本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。また、他の構成を含むようにしてもよい。
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置10について、図1及び図2等を参照して説明する。インクジェット記録装置10では、入力された画像データに従い、記録媒体12にインクが吐出され、入力された画像データに対応した画像が記録される。図1で、第一方向において記録部40を通過した記録媒体12に付した交差模様は、記録媒体12に記録された画像を示している。画像の記録には、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のインクが用いられる。画像の記録には、これら4色の他、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の淡色系であるライトイエロー、ライトマゼンタ、ライトシアン、及び/又は、クリアを用いてもよい。本実施形態では、画像の記録に用いられるインク色に関し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色を例として説明する。記録媒体12としては、記録用紙の他、加工生産において用いられる産業資材が例示される。産業資材には、短冊状の布帛又は長尺状の布帛(図1参照)、各種の建築材等が例示される。布帛としては、各種材質による繊維織編物が含まれる。
インクジェット記録装置10は、搬送部20と、記録部40と、第一移動部70と、観察部80と、メンテナンス部100と、制御装置110を備える。搬送部20は、搬送部20の上流側の位置で搬送面21に載せ置かれた記録媒体12を、搬送部20の下流側に搬送する。搬送部20による記録媒体12の搬送は、連続的に行われる。記録媒体12が搬送される方向(搬送方向)を「第一方向」という。搬送部20は、例えば、ベルトコンベアのような搬送機構によって構成される。搬送部20は、既に実用化されたインクジェット記録装置が備える搬送部と同様である。搬送部20に関するこの他の説明は省略する。
記録部40は、搬送部20によって搬送される記録媒体12に、各色のインクを吐出し、画像を記録する。インクジェット記録装置10において画像が記録される場合、記録部40は、図1に示す位置に配置される。記録部40は、キャリッジ41と、記録ヘッド42を含む。キャリッジ41には、記録ヘッド42が搭載される。記録ヘッド42は、インクを吐出するノズル44を含むライン型の記録ヘッドである。記録ヘッド42がキャリッジ41に搭載された状態において、記録ヘッド42に含まれるノズル44は、第一方向に直交する第二方向に、記録媒体12の幅以上の範囲に存在する。第二方向は、記録媒体12の幅方向に一致する。記録ヘッド42に関するこの他の点は、後述する。
第一移動部70は、キャリッジ41を、第二方向に移動する。例えば、後述する位置決め方法が実施される場合、第一移動部70は、キャリッジ41を、観察部80が設けられた位置に移動する。位置決め方法の実施中、第一移動部70は、キャリッジ41を、所定のタイミングで、一定距離(図3に示す「寸法W」参照)だけ移動する。位置決め方法によって、記録ヘッド42がキャリッジ41に搭載された場合、キャリッジ41は、第一移動部70によって、図2に示すような位置に配置される。この他、記録部40に対して後述するメンテナンスが実施される場合、第一移動部70は、キャリッジ41(記録部40)を、メンテナンス部100が設けられた位置に移動する。第一移動部70は、観察部80又はメンテナンス部100の各位置に配置された記録部40を、図1に示す位置に移動する。
第一移動部70は、例えば、スライド機構71と、駆動部77を含む。スライド機構71は、例えば、ボールねじ72と、リニアガイド75,76を含む。記録部40は、キャリッジ41の天部(吐出面45(図3参照)とは反対側の部分)の側において、ボールねじ72のナット部73に固定されると共に、リニアガイド75,76に支持される。駆動部77は、ボールねじ72のねじ軸74を左右両方向に回転させ、記録部40を、第二方向に移動させるための駆動源である。駆動部77は、例えば、モータを含む。駆動部77が所定の方向に回転すると、駆動部77の回転方向に対応した方向に、ねじ軸74が回転する。ナット部73は、第二方向において、ねじ軸74の回転方向に対応した方向に移動する。記録部40は、ナット部73の移動に伴い、リニアガイド75,76にガイドされた状態で移動する。
観察部80は、記録ヘッド42に含まれるノズル44の位置を位置決めするための構成である。本実施形態では、観察部80は、図1及び図2に示すように、搬送部20と、メンテナンス部100の間の所定位置に設けられる。観察部80に関するこの他の点は、後述する。メンテナンス部100は、記録ヘッド42に対するメンテナンスを行う。メンテナンスは、例えば、インクの吐出状態に異常が生じた場合と、位置決め方法が終了した場合に行われる。メンテナンスが行われる場合、記録部40は、第一移動部70によって、メンテナンス部100が設けられた位置に移動される。メンテナンス部100では、例えば、吐出面45(図3参照)がクリーニングされる。吐出面45は、記録ヘッド42においてノズル44が形成された面である。吐出面45は、搬送面21(搬送される記録媒体12の記録面)に対向する。クリーニングでは、記録ヘッド42に含まれるノズル44から、各色のインクが強制的に吐出される。この吐出は、例えば、エア詰まり等を解消する目的で行われる。この他、メンテナンス部100では、検査用媒体に、テストパターンが記録され、記録されたテストパターンに従い、インクの吐出状態が検査される。テストパターンの記録は、記録媒体12への画像の記録が行われている所定のタイミングで行われる。位置決め方法が終了した場合にテストパターンを記録し、記録ヘッド42が適切にキャリッジ41に搭載されていることを確認するようにしてもよい。メンテナンスが終了した場合、記録部40は、第一移動部70によって、図1に示す位置に戻される。その後、インクジェット記録装置10では、例えば、記録媒体12の搬送が開始され、記録媒体12への画像の記録が実行される。
制御装置110は、例えば、制御部111と、記憶部112と、操作部113と、表示部114を備える。制御部111は、インクジェット記録装置10で実行される各種の処理を制御する。制御部111は、例えば、CPUと、メモリを含む。記憶部112は、ハードディスクのようなストレージデバイスである。記憶部112には、インクジェット記録装置10で実施される各種の処理のためのコンピュータプログラムがインストールされる。記憶部112には、各種のデータが記憶される。操作部113は、制御装置110に対する所定の指示を入力するためのユーザインターフェースである。表示部114は、各種の情報を表示する。表示部114は、表示領域115及び表示領域116を含む。表示領域115は、観察部80に含まれる第一撮像部81で撮像された画像が表示される領域である。表示領域116は、観察部80に含まれる第二撮像部82で撮像された画像が表示される領域である。
制御部111は、記憶部112に記憶されたコンピュータプログラムを実行する。具体的には、制御部111に含まれるCPUが、記憶部112から、所定の処理のためのコンピュータプログラムを読み出し、メモリを用いて実行する。CPUは、例えば、後述する位置決め方法において、表示部114(表示領域115,116)に、観察部80(第一撮像部81及び第二撮像部82)で撮像された画像と、第一位置情報117及び第二位置情報118(図6下段等参照)を表示するための処理を実行する。CPUは、表示される画像が変更される場合(位置決め工程の第三工程参照)、変更の前後において、第一位置情報117及び第二位置情報118を、表示部114(表示領域115,116)の同一の位置に表示するように制御する。このようにして、各種の機能が実現される。即ち、制御部111は、各種の機能部を構成する。
<記録ヘッド>
記録ヘッド42について、図3を参照して説明する。記録ヘッド42は、複数のヘッドモジュールが一体となって形成される。本実施形態では、記録ヘッド42は、4個のヘッドモジュール46,47,48,49によって形成される。即ち、ヘッドモジュール46,47,48,49は、それぞれが記録ヘッド42の一部を形成する。ヘッドモジュール46,47,48,49は、それぞれがキャリッジ41に取り付けられる。ヘッドモジュール46,47,48,49のキャリッジ41への取り付けは、後述する位置決め方法を実施して行われる。記録ヘッド42を形成するヘッドモジュールの個数は、諸条件の下、適宜決定される。記録ヘッド42を形成するヘッドモジュールの個数は、4個(1個/色)以外の個数であってもよい。例えば、1色あたり2個とし、合計8個(4色)としてもよい。この他、複数個のヘッドモジュールを1組とし、これを第一方向に沿った方向に2組以上並べて設けるようにしてもよい。この場合、各組毎に、後述する位置決め方法の各工程を適宜実施する。
