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JP6006038B2 - 液晶組成物 - Google Patents

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JP6006038B2
JP6006038B2 JP2012182229A JP2012182229A JP6006038B2 JP 6006038 B2 JP6006038 B2 JP 6006038B2 JP 2012182229 A JP2012182229 A JP 2012182229A JP 2012182229 A JP2012182229 A JP 2012182229A JP 6006038 B2 JP6006038 B2 JP 6006038B2
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Description

本発明は紫外線による液晶材料および基本特性の劣化を低減するための液晶組成物に関する。
液晶素子は携帯電話やPDAのような携帯機器、複写機やパソコンモニタのようなOA機器用表示装置、液晶テレビなどの家電製品用表示装置をはじめ、時計、電卓、測定器、自動車用計器、カメラなどの用途に使用されており、広い動作温度範囲、低動作電圧、高速応答性、化学的安定性等の種々の性能が要求されている。
このような液晶素子には液晶相を示す材料が使用されているが、従来、上記のような特性の全てを単独で満たす化合物は存在せず、液晶化合物や非液晶性化合物を複数混合することで、要求性能を満たす液晶組成物を得ていた。このため、各種特性のすべてではなく、一または二以上の特性に優れた液晶または非液晶の材料開発が望まれている。
最近ではディスプレイのさらなる高速応答化が望まれており、このためにはいくつかの改善方法が考えられるが、その一つとして低粘性の液晶組成物がある。すなわち、液晶組成物の粘性が低下すれば、応答速度は向上し、低温でも実用的な速度での表示が可能となる。
このような目的のために、ジフルオロスチルベン化合物が提案されている(特許文献1、2参照)。
ジフルオロスチルベンは、二重結合部位にフッ素が置換されていないスチルベン化合物よりも光に対して安定性が向上しているものであった。しかしながら、一般的に用いられている液晶化合物と比較すると光安定性には未だ問題が残されてり、ジフルオロスチルベン化合物は一部の使用環境が制限された状況でのみ採用されていた。
このような問題を解決するために、配向膜を芳香族ポリイミドから脂肪族ポリイミドに変更することが提案されている(特許文献3参照)。
特許文献3によれば、配向膜に用いられるポリイミドの構造がジフルオロスチルベンの光異性化に大きく関係があると記載されている。
しかしながら、液晶ディスプレイの配向膜としては芳香族ポリイミドが用いられることが多いため、特許文献3の適用は難しいものであった。
したがって、低粘性で、かつ光に対する安定性が高い液晶材料が望まれていた。
特開平6−329566号公報 特開平7−133241号公報 特開2005−206617号公報
本発明は、ジフルオロスチルベン誘導体の中でも、式(a)で表わされる化合物を用いることにより光異性化を抑制し、さらに式(b−1)等で表わされる特定の化合物を含有することにより相溶性を向上させた液晶組成物を提供することを目的とする。また、前記液晶組成物を用いた液晶電気光学素子を提供することを目的とする。
本発明は、下記式(a)で表される化合物と、下記式(b−1)、式(b−2)、式(b−3)、式(b−4)、式(b−5)、式(b−6)および式(b−7)からなる群から選ばれる少なくとも1種の式(b)で表わされる化合物とを含む液晶組成物を提供する。
式中の記号は以下の意味を示す。
1およびX2:相互に独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基、または電子求引性基。
ただし、前記電子求引性基はハメットの置換基定数のパラ効果がフッ素原子以上の値を有するものである。
1、L2、L7およびL 8 相互に独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子または塩素原子。
3 、L 4 、L 5 およびL 6 :水素原子。
mおよびn:いずれも0である。
