[第1の実施形態]
以下においては、本発明の第1の実施形態に係る遊技機1についての説明をする。
[1.遊技機の外観構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る遊技機1の概観を示す斜視図である。遊技機1は、前面が開口した箱状の本体2と本体2の前面に配置した前面扉3から構成されている。本体2と前面扉3とは片側で蝶番により固定され開閉できるようになっている。前面扉3は、遊技者が遊技を行うためのボタン類が配置された操作部OP、リール可変表示装置RLの図柄を視認させるためのリール窓20や遊技を進行するための情報が表示される表示器類が配置されたパネル表示部DP、遊技を進行するための情報が表示される表示器類や電飾装置が配置された演出表示部TP及び受皿部BPから構成されている。
操作部OPには、メダル投入口10、MAXBETボタン11をはじめとする一遊技に賭ける遊技媒体の数を設定するベットボタン、スタートレバー12、左ストップボタン13a、中ストップボタン13b、右ストップボタン13c、精算ボタン14が設けられている。操作部OPの上面右側にメダル投入口10が配置され、上面左側にMAXBETボタン11が配置されている。遊技機1の遊技は、メダル投入操作又はベットボタン操作、再遊技賞の入賞に伴う自動ベット処理により開始できる。MAXBETボタン11の下部位置の前面側には、リールR1〜R3の回転を行うためのスタートレバー12が配置され、その右側には左リールR1の回転を停止させるための左ストップボタン13a、中リールR2の回転を停止させるための中ストップボタン13b及び右リールR3の回転を停止させるための右ストップボタン13cが配置される。
また、リールR1〜R3が回転を開始した後、ストップボタン13a〜13cのうちリールを停止するために最初に入力される操作を第1停止操作、次に入力される操作を第2停止操作、最後に入力される操作を第3停止操作というものとする。また、ストップボタン13a〜13cのうち、リールを停止するために最初に押下されるボタンを第1停止ボタン、次に押下されるボタンを第2停止ボタン、最後に押下されるボタンを第3停止ボタンというものとする。また、リールR1〜R3のうち、最初に停止制御されるリールを第1停止リール、次に停止制御されるリールを第2停止リール、最後に停止制御されるリールを第3停止リールというものとする。さらに、「順押し」とは、第1停止操作が左ストップボタン13aに、第2停止操作が中ストップボタン13bに、第3停止操作が右ストップボタン13cに入力される操作順序のことをいい、「挟み押し」とは、第1停止操作が左ストップボタン13aに、第2停止操作が右ストップボタン13cに、第3停止操作が中ストップボタン13bに入力される操作順序のことをいう。また、「変則押し」とは、左ストップボタン13a以外に第1停止操作が入力される操作順序のことをいう。
パネル表示部DPには、リール窓20、遊技ガイド表示器22及び遊技価値情報表示部23が設けられている。遊技価値情報表示部23は、クレジット数表示器23a、配当数表示器23c及び獲得枚数表示器23bから構成される。リール窓20は、1つのリールにつき、3個の連続した図柄をのぞむ透明アクリル板からなり、遊技者は3つのリールで9個分の図柄を、リール窓20を通して目視することができる。
本実施形態における遊技機1は、リール窓20の中段表示位置に水平の入賞ラインL1を有している。すなわち、左リールR1における上段表示位置をU1、中段表示位置をM1、下段表示位置をD1、中リールR2における上段表示位置をU2、中段表示位置をM2、下段表示位置をD2、右リールR3における上段表示位置をU3、中段表示位置をM3、下段表示位置をD3、とした場合に、入賞ラインL1は、各リールR1〜R3における中段表示位置M1−M2−M3に対応している。
演出表示部TPには、遊技の進行状態を画像で表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示器30、ゲーム状態に応じて色彩や点灯パターンを変化させてゲーム状態を表示する電飾LED31及びゲーム状態に応じて変化させるBGMやボタン操作に応じた操作音、ガイド音声を出力するスピーカ32が設けられている。
[2.遊技機の電気的構成]
図2は、遊技機1の電気的構成を示すブロック図である。遊技機1は、遊技の主たる制御を行うメイン制御基板100A、表示器30に対して表示制御を行い画像表示するサブ制御基板100Bを備えている。メイン制御基板100Aは、CPU(centralprocessingunit)101、クロック発生回路a102、クロック発生回路b103、ROM(read-onlymemory)104、RAM(random-accessmemory)105、データ送出回路106、入出力ポート107から構成されている。なお、CPU101としてROMやRAMを内蔵しているものを採用することができる。その場合には、外付けのROM104、RAM105は不要となる。
CPU101は、ROM104に格納されたプログラムを、クロック発生回路a102で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU101は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路a102の周期とは異なるクロック発生回路b103で発生したINTR信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR信号の間隔は、例えば、2ミリ秒である。CPU101はプログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタ又は各種遊技情報をRAM105に保存する。外部から供給される電源が遮断した場合でも、RAM105は電池により記憶情報が保持されており、その後電源が復帰した場合には、電源断発生の直前の状態から再開する。CPU101は、入出力ポート107を介して各種ボタン、センサの状態を読み取って各種モータ等を駆動する。
