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JP5982881B2 - 玉軸受、それを用いたモータ及び主軸装置 - Google Patents

玉軸受、それを用いたモータ及び主軸装置 Download PDF

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JP5982881B2 JP2012048226A JP2012048226A JP5982881B2 JP 5982881 B2 JP5982881 B2 JP 5982881B2 JP 2012048226 A JP2012048226 A JP 2012048226A JP 2012048226 A JP2012048226 A JP 2012048226A JP 5982881 B2 JP5982881 B2 JP 5982881B2
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Description

本発明は、玉軸受、それを用いたモータ及び主軸装置に関し、より詳細には、一般産業機械や工作機械等に使用される駆動モータや、工作機械の主軸装置等、高速回転する部位に適用される玉軸受、それを用いたモータ及び主軸装置に関する。
高速モータや、工作機械の主軸を支持する転がり軸受を潤滑する従来の潤滑法としては、潤滑剤の攪拌抵抗を低減させて温度上昇を抑えるため、グリース潤滑やオイルエア・オイルミスト潤滑等の微量潤滑法が採用されている。オイルエア・オイルミスト潤滑は、グリース潤滑と比較して高速回転での耐焼付き性は向上するものの、給排油機構が複雑でありコストの増大、ノズルから軸受に向けて噴出させる空気の風切音による騒音発生、排油穴やラビリンス部からの使用後の潤滑油流出に対する配慮等が必要である。このため、近年、外部に潤滑剤が放出されないグリース潤滑によって、高速モータや、高速回転する主軸を支持する転がり軸受を潤滑するという要求が強まっている。
一方、グリース潤滑では、軸受内に充填したグリースは、使用に伴って消費され、或いは軸受両端の開口部から徐々に流出して、オイルエア・オイルミスト潤滑と比較して軸受寿命が短くなる傾向がある。
特に、高速回転の場合、玉の遠心力作用で玉が外輪軌道溝側に押し付けられ、玉と内輪軌道溝間の転がり接触面より、玉と外輪軌道溝間の転がり接触面の方が接触面圧が高くなり、接触面圧が高くなった外輪軌道溝側の部分の潤滑条件が厳しくなる傾向がある。この結果、高速回転では、当該部分の潤滑不良から焼き付きなどの軸受損傷につながりやすい。
また、最近、高速での連続加工、急加減速運転でのサイクル加工も多く、グリース寿命が益々低下する傾向にある。
また、グリース潤滑では、グリースの消費、劣化が進んで、保持器と転動体、或いは保持器と外内輪案内面の潤滑油膜形成が不安定となったとき、すべり接触面の摩擦抵抗が変動して保持器の自励振動が発生し、異音の発生や回転精度が悪化する可能性があった。このような現象を防止するため、保持器が玉で案内される玉案内方式の合成樹脂製の保持器を用いると共に、ポケット内部にグリースを保持しやすい構成とした玉軸受が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特許文献2に記載の玉軸受では、ポケットが玉軸受の軸線方向側の面に凹部を有し、この凹部に潤滑剤をより多く含有し、玉が凹部の内面に接触せずにポケットに保持されるように構成して、保持器音の誘発を防止することが開示されている。
さらに、特許文献3に記載の玉軸受では、ポケットの中央部分の内面に、玉の転動面と接触しない非接触部を設け、非接触部と玉の転動面との間に潤滑剤を保持する。この結果、ポケットの内面と玉の転動面とが接触する接触部に作用する摩擦力を小さくし、保持器音の発生を低減している。
特開2003−42160号公報 特開2002−98150号公報 特開2000−39024号公報
ところで、工作機械の主軸では、dmn値(dm:転動体のピッチ円直径(mm)、n:軸回転速度(min−1))が100万を超えるような領域で使用されることが、近年益々要求されている。このような領域で使用される主軸では、特許文献1に記載の玉案内方式の保持器を有する玉軸受を採用しても、保持器のポケットと玉とのすべり接触部で、潤滑油が枯渇し、自励振動が発生する可能性があり、グリース潤滑の耐久性に更なる改善が望まれていた。
また、特許文献2に記載の玉軸受では、凹部の立ち上がり部で玉とエッジ接触する可能性があり、エッジ部での発熱や摩耗などの不具合が発生する虞がある。さらに、特許文献3に記載の玉軸受では、玉が接触する接触部は円筒形状ではなく、また、非接触部と玉の転動面との間に保持された潤滑剤は、非接触部よりも径方向内側での接触部に供給される量と、径方向外側での接触部に供給される量が異なるため、さらなる改善が望まれる。
