JP6695367B2 - ポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下の好適な態様を含む。
〔1〕少なくとも1種のポリイミド系高分子を含有し、黄色度YIが0<YI<1.0であるポリイミドフィルム。
〔2〕厚みが20〜200μmである、前記〔1〕に記載のポリイミドフィルム。
〔3〕全光線透過率が88.0%以上である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリイミドフィルム。
〔4〕少なくとも1種のブルーイング剤をさらに含有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
〔5〕ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する単層であるか、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する層を少なくとも有する積層体であるか、又は、ポリイミド系高分子を含有する基材層及びブルーイング剤を含有する色相調整層を少なくとも有する積層体である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
〔6〕少なくとも1層のブルーイング剤を含有する層を含み、ブルーイング剤を含有する各層における、該層の全質量を基準とするブルーイング剤の添加量をX(ppm)とし、該層の厚みをY(μm)として算出されるXとYの積(X×Y)を、ブルーイング剤を含有する全ての層について算出して合計した値は300〜4,500である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
〔7〕ブルーイング剤は、式(6):
で表され、220℃以上の1%熱重量減少温度を有する化合物である、前記〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
〔8〕ブルーイング剤は、式(1)〜式(3):
〔9〕さらにシリカ粒子を含有する、前記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
(黄色度YI)
本発明のポリイミドフィルムは、黄色度YIが0<YI<1.0であるという特徴を有する。黄色度YIは、JIS K 7373:2006に準拠し、紫外可視分光光度計(例えば日本分光(株)製の分光光度計V-670)により、300〜800nmの光に対する透過率測定を行い測定される3刺激値(x、y及びz)から、次の式により算出される。
そのため、このような黄色度YIを有するポリイミドフィルムを例えば白色の印刷が施されたべゼル部を有するフレキシブルディスプレイの前面板材料として使用すると、ベゼル部の白色印刷も青みがかって見えると考えられる。しかしながら、YIを上記の範囲にすることにより、フィルム単独で視認すると青みがかって見えるにもかかわらず、前面板材料として使用すると、表示部の視認性を維持しつつ、ベゼル部の白色色相が維持されることがわかった。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミド系高分子を含有する。本明細書において、ポリイミド系高分子とは、イミド基を含む繰返し構造単位を含有する重合体(ポリイミド)、イミド基及びアミド基の両方を含む繰返し構造単位を含有する重合体、及びイミド基を含む繰り返し構造単位とアミド基を含む繰り返し構造単位との両方を含有する重合体から選ばれるいずれかを含むものを示す。
*は結合手を表し、
Zは、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−Ar−、−SO2−、−CO−、−O−Ar−O−、−Ar−O−Ar−、−Ar−CH2−Ar−、−Ar−C(CH3)2−Ar−又は−Ar−SO2−Ar−を表す。Arはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリーレン基を表し、具体例としてはフェニレン基が挙げられる。得られるフィルムの黄色度を抑制しやすいことから、G及びG1は、好ましくは式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)、式(26)又は式(27)で表される基である。
*は結合手を表し、
Z1、Z2及びZ3は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−又は−CO−を表す。
1つの例は、Z1及びZ3が−O−であり、かつ、Z2が−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−又は−SO2−である。Z1とZ2との各環に対する結合位置、及び、Z2とZ3との各環に対する結合位置は、それぞれ、各環に対してメタ位又はパラ位であることが好ましい。
これらの中でも、好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)プロパン二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、1,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物及び4,4’−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられ、より好ましくは4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物及び4,4’−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