ベット操作指示信号111a〜111c、開始操作指示信号112、停止操作指示信号113a〜113c及び精算操作指示信号114は、それぞれ操作部OPに設けられたMAXボタン11をはじめとするベットボタン、スタートレバー12、ストップボタン13a〜13c、精算ボタン14が遊技者に操作されたことに応じて検知される信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。表示制御信号123a〜123cは、それぞれパネル表示部DPに設けられたクレジット数表示器23a、獲得枚数表示器23b、配当数表示器23cに表示するための表示信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。リール位置検出信号155a〜155cはそれぞれリール可変表示装置RLのそれぞれのリールに対応し、リールが1回転するたびに1回検出する信号であり入出力ポート107を介してCPU101に送られる。リール駆動信号154a〜154cは、それぞれリール可変表示装置RLのそれぞれのリールR1〜R3を駆動するステッピングモータ駆動信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。このリール駆動信号154a〜154cによってステッピングモータに対する制御を行うことにより、各リールR1〜R3の回転制御の開始や停止制御を実行することができる。
メダル投入信号160は、投入された遊技メダルをメダル投入口10から通ずる前面扉3の内部に設けられたメダル検出装置に設けられたメダルを検出するセンサの信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、メダルブロック信号161はメダル検出装置に設けられたソレノイドを駆動する信号であり入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。メダル払出信号162はメダル払出装置のメダル放出部に設けられたメダルを検出するセンサ信号であり、入出力ポート107を介してCPU101に送られる。また、払出駆動信号163はメダル払出装置に設けられたモータを駆動する信号であり、入出力ポート107を介してCPU101より駆動される。
CPU101は、データ送出回路106を介してサブ制御基板100Bへ各種コマンドを出力する。サブ制御基板100Bは、CPU(centralprocessingunit)191、クロック発生回路c192、クロック発生回路d193、ROM(read-onlymemory)194、RAM(random-accessmemory)195、データ入力回路196及びグラフィックLSIとその周辺回路からなる表示回路197を備えている。このCPU191は、ROM194に格納されたプログラムを、クロック発生回路c192で発生したCLK信号のタイミングに基づいて読み出し、プログラムを逐次実行する。CPU191は、電源が投入されるとあらかじめ定められたアドレスからメインプログラムを実行し、クロック発生回路c192の周期とは異なるクロック発生回路d193で発生したINTR1信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。ここで、INTR1信号の間隔は、例えば、2ミリ秒とする。CPU191は、プログラムの実行に応じて、各種フラグや各種カウンタ又は各種遊技情報をRAM195に保存する。また、メイン制御基板100Aのデータ送出回路からのデータ送出タイミングに同期して送出されるストローブ信号に基づいてINTR2信号を発生させ、このINTR2信号のタイミングで、あらかじめ定められたアドレスから始まる割込みプログラムを実行する。
サブ制御基板100Bは、メイン制御基板100Aより各種コマンドを受信して、遊技に伴う演出画像を表示器30に表示させる指示を表示回路197に出力する。また、サブ制御基板100Bは、遊技ガイド表示器22、電飾LED31による電飾装置の点灯制御や、リール可変表示装置RLに設けられたバックライト装置53a〜53cの点灯制御、及びBGMなどのサウンドをスピーカ32から出力する音制御を行う。
[3.遊技機1について]
以下では、本実施形態の遊技機1について説明をする。
本実施形態の遊技機1の入賞ラインは、リール窓20の中段表示位置にて水平となる入賞ラインL1のみであり、サブ制御基板100Bにおける画像や音声の制御により、押し順小役等を入賞させる停止操作順序やタイミングなどを報知するAT(アシストタイム)機能を有している。
ここで、「AT機能」とは、ストップボタン13a〜13cの操作に応じて有効ライン上に停止する図柄の組合せが異なるように設定された抽選対象が内部当選したときに、遊技者にとって有利となる操作態様を報知する演出を伴う「AT遊技(報知ゲーム)」を実行する機能のことをいい、AT遊技が実行されることとなる状態をAT状態、AT遊技が実行されない状態を非AT状態とも言う。また、AT遊技の将来的な付与を確定する抽選処理のことを「AT抽選」ともいう。本実施形態におけるAT状態では、内部当選の結果に応じて、サブ制御基板100Bによる画像や音声の制御により遊技者にとって有利となる押し順の報知が行われる。また、AT状態は所定の条件を充足するまで継続するようになっており、本実施形態では、AT抽選により所定の遊技数の報知ゲームが付与されて、当該遊技数の報知ゲームを消化するまでAT状態が継続する。
また遊技機1では、押し順等の報知がない遊技において、ストップボタン13a〜13cを操作するべき基準となる押し順(基準操作順序)として、左リールを第1停止リールとする順押し又は挟み押しが推奨されている。押し順等の報知が無い遊技において、変則押しが入力された場合には、AT抽選を実行しないAT不抽選ゲームの設定等、遊技者に対してペナルティが付与される。
ここで特に、本実施形態の遊技機1では、遊技者による第1〜第3停止操作を経て有効ラインL1上に停止した図柄の組合せを識別する処理を実行する場合と、当該処理が実行されない場合とがあるように構成されており、当該処理による負担の軽減化が図られるものとなっている。
具体的には、本実施形態の遊技機1では、内部抽選の結果等に応じて図柄組合せ識別処理が実行されるか否かが決定される。そして図柄組合せ識別処理が実行される場合には、有効ラインL1上に停止した図柄の組合せに関連づけられる処理(所定枚数の配当を付与する処理、再遊技を付与する処理、ゲーム状態を移行する処理等)が実行され、図柄組合せ識別処理が実行されない場合には、内部抽選の結果に関連づけられたこれらの処理が実行される。換言すると、後述の、再遊技役Aが内部当選する場合や、後述の、小役A−1〜A−4が内部当選して特定の操作順序が入力される場合には、リールR1〜R3の最終的な停止態様に関わらず、予め定められた処理(再遊技の付与、配当の付与等)が実行されるようになっており、これらの場合には図柄組合せ識別処理が省略される。このようにして、図柄組合せ識別処理が省略されるようになっていることで、メイン制御基板100Aにおける処理負担が軽減されるとともに、ROM104において記憶すべき図柄組合せを削減でき、メイン制御基板100Aの記憶領域の節約ができる。