前記式(a)で表わされる化合物において、L 1 、L 2 、L 3 、L 4 およびX 1 のハメットの置換基定数の総和ρ1を求め、更にL 5 、L 6 、L 7 、L 8 およびX 2 のハメットの置換基定数の総和ρ2を求めたときに、ρ1とρ2の差の絶対値が0.2以下であり、
ただし、式(a)は下記の条件1および条件2を満たすものである。
条件1:X1が電子求引性基、または、L 1およびL 2 少なくとも一つが、フッ素原子または塩素原子。
条件2:X2が電子求引性基、または、L 7およびL 8 少なくとも一つが、フッ素原子または塩素原子。
式中の記号は以下の意味を示す。
1およびR2:相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基、またはアルケニル基。
3およびR4:相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基。
記式(a)で表わされる化合物は、X1およびX2が電子求引性基であるものも好ましい。
また、前記式(a)で表わされる化合物は、L 1 =L8、L2=L7、L3=L6、L4 5 、かつX1=X2であるものも好ましい。
また、前記式(a)で表わされる化合物は、電子求引性基が、フッ素原子、塩素原子、−OCF2Rで表わされる基(Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数2〜5のアルケニル基。)またはシアノ基であるものも好ましい。
また、前記液晶組成物は、前記式(a)で表わされる化合物を3〜40質量%、前記式(b−1)、式(b−2)、式(b−3)、式(b−4)、式(b−5)、式(b−6)および式(b−7)からなる群から選ばれる少なくとも1種の式(b)で表わされる化合物を3〜40質量%、含有するものも好ましい。
また、本発明は、前記いずれかの液晶組成物を、電極が配設された2枚の基板間に封入してなる液晶電気光学素子も提供する。
本発明の液晶組成物は、式(a)で表される化合物を用いることにより光異性化を抑制することができ、さらに式(b−1)等で表わされる特定の化合物を含有することにより、相溶性、特には、低温での相溶性を向上させることができる。このため、本発明の液晶組成物は、非常に低い粘度、良好な耐光性および良好な低温保存性を有する。
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本明細書において、式(a)で表される化合物を化合物(a)と記し、他の式で表される化合物も同様に記す。
本明細書において、式(b−1)、式(b−2)、式(b−3)、式(b−4)、式(b−5)、式(b−6)および式(b−7)で表わされるそれぞれの化合物をまとめて、化合物(b)とも記す。
また、本明細書において、液晶化合物とは、液晶相を示す化合物および液晶相を示さないが液晶組成物の構成成分として有用である化合物を意味する。
化合物(a)において、X1およびX2は前記のとおりである。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
本発明において、電子求引性基は、前記のとおり、ハメットの置換基定数のパラ効果がフッ素原子以上の値を有するものを意味する。
具体的には、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、シアノ基、または−OCF2Rで表わされる基が挙げられる。(Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数2〜5のアルケニル基。)
1およびX2としては、耐光性が良好であることから、電子求引性基が好ましく、中でも、フッ素原子、塩素原子、−OCF2Rで表わされる基(Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数2〜5のアルケニル基。)またはシアノ基が好ましい。中でも、粘性が低く、合成が容易であることから、フッ素原子、塩素原子、−OCF3または−OCHF2が特に好ましい。
化合物(a)において、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15およびL16は前記のとおりである。
なお、「存在するL1、L2、L3、L4、L9、L10、L11、L12」とは、mが0である場合は、「L1、L2、L3、L4」を意味し、mが1である場合は、「L1、L2、L3、L4、L9、L10、L11、L12」を意味する。