具体例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸の無水物;2,3,6−ナフタレントリカルボン酸−2,3−無水物;フタル酸無水物と安息香酸とが単結合、−CH2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−SO2−もしくはフェニレン基で連結された化合物が挙げられる。
芳香族ジアミンは、より好ましくは、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニルが挙げられる。
また、得られるポリイミド系高分子フィルムの黄色度を抑制する観点から、得られる高分子末端に占めるアミノ基の割合が低いことが好ましく、ジアミン1molに対してテトラカルボン酸化合物等のカルボン酸化合物は1mol以上であることが好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、好ましくは着色剤、より好ましくはブルーイング剤をさらに含有する。ブルーイング剤は、可視光領域のうち、例えば、橙色から黄色などの波長領域の光を吸収し、色相を調整する添加剤(染料、顔料)であって、例えば、群青、紺青、コバルトブルーなどの無機系の染料や顔料、例えば、フタロシアニン系ブルーイング剤、縮合多環系ブルーイング剤などの有機系の染料や顔料などが挙げられる。ブルーイング剤は、特に限定されないが、耐熱性、耐光性、溶解性の観点からは、縮合多環系ブルーイング剤が好ましく、アントラキノン系ブルーイング剤がより好ましい。耐熱性の観点から、ブルーイング剤は、220℃以上の1%熱重量減少温度を有することが好ましい。ブルーイング剤の熱重量減少温度は、熱重量測定(TG)を用いて、一定速度で昇温した際の試料の重量減少を測定することによって得ることができる。1%熱重量減少温度は、仕込み重量に対して、重量減少が1%となる温度として求めることができる。なお、本明細書において、1%熱重量減少温度を「熱分解温度」とも称する。
で表される一般式を有する化合物が挙げられる。式(6)中のX1及びX2は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。式(6)で表される化合物は、式中のX1及びX2のうち少なくとも1つが、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキル基で置換されたフェニル基を有することが好ましく、X1又はX2が炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状アルキル基で置換されたフェニル基を有することがより好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、強度を高める観点から、ポリイミド系高分子の他に無機粒子等の無機材料を更に含有してもよい。無機材料としては、例えば、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、シリカ粒子等の無機粒子、及びオルトケイ酸テトラエチル等の4級アルコキシシラン等のケイ素化合物等が挙げられる。ポリイミドフィルムを製造するためのポリイミドワニスの安定性の観点から、無機材料は好ましくは無機粒子であり、より好ましくはシリカ粒子である。シリカ粒子として、有機溶剤等にシリカ粒子を分散させたシリカゾルを用いてもよいし、気相法で製造したシリカ微粒子粉末を用いてもよいが、ハンドリングが容易であることからシリカゾルを用いることが好ましい。ここで、無機粒子同士は、シロキサン結合を有する分子により結合されていてもよい。
ポリイミドフィルムは、1種又は2種以上の紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、樹脂材料の分野で紫外線吸収剤として通常用いられているものから、適宜選択することができる。紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光を吸収する化合物を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシレート系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、及びトリアジン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。ポリイミドフィルムが紫外線吸収剤を含有することにより、ポリイミド樹脂の劣化が抑制されるため、ポリイミドフィルムの視認性を高めることができる。
ポリイミドフィルムは、透明性、屈曲性及び位相差性を損なわない範囲で、更に他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤、難燃剤、pH調整剤、シリカ分散剤、滑剤、増粘剤、及びレベリング剤等が挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムの厚みは、黄色度YIが0<YI<1.0の範囲にあればよく、用途に応じて適宜調整することができる。ポリイミドフィルムの厚みは、好ましくは20〜200μm、より好ましくは25〜150μm、さらに好ましくは30〜100μm、特に好ましくは50〜100μmである。なお、本発明において、厚みは接触式のデジマチックインジケーターによって測定することができる。