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JP6657842B2 - 角速度センサ装置 - Google Patents

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JP6657842B2 JP2015228266A JP2015228266A JP6657842B2 JP 6657842 B2 JP6657842 B2 JP 6657842B2 JP 2015228266 A JP2015228266 A JP 2015228266A JP 2015228266 A JP2015228266 A JP 2015228266A JP 6657842 B2 JP6657842 B2 JP 6657842B2
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Description

本発明は、振動型角速度センサを有する角速度センサ装置に関するものである。
従来、特許文献1において、振動型角速度センサ(以下、単に角速度センサという)が提案されている。この角速度センサは、センサ構造体を構成する基板の平面方向をxy平面として、基部に対してx方向の両側に駆動振動片を備えているとともに、基部からy方向の両側に検出振動片が延設された構造とされている。そして、一方の駆動振動片および他方の駆動振動片の厚さを基部の厚さよりも小さくすることで、駆動モードの近辺での不要周波数を低下させ、z軸方向への不要振動の発生が抑制されるようにしている。
特開2014−101278号公報
上記したz軸方向への不要振動は、本来発生させたくない振動であり、このような不要振動によって検出信号にノイズが付加され、角速度センサの検出精度を低下させる要因となる。特許文献1に示されるように、角速度センサの構造に基づいて不要振動が生じ難いようにする場合、使用初期時には不要振動を抑制することができるものの経年劣化などのように製造後に発生した要因に基づく不要振動については抑制することができない。
本発明は上記点に鑑みて、不要振動を抑制し、検出精度を向上させることが可能な角速度センサ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の角速度センサ装置は、支持基板(11)と、支持基板に対して固定された固定部(20)と、駆動錘(31、32)および検出錘(31、32)とを有する可動部(30)と、駆動錘を基板の平面と平行な平面上において移動可能としつつ固定部に対して支持する駆動梁(42)、および、検出錘を基板の平面と平行な平面上において移動可能としつつ固定部に対して支持する検出梁(41)を有する梁部(40)とを有する振動型角速度センサと、該振動型角速度センサの周囲を囲むと共に支持基板に接続された周辺部(10c)と、を備えたセンサ基板(10)と、センサ基板のうち支持基板と反対側の一面に配置され、周辺部と接合されるキャップ層(13)と、を備えている。そして、振動型角速度センサは、駆動錘を基板の平面上における一方向に駆動振動させ、角速度の印加に伴って検出錘が基板の平面上において一方向に対する垂直方向にも振動することに基づき角速度検出を行う。このような振動型角速度センサにおいて、支持基板およびキャップ層それぞれにおけるセンサ基板側の一面には、駆動振動させられる駆動錘と対応する位置に、センサ基板の厚み方向における駆動錘の駆動振動位置を調整する制御電極(50a、50b)が備えられている。また、制御電極は、駆動錘が駆動振動する際の移動軌跡と対応する位置に備えられていると共に、駆動錘が駆動振動する際の移動軌跡に沿って複数個備えられており、複数個それぞれに印加する電圧が独立して制御される。
このように、支持基板およびキャップ層それぞれにおけるセンサ基板側の一面に制御電極を形成し、制御電極によってセンサ基板の厚み方向における駆動錘の駆動振動位置を調整可能としている。これにより、駆動錘の駆動振動位置をセンサ基板の厚み方向の所望位置に制御することができて、不要振動を抑制できる。よって、角速度センサ装置による角速度の検出精度を向上させることが可能となる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態にかかる角速度センサ装置における角速度センサについてキャップ層を省略して表した上面レイアウト図である。 図1中のII−II断面図である。 図1中のIII−III断面図である。 図1中のIV−IV断面図である。 図1に示す角速度センサ装置の駆動振動時の様子を示した上面図である。 図1に示す角速度センサ装置の角速度印加時の様子を示した上面図である。 第2実施形態にかかる角速度センサ装置の断面図である。 第3実施形態にかかる角速度センサ装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態で説明する角速度センサ装置は、センサ部を構成する基板の表面側および裏面側をそれぞれ支持基板とキャップ層にて覆ってウェハレベルパッケージ(以下、WLP(Wafer Level Package)という)構造とした角速度センサなどを有するものである。角速度センサ装置は、例えば、車両の上下方向に平行な中心線周りの回転角速度の検出を行うために用いられるが、勿論、車両用以外にも適用できる。
