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JP5994730B2 - 排気ガス浄化用触媒の製造方法 - Google Patents

排気ガス浄化用触媒の製造方法 Download PDF

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JP5994730B2 JP2013111020A JP2013111020A JP5994730B2 JP 5994730 B2 JP5994730 B2 JP 5994730B2 JP 2013111020 A JP2013111020 A JP 2013111020A JP 2013111020 A JP2013111020 A JP 2013111020A JP 5994730 B2 JP5994730 B2 JP 5994730B2
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本発明は排気ガス浄化用触媒の製造方法に関する。
ディーゼルエンジンの排気ガス処理装置は、一般に酸化触媒(DOC)とその下流に配設されたディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)によって構成されている。DOCによって排気ガス中のHC(炭化水素)及びCOが酸化浄化され、NOx(窒素酸化物)のうちのNOがNOに酸化される。DOCでの触媒反応熱によりDPFの昇温が図れ、NOの有する強い酸化力によりDPFに堆積したパティキュレートマター(PM)の燃焼が促進される。エンジン始動直後はDOCの活性が低いことから、HCが未浄化のまま排出されないように、DOCにゼオライトをHCトラップ材として設けることが行なわれている。
一方、NOxの浄化のために、リーンバーンガソリンエンジンやディーゼルエンジンではリーンNOxトラップ触媒(LNT触媒)も利用されている。このLNT触媒は、NOx吸蔵材によって排気ガスの空燃比がリーンであるときにNOxを吸蔵する。そして、エンジンの空燃比をリッチに変調するリッチパージにより、NOxの放出及び未燃ガスによるNOxの還元が行なわれる。NOx吸蔵材としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属を利用することが可能である。但し、アルカリ金属は触媒担体を形成するコージェライトの粒界にガラス相を形成して担体強度を低下させることから、実際にはそのような問題がないアルカリ土類金属が一般に採用されている。
ところで、特許文献1に記載されているように、ガソリンエンジンの排気ガス浄化用触媒においては、一体構造型担体にゼオライト含有するHC吸着材層とNOx吸蔵材を含有する触媒金属層とを積層状態に設けるという提案がある。この提案では、HC吸着材層にもNOx吸蔵材が含まれ、重量比でHC吸着材層のNOx吸着材量が触媒金属層のNOx吸着材量の40/60から1/99とされている。
特開2001−113173号公報
ディーゼルエンジンの排気ガスの浄化においても、一体構造型担体に、NOx吸蔵材を含有するLNT触媒層とゼオライトを含有するDOC層とを層状に設けることが考えられる。しかし、特許文献1でも示唆されているが、排気ガス浄化用触媒の製造過程でNOx吸蔵材がスラリー中に溶出してLNT触媒層からDOCに浸透すると、そのDOC層の触媒性能低下を招く。例えば、NOx吸蔵材の浸透によって、DOC層に含まれるゼオライトのHC吸着性能が低下し、或いは酸化触媒性能が低下する。
そこで、本発明は、NOx吸蔵材を含有する積層型の排気ガス浄化触媒において、そのNOx吸蔵材がゼオライトなど他の触媒成分に悪影響を及ぼさないようにする。
本発明は、上記課題を解決するために、NOx吸蔵材とゼオライトとを互いに別の触媒層に分離して配置するようにした。
すなわち、ここに提示する排気ガス浄化用触媒の製造方法は、Ba又はSrよりなるNOx吸蔵材とゼオライトとを含有する排気ガス浄化用触媒を製造する方法であって、
担体上に、アルミナに触媒金属が担持されてなる触媒成分を含有する酸化触媒層としての第1触媒層を形成する工程と、
上記第1触媒層の上に、上記NOx吸蔵材及び触媒金属を含有し且つ上記ゼオライトを含有しないリーンNOxトラップ触媒層としての第2触媒層を形成する工程と、