また、比重の小さなセラミック製の玉を採用し、高速回転時の玉に作用する遠心力を低減させて軸受の発熱を抑制し、グリースの熱的劣化を抑制する方法も提案されているが、このような対策を施しても、低発熱化には限界があり、保持器のポケットと玉とのすべり接触部近傍に潤滑油膜を確実に確保することができる方策が望まれていた。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポケット内部のグリースの保持性を高め、保持器のポケットと玉とのすべり接触部を確実に潤滑することができる、長寿命な玉軸受、それを用いたモータ及び主軸装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 外輪と、内輪と、該外輪及び内輪間に配置される複数の玉と、該複数の玉をそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備える玉軸受であって、
前記保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、
前記円筒面により形成される内面には、前記玉が接触する接触領域より径方向外側のみに、凹部溝が形成されることを特徴とする玉軸受。
(2) グリースによって潤滑されることを特徴とする(1)に記載の玉軸受。
(3) 前記保持器は玉案内方式であると共に、
前記ポケットの内径側端部には、前記玉と接触して前記保持器の半径方向の移動を規制する凸部が突設して設けられることを特徴とする(1)または(2)に記載の玉軸受。
(4) 前記保持器は、軸方向両側の一対の環状部と、該一対の環状部を連結する複数の柱部と、を有し、前記ポケットの内面は円筒形状に形成され、
前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の玉軸受。
(5) 前記保持器は、環状部と、該環状部から軸方向に延出する複数の柱部と、を有し、前記ポケットは軸方向一方を開口する円筒形状に形成され、
前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の玉軸受。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の玉軸受を用いたことを特徴とするモータ。
(7) (1)〜(5)のいずれかに記載の玉軸受を用いて、工作機械主軸を回転自在に支持することを特徴とする主軸装置。
本発明の玉軸受によれば、保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、円筒面により形成される内面には、前記玉が接触する接触領域より径方向外側のみに、凹部溝が形成される。従って、玉が接触しない非接触領域に形成された凹部溝に潤滑剤を溜めることができ、玉による凹部溝内の潤滑剤の掻き取りを防ぐと共に、凹部溝に溜まった潤滑剤によって玉とポケット間の適正な潤滑状態が良好に維持され、潤滑寿命の延長が可能となる。
また、保持器が玉軸受に組み込まれた状態で、玉とポケットとの間には、半径方向及び軸方向にある一定のすきまが保持されており、玉は、このすきまによって、ポケット内面のある限られた領域で接触する。この凹部溝は、玉および保持器が相対的に最大量動いた状態でも接触しない非接触領域に形成されているので、玉が凹部溝のエッジ部と接触することがなく、エッジ部との局部当たりが防止でき、エッジ部の発熱や摩耗などの不具合を防止できる。
特に、グリース潤滑の場合には、凹部溝が玉が接触する接触領域より径方向外側に位置することで、遠心力作用によって凹部溝に保持されているグリースから徐々に排出される基油分が、ポケット内部から徐々に外輪軌道溝に供給されることで、玉の遠心力作用により面圧が増加する外輪軌道溝と玉間の転がり接触部にグリースがより円滑に供給され、その結果、軸受の損傷を防止でき、軸受の寿命を延長することができる。
本発明の一実施形態に係る玉軸受の断面図である。 (a)は、図1における保持器の部分平面図であり、(b)は、(a)におけるII−II線に沿う部分断面図である。 (a)は、静止時における軌道輪と玉の接触位置を示す図であり、(b)は、回転時における軌道輪と玉の接触位置を示す断面図である。 保持器の第1変形例を示す部分断面図である。 保持器の第2変形例を示す部分断面図である。 保持器の第3変形例を示す部分断面図である。 (a)は、保持器の第4変形例を示す断面図であり、(b)は、保持器の部分平面図であり、(c)は、保持器の部分断面図である。 保持器の第5変形例を示す断面図である。
以下、本発明に係る玉軸受の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態のアンギュラ玉軸受10は、内周面に外輪軌道面11aを有する外輪11と、外周面に内輪軌道面12aを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に転動自在に配設された複数の玉13と、該玉13をポケット15内に転動自在に保持して外輪11と内輪12の間に配置されたもみ抜き保持器14と、を備える。また、アンギュラ玉軸受10の内部空間には、潤滑剤としてのグリースが封入されている。