ヘッドモジュール46は、中間プレート50と、ヘッド部51,52,53,54を含む。ヘッドモジュール46は、中間プレート50に、ヘッド部51,52,53,54を固定して形成される。ヘッド部51,52,53,54は、それぞれが所定の間隔で並べて設けられる。ヘッド部51,52,53,54が並ぶ方向は、第一方向に沿った方向(第一方向及びこれとは反対の方向(下流側から上流側に向かう方向)の両方向を含む)である。ヘッド部51は、イエロー用のヘッド部である。ヘッド部52は、マゼンタ用のヘッド部である。ヘッド部53は、シアン用のヘッド部である。ヘッド部54は、ブラック用のヘッド部である。各色用のヘッド部51,52,53,54のそれぞれには、対応する色のインクを吐出する複数のノズル44が形成される。複数のノズル44の配置に関し、ヘッド部51,52,53,54では、第二方向に配列されたノズル44によるノズル列が、第一方向に沿って2列形成される。1列あたりのノズル44の個数と、列数は、図3とは異なる状態であってもよい。1列あたりのノズル44の個数と、列数は、諸条件の下、適宜決定される。画像の記録に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック以外の色が用いられる場合、ヘッドモジュール46は、前述した色以外の色のヘッド部を含む(ヘッドモジュール47,48,49についても同じ)。
ヘッドモジュール47は、中間プレート55と、ヘッド部56,57,58,59を含む。ヘッドモジュール47は、中間プレート55に、ヘッド部56,57,58,59を固定して形成される。ヘッド部56,57,58,59は、それぞれが所定の間隔で並べて設けられる。ヘッド部56,57,58,59が並ぶ方向は、第一方向に沿った方向である。ヘッド部56,57,58,59の間隔は、ヘッドモジュール46でのヘッド部51,52,53,54の場合と同じである。ヘッド部56は、イエロー用のヘッド部である。ヘッド部57は、マゼンタ用のヘッド部である。ヘッド部58は、シアン用のヘッド部である。ヘッド部59は、ブラック用のヘッド部である。各色用のヘッド部56,57,58,59のそれぞれには、対応する色のインクを吐出する複数のノズル44が形成される。複数のノズル44の配置は、ヘッドモジュール46でのヘッド部51,52,53,54の場合と同じである。これに関する説明は省略する。
ヘッドモジュール48は、中間プレート60と、ヘッド部61,62,63,64を含む。ヘッドモジュール48は、中間プレート60に、ヘッド部61,62,63,64を固定して形成される。ヘッド部61,62,63,64は、それぞれが所定の間隔で並べて設けられる。ヘッド部61,62,63,64が並ぶ方向は、第一方向に沿った方向である。ヘッド部61,62,63,64の間隔は、ヘッドモジュール46でのヘッド部51,52,53,54の場合と同じである。ヘッド部61は、イエロー用のヘッド部である。ヘッド部62は、マゼンタ用のヘッド部である。ヘッド部63は、シアン用のヘッド部である。ヘッド部64は、ブラック用のヘッド部である。各色用のヘッド部61,62,63,64のそれぞれには、対応する色のインクを吐出する複数のノズル44が形成される。複数のノズル44の配置は、ヘッドモジュール46でのヘッド部51,52,53,54の場合と同じである。これに関する説明は省略する。
ヘッドモジュール49は、中間プレート65と、ヘッド部66,67,68,69を含む。ヘッドモジュール49は、中間プレート65に、ヘッド部66,67,68,69を固定して形成される。ヘッド部66,67,68,69は、それぞれが所定の間隔で並べて設けられる。ヘッド部66,67,68,69が並ぶ方向は、第一方向に沿った方向である。ヘッド部66,67,68,69の間隔は、ヘッドモジュール46でのヘッド部51,52,53,54の場合と同じである。ヘッド部66は、イエロー用のヘッド部である。ヘッド部67は、マゼンタ用のヘッド部である。ヘッド部68は、シアン用のヘッド部である。ヘッド部69は、ブラック用のヘッド部である。各色用のヘッド部66,67,68,69のそれぞれには、対応する色のインクを吐出する複数のノズル44が形成される。複数のノズル44の配置は、ヘッドモジュール46でのヘッド部51,52,53,54の場合と同じである。これに関する説明は省略する。
本実施形態では、イエロー用のヘッド部51,56,61,66にそれぞれ形成されたイエローインクを吐出するノズル44を、「ノズル44Y」という。マゼンタ用のヘッド部52,57,62,67にそれぞれ形成されたマゼンタインクを吐出するノズル44を、「ノズル44M」という。シアン用のヘッド部53,58,63,68にそれぞれ形成されたシアンインクを吐出するノズル44を、「ノズル44C」という。ブラック用のヘッド部54,59,64,69にそれぞれ形成されたブラックインクを吐出するノズル44を、「ノズル44K」という。インク色を区別しない場合、又は、ノズル44Y,44M,44C,44Kを区別しない若しくはこれらを総称する場合、「ノズル44」という。
中間プレート50,55,60,65は、共通した形状とされる。ヘッド部51,52,53,54と、ヘッド部56,57,58,59と、ヘッド部61,62,63,64と、ヘッド部66,67,68,69は、何れも、同じ形状とされる(ノズル44についても同じ)。中間プレート50に対するヘッド部51,52,53,54の各配置と、中間プレート55に対するヘッド部56,57,58,59の各配置と、中間プレート60に対するヘッド部61,62,63,64の各配置と、中間プレート65に対するヘッド部66,67,68,69の各配置は、何れも同一とされる。従って、ヘッドモジュール46におけるヘッド部51,52,53,54の相対位置と、ヘッドモジュール47におけるヘッド部56,57,58,59の相対位置と、ヘッドモジュール48におけるヘッド部61,62,63,64の相対位置と、ヘッドモジュール49におけるヘッド部66,67,68,69の相対位置は、同一の状態となる。中間プレート50,55,60,65が、図3に示すように、第二方向に並んだ状態でキャリッジ41に取り付けられた場合、イエロー用のヘッド部51,56,61,66は、第二方向に直線的に配置される。同様に、マゼンタ用のヘッド部52,57,62,67は、第二方向に直線的に配置される。シアン用のヘッド部53,58,63,68は、第二方向に直線的に配置される。ブラック用のヘッド部54,59,64,69は、第二方向に直線的に配置される。
このとき、ヘッド部51,56,61,66のそれぞれにおいて、第二方向に配列されたノズル44Yによるノズル列に関し、第一方向の上流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LA上に配列される。第一方向の下流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LB上に配列される。ヘッド部52,57,62,67のそれぞれにおいて、第二方向に配列されたノズル44Mによるノズル列に関し、第一方向の上流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LC上に配列される。第一方向の下流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LD上に配列される。ヘッド部53,58,63,68のそれぞれにおいて、第二方向に配列されたノズル44Cによるノズル列に関し、第一方向の上流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LE上に配列される。第一方向の下流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LF上に配列される。ヘッド部54,59,64,69のそれぞれにおいて、第二方向に配列されたノズル44Kによるノズル列に関し、第一方向の上流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LG上に配列される。第一方向の下流側に形成されたノズル列は、第二方向の仮想直線LH上に配列される。
ヘッドモジュール46,47,48,49では、それぞれに含まれる複数のノズル44のうちの2個のノズル44が、後述する位置決め方法での基準ノズルとされる。ヘッドモジュール46,47,48,49において、2個の基準ノズルは、ノズルの位置決め精度を考慮し、適宜設定される。但し、ヘッドモジュール46,47,48,49で設定される2個の基準ノズルは、相対的な位置関係がヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれの間で共通する。本実施形態では、仮想直線LA〜LHのうち、仮想直線LA上に配列された第二方向の第一側のノズル44Yと、仮想直線LH上に配列された第二方向の第一側のノズル44Kを、ヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれにおける2個の基準ノズルとして説明する。
