニット210の飛び出しを防ぐストッパ94といった、高価なロボットハンドと比べて簡易かつ安価な構成のフレームユニット反転ユニット90を用いて、チャックテーブル10への搬入前、または、チャックテーブル10から搬出後のフレームユニット210の鉛直方向における上下を反転させることができる。従って、実施形態にかかるレーザー加工装置1によれば、簡易かつ安価な構成により、レーザー加工に際して、フレームユニット210の鉛直方向における上下の反転を行うことが可能となる。
特に、本実施形態のフレーム反転ユニット90は、エアシリンダ部931、ラックギヤ932、及びピニオンギヤ933といった、ロボットハンド等と比べて簡易かつ安価な構成の回転機構93を用いて、フレームユニット210を反転させるための力を発生させることができる。
また、本実施形態において、制御ユニット100は、ウエーハ201(被加工物)にレーザー光線を直接照射するか、粘着テープ212越しにウエーハ201に照射するかを設定する加工条件設定部101を有し、加工条件設定部101の設定に対応して搬送ユニット70でフレームユニット210をフレームユニット反転ユニット90に搬入し、フレームユニット反転ユニット90にフレームユニット210を反転させる。
この構成によれば、ウエーハ201(被加工物)にレーザー光線を直接照射する場合(本実施形態では、第1フレームユニット210aについてレーザー加工を施す場合)、フレームユニット反転ユニット90を用いることなく、ウエーハ201にレーザー加工を施すことができる。一方、ウエーハ201(被加工物)にレーザー光線を粘着テープ212越しに照射する場合(本実施形態では、第2フレームユニット210bについてレーザー加工を施す場合)、フレームユニット反転ユニット90を用いて、容易にフレームユニット210を反転させた上で、ウエーハ201にレーザー加工を施すことができる。つまり、一つのレーザー加工装置1によって、異なる手法によるレーザー加工を選択的に、かつ、容易に実施することができる。
また、一つのレーザー加工装置1によって、異なる手法によるレーザー加工を選択的に実施する構成であっても、予めカセット2内に収容した第1フレームユニット210a及び第2フレームユニット210bの鉛直方向における向きを一方向(本実施形態では、粘着テープ212が下側とされる方向)に定めておくことができる。その結果、加工前の複数の第1フレームユニット210a及び第2フレームユニット210bについて、予め1枚ごとにレーザー加工時の向きに合わせた状態でカセット2内に収容する必要がなくなるため、作業の効率化を図ることが可能となる。
また、フレームユニット反転ユニット90は、カセット支持台60の下側に配置されている。
この構成によれば、フレームユニット反転ユニット90をカセット支持台60内に収容することができるため、フレームユニット反転ユニット90を設けることにより、レーザー加工装置1のスペースが圧迫されることを抑制することができる。
また、本実施形態のレーザー加工装置1は、チャックテーブル10とカセット2との間でフレームユニット210を搬出入する搬送ユニット70(第1アーム71)を利用して、フレームユニット210をフレームユニット反転ユニット90へと搬出入することができる。そのため、フレームユニット210をフレームユニット反転ユニット90へと搬出入するための搬出入手段を別途設ける必要がなく、装置の複雑化や製造コストの増加を、より良好に抑制することができる。
また、本実施形態では、レーザー加工後の第2フレームユニット210bについても、フレームユニット反転ユニット90により反転させ、粘着テープ212が下側とされた状態でカセット2に戻すものとした。これにより、レーザー加工後の第2フレームユニット210bを、レーザー加工後の第1フレームユニット210aと同じ向きに揃えてカセット2内に収容することができる。従って、他の加工装置にカセット2を搬送した際に、すべての第1フレームユニット210a及び第2フレームユニット210bが同じ向きに揃っているため、扱いが容易となり、作業効率の向上を図ることができる。また、搬送時の安定性向上を図ることができる。なお、レーザー加工後の第2フレームユニット210bについて、フレームユニット反転ユニット90による反転を再び行うことなく、粘着テープ212が上側とされた状態でカセット2に戻してもよい。
また、本実施形態では、第1フレームユニット210a及び第2フレームユニット210bの双方について、予め粘着テープ212が下側とされた状態でカセット2内に収容しておくものとしたが、第1フレームユニット210a及び第2フレームユニット210bの双方について、予め粘着テープ212が上側とされた状態でカセット2内に収容しておいてもよい。この場合、制御ユニット100は、第1フレームユニット210aについてレーザー加工を施す際に、フレームユニット反転ユニット90によって第1フレームユニット210aを反転させた上で、チャックテーブル10へと搬入してレーザー加工を施し、第2フレームユニット210bについてレーザー加工を施す際に、フレームユニット反転ユニット90による反転を行わないものとすればよい。
また、レーザー加工装置1は、第1フレームユニット210aを加工対象とせず、予め粘着テープ212が下側とされた状態でカセット2内に収容された第2フレームユニット210bのみを加工対象とするものであってもよい。この場合、本実施形態で示したように、粘着テープ212が下側とされた状態の第2フレームユニット210bをフレームユニット反転ユニット90によって反転させた上で、チャックテーブル10に搬入し、レーザー加工を施せばよい。
また、レーザー加工装置1は、第2フレームユニット210bを加工対象とせず、予め粘着テープ212が上側とされた状態でカセット2内に収容された第1フレームユニット210aのみを加工対象とするものであってもよい。この場合、粘着テープ212が上側とされた状態の第1フレームユニット210aをフレームユニット反転ユニット90によって反転させた上で、チャックテーブル10に搬入し、レーザー加工を施せばよい。
また、本実施形態では、レーザー加工装置1において、ウエーハ201の裏面側にレーザー光線を照射する場合に限定して本発明を適用したが、本発明は、ウエーハ201の表面201a側および裏面側の双方にレーザー光線を照射する場合にも、適用することができる。すなわち、フレームユニット210のウエーハ201の表面201a側にレーザー加工を施した後、フレームユニット210をチャックテーブル10からフレームユニット反転ユニット90に一旦搬送する。そして、フレームユニット反転ユニット90によってフレームユニット210の上下を反転させた上で、再びチャックテーブル10へと搬入し、ウエーハ201の裏面側にレーザー加工を施す。これにより、ウエーハ201の表面201a側および裏面側の双方にレーザー光線を照射する場合において、フレームユニット210の反転動作を容易に行うことができる。また、反転動作のために高価なロボットアーム等を用いる必要がなく、装置の複雑化や製造コストの増加を抑制することができる。
なお、フレームユニット反転ユニット90は、カセット2及びチャックテーブル10との間でフレームユニット210を搬出入することができれば、カセット支持台60の収容部601以外に設けられてもよい。また、カセット2及びチャックテーブル10とフレームユニット反転ユニット90との間におけるフレームユニット210の搬出入は、搬送ユニット70(第1アーム71)とは異なる搬送手段を用いるものであってもよい。