以下、図1〜図6を参照して、本実施形態にかかる角速度センサ装置について説明する。
本実施形態にかかる角速度センサ装置は、図1および図2に示すように、センサ基板10を用いて角速度センサ100を形成したものである。以下、図1および図2の紙面左右方向をx軸方向、図1の紙面上下方向および図2の紙面法線方向をy軸方向、図1の紙面法線方向および図2の紙面上下方向をz軸方向として本実施形態にかかる角速度センサ装置の詳細について説明する。
角速度センサ装置は、図1中のxy平面が車両水平方向に向けられ、図2のz軸方向が車両の上下方向と一致するようにして車両に搭載される。
図1および図2に示すように、角速度センサ装置に備えられる角速度センサ100は、板状のセンサ基板10をエッチングして所定のレイアウトとすることで形成されている。センサ基板10の裏面10a側には、支持基板11が配置されており、接合部12を介して接合されている。また、センサ基板10の表面10b側、つまり支持基板11と反対側には、キャップ層13が配置されており、接合部14を介して接合されている。このように、センサ基板10を挟んで支持基板11とキャップ層13とを貼り合せることでWLP構造の角速度センサ装置を構成している。
本実施形態では、センサ基板10、支持基板11およびキャップ層13を例えばシリコン基板によって構成しており、接合部12、14を例えばシリコン酸化膜などの絶縁膜によって構成している。センサ基板10の表面がxy平面と平行とされ、センサ基板10の厚み方向がz軸方向に向けられている。センサ基板10、支持基板11およびキャップ層13については1枚1枚独立したシリコン基板によって構成されていても良いが、例えば、センサ基板10および支持基板11が接合部12を挟み込んだSOI(Silicon on insulatorの略)基板にて構成されていても良い。
角速度センサ100は、固定部20と可動部30および梁部40にパターニングされている。固定部20は、図2に示すように、接合部12を介して支持基板11に固定されている。可動部30および梁部40は、角速度センサ100における振動子を構成するものである。可動部30は、支持基板11の上にリリースされた状態で配置されている。梁部40は、可動部30を支持すると共に角速度検出を行うために可動部30をx軸方向およびy軸方向において変位させるものである。これら固定部20と可動部30および梁部40の具体的な構造を説明する。
固定部20は、可動部30を支持すると共に、駆動用電圧の印加用のパッド接続部や角速度検出に用いられる検出信号の取り出し用のパッド接続部などの各種パッド接続部300が形成される部分である。本実施形態では、これら各機能を1つの固定部20によって実現しているが、例えば可動部30を支持するための支持用固定部、駆動用電圧が印加される駆動用固定部、角速度検出に用いられる検出用固定部に分割した構成とされても良い。その場合、例えば図1に示した固定部20を支持固定部とし、支持固定部に連結されるように駆動用固定部と検出用固定部を備え、駆動用固定部に駆動用電圧の印加用のパッド接続部や検出用固定部に検出信号取り出し用のパッド接続部などを備えればよい。
具体的には、固定部20は、例えば上面形状が四角形で構成されている。固定部20のx軸方向およびy軸方向の幅については任意であるが、後述する検出梁41の幅よりも広くしてある。
固定部20と支持基板11との間には内側接合部12aが配置されており、内側接合部12aを介して固定部20が支持基板11に固定されている。同様に、固定部20とキャップ層13との間には内側接合部14aが配置されており、内側接合部14aを介して固定部20がキャップ層13にも固定されている。これら内側接合部12a、14aにより、センサ基板10と支持基板11もしくはキャップ層13とが接合されている。
