以下、処理装置、検査装置および処理方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、図1に示す検査装置1の構成について説明する。検査装置1は、検査装置の一例であって、測定対象の一例としてのインダクタ素子100のQ値を算出すると共に、Q値の算出値Qcに基づいてインダクタ素子100の良否を検査可能に構成されている。具体的には、検査装置1は、同図に示すように、第1測定部11、第2測定部12、操作部13、記憶部14、表示部15、搬送機構16および処理部17を備えて構成されている。この場合、検査装置1のうちの後述する検査機能を除く部分によって処理装置が構成される。
第1測定部11は、プローブ31a〜31dを移動させる図外の移動機構と、電流出力部11aおよび電圧検出部11b(図2参照)とを備えて構成され、処理部17の制御に従い、インダクタ素子100の直流抵抗値Rd1(第1直流抵抗値に相当する)を4端子法で測定する第1測定処理を実行する。具体的には、第1測定処理において、第1測定部11の移動機構が、同図に示すように、測定位置P1に搬送されたインダクタ素子100の端子101aにプローブ31a,31cを接触させると共に、インダクタ素子100の端子101bにプローブ31b,31dを接触させ、電流出力部11aが、直流電流を出力してプローブ31a,31bを介してインダクタ素子100に供給し、電圧検出部11bが、端子101a,101b間の電圧値をプローブ31c,31dを介して検出する。また、第1測定部11は、検出した電圧値、および供給している直流電流の電流値に基づいて直流抵抗値Rd1を測定する。
第2測定部12は、プローブ32a,32bを移動させる図外の移動機構と、電流出力部12aおよび電圧検出部12b(図3参照)とを備えて構成され、処理部17の制御に従い、インダクタ素子100の直流抵抗値Rd2(第2直流抵抗値に相当する)を2端子法で測定する第2測定処理、およびインダクタ素子100の交流抵抗値Ra(実効抵抗値)およびインダクタンス値Lをそれぞれ2端子法で測定する第3測定処理を実行する。具体的には、第2測定処理において、第2測定部12の移動機構が、同図に示すように、測定位置P2に搬送されたインダクタ素子100の端子101a,101bにプローブ32a,32bをそれぞれ接触させ、電流出力部12aが、直流電流を出力してプローブ32a,32bを介してインダクタ素子100に供給し、電圧検出部11bが、端子101a,101b間の電圧値をプローブ32a,32bを介して検出する。また、第2測定部12は、検出した電圧値、および供給している直流電流の電流値に基づいて直流抵抗値Rd2を測定する。
また、第3測定処理において、第2測定部12の移動機構が、インダクタ素子100の端子101a,101bにプローブ32a,32bをそれぞれ接触させた状態を維持し(図3参照)、電流出力部12aが、交流電流を出力してプローブ32a,32bを介してインダクタ素子100に供給し、電圧検出部12bが、端子101a,101b間の交流電圧値をプローブ32a,32bを介して検出する。また、第2測定部12は、交流電圧値(電圧実効値)、供給している交流電流の交流電流値(電流実効値)、および交流電圧と交流電流との位相差に基づいて交流抵抗値Raおよびインダクタンス値Lを測定する。
操作部13は、各種のボタンやキーを備えて構成され、これらが操作されたときに操作信号を出力する。
記憶部14は、第1測定部11によって測定された直流抵抗値Rd1を記憶すると共に、第2測定部12によって測定された直流抵抗値Rd2、交流抵抗値Raおよびインダクタンス値Lを記憶する。また、記憶部14は、処理部17によって実行される後述する検査処理50において算出されるQ値の算出値Qcを記憶する。また、記憶部14は、検査処理50において用いる閾値Rt1(第1閾値に相当する),Q値の基準値Qr、並びに検査処理50において実行される算出処理70において用いる設定値Rrおよび係数Kcを記憶する。
表示部15は、処理部17の制御に従い、処理部17によって実行される検査処理50において算出されるQ値の算出値Qcや、検査処理50において検査されるインダクタ素子100の良否の検査結果を表示する。
搬送機構16は、処理部17の制御に従い、図外の供給装置によってインダクタ素子100が供給される供給位置、第1測定部11によって第1測定処理が実行される測定位置P1(図2参照)、第2測定部12によって第2測定処理および第3測定処理が実行される測定位置P2(図3参照)、並びに各測定処理および検査が終了したインダクタ素子100が図外の搬出装置によって搬出される搬出位置にインダクタ素子100を搬送する。
処理部17は、操作部13から出力される操作信号に従って検査装置1を構成する各構成要素を制御する。また、処理部17は、図5に示す算出処理70を実行して、直流抵抗値Rd1,Rd2、交流抵抗値Raおよびインダクタンス値Lに基づいてインダクタ素子100のQ値を算出する。また、処理部17は、検査部として機能し、図4に示す検査処理50を実行して、Q値の算出値Qcに基づいてインダクタ素子100の良否を検査する検査機能を有している。
次に、検査装置1を用いて測定対象としてのインダクタ素子100のQ値を算出する処理方法、およびQ値の算出値Qcに基づいてインダクタ素子100の良否を検査する検査方法について図面を参照して説明する。
まず、操作部13を操作して、検査の開始を指示する。この際に、操作部13が操作信号を出力し、処理部17が操作信号に従って図4に示す検査処理50を実行する。この検査処理50では、処理部17は、搬送機構16を制御して、図外の供給装置によって供給位置に供給されたインダクタ素子100を図2に示す測定位置P1に搬送させる(ステップ51)。
