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JP6220273B2 - 逃し弁 - Google Patents

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JP6220273B2 JP2014006704A JP2014006704A JP6220273B2 JP 6220273 B2 JP6220273 B2 JP 6220273B2 JP 2014006704 A JP2014006704 A JP 2014006704A JP 2014006704 A JP2014006704 A JP 2014006704A JP 6220273 B2 JP6220273 B2 JP 6220273B2
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Description

本発明は、弁装置の一種である逃し弁に関する。本発明の逃し弁は例えば、エコキュート(登録商標)や電気温水機器等の圧力配管(タンクを含む)を備える分野において配管内の圧力を調整する圧力調整弁として用いられる。
従来から図6に示す逃し弁が知られており、この逃し弁には、流入ポート102側の1次圧が所定のしきい値(設定圧)を超えたときに自動で開弁して圧力を開放する機能すなわち圧力調整機能が設定されている。
しかしながらこの従来の逃し弁では、ピストン106の外周側に配置されるとともにケーシング101の内部空間を流入ポート102に通じる流入室104および流出ポート103に通じる流出室105に仕切るシール手段としてダイアフラム107を用いているため、以下の問題が指摘される。
すなわちダイアフラム107は周知のように環状の膜部107aの内周縁および外周縁にそれぞれ取付部107b,107cを一体成形したものであって、その装着に際して内周側および外周側の取付部107b,107cをそれぞれ装着の相手部材によって挟み込む複雑な取付構造が必要とされる。また、ダイアフラム107は膜部107aの径方向ほぼ中央にダイアフラム受圧径(有効径)dが設定されるため、シール部品として外径寸法dが大きくサイズが大きいものである(d<d)。また、ダイアフラム107はシール部品として部品単価が高いものでもある。したがってこれらのことから取付構造が複雑でサイズが大きくコストが高いシール構造となっており、これに対しこれらの不都合を解消することが求められる。
特開2011−47506号公報 特開2008−138784号公報
本発明は以上の点に鑑みて、ピストンの外周に配置するシール手段としてダイアフラムを用いる従来技術に対し取付構造が複雑でサイズが大きくコストが高い不都合を解消することができ、すなわちピストンの外周に配置するシール手段について取付構造が簡単でサイズが小さくコストが低い構造の逃し弁を提供することを目的とする。また、弁が圧力調整機能を発揮するとともに、圧力配管が負圧で破壊されるのを防止すべく負圧解消機能を発揮することもできる構造の逃し弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1による逃し弁は、流体の流入ポートおよび流出ポートを備えるケーシングと、前記ケーシングの内部空間に往復動可能に配置された環状のピストンと、前記ピストンの外周側に配置されるとともに前記ケーシングの内部空間を前記流入ポートに通じる流入室および前記流出ポートに通じる流出室に仕切るシール手段と、前記ピストンを流入室側へ向けて弾性付勢する調圧スプリングと、前記ピストンの内周側に相対移動可能に配置されたポペットと、前記ピストンの流入室側端部に設けられた弁座と、前記弁座の流入室側に接離可能に配置されるとともに前記ポペットに保持された弁体と、前記弁体が前記弁座に接触する方向へ前記ポペットを弾性付勢する封止スプリングと、前記ポペットの流出室側に配置されて前記ポペットの流出室側への移動量を規定するシャフトとを有し、前記シール手段は、前記ピストンに保持されるとともに前記ケーングの内周面に摺動可能に密接するリップパッキンよりなり、前記ピストンの外周面に第1円筒面および第1端面の組み合わせよりなる第1環状段部が設けられるとともに、前記第1環状段部の流出室側に前記第1円筒面より大径の第2円筒面および第2端面の組み合わせよりなる第2環状段部が設けられ、前記第1環状段部にシールフランジが嵌合され、前記シールフランジおよび前記第2環状段部の組み合わせよりなる装着溝に前記リップパッキンが装着されていることを特徴とする。