[3−1.図柄の配置について]
図3は、本実施形態の遊技機1におけるリール帯58a〜58cに印刷された図柄の配置を示す説明図である。左、中、右のそれぞれのリールには21個の図柄が等間隔で配置して印刷されている。504ステップのパルスの供給で1回転するステッピングモータ54a〜54cを使用しているので、21個の図柄を配置すると図柄の間隔は24ステップとなる。また、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから12ステップ進めたときに、図柄番号PN=1がリール窓20の中段の入賞ラインL1上に位置するようにしているため、リール位置検出信号155a〜155cを検知してから36ステップ進めれば図柄番号PN=2がリール窓の中段に位置し、60ステップ進めれば図柄番号PN=3がリール窓の中段に位置し、492ステップ進めれば図柄番号PN=21がリール窓の中段に位置することになる。492ステップより先に進めると、再びリール位置検出信号155a〜155cが検知される。これによりリール位置検出信号155a〜155cが検知されたタイミングを基点にして、進めるステップ数により所定の図柄をリール窓の中段に位置させることができる。
[3−2.遊技機1の役抽選テーブルについて]
図4は、本実施形態の遊技機1にて、通常ゲーム状態の役抽選テーブルを説明するための図である。図4の役抽選テーブルは、ROM104に記憶されており、後述の内部抽選部ILで発生し得る乱数値(0〜65535)に基づいて、抽選対象番号1〜23に対応する抽選対象から、内部抽選の結果として1つの抽選対象番号が導出される。
再遊技役Aは、ゲーム状態の移行を伴わない再遊技役となっており、再遊技役B〜Eは、それぞれに関連づけられた押し順に応じて、ゲーム状態を昇格させる特定図柄の組合せを表示するようにリールの停止制御がなされる押し順再遊技役となっている。具体的には、再遊技役B〜Eのそれぞれは、変則押しとなる4種類の操作順序のいずれかが入力されることで、再遊技役に内部当選する確率が通常ゲーム状態よりも高確率となるゲーム状態に昇格する特定図柄の組合せを有効ラインL1上に表示するように設定される。
本実施形態の遊技機1では、通常ゲーム状態よりも再遊技確率が高い複数のゲーム状態を有しており、サブ制御基板100Bによる報知演出を伴うAT状態では、再遊技役に内部当選する確率が高いゲーム状態への移行を生じさせる特定図柄の組合せを停止表示させるための操作が表示器30の表示により促されるようになっている。なお、これらの再遊技確率が高い複数のゲーム状態についての説明は、本明細書では省略するものとする。
小役A−1〜小役A−4の4つの抽選対象は、左リールR1を第1停止リールとする場合に9枚の配当が確実に得られるようにリールを停止制御し、中リールR2、右リールR3を第1停止リールとする場合には、内部当選した9枚の配当が付与される小役を引き込めるタイミングでは引き込み、当該内部当選した9枚の配当が付与される小役を引き込めないタイミングでは引き込み範囲内のいずれかの図柄を引き込むようにリールを停止制御する押し順小役となっている。また、同様に、小役B−1〜小役B−4の4つの抽選対象は、中リールR2を第1停止リールとする場合に9枚の配当が確実に得られるようにリールを停止制御し、左リールR1、右リールR3を第1停止リールとする場合には、9枚の配当が付与される小役、あるいは、当該小役を取りこぼすようにリールが停止制御される押し順小役となっており、小役C−1〜小役C−4の4つの抽選対象は、右リールR3を第1停止リールとする場合に9枚の配当が確実に得られるようにリールを停止制御し、左リールR1、中リールR2を第1停止リールとする場合には、9枚の配当が付与される小役、あるいは、当該小役を取りこぼすようにリールが停止制御される押し順小役となっている。
[3−3.図柄組合せ識別処理が省略されうる抽選対象について]
本実施形態においては、再遊技役Aと、小役A−1〜小役A−4の抽選対象が内部当選する場合には、有効ラインL1上に停止した図柄組合せを識別する処理が省略され得るようになっており、他の、再遊技役B〜E、小役B−1〜小役B−4、小役C−1〜小役C−4が内部当選する場合には、有効ラインL1上に停止した図柄組合せを識別する処理が実行されるようになっている。
以下においては、図5〜図7を用いて、まず、内部当選を条件として図柄組合せ識別処理が省略される再遊技役Aと、内部当選と特定の操作順序の入力を条件として図柄組合せ識別処理が省略される小役A−1〜小役A−4の説明をし、その後、他の再遊技役と小役についての説明をするものとする。
図5(a)は、再遊技役Aの抽選対象に概念的に対応付けられる図柄の組合せを示す図であり、図5(b)は、小役A−1〜小役A−4の抽選対象に概念的に対応付けられる図柄の組合せを示す図である。また、図5(c)は、再遊技役A〜Eの抽選対象に対応付けられる図柄組合せとして、メイン制御基板100AのROM104において記憶される図柄組合せを示す図であり、図5(d)は、小役A−1〜小役A−4の抽選対象に対応付けられる図柄組合せとして、メイン制御基板100AのROM104において記憶される図柄組合せを示す図である。
また図6(a)および図6(b)は、それぞれ、小役B−1〜小役B−4の抽選対象、および、小役C−1〜小役C−4に対応付けられる図柄の組合せとして、メイン制御基板100AのROM104において記憶される図柄組合せを示す図である。またさらに、図7(a)は、再遊技役Aが内部当選して各リールR1〜R3に停止操作が入力された遊技機1の状態を示す図であり、図7(b)は、小役A−1等が内部当選して適正な操作順序により各リールR1〜R3に停止操作が入力された遊技機1の状態を示す図である。
ここで特に、再遊技役Aが内部当選する場合には、各リールR1〜R3の上段表示位置「U1−U2−U3」において、「リプレイ−リプレイ−リプレイ」を停止する停止テーブルが採用され、いずれの操作順序を入力する場合であっても、図7(a)のような停止態様となる。また、再遊技役Aの内部当選時においては、有効ラインL1上に、「ベル1/ベル2−白BAR/チェリー−スイカ1/赤セブン/青セブン/黒BAR」の16通りの図柄組合せのいずれかが表示されることになるが、本実施形態の遊技機1では、再遊技役Aの抽選対象が「再遊技の付与処理」に関連づけられていることで、図柄組合せ識別処理が省略され、かつ、図5(a)(c)の比較からわかるように、これらの16通りの図柄組合せの記憶領域の節約に寄与するものとなっている。