ヘッドモジュール46における2個の基準ノズルに関し、仮想直線LA上に配列された第二方向の第一側のノズル44Yを、「第一基準ノズル441」といい、仮想直線LH上に配列された第二方向の第一側のノズル44Kを、「第二基準ノズル442」という。ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれにおける2個の基準ノズルに関し、仮想直線LA上に配列された第二方向の第一側のノズル44Yを、「第三基準ノズル443」といい、仮想直線LH上に配列された第二方向の第一側のノズル44Kを、「第四基準ノズル444」という。第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442は、第一方向に沿った方向において、同一直線上に形成されたノズル44である。第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444は、第一方向に沿った方向において、同一直線上に形成されたノズル44である。第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444の第一方向に沿った方向及び第二方向における位置関係は、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442と共通する。図3において、第一基準ノズル441と、第二基準ノズル442と、第三基準ノズル443と、第四基準ノズル444は、共に「黒丸」としている。
イエロー用のヘッド部51,56,61,66は、イエロー用の流路(不図示)を介して、イエローインクを貯留したインクタンク(不図示)にそれぞれ接続される。イエローインクは、イエロー用のインクタンクから流出し、イエロー用の流路を流れ、ヘッド部51,56,61,66にそれぞれ供給される。マゼンタ用のヘッド部52,57,62,67は、マゼンタ用の流路(不図示)を介して、マゼンタインクを貯留したインクタンク(不図示)にそれぞれ接続される。マゼンタインクは、マゼンタ用のインクタンクから流出し、マゼンタ用の流路を流れ、ヘッド部52,57,62,67にそれぞれ供給される。シアン用のヘッド部53,58,63,68は、シアン用の流路(不図示)を介して、シアンインクを貯留したインクタンク(不図示)にそれぞれ接続される。シアンインクは、シアン用のインクタンクから流出し、シアン用の流路を流れ、ヘッド部53,58,63,68にそれぞれ供給される。ブラック用のヘッド部54,59,64,69は、ブラック用の流路(不図示)を介して、ブラックインクを貯留したインクタンク(不図示)にそれぞれ接続される。ブラックインクは、ブラック用のインクタンクから流出し、ブラック用の流路を流れ、ヘッド部54,59,64,69にそれぞれ供給される。
<観察部>
観察部80について、図4を参照して説明する。観察部80は、第一撮像部81と、第二撮像部82と、ベース部83と、第二移動部87を含む。第一撮像部81及び第二撮像部82は、CCDを含む。第一撮像部81は、第一移動部70によって、キャリッジ41が観察部80が設けられた位置に配置された場合、このキャリッジ41に取り付けられるヘッドモジュール46,47,48,49による吐出面45の一部の範囲を撮像する。第二撮像部82は、前述の場合、ヘッドモジュール46,47,48,49による吐出面45の他の一部の範囲を撮像する。ベース部83は、第二移動部87に取り付けられる。ベース部83には、支持部85,86が設けられる。支持部85,86は、第一撮像部81及び第二撮像部82が上述した2個の基準ノズルの相対的な位置関係に従った配置となるように、ベース部83に設けられる。支持部85には、第一撮像部81が取り付け固定される。支持部86には、第二撮像部82が取り付け固定される。これによって、ベース部83は、支持部85,86が設けられた各位置で、第一撮像部81及び第二撮像部82をそれぞれ支持した状態となる。
例えば、ヘッドモジュール46において、2個の基準ノズルを、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442とする本実施形態によれば、第一撮像部81及び第二撮像部82は、図4に示すように、第一方向に沿った方向に寸法Hを隔てて直線的に配置される。寸法Hは、第一方向に沿った方向において、第一基準ノズル441が配置される仮想直線LAと、第二基準ノズル442が配置される仮想直線LHの間隔(図3に示す「寸法H」参照)に一致する。従って、第一撮像部81が、支持部85に支持された状態で、吐出面45の一部の範囲として、第一基準ノズル441又は第三基準ノズル443を撮像する場合、第二撮像部82は、支持部86に支持された状態で、吐出面45の他の一部の範囲として、第二基準ノズル442又は第四基準ノズル444を撮像することができる。
第二移動部87は、ベース部83を、第一方向に沿った方向に移動する。第二移動部87は、例えば、スライド機構88と、駆動部93を含む。スライド機構88は、例えば、ボールねじ89と、リニアガイド91,92を含む。ベース部83は、ボールねじ89のナット部(不図示)に固定されると共に、リニアガイド91,92に支持される。駆動部93は、ボールねじ89のねじ軸90を左右両方向に回転させ、ベース部83を、第一方向に沿った方向に移動させるための駆動源である。駆動部93は、例えば、モータを含む。駆動部93が所定の方向に回転すると、駆動部93の回転方向に対応した方向に、ねじ軸90が回転する。ボールねじ89のナット部は、第一方向に沿った方向において、ねじ軸90の回転方向に対応した方向に移動する。ベース部83は、ボールねじ89のナット部の移動に伴い、リニアガイド91,92にガイドされた状態で移動する。第一移動部70及び第二移動部87による移動方向は、直交した関係となる。
<位置決め方法>
位置決め方法について、図5〜図7等を参照して説明する。位置決め方法は、ノズル44を位置決めするための方法である。位置決め方法は、キャリッジ41に、ヘッドモジュール46,47,48,49を、新規に取り付ける場合に実施される。位置決め方法によれば、図3に示すような状態で、記録ヘッド42がキャリッジ41に搭載され、記録部40が構成される。位置決め方法の実施に先立ち、ヘッドモジュール46,47,48,49が準備される。即ち、ヘッド部51,52,53,54は、所定の装置を用いた所定の方法で、中間プレート50に対して位置決めされた状態で固定され、ヘッドモジュール46が準備される。同様に、ヘッド部56,57,58,59は、中間プレート55に対して位置決めされた状態で固定され、ヘッドモジュール47が準備される。ヘッド部61,62,63,64は、中間プレート60に対して位置決めされた状態で固定され、ヘッドモジュール48が準備される。ヘッド部66,67,68,69は、中間プレート65に対して位置決めされた状態で固定され、ヘッドモジュール49が準備される。
準備されたヘッドモジュール46,47,48,49は、所定のタイミングで、キャリッジ41にそれぞれ載せ置かれる。例えば、位置決め方法の開始に際し、ヘッドモジュール46,47,48,49は、キャリッジ41に載せ置かれる。この他、位置決め方法の開始時には、後述する第二工程の第一取付工程で、最初に取り付けられるヘッドモジュール46を載せ置き、その後、後述する第四工程が実施されるタイミングで、順次、取付対象のヘッドモジュール47,48,49を載せ置くようにしてもよい。キャリッジ41に載せ置かれたヘッドモジュール46,47,48,49は、キャリッジ41に仮固定される。仮固定は、例えば、ヘッドモジュール46,47,48,49が、キャリッジ41に略位置決めされた状態で行われるようにするとよい。仮固定の一手法についての具体例を説明する。この説明では、キャリッジ41へのヘッドモジュール46,47,48,49の取り付けは、ねじ止めによって行われるとする。ヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれの所定の位置に、貫通孔を設ける。貫通孔は、使用するねじより径大の孔とする。キャリッジ41には、ヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれが配置された場合に、ヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれに設けられた貫通孔に対応した所定の位置に、ねじ穴を設ける。ねじを貫通孔に通し、貫通孔を通過したねじの先端部を、ヘッドモジュール46,47,48,49がキャリッジ41に対して移動可能な所定量だけ、ねじ穴にねじ込む。このような構成によれば、ヘッドモジュール46,47,48,49を、キャリッジ41に対して、ねじと貫通孔との間の隙間分だけ移動できる状態で、キャリッジ41に仮固定することができる。第二工程の第一取付工程でのキャリッジ41へのヘッドモジュール46の取り付けと、第四工程でのキャリッジ41へのヘッドモジュール47,48,49の取り付けは、ねじ止め以外の方法で行われてもよい。この場合、仮固定も適宜異なる方法で行われる。