次いで、処理部17は、第1測定部11を制御して、第1測定処理を実行させる(ステップ52)。この第1測定処理では、第1測定部11は、図外の移動機構を作動させてプローブ31a〜31dを移動させ、図2に示すように、測定位置P1に搬送されたインダクタ素子100の端子101aにプローブ31a,31cを接触させると共に、インダクタ素子100の端子101bにプローブ31b,31dを接触させる。
続いて、第1測定部11の電流出力部11aが、直流電流を出力してプローブ31a,31bを介してインダクタ素子100に供給する。次いで、第1測定部11の電圧検出部11bが、端子101a,101b間の電圧値をプローブ31c,31dを介して検出する。続いて、第1測定部11は、検出した電圧値、および供給している直流電流の電流値に基づいてインダクタ素子100の直流抵抗値Rd1を測定する。次いで、処理部17は、測定された直流抵抗値Rd1を記憶部14に記憶させる。
この場合、上記したように4つのプローブ31a〜31dを用いる4端子法による抵抗測定では、プローブ31a〜31dと端子101a,101bとの接触部分に生じる接触抵抗の影響が十分に低く抑えられるため、接触抵抗の値(以下「接触抵抗値Rc」ともいう)が含まれていない(または、ほぼ含まれていない)直流抵抗値Rd1を測定することが可能となっている。
続いて、処理部17は、搬送機構16を制御して、インダクタ素子100を測定位置P1から図3に示す測定位置P2に搬送させる(ステップ53)。
次いで、処理部17は、第2測定部12を制御して、第2測定処理を予め規定された時間間隔で複数回(例えば、10回)実行させる(ステップ54)。この第2測定処理では、第2測定部12は、図外の移動機構を作動させてプローブ32a,32bを移動させ、図3に示すように、測定位置P2に搬送されたインダクタ素子100の端子101a,101bに、プローブ32a,32bをそれぞれ接触させる。
続いて、第2測定部12の電流出力部12aが、直流電流を出力してプローブ32a,32bを介してインダクタ素子100に供給する。次いで、電流出力部12aの電圧検出部12bが、端子101a,101b間の電圧値をプローブ32a,32bを介して検出する。続いて、第2測定部12は、検出した電圧値、および供給している直流電流の電流値に基づいてインダクタ素子100の直流抵抗値Rd2を測定する。また、処理部17は、測定された直流抵抗値Rd2を記憶部14に記憶させる。
この場合、上記したように2つのプローブ32a,32bを用いる2端子法による抵抗測定では、プローブ32a,32bと端子101a,101bとの接触部分に生じる接触抵抗の影響を抑えることができないため、直流抵抗値Rd2には接触抵抗値Rcが含まれている。
次いで、処理部17は、第2測定部12を制御して、第3測定処理を実行させる(ステップ55)。この第3測定処理では、第2測定部12は、図3に示すように、インダクタ素子100の端子101a,101bにプローブ32a,32bをそれぞれ接触させた状態で、電流出力部12aが、交流電流を出力してプローブ32a,32bを介してインダクタ素子100に供給する。続いて、電圧検出部12bが、端子101a,101b間の交流電圧値をプローブ32a,32bを介して検出する。次いで、第2測定部12は、交流電圧値(電圧実効値)、供給している交流電流の交流電流値(電流実効値)、および交流電圧と交流電流との位相差に基づいてインダクタ素子100の交流抵抗値Raおよびインダクタンス値Lを測定する。続いて、処理部17は、測定された交流抵抗値Raおよびインダクタンス値Lを記憶部14に記憶させる。
次いで、処理部17は、算出処理70を実行する(ステップ56)。この算出処理70では、処理部17は、図5に示すように、記憶部14に記憶されている直流抵抗値Rd2を読み出して、各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1(第1変動幅に相当する)、具体的には、各直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差分値を特定する(ステップ71)。
続いて、処理部17は、記憶部14に記憶されている閾値Rt1を読み出して、変動幅Rw1が閾値Rt1以下であるか否かを判別する(ステップ72)。この場合、良品のインダクタ素子100における端子101a,101bにプローブ32a,32bが確実に接触している状態において第2測定処理を十分な回数実行して測定した各直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差分値(各直流抵抗値Rd2の変動幅)が閾値Rt1として予め設定されている。
処理部17は、ステップ72において、変動幅Rw1が閾値Rt1以下(第1状態に相当する)であると判別したときには、上記したステップ71で読み出した各直流抵抗値Rd2の最小値(第3直流抵抗値に相当し、以下「直流抵抗値Rd2s」ともいう)を特定する(ステップ73)。
次いで、処理部17は、記憶部14に記憶されている直流抵抗値Rd1を読み出して、直流抵抗値Rd2sと直流抵抗値Rd1との差分値Rm(Rd2s−Rd1)を算出する(ステップ74)。この場合、上記したように、直流抵抗値Rd2sには接触抵抗値Rcが含まれ、直流抵抗値Rd1には接触抵抗値Rcが含まれていないため、差分値Rmは、接触抵抗値Rcに相当する。