上記第2触媒層の上に、上記ゼオライト及び触媒金属を含有し且つ上記NOx吸蔵材を添加していない酸化触媒層としての第3触媒層を形成する工程とを備え、
上記第2触媒層を形成する工程では、上記NOx吸蔵材の表層部をSOガスによって硫酸塩化した後に該NOx吸蔵材を上記第1触媒層にコーティングし、
上記第3触媒層を形成した後に、上記NOx吸蔵材をCOガスによって炭酸塩化することを特徴とする。
この製造方法によれば、第2触媒層を形成するNOx吸蔵材は予めその表層部が硫酸塩化されているから、このNOx吸蔵材がコーティング用スラリーの分散媒に溶出することが避けられる。従って、そのスラリーの分散媒が第1触媒層に浸透しても、NOx吸蔵材が第1触媒層に混入した状態になることが防止される。さらに、第3触媒層を形成するにあたり、ゼオライトを含有するスラリーが第2触媒層に接触しても、そのスラリーの分散媒にNOx吸蔵材が溶出することが避けられる。従って、NOx吸蔵材が第3触媒層に混入すること、特にNOx吸蔵材とゼオライトとが混ざりあった状態になることが防止される。
そうして、NOx吸蔵材は、表層部が硫酸塩化した状態ではそのNOx吸蔵性能が低いが、第3触媒層を形成した後に、上記NOx吸蔵材を炭酸塩化するため、本来のNOx吸蔵性能が得られる。ここに、硫酸塩化しているのはNOx吸蔵材の表層部であるから、第3触媒層を形成した後のNOx吸蔵材の炭酸塩化が容易になり、NOx吸蔵性能の確保に有利になる。
上記製造方法によって得られる排気ガス浄化用触媒においては、触媒温度が低いときは排気ガス中のHCが第3触媒層のゼオライトに吸着される。触媒温度が上昇すると、ゼオライトからHCが放出され、第1触媒層及び/又は第3触媒層の温度上昇によって活性が高くなっている触媒金属によって排気ガス中のCOと共に酸化浄化される。排気ガスの空燃比がリーンであるときに第2触媒層のNOx吸蔵材に吸蔵されたNOxは当該空燃比が理論空燃比近傍に又はリッチになったときに放出され、第1触媒層及び/又は第3触媒層の触媒金属によって還元浄化される。
また、上記製造方法によると、NOx吸蔵材とゼオライトとが混合状態になることが抑制されるため、NOx吸蔵材とゼオライトとの相互作用によるNOx吸蔵性能及び/又はHC吸着性能の低下が避けられる。
上記排気ガス浄化用触媒の製造方法において、好ましい態様では、上記第1乃至第3の触媒層を担持する担体として、セル断面形状が六角形である六角セルハニカム構造の担体を採用する。六角セルの場合、セルの角部の角度が大きくなる(120度前後になる)から、三角セルや四角セルに比べて、触媒層がセルの角部(隅部)において局部的に厚くなる度合が小さくなる。つまり、触媒層厚さの均一化に有利になり、排気ガスを触媒層に効率良く接触させることができる。また、このことは、所期の触媒効果を得るに必要な触媒量を減らすことができることを意味する。これにより、コスト低減が図れるとともに、セルにおける排気ガス流路が広くなり、エンジンの背圧上昇(エンジン出力の低下)防止に有利になる。
好ましい態様では、上記第1触媒層を形成する工程では、上記触媒成分に加えて、Ce含有酸化物を含有するようにする。この態様によれば、Ce含有酸化物によるNOxの吸着によって全体のNOx吸蔵・吸着量が増大するとともに、Ce含有酸化物を介する水性ガスシフト反応によってNOx還元剤としての水素が生成し、NOxの還元が促進される。さらに、空燃比をリッチ側にしたときに、Ce含有酸化物に吸蔵された酸素と還元剤(HC及びCO)との反応熱による触媒の活性促進が図れ、NOx浄化率が向上する。
好ましい態様では、上記第1触媒層及び第3触媒層は触媒金属としてPtとPdを含有するようにし、上記第2触媒層は触媒金属としてPtとRhを含有するようにする。第1触媒層及び第3触媒層のPt及びPdにより排気ガス中のHC及びCOが酸化浄化され、また、アルミナに担持されたPtにより、空燃比がリッチの時にはNOxが還元浄化される。また、アルミナに担持されたPtによって、空燃比がリーンの時には排気ガス中のNOのNO への酸化が促進され、NOx吸蔵材及びゼオライトによるNOx吸蔵量が増大する。