外輪11の内周面には、外輪軌道面11aの一方の側方に肩部11bが形成されている。また、内輪12の外周面には、玉13を中心として肩部11bと軸方向対称位置に肩部12bが形成されている。アンギュラ玉軸受10は、静止時において接触角αを有しており、ラジアル荷重及びスラスト荷重を負荷する。また、外輪11と内輪12の両側面の開口部には、芯金がゴム等の弾性体によって覆われて環状に形成されたシール部材16が装着され、内部からのグリース流出が防止されている。
保持器14は、合成樹脂製からなる玉案内保持器であり、図2に示すように、軸方向両側の環状部22a,22aと、これら環状部22a,22aを連結する複数の柱部23とを有し、これら環状部22a,22aと隣接する柱部23とで玉13を転動自在に保持する複数のポケット15を構成する。
保持器14のポケット15は、円筒面により形成される内面15aを有して、径方向に貫通する略円筒形状であり、その内径は玉13の外径より僅かに大きく形成されている。
さらに、保持器14のポケット15の内径側端部には、凸部21がポケット15の内側に向かって突設して設けられている。この凸部21は、柱部23からポケット15内に円周方向に沿って突設している。図2(a)に示すように、ポケット15内に突出する凸部21の端縁部の形状は、半径方向から見て円弧状に形成されている。
この凸部21は、玉13と接触して保持器14の半径方向の移動を規制している。ポケット15の内面15aと玉13との間には、半径方向及び軸方向にある一定のすきまを保持しており、従って、ポケット15の内面15aには、玉13と保持器14が半径方向に相対移動した際に玉13が接触する接触領域17が規定される。
また、接触領域17より径方向外側には、円筒面により形成される内面に、玉13が接触しない非接触領域18が形成される。そして、この非接触領域18には、ポケット15の円周方向に沿って断面半円状の凹部溝24が形成される。
保持器14の合成樹脂材料としては、フェノール、ポリアミド66やポリアミド46、ポリフェニレンサルファイド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を母材として使用することができる。更に、10〜30重量%の炭素繊維やアラミド繊維、或いは、10〜40重量%のガラス繊維を添加して強度を向上させることが好ましい。また、高速回転で使用するためには、炭素繊維やアラミド繊維がより好ましいが、使用条件に応じてガラス繊維を選択することもできる。炭素繊維やアラミド繊維の添加量が10重量%より少ないと十分な強度が得られず、また、30重量%より多いと成形性が劣化して外観も悪くなる。炭素繊維やアラミド繊維の添加量を20〜30重量%とすることにより、強度及び成形性が共に良好となり、更に好ましい。同様の理由により、ガラス繊維も10〜40重量%の添加量が好ましい。
なお、保持器14は、高速回転用途において好適な合成樹脂材料のほか、鉄や銅合金などの金属材料であってもよい。
このような保持器14は種々の方法で製作可能であり、例えば、すべて切削加工により製作してもよく、或いは、射出成形後に凹部溝24のみを切削加工して製作、また、すべて射出成形により製作することもできる。
このように構成されるアンギュラ玉軸受10は、内部にグリースを封入した後、グリースが玉13とポケット15とのすべり接触部や、玉13と外内輪11、12の軌道面11a、12aとの転がり接触部等、潤滑を要する部分に行き渡るように、運転初期に徐々に回転数を上げる、所謂ならし運転を行なう。これにより、玉13に付着したグリースが、凸部21で掻き取られた際に、凹部溝24に入り込みやすいため、グリースを十分に凹部溝24に保持することができる。
また、通常運転時において、グリースは、非接触領域18に形成された凹部溝24に溜めることができ、玉13による凹部溝24内のグリースの掻き取りを防ぐと共に、凹部溝24に溜まったグリースによって玉13とポケット15間の適正な潤滑状態が良好に維持され、潤滑寿命の延長が可能となる。また、この凹部溝24は、玉13および保持器14が相対的に最大量動いた状態でも接触しない非接触領域18に形成されているので、玉13が凹部溝24のエッジ部と接触することがなく、エッジ部との局部当たりが防止でき、エッジ部の発熱や摩耗などの不具合を防止できる。
特に、グリース潤滑の場合には、凹部溝24が玉13が接触する接触領域17より径方向外側に位置することで、遠心力作用によって凹部溝24に保持されているグリースから徐々に排出される基油分が、ポケット15内部から徐々に外輪軌道面11aに供給されるので、玉13の遠心力作用により面圧が増加する外輪軌道面11aと玉13間の転がり接触部にグリースがより円滑に供給され、その結果、軸受10の損傷を防止でき、軸受の寿命を延長することができる。