可動部30は、角速度印加に応じて変位する部分であり、駆動用電圧の印加によって駆動振動させられる駆動用錘と駆動振動時に角速度が印加されたときにその角速度に応じて振動させられる検出用錘とを有した構成とされる。本実施形態の場合、可動部30として、駆動用錘と検出用錘の役割を同じ錘によって担う駆動兼検出用錘31、32が備えられている。駆動兼検出用錘31、32は、x軸方向において、固定部20を挟んだ両側に配置されており、固定部20から等間隔の場所に配置されている。各駆動兼検出用錘31、32は、同寸法、同質量で構成され、本実施形態の場合、上面形状が四角形で構成されている。各駆動兼検出用錘31、32は、それぞれ相対する二辺において梁部40に備えられる後述する駆動梁42に連結させられることで、両持ち支持されている。各駆動兼検出用錘31、32の下方においては、接合部12が除去されており、支持基板11から各駆動兼検出用錘31、32がリリースされている。このため、各駆動兼検出用錘31、32は、駆動梁42の変形によってx軸方向に駆動振動可能とされ、角速度印加の際には駆動梁42などの変形によってy軸方向を含む固定部20を中心とした回転方向へも振動可能とされている。
梁部40は、検出梁41と、駆動梁42および支持梁43を有した構成とされている。
検出梁41は、固定部20と支持梁43とを連結するy軸方向に延設された直線状の梁とされ、本実施形態では固定部20の相対する二辺に連結されることで、支持梁43を固定部20に連結させている。検出梁41のx軸方向の寸法は、z軸方向の寸法よりも薄くされており、x軸方向に変形可能とされている。
駆動梁42は、駆動兼検出用錘31、32と支持梁43とを連結するy軸方向、つまり検出梁41と平行な方向に延設された直線状の梁とされている。各駆動兼検出用錘31、32に接続された駆動梁42から検出梁41までは等距離とされている。駆動梁42のx軸方向の寸法も、z軸方向の寸法よりも薄くされており、x軸方向に変形可能とされている。これにより、駆動兼検出用錘31、32をxy平面上において変位可能としている。
支持梁43は、x軸方向に延設された直線状の部材とされ、支持梁43の中心位置において検出梁41が連結されており、両端位置において各駆動梁42が連結されている。支持梁43は、y軸方向の寸法が検出梁41や駆動梁42におけるx軸方向の寸法よりも大きくされている。このため、駆動振動時には駆動梁42が主に変形し、角速度印加時には検出梁41および駆動梁42が主に変形するようになっている。
このような構造により、駆動梁42と支持梁43および駆動兼検出用錘31、32によって上面形状が四角形の枠体が構成され、その内側に検出梁41および固定部20が配置された角速度センサ100の基本構造が構成されている。
さらに、駆動梁42には、図1および図3に示すように駆動部51が形成されており、検出梁41には、図4に示すように、振動検出部53が形成されている。これら駆動部51および振動検出部53が外部に備えられた図2に示す制御装置60に電気的に接続されることで、角速度センサ装置の駆動が行われるようになっている。
駆動部51は、図1に示すように、各駆動梁42のうち支持梁43との連結部近傍に備えられており、各場所に2本ずつ所定距離を空けて配置され、y軸方向に延設されている。図3に示すように、駆動部51は、センサ基板10のうちの駆動梁42を構成する部分の表面に下層電極51aと駆動用薄膜51bおよび上層電極51cが順に積層された構造とされている。下層電極51aおよび上層電極51cは、例えばAl電極などによって構成されている。これら下層電極51aおよび上層電極51cは、図1に示した支持梁43および検出梁41を経て固定部20まで引き出された配線部51d、51eを通じて、駆動用電圧の印加用のパッドやGND接続用のパッドに繋がるパッド接続部300に接続されている。また、駆動用薄膜51bは、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(いわゆるPZT)膜などの圧電膜によって構成されている。
このような構成において、下層電極51aと上層電極51cとの間に電位差を発生させることで、これらの間に挟まれた駆動用薄膜51bを変位させ、駆動梁42を強制振動させることで駆動兼検出用錘31、32をx軸方向に沿って駆動振動させる。例えば、各駆動梁42のx軸方向の両端側に1本ずつ駆動部51を備えるようにし、一方の駆動部51の駆動用薄膜51bを圧縮応力で変位させると共に他方の駆動部51の駆動用薄膜51bを引張応力で変位させる。このような電圧印加を各駆動部51に対して交互に繰り返し行うことで、駆動兼検出用錘31、32をx軸方向に沿って駆動振動させている。
振動検出部53は、図1および図4に示すように、検出梁41のうちの固定部20との連結部近傍に備えられており、検出梁41におけるx軸方向の両側それぞれに設けられ、y軸方向に延設されている。図4に示すように、振動検出部53は、検出梁41を構成する接合部12の表面に下層電極53aと検出用薄膜53bおよび上層電極53cが順に積層された構造とされている。下層電極53aおよび上層電極53cや検出用薄膜53bは、それぞれ、駆動部51を構成する下層電極51aおよび上層電極51cや駆動用薄膜51bと同様の構成とされている。下層電極53aおよび上層電極53cは、図1に示した固定部20まで引き出された配線部53d、53eを通じて、検出信号出力用のパッドに繋がるパッド接続部300に接続されている。