本発明に係る排気ガス浄化用触媒の製造方法によれば、上記第1触媒層乃至第3触媒層を順に形成するにあたり、第2触媒層を形成する工程では、NOx吸蔵材の表層部をSOガスによって硫酸塩化した後に該NOx吸蔵材を上記第1触媒層にコーティングし、第3触媒層を形成した後に、NOx吸蔵材をCOガスによって炭酸塩化するから、NOx吸蔵材がコーティング用スラリーの分散媒に溶出することが避けられ、そのため、NOx吸蔵材が第1触媒層及び第3触媒層に混入した状態になることが防止され、しかも、第3触媒層を形成した後のNOx吸蔵材の炭酸塩化も容易になる。よって、NOx吸蔵材とゼオライトとの相互作用によるNOx吸蔵性能及びHC吸着性能の低下が避けられ、ゼオライトのHC吸着能とNOx吸蔵材のNOx吸蔵能により、排気ガス中のHC、CO及びNOxの浄化が効率良く進む。
排気ガス浄化用触媒の一部を示す断面図である。 排気ガス浄化用触媒の触媒層構成を示す断面図である。 排気ガス浄化用触媒の製造工程図である。 HC浄化性能評価試験における触媒から流出するガスのトータルHC濃度及び触媒入口温度の変化を示すグラフ図である。 実施例及び比較例のHC浄化率を示すグラフ図である。 実施例及び比較例のNOx吸蔵量を示すグラフ図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
ここに説明する排気ガス浄化用触媒は、自動車のディーゼルエンジンの排気ガスの浄化に適したものであり、ディーゼルエンジンの排気通路に配設され、この排気ガス浄化用触媒よりも下流側の排気通路にDPFが配設される。
図1に排気ガス浄化用触媒の基本構成を示す。同図において、1はハニカム担体のセル壁であり、該セル壁1の上に第1触媒層2が形成され、第1触媒層2の上に第2触媒層3が形成され、第2触媒層3の上に第3触媒層4が形成されている。第3触媒層4で囲まれた空間が排気ガス通路5になっている。ハニカム担体はセル断面形状が六角形である六角セルハニカム構造になっている。図1では簡単のため、触媒層2〜4を1つのセルのみに描いているが、全てのセルに触媒層2〜4が形成されている。
図2に示すように、好ましい態様では、第1触媒層2は、Pt及びPdを担持した活性アルミナと、Pt及びPdを担持したOSC(Oxygen Storage Capacity)材とを含有し、NOx吸蔵材は添加していない。OSC材はCe含有酸化物よりなる。同じく、第2触媒層3は、Pt、Rh及びNOx吸蔵材を担持した活性アルミナと、Pt、Rh及びNOx吸蔵材を担持したOSC材とを含有し、ゼオライトを含有しない。同じく、第3触媒層4は、Pt及びPdを担持したゼオライトを含有し、NOx吸蔵材は添加していない。端的に言えば、第1触媒層2及び第3触媒層4各々はDOC層であり、中間の第2触媒層3がLNT触媒層である。
(排気ガス浄化用触媒の製造方法)
図3に排気ガス浄化用触媒の製造工程を示す。
[DOC粉末のコーティング(第1触媒層の形成)]
第1触媒層用のDOC粉末及びバインダーを含有するスラリーをハニカム担体にコーティングし、乾燥させた後、焼成することにより、ハニカム担体に第1触媒層2を形成する。
−第1触媒層用DOC粉末の調製−
活性アルミナとOSC材とを混合し、その混合物にDOC用触媒金属(Pt及びPd)の一部を蒸発乾固法によって担持する。具体的には、その混合物に水を加え攪拌してスラリー状にする。このスラリーを攪拌しながら、これに触媒金属の硝酸塩水溶液を滴下する。その後、加熱しながらさらに撹拌を続けて、水分を完全に蒸発させる。この乾固物を大気中で焼成し、粉砕する。これにより、第1触媒層用DOC粉末(各々DOC用触媒金属が担持された活性アルミナとOSC材との混合物)が得られる。
−第1触媒層用スラリーの調製−
上記DOC粉末をバインダー及び水と混合し、さらにスラリー粘度調整用の硝酸水溶液を添加して攪拌することにより、第1触媒層用スラリーを得る。
[LNT触媒粉末のコーティング(第2触媒層の形成)]
第2触媒層用のSO処理済みLNT触媒粉末及びバインダーを含有するスラリーをハニカム担体の第1触媒層2の上にコーティングし、乾燥させた後、焼成することにより、第1触媒層2の上に第2触媒層3を形成する。
−LNT触媒粉末の調製−