さらに、凹部溝24以外の余剰グリースは、いったん玉軸受10内の周辺部に付着しても、全てのグリースが転がり接触部などのグリースを必要とする箇所に供給されるわけではなく、玉13の近くなど、回転中心近傍に近いグリースのみが供給される。また、外輪など非回転部分に付着しているグリースは、転がり接触部に近いグリース表面の基油のみが潤滑に寄与する。反対に、内輪外周面に付着したグリースは、高速回転時の遠心力によりほとんどが離散してしまう可能性が大きい。
一方、本実施形態の凹部溝24によって保持されたグリースは、そのほとんどが潤滑に寄与できる。しかも、保持器14の公転中の遠心力効果で、グリース内の基油分が徐々にポケット内に染み出ることが可能である。
保持器14の公転数は、通常、内輪回転の場合、内輪回転数の約40%程度(逆に、外輪回転の場合、外輪回転数の約60%程度)なので、遠心力によってグリースは振り飛ばされ難く、かつ、遠心力によるグリースからの基油分の染み出し量が適度な量となり、長期間にわたって基油分を転がり接触部、或いは、すべり接触部に供給することができる。
また、dmn値が100万を超えるような高速回転の場合には(特に、定圧予圧において、軸受が配列構成されている場合)、図3に示すように、玉13に作用する遠心力Fcによって玉13が外輪11側に変位し、外輪11との接触角αは軌道面11aの底寄りに(非回転時の接触角αより小さくなる方向)、また、内輪12の接触角αは軌道面12aの肩部12b寄り(非回転時の接触角αより大きくなる方向)に移動する。即ち、玉13に作用する接触面圧が静止時の方向Q,Qから回転時の方向Q1i,Q1eに変化する。この場合、内輪12側においては、内輪12の肩部12bなど、軸受端面側に多く付着しているグリースから基油の供給が容易となる一方、外輪11側においては、玉13が溝底寄りで接触しており、外輪11の肩部11bに付着しているグリースから離れる傾向となって、基油の供給がされ難くなる。しかしながら、本実施形態のように、接触領域17より径方向外側の非接触領域18に凹部溝24を設けたので、凹部溝24に保持されたグリースから基油を染み出させ、遠心力により玉13を介して外輪側に供給することができる。
(第1変形例)
図4は、保持器の第1変形例を示す部分断面図である。この保持器14aでは、円筒面によって形成されるポケット15の内面15aにおいて、非接触領域18に、断面コの字状の凹部溝24aが円周方向に亘って形成されている。このような断面コの字状の凹部溝24aを形成することで、潤滑剤を保持する空間を広く確保することが可能となる。
(第2変形例)
図5は、保持器の第2変形例を示す部分断面図である。この保持器14bでは、円筒面によって形成されるポケット15の内面15aにおいて、非接触領域18に、断面Vの字状の凹部溝24bが円周方向に亘って形成されている。このような断面Vの字状の凹部溝24bを形成することでも、潤滑剤の保持、及び転がり接触部やすべり接触部への潤滑剤の供給が円滑となる。
(第3変形例)
図6は、保持器の第3変形例を示す部分断面図である。この保持器14cでは、円筒面によって形成されるポケット15の内面15aにおいて、非接触領域18に、開口部で狭く内部で幅の広がった断面略スプーン状の凹部溝24cが円周方向に亘って形成されている。このような断面略スプーン状の凹部溝24cを形成することで、高速回転時においても遠心力による基油分の流出が抑えられるなど、潤滑剤の保持性が向上し、遠心力での基油の離散に継続性を与えることができる。
なお、凹部溝24の断面形状は、上記実施形態及び各変形例に限定されるものでなく、任意の断面形状に形成可能であり、例えば、切削加工や射出成形加工など、加工方法に応じて適正な断面形状に形成してもよい。
また、凹部溝24は、全てのポケット15に形成されることが潤滑する上で望ましいが、必要に応じて特定のポケット15にのみ設けられても良い。
さらに、凹部溝24は、ポケット15の内面の円周方向全周に亘って形成されてもよいし、円周方向の特定の位相にのみ形成されてもよい。また、非接触領域18内であれば、凹部溝24は、円周方向に沿って形成されずに、例えば、半径方向に沿って形成されたものを円周方向に複数配置してもよい。
(第4変形例)
図7(a)〜(c)は、保持器の第4変形例を示す。この保持器14dは、環状部22aと、環状部22aから軸方向に延出する複数の柱部23と、を有し、ポケット15は軸方向一方を開口する円筒形状に形成される冠型保持器である。また、この保持器14dも、ポケット15の内径側端部に凸部21が突設して設けられ、玉13の半径方向の移動を規制する玉案内方式の保持器である。
この保持器14dにおいても、凹部溝24は、円筒面を形成するポケット15の内面15aの非接触領域18に、ポケット15の円周方向に沿って形成される。
従って、冠型保持器14dにおいても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
(第5変形例)
図8は、保持器の第5変形例を示す。この保持器14eは、ポケット15の個数を偶数(図8では、8個)とし、少なくとも一つおき(図8では、一つおきの4個)のポケット15に円周方向等配で、ポケット15の円周方向に沿う凹部溝24が設けられている。