同様に、「存在するL5、L6、L7、L8、L13、L14、L15、L16」とは、nが0である場合は、「L5、L6、L7、L8」を意味し、nが1である場合は、「L5、L6、L7、L8、L13、L14、L15、L16」を意味する。
1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10、L11、L12、L13、L14、L15およびL16としては、耐光性の高さや粘性の低さから、水素原子またはフッ素原子が好ましい。
また、L3、L4、L5およびL6は、粘性の低さから水素原子が特に好ましい。
化合物(a)において、mおよびnは、前記のとおりである。mおよびnとしては、mおよびnがいずれも0であるもの、またはいずれも1であるものが好ましく、粘性が低いことから、mおよびnがいずれも0であるものが特に好ましい。
化合物(a)は、前記条件1および条件2を満たす。これは、化合物(a)の−CF=CF−の両端が、電子求引性基であることを意味する。
また、化合物(a)は、「存在するL1、L2、L3、L4、L9、L10、L11、L12およびX1」、つまり−CF=CF−の左側のハメットの置換基定数の総和ρ1と、「存在するL5、L6、L7、L8、L13、L14、L15、L16およびX2」、つまり−CF=CF−の右側のハメットの置換基定数の総和ρ2の、差の絶対値が0.2以下であるものが好ましく、0.15以下であるものがより好ましく、0.1以下であるものが特に好ましい。−CF=CF−の左右でハメットの置換基定数の総和の差が小さいと、耐光性が良好になるためである。
なかでも、存在するL1=L8、L2=L7、L3=L6、L4=L5、L9=L16、L10=L15、L11=L14、L12=L13、かつX1=X2であるものは、−CF=CF−を中心に点対称の構造となり、前記総和の差も0であるため、耐光性の面から好ましい。
化合物(b)において、R1、R2、R3およびR4は前記のとおりである。
アルキル基およびアルケニル基としては、化合物(a)で例示したものと同様のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
1およびR2としては、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数2〜5のアルケニル基が好ましい。
3およびR4としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数2〜5のアルケニル基、または炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。
化合物(b)としては、化合物(a)の溶解性を向上し、組成物の相溶性が良好になることから、化合物(b−1)、化合物(b−2)、化合物(b−3)、化合物(b−5)および化合物(b−6)が好ましく、中でも化合物(b−1)が好ましい。
化合物(a)は、特許文献1等の公知文献を参考に合成できる。他にも、例えば、化合物(a)が対称型である場合、より具体的には、mおよびnがいずれも0であり、L1〜L8がいずれも水素原子であり、X1およびX2がいずれもフッ素原子である化合物の場合は、下記のように、化合物(1)を、ブチルリチウム等の金属試薬と反応させ、リチオ化物である化合物(2)とし、これとテトラフルオロエチレンを反応させることによっても、合成することができる。
ただし、式中のPhは1,4−フェニレン基である。
ジフルオロスチルベンの光刺激による可逆的な幾何異性化反応のメカニズムについて以下に示す。幾何異性体の一方であるトランス−ジフルオロスチルベンともう一方の幾何異性体であるシス−ジフルオロスチルベンの間にはポリイミド配向膜からの光増感による可逆的な光異性化反応にあると想定している。即ち、それぞれのジフルオロスチルベン幾何異性体は、ポリイミドが外部からの光刺激により励起されて、さらに系間交差を通して生成したポリイミド励起三重項状態より三重項エネルギーをもらうことでジフルオロスチルベンが三重項状態に励起する。通常三重項状態は一重項状態よりも寿命が長いため、励起三重項状態にあるトランス体、シス体のそれぞれのジフルオロスチルベンは準安定であるねじれ型構造に移行していくと考えられる。その後、ねじれ型構造のまま基底状態へ移り、基底状態のトランス体もしくはシス体のジフルオロスチルベンへと戻ることとなる。
