JP5982881B2 - 玉軸受、それを用いたモータ及び主軸装置 - Google Patents
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Description
特に、高速回転の場合、玉の遠心力作用で玉が外輪軌道溝側に押し付けられ、玉と内輪軌道溝間の転がり接触面より、玉と外輪軌道溝間の転がり接触面の方が接触面圧が高くなり、接触面圧が高くなった外輪軌道溝側の部分の潤滑条件が厳しくなる傾向がある。この結果、高速回転では、当該部分の潤滑不良から焼き付きなどの軸受損傷につながりやすい。
また、最近、高速での連続加工、急加減速運転でのサイクル加工も多く、グリース寿命が益々低下する傾向にある。
さらに、特許文献3に記載の玉軸受では、ポケットの中央部分の内面に、玉の転動面と接触しない非接触部を設け、非接触部と玉の転動面との間に潤滑剤を保持する。この結果、ポケットの内面と玉の転動面とが接触する接触部に作用する摩擦力を小さくし、保持器音の発生を低減している。
(1) 外輪と、内輪と、該外輪及び内輪間に配置される複数の玉と、該複数の玉をそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備える玉軸受であって、
前記保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、
前記円筒面により形成される内面には、前記玉が接触する接触領域より径方向外側のみに、凹部溝が形成されることを特徴とする玉軸受。
(2) グリースによって潤滑されることを特徴とする(1)に記載の玉軸受。
(3) 前記保持器は玉案内方式であると共に、
前記ポケットの内径側端部には、前記玉と接触して前記保持器の半径方向の移動を規制する凸部が突設して設けられることを特徴とする(1)または(2)に記載の玉軸受。
(4) 前記保持器は、軸方向両側の一対の環状部と、該一対の環状部を連結する複数の柱部と、を有し、前記ポケットの内面は円筒形状に形成され、
前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の玉軸受。
(5) 前記保持器は、環状部と、該環状部から軸方向に延出する複数の柱部と、を有し、前記ポケットは軸方向一方を開口する円筒形状に形成され、
前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の玉軸受。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の玉軸受を用いたことを特徴とするモータ。
(7) (1)〜(5)のいずれかに記載の玉軸受を用いて、工作機械主軸を回転自在に支持することを特徴とする主軸装置。
また、保持器が玉軸受に組み込まれた状態で、玉とポケットとの間には、半径方向及び軸方向にある一定のすきまが保持されており、玉は、このすきまによって、ポケット内面のある限られた領域で接触する。この凹部溝は、玉および保持器が相対的に最大量動いた状態でも接触しない非接触領域に形成されているので、玉が凹部溝のエッジ部と接触することがなく、エッジ部との局部当たりが防止でき、エッジ部の発熱や摩耗などの不具合を防止できる。
なお、保持器14は、高速回転用途において好適な合成樹脂材料のほか、鉄や銅合金などの金属材料であってもよい。
図4は、保持器の第1変形例を示す部分断面図である。この保持器14aでは、円筒面によって形成されるポケット15の内面15aにおいて、非接触領域18に、断面コの字状の凹部溝24aが円周方向に亘って形成されている。このような断面コの字状の凹部溝24aを形成することで、潤滑剤を保持する空間を広く確保することが可能となる。
図5は、保持器の第2変形例を示す部分断面図である。この保持器14bでは、円筒面によって形成されるポケット15の内面15aにおいて、非接触領域18に、断面Vの字状の凹部溝24bが円周方向に亘って形成されている。このような断面Vの字状の凹部溝24bを形成することでも、潤滑剤の保持、及び転がり接触部やすべり接触部への潤滑剤の供給が円滑となる。
図6は、保持器の第3変形例を示す部分断面図である。この保持器14cでは、円筒面によって形成されるポケット15の内面15aにおいて、非接触領域18に、開口部で狭く内部で幅の広がった断面略スプーン状の凹部溝24cが円周方向に亘って形成されている。このような断面略スプーン状の凹部溝24cを形成することで、高速回転時においても遠心力による基油分の流出が抑えられるなど、潤滑剤の保持性が向上し、遠心力での基油の離散に継続性を与えることができる。
また、凹部溝24は、全てのポケット15に形成されることが潤滑する上で望ましいが、必要に応じて特定のポケット15にのみ設けられても良い。