また、小役A−1〜小役A−4が内部当選して、適正な操作順序(左リールR1を第1停止リールとする操作順序)が入力される場合には、各リールR1〜R3の下段表示位置「D1−D2−D3」において、「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」を停止する停止テーブルが採用され、図7(b)のような停止態様となる。この小役A−1〜小役A−4の内部当選・適正な操作順序の入力時においては、有効ラインL1上に「リプレイ−白BAR/チェリー−スイカ1/スイカ2」の4通りの図柄組合せのいずれかが表示されることになるが、本実施形態の遊技機1では、小役A−1〜小役A−4が内部当選して適正な操作順序が入力される際に、9枚の配当を付与する処理が実行されるように予め設定されていることで、図柄組合せ識別処理が省略され、かつ、図5(b)(d)の比較からわかるように、これらの4通りの図柄組合せの記憶領域の節約に寄与するものとなっている。
なお、図5(c)において示されるように、再遊技役B〜Eの内部当選時においては、変則押しに対応する4種類の操作順序のうちのいずれかが入力されることで、有効ラインL1上に「ベル1/ベル2−リプレイ−リプレイ」の図柄組合せが表示されて、これにより、再遊技が付与されつつ、再遊技が高確率となるゲーム状態への昇格が生じるようになっている。また、再遊技役B〜Eの内部当選時において、基準操作順序が入力される場合、および、不適正な変則押しに対応する操作順序が入力される場合には、有効ラインL1上に「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の図柄組合せが表示される(非AT状態において不適正な変則押しが入力される場合には、別途ペナルティが課せられる)。なお、この図5(c)における再遊技役B〜Eについては、それぞれ異なる不図示の制御役が対応付けられてROM104において記憶される。
なお、図6(a)、図6(b)において示されるように、小役B−1〜小役B−4が内部当選する場合に、適正な操作順序(中リールR2を第1停止リールとする操作順序)が入力されると、有効ラインL1上に「リプレイ−ベル1/ベル2−リプレイ」の2通りの図柄組合せのうちのいずれかを停止する停止テーブルが採用され、これにより、リール窓20において右上がり(D1−M2−U3)に「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」が停止されるようになっている。また、小役C−1〜小役C−4が内部当選する場合に、適正な操作順序(右リールR3を第1停止リールとする操作順序)が入力されると、有効ラインL1上に「赤セブン/白BAR/スイカ1/スイカ2−ベル1/ベル2−スイカ1/スイカ2」の16通りの図柄組合せのいずれかを停止する停止テーブルが採用され、これにより、リール窓20において右下がり(U1−M2−D3)に「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」が停止されるようになっている。
また小役B−1〜B−4、C−1〜C−4の押し順小役では、小役A−1〜A−4の押し順小役と同様に、不適正な操作順序が入力される場合には、内部当選した9枚の配当が付与される小役を引き込めるタイミングでは引き込み、当該内部当選した9枚の配当が付与される小役を引き込めないタイミングでは引き込み範囲内のいずれかの図柄を引き込むようにリールを停止制御する。
なお、小役A−1〜A−4等の内部当選時において、不適正な操作順序が入力されて「取りこぼし」が発生する際には、「リプレイ−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」の4通りの図柄組合せ、「ベル1/ベル2−白BAR/チェリー−ベル1/ベル2」の8通りの図柄組合せ、「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−スイカ1/スイカ2」の8通りの図柄組合せ、「リプレイ−ベル1/ベル2−スイカ1/スイカ2」の4通りの図柄組合せ、「リプレイ−白BAR/チェリー−スイカ1/スイカ2」の4通りの図柄組合せからなる合計28通りの図柄組合せのいずれかを有効ラインL1上に表示されるように停止制御されるようになっている。また、これらの28通りの図柄組合せとしては、有効ラインL1上に表示されることを契機として、通常ゲーム状態やその他のゲーム状態に設定をする特定図柄の組合せとしてメイン制御基板100AのROM104において定義されていてもよい。
なお、図4における全小役は、押し順に関わらず有効ラインL1に「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」の図柄組合せを停止させる抽選対象となっている。また、小役2は、有効ラインL1上に「スイカ1/スイカ2−スイカ1−スイカ1/スイカ2」の図柄組合せを停止させる抽選対象となっており、小役3は、有効ラインL1上に「チェリー−ANY−ANY」の図柄組合せを停止させる抽選対象となっている。このため小役2および小役3は、遊技者が入力する停止操作のタイミングにより、配当が付与されない場合が生じるものとなっている。
[3−4.遊技機の機能的構成]
以下では、本実施形態における遊技機1の機能的構成について具体的に説明をする。
図8は、本実施形態における遊技機1の機能的構成を示す図であり、メイン制御基板100Aと、サブ制御基板100Bを主として実現される。同図で示されるように、メイン制御基板100Aは、内部抽選部ILと、リール停止制御部RCと、識別処理実行決定部AJと、図柄組合せ識別部DCと、対応処理実行部PRと、ROM104と、RAM105とを含んで構成される。また、対応処理実行部PRは、配当付与部PMと、再遊技付与部RPと、ゲーム状態設定部GSとを含んで構成される。
また、サブ制御基板100Bは、演出制御部PCと、報知ゲーム付与部AGと、遊技状態設定部PSと、ROM194と、RAM195とを含んで構成され、演出制御部PCは、さらに、報知演出制御部ACを含み、報知ゲーム付与部AGは、報知ゲーム抽選部ALを含んで構成される。