このような構成では、角速度の印加に伴って検出梁41が変位すると、それに伴って検出用薄膜53bが変形する。これにより、例えば下層電極53aと上層電極53cとの間の電気信号、例えば定電圧駆動の場合の電流値もしくは定電流駆動の場合の電圧値が変化することから、それを角速度を示す検出信号として図示しない検出信号出力用のパッドを通じて外部に出力している。
以上のようにして、本実施形態にかかる角速度センサ装置に備えられた角速度センサ100が構成されている。なお、図1中では、駆動部51の配線部51d、51eや振動検出部53の配線部53d、53eとの接続関係を省略してあるが、各配線部51d、51e、53d、53eは、例えばそれぞれが異なるパッド接続部300に接続されている。
さらに、センサ基板10には、角速度センサ100を囲むように配置された周辺部10cが形成されている。周辺部10cは、角速度センサ100の周囲を囲む四角形の枠体形状で構成されている。そして、周辺部10cは、外側接合部12bを介して支持基板11と接合され、外側接合部14bを介してキャップ層13と接合されている。この周辺部10cには、貫通電極10dが形成されており、周辺部10cの表裏での電気的接続が可能とされている。
支持基板11は、上記したようにシリコン基板によって構成されており、一面側が接合部12を介してセンサ基板10に貼り合わされている。具体的には、支持基板11は、内側接合部12aを介して固定部20と接合されており、外側接合部12bを介して周辺部10cと接合されている。支持基板11は、単なる板状部材であっても良いが、本実施形態の場合、内側接合部12aおよび外側接合部12bを介して接合されている固定部20や周辺部10cと対応する場所以外の部分については、エッチングによってキャビティ11aを形成している。このようなキャビティ11aが形成されることで、角速度センサ100を構成する各部が支持基板11と接触しないようにされている。
また、支持基板11の表面、つまりセンサ基板10側の一面には、制御電極50aが形成されている。制御電極50aは、支持基板11の表面のうち駆動兼検出用錘31、32と対応する位置、より詳しくは駆動兼検出用錘31、32が駆動振動する際の移動軌跡を投影した位置を含むように形成されている。例えば、制御電極50aは、支持基板11の表面に金属層を配置したのちパターニングすること、もしくはマスクを用いて金属膜を所望パターンで成膜することによって形成される。本実施形態の場合、制御電極50aは、キャビティ11a内から支持基板11の外縁部に延設されている。そして、上記した貫通電極10dに対して電気的に接続されている。
なお、支持基板11と固定部20との間には、ダミーパッド部301が形成されている。ダミーパッド部301は、パッド接続部300と対応する位置に同パターンで形成されており、パッド接続部300と同材料(例えばアルミニウム)などで構成されている。ダミーパッド部301は、必須ものではないが、応力緩和を目的として配置している。すなわち、角速度センサ100を構成する各部との電気的接続のためにパッド接続部300を備えているが、センサ基板10を挟んだ両側の一方のみに形成してあると、センサ基板10の表面10b側と裏面10a側とで応力にズレが生じる。このため、センサ基板10の表面10b側と裏面10a側とで応力の均一化を図るべく、ダミーパッド部301をパッド接続部300と対応する位置に同パターンで形成してある。ダミーパッド部301については、例えば、上記した制御電極50aと同時に形成することができる。
キャップ層13も、上記したようにシリコン基板によって構成されており、一面側が接合部14を介してセンサ基板10に貼り合わされている。具体的には、キャップ層13は、内側接合部14aを介して固定部20と接合されており、外側接合部14bを介して周辺部10cと接合されている。キャップ層13は、単なる板状部材であっても良いが、本実施形態の場合、内側接合部14aおよび外側接合部14bを介して接合されている固定部20や周辺部10cと対応する場所以外の部分についてはエッチングによってキャビティ13aを形成している。このようなキャビティ13aが形成されることで、角速度センサ100を構成する各部がキャップ層13と接触しないようにされている。
また、キャップ層13と固定部20との間には、パッド接続部300が形成されている。さらに、キャップ層13のうち、パッド接続部300と対応する位置には、貫通孔13bが形成されており、貫通孔13b内にスルーホールビア(以下、TSVという)13cが形成されている。そして、キャップ層13の表面側に複数のパッド部13dが形成されている。これにより、TSV13cを通じて各パッド部13dが対応する各パッド接続部300に電気的に接続された構成とされている。このように構成された各パッド部13dに対して例えばワイヤボンディングを行うことで外部との電気的接続が行われるようになっている。