位置決め方法は、第一工程〜第四工程を含む。位置決め方法において、第三工程及び第四工程は、記録ヘッド42を形成するヘッドモジュールの個数に応じて繰り返される。4個のヘッドモジュール46,47,48,49を例とする本実施形態によれば、ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれを対象として実施される。従って、第三工程及び第四工程は、3回繰り返される。
第一工程は、支持部85に支持された第一撮像部81と、支持部86に支持された第二撮像部82の配置に関し、第一方向に沿った方向及び第二方向の位置を位置決めする工程(調整工程)である。第一撮像部81及び第二撮像部82は、第二方向にずれることなく、第一方向に沿った方向に寸法Hを隔てて並列した状態となるように調整される。この位置決めは、第一撮像部81及び第二撮像部82のうちの何れか一方を基準として、他方の位置を調整して行われる。本実施形態では、第一撮像部81を基準とする。第一工程の開始に際し、第一撮像部81は、支持部85に支持された状態とされる。第二撮像部82は、支持部86に仮固定された状態とされる。例えば、このタイミングで、第一撮像部81及び第二撮像部82での撮像が開始される。
作業者は、第一移動部70及び/又は第二移動部87を駆動させ、第一撮像部81が第一基準ノズル441に対向する位置に移動するように操作する。前述した位置に移動した第一撮像部81は、第一基準ノズル441を撮像する。表示部114の表示領域115には、第一撮像部81で撮像された第一基準ノズル441が表示される。作業者は、図5上段に示すように、表示領域115の中心(直線L1及び直線L2の交点参照)と、第一基準ノズル441の中心(直線L3及び直線L4の交点参照)が一致するように操作する。表示領域116には、仮固定された第二撮像部82で撮像された所定の画像が表示される。図5上段では、第二撮像部82で撮像された所定の画像に関する図示は省略されている。第一基準ノズル441が、表示領域115に、図5上段に示すような状態で表示された場合、作業者は、第二移動部87を駆動させ、ベース部83が第一方向とは反対の方向に移動するように操作する。移動量(距離)は、寸法Hとされる。ベース部83を移動する第一方向とは反対の方向は、第一方向に沿った方向のうち、第二基準ノズル442から第一基準ノズル441に向かう方向でもある。
作業者は、第二撮像部82で撮像され、表示部114の表示領域116に表示された画像を確認する。表示領域116に表示された画像が、上述した図5上段とは異なる状態である場合、作業者は、支持部86に対する第二撮像部82の取り付けを調整する。即ち、作業者は、表示領域116を確認しながら、図5下段に示すように、表示領域116の中心(直線L5及び直線L6の交点参照)と、第一基準ノズル441の中心(直線L3及び直線L4の交点参照)が一致するように調整する。図5下段では、第二撮像部82の取り付けを調整している場合において、第一撮像部81で撮像された所定の画像に関する図示は省略されている。直線L1〜L6(後述する直線L7及び直線L8についても同じ)は、説明を容易とするために図示したものである。実際には、これら各直線は表示されなくてもよい(図6及び図7において同じ)。
第二撮像部82が第一基準ノズル441に対向し、第一基準ノズル441が、表示領域116に、図5下段に示すような状態で表示されることとなった場合、作業者は、第二撮像部82を支持部86に本固定する。これによって、第二撮像部82は、第二方向にずれることなく、第一方向に沿った方向に第一撮像部81と並列し、且つ、第一撮像部81から第一方向に寸法Hを隔てた状態で、支持部86に支持される。第二撮像部82の本固定に伴い、第一工程は終了し、位置決め方法は、第二工程に移行する。インクジェット記録装置10が、適切な位置関係(配置)とされた第一撮像部81及び第二撮像部82を備えたインクジェット記録装置である場合、第一工程は省略してもよい。
第二工程は、第一取付工程と、基準決定工程を含む。第一取付工程は、ヘッドモジュール46をキャリッジ41に取り付ける工程である。第一取付工程によって、ヘッドモジュール46は、図3に示す位置に好適に取り付けられ、ヘッド部51,52,53,54に形成されたノズル44は、記録ヘッド42を設計した際の設計上の位置に、位置決めされた状態で好適に配置される。基準決定工程は、第一位置情報117を表示領域115に表示し、第二位置情報118を表示領域116に表示する工程である。基準決定工程は、第一取付工程によって、ヘッドモジュール46がキャリッジ41に本固定の状態で取り付けられた後に実施される。基準決定工程において、第一位置情報117は、第一基準ノズル441が表示されている表示領域115内の所定の位置に表示される。第二位置情報118は、第二基準ノズル442が表示されている表示領域116内の所定の位置に表示される。
第一位置情報117としては、第一基準ノズル441の外形に対応した形状の電子マーカが例示される。第二位置情報118としては、第二基準ノズル442の外形に対応した形状の電子マーカが例示される。第一位置情報117及び第二位置情報118は、半透明の電子マーカとしてもよい。後述するように、第一位置情報117と、第一撮像部81で撮像された第一基準ノズル441又は第三基準ノズル443が一部重なった状態で表示される場合(図7上段参照)、第一位置情報117と一部重なり合った第一基準ノズル441又は第三基準ノズル443を好適に視認することが可能となる。第二位置情報118と、第二撮像部82で撮像された第二基準ノズル442又は第四基準ノズル444が一部重なった状態で表示される場合(図7上段参照)、第二位置情報118と一部重なり合った第二基準ノズル442又は第四基準ノズル444を好適に視認することが可能となる。本実施形態では、第一位置情報117を、第一基準ノズル441(第三基準ノズル443)と同一外形で、その内部を網点とした円として図示する。第二位置情報118を、第二基準ノズル442(第四基準ノズル444)と同一外形で、その内部を網点とした円として図示する。
第二工程の開始時、ベース部83が、上述した第一工程の場合と同じく、第二撮像部82と第一基準ノズル441が対向するような位置に配置されていたとする。この場合、作業者は、第二工程の開始に際し、第二移動部87を駆動させ、ベース部83が第一方向に移動するように操作する。第一方向への移動量は、寸法Hとされる。続けて、作業者は、仮固定されたヘッドモジュール46を対象として、キャリッジ41に対する取付位置を調整する。このとき、作業者は、第一撮像部81で撮像された第一基準ノズル441が表示領域115に表示された状態と、第二撮像部82で撮像された第二基準ノズル442が表示領域116に表示された状態が同じ状態となるように調整する。例えば、作業者は、図6上段に示すように、表示領域115の中心(直線L1及び直線L2の交点参照)と、第一基準ノズル441の中心(直線L3及び直線L4の交点参照)が一致し、表示領域116の中心(直線L5及び直線L6の交点参照)と、第二基準ノズル442の中心(直線L7及び直線L8の交点参照)が一致するように調整する。上記では説明を省略したが、記録部40には、キャリッジ41に対する、ヘッドモジュール46,47,48,49の各位置を微調整するための調整機構が、ヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれに対して設けられている。前述の調整は、ヘッドモジュール46に対して設けられた調整機構を操作して行われる。図6上段に示すような状態で、第一基準ノズル441が表示領域115に表示され、第二基準ノズル442が表示領域116に表示されることとなった場合、作業者は、仮固定されたヘッドモジュール46を、キャリッジ41に本固定の状態で取り付ける(第一取付工程)。
制御部111は、図6下段に示すように、表示領域115に表示された第一基準ノズル441の位置に第一位置情報117を表示し、表示領域116に表示された第二基準ノズル442の位置に第二位置情報118を表示するように制御する(基準決定工程)。第一位置情報117及び第二位置情報118の表示に関する制御は、例えば、次のようにして行われる。作業者は、操作部113を操作し、表示領域115で、第一基準ノズル441が表示された位置に対して、所定の指示を入力する。作業者は、操作部113を操作し、表示領域116で、第二基準ノズル442が表示された位置に対して、再度、所定の指示を入力する。この入力には、操作部113に含まれる例えばマウスのような装置が利用される。制御部111は、第一基準ノズル441に対応した指示が入力された位置に、第一位置情報117を表示し、第二基準ノズル442に対応した指示が入力された位置に、第二位置情報118を表示する。第一位置情報117の表示位置が、第一基準ノズル441に一致していない場合、作業者は、マウスのような操作部113を操作し、第一位置情報117の位置を微調整する。同様に、第二位置情報118の表示位置が、第二基準ノズル442に一致していない場合、作業者は、マウスのような操作部113を操作し、第二位置情報118の位置を微調整する。