[3−4−1.メイン制御基板100Aの機能的構成]
メイン制御基板100Aは、ROM104にあらかじめ記憶されているメインプログラムや割込プログラムを実行することにより、遊技機1で実行されるゲーム全体を制御する。メイン制御基板100AのCPU101は、遊技者によるベットボタンの操作、遊技者による遊技媒体の投入、スタートレバー(開始操作部)12の操作などの入力を受け付けると、内部抽選部ILに内部抽選を行わせるとともに、リール駆動信号154a〜154cを生成して各リールR1〜R3の回転を制御する。
内部抽選部ILは、乱数を発生させるための乱数発生器を含んで構成されて、開始操作部(スタートレバー)12からの入力による開始操作指示信号112を検知したタイミングで、一定の範囲の数値、例えば、0〜65535の範囲で1つの乱数値を発生する。そしてさらに内部抽選部ILは、現在のゲーム状態に応じた役抽選テーブルを選択する。内部抽選部ILは、乱数発生器で発生した乱数値を選択された役抽選テーブルに照らし合せることにより、乱数値の数値範囲に対応する抽選対象を内部抽選の結果を示す情報として導出する。RAM105には、内部抽選の結果として導き出された抽選対象の当選フラグが記録され、これらは、演出テーブルの決定だけでなく、AT遊技に関する抽選や、AT遊技の抽選条件の設定の際などに参照される。
リール停止制御部RCは、遊技者によるスタートレバー12の操作によりリールR1〜R3の回転駆動を開始して、内部抽選の結果に基づいて停止テーブルを選択し、選択された停止テーブルと、ストップボタン(停止操作部)13a〜13cが押下されるタイミングに基づいて、有効ラインL1上に停止する図柄を制御する。
また、停止テーブルは、各リールの図柄が中段表示位置に位置しているときにストップボタンが入力された場合において、その位置からいくつの図柄分を回動させた後に停止させるか(すなわち、滑りコマ数)を示す情報を規定している。本実施形態における滑りコマ数は、0から4のいずれかの値となっている。
図柄組合せ識別部DCは、全リールが停止された後、有効ラインL1上に停止された図柄組合せを識別し、ROM104に予め保持された小役・再遊技役、特定図柄の組合せ等に対応する図柄組合せと合致するか否かを判定する。換言すると、図柄組合せ識別部DCは、ゲーム状態を移行させる特定図柄の組合せが表示されているか否かを判定する処理や、小役・再遊技役等の入賞判定処理を行うものとなっている。
ここで特に、識別処理実行決定部AJは、内部当選の結果や入力された操作順序に応じて、図柄組合せ識別部DCによる処理を実行するか否かを決定・判断する機能ブロックとなっている。識別処理実行決定部AJとしては、全リールの図柄が停止された後に、図柄組合せ識別部DCによる処理を実行するか否かを決定してもよいし、スタートレバー12の入力直後に、図柄組合せ識別部DCによる処理を実行するか否かを決定してもよい。また、スタートレバー12の入力後、かつ、適切な操作順序が入力されたか否かの判断が可能となる段階(第1停止操作、あるいは、第2停止操作の入力後の段階)において、図柄組合せ識別部DCによる処理を実行するか否かを決定してもよい。また識別処理実行決定部AJとしては、内部抽選の結果が「不当選」となる場合に、図柄組合せ識別部DCによる処理を実行しないように決定をしてもよい。
次に、対応処理実行部PRは、有効ラインL1上に停止した図柄組合せに対応する処理、あるいは、内部抽選の結果に対応付けられた処理、内部抽選の結果および入力された操作順序に対応づけられた処理を実行する。具体的には、識別処理実行決定部AJによって図柄組合せ識別部DCによる識別処理の実行が決定された場合には、有効ラインL1上に停止した図柄組合せに対応する処理を実行し、識別処理実行決定部AJによって図柄組合せ識別部DCによる識別処理が実行されないように決定された場合には、内部抽選の結果等に対応付けられた処理を実行する。
また、対応処理実行部PRは、上述したように、配当付与部PMと、再遊技付与部RPと、ゲーム状態設定部GSを含んで構成される。
配当付与部PMは、小役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止している場合、および、配当の付与に対応付けられた抽選対象が内部当選等する場合に、遊技媒体を払い出す処理を実行する。また、再遊技付与部RPは、再遊技役に対応する図柄組合せが有効ライン上に停止している場合、および、再遊技の付与に対応付けられた抽選対象が内部当選等する場合に、新たに遊技媒体を投入することなく遊技が可能となるように、次の遊技にて有効ラインL1を再び有効化する処理を実行する。ゲーム状態設定部GSは、条件に応じて、遊技機1において設定されうる複数のゲーム状態のいずれかに設定するものとなっており、例えば、上述の「ベル1/ベル2−リプレイ−リプレイ」といった特定図柄の組合せが有効ライン上にて識別された場合に、当該特定図柄の組合せに対応するゲーム状態に設定をする。
また、対応処理実行部PRとしては、例えば、内部抽選の結果が「不当選」となった場合に、配当付与部PM、再遊技付与部RP、ゲーム状態設定部GSのいずれの処理も実行せずに遊技を終了する処理を実行する。
ROM104においては、上述のように、メインプログラムが記憶されている他に、小役や再遊技役、特定図柄の組合せ、特別役等に対応する図柄組合せが定義されている。換言すると、小役等の図柄組合せに対しては、有効ライン上に表示されることで「配当付与処理」等が実行されるように予め関連づけられてROM104に記憶されている。また、本実施形態の遊技機1では、再遊技役Aの抽選対象に対しては、全てのリールの停止後に「再遊技の付与処理」が実行されるように予め定められており、当該抽選対象にリール停止後の処理が対応付けられてROM104に記憶されている。また、小役A−1〜A−4の抽選対象に対しては、適正な操作順序が入力された後に「配当付与処理」が実行されるように予め定められており、当該抽選対象の内部当選の状態および特定の操作順序に、リール停止後の処理が対応付けられてROM104に記憶されている。
[3−4−2.サブ制御基板100Bの機能的構成]
次に、サブ制御基板100Bの機能的構成について説明をする。サブ制御基板100Bは、メイン制御基板100Aの下位に属する制御基板であって、メイン制御基板100Aから信号や情報が伝達されるものの、サブ制御基板100Bからメイン制御基板100Aには信号や情報を入力することができないようになっている。すなわち、メイン制御基板100Aからサブ制御基板100Bには、一方通行で信号が伝達されるようになっている。