前記の考え方とは別に、ジフルオロスチルベンが外部から入ってきた光刺激により光励起する場合もありうる。この場合についても、トランス体、シス体それぞれのジフルオロスチルベンは光吸収をして励起一重項状態になり、その後、三重項状態へ系間交差し、そのあとにジフルオロスチルベンは準安定なねじれ型構造の励起三重項状態となることが考えられる。その後は、ねじれ型構造のまま基底状態へ移り、基底状態のトランス体もしくはシス体のジフルオロスチルベンへと戻ることとなる。
前記のように、ジフルオロスチルベン誘導体は内因的、外因的に光刺激を受けてトランス体、シス体の間に可逆的な光異性化反応が起きることとなる。
ジフルオロスチルベン誘導体はトランス体、シス体では液晶物性が異なるため、光刺激によるトランス体、シス体の間での可逆的な光異性化反応が進行してしまうと平衡状態でない限りは液晶組成物の物性値に変化を起こしてしまうため、極力光異性化反応を抑制する必要がある。
前記した環境下でジフルオロスチルベン誘導体の可逆的な光異性化反応を抑制するための方法がいくつか考えられるが、光異性化が起きにくい誘導体構造を見出すのが最も効果的である。
本発明は、化合物(a)と化合物(b)を液晶組成物として組み合わせて使うことにより光安定性を向上させることができる。さらに、低温での相溶性が向上し、低温での保存安定性を向上させることが可能になる。また、この際、紫外線カットフィルター、三重項消光剤、または光異性化抑制剤を併用することにより、より効果的に紫外光に対する安定性を向上できる。
三重項消光剤としては、1,3,5−トリエンまたはその誘導体や下記式(c)で表される化合物などが挙げられる。
光異性化抑制剤としてはピレンとその誘導体などが挙げられ、例えば下記式(d)で表わされる化合物などが挙げられる。
式中のRd1、Rd2およびRd3は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜3のアルキル基である。
本発明の液晶組成物は、化合物(a)および化合物(b)と、他の液晶化合物または非液晶性化合物(これらを総称して「他の化合物」という)とを混合させて液晶組成物を構成する。
本発明の液晶組成物は、化合物(a)の1種または2種以上を含有することができ、化合物(b)の1種または2種以上を含有することができる。本明細書において、組成物中の化合物(a)の含有量とは化合物(a)としての含有量であり、したがって化合物(a)を2種以上含有する場合に特に「合計」の語を用いなくても2種以上の化合物(a)の合計量であり、化合物(b)についても同様である。
本発明の液晶組成物における化合物(a)の含有量は、用途、使用目的、他の化合物の種類等により適宜変更できるが、液晶組成物全量に対して、3〜40質量%が好ましく、特に3〜30質量%が好ましい。また、化合物(b)の含有量は3〜40質量%が好ましく、特に3〜30質量%が好ましい。
化合物(a)および化合物(b)と混合して用いるほかの化合物としては、屈折率異方性値を調整する成分、粘性を下げる成分、低温で液晶性示す成分、誘電率異方性を向上させる成分、コレステリック性を付与する成分、二色性を示す成分、導電性を付与する成分、その他各種添加剤等が挙げられる。これらは、用途、要求性能等により適宜選択されるが、通常は、液晶化合物および該液晶化合物と類似構造を有する主成分と、必要に応じて添加される添加成分とからなるものが好ましい。
本発明の液晶組成物において、前記他の化合物としては、例えば、以下の式で表されるものが挙げられる。以下の式中、R5およびR6は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基等の基を表す。また、R5およびR6は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
以下の各式中、−Cy−はトランス−1,4−シクロへキシレン基を表し、−Ph−は1,4−フェニレン基を表し、−PhFF−はジフロオロフェニレン基を表す。
5−Cy−PhFF−CN
5−Ph−C≡C−Ph−R6
5−Cy−COO−Ph−R6
5−Cy−COO−PhFF−CN
5−Ph−COO−Ph−R6
5−Ph−COO−PhFF−CN
5−Cy−CH=CH−Ph−R6
5−Ph−CH=CH−Ph−R6
5−Cy−CF=CF−Ph−R6
5−Cy−CF=CF−Cy−R6
5−Cy−Ph−CF=CF−Cy−R6
5−Ph−Cy−CF=CF−Cy−R6
5−Cy−Cy−CF=CF−Ph−R6
