JP5950024B2 - 情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム - Google Patents
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Description
開示の技術は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
情報処理装置では、機能を有するデバイス等の処理部を複数備え、処理部の各々で情報を処理したり、処理部間で情報を授受したりする等の処理を実行する。情報処置装置における処理の実行時には、温度などの周辺環境の変化の影響により処理部の処理負荷が変動したり処理部の処理速度または処理部の情報授受に要する時間が変動したりするときがある。例えば、高速のクロック信号を用いて情報を処理するCMOSデバイス等の処理部を複数備えた情報処理装置では、各処理部及び処理部間でクロック信号の位相及びパルス幅の調整を要求される場合がある。つまり、入力されるクロック信号に同期して処理する処理部は、温度など環境の変化の影響により処理負荷及び処理速度が変動したり、処理部間における情報授受の時間が変動したりする。環境の変化の影響を考慮して処理部による円滑な処理を実行させるための一例として、クロックと同期したデータが処理部に入力されるとき、遅延を与える位相調整技術が知られている。
位相調整技術の一例として、情報処理装置に位相調整回路を設け、情報処理装置の設置時に、出荷前に求めた位相調整用の設定値のうち設置環境に適合する設定値を位相調整回路に設定する技術が知られている。位相調整用の設定値は、情報処理装置の出荷前に、恒温室などにおいて情報処理装置を一定の電源電圧により稼働させつつ温度を変動させて各温度における位相調整用の設定値を計測する。また、一定の電源電圧から変動させた電源電圧により情報処理装置を稼働させたときに温度を変動させて各温度における位相調整用の設定値を計測する。計測した位相調整用の設定値と、電源電圧及び温度とを対応させて、位相調整用の設定テーブルとして情報処理装置に記憶させておく。情報処理装置の設置時には、電源電圧及び温度による設置環境を計測し、設置環境に適合する電源電圧及び温度に対する位相調整用の設定値を、位相調整用の設定テーブルから特定する。特定した位相調整用の設定値によって、情報処理装置の位相調整回路の設定が実行される。
しかしながら、位相調整用の設定値を予め記憶する情報処理装置の設置時には、情報処理装置の設置環境に適合する最適な設定値の設定が要求される。従って、情報処理装置の設置環境の変動に応じて、位相調整用の設定値は、頻繁に再設定される。情報処理装置において位相調整用の設定値が頻繁に再設定されると、情報処理装置に不具合が生じる場合がある。例えば、位相調整用の設定値の設定時に初期化が要求される処理部を含む情報処理装置は、位相調整用の設定値が頻繁に再設定されると、処理部の初期化が実行されて、情報処理装置の稼働停止を招くことがある。
1つの側面では、装置の稼働性能を向上させることが目的である。
一つの実施態様では、記憶部には、所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、複数の環境の各々において処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルが記憶される。制御部は、テーブルに基づいて、現在の装置の環境を示す環境情報に対応する条件幅情報に、所定の処理条件が含まれるように、所定の処理条件を調整する制御を実行する。作成部は、複数の各環境を示す環境情報に、条件幅情報を対応づけたテーブルを作成すると共に、作成したテーブルを記憶部に記憶させる。そして、記憶部には、装置を装置の運用場所に設置してから、設置した装置の運用場所における複数の環境の各々に条件幅情報を対応づけたテーブルが作成部によって記憶される。
1つの実施態様では、装置の稼働性能を向上させることができる。
(比較例)
まず、開示の技術の説明に先立ち、図面を参照して比較例を説明する。
まず、開示の技術の説明に先立ち、図面を参照して比較例を説明する。
図1に、比較例に係る情報処理装置100の構成を示す。情報処理装置100は、処理部104及びメモリ108を含んでいる。処理部16は、LSI(大規模集積回路)等で知られる所定処理を実行する処理部であり、装置の環境に応じて処理を実行するときの処理条件が変動する場合がある。そこで、情報処理装置100の出荷前に、装置の環境に応じた最適な処理条件110を調査部114により調査してメモリ108に記憶させる。また、情報処理装置100の設置時以降の運用では、コントローラ106はセンサ102で検出した環境に対応するメモリ108に記憶された最適な処理条件110に基づいて処理部104を運用させる。
図2に、比較例に係る情報処理装置100の出荷前に環境に対応する最適な処理条件110を記憶する処理の流れの一例を示す。また、図3に、比較例に係る情報処理装置100の設置以降の運用処理の流れの一例を示す。
比較例では、装置の環境に応じた処理条件110をメモリ108に記憶するために、情報処理装置100を出荷する以前に、恒温槽112等により各種環境を実現したときの環境に応じた最適な処理条件110をメモリ108に記憶する(図2を参照)。つまり、恒温槽112の内部に、情報処理装置100を設置し、温度や電圧等の環境を変更した状態における情報処理装置100の処理部104の最適な処理条件を調査部114で調査する(図2に示すステップ120の処理)。調査部114は、調査結果である温度や電圧等の環境に対応する最適な処理条件110をメモリ108に記憶する(図2に示すステップ122の処理)。従って、メモリ108には、環境を示す情報に対応する最適な処理条件110を示す情報が記憶される。
次に、情報処理装置100が出荷され、かつ設置されて運用される時には、環境に対応するメモリ108に記憶された最適な処理条件110に基づいて処理部104が稼働される(図3を参照)。つまり、情報処理装置100が設置