活性アルミナとOSC材とを混合し、その混合物にLNT触媒用触媒金属(Pt及びRh)及びNOx吸蔵材(アルカリ土類金属)を第1触媒層2の場合と同様の蒸発乾固法によって担持する。NOx吸蔵材については、酢酸塩又は硝酸塩の水溶液として混合し、蒸発乾固により担持する。その後、第1触媒層2の場合と同様の焼成及び粉砕を行なうことにより、LNT触媒粉末(各々LNT触媒用触媒金属及びNOx吸蔵材が担持された活性アルミナとOSC材との混合物)を得る。NOx吸蔵材の少なくとも一部は大気中での焼成によって炭酸塩又は酸化物となる。
−NOx吸蔵材のSO処理による硫酸塩化−
次いで上記LNT触媒粉末のNOx吸蔵材の表層部を硫酸塩化する。硫酸塩化は、LNT触媒粉末にSOガスを流通させ、加熱することによって行なう。
−第2触媒層用スラリーの調製−
SO処理済みのLNT触媒粉末をバインダー及び水と混合し、さらにスラリー粘度調整用の硝酸水溶液を添加して攪拌することにより、第2触媒層用スラリーを得る。
[DOC粉末のコーティング(第3触媒層の形成)]
第3触媒層用のDOC粉末及びバインダーを含有するスラリーをハニカム担体の第2触媒層3の上にコーティングし、乾燥させた後、焼成することにより、第2触媒層3の上に第3触媒層4を形成する。
−第3触媒層用DOC粉末の調製−
ゼオライトに上記DOC用触媒金属(Pt及びPd)の残りを第1触媒層2の場合と同様の蒸発乾固法によって担持する。そして、第1触媒層2の場合と同様の焼成及び粉砕を行なうことにより、第3触媒層用のDOC粉末(DOC用触媒金属が担持されたゼオライト)を得る。
−第3触媒層用スラリーの調製−
上記DOC粉末をバインダー及び水と混合し、さらにスラリー粘度調整用の硝酸水溶液を添加して攪拌することにより、第3触媒層用スラリーを得る。
[NOx吸蔵材のCO処理による炭酸塩化]
第2触媒層3のNOx吸蔵材を炭酸塩化する。炭酸塩化は、上記第1〜第3の触媒層2〜4が形成されたハニカム触媒にCOガスを流通させ、加熱することによって行なう。
以上に説明した排気ガス浄化用触媒の製造方法において、乾燥は、例えば大気雰囲気において100℃〜250℃程度の温度に所定時間保持することによって行なうことができる。また、焼成は、例えば大気雰囲気において400℃〜600℃程度の温度に数時間保持することによって行なうことができる。
(HC浄化性能及びNOx吸着能の評価)
上記排気ガス浄化用触媒の製造方法によって実施例1〜5及び比較例1,2の各ハニカム触媒を調製し、HC浄化性能及びNOx吸着能を評価した。担体としては、実施例1〜5及び比較例1,2のいずれも、セル壁厚さ4.5mil(1.143×10−1mm)、1平方インチ(645.16mm)当たりのセル数400のコーディエライト製六角セルハニカム担体(直径24.5mm,長さ50mm)を用いた。
−実施例1〜5−
実施例1〜5は、第1〜第3触媒層2〜4の構成、並びに炭酸塩化の処理条件が互いに同じであり、硫酸塩化の処理条件が相違する。
第1触媒層2の各触媒成分の担持量(「担体1L当たりの担持量」のこと。以下、同じ。)は、活性アルミナ=60g/L、OSC材=40g/L、Pt=1.2g/L、Pd=0.6g/Lである。第2触媒層3の各触媒成分の担持量は、活性アルミナ=50g/L、OSC材=50g/L、Pt=4.3g/L,Rh=0.5g/Lである。NOx吸蔵材としてはBa及びSrを採用し、各々の担持量はBa=30g/L、Sr=10g/Lである。第3触媒層4の各触媒成分の担持量は、ゼオライト=100g/L、Pt=0.4g/L、Pd=0.2g/Lである。
OSC材としては、Ce−Pr複合酸化物(質量比で、CeO:Pr11=90:10)を採用した。ゼオライトとしてはβ−ゼオライトを採用した。
第1〜第3触媒層2〜4の形成において、各触媒粉末の調製における焼成、並びに触媒粉末コーティング後の焼成は、いずれも大気中で行ない、いずれも焼成温度は500℃、焼成時間は2時間とした。
硫酸塩化(SO処理)には、LNT触媒粉末に濃度50ppmのSOガス(残部は窒素)を30L/minで流通させながら(1時間当たりのSO流通量=4.02mmol)、300℃の温度に1時間保持するという方法を採用した。SOガスの流通時間は、実施例1では1時間、実施例2では8時間20分、実施例3では25時間、実施例4では50時間、実施例5では66時間40分とした。