厚みが上記の下限以上であることが、フィルムとしての取扱い性を向上しやすく、鉛筆硬度などを高めやすいため好ましい。また、厚みが上記の上限以下であることが、フィルムの屈曲耐性を高めやすいため好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、JIS K 7105:1981に準拠した全光線透過率が好ましくは88.0%以上、より好ましくは88.5%以上、さらに好ましくは89.0%以上、特に好ましくは89.5%以上、きわめて好ましくは90.0%以上である。ポリイミドフィルムの全光線透過率が上記の下限以上であると、ポリイミドフィルムを画像表示装置に組み込んだ際に、十分な視認性を確保することができる。なお、ポリイミドフィルムの全光線透過率の上限値は通常100%以下である。全光線透過率は、上記のフィルムの厚さの範囲において88.0%以上であることが好ましく、50〜100μmの厚さで測定した際に上記の数値を示すことがより好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、黄色度YIが0<YI<1.0であるため、白色の印刷が施されたべゼル部を有するフレキシブルディスプレイの前面板材料として使用する場合に視認性に優れる。ポリイミドフィルムの視認性は、50〜100μmの厚さのポリイミドフィルムであって、黄色度YIが0.01以上であり、かつ上記の全光線透過率が89.0%以上であると、当該フィルムを市販の白ベゼル印刷されたディスプレイに設置したときの色目を目視で観察したときに、白ベゼルが白色に見え、さらに文字を正しく認識することができる傾向となる。さらには、50〜100μmの厚さのポリイミドフィルムであって、黄色度YIが0.01以上であり、かつ上記の全光線透過率が90.0%以上であると、当該フィルムを市販の白ベゼル印刷されたディスプレイに設置したときの色目を目視で観察したときに、白ベゼルが白色に見え、さらに文字を明確に認識することができる傾向となる。
ポリイミドフィルムの黄色度YIが、1以上である場合や、又は0以下である場合は、全光線透過率が89.0%以上であっても、当該フィルムを市販の白ベゼル印刷されたディスプレイに設置したときの色目を目視で観察したときに、白ベゼルは黄みを帯びた白色か又は青みを帯びた白色で視認される傾向にある。なお、視認性は、例えば実施例に記載の方法により評価できる。
本発明のポリイミドフィルムの層構成は特に限定されず、単層であってもよいし、2層以上の多層であってもよい。ポリイミドフィルムが多層の構成である場合、ブルーイング剤を含有する層が2層以上含まれていてもよい。画像表示装置の薄膜化や、経済性の観点からは、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を1つの層に含有することが好ましく、具体的には、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する単層であるか、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する層を少なくとも有する積層体であることがより好ましい。また、耐衝撃特性の観点からは、本発明のポリイミドフィルムは2層以上の多層構造を有することが好ましく、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する層を少なくとも有する積層体であるか、又は、ポリイミド系高分子を含有する基材層及びブルーイング剤を含有する色相調整層を少なくとも有する積層体であることがより好ましく、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する層を少なくとも有する積層体であることがさらに好ましい。ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する層を形成する際、ポリイミド系高分子を含有する溶媒にブルーイング剤を添加しワニスを調製し、ワニスを塗工し、ワニスに含まれる溶媒を乾燥させてフィルムを製膜する。ここで、通常のブルーイング剤は、ワニスから溶媒を乾燥させるフィルム製膜時に、熱分解など劣化を伴うことが多い。そのため、1つの層にブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有させて、色相調整層の機能を単層において達成しやすい観点からは、少なくとも200℃以上の熱分解温度を有するブルーイング剤を用いることが好ましい。1つの層にブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有するポリイミドフィルムは、画像表示装置の薄膜化や、経済性の観点から好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは、上記層構成のポリイミドフィルムにさらに1以上の機能層を積層させた、ポリイミド積層体であってもよい。本明細書において、単に「ポリイミドフィルム」という場合は、上記層構成のポリイミドフィルム及びポリイミド積層体のどちらであってもよく、いずれも該当する。機能層としては、ハードコート層、紫外線吸収層、粘着層、屈折率調整層、プライマー層等の種々の機能を有する層が挙げられる。機能層の厚さは、ポリイミドフィルムに積層する機能層の種類により、適宜の厚さに調整することができる。ポリイミドフィルムは、単数又は複数の機能層を備えていてもよい。また、1つの機能層が複数の機能を有してもよい。例えば、本発明のポリイミドフィルムが単層構成である場合、単層のポリイミドフィルムに上記機能層を形成させて、多層構成のポリイミド積層体を得てよい。また、本発明のポリイミドフィルムが上記基材層及び色相調整層を少なくとも有する場合、上記のハードコート層、紫外線吸収層、粘着層、屈折率調整層、プライマー層等の種々の機能を有する機能層にブルーイング剤を添加して、これら機能層を色相調整層としてもよい。また、本発明のポリイミドフィルムが上記基材層及び色相調整層を少なくとも有する場合、これにさらに機能層を積層させてもよい。