このように凹部溝24を少なくとも一つおきのポケット15に設けることで、ポケット15の柱部23の円周方向最小肉厚を厚くすることができる。
例えば、アンギュラ玉軸受において、軸受負荷容量や軸受剛性を大きくしたい場合、玉数が多い仕様となり、ポケット15の柱部23の円周方向肉厚を薄くせざるを得ない。このような保持器で、柱部23の両側のポケット15に凹部溝24を設けると、柱部23の円周方向の肉厚が局部的に薄くなり、柱部23の強度が低下することが懸念される。しかしながら、この変形例の構成では、柱部23の両側のポケット15に凹部溝24が設けられることがなくなり、柱部23の強度を確保することができる。
なお、各ポケット15内部でのグリースなどの潤滑剤の供給は、凹部溝24を有するポケット15では、該凹部溝24内に溜まった潤滑剤によって行われ、また、凹部溝24を有しないポケット15では、凹部溝24内の潤滑剤が回転により玉13を介して転がり接触面(内輪軌道面12a及び外輪軌道面11a)に補給され、その後、凹部溝24を有しないポケット15の玉13に付着して補給される。
また、凹部溝24が形成されるポケット15は、円周方向等配で配置されているので、保持器14eはアンバランス形状とならず、高速回転中の偏芯荷重を負荷することがなく、保持器14eは偏芯回転することなく、一部の部位が摩耗や破損に至ることはない。
この第5変形例では、凹部溝24を設けるポケット15は、少なくとも一つおきで円周方向等配で配置されればよい。例えば、ポケット15の個数が18個の場合には、凹部溝24は、1つおきの9個(40°間隔)のポケット15、2つおきの6個(60°間隔)のポケット15、5つおきの3個(120°間隔)のポケット15、8つおきの2個(180°間隔)のポケット15のいずれかに設けられればよい。
また、第5変形例は、本実施形態や第1〜第4変形例のいずれとも組み合わせて適用可能で、さらに、凹部溝24は、上述したように、断面形状、ポケット15の円周方向長さ、向きについても任意に形成可能である。
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が可能である。
本実施形態のアンギュラ玉軸受10は、工作機械等の主軸装置において、主軸を支持するのに好適に使用されてもよく、或いは、高速モータのモータ軸を支持するのに適用されてもよい。
また、上記実施形態、及び各変形例では、本発明が玉案内方式の保持器に適用されたが、外輪案内方式や内輪案内方式の保持器であってもよく、これらの場合にも、保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、円筒面により形成される内面には、玉が接触しない非接触領域に、凹部溝が形成される。
10 アンギュラ玉軸受
11 外輪
12 内輪
13 玉
14 保持器
15 ポケット
15a 内面
17 接触領域
18 非接触領域
24 凹部溝

Claims (7)

  1. 外輪と、内輪と、該外輪及び内輪間に配置される複数の玉と、該複数の玉をそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備える玉軸受であって、
    前記保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、
    前記円筒面により形成される内面には、前記玉が接触する接触領域より径方向外側のみに、凹部溝が形成されることを特徴とする玉軸受。
  2. グリースによって潤滑されることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
  3. 前記保持器は玉案内方式であると共に、
    前記ポケットの内径側端部には、前記玉と接触して前記保持器の半径方向の移動を規制する凸部が突設して設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の玉軸受。
  4. 前記保持器は、軸方向両側の一対の環状部と、該一対の環状部を連結する複数の柱部と、を有し、前記ポケットの内面は円筒形状に形成され、
    前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玉軸受。
  5. 前記保持器は、環状部と、該環状部から軸方向に延出する複数の柱部と、を有し、前記ポケットは軸方向一方を開口する円筒形状に形成され、
    前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玉軸受。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の玉軸受を用いたことを特徴とするモータ。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の玉軸受を用いて、工作機械主軸を回転自在に支持することを特徴とする主軸装置。
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