また、本発明の請求項2による逃し弁は、上記した請求項1記載の逃し弁において、前記シールフランジは、樹脂製であって、前記ケーシングの内周面との間に微小間隙を形成していることを特徴とする。
更にまた、本発明の請求項3による逃し弁は、上記した請求項1または2記載の逃し弁において、前記流出ポートは、第1管路および第2管路を備える分岐管路に連通し、前記第1管路は大気開放され、前記第2管路には、前記ケーシング内が負圧となったときに開弁して大気圧を導入する逆止弁が設置されていることを特徴とする。
上記構成を備える本発明の逃し弁においては、流体の流入ポートおよび流出ポートを備えるケーシングの内部空間に環状のピストンが往復動可能に配置され、ピストンの外周側にケーシングの内部空間を流入ポートに通じる流入室および流出ポートに通じる流出室に仕切るシール手段が配置され、ピストンを流入室側へ向けて弾性付勢する調圧スプリングが配置され、ピストンの内周側にポペットが相対移動可能に配置され、ピストンの流入室側端部に弁座が設けられ、弁座の流入室側にポペットに保持された弁体が接離可能に配置され、弁体が弁座に接触する方向へポペットを弾性付勢する封止スプリングが配置され、ポペットの流出室側にポペットの流出室側への移動量を規定するシャフトが配置されているため、流入ポート側の1次圧が所定のしきい値(設定圧)を超えたときに1次圧と調圧スプリングの弾性(バネ力)との均衡を求めるかたちにてピストンが流出室側へ移動し、弁座が弁体から離間し、開弁する。したがって流入ポート側の1次圧が所定のしきい値(設定圧)を超えたときに自動で開弁して圧力を開放する圧力調整機能が発揮される。
また、上記構成を備える本発明の逃し弁においては、ピストンの外周側に配置されるシール手段が、ピストンに保持されるとともにケーングの内周面に摺動可能に密接するリップパッキンよりなるものとされている。リップパッキンはその名のとおりリップを備えるパッキンであって、装着溝に嵌め込むだけで簡単に装着され、その外径寸法でシール径(有効径)が規定されるためサイズが小さく、部品単価が低いものである。したがって従来のダイアフラムに代えてこのようなリップパッキンを用いることにより上記従来技術おける不都合を解消することが可能とされる。
リップパッキンは環状の基部に同じく環状のリップ部を一体成形したものであって、いわゆるYパッキン、VパッキンまたはUパッキン等が用いられる。リップパッキンはリップ部の先端を流入室のほうへ向けて装着される。
また、リップパッキンは上記したように装着溝に嵌め込まれるが、ピストンの外周面に装着溝を設けるに際しては、ピストンの外周面に第1円筒面および第1端面の組み合わせよりなる第1環状段部を設けるとともに第1環状段部の流出室側に第1円筒面より大径の第2円筒面および第2端面の組み合わせよりなる第2環状段部を設け、第1環状段部にシールフランジを嵌合し、これらシールフランジおよび第2環状段部の組み合わせによって装着溝を設けるのが好適であり、これによればピストンの外周面に後加工で装着溝を削設する必要がなく、ピストンの製作を容易化することが可能とされる。また、後付けするシールフランジについてはこれを樹脂材料にて製作する段階でその外径寸法を高精度で加工できるため、ケーシングの内周面との間に適切な大きさの微小間隙を形成することが可能とされ、ケーシングの内周面との間に適切な大きさの微小間隙が形成されれば、リップパッキンを保持する保持性を高めることが可能とされる。
尚、本発明の逃し弁は、上記したように流入ポート側の1次圧が所定のしきい値(設定圧)を超えたときに自動で開弁して圧力を開放する圧力調整機能を発揮するが、このほか、流入ポート側の1次圧が負圧となったときに自動で開弁して大気圧を導入する機能すなわち負圧解消機能を併せて発揮する弁とすることもでき、この場合、逃し弁は例えば以下のように構成される。