5−Cy−CH2 CH2 −Ph−R6
5−Cy−Ph−CH2 CH2−Ph−R6
5−Cy−Ph−CH2 CH2−Cy−R6
5−Cy−Cy−CH2 CH2−Ph−R6
5−Ph−CH2 CH2−Ph−R6
5−Ph−Ph−CH2 CH2−Ph−R6
5−Ph−Ph−CH2 CH2−Cy−R6
5−Cy−Ph−PhFF−CN
5−Cy−Ph−C≡C−Ph−R6
5−Cy−Ph−C≡C−PhFF−CN
5−Cy−Ph−C≡C−Ph−Cy−R6
5−Cy−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−R6
5−Cy−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R6
5−Cy−Ph−Ph−Cy−R6
5−Ph−Ph−Ph−R6
5−Ph−Ph−C≡C−Ph−R6
5−Ph−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−R6
5−Ph−CH2 CH2−Ph−C≡C−Ph−Cy−R6
5−Cy−COO−Ph−Ph−R6
5−Cy−COO−Ph−PhFF−CN
5−Cy−Ph−COO−Ph−R6
5−Cy−Ph−COO−PhFF−CN
5−Cy−COO−Ph−COO−Ph−R6
5−Cy−COO−Ph−COO−PhFF−CN
5−Ph−COO−Ph−COO−Ph−R6
5−Ph−COO−Ph−OCO−Ph−R6
5−Ph−CF2O−Ph−R6
5−Cy−CF2 O−Ph−R6
5−Ph−CF2 O−Cy−R6
5−Cy−Ph−CF2O−Ph−R6
5−Cy−Ph−CF2O−Cy−R6
5−Cy−Cy−CF2O−Ph−R6
5−Ph−Ph−CF2O−Ph−R6
5−Ph−Ph−CF2O−Cy−R6
5−Cy−Ph−CF2O−PhFF−R6
5−Cy−PhFF−CF2 O−PhFF−R6
5−Ph−Ph−CF2O−PhFF−R6
5−Ph−PhFF−CF2O−PhFF−R6
5−Ph−CF2 CF2 −Ph−R6
5−Cy−CF2 CF2−Ph−R6
5−Cy−CF2 CF2−Cy−R6
5−Cy−Ph−CF2 CF2−Ph−R6
5−Cy−Ph−CF2 CF2−Cy−R6
5−Cy−Cy−CF2 CF2−Ph−R6
5−Ph−Ph−CF2 CF2−Ph−R6
5−Ph−Ph−CF2 CF2−Cy−R6
なお、これらの化合物は単なる代表例であり、該化合物中の環構造または末端基に存在する水素原子が、ハロゲン原子、シアノ基、メチル基等で置換されたものでもよい。また、シクロヘキサン環やベンゼン環が他の六員環や五員環、例えば、ピリミジン環やジオキサン環等で置換されたものでもよく、環と環との間の結合基がそれぞれ独立して他の2価の結合基、例えば−CH2 O−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−COOCH2 −、−OCOCH2 −または−COCH2 −等に変更されているものでもよく、所望の性能に合わせて選択することができる。
さらに、本発明は、前記液晶組成物を液晶層の構成材として用いる液晶電気光学素子を提供する。本明細書において、液晶電気光学素子とは、表示素子に限られず、液晶の電気的または光学的特性を利用する各種の機能素子、例えば、液晶表示素子、さらに、調光窓、光シャッター、偏光変換素子、可変焦点レンズ等の用途に用いられる素子を含むものである。例えば、本発明の液晶組成物を液晶セル内に注入する等して形成される液晶層を、電極を備える2枚の基板間に挟持して構成される電気光学素子部を有する液晶電気光学素子を提供する。この液晶電気光学素子は、ツイストネマチック(TN)方式、スーパーツイストネマチック(STN)方式、ECBモード、VAモード、ゲストホスト方式、動的散乱方式、フェーズチェンジ方式、DAP方式、二周波駆動方式、強誘電性液晶表示方式等種々のモードで駆動されるものが挙げられる。
代表的な液晶電気光学素子としては、ツイストネマチック(TN)型液晶表示素子が挙げられる。このツイストネマチック(TN)型液晶表示素子は、まず、プラスチック、ガラス等の基板上に、必要に応じてSiO2 、Al2 3 等のアンダーコート層やカラーフィルター層を形成し、In23 −SnO2 (ITO)、SnO2 等からなる被膜を成膜し、ホトリソグラフィ等により所要のパターンの電極を形成する。次に、必要に応じて、ポリイミド、ポリアミド、SiO2 、Al2 3 等のオーバーコート層を形成し、配向処理する。これにシール材を印刷し、電極面が相対向するように配して周辺をシールし、シール材を硬化して空セルを形成する。