この他、基準決定工程における上述の制御は、第一撮像部81及び第二撮像部82で撮像された各画像に対応した画像データを対象として、所定の画像処理を実行して行われるようにしてもよい。この場合、制御部111は、第一撮像部81及び第二撮像部82で撮像された画像データをそれぞれ対象として、画像処理を実行し、各画像データから、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442を、それぞれ抽出する。制御部111は、抽出された第一基準ノズル441の位置に第一位置情報117を表示し、抽出された第二基準ノズル442の位置に第二位置情報118を表示するように制御する。図6下段に示すように、第一位置情報117が第一基準ノズル441の位置に表示され、第二位置情報118が第二基準ノズル442の位置に表示されると、第二工程は終了し、位置決め方法は、第三工程に移行する。
第三工程は、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442、又は、第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444と、第一撮像部81及び第二撮像部82を、第二方向に、予め定めた基準量だけ相対移動する工程(移動工程)である。以下では、ヘッドモジュール46を対象とした第二工程が終了した後の第三工程を例に説明する。本実施形態では、ヘッドモジュール47は、ヘッドモジュール46に対して、第二方向の第二側に配置される(図3参照)。そのため、相対移動は、例えば、第一撮像部81及び第二撮像部82が、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442に対して、第二方向の第二側となるようにして行われる。基準量は、寸法W(図3参照)とされる。寸法Wは、第二方向において、第一基準ノズル441と、ヘッドモジュール47における第三基準ノズル443の間隔(第二基準ノズル442と、ヘッドモジュール47における第四基準ノズル444の間隔)に一致する。なお、本実施形態の記録ヘッド42では、ヘッドモジュール47における第三基準ノズル443(第四基準ノズル444)と、ヘッドモジュール48における第三基準ノズル443(第四基準ノズル444)の間隔、及び、ヘッドモジュール48における第三基準ノズル443(第四基準ノズル444)と、ヘッドモジュール49における第三基準ノズル443(第四基準ノズル444)の間隔も、寸法Wである。
作業者は、第一移動部70を駆動させ、キャリッジ41が第二方向を第二側から第一側に、基準量だけ移動するように操作する。これによって、第一撮像部81及び第二撮像部82は、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442に対して、第二方向の第二側となる。第一撮像部81及び第二撮像部82は、ヘッドモジュール47に対向するようになる。キャリッジ41が第二方向を第二側から第一側に基準量だけ移動したタイミングで、第三工程は終了し、位置決め方法は、第四工程に移行する。
第四工程は、ヘッドモジュール47,48,49をそれぞれキャリッジ41に取り付ける工程である。第四工程が繰り返して実施される毎に、ヘッドモジュール47,48,49は、順次、図3に示す位置に好適に取り付けられ、ヘッド部56,57,58,59、ヘッド部61,62,63,64、及び、ヘッド部66,67,68,69のそれぞれに形成されたノズル44は、記録ヘッド42を設計した際の設計上の位置に、位置決めされた状態で好適に配置される。第四工程において、ヘッドモジュール47,48,49は、後述するように、第一位置情報117及び第二位置情報118を基準として、キャリッジ41に取り付けられる。従って、ヘッドモジュール47,48,49をキャリッジ41に取り付けるための第四工程は、上述したヘッドモジュール46をキャリッジ41に取り付けるための第一取付工程後に実施される第二取付工程ということもできる。以下では、ヘッドモジュール47を対象として、第四工程を説明する。
第四工程において、第一撮像部81及び第二撮像部82は、第三工程の終了後、それぞれが配置された各位置で、対向するヘッドモジュール47による吐出面45の一部の範囲を撮像する。表示部114の表示領域115及び表示領域116には、第一撮像部81及び第二撮像部82のそれぞれで撮像された画像が表示される。ヘッドモジュール47は、上述した通り、位置決め用のねじ等によって、略位置決めされた状態で、キャリッジ41に仮固定されている。従って、第一撮像部81は、ヘッドモジュール47における第三基準ノズル443の一部又は全部を撮像する。表示領域115には、第二工程の基準決定工程で既に表示された第一位置情報117と共に、第一撮像部81で撮像された第三基準ノズル443の一部又は全部が表示される(図7上段参照)。第二撮像部82は、ヘッドモジュール47における第四基準ノズル444の一部又は全部を撮像する。表示領域116には、第二工程の基準決定工程で既に表示された第二位置情報118と共に、第二撮像部82で撮像された第四基準ノズル444の一部又は全部が表示される(図7上段参照)。図7上段は、第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444の全部が表示された状態を図示している。図7において、符号「443」に併記された「(441’)」と、符号「444」に併記された「(442’)」は、後述する説明のための符号であり、この第四工程の説明に関連した符号ではない。
作業者は、表示領域115に表示された第一位置情報117と、表示領域116に表示された第二位置情報118を確認する。作業者は、第一位置情報117を確認しつつ、第一位置情報117に、第一撮像部81で撮像された第三基準ノズル443が一致するようにする(図7下段参照)。同時に、作業者は、第二位置情報118を確認しつつ、第二位置情報118に、第二撮像部82で撮像された第四基準ノズル444が一致するようにする(図7下段参照)。このとき、作業者は、前述した状態とするために、取付対象であるヘッドモジュール47を対象として、これに対して設けられた調整機構を操作する。この操作によって、表示領域115に表示された第三基準ノズル443と、表示領域116に表示された第四基準ノズル444が、共に、図7下段に示すような状態となった場合、作業者は、仮固定されたヘッドモジュール47を、キャリッジ41に本固定の状態で取り付ける。
ヘッドモジュール47がキャリッジ41に本固定の状態で取り付けられた場合、ヘッドモジュール47を対象とした第四工程は終了する。位置決め方法は、再度、第三工程に戻り、残りのヘッドモジュール48,49を順次対象として、繰り返して実施される。ヘッドモジュール47の取り付けが終了し、対象がヘッドモジュール47からヘッドモジュール48に移行する場合における第三工程と、ヘッドモジュール48の取り付けが終了し、対象がヘッドモジュール48からヘッドモジュール49に移行する場合における第三工程では、上記同様、キャリッジ41が第二方向を第二側から第一側に、寸法Wだけ移動される。これは、ヘッドモジュール47,48,49における各第三基準ノズル443(各第四基準ノズル444)の間隔が、上述した通り、寸法Wであるためである。ヘッドモジュール49を対象とした第四工程が、上記同様に実施され、これが終了した場合、位置決め方法は終了する。ヘッドモジュール46,47,48,49が本固定の状態でキャリッジ41に取り付けられると、記録ヘッド42が形成され、記録ヘッド42がキャリッジ41に搭載された状態となる。この状態において、記録部40での画像の記録が可能となる。ヘッドモジュール46,47,48,49が本固定の状態でキャリッジ41に取り付けられるは、画像の記録が可能となる状態で取り付けられることを意味する。
<本実施形態による効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)位置決め方法の第二工程で、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442について、ヘッドモジュール46に対して設けられた調整機構を操作し、第一方向に沿った方向及び第二方向における位置決めを行い(図6上段参照)、ヘッドモジュール46をキャリッジ41に本固定の状態で取り付けることとした(第一取付工程)。第二工程で、位置決めされた第一基準ノズル441に対応した第一位置情報117を表示領域115に表示し、第二基準ノズル442に対応した第二位置情報118を表示領域116に表示することとした(基準決定工程、図6下段参照)。その後、第三工程及び第四工程を繰り返して実施し、ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれにおける第三基準ノズル443を、表示領域115に表示されている第一位置情報117に一致させ、且つ、ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれにおける第四基準ノズル444を、表示領域116に表示されている第二位置情報118に一致させることとした(図7上段及び下段参照)。