すなわち上記圧力調整機能を備える逃し弁において、流出ポートが分岐管に連通され、分岐管の第1管路が大気開放され、第2管路に逆止弁が設置される。逆止弁はケーシング内が負圧となったときに開弁してケーシング内へ大気圧を導入する。逆止弁は逃し弁が圧力調整機能を発揮するとき(1次圧を開放するとき)には圧力の流れ方向により閉弁するため、圧力の開放は専ら第1管路で行なわれる。また第1管路は大気開放されているため通常であればここから大気圧を導入するが、長期間の使用で詰まったり別の設備に接続されたりして大気圧導入不可(吸気不可)となることがあり、このように第1管路が大気圧導入不可となっても逆止弁を設置した第2管路が設けられているため、大気圧を導入することが可能とされる。また、ケーシング内部の機構の作動としては流入ポート側の1次圧が負圧になるとこの負圧に吸引されてポペットが移動し、弁体が弁座から離間し、開弁する。したがって大気圧が1次側へ導入される。
本発明は、以下の効果を奏する。
すなわち本発明においては以上説明したように、ピストンの外周側に配置するシール手段としてダイアフラムに代えてリップパッキンを用いるため、リップパッキンは、装着溝に嵌め込むだけで簡単に装着され、その外径寸法でシール径(有効径)が規定されるためサイズが小さく、部品単価も低いものである。したがってこのようにリップパッキンを用いることにより従来技術おける不都合を解消し、すなわち取付構造が簡単で、サイズが小さく、コストが低いと云う効果を獲得することができる。
また、リップパッキンを嵌め込む装着溝としてシールフランジおよび第2環状段部の組み合わせとすることにより、ピストンの製作を容易化するとともにシールフランジおよびケーシング間に適切な大きさの微小間隙を設定することが可能とされる。シールフランジおよびケーシング間に適切な大きさの微小間隙が形成されれば、リップパッキンを保持する保持性を高めることができる。
また本発明は、圧力調整機能を備える逃し弁に適用されるほか、圧力調整機能および負圧解消機能を併せ備える逃し弁に適用することもできる。また負圧解消機能に関連する構造として、逆止弁を設置した第2管路が第1管路と分岐して設けられているため、第1管路が大気圧導入不可となっても第2管路からケーシング内へ大気圧を導入することが可能とされる。したがって1次側に負圧が発生してもこれを解消できる機会が多く、負圧破壊防止弁として有効である。
本発明の実施例に係る逃し弁の斜視図 同逃し弁の閉弁時の状態を示す断面図 図2の要部拡大図 同逃し弁の調圧作動時の状態を示す断面図 同逃し弁の強制開弁時の状態を示す断面図 従来例に係る逃し弁の断面図
つぎに本発明の実施例を図面にしたがって説明する。当該実施例に係る逃し弁は以下のように構成されている。
すなわち図1および図2に示すように、図上下半分のボディ2と上半分のカバー3とが組み合わされて当該逃し弁のケーシング1が設けられ、このケーシング1の図上ボトム位置に流体の流入ポート(1次ポート)4が設けられるとともにケーシング1の図上側面位置に流出ポート(2次ポート)5が設けられている。
図2に示すように、ケーシング1の内部に環状のピストン11が弁軸長手方向(軸方向)に往復動可能に配置され、ピストン11の外周側にケーシング1の内部空間を流入ポート4に通じる流入室6および流出ポート5に通じる流出室7に仕切るシール手段12が設けられている。
図3に拡大して示すようにシール手段12は、ピストン11に保持されるとともにケーング1の内周面に摺動可能に密接するリップパッキン13とされ、具体的にはYパッキンとされている。リップパッキン13は所定のゴム状弾性体によって環状に成形され、環状の基部13aに環状の内周側シールリップ部13bおよび外周側シールリップ部13cを一体成形したものであって、内周側シールリップ部13bが装着溝18の溝底面に密接するとともに外周側シールリップ部13cがケーング1の内周面に摺動可能に密接することによりシール機能を発揮する。リップパッキン13はシールリップ部13b,13cの先端が流入室6のほうへ向くように装着されている。
また、このリップパッキン13を装着する装着溝18としてはピストン11の外周面に、流入室6に面して第1円筒面15aおよび第1端面15bの組み合わせよりなる第1環状段部15が設けられるとともに、第1環状段部15の流出室7側に位置して第1円筒面15aより大径の第2円筒面16aおよび第2端面16bの組み合わせよりなる第2環状段部16が設けられ、第1環状段部15に環状のシールフランジ17が嵌合され、シールフランジ17および第2環状段部16の組み合わせによって環状の装着溝18が形成され、この装着溝18にリップパッキン13が装着されている。シールフランジ17は、所定の樹脂材料によって環状に成形され、その外周面をもって対向するケーシング1の内周面との間に微小な径方向間隙cが形成されている。