また、キャップ層13の裏面、つまりセンサ基板10側の一面には、制御電極50bが形成されている。制御電極50bは、キャップ層13の裏面のうち駆動兼検出用錘31、32と対応する位置、より詳しくは駆動兼検出用錘31、32が駆動振動する際の移動軌跡を投影した位置を含むように形成されている。例えば、制御電極50bは、キャップ層13の裏面に金属層を配置したのちパターニングすること、もしくはマスクを用いて金属膜を所望パターンで成膜することによって形成される。本実施形態の場合、制御電極50bは、キャビティ13a内からキャップ層13の外縁部に延設されている。
また、キャップ層13と周辺部10cとの間のうち貫通電極10dと対応する位置にもパッド接続部302が形成されている。パッド接続部302は、貫通電極10dと接続されている。パッド接続部302については、上記した制御電極50bと同時に形成することができる。
さらに、キャップ層13のうち周辺部10cと対応する位置には、貫通孔13eが形成されており、貫通孔13e内にTSV13fが形成されている。TSV13fの一部は制御電極50bに接続され、残りの少なくとも一部はパッド接続部302や貫通電極10dを介して制御電極50aに接続されている。これにより、TSV13fを通じて各パッド部13gが対応する制御電極50a、50bに電気的に接続された構成とされている。このように構成された各パッド部13gに対して例えばワイヤボンディングを行うことで外部との電気的接続が行われるようになっている。
また、図2に示すように、制御装置60は、ボンディングワイヤなどを介して複数のパッド部13dに電気的に接続されることで角速度センサ100の各部と接続されている。これにより、制御装置60が駆動部51への電圧印加や振動検出部53からの検出信号の入力を行えるようになっている。
調整装置70も、ボンディングワイヤなどを介して複数のパッド部13gに電気的に接続されることで各制御電極50a、50bと接続されている。調整装置70は、制御電極50a、50bと駆動兼検出錘31、32との間に構成される各容量に応じた検出信号を入力し、容量差に基づいて各制御電極50a、50bに対して印加する電圧を制御している。
以上のようにして、本実施形態にかかる角速度センサ装置が構成されている。次に、このように構成される角速度センサ装置の作動について、上述した図に加えて図5および図6を参照して説明する。
まず、図3に示すように、駆動梁42に備えられた駆動部51に対して駆動用電圧の印加を行う。具体的には、下層電極51aと上層電極51cとの間に電位差を発生させることで、これらの間に挟まれた駆動用薄膜51bを変位させる。そして、2本並んで設けられた2つの駆動部51のうち、一方の駆動部51の駆動用薄膜51bを圧縮応力で変位させると共に他方の駆動部51の駆動用薄膜51bを引張応力で変位させる。このような電圧印加を各駆動部51に対して交互に繰り返し行うことで、駆動兼検出用錘31、32をx軸方向に沿って駆動振動させる。これにより、図5に示すように、駆動梁42によって両持ち支持された駆動兼検出用錘31、32が固定部20を挟んでx軸方向において互いに逆方向に移動させられる駆動モードとなる。つまり、駆動兼検出用錘31、32が共に固定部20が近づく状態と遠ざかる状態とが繰り返されるモードとなる。
この駆動振動が行われているときに、振動型角速度センサに対して角速度、つまり固定部20を中心軸としたx軸周りの振動が印加されると、コリオリ力が発生する。このコリオリ力の働きによって、図6に示すように駆動兼検出用錘31、32がy軸方向を含む固定部20を中心とした回転方向へも振動する検出モードとなる。したがって、検出梁41も変位し、この検出梁41の変位に伴って、振動検出部53に備えられた検出用薄膜53bが変形する。これにより、例えば下層電極53aと上層電極53cとの間の電気信号が変化し、この電気信号が外部に備えられる図示しない制御装置などに入力されることで、発生した角速度を検出することが可能となる。
ここで、上記のような動作によって角速度を検出する際に検出精度を向上させるためには、駆動兼検出錘31、32がz軸方向において不要振動しないで一定の位置で駆動振動させられるようにするのが好ましい。z軸方向の不要振動は、使用初期時の製造バラツキで発生するのに加え、経年劣化などのように製造後に発生した要因に基づいても発生し得る。