ここに、各実施例のNOx吸蔵材量は、Baが30g/L、Srが10g/Lであるから、トータルで332mmol/Lである。LNT触媒粉末に対するSOの反応量(吸着した量を含む)は、LNT触媒粉末へのSOの流入量から流出量を差し引くことによって求めることができる。そうして、NOx吸蔵材量に対するSOの反応量をモル比で算出すると、実施例1は1.2%、実施例2は9.8%、実施例3は26.4%、実施例4は43.8%、実施例5は52.2%であった。このモル比を以下ではSO処理率と呼ぶ。
炭酸塩化(CO処理)には、ハニカム触媒に濃度1%のCOガス(残部は窒素)を30L/minで流通させるという方法を採用した。ガス温度は600℃とし、ガス流通時間は2時間とした。
−比較例1−
比較例1は、実施例の第1触媒層の触媒成分と第3触媒層の触媒成分とによって単一のDOC層を形成し、その上に実施例の第2触媒層と同じLNT触媒層を形成した二層構造(硫酸塩化処理及び炭酸塩化処理なし)である。以下、その製法を説明する。
ゼオライトと活性アルミナとOSC材を混合し、その混合物にDOC用触媒金属(Pt及びPd)を蒸発乾固法によって担持した。得られたDOC粉末をバインダー及び水と混合し、さらにスラリー粘度調整用の硝酸水溶液を添加して攪拌することにより、スラリー状にした。このスラリーをハニカム担体にコーティングし、乾燥させた後、焼成した。これにより、ハニカム担体にDOC層を形成した。
次に活性アルミナとOSC材を混合し、その混合物にLNT触媒用触媒金属(Pt及びRh)及びNOx吸蔵材(Ba及びSr)を蒸発乾固法によって担持した。得られたLNT触媒粉末をバインダー及び水と混合し、さらにスラリー粘度調整用の硝酸水溶液を添加して攪拌することにより、スラリー状にした。このスラリーを上記DOC層の上にコーティングし、乾燥させた後、焼成することにより、LNT触媒層を形成した。
上記DOC層の各触媒成分の担持量は、ゼオライト=100g/L、活性アルミナ=60g/L、OSC材=40g/L、Pt=1.6g/L、Pd=0.8g/Lである。上記LNT触媒層の各触媒成分の担持量は、活性アルミナ=50g/L、OSC材=50g/L、Pt=4.3g/L,Rh=0.5g/L、Ba=30g/L、Sr=10g/Lである。
−比較例2−
硫酸塩化処理及び炭酸塩化処理を行なわなず、その他は実施例1〜5と同じ方法で同じ構成の第1〜第3触媒層を形成した。
−HC浄化率の測定−
実施例1〜5及び比較例1,2の各ハニカム触媒に対して、O=2%、HO=10%、残部Nのガス雰囲気において750℃の温度に24時間保持するエージング処理を行なった。そのハニカム触媒をモデルガス流通反応装置に取り付け、ハニカム触媒にNガスを流通させた状態で触媒入口ガス温度を100℃に保持し、次いでHC浄化性能評価用のモデルガスを導入した。
モデルガス組成は、n−オクタン=600ppmC、エチレン=150ppmC、プロピレン=50ppmC、CO=1500ppm、NO=30ppm、O=10%、HO=10%、残部Nであり、空間速度は72000/hである。
モデルガス導入開始後、2分を経過した時点から触媒入口ガス温度を上昇させていき、ハニカム触媒から流出するガスのトータルのHC濃度(THC)を測定した。その結果の一例を図4に示す。
モデルガスの導入開始から暫くは触媒温度が低いため、モデルガス中のHCがゼオライトに吸着される。そのため、流出ガスのTHCはモデルガスのTHC=800ppmCよりも低い。そうして、触媒温度の上昇に伴ってゼオライトによるHCの吸着量が漸減する。触媒入口ガス温度が200℃近くになると、ゼオライトへのHCの吸着量よりHCの脱離量が多くなり、THCが急増して800ppmCより高くなる。触媒温度が上昇していくと、触媒が活性を呈するようになり、脱離するHCのDOCによる浄化が始まる。そのため、THCが急減して800ppmCよりも低くなる。
そうして、上記実施例1〜5及び比較例1,2の各ハニカム触媒の、モデルガス導入開始から当該ガス温度が300℃になるまでのHC浄化率を求めた。ここにHC浄化率は、図4に示すHCの吸着に伴うTHC低減量(A)とHCの浄化に伴うTHC低減量(B)との和から、HC脱離量(C)を差し引いて計算した。結果を図5に示す。
−NOx吸蔵量の測定−