シランカップリング剤は、特にポリイミドフィルムに含まれ得るケイ素化合物の配合比が高い場合に好適に用いることができる。
本発明のポリイミドフィルムの製造方法の一例について説明する。
(a)ポリイミド系高分子を含む液(ポリイミドワニス)を基材に塗布して塗膜を形成する工程(塗布工程)、及び
(b)塗布された液(ポリイミドワニス)を乾燥させてポリイミドフィルムを形成する工程(フィルム形成工程)
を含む製造方法によって製造することができる。工程(a)及び(b)は、通常この順で行ってよい。
必要に応じて、不活性雰囲気又は減圧の条件下において塗膜の乾燥を行ってよい。
この態様においても、1つの層にブルーイング剤及びポリイミド系高分子が含有されるため、少なくとも220℃以上の熱分解温度を有するブルーイング剤を用いることが好ましい。
(c)ポリイミドフィルム上に、ブルーイング剤を含有する組成物(以下において「ブルーイング剤組成物」とも称します)を塗布して塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)によって製造することができる。
本発明のポリイミドフィルムは、画像表示装置の前面板、特にフレキシブルディスプレイの前面板(ウィンドウフィルム)として有用である。本発明の別の実施形態においては、本発明のポリイミドフィルムを備える画像表示装置、特にフレキシブルディスプレイも提供される。本実施形態に係るフレキシブルディスプレイは、例えば、フレキシブル機能層と、フレキシブル機能層に重ねられて前面板として機能する上記ポリイミドフィルムを有する。すなわち、フレキシブルディスプレイの前面板は、フレキシブル機能層の上の視認側に配置される。この前面板は、フレキシブル機能層を保護する機能を有する。
サンプルの全光線透過率を、JIS K7105:1981に準拠して、スガ試験機社製の全自動直読ヘーズコンピューターHGM−2DPにより測定した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定
(1)前処理方法
試料をγ−ブチロラクトン(GBL)に溶解させて20質量%溶液とした後、DMF溶離液にて100倍に希釈し、0.45μmメンブランフィルターろ過したものを測定溶液とした。
(2)測定条件
カラム:TSKgel SuperAWM−H×2+SuperAW2500×1(6.0mm I.D.×150mm×3本)
溶離液:DMF(10mMの臭化リチウム添加)
流量:0.6mL/min.
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:20μL
分子量標準:標準ポリスチレン
試料の黄色度(Yellow Index:YI値)を、JIS K 7373:2006に準拠して、日本分光(株)製の紫外可視近赤外分光光度計V−670を用いて測定した。試料がない状態でバックグランド測定を行った後、試料をサンプルホルダーにセットして、300〜800nmの光に対する透過率測定を行い、3刺激値(x、y、z)を求めた。YI値を、下記の式に基づいて算出した。
作製したフィルムについて、図1に示すように、フィルムを市販の白ベゼル印刷されたディスプレイに設置したときの色目を目視で観察したときの視認性を表1に示す。視認性の判定は、視認者が照射強度1000〜2000lx下、試料を1mと2mの視距離から見て、ベゼル部の白色の色相を下記の4段階で評価した。文字の視認性は、文字が明確に見える場合を「非常に良好」、「非常に良好」よりは明確でないが文字を正しく認識ができる場合を「良好」、及び文字を正しく認識ができない又は認識しにくい場合を「悪い」としている。
◎:白ベゼルが白色に見え、ディスプレイに表示される文字の視認性が非常に良好。
○:白ベゼルが白色に見え、ディスプレイに表示される文字の視認性が良好。
△:白ベゼルが明らかに着色しており白色とは言えないが、文字の視認性が良好。
×:白ベゼルが明らかに着色しており白色とは言えず、文字の視認性も悪い。
窒素雰囲気下、溶媒トラップ及びフィルターを取り付けた真空ポンプが接続された反応容器に、1.25gのイソキノリンを投入した。次に、反応容器にγ−ブチロラクトン(GBL)375.00g、及び2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)104.12gを投入し、混合物を撹拌して溶解させた。さらに、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)145.88gを反応容器に加えた後、混合物を撹拌しつつオイルバスで昇温を開始した。
加えたTFMBと6FDAとのモル比は1.00:0.99であり、混合物中のモノマー濃度は40質量%であった。反応容器の内温が80℃に到達したところで650mmHgまで減圧し、続けて内温180℃まで昇温した。内温が180℃に到達した後、さらに4時間加熱撹拌を行った。その後、大気圧まで復圧し、内温を155℃まで冷却し、ポリイミド溶液を得た。155℃にてGBLを加えてポリイミドの固形分が24質量%である均一溶液を調製し、その後、反応容器から均一溶液であるポリイミドワニス(1)を取り出した。得られたポリイミドワニス中のポリイミドについて、GPC測定を行ったところ、重量平均分子量は360,000であった。また、ポリイミドのフッ素原子含有量は31.3質量%であった。