演出制御部PCは、内部抽選の結果や、内部抽選の結果に対応する当選フラグ等を参照して、ROM194に記録された演出テーブルを選択する。そしてさらに、演出制御部PCは、新たに乱数値を発生させて、当該乱数値および選択された演出テーブルに基づいて、表示器30に表示させる演出パターンをセットし、セットされた演出パターンを実行する。
報知演出制御部ACは、遊技状態設定部PSによりAT状態の遊技状態に設定された場合に、内部抽選の結果に応じて、遊技者にとって有利となる操作態様を報知する演出を実行する。本実施形態の報知演出制御部ACは、AT状態において、再遊技役B〜Eや小役A−1〜A−4等の操作順序役が内部当選した場合に、配当の期待値が最も高くなる操作順序や、再遊技の確率が向上するゲーム状態への遷移を発生させる操作順序を表示器30にて表示するものとなっている。
報知ゲーム付与部AG(特典付与部)は、遊技者に対して報知ゲームを将来的に付与するか否かを決定する処理を実行する機能ブロックであって、報知ゲーム抽選部ALを含んで構成される。本実施形態における報知ゲーム抽選部ALは、内部当選の結果と、サブ制御基板100Bによって設定される遊技状態とに応じて抽選処理を実行する。当該抽選処理により報知ゲームに当選した場合には、遊技者に付与する報知ゲーム数をRAM195のAT遊技カウンタに蓄積する。また、一回の当選によって遊技者に付与する報知ゲーム数は、予め定められたゲーム数であっても良いし、別途抽選処理によって決定されても良く、遊技状態に応じて決定するようにしてもよい。
遊技状態設定部PSは、サブ制御基板100B側で管理される遊技状態を設定する機能ブロックとなっており、内部抽選の結果に応じてサブ制御基板100Bで実行される移行抽選の結果や、報知ゲーム抽選部ALによる抽選処理の結果等に応じて、複数の遊技状態の中から1つの遊技状態に設定するように制御する。遊技状態設定部PSは、報知ゲーム付与部AGの処理により報知ゲームの付与が決定された場合には、その直後、あるいは、数ゲームを消化した後に、遊技状態をAT状態に設定するように制御する。
[4.遊技機の動作について]
図9は、本実施形態のメイン制御基板100Aにおける一遊技の流れの内容を示すフローチャートである。まずCPU101は、メダル投入信号160による投入ベット操作、又はMAXBETボタン11の押下による貯留ベット操作が行われたか否かを判定し、いずれかの信号を検出するまで待機する(S100)。CPU101は、いずれかの信号を検知した場合は次に進み、開始操作指示信号112に基づいてスタートレバー操作が行われたか否かを判定し、信号を検出するまで待機する(S101)。CPU101は、開始操作指示信号112を検出した場合は、ベット操作を禁止する(S102)。具体的には、メダルブロック信号161によりメダルセレクタ装置のソレノイドをOFFにし、メダルセレクタ装置の通過経路を切替えて、遊技メダルがメダル投入口10から投入された場合でもメダル受皿40に排出する。また、ベット操作指示信号111a〜111cも受け付けないようにする。
次に内部抽選部ILは、0000HからFFFFHの範囲で10ナノ秒毎に順次インクリメントし、約1.6ミリ秒で1巡回するするカウンタ回路から入出力ポート107を介してカウンタ値を取得し乱数値とする(S103)。次にRAM105に記録されたゲーム状態を示すフラグを参照して、ゲーム状態に応じた役抽選テーブルを選択する(S104)。そして内部抽選部ILは、選択した役抽選テーブルを使用して、役抽選テーブル上の抽選対象となる役ごとに設定されたどの数値の範囲に取得した乱数値が属するかの判定を行い、内部抽選の結果を決定して、当選フラグをセットする処理や内部抽選結果をRAM105にて保持する処理を実行する(S105)。次にステップS105で保持された内部抽選の結果、あるいは、当選フラグに基づき、リール停止制御部RCは、リールの停止制御で参照する停止テーブルを準備する(S106)。
遊技機1では、遊技者が短時間に多くの遊技メダルを消費することを防ぐために、一遊技に要する経過時間を計測している。この実施形態では一遊技の最小消費時間を4.1秒とし、1分間に15ゲーム以上実行できないようにしている。具体的には、一遊技の経過時間を示す2ミリ秒毎に0までカウントダウンするタイマ値を参照して、タイマ値が0に到達した場合には、タイマ値を4.1秒に相当する初期値(2050)に設定し直す。したがって、ステップS101でスタートレバー12が操作されても、前のゲームのリールの回転の開始から4.1秒経過していない場合には、リールR1〜R3は回転させないで待機状態にする(S107)。そして4.1秒の経過後、CPU101は、リール駆動信号154a〜154cとしてパルスを供給して、ステッピングモータを順次又は同時に駆動して、3つのリールの定常回転駆動を開始する(S108)。
次にCPU101は、12ステップの加速期間を経て3つのリールR1〜R3を全て一定回転速度に移行させる。3つのリールR1〜R3が一定回転速度に到達したことを検出し、この検出時点を基準時点とし、この基準時点から自動停止時間が経過するまでの残り時間の計測を開始するとともにストップボタン13a〜13cの受け付けができることを知らせるためにストップボタンに内蔵したLEDを点灯させる。
そしてリール停止制御部RCは、3つのリールR1〜R3を停止させるリール停止制御処理を行う(S109)。リール停止制御処理では、遊技者によるストップボタン13a〜13cの入力がされて停止操作指示信号113a〜113cが検出された場合には、ステップS106で選択した停止テーブルと、ストップボタンの操作タイミングで得られたリール上の図柄位置とに基づいて、有効ラインL1上に停止させる図柄番号PNを決定し、全ての巻線相を同時に励磁する全相励磁によってブレーキ力を与えて、全相励磁を開始してから15ステップ相当分の惰性で回転して停止させるリール停止制御処理をそれぞれのリールに対して行う。また、その一方で、基準時点から自動停止時間が経過した場合(残り時間がなくなる場合)には、停止操作が行われなかったリールを自動的に停止させる。
次にCPU101は、全リールが停止した場合にリール停止後処理を実行する(S110)。本実施形態におけるリール停止後処理は、図柄組合せ識別処理等を含むものとなっており、詳しくは後述する。S110の後、ステップS102で行ったベット操作の禁止を解除し(S112)、遊技メダルの投入又はMAXBETボタン11の入力の受け付けを行えるようにし、次のゲームの開始に備えるため、ステップS100へ戻る。