実施例1〜5及び比較例1,2の各ハニカム触媒に対して、上記HC浄化率測定の場合と同じエージング処理を行なった後、ハニカム触媒をモデルガス流通反応装置に取り付けた。ハニカム触媒に空燃比リッチのモデルガスを流通させた状態で触媒入口ガス温度を200℃に保持し、該温度を保った状態で空燃比リーンのモデルガスに切り替え、このモデルガスの切替えから180秒間のNOx吸蔵量を測定した。また、触媒入口ガス温度を250℃として、同様に空燃比リッチのモデルガスから空燃比リーンのモデルガスに切り替えてから180秒間のNOx吸蔵量を測定した。
リッチモデルガスの組成は、NO=220ppm、HC=3400ppmC、CO=1.0%、O=0.5%、CO=6%、HO=10%、残部Nである。リーンモデルガスの組成は、NO=220ppm、HC=400ppmC、CO=0.15%、O=10%、CO=6%、HO=10%、残部Nである。結果を図6に示す。
−HC浄化率及びNOx吸蔵量の測定結果について−
比較例1と比較例2とを比べると、三層構造の比較例2は、二層構造の比較例1に比べて、NOx吸蔵量は少し減っているが、HC浄化率は高くなっている。実施例1〜5及び比較例2のように、DOC層を第1触媒層と第3触媒層に分け、上層(第3触媒層)にゼオライトを配置すると、HC浄化性能が良くなることがわかる。
同じく三層構造である実施例1〜5及び比較例2のHC浄化率をみると、SO処理率が高くなるにつれて高くなっているが、SO処理率が50%を超えている実施例5は実施例4よりもHC浄化率が少し低くなっている。一方、NOx吸蔵量をみると、SO処理率が高くなるにつれて高くなっているが、SO処理率が40%を超えると、NOx吸蔵量が低くなっていく傾向が見られる。
SO処理によってHC浄化率が高くなっているのは、第2触媒層及び第3触媒層を形成するスラリーへのNOx吸蔵材の溶出が抑制されたためである考えられる。つまり、スラリーに溶出したNOx吸蔵材がコーティングする際に、DOC層に混入することによるDOC性能、特にゼオライトのHC吸着性能の低下が抑制されたということである。SO処理によってNOx吸蔵量が高くなっているのも、NOx吸蔵材の溶出抑制効果によるものと考えられる。SO処理率が40%を超えると、NOx吸蔵量が低くなっていく傾向が見られるのは、NOx吸蔵材の硫酸塩化が進みすぎ、その後のCO処理によっても、NOx吸蔵材が完全に炭酸塩にならず、一部が所謂硫黄被毒の状態で残るためであると考えられる。
以上から、SO処理率は1%以上50%以下にすることが好ましいということができる。
1 担体(セル壁)
2 第1触媒層
3 第2触媒層
4 第3触媒層

Claims (3)

  1. Ba又はSrよりなるNOx吸蔵材とゼオライトとを含有する排気ガス浄化用触媒の製造方法であって、
    担体上に、アルミナに触媒金属が担持されてなる触媒成分を含有する酸化触媒層としての第1触媒層を形成する工程と、
    上記第1触媒層の上に、上記NOx吸蔵材及び触媒金属を含有し且つ上記ゼオライトを含有しないリーンNOxトラップ触媒層としての第2触媒層を形成する工程と、
    上記第2触媒層の上に、上記ゼオライト及び触媒金属を含有し且つ上記NOx吸蔵材を添加していない酸化触媒層としての第3触媒層を形成する工程とを備え、
    上記第2触媒層を形成する工程では、上記NOx吸蔵材の表層部をSOガスによって硫酸塩化した後に該NOx吸蔵材を上記第1触媒層にコーティングし、
    上記第3触媒層を形成した後に、上記NOx吸蔵材をCOガスによって炭酸塩化することを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  2. 請求項1において、
    上記担体はセル断面形状が六角形である六角セルハニカム構造になっていることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    上記第1触媒層を形成する工程では、上記触媒成分に加えて、Ce含有酸化物を含有するようにすることを特徴とする排気ガス浄化用触媒の製造方法。
JP2013111020A 2013-05-27 2013-05-27 排気ガス浄化用触媒の製造方法 Expired - Fee Related JP5994730B2 (ja)

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