続いて、処理部17は、記憶部14に記憶されている設定値Rrを読み出して、差分値Rmが設定値Rrよりも大きいか否かを判別する(ステップ75)。この場合、先端部が摩耗したり酸化したりしていない良好な状態のプローブ32a,32bを使用したときに通常生じる接触抵抗値Rcの上限値が設定値Rrとして予め設定されている。
処理部17は、ステップ75において、差分値Rmが設定値Rrよりも大きいと判別したときには、記憶部14に記憶されている係数Kcを読み出して、差分値Rmに係数Kcを乗算した補正値Rm’(Rm×Kc)を算出する(ステップ76)。この場合、係数Kcは、0以上1以下の範囲で任意に規定される。なお、係数Kcを1に規定する(つまり、補正値Rm’を差分値Rmとする)ことで、差分値Rmをそのまま用いて後述する交流抵抗値Raの補正を行うことができ、係数Kcを0に規定する(つまり、補正値Rm’を0とする)ことで、交流抵抗値Raの補正を行わないことができる。
次いで、処理部17は、記憶部14に記憶されている交流抵抗値Raを読み出して、交流抵抗値Raから補正値Rm’を減算して補正した補正抵抗値Ra’を算出する補正処理を実行する(ステップ77)。この場合、補正値Rm’は、上記したように、接触抵抗値Rcに相当する差分値Rmに係数Kcを乗算した値であるため、交流抵抗値Raから補正値Rm’を減算することで、交流抵抗値Raから接触抵抗値Rcに相当する抵抗値、または接触抵抗値Rcよりも小さい抵抗値を除外することができる。
続いて、処理部17は、補正抵抗値Ra’を用いてインダクタ素子100のQ値を算出する第1処理を実行する(ステップ78)。この場合、Q値の算出値をQcとし、第3測定処理における交流電流の角周波数をωとし、インダクタ素子100のインダクタンス値をLとすると、Qc=ωL/Ra’となる。
ここで、例えば、インダクタ素子100の端子101a,101bに対するプローブ32a,32bの接触状態が不良(不安定)で、接触抵抗値Rcが時間経過に伴って変化するときには、交流抵抗値Raを測定した時刻(第3測定処理を実行した時刻)と、直流抵抗値Rd2を測定した時刻(第2測定処理を実行した時刻)とが異なるため、直流抵抗値Rd2に含まれる接触抵抗値Rcと交流抵抗値Raに含まれる接触抵抗値Rcとが異なることとなる。この場合、交流抵抗値Raに含まれる接触抵抗値Rcよりも大きい接触抵抗値Rcを含んだ直流抵抗値Rd2と直流抵抗値Rd1との差分値Rmに基づく補正値Rm’で交流抵抗値Raを補正したときには、補正処理の実行による補正後の補正抵抗値Ra’が、接触抵抗値Rcを含まないインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となることがあり、このような補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcは、インダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となる。このため、第2測定処理を1回だけ実行して測定した直流抵抗値Rd2を用いる構成および方法では、その直流抵抗値Rd2に含まれる接触抵抗値Rcが交流抵抗値Raに含まれる接触抵抗値Rcよりも大きいときには、Q値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100を良品と誤判定するおそれがある。
これに対して、この検査装置1では、上記したように、直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下で接触抵抗値Rcの時間的な変化が小さいとき、つまり補正処理を実行することによって補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となる可能性が低いときに補正処理を実行する。このため、この検査装置1では、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態を確実に防止することが可能となっている。
一方、処理部17は、上記したステップ72において、変動幅Rw1が閾値Rt1よりも大きいと判別したときには、ステップ73〜77を実行することなく、補正処理前の交流抵抗値Raを用いてインダクタ素子100のQ値を算出する第2処理を実行する(ステップ78)。つまり、この検査装置1では、良品のインダクタ素子100の端子101a,101bにプローブ32a,32bが確実に接触している状態における各直流抵抗値Rd2の変動幅に相当する閾値Rt1よりも変動幅Rw1が大きく、補正処理を実行することによって補正抵抗値Ra’が実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となるおそれがあるときには、補正処理を実行することなく交流抵抗値Raを用いてインダクタ素子100のQ値を算出する構成および方法が採用されている。
また、処理部17は、上記したステップ75において、差分値Rmが設定値Rr以下であると判別したときには、ステップ76,77を実行することなく、補正処理前の交流抵抗値Raを用いてインダクタ素子100のQ値を算出する第2処理を実行する(ステップ78)。つまり、この検査装置1では、各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下で、かつ良好な状態のプローブ32a,32bを使用したときの接触抵抗値Rcである設定値Rrよりも差分値Rmの方が大きく交流抵抗値Raを補正する必要性が高いときだけ補正処理を実行し、変動幅Rw1が閾値Rt1以下であっても、差分値Rmが設定値Rr以下で交流抵抗値Raを補正する必要性が低いときには補正処理を実行しない構成および方法が採用されている。