[4−1.リール停止後処理について]
次に、図10を用いて本実施形態におけるS110のリール停止後処理について説明をする。まずCPU101は、S105において保持された内部抽選の結果を参照し、図柄組合せ識別部DCによる図柄組合せ識別処理が必要となるか否かを判断する(S1101)。本実施形態では、再遊技役A以外の内部当選結果となる場合に、図柄組合せ識別処理が必要となりうるためにS1102のステップに移行し、再遊技役Aの内部当選結果となる場合に、図柄組合せ識別処理が不要となってS1111のステップに移行する。
S1102においては、さらに、S109のリール停止制御処理にて図柄組合せ識別処理が必要となる操作順序が入力されたか否かが判断される。換言すると、S1101とS1102の2つのステップにより、特定の抽選対象が内部当選して、かつ、特定の操作順序にて停止操作が実行されたか否かが判断される。S1101およびS1102において、図柄組合せ識別処理が必要であると判断される場合に、S1103へと進んで図柄組合せ識別処理が実行される。本実施形態では、再遊技役A、小役A−1〜小役A−4以外の抽選対象が内部当選した場合には、全ての操作順序にて図柄組合せ識別処理が必要となっており、S1102では、小役A−1〜小役A−4の抽選対象が内部当選した場合であって変則押しが入力される場合にて、図柄組合せ識別処理が必要であると判断される。
S1103では、各リールR1〜R3の有効ラインL1上に停止した図柄の情報を取得する図柄組合せ識別処理を実行し、識別された図柄組合せをRAM105にて保持する。そしてS1104では、S1103にて識別された図柄組合せが小役に該当するか否かが判断され、小役に該当する場合には当該小役につき予め定められた配当を払い出す処理を実行する(S1105)。また同様に、S1106では、S1103にて識別された図柄組合せが特定図柄の組合せに該当するか否かが判断され、特定図柄の組合せに該当する場合には当該特定図柄の組合せに対応するゲーム状態に設定する処理を実行する(S1107)。またさらにS1108では、S1103にて識別された図柄組合せが再遊技役に該当するか否かが判断され、再遊技役に該当する場合には自動ベット処理を行って次ゲームにおける有効ラインL1を有効化して、S101におけるスタートレバーの操作を受付けることが出来る状態にする(S1109)。
そしてS1110では、小役や再遊技役が内部当選した場合において、当選フラグや内部当選の結果をクリアする処理を行う。なお、内部当選した抽選対象が当選フラグの持ち越しをすることができる「ビックボーナス」や「レギュラーボーナス」等の特別役であれば、有効ラインL1上で入賞した場合にだけ当選フラグをクリアし、入賞せずに取りこぼした場合には当選フラグをクリアせずそのままとする。
ここで特に、S1101およびS1102においてNOとなる場合(図柄組合せ識別処理が不要であると判断される場合)には、S1111のステップに進んで、内部抽選の結果として導き出された抽選対象や入力操作順序に関連づけられた処理を実行する。
本実施形態においては、再遊技役Aの抽選対象には再遊技付与処理が関連づけられており、再遊技役Aが内部当選している場合には、S1111において、S1109と同様に自動ベット処理が実行される。また、小役A−1〜A−4の抽選対象には、順押しや挟み押しが入力されることを条件として9枚の払出しを実行する配当付与処理が関連づけられており、小役A−1〜A−4の抽選対象が内部当選して順押し等が入力されている場合には、S1111において、S1105と同様に配当付与処理が実行される。
[4−2.リール停止制御処理について]
次に、再遊技役Aや小役A−1〜A−4が内部当選した場合における、S106において選択される停止テーブルやS109におけるリール停止制御処理について説明をする。
図11は、再遊技役Aや小役A−1〜A−4が内部当選した場合において採用される停止テーブルの例を示す図である。再遊技役Aが内部当選した場合には、左リールの停止テーブルL−T1と、中リールの停止テーブルM−T1と、右リールの停止テーブルR−T1が選択され、リール窓20における上段ライン(U1−U2−U3)に「リプレイ−リプレイ−リプレイ」の図柄組合せが表示される。本実施形態では、再遊技役Aが内部当選した場合には、操作順序に関わらず上記の停止テーブルによる停止制御が行われ、再遊技が付与されるようになっている。
また、小役A−1〜A−4が内部当選した場合には、S106において、左リールの停止テーブルL−T2〜L−T4と、中リールの停止テーブルM−T2〜M−T5と、右リールの停止テーブルR−T2〜R−T5が選択され、内部当選している図柄組合せや、入力された操作順序、さらに第1停止リールにおいて引き込んだ図柄に応じて、S109のリール停止制御処理で使用される停止テーブルがさらに選択される。
具体的には、小役A−1が内部当選して第1停止リールが左リールとなる操作順序が入力された場合には、停止テーブルL−T2、M−T2、R−T2が選択されて、リール窓20における下段ライン(D1−D2−D3)に「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」の図柄組合せが表示される。なお、第1停止リールが中リールとなる操作順序が入力された場合には、停止テーブルM−T3によって「ベル1/ベル2」の図柄が有効ラインL1上に引き込まれ、「ベル1」が停止した場合には、左リールが停止テーブルL−T4、右リールが停止テーブルR−T5により停止制御され、「ベル2」が停止した場合には、左リールが停止テーブルL−T3、右リールが停止テーブルR−T4により停止制御される。なお、第1停止リールが右リールとなる操作順序が入力された場合には、停止テーブルR−T3によって「ベル1/ベル2」の図柄が有効ラインL1に引き込まれ、「ベル1」が停止した場合には、左リールが停止テーブルL−T4、中リールが停止テーブルM−T5により停止制御され、「ベル2」が停止した場合には、左リールが停止テーブルL−T3、中リールが停止テーブルM−T4により停止制御される。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の遊技機1について説明をする。図12は、第2の実施形態における遊技機1の機能的構成を示す図であり、図13は、第2の実施形態の遊技機1におけるS110のリール停止後処理について説明をする図である。