このようなz軸方向の不要振動を抑制するために、制御電極50a、50bを用いてz軸方向の位置が所望位置、例えば中央位置となるように調整を行っている。具体的には、外部からの電圧印加もしくは接地電位点との接続により、例えば制御電極50aを0Vにすると共に制御電極50bを0.5Vにする。この状態をz軸方向における駆動兼検出錘31、32の初期位置として駆動振動されるように制御する。このときに制御電極50bに印加する電圧は、駆動兼検出錘31、32の駆動振動がz軸方向における所望位置となるように選択している。製造バラツキなどが無ければ、駆動兼検出錘31、32は、ほぼz軸方向における中央位置で駆動振動されることになる。この状態において、制御電極50a、50bを通じてz軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を検出する。
例えば、制御電極50a、50bと駆動兼検出錘31、32との間にそれぞれ容量が構成されるため、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置に応じて、各容量に差が生じる。この容量差を求めることにより、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を検出できる。なお、この容量差の検出方法については、例えば容量式の加速度センサ等において周知なものであるため、詳細については説明を省略する。
そして、初期位置での容量差を記憶しておき、使用後に検出される容量差と比較する。
その結果、製造バラツキや経年劣化などの要因で駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置が初期位置でなければ、制御電極50a、50bへの印加電圧を調整する。例えば、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置が制御電極50aよりも制御電極50b側に移動していれば、制御電極50bへの印加電圧を小さくすることで制御電極50a側に駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を戻す。逆に、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置が制御電極50bよりも制御電極50a側に移動していれば、制御電極50bへの印加電圧を大きくすることで制御電極50b側に駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を戻す。
このような調整を行うことで、製造バラツキや経年劣化などが生じたとしても、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置をz軸方向の所望位置に制御することが可能となる。したがって、不要振動を抑制できる。
以上説明したように、本実施形態の角速度センサ装置では、支持基板11の表面とキャップ層13の裏面に制御電極50a、50bを形成し、制御電極50a、50bによってz軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を調整可能としている。これにより、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置をz軸方向の所望位置に制御することができて、不要振動を抑制できる。よって、角速度センサ装置による角速度の検出精度を向上させることが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して制御電極の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態では、第1実施形態において説明した支持基板11の表面側の制御電極50aについては備えず、キャップ層13の裏面側の制御電極50bのみを備えた構造としている。
このような構造においては、制御電極50bへの電圧印加によって、駆動兼検出錘31、32がz軸方向における所望位置で駆動振動されるように制御する。具体的には、外部からの電圧印加により、制御電極50bを例えば0.5Vにする。この状態をz軸方向における駆動兼検出錘31、32の初期位置として駆動振動されるように制御する。このときに制御電極50bに印加する電圧は、駆動兼検出錘31、32の駆動振動がz軸方向における所望位置となるように選択している。この状態において、制御電極50bを通じてz軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を検出する。