図2の説明に戻って、流出室7内に位置してピストン11およびケーシング1間にピストン11を流入室6側へ向けて弾性付勢する調圧スプリング21が配置されている。ピストン11の内周側にポペット(第1弁軸)22が軸方向に相対移動可能に配置されている。ピストン11の流入室側端部に環状の弁座23が設けられ、弁座23の流入室6側に弁座23に接離可能に接触する環状の弁体24が配置され、弁体24は弁体カバー25とともにポペット22の流入室側端部にネジ止めされている。ピストン11およびポペット22間の間隙は開弁時の圧力流路とされる。またこの間隙に位置してピストン11およびポペット22間に封止スプリング27が配置され、封止スプリング27は弁体24が弁座23に接触する方向へポペット22を弾性付勢している。
流出室7内に位置してシャフト(第2弁軸)28が配置され、更に調整ネジ29が配置されている。シャフト28は、ケーシング1に設けた軸受部8によって円周方向に回転可能かつ軸方向に移動可能に保持されている。シャフト28と軸受部8の間はOリング等のシール材30によってシールされている。シャフト28におけるポペット22と反対側の端部には雄ネジ部28aが設けられている。調整ネジ29は雌ネジ部29aを備えて雄ネジ部28aに螺合され、ケーシング1に対し回り止めされかつ軸方向に移動可能に保持されている。
調整ネジ29の一部はケーシング1の外側に突出しており、この調整ネジ29を押圧するための揺動レバー31がケーシング1の外側に設けられている。レバー31は、回転部32aおよび取手部32bを一体に備えるレバー本体32を有し、図1に示すように回転部32aの左右側面に一対の回転軸部33が設けられている。また同じく図1に示すようにケーシング1の外側に、立ち上がり部9aの幅方向両側に互いに平行な一対のレバー保持片9bを設けたレバー保持部9が設けられている。レバー31は、レバー保持片9bの先端に設けた切欠状の保持凹部9cに回転軸部33を組み付けるとともに回転軸部33をピン状の抜け止め部材10で抜け止めすることによってレバー保持部9に揺動可能に保持されている。
レバー31は手動で揺動操作され、図1および図2に示す定常位置(横倒しの状態)から図5に示す作動位置(垂直の状態)までほぼ90度の角度範囲に亙って揺動し、図2の定常位置から図5の作動位置へ揺動操作されたときに調整ネジ29を押圧し、調整ネジ29、シャフト28、ポペット22、取付ネジ26、弁体カバー25および弁体24よりなる部品群を流入室6側へ移動させ、弁体24を弁座23から離間させる。
また、ケーシング1の軸受部8および調整ネジ29間に復帰スプリング34が設けられ、調整ネジ29をケーシング1の外側方向へ向け弾性付勢してレバー31に押し付けている。したがってレバー31を図5の作動位置から図2の定常位置へ戻すと、調整ネジ29がシャフト28とともに図5の位置から図2の位置へ復帰動する。またレバー31の回転部32aには、調整ネジ29に対するシャフト28の雄ネジ部28aの螺合量をケーシング外部から調節するときに治具を差し込むための治具差し込み穴32cが設けられている。
上記ケーシング1に設けた流出ポート5は、有底円筒状に成形されたカバー3の内周面に開口し、流出ポート5は、第1管路および第2管路を備える分岐管路41に連通している。すなわちカバー3に延管42が一体成形されることによりこの延管42が第1管路とされるとともに、延管42の中途に吸気ボディ43および吸気ポート部材44が接続されることによりこの吸気ボディ43および吸気ポート部材44が第2管路とされ、流出ポート5は延管42内の主流路45ならびに吸気ボディ43および吸気ポート部材44内の副流路46の双方に連通している。主流路45は延管42の先端で大気開放され、副流路46には吸気ボディ43および吸気ポート部材44の接続部に位置して、Oリングを弁座52とするとともにボールを弁体53とする逆止弁51が設けられている。逆止弁51は、吸気ボディ43側から吸気ポート部材44側への流れを遮断し、吸気ポート部材44側から吸気ボディ43側への流れを許容する。
上記各構成部品において、ボディ2、カバー3、ピストン11、シールフランジ17、ポペット22、シャフト28、調整ネジ29、レバー31、吸気ボディ43および吸気ポート部材44はそれぞれ、所定の樹脂材料によって成形されている。