さらに、空セルに、本発明の組成物を注入し、注入口を封止剤で封止して液晶セルを構成する。この液晶セルに、必要に応じて、偏光板、カラー偏光板、光源、カラーフィルター、半透過反射板、反射板、導光板、紫外線カットフィルター等を積層、文字、図形等を印刷、ノングレア加工等をして液晶電気光学素子を得ることができる。
なお、上述の説明は、液晶電気光学素子の基本的な構成および製法を説明したものであり、他の構成も採用できる。例えば、2層電極を用いた基板、2層の液晶層を形成した2層液晶セル、反射電極を用いた基板、TFT、MIM等の能動素子を形成したアクティブマトリクス基板を用いたアクティブマトリクス素子等、種々の構成のものが採用できる。
さらに、本発明の組成物は、前記TN型以外のモード、即ち、高ツイスト角のSTN型液晶電気光学素子や、多色性色素を用いたゲスト−ホスト(GH)型液晶電気光学素子、横方向の電界で液晶分子を基板に対して平行に駆動させるインプレーンスイッチング(IPS)型液晶電気光学素子、液晶分子を基板に対して垂直配向させるVA型液晶電気光学素子、強誘電性液晶電気光学素子等、種々の方式で使用することができる。また、電気的に書き込みをする方式ではなく、熱により書き込みをする方式に用いることもできる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。なお以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を例示しようとするものである。
また、液晶透明点(Tc)は、以下の条件で測定した。
[液晶透明点(Tc)の測定]
偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレート上に液晶組成物を置き、1℃/minで昇温し、相変化を観察、液晶組成物のTcを測定し、測定値を外挿することで化合物のTcの外挿値を算出した。
以下に耐光性試験方法について記載をする。
メルク社製液晶組成物ZLI−4792と、公知の方法と同様に合成した表1に示す化合物(a−1)〜(a−6)を、表2に示す質量比で混合して調製した液晶組成物を、ガラスセルに封入し、キセノンウェザーメーター(XT1−15、スガ試験機社製)に入れて光照射をした。積算光量は紫外線積算光量計(本体:UIT−250、受光器:UVD−S365、ウシオ電機社製)を用いて照度を測定し、積算光量(J)=照度(W/cm)×照射時間(秒)にて算出した。積算光量として約32J照射した際の液晶透明点(Tc)を測定してΔTcを算出した。ΔTcは、未照射時のTc0および照射後のTc1を測定し、ΔTc=Tc1−Tc0から求めた。これらの結果を表2に示す。
また、公知の方法で合成した化合物(e−1)および(e−2)についても、上記方法と同様の方法にて組成物を作製し、耐光試験を行った。これらの結果を表2に示す。又、それぞれの化合物のハメットの置換基定数を計算した結果を表3に示す。
この結果から、電子求引性基を有さない化合物(e−1)に比べ、電子求引性基を有する化合物(e−2)および化合物(a)の方が、耐光性試験におけるTc低下が少なく良好な結果が得られた。また、フルオロエチレンの2重結合を起点として、置換基定数の左右各々の和の左右の差分の絶対値が0.2以下とすることにより、更に耐光性試験後のTc低下が低くなることが分かった。さらに、パラ位に電子求引性基を配置した方がより好ましいことが分かった。
メルク社製液晶組成物ZLI−4792に、公知の方法と同様に合成した化合物(a)を添加した液晶組成物を−25℃下で72時間放置した後に、液晶組成物の低温安定性を確認した結果を表4に示す。
表中の、○はネマティック相を意味し、×は結晶が析出したことを意味する。
通常液晶組成物は10数〜20数種類の化合物が混合されており、少なくとも3質量%以上、好ましくは5質量%以上の添加がなければ組成物の特性に与える影響は小さい。特性の良い材料をなるべく多く添加することが望まれるが、化合物(a)は単体での添加に対して低温での溶解性に問題があり、液晶組成物における相溶性が低いという問題がある。
ここで、ZLI−4792を90質量%に化合物(a−2)を5質量%、および表5に示す化合物(b−11)〜(b−62)を5質量%添加し、同様に−25℃下で72時間放置後の低温安定性を確認した結果を表6に示す。