例えば、制御電極50bと駆動兼検出錘31、32との間に容量が構成され、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置に応じて、容量が変化する。この容量変化を求めることにより、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を検出できる。なお、この容量の検出方法についても、例えば容量式の加速度センサ等において周知なものであるため、詳細については説明を省略する。
そして、製造バラツキや経年劣化などの要因で駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置がz軸方向の初期値からずれていれば、制御電極50bへの印加電圧を調整する。例えば、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置が制御電極50bから離れる方向に移動していれば、制御電極50bへの印加電圧を大きくすることで制御電極50b側に駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を移動させる。逆に、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置が制御電極50bに近づく方に移動していれば、制御電極50bへの印加電圧を小さくすることで制御電極50bから離れる方向に駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置を移動させる。
このような調整を行うことで、製造バラツキや経年劣化などが生じたとしても、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置をz軸方向の所望位置に制御することが可能となる。したがって、不要振動を抑制でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1、第2実施形態に対して制御電極の構成を変更したものであり、その他については第1、第2実施形態と同様であるため、第1、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。なお、ここでは第2実施形態に対して本実施形態の構成を適用する場合について説明するが、第1実施形態に対しても同様に適用できる。
図8に示すように、本実施形態では、キャップ層13の裏面側に配置した制御電極50bを駆動兼検出錘31、32の駆動振動の移動軌跡に沿って複数個備えるようにしている。図8では、複数の制御電極50bのうち最も図中左側に位置しているものがTSV13fに電気的に接続された構造を示してあるが、他の制御電極50bも、それぞれ別断面において、異なるTSV13fに接続されている。そして、各制御電極50bがそれぞれ独立して電圧印加を行えるようになっている。
このような構成によれば、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置がx方向において異なっている場合であっても、x方向のそれぞれの位置で駆動振動位置を調整できる。例えば、図8中の破線で示すように、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置の変化がx軸方向において一定でない場合がある。すなわち、駆動兼検出錘31、32の駆動振動前におけるx軸方向の初期位置をx軸初期位置として、x軸初期位置のときと比較してx軸方向の両側に振動させられたときに、z軸方向における駆動振動位置が異なった位置になることがある。図8の例では、x軸初期位置のときと比較してx軸方向の両側に振動させられたときに、よりキャップ層13側に近づくような駆動振動となっている。
このような場合には、制御電極50bのうち駆動振動前の位置よりもx方向の両側に位置しているものへの印加電圧をx軸初期位置に位置しているものへの印加電圧よりも小さくする。これにより、x軸方向の振動の全域において、駆動兼検出錘31、32におけるz軸方向の駆動振動位置を所望位置に保つことができる。
したがって、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置の変化がx軸方向において一定でない場合についても、第1、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記各実施形態では、駆動錘と検出錘とを兼用する駆動兼検出錘31、32を有する可動部30としたが、これらが別々に構成された可動部としても良い。
また、上記各実施形態では、制御電極50a、50bによって、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置の調整と、z軸方向における駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置の検出の両方を行っている。これは一例を示したのであり、駆動兼検出錘31、32の駆動振動位置の調整用とz軸方向における駆動振動位置の検出用の電極を別々に備えるようにしても良い。