つぎに、上記逃し弁の作動を説明する。逃し弁は上記構成により、流入ポート4側の1次圧が所定のしきい値(設定圧)を超えたときに自動で開弁して圧力を開放する圧力調整機能、レバー31を揺動操作することにより強制開弁して1次圧を外部へ開放する強制開弁機能、および流入ポート4側の1次圧が負圧となったときに自動で開弁して大気圧を導入する負圧解消機能をそれぞれ発揮する。
<閉弁時>
図2は、当該逃し弁の閉弁時の状態を示しており、弁体24が弁座23に着座することにより弁が閉じている。また、調整ネジ29は復帰スプリング34に押圧されて定常位置にあるレバー31に当接している。尚、ピストン11の停止位置は調圧スプリング21の弾性によって規定されるので、調整ネジ29に対するシャフト28の雄ネジ部28aの螺合量が大きい場合にはシャフト28およびポペット22間に軸方向の間隙が生じることがある。以下の説明はシャフト28およびポペット22間に若干の軸方向間隙(図示せず)が生じていることを前提としている。
<調圧作動時>
当該逃がし弁がエコキュートや電気温水機器等の圧力配管に接続されて流入ポート4側に1次圧が入力すると、1次圧がしきい値(設定圧)未満のときはピストン11およびポペット22がともに移動せずまたはともに流出室7側へ移動するので、弁は閉じたままとされる。1次圧がしきい値(設定圧)に達するとそのタイミングでポペット22がシャフト28に当接するのでポペット22は停止し、1次圧がしきい値(設定圧)を超えると図4に示すように、ポペット22は停止したままピストン11が移動を続けるので弁体24から弁座23が離れ、開弁し、1次圧が流出ポート5側へ排出され、延管42の先端から大気開放される。ピストン11は1次圧と調圧スプリング21の弾性の均衡点で停止し、1次圧がしきい値(設定圧)を下回ると流入室6側へ移動して弁座23が弁体24に接触するので閉弁する。したがって流入ポート4側の1次圧が所定のしきい値(設定圧)を超えたときに自動で開弁して圧力を開放する圧力調整機能が発揮される。しきい値(設定圧)の大きさは調整ネジ29に対するシャフト28の雄ネジ部28aの螺合量によって調節可能とされる。
<強制開弁時>
機器の停止などに応じて当該逃し弁を強制開弁するときには図5に示すように、レバー31を手動で揺動操作する。揺動操作されたレバー31は調整ネジ29を押圧し、これにより調整ネジ29、シャフト28、ポペット22、取付ネジ26、弁体カバー25および弁体24よりなる部品群が流入室6側へ移動し、弁体24が弁座23から離れるので開弁し、1次圧が流出ポート5側へ排出され、延管42の先端から大気開放される。開放後レバー31を定常位置へ戻すと、復帰スプリング34の弾性によって調整ネジ29およびシャフト28が初動位置へ復帰動するので、弁体24が弁座23に着座可能とされる。したがってレバー31を揺動操作することにより強制開弁して配管内の圧力を外部へ開放する強制開弁機能が発揮される。
<負圧発生時>
図2の閉弁状態で流入ポート4側の1次圧が負圧になると、この負圧に吸引されてポペット22が移動し、弁体24が弁座23から離れるので開弁し、大気圧が延管42の主流路45、流出ポート5、流出室7および流入室6を経由して流入ポート4側へ導入される。また、副流路46の逆止弁51が開弁するので、副流路46からも大気圧が導入される。また、延管42の主流路45が長期間の使用で詰まったり別の設備に接続されたりして大気圧導入不可の状態にあるときは、副流路46からのみ大気圧が導入される。したがって流入ポート4側の1次圧が負圧となったときに自動で開弁して大気圧を導入する負圧解消機能が発揮される。
上記構成の逃し弁は、以上のように作動するものであって、以下の作用効果を発揮する点に特徴を有している。
すなわち上記構成の逃し弁においては、ピストン11の外周に配置されるシール手段12が、ピストン11に保持されるとともにケーング1の内周面に対し摺動可能に密接するリップパッキン13よりなるものとされている。リップパッキン13は装着溝18に嵌め込むだけで簡単に装着され、その外径寸法でシール径(有効径)が規定されるためサイズが小さく、部品単価も低いものである。したがって従来のダイアフラムに代えてこのようなリップパッキン13を用いることにより上記従来技術おける不都合を解消することができ、すなわち取付構造が簡単で、サイズが小さく、コストが低いと云う作用効果を獲得することができる。