そのため、ヘッドモジュール46における第一基準ノズル441と、ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれにおける第三基準ノズル443を、仮想直線LA上に配列し、ヘッドモジュール46における第二基準ノズル442と、ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれにおける第四基準ノズル444を、仮想直線LH上に配列することができる。即ち、ライン型の記録ヘッド42を、複数のヘッドモジュール46,47,48,49で形成したような場合において、複数のノズル44を、図3に示すように、仮想直線LA〜LH上にそれぞれ配列させた状態とすることができる。ノズル44が好適に配置された記録ヘッド42を含む記録部40によれば、好適な品質の画像を記録することができる。
ところで、記録ヘッド42がキャリッジ41に搭載されると、キャリッジ41及び/又はキャリッジ41を支持する構造(例えば、スライド機構71及び/又はインクジェット記録装置10が備えるフレーム等)等が、記録ヘッド42の重量によって、たわみを生じ、変形する場合もある。また、インクジェット記録装置10が設置される場所の温度によっては、中間プレート50,55,60,65、キャリッジ41及び/又はキャリッジ41を支持する構造といった各部が熱膨張する場合もある。さらに、インクジェット記録装置10が、既に運用された装置である場合、前述した記録ヘッド42の重量、及び/又は、画像の記録に伴う、ヘッド部51,52,53,54と、ヘッド部56,57,58,59と、ヘッド部61,62,63,64と、ヘッド部66,67,68,69の温度上昇等によって、キャリッジ41及び/又はキャリッジ41を支持する構造といった各部が経年変形している場合もある。
このような場合、例えば、キャリッジ41に、ヘッドモジュール46,47,48,49を位置決めするための位置決め機構を設け、この位置決め機構のみによって、キャリッジ41にヘッドモジュール46,47,48,49を取り付けると、変形によって位置決めの基準がずれてしまっているため、上述したようなノズル44の配置とならない場合もある。この点に関し、本実施形態の位置決め方法によれば、第一基準ノズル441に基づく第一位置情報117と、第二基準ノズル442に基づく第二位置情報118を基準として、第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444の位置決めを行いつつ、ヘッドモジュール47,48,49を、キャリッジ41に取り付けることができる。そのため、上述したような変形の発生の有無に関わらず、記録ヘッド42を、キャリッジ41に好適に取り付けた状態とすることができる。ヘッドモジュール46を基準として、ヘッドモジュール47,48,49の相対的な位置を好適な配置とすることができる。
(2)観察部80において、第二移動部87を設け、第一撮像部81及び第二撮像部82を支持する支持部85,86を設けたベース部83を、第一方向に沿った方向に移動できるようにした。その上で、位置決め方法の第一工程で、1つのノズル44(上記では、第一基準ノズル441に基づき説明)を基準として、第一撮像部81及び第二撮像部82を位置決めすることとした。そのため、第一撮像部81及び第二撮像部82を、第一方向に沿った方向及び第二方向においてスムーズに位置決めすることができる。位置決めされた第一撮像部81及び第二撮像部82によって、第二工程〜第四工程を好適に実施することができる。
<変形例>
本実施形態は、次のようにしてもよい。このような構成によっても、上記同様の効果を得ることができる。
(1)上記では、位置決め方法の第三工程における相対移動を、第一移動部70を駆動し、キャリッジ41を、第二方向を第二側から第一側に移動して行うこととした。この相対移動は、次のように行われるようにしてもよい。即ち、観察部80に、ベース部83を第二方向に移動する機構部を設ける。第三工程で、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442、又は、第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444と、第一撮像部81及び第二撮像部82を、上記同様、寸法Wだけ第二方向に相対移動させる場合、新たに設けた第二方向への機構部を駆動し、ベース部83を、第二方向を第一側から第二側に、寸法Wだけ移動する。このとき、第一移動部70は駆動せず、キャリッジ41は停止したままとされる。
(2)上記では、仮想直線LA上に配列された第二方向の第一側のノズル44Yを、第一基準ノズル441とし、仮想直線LH上に配列された第二方向の第一側のノズル44Kを、第二基準ノズル442とした。ヘッドモジュール46において、第一基準ノズル441及び/又は第二基準ノズル442は、これに含まれる他のノズル44であってもよい。例えば、第一基準ノズル441を上記同様のノズル44Yとし、第二基準ノズル442を、例えば、仮想直線LF上に配列された第二方向の第一側のノズル44Cとしてもよい。この他、第一基準ノズル441を上記同様のノズル44Yとし、第二基準ノズル442を、例えば、仮想直線LA上に配列された第二方向の第二側のノズル44Yとしてもよい。第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442を同一の仮想直線上に配列されたノズル44とする場合、位置決め方法の第一工程では、第二撮像部82を調整するに際し、作業者は、第一移動部70を駆動させ、キャリッジ41を、第二方向を第二側から第一側に移動するように操作する。このときの移動量は、基準とされたノズル44の間隔(図3に示す「寸法J」参照)とされる。第一基準ノズル441を、仮想直線LA上に配列された第二方向の第一側のノズル44Y以外のノズル44としてもよい。例えば、仮想直線LA上に配列された第二方向の第二側のノズル44Yを、第一基準ノズル441とし、又は、他の仮想直線LB〜LH上に配列された何れかのノズル44を第一基準ノズル441としてもよい。第一方向に沿った方向及び/又は第二方向における間隔が広くなる2個のノズル44を、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442とするとよい。位置決め精度を向上させ易くなる。
ヘッドモジュール47,48,49のそれぞれにおいて、第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444は、上記同様、ヘッドモジュール46における第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442の各位置に対応した位置の2個のノズル44とされる。即ち、この変形例においても、第三基準ノズル443及び第四基準ノズル444の第一方向に沿った方向及び第二方向における位置関係は、上記同様、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442と共通する。観察部80において、支持部85,86がそれぞれ設けられるベース部83上の位置は、ヘッドモジュール46,47,48,49のそれぞれにおいて設定された2個の基準ノズルの相対的な位置関係に従った配置となるように適宜変更される。第一撮像部81及び第二撮像部82は、適宜変更された各位置で、支持部85,86にそれぞれ支持される。
(3)上記では、キャリッジ41に、ヘッドモジュール46,47,48,49を、新規に取り付ける場合に実施される位置決め方法について説明した。この位置決め方法は、上述したようにして、キャリッジ41に取り付けられたヘッドモジュール46,47,48,49のうちの何れか1つを、別のヘッドモジュールに交換する場合に応用することもできる。以下、交換の際に実施される位置決め方法について説明する。交換の際に実施される位置決め方法は、図5〜図7に基づき説明した上述の位置決め方法と同様にして実施される。そのため、必要に応じて、これら各図を参照して説明する。以下では、ヘッドモジュール46を、新たなヘッドモジュール(以下、「交換後ヘッドモジュール46’」という)に交換する場合を例として説明する。交換後ヘッドモジュール46’について、ヘッドモジュール46と共通する各部に対する符号は、上記で用いた符号に「’」を付したものとする。位置決めの基準となるノズル44は、上記同様とする。即ち、仮想直線LA上に配列された第二方向の第一側のノズル44Yを、第一基準ノズル441とし、仮想直線LH上に配列された第二方向の第一側のノズル44Kを、第二基準ノズル442として、説明する。但し、基準とするノズル44は、「<変形例>」の「(2)」で説明したように、これ以外のノズル44であってもよい。