次いで、処理部17は、Q値の算出値Qcを記憶部14に記憶させると共に、表示部15に表示させて算出処理70を終了し、続いて、図4に示す検査処理50のステップ57を実行する。このステップ57では、処理部17は、記憶部14に記憶されている算出値Qcおよび基準値Qrを読み出して、算出値Qcと基準値Qrとを比較する。この場合、処理部17は、算出値Qcが基準値Qr以上のときには、インダクタ素子100を良品と判定し、算出値Qcが基準値Qr未満のときには、インダクタ素子100を不良品と判定する。次いで、処理部17は、検査結果(判定結果)を表示部15に表示させる。
続いて、処理部17は、搬送機構16を制御して、インダクタ素子100を測定位置P2から搬出位置に搬送させて(ステップ58)、検査処理50を終了する。
次に、処理部17が、上記した検査処理50および算出処理70に代えて、図6,7にそれぞれ示す検査処理50Aおよび算出処理70Aを実行する構成および方法について説明する。なお、検査処理50Aおよび算出処理70Aにおいて、検査処理50および算出処理70のステップと同様の処理を行うステップについては、重複する説明を省略する。
この検査処理50Aでは、処理部17は、検査処理50におけるステップ51〜54と同様のステップ51A〜54A(図6参照)を実行した後に、上記した算出処理70のステップ71と同様に各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1を特定し(ステップ55A)、次いで算出処理70のステップ72と同様に変動幅Rw1が閾値Rt1以下であるか否かを判別する(ステップ56A)。
処理部17は、ステップ56Aにおいて、変動幅Rw1が閾値Rt1以下であると判別したときには、検査処理50のステップ55と同様に第2測定部12を制御して、第3測定処理を実行させ(ステップ57A)、続いて、図7に示す算出処理70Aを実行する(ステップ58A)。この算出処理70Aでは、処理部17は、記憶部14に記憶されている直流抵抗値Rd2を読み出し、次いで、算出処理70のステップ73と同様に各直流抵抗値Rd2の最小値(第3直流抵抗値に相当する)を特定する(ステップ71A)。続いて、算出処理70のステップ74〜78と同様のステップ72A〜76Aを実行してQ値を算出する(第1処理の実行)。
次いで、処理部17は、Q値の算出値Qcを記憶部14に記憶させると共に、表示部15に表示させて算出処理70Aを終了し、続いて、図6に示す検査処理50Aのステップ59Aを実行する。このステップ59Aでは、処理部17は、上記した検査処理50のステップ57と同様に算出値Qcと基準値Qrとを比較してインダクタ素子100の良否判定の処理を実行し、検査結果(判定結果)を表示部15に表示させる。次いで、処理部17は、搬送機構16を制御して、インダクタ素子100を測定位置P2から搬出位置に搬送させて(ステップ60A)、検査処理50Aを終了する。
一方、処理部17は、上記したステップ56Aにおいて、変動幅Rw1が閾値Rt1よりも大きいと判別したときには、ステップ57A〜59Aを実行することなく、つまり第3測定処理(ステップ57A)、算出処理70Aおよびインダクタ素子100の良否判定の処理(ステップ59A)を実行することなく、Q値を算出しない旨、およびインダクタ素子100の良否判定の処理を実行しない旨を表示部15に表示(報知)させる第3処理を実行する(ステップ61A)。続いて、処理部17は、搬送機構16を制御してインダクタ素子100を測定位置P2から搬出位置に搬送させて(ステップ60A)、検査処理50Aを終了する。
検査処理50Aを実行する構成および方法では、直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下で接触抵抗値Rcの時間的な変化が小さいとき、つまり補正処理を実行することによって補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となる可能性が低いときに補正処理を実行する。このため、この構成および方法においても、検査処理50を実行する構成および方法と同様に、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態を確実に防止することが可能となっている。
また、検査処理50Aを実行する構成および方法では、変動幅Rw1が閾値Rt1よりも大きいときには、第3測定処理(ステップ57A)、算出処理70Aおよびインダクタ素子100の良否判定の処理(ステップ59A)を実行することなく、その旨を報知する。したがって、インダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな算出値Qcが算出されたり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定されたりするような不要な処理のための時間の浪費が防止されて、その分の処理時間を短縮することが可能となっている。
次に、処理部17が、上記した検査処理50および算出処理70に代えて、図8,9にそれぞれ示す検査処理50Bおよび算出処理70Bを実行する構成および方法について説明する。なお、検査処理50Bおよび算出処理70Bにおいて、検査処理50および算出処理70のステップと同様の処理を行うステップについては、重複する説明を省略する。