また、リップパッキン13を装着する装着溝18がシールフランジ17および第2環状段部16の組み合わせよりなるものとされているため、ピストン11の外周面に後加工で装着溝18を削設する必要がなく、ピストン11の製作を容易化することが可能とされる。また、後付けするシールフランジ17についてはこれを樹脂材料にて製作する段階でその外径寸法を高精度で加工できるため、ケーシング1の内周面との間に適切な大きさの微小間隙cを形成することが可能とされる。ケーシング1の内周面との間に微小間隙cが形成されることによりリップパッキン13を保持する保持性が高められる。
また本発明は、圧力調整機能を備える逃し弁に適用されるほか、上記実施例で説明したように圧力調整機能、強制開弁機能および負圧解消機能を併せ備える逃し弁にも適用される。したがって本発明は各種の弁装置に適用が可能な技術である。
また、負圧解消機能に関連する構造として、逆止弁51を設置した第2管路が第1管路と分岐して設けられているため、第1管路が大気圧導入不可となっても第2管路からケーシング1内へ大気圧を導入することが可能とされている。したがって1次側に負圧が発生してもこれを解消する機会を増やすことができ、圧力配管が負圧の発生で破壊されるのを防止する負圧破壊防止弁として有効に機能するものとされている。
1 ケーシング
2 ボディ
3 カバー
4 流入ポート
5 流出ポート
6 流入室
7 流出室
8 軸受部
9 レバー保持部
9a 立ち上がり部
9b レバー保持片
9c 保持凹部
10 抜け止め部材
11 ピストン
12 シール手段
13 リップパッキン
13a 基部
13b,13c シールリップ部
15 第1環状段部
15a 第1円筒面
15b 第1端面
16 第2環状段部
16a 第2円筒面
16b 第2端面
17 シールフランジ
18 装着溝
21 調圧スプリング
22 ポペット
23,52 弁座
24,53 弁体
27 封止スプリング
28 シャフト
28a 雄ネジ部
29 調整ネジ
29a 雌ネジ部
31 レバー
32 レバー本体
33 回転軸部
34 復帰スプリング
41 分岐管路
42 延管
43 吸気ボディ
44 吸気ポート部材
45 主流路
46 副流路
51 逆止弁
c 径方向間隙

Claims (3)

  1. 流体の流入ポートおよび流出ポートを備えるケーシングと、前記ケーシングの内部空間に往復動可能に配置された環状のピストンと、前記ピストンの外周側に配置されるとともに前記ケーシングの内部空間を前記流入ポートに通じる流入室および前記流出ポートに通じる流出室に仕切るシール手段と、前記ピストンを流入室側へ向けて弾性付勢する調圧スプリングと、前記ピストンの内周側に相対移動可能に配置されたポペットと、前記ピストンの流入室側端部に設けられた弁座と、前記弁座の流入室側に接離可能に配置されるとともに前記ポペットに保持された弁体と、前記弁体が前記弁座に接触する方向へ前記ポペットを弾性付勢する封止スプリングと、前記ポペットの流出室側に配置されて前記ポペットの流出室側への移動量を規定するシャフトとを有し、
    前記シール手段は、前記ピストンに保持されるとともに前記ケーングの内周面に摺動可能に密接するリップパッキンよりなり、
    前記ピストンの外周面に第1円筒面および第1端面の組み合わせよりなる第1環状段部が設けられるとともに、前記第1環状段部の流出室側に前記第1円筒面より大径の第2円筒面および第2端面の組み合わせよりなる第2環状段部が設けられ、
    前記第1環状段部にシールフランジが嵌合され、
    前記シールフランジおよび前記第2環状段部の組み合わせよりなる装着溝に前記リップパッキンが装着されていることを特徴とする逃し弁。
  2. 請求項1記載の逃し弁において、
    前記シールフランジは、樹脂製であって、前記ケーシングの内周面との間に微小間隙を形成していることを特徴とする逃し弁。
  3. 請求項1または2記載の逃し弁において、
    前記流出ポートは、第1管路および第2管路を備える分岐管路に連通し、
    前記第1管路は大気開放され、
    前記第2管路には、前記ケーシング内が負圧となったときに開弁して大気圧を導入する逆止弁が設置されていることを特徴とする逃し弁。
JP2014006704A 2014-01-17 2014-01-17 逃し弁 Active JP6220273B2 (ja)

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