交換の際に実施される位置決め方法では、第一方向に沿った方向及び第二方向の位置が位置決めされた状態の第一撮像部81及び第二撮像部82が用いられる。第一撮像部81及び第二撮像部82が位置決めされていない場合、交換対象のヘッドモジュール(交換前ヘッドモジュール)に含まれる1つのノズル44を対象として、上述した第一工程(図5参照)に対応した工程が、上記同様に実施される。交換前ヘッドモジュールがヘッドモジュール46であれば、例えば、第一基準ノズル441を対象として、上述した第一工程(図5参照)が、上記同様に実施される。第一撮像部81及び第二撮像部82の位置決めに関する説明は省略する。第一撮像部81及び第二撮像部82が、位置決めされている場合、上述した第二工程の基準決定工程(図6下段参照)が実施される。交換対象であるヘッドモジュール46は、既にキャリッジ41に取り付けられている。そのため、交換の際に実施される位置決め方法では、第二工程の第一取付工程は、実施されない。第二工程の基準決定工程は、上記同様、第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442を対象として実施され、第一位置情報117が第一基準ノズル441の位置に表示され、第二位置情報118が第二基準ノズル442の位置に表示される。
次に、交換対象であるヘッドモジュール46が、キャリッジ41から取り外される。その後、ヘッドモジュール46が取り外されたキャリッジ41の位置に、交換後ヘッドモジュール46’が取り付けられる。その際、交換後ヘッドモジュール46’は、例えば、キャリッジ41に仮固定される。仮固定は、例えば、上記同様にして行われる。第一撮像部81及び第二撮像部82は、それぞれが配置された各位置で、対向する交換後ヘッドモジュール46’による吐出面45の一部の範囲を撮像する。表示部114の表示領域115及び表示領域116には、第一撮像部81及び第二撮像部82のそれぞれで撮像された画像が表示される。第一撮像部81は、交換後ヘッドモジュール46’における第一基準ノズル441’の一部又は全部を撮像する。表示領域115には、この位置決め方法における基準決定工程で既に表示された第一位置情報117と共に、第一撮像部81で撮像された第一基準ノズル441’の一部又は全部が表示される(図7上段参照)。第二撮像部82は、交換後ヘッドモジュール46’における第二基準ノズル442’の一部又は全部を撮像する。表示領域116には、この位置決め方法における基準決定工程で既に表示された第二位置情報118と共に、第二撮像部82で撮像された第二基準ノズル442’の一部又は全部が表示される(図7上段参照)。
作業者は、表示領域115に表示された第一位置情報117と、表示領域116に表示された第二位置情報118を確認する。作業者は、第一位置情報117を確認しつつ、第一位置情報117に、第一撮像部81で撮像された第一基準ノズル441’が一致するようにする(図7下段参照)。同時に、作業者は、第二位置情報118を確認しつつ、第二位置情報118に、第二撮像部82で撮像された第二基準ノズル442’が一致するようにする(図7下段参照)。このとき、作業者は、前述した状態とするために、交換後ヘッドモジュール46’を対象として、これに対して設けられた調整機構を操作する。この操作によって、表示領域115に表示された第一基準ノズル441’と、表示領域116に表示された第二基準ノズル442’が、共に、図7下段に示すような状態となった場合、作業者は、仮固定された交換後ヘッドモジュール46’を、キャリッジ41に本固定の状態で取り付ける。これによって、交換後ヘッドモジュール46’がキャリッジ41に取り付けられ、この位置決め方法は終了する。
このような位置決め方法によれば、キャリッジ41に取り付けられたヘッドモジュール46を、新たな交換後ヘッドモジュール46’に、好適に交換することができる。例えば、上述したように、インクジェット記録装置10の各部に変形が生じているような場合もある。このような場合、例えば、キャリッジ41に、ヘッドモジュールを位置決めするための位置決め機構を設け、この位置決め機構のみによって、交換対象のヘッドモジュール46を交換後ヘッドモジュール46’に交換すると、交換の前後において、これらに含まれるノズル44の位置が同じ位置とならないこともある。この点に関し、上述した位置決め方法によれば、位置決めの基準は、交換対象のヘッドモジュール46における第一基準ノズル441及び第二基準ノズル442であるため、変形の影響を抑制した状態で、新たな交換後ヘッドモジュール46’に交換することができる。そのため、交換後ヘッドモジュール46’に含まれる複数のノズル44’の各位置を、交換前のヘッドモジュール46に含まれる複数のノズル44と同じ位置とすることが可能となる。交換に伴い、ノズル44’から吐出されたインクの着弾位置等が変わり、記録される画像の品質が変化するといった事態の発生を防止することができる。
(4)上記では、ライン型の記録ヘッド42を備えるインクジェット記録装置10を例に説明した。本実施形態の位置決め方法(この変形例の「(3)」で説明した方法を含む)は、第二方向に記録ヘッドを往復移動させながら、第一方向に記録媒体12を搬送して画像を記録するタイプのインクジェット記録装置(以下、「シリアル型のインクジェット記録装置」という)を対象として実施することもできる。第二方向は、上記同様、記録媒体12が搬送される第一方向に直交する方向である。シリアル型のインクジェット記録装置が対象とされる場合についても、本実施形態の位置決め方法は、上記同様の各工程を含み、上記同様に実施される。
シリアル型のインクジェット記録装置が備えるキャリッジに、複数のヘッドモジュールを、新規に取り付ける場合に実施される位置決め方法の一例は、次のようなものである。即ち、この位置決め方法は、第一取付工程と、基準位置決定工程と、移動工程と、第二取付工程を含む。第一取付工程は、第一種のインクを吐出する複数の第一のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第一ヘッド部と、第一種のインクを吐出する複数の第二のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第二ヘッド部を、第一方向に沿った方向に所定の間隔で並べた状態で、第一の中間プレートに固定して形成された、記録ヘッドの一部である第一のヘッドモジュールを、キャリッジに取り付ける工程である。基準決定工程は、キャリッジに取り付けられた第一のヘッドモジュールに含まれる複数の第一のノズル及び複数の第二のノズルのうち、基準となる第一基準ノズルを第一撮像部で撮像して表示部に表示し、キャリッジに取り付けられた第一のヘッドモジュールに含まれる複数の第一のノズル及び複数の第二のノズルのうち、基準となる第二基準ノズルを第二撮像部で撮像して表示部に表示し、第一基準ノズルを表示部に表示した状態で、第一基準ノズルの位置に第一位置情報を表示し、第二基準ノズルを表示部に表示した状態で、第二基準ノズルの位置に第二位置情報を表示する工程である。移動工程は、第一撮像部で第一基準ノズルを撮像し、第二撮像部で第二基準ノズルを撮像した場合、第一基準ノズル及び第二基準ノズルと、第一撮像部及び第二撮像部を、第二方向に予め定めた基準量だけ相対移動する工程である。
第二取付工程は、第二種のインクを吐出する複数の第三のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第三ヘッド部と、第二種のインクを吐出する複数の第四のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第四ヘッド部を、第一方向に沿った方向に所定の間隔で並べた状態で、第二の中間プレートに固定して形成された、記録ヘッドの他の一部である第二のヘッドモジュールを、キャリッジに取り付ける工程である。第二取付工程は、第二のヘッドモジュールに含まれる複数の第三のノズル及び複数の第四のノズルのうち、第二のヘッドモジュールにおける位置が、第一のヘッドモジュールにおける第一基準ノズルの位置に対応した第三基準ノズルを、基準量だけ相対移動した第一撮像部で撮像し、第一撮像部で撮像された第三基準ノズルが、第一位置情報に対応して表示され、第二のヘッドモジュールに含まれる複数の第三のノズル及び複数の第四のノズルのうち、第二のヘッドモジュールにおける位置が、第一のヘッドモジュールにおける第二基準ノズルの位置に対応した第四基準ノズルを、第一撮像部と共に基準量だけ相対移動した第二撮像部で撮像し、第二撮像部で撮像された第四基準ノズルが、第二位置情報に対応して表示された状態で行われる。なお、説明を省略したが、第一撮像部及び第二撮像部を位置決めするための第一工程も、上記同様に実施される。