この検査処理50Bでは、処理部17は、検査処理50におけるステップ51〜55と同様のステップ51B〜55B(図8参照)を実行した後に、図9に示す算出処理70Bを実行する(ステップ56B)。この算出処理70Bでは、処理部17は、同図に示すように、記憶部14に記憶されている各直流抵抗値Rd2を読み出して、各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw2(第2変動幅に相当する)を特定する(ステップ71B)。この場合、処理部17は、一例として、各直流抵抗値Rd2の一部であって時間的に互いに隣接する複数(一例として、2つ)の直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差を変動幅Rw2として特定する処理を2つの直流抵抗値Rd2の組み合わせを変更して実行する。
次いで、処理部17は、記憶部14から閾値Rt2(第2閾値に相当する)を読み出して、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在するか否かを判別する(ステップ72B)。この場合、一例として、良品のインダクタ素子100における端子101a,101bにプローブ32a,32bを確実に接触させた直後から直流抵抗値Rd2を一定の周期で測定したときの最初に測定した直流抵抗値Rd2とその次に測定した直流抵抗値Rd2との差の20%の値が閾値Rt2として設定されている。つまり、端子101a,101bとプローブ32a,32bとが確実に接触して、時間経過伴ってその状態が安定したとき(プローブ32a,32bを介してインダクタ素子100に供給される直流電流の供給状態が安定したとき)における変動幅Rw2の上限値が閾値Rt2として設定されている。
処理部17は、ステップ72Bにおいて、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在する(第2状態に相当する)と判別したときには、変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降に測定された直流抵抗値Rd2の最小値(第3直流抵抗値に相当する)を特定する(ステップ73B)。続いて、処理部17は、算出処理70のステップ74〜78と同様のステップ74B〜78B(図9参照)を実行してQ値を算出する(第1処理の実行)。
次いで、処理部17は、Q値の算出値Qcを記憶部14に記憶させると共に、表示部15に表示させて算出処理70Bを終了し、続いて、図8に示す検査処理50Bのステップ57Bを実行する。このステップ57Bでは、処理部17は、上記した検査処理50のステップ57と同様に算出値Qcと基準値Qrとを比較してインダクタ素子100の良否判定の処理を実行し、検査結果(判定結果)を表示部15に表示させる。次いで、処理部17は、搬送機構16を制御して、インダクタ素子100を測定位置P2から搬出位置に搬送させて(ステップ58B)、検査処理50Bを終了する。
一方、処理部17は、上記した算出処理70Bのステップ72Bにおいて、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在しないと判別したときには、ステップ73B〜77Bを実行することなく、補正処理前の交流抵抗値Raを用いてインダクタ素子100のQ値を算出する第2処理を実行する(ステップ78B)。続いて、処理部17は、Q値の算出値Qcを記憶部14に記憶させると共に、表示部15に表示させて算出処理70Bを終了し、次いで、上記した検査処理50のステップ57,58と同様の図8に示す検査処理50Bのステップ57B,58Bを実行して検査処理50Bを終了する。
検査処理50Bを実行する構成および方法では、直流抵抗値Rd2の変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降、つまり端子101a,101bとプローブ32a,32bとの接触状態が良好な状態で安定したとき以降に測定された直流抵抗値Rd2を用いて補正処理を実行する。このため、この構成および方法においても、検査処理50,50Aを実行する構成および方法と同様に、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態を確実に防止することが可能となっている。
また、検査処理50Bを実行する構成および方法では、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在しないときには、補正処理前の交流抵抗値Raを用いてインダクタ素子100のQ値を算出する第2処理を実行する。このため、この構成および方法では、端子101a,101bとプローブ32a,32bとの接触状態が不安定な状態においては、補正処理を実行することなく交流抵抗値Raを用いてインダクタ素子100のQ値を算出するため、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態をより確実に防止することが可能となっている。
次に、処理部17が、上記した検査処理50および算出処理70に代えて、図10,11にそれぞれ示す検査処理50Cおよび算出処理70Cを実行する構成および方法について説明する。なお、検査処理50Cおよび算出処理70Cにおいて、検査処理50および算出処理70のステップと同様の処理を行うステップについては、重複する説明を省略する。