表中の、○はネマティック相を意味する。
この結果から、化合物(a−2)の低温安定性は、単体で使用するより、化合物(b)と組み合わせる事により向上することが判明した。
本発明の液晶組成物は、化合物(a)の−CF=CF−の両側に電子求引性基を配置することにより、化合物(a)の光刺激による安定性を向上させることができた。特に、化合物(a)の−CF=CF−の両側でそれぞれハメットの置換基定数の総和を計算し、この左右の総和の差の絶対値が0.2以下とすることで、さらに化合物(a)の光安定性を向上させることができた。
更に、化合物(b)との組み合わせにより、化合物(a)の低温での溶解性を向上させ、組成物の低温での相溶性を向上させることで、組成物の低温安定性を向上した。
このような化合物を液晶組成物に用いることで、液晶電気光学素子に要求される様々な性能を持つ組成物の調製ができることが明らかになった。

Claims (6)

  1. 下記式(a)で表される化合物と、下記式(b−1)、式(b−2)、式(b−3)、式(b−4)、式(b−5)、式(b−6)および式(b−7)からなる群から選ばれる少なくとも1種の式(b)で表わされる化合物とを含む液晶組成物。
    式中の記号は以下の意味を示す。
    1およびX2:相互に独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基もしくはアルケニル基、または電子求引性基。
    ただし、前記電子求引性基はハメットの置換基定数のパラ効果がフッ素原子以上の値を有するものである。
    1、L2、L7およびL 8 相互に独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子または塩素原子。
    3 、L 4 、L 5 およびL 6 :水素原子。
    mおよびn:いずれも0である。
    前記式(a)で表わされる化合物において、L 1 、L 2 、L 3 、L 4 およびX 1 のハメットの置換基定数の総和ρ1を求め、更にL 5 、L 6 、L 7 、L 8 およびX 2 のハメットの置換基定数の総和ρ2を求めたときに、ρ1とρ2の差の絶対値が0.2以下であり、
    ただし、式(a)は下記の条件1および条件2を満たすものである。
    条件1:X1が電子求引性基、または、L 1およびL 2 少なくとも一つが、フッ素原子または塩素原子。
    条件2:X2が電子求引性基、または、L 7およびL 8 少なくとも一つが、フッ素原子または塩素原子。
    式中の記号は以下の意味を示す。
    1およびR2:相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基、またはアルケニル基。
    3およびR4:相互に独立して、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基。
  2. 前記式(a)で表わされる化合物において、X1およびX2が電子求引性基である、請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記式(a)で表わされる化合物において、L 1 =L8、L2=L7、L3=L6、L4 5 、かつX1=X2である、請求項1または2に記載の液晶組成物。
  4. 前記式(a)で表わされる化合物において、電子求引性基が、フッ素原子、塩素原子、−OCF2Rで表わされる基(Rは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜5のアルキル基、または炭素数2〜5のアルケニル基。)またはシアノ基である、請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  5. 前記式(a)で表わされる化合物を3〜40質量%、前記式(b)で表わされる化合物を3〜40質量%含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶組成物。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶組成物を、電極が配設された2枚の基板に封入してなる液晶電気光学素子。
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