第2の実施形態においては、図12で示されるように、識別処理実行決定部AJが存在せず、各リールの停止後は必ず図柄組合せ識別処理が実行されるようになっている。このため、再遊技役Aは、「ベル1/ベル2−白BAR/チェリー−スイカ1/赤セブン/青セブン/黒BAR」の16通りの図柄組合せに対応付けられ、これらの図柄組合せがROM104において記録される。また、小役A−1〜小役A−4のそれぞれは、「ベル1/ベル2−ベル1/ベル2−ベル1/ベル2」の8通りの図柄組合せのうちの2つの図柄組合せが対応付けられてROM104に記録されるだけでなく、さらに、「リプレイ−白BAR/チェリー−スイカ1/スイカ2」の4通りの図柄組合せが対応付けられてROM104において記録される。
ここで特に、第2の実施形態では、押し順小役である小役A−1〜A−4、小役B−1〜B−4、小役C−1〜C−4の内部当選時に、不適正な操作順序を入力して小役を取りこぼした場合には、上述したような29通りの図柄組合せを含むいずれかの取りこぼし目が有効ラインL1上に表示されるようになっているが、これらの取りこぼし目は、メイン制御基板100AのROM104にて定義されていないにも関わらず、当該取りこぼし目が表示されることを契機として、所定のゲーム状態に設定されるようになっている。
すなわち、第2の実施形態における対応処理実行部PRは、図柄組合せ識別部DCにおける識別処理において、有効ラインL1上にROM104にて小役等として定義された図柄組合せに該当する図柄組合せが表示されているか否かを判断し、ROM104にて記録された図柄組合せが表示されていないと判断する場合には、内部抽選の結果に予め対応付けられた処理を実行するようになっている。本実施形態においては、小役A−1〜A−4等の抽選対象に対して、所定のゲーム状態に設定する処理が予め対応付けられており、取りこぼしが生じたことを条件として、当該所定のゲーム状態に設定されるようになる。
このように対応処理実行部PRが、小役等として定義された図柄組合せが表示されていないと判断する場合に、内部抽選の結果に予め対応付けられた処理を実行するようにすることで、例えば、上述したような取りこぼし目に対応する29通りの図柄組合せをROM104において定義する記憶領域が節約され、図柄識別処理に関するメイン制御基板100Aの負担が軽減されることとなる。
また第2の実施形態のリール停止後処理としては、図13で示されるように、S1103〜S1109、S1110のステップが第1の実施形態のリール停止後処理と共通しているものの、S1101、S1102、S1111のステップが存在しない点と、S1103〜S2101〜S2103のステップが存在する点で相違している。
具体的には、図柄組合せ識別処理(S1103)が実行された後は、識別された図柄組合せが、ROM104において定義された小役、特定図柄の組合せ、再遊技役に該当するか否か等が判断される(S1104〜S1109)。そして特に、S2101においては、有効ラインL1上に、ROM104において定義された小役等が非表示となっているか否かが判断される。S2101においてYESとなる場合(有効ラインL1上にROM104にて定義された小役等が非表示となっている場合)にはさらにS2102に進んで、内部抽選の結果等が所定条件に該当するか否かが判断され、所定条件に該当する場合には、予め定められた処理が実行されるようになっている(S2103)。
すなわち第2の実施形態においては、押し順小役である小役A−1等の内部当選時に、不適正な操作順序を入力して取りこぼし目が表示された場合や「不当選」となる場合に、S2101においてYESと判断される。そしてS2102では、内部抽選の結果が参照され、小役A−1〜A−4等の押し順小役が内部当選したにもかかわらず9枚の配当が得られる図柄の組合せが表示されなかった場合(すなわち取りこぼしが発生した場合)には、小役A−1〜A−4等の抽選対象に予め対応付けられたゲーム状態設定処理が実行されるようになっている。
なお、第2の実施形態としては、S2102において内部抽選の結果が所定条件に該当するか否かが判断されているが、当該所定条件としては、内部抽選の結果のみならず、入力された操作順序をも含めて判断されるようになっていてもよく、S2103にて実行される処理としては、内部抽選の結果および入力された操作順序に対応付けられるようにしてもよい。
なお、第2の実施形態では、識別処理実行決定部AJが含まれておらず、S1101、S1102、S1111が実行されないようになっているが、説明の便宜的なものにすぎず、遊技機1としては、第1の実施形態の構成と第2の実施形態の構成とを兼ね備えていてもよいことはいうまでもない。
[その他]
なお第1の実施形態等においては、図柄組合せ識別処理が、ベット処理により有効化された有効ラインL1上に限られていたが、図柄組合せ識別部DCとしては、リール窓20内の有効ラインのみならず、ベット処理により有効化されていない無効ライン等をも含めて、リール窓20内に表示された図柄組合せを識別するようにしてもよい。例えば、特定図柄の組合せが有効ライン以外にて表示される場合もゲーム状態の設定契機となることがあるため、図柄組合せ識別部DCとしては、リール窓20内にてライン状に表示された図柄組合せを識別するようにしてもよい。
なお、上記の第1の実施形態においては、再遊技役Aと、小役A−1〜A−4の内部当選時に図柄組合せ識別処理が省略されうるものとなっているが、例えば、押し順再遊技役において、図柄組合せ識別処理が省略されうるものとなっていてもよいし、「全小役」のような、遊技者が入力する操作態様に関わらずに所定の配当が付与される抽選対象において、図柄組合せ識別処理が省略されうるものとなっていてもよい。また、小役A−1〜A−4のみならず、他の押し順小役においても図柄組合せ識別処理が省略されるように構成されていてもよい。
なお、上記の第1の実施形態においては、BB役1などの特別役が内部当選するようになっているが、このような特別役が採用されていない遊技機に本発明が適用されてもよい。また、AT機能が実装されていない遊技機において、本発明が適用されてもよい。
なお、上記の実施形態ではリール表示窓20内の中段表示位置M1−M2−M3において1つのみの有効ラインL1が設定されているが、有効ラインL1としては上記の実施形態に限定されず、他の態様が採用されるものであってもよい。
なお本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能であることは言うまでもない。