この検査処理50Cでは、処理部17は、検査処理50におけるステップ51〜54と同様のステップ51C〜54C(図10参照)を実行した後に、上記した算出処理70Bのステップ71Bと同様に各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1を特定し(ステップ55C)、続いて算出処理70Bのステップ72Bと同様に閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在するか否かを判別する(ステップ56C)。
処理部17は、ステップ56Cにおいて、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在すると判別したときには、検査処理50のステップ55と同様に第2測定部12を制御して、第3測定処理を実行させ(ステップ57C)、次いで、図11に示す算出処理70Cを実行する(ステップ58C)。この算出処理70Cでは、処理部17は、記憶部14に記憶されている直流抵抗値Rd2を読み出し、続いて、算出処理70Bのステップ73Bと同様に変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降に測定された直流抵抗値Rd2の最小値(第3直流抵抗値に相当する)を特定する(ステップ71C)。次いで、算出処理70のステップ74〜78と同様のステップ72C〜76Cを実行してQ値を算出する(第1処理の実行)。
続いて、処理部17は、Q値の算出値Qcを記憶部14に記憶させると共に、表示部15に表示させて算出処理70Cを終了し、次いで、上記した検査処理50のステップ57,58と同様の図10に示す検査処理50Cのステップ59C,60Cを実行し、検査処理50Cを終了する。
一方、処理部17は、上記したステップ56Cにおいて、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在しないと判別したときには、ステップ57C〜59Cを実行することなく、つまり第3測定処理(ステップ57C)、算出処理70Cおよびインダクタ素子100の良否判定の処理(ステップ59C)を実行することなく、Q値を算出しない旨、およびインダクタ素子100の良否判定の処理を実行しない旨を表示部15に表示(報知)させる第3処理を実行する(ステップ61C)。続いて、処理部17は、検査処理50のステップ58と同様に、搬送機構16を制御してインダクタ素子100を測定位置P2から搬出位置に搬送させて(ステップ60C)、検査処理50Cを終了する。
検査処理50Cを実行する構成および方法では、直流抵抗値Rd2の変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降、つまり端子101a,101bとプローブ32a,32bとの接触状態が良好な状態で安定したとき以降に測定された直流抵抗値Rd2を用いて補正処理を実行する。このため、この構成および方法においても、検査処理50,50A,50Bを実行する構成および方法と同様に、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態を確実に防止することが可能となっている。
また、検査処理50Cを実行する構成および方法では、閾値Rt2以下の変動幅Rw2が存在しないときには、第3測定処理(ステップ57C)、算出処理70Cおよびインダクタ素子100の良否判定の処理(ステップ59C)を実行することなくその旨を報知するため、インダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな算出値Qcが算出されたり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定されたりするような不要な処理のための時間の浪費が防止されて、その分の処理時間を短縮することが可能となっている。
このように、この処理装置、検査装置1および処理方法では、複数回の第2測定処理によって測定された各直流抵抗値Rd2の変化状態を特定し、交流抵抗値Raを補正した補正抵抗値Ra’を用いてQ値を算出する第1処理、交流抵抗値Raを用いてQ値を算出する第2処理、およびQ値を算出することなくQ値を算出しない旨を報知する第3処理のいずれか1つを各直流抵抗値Rd2の変化状態に応じて実行する。この場合、インダクタ素子100の端子101a,101bに対するプローブ32a,32bの接触状態が不良で、接触抵抗値Rcが時間経過に伴って変化する場合において、直流抵抗値Rd2に含まれる接触抵抗値Rcが交流抵抗値Raに含まれる接触抵抗値Rcよりも大きいときには、その直流抵抗値Rd2を用いて補正した補正抵抗値Ra’が、インダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となることがあり、この補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となる結果、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100を良品と誤判定するおそれがある。これに対して、この処理装置、検査装置1および処理方法では、各直流抵抗値Rd2の変化状態応じて第1処理、第2処理および第3処理を使い分けるため、補正した補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となる可能性が低いときだけ補正抵抗値Ra’を用いてQ値を算出する第1処理を実行することで、算出した算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態を確実に防止することが可能となっている。