また、上記第3実施形態では、駆動兼検出錘31、32におけるz軸方向の駆動振動位置がx軸方向における駆動振動の全域において所望位置に保てるようにする例を挙げた。しかしながら、これは一例を挙げたに過ぎず、駆動兼検出錘31、32の駆動振動の形態としてより好ましい形態となるように、駆動兼検出錘31、32におけるz軸方向の駆動振動位置がx軸方向において異なった位置となっていても良い。例えば、図8中の破線で示すように、x軸初期位置と比較してx軸方向の両側に振動させられたときに、よりキャップ層13側に近づくような駆動振動となるようにしても良い。
また、上記各実施形態では、振動検出部53を検出する検出素子として、駆動部51と同様の圧電膜を用いた構造のものを用いている。しかしながら、圧電膜を用いた構造以外にも、検出梁41の変位を電気信号として取り出すことができる検出素子であれば、他の検出素子を用いても良い。例えば、センサ基板10をシリコン基板などの半導体基板によって構成し、センサ基板10のうち検出梁41を構成する部分にピエゾ抵抗を構成し、このピエゾ抵抗を検出素子としても良い。例えば、半導体基板の表層部にp+型層もしくはn+型層を形成することで、ピエゾ抵抗とすることができる。
また、検出梁41に櫛歯電極を設けると共に、検出用固定部として検出梁41に設けた櫛歯電極と対向する櫛歯電極を備えた容量センサを検出素子とし、各櫛歯電極の間に構成される容量の変化を電気信号として取り出すようにしても良い。
また、上記実施形態では、検出梁41や駆動梁42のうち支持梁43の近傍にのみ、駆動部51や振動検出部53を備えた構造とした。これについても単なる一例を示したに過ぎず、例えば検出梁41や駆動梁42の全域にこれらを設けるようにしても良い。
さらに、上記第2、第3実施形態では、キャップ層13側の制御電極50bのみを備える場合を例に挙げたが、キャップ層13側の制御電極50bを備えず、支持基板11側の制御電極50aのみを備える構成としても良い。また、キャップ層13側にTSV13fを備えて各制御電極50a、50bと外部との電気的接続が行えるようにしているが、支持基板11側にTSVを備えるようにして外部との電気的接続を行うようにしても良い。
また、上記実施形態では、制御電極50a、50bを金属層によって構成する場合について説明したが、支持基板11やキャップ層13に対して不純物をイオン注入することなどによって形成される不純物拡散層によって構成しても良い。
10 センサ基板
20 固定部
30 可動部
31、32 駆動兼検出用錘
40 梁部
41 検出梁
42 駆動梁
50a、50b 制御電極
51 駆動部
53 振動検出部

Claims (2)

  1. 振動型角速度センサ(100)を有する角速度センサ装置であって、
    支持基板(11)と、
    前記支持基板に対して固定された固定部(20)と、駆動錘(31、32)および検出錘(31、32)とを有する可動部(30)と、前記駆動錘を前記基板の平面と平行な平面上において移動可能としつつ前記固定部に対して支持する駆動梁(42)、および、前記検出錘を前記基板の平面と平行な平面上において移動可能としつつ前記固定部に対して支持する検出梁(41)を有する梁部(40)とを有する前記振動型角速度センサと、該振動型角速度センサの周囲を囲むと共に前記支持基板に接続された周辺部(10c)と、を備えたセンサ基板(10)と、
    前記センサ基板のうち前記支持基板と反対側の一面に配置され、前記周辺部と接合されるキャップ層(13)と、を備え、
    前記振動型角速度センサは、前記駆動錘を前記基板の平面上における一方向に駆動振動させ、角速度の印加に伴って前記検出錘が前記基板の平面上において前記一方向に対する垂直方向にも振動することに基づき角速度検出を行うものであり、
    前記支持基板および前記キャップ層それぞれにおける前記センサ基板側の一面には、駆動振動させられる前記駆動錘と対応する位置に、前記センサ基板の厚み方向における前記駆動錘の駆動振動位置を調整する制御電極(50a、50b)が備えられており、
    前記制御電極は、前記駆動錘が駆動振動する際の移動軌跡と対応する位置に備えられていると共に、前記駆動錘が駆動振動する際の移動軌跡に沿って複数個備えられており、複数個それぞれに印加する電圧が独立して制御される角速度センサ装置。
  2. 前記制御電極は、前記支持基板もしくは前記キャップ層のいずれかに備えられた貫通孔(13e)内に備えられるスルーホールビア(13f)を通じて前記駆動振動位置の調整用の電圧が印加される請求項1に記載の角速度センサ装置。
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