ポリイミドワニス(2)として、三菱ガス化学(株)製の「ネオプリム(登録商標)C6A20」を用いた。「ネオプリムC6A20」は、γ−ブチロラクトン溶媒中に、22質量%のポリイミド系高分子(2)を含有する。
窒素雰囲気下、撹拌翼を備えた1Lセパラブルフラスコに、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル(TFMB)40.00g(124.91mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)682.51gを加え、室温で撹拌しながらTFMBをDMAcに溶解させた。次に、フラスコに4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)16.78g(37.77mmol)を添加し、室温で3時間撹拌した。その後、4,4’−オキシビス(ベンゾイルクロリド)(OBBC)3.72g(12.59mmol)、次いでテレフタロイルクロリド(TPC)15.34g(75.55mmol)をフラスコに加え、室温で1時間撹拌した。次いで、フラスコに4−メチルピリジン8.21g(88.14mmol)と無水酢酸15.43g(151.10mmol)とを加え、室温で30分間撹拌後、オイルバスを用いて70℃に昇温し、さらに3時間撹拌し、ポリイミド系高分子(3)を含有するポリイミドワニス(3)を得た。
得られたポリイミドワニス(3)を室温まで冷却し、大量のメタノール中に糸状に投入し、析出した沈殿物を取り出し、メタノールで6時間浸漬後、メタノールで洗浄した。次に、100℃にて沈殿物の減圧乾燥を行い、重量平均分子量Mwが430,000であるポリイミド系高分子(3)を得た。重量平均分子量は、実施例1と同様にして測定した。ポリイミドのフッ素原子含有量は26質量%であった。
製造例1で得られたポリイミドワニス(1)200.00gに、GBL18.40g及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)11.82g、スミプラストバイオレットB(式(1)で表される化合物)1.50mg(ポリイミドワニス中の固形分に対して31ppm)を加えてさらに希釈した。希釈されたポリイミドワニスを用いて、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム上において流涎成形により塗膜を成形した。その後、50℃で30分、140℃で10分加熱することによって塗膜を乾燥し、PETフィルムから塗膜を剥離した。その後、200℃で40分、塗膜を加熱することによって、80μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を0ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。その後、ポリイミドフィルム上に、AICA社製Z−624 24.0gにスミプラストバイオレットB(式(1)で表される化合物) 12.0mg(Z−624中の固形分に対して500ppm)を加えて、乾燥後の厚さが5μmとなるように、ワイヤーバーを用いて塗布し、塗膜を形成した。得られた塗膜を120℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量500mJ/cm2で、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚さ5μmのハードコート層を形成した。
ブルーイング剤の添加量を0.63ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を10ppmとしたこと以外は実施例2と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
スミプラストバイオレットBに代えてスミプラストブルーOA(式(2)で表される化合物)を使用し、ブルーイング剤の添加量を50ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。このようにして得たポリイミドフィルムを、200℃で40分加熱することによって、50μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
スミプラストバイオレットBに代えてスミプラストブルーGP(式(3)で表される化合物)を使用し、ブルーイング剤の添加量を50ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。このようにして得たポリイミドフィルムを、200℃で40分加熱することによって、50μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を10ppmとしたこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。このようにして得たポリイミドフィルムを、200℃で40分加熱することによって、50μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を47ppmとし、製造例1で得たポリイミド系高分子に代えて製造例2で得たポリイミド系高分子を使用したこと以外は実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を63ppmとしたこと以外は実施例6と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を0.63ppmとしたこと以外は実施例6と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