したがって、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、Q値を用いたインダクタ素子100の良否検査における検査精度を十分に向上させることが可能なQ値を算出することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法では、各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下のときに第1処理を実行し、変動幅Rw1が閾値Rt1よりも大きいときに第2処理を実行する。したがって、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下で接触抵抗値Rcの時間的な変化が小さく補正処理を実行することによって補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となる可能性が低いときだけ、第1処理を実行するため、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態をより確実に防止することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法では、各直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下のときに第1処理を実行し、変動幅Rw1が閾値Rt1よりも大きいときに第3処理を実行する。したがって、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、直流抵抗値Rd2の変動幅Rw1が閾値Rt1以下で接触抵抗値Rcの時間的な変化が小さく補正処理を実行することによって補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さい値となる可能性が低いときだけ、第1処理を実行するため、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態をより確実に防止することができる。また、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、変動幅Rw1が閾値Rt1よりも大きいときには、第3測定処理、Q値を算出する処理およびインダクタ素子100の良否判定の処理を実行することなく第3処理を実行するため、インダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな算出値Qcが算出されたり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定されたりするような不要な処理のための時間の浪費を防止して、その分の処理時間を短縮することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、各直流抵抗値Rd2の最小値を用いて第1処理を実行することにより、第3直流抵抗値を用いて補正した補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さな値となることをより確実に防止することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法では、時間的に互いに隣接する複数の直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差である変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降に測定された直流抵抗値Rd2を用いて第1処理を実行し、変動幅Rw2が閾値Rt2以下とならなかったときに第2処理を実行する。したがって、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、インダクタ素子100の端子101a,101bとプローブ32a,32bとの接触状態が良好な状態で安定したとき以降に測定された直流抵抗値Rd2を用いて補正処理を実行するため、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態をより確実に防止することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法では、時間的に互いに隣接する複数の直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差である変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降に測定された直流抵抗値Rd2を用いて第1処理を実行し、変動幅Rw2が閾値Rt2以下とならなかったときに第3処理を実行する。したがって、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、インダクタ素子100の端子101a,101bとプローブ32a,32bとの接触状態が良好な状態で安定したとき以降に測定された直流抵抗値Rd2を用いて補正処理を実行するため、補正抵抗値Ra’を用いて算出したQ値の算出値Qcがインダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな値となり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定される事態をより確実に防止することができる。