シリアル型のインクジェット記録装置において、第一取付工程での取付対象である第一のヘッドモジュールと、第二取付工程での取付対象である第二のヘッドモジュールは、次のように構成されてもよい。即ち、第一のヘッドモジュールは、第一種のインクを吐出する複数の第一のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第一ヘッド部と、第二種のインクを吐出する複数の第二のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第二ヘッド部を、第二方向に所定の間隔で並べた状態で、第一の中間プレートに固定して形成されてもよい。第二のヘッドモジュールは、第一種のインクを吐出する複数の第三のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第三ヘッド部と、第二種のインクを吐出する複数の第四のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第四ヘッド部を、第二方向に所定の間隔で並べた状態で、第二の中間プレートに固定して形成されてもよい。第一のヘッドモジュール及び第二のヘッドモジュールにおいて、第一ヘッド部及び第二ヘッド部の相対位置と、第三ヘッド部及び第四ヘッド部の相対位置は、同一とされる。第一ヘッド部〜第四ヘッド部は、上記同様、同一とされる。
この場合、第一撮像部及び第二撮像部は、第一方向に沿った方向及び第二方向の位置が、上記同様に位置決めされる。但し、第二撮像部を位置決めする場合の移動方向は、第一ヘッド部及び第二ヘッド部が並べられた第二方向とされる。第一取付工程は、上記同様にして実施され、これによって、第一のヘッドモジュールがキャリッジに取り付けられる。基準決定工程は、キャリッジに取り付けられた第一のヘッドモジュールに含まれる複数の第一のノズル及び複数の第二のノズルのうち、基準となる第一基準ノズルを第一撮像部で撮像して表示部に表示し、キャリッジに取り付けられた第一のヘッドモジュールに含まれる複数の第一のノズル及び複数の第二のノズルのうち、基準となる第二基準ノズルを第二撮像部で撮像して表示部に表示し、第一基準ノズルを表示部に表示した状態で、第一基準ノズルの位置に第一位置情報を表示し、第二基準ノズルを表示部に表示した状態で、第二基準ノズルの位置に第二位置情報を表示する工程となる。移動工程は、第一撮像部で第一基準ノズルを撮像し、第二撮像部で第二基準ノズルを撮像した場合、第一基準ノズル及び第二基準ノズルと、第一撮像部及び第二撮像部を、第一方向に予め定めた基準量だけ相対移動する工程となる。基準量は、上記同様に設定される。第二取付工程では、第二のヘッドモジュールは、次のようにして、キャリッジに取り付けられる。即ち、第二のヘッドモジュールに含まれる複数の第三のノズル及び複数の第四のノズルのうち、第二のヘッドモジュールにおける位置が、第一のヘッドモジュールにおける第一基準ノズルの位置に対応した第三基準ノズルを、基準量だけ相対移動した第一撮像部で撮像し、第一撮像部で撮像された第三基準ノズルが、第一位置情報に対応して表示され、第二のヘッドモジュールに含まれる複数の第三のノズル及び複数の第四のノズルのうち、第二のヘッドモジュールにおける位置が、第一のヘッドモジュールにおける第二基準ノズルの位置に対応した第四基準ノズルを、第一撮像部と共に基準量だけ相対移動した第二撮像部で撮像し、第二撮像部で撮像された第四基準ノズルが、第二位置情報に対応して表示された状態で行われる。
シリアル型のインクジェット記録装置が備えるキャリッジに取り付けられたヘッドモジュールの何れか1つを交換する場合に実施される位置決め方法の一例は、次のようなものである。即ち、この位置決め方法は、基準決定工程と、取外工程と、交換工程を含む。第一撮像部及び第二撮像部が位置決めされていない場合、交換前ヘッドモジュールに含まれる1つのノズルを対象として、上述した第一工程(図5参照)に対応した工程が、上記同様に実施される。基準決定工程は、第一種のインクを吐出する複数の第五のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第五ヘッド部と、第一種のインクを吐出する複数の第六のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第六ヘッド部を、第一方向に沿った方向に所定の間隔で並べた状態で、交換前中間プレートに固定して形成され、且つ、キャリッジに取り付けられた、記録ヘッドの一部である交換前ヘッドモジュールに含まれる複数の第五のノズル及び複数の第六のノズルのうち、基準となる第五基準ノズルを第一撮像部で撮像して表示部に表示し、交換前ヘッドモジュールに含まれる複数の第五のノズル及び複数の第六のノズルのうち、基準となる第六基準ノズルを第二撮像部で撮像して表示部に表示し、第五基準ノズルを表示部に表示した状態で、第五基準ノズルの位置に第三位置情報を表示し、第六基準ノズルを表示部に表示した状態で、第六基準ノズルの位置に第四位置情報を表示する工程である。取外工程は、交換前ヘッドモジュールを、キャリッジから取り外す工程である。
交換工程は、第一種のインクを吐出する複数の第七のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第七ヘッド部と、第一種のインクを吐出する複数の第八のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第八ヘッド部を、第一方向に沿った方向に所定の間隔で並べた状態で、交換後中間プレートに固定して形成された、記録ヘッドの一部である交換後ヘッドモジュールを、交換前ヘッドモジュールが取り付けられていたキャリッジの位置に取り付ける工程である。交換工程は、交換後ヘッドモジュールに含まれる複数の第七のノズル及び複数の第八のノズルのうち、交換後ヘッドモジュールにおける位置が、交換前ヘッドモジュールにおける第五基準ノズルの位置に対応した第七基準ノズルを、第一撮像部で撮像し、第一撮像部で撮像された第七基準ノズルが、第三位置情報に対応して表示され、交換後ヘッドモジュールに含まれる複数の第七のノズル及び複数の第八のノズルのうち、交換後ヘッドモジュールにおける位置が、交換前ヘッドモジュールにおける第六基準ノズルの位置に対応した第八基準ノズルを、第二撮像部で撮像し、第二撮像部で撮像された第八基準ノズルが、第四位置情報に対応して表示された状態で行われる。
シリアル型のインクジェット記録装置において、交換前ヘッドモジュール及び交換後ヘッドモジュールは、次のように構成されてもよい。即ち、交換前ヘッドモジュールは、第一種のインクを吐出する複数の第五のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第五ヘッド部と、第二種のインクを吐出する複数の第六のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第六ヘッド部を、第二方向に所定の間隔で並べた状態で、交換前中間プレートに固定して形成されてもよい。交換後ヘッドモジュールは、第一種のインクを吐出する複数の第七のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第七ヘッド部と、第二種のインクを吐出する複数の第八のノズルが、第一方向に沿った方向に配列された状態で形成された第八ヘッド部を、第二方向に所定の間隔で並べた状態で、交換後中間プレートに固定して形成されてもよい。
この場合、基準決定工程は、交換前ヘッドモジュールに含まれる複数の第五のノズル及び複数の第六のノズルのうち、基準となる第五基準ノズルを第一撮像部で撮像して表示部に表示し、交換前ヘッドモジュールに含まれる複数の第五のノズル及び複数の第六のノズルのうち、基準となる第六基準ノズルを第二撮像部で撮像して表示部に表示し、第五基準ノズルを表示部に表示した状態で、第五基準ノズルの位置に第三位置情報を表示し、第六基準ノズルを表示部に表示した状態で、第六基準ノズルの位置に第四位置情報を表示する工程となる。取外工程は、上記同様に実施され、これによって、交換前ヘッドモジュールがキャリッジから取り外される。交換工程では、交換後ヘッドモジュールは、次のようにして、キャリッジに取り付けられる。即ち、交換工程は、交換後ヘッドモジュールに含まれる複数の第七のノズル及び複数の第八のノズルのうち、交換後ヘッドモジュールにおける位置が、交換前ヘッドモジュールにおける第五基準ノズルの位置に対応した第七基準ノズルを、第一撮像部で撮像し、第一撮像部で撮像された第七基準ノズルが、第三位置情報に対応して表示され、交換後ヘッドモジュールに含まれる複数の第七のノズル及び複数の第八のノズルのうち、交換後ヘッドモジュールにおける位置が、交換前ヘッドモジュールにおける第六基準ノズルの位置に対応した第八基準ノズルを、第二撮像部で撮像し、第二撮像部で撮像された第八基準ノズルが、第四位置情報に対応して表示された状態で行われる。なお、説明を省略したが、第一撮像部及び第二撮像部が位置決めされていない場合、第一工程に対応した工程が、上記同様に実施される。この第一工程に対応した工程では、第一撮像部及び第二撮像部は、第一方向に沿った方向及び第二方向の位置が、上記同様に位置決めされる。但し、第二撮像部を位置決めする場合の移動方向は、第一ヘッド部及び第二ヘッド部が並べられた第二方向とされる。