ポリイミドワニス(2)である三菱ガス化学(株)製「ネオプリムC6A20」(γ−ブチロラクトン溶媒、22質量%)、γ−ブチロラクトンに固形分濃度30質量%のシリカ粒子(平均一次粒子径23nm)を分散した溶液、及びスミプラストバイオレットBを38ppmを混合し、30分間攪拌し、ポリイミドワニス(2’)を得た。ここで、シリカ粒子の固形分とポリイミド系高分子の固形分の質量比を30:70、とした。
次に、それを基材にキャスト製膜し、50μmの厚みのポリイミド系高分子フィルム原反を得た。次に、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム上において流涎成形により塗膜を成形した。その後、50℃で30分、140℃で10分加熱することによって塗膜を乾燥し、PETフィルムから塗膜を剥離した。その後、200℃で40分、塗膜を加熱することによって80μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を50ppmとしたこと以外は実施例7と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
製造例3で得られたポリイミド系高分子(3)粉末20gをγ−ブチロラクトン272.093g、シリカ粒子(平均一次粒子径27nm)の固形分とポリイミド系高分子の固形分の質量比が50:50になるように、固形分濃度30質量%でγ−ブチロラクトンに分散したシリカ粒子66.534g、及びスミプラストバイオレットB2.00mg(ポリイミドワニス中の固形分に対して50ppm)を混合した溶液に溶解し、3時間撹拌することでポリイミドワニス(3’)を得た。希釈されたポリイミド系ワニスを用いて、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルム上において流涎成形により塗膜を成形した。その後、50℃で30分、140℃で10分加熱することによって塗膜を乾燥し、PETフィルムから塗膜を剥離した。その後、200℃で40分、塗膜を加熱することによって50μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
ブルーイング剤の添加量を0.63ppmとしたこと以外は実施例7と同様にして、ポリイミドフィルムを得た。
スミプラストバイオレットBに代えて銅フタロシアニン(DIC(株)製、製品名FASTOGEN Blue CA5380)を1.417mg(ポリイミドワニス中の固形分に対して50ppm)使用した以外は、実施例9と同様に行い、50μmの厚さを有するポリイミドフィルムを得た。
また、上記から、好ましくはブルーイング剤としてアントラキノン系ブルーイング剤を含有すると、少量の使用量で所望のYI値となり、また高い全光線透過率を有するフィルムが得られる傾向にあることがわかった。
2 ポリイミドフィルムカバー部
3 ポリイミドフィルム未カバー部
Claims (10)
- 少なくとも1種のポリイミド系高分子を含有し、黄色度YIが0<YI<1.0であり、該ポリイミド系高分子は式(10):
で表される繰り返し構造単位、および、式(13):
で表される繰り返し構造単位を有し、該ポリイミド系高分子の重量平均分子量は70,000以上である、ポリイミドフィルム。 - 厚みが20〜200μmである、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
- 全光線透過率が88.0%以上である、請求項1又は2に記載のポリイミドフィルム。
- 全光線透過率が88.5%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
- 少なくとも1種のブルーイング剤をさらに含有する、請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
- ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する単層であるか、ブルーイング剤及びポリイミド系高分子を含有する層を少なくとも有する積層体であるか、又は、ポリイミド系高分子を含有する基材層とブルーイング剤を含有する色相調整層を少なくとも有する積層体である、請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
- 少なくとも1層のブルーイング剤を含有する層を含み、ブルーイング剤を含有する各層における、該層の全質量を基準とするブルーイング剤の添加量をX(ppm)とし、該層の厚みをY(μm)として算出されるXとYの積(X×Y)を、ブルーイング剤を含有する全ての層について算出して合計した値は300〜4,500である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
- ブルーイング剤は、式(6):
で表され、220℃以上の1%熱重量減少温度を有する化合物である、請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミドフィルム。 - ブルーイング剤は、式(1)〜式(3):
- さらにシリカ粒子を含有する、請求項1〜9のいずれかに記載のポリイミドフィルム。
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