また、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、変動幅Rw2が閾値Rt2以下とならなかったときには、第3測定処理、Q値を算出する処理およびインダクタ素子100の良否判定の処理を実行することなく第3処理を実行するため、インダクタ素子100の実際のQ値よりも大きな算出値Qcが算出されたり、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100が良品と誤判定されたりするような不要な処理のための時間の浪費を防止して、その分の処理時間を短縮することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、変動幅Rw2が閾値Rt2以下となったとき以降に測定された直流抵抗値Rd2の最小値を用いて第1処理を実行することにより、第3直流抵抗値を用いて補正した補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さな値となることをより確実に防止することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法では、補正処理において、差分値Rmに0以上1以下の係数Kcを乗じて得た補正値Rm’を交流抵抗値Raから差し引いて交流抵抗値Raを補正する。この場合、補正値Rm’で補正した補正抵抗値Ra’は、差分値Rmで補正した補正抵抗値Ra’よりも小さな値となることがない。このため、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、補正抵抗値Ra’がインダクタ素子100の実際の交流抵抗値Raよりも小さな値となることを確実に回避することができる結果、Q値の算出値Qcが実際のQ値よりも大きな値となる事態をさらに確実に防止することができる。
また、この処理装置、検査装置1および処理方法では、差分値Rmが予め設定された設定値Rrよりも大きいときに第1処理を実行し、差分値Rmが設定値Rr以下のときには第2処理を実行する(または、後述するように、第2処理に代えて第3処理を実行する。つまり、第2処理および第3処理のいずれか一方を実行する)。このため、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、例えば、良好な状態のプローブ32a,32bを使用したときに通常生じる接触抵抗値Rcの上限値を設定値Rrとして設定することで、差分値Rmが設定値Rrよりも大きく、交流抵抗値Raを補正する必要性が高いときだけ補正処理を実行し、差分値Rmが設定値Rr以下で、交流抵抗値Raを補正する必要性が低いときには、補正処理を実行しない、またはQ値の算出自体を行わないようにすることができる。したがって、この処理装置、検査装置1および処理方法によれば、必要性が低い補正処理の実行によって実際のQ値よりも大きな算出値Qcが算出され、実際にはQ値が小さい不良のインダクタ素子100を良品と誤判定される事態を確実に防止することができる。
なお、処理装置、検査装置1および処理方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、対象の直流抵抗値Rd2の最小値を第3直流抵抗値として用いる例について上記したが、対象の直流抵抗値Rd2の平均値を第3直流抵抗値として用いる構成および方法を採用することもできる。
また、時間的に互いに隣接する2つの直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差を変動幅Rw2とする例について上記したが、時間的に互いに隣接する3つ以上の直流抵抗値Rd2の最大値と最小値との差を変動幅Rw2とする構成および方法を採用することもできる。
また、差分値Rmが設定値Rrよりも大きいときに第1処理を実行し、差分値Rmが設定値Rr以下のときに第2処理を実行する例について上記したが、差分値Rmが設定値Rr以下のときに第2処理に代えて第3処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
また、算出処理70において、差分値Rmに係数Kcを乗算して補正値Rm’を算出し、補正値Rm’で交流抵抗値Raを補正する例について上記したが、係数Kcを乗算する処理を行わずに、差分値Rmをそのまま用いて交流抵抗値Raを補正する構成および方法を採用することもできる。
また、算出処理70〜70Cにおいて、差分値Rmが設定値Rrよりも大きいか否かを判別し、差分値Rmが設定値Rrよりも大きいときにのみ補正処理を実行する構成および方法について上記したが、この判別処理を行わずに、常に補正処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
また、搬送機構16を備えてインダクタ素子100を自動的に搬送する検査装置1に適用した例について上記したが、搬送機構16を備えずに、手動で搬送したインダクタ素子100を検査する検査装置に適用することもできる。また、第1測定部11および第2測定部12が移動機構を備えて、移動機構によってプローブ31a〜31dやプローブ32a,32bをインダクタ素子100の端子101a,101bに接触させる例について上記したが、プローブ31a〜31dやプローブ32a,32bを端子101a,101bに手動で接触させる構成および方法を採用することもできる。
また、Q値に基づいてインダクタ素子100を検査する検査装置1に適用した例について上記したが、検査機能を有していない(Q値を算出する機能のみを有する)処理装置に適用することもできる。
また、測定対象は、上記したインダクタ素子100に限定されず、良否検査にQ値を用いる各種の電子部品を測定対象とすることができる。