さらに、凹部溝24は、ポケット15の内面の円周方向全周に亘って形成されてもよいし、円周方向の特定の位相にのみ形成されてもよい。また、非接触領域18内であれば、凹部溝24は、円周方向に沿って形成されずに、例えば、半径方向に沿って形成されたものを円周方向に複数配置してもよい。
図7(a)〜(c)は、保持器の第4変形例を示す。この保持器14dは、環状部22aと、環状部22aから軸方向に延出する複数の柱部23と、を有し、ポケット15は軸方向一方を開口する円筒形状に形成される冠型保持器である。また、この保持器14dも、ポケット15の内径側端部に凸部21が突設して設けられ、玉13の半径方向の移動を規制する玉案内方式の保持器である。
この保持器14dにおいても、凹部溝24は、円筒面を形成するポケット15の内面15aの非接触領域18に、ポケット15の円周方向に沿って形成される。
従って、冠型保持器14dにおいても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
図8は、保持器の第5変形例を示す。この保持器14eは、ポケット15の個数を偶数(図8では、8個)とし、少なくとも一つおき(図8では、一つおきの4個)のポケット15に円周方向等配で、ポケット15の円周方向に沿う凹部溝24が設けられている。
例えば、アンギュラ玉軸受において、軸受負荷容量や軸受剛性を大きくしたい場合、玉数が多い仕様となり、ポケット15の柱部23の円周方向肉厚を薄くせざるを得ない。このような保持器で、柱部23の両側のポケット15に凹部溝24を設けると、柱部23の円周方向の肉厚が局部的に薄くなり、柱部23の強度が低下することが懸念される。しかしながら、この変形例の構成では、柱部23の両側のポケット15に凹部溝24が設けられることがなくなり、柱部23の強度を確保することができる。
また、第5変形例は、本実施形態や第1〜第4変形例のいずれとも組み合わせて適用可能で、さらに、凹部溝24は、上述したように、断面形状、ポケット15の円周方向長さ、向きについても任意に形成可能である。
本実施形態のアンギュラ玉軸受10は、工作機械等の主軸装置において、主軸を支持するのに好適に使用されてもよく、或いは、高速モータのモータ軸を支持するのに適用されてもよい。
また、上記実施形態、及び各変形例では、本発明が玉案内方式の保持器に適用されたが、外輪案内方式や内輪案内方式の保持器であってもよく、これらの場合にも、保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、円筒面により形成される内面には、玉が接触しない非接触領域に、凹部溝が形成される。
11 外輪
12 内輪
13 玉
14 保持器
15 ポケット
15a 内面
17 接触領域
18 非接触領域
24 凹部溝
Claims (7)
- 外輪と、内輪と、該外輪及び内輪間に配置される複数の玉と、該複数の玉をそれぞれ保持する複数のポケットを有する保持器と、を備える玉軸受であって、
前記保持器のポケットは、円筒面により形成される内面を有し、
前記円筒面により形成される内面には、前記玉が接触する接触領域より径方向外側のみに、凹部溝が形成されることを特徴とする玉軸受。 - グリースによって潤滑されることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記保持器は玉案内方式であると共に、
前記ポケットの内径側端部には、前記玉と接触して前記保持器の半径方向の移動を規制する凸部が突設して設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の玉軸受。 - 前記保持器は、軸方向両側の一対の環状部と、該一対の環状部を連結する複数の柱部と、を有し、前記ポケットの内面は円筒形状に形成され、
前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玉軸受。 - 前記保持器は、環状部と、該環状部から軸方向に延出する複数の柱部と、を有し、前記ポケットは軸方向一方を開口する円筒形状に形成され、
前記凹部溝は前記ポケットの円周方向に沿って形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の玉軸受。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の玉軸受を用いたことを特徴とするモータ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の玉軸受を用いて、工作機械主軸を回転自在に支持することを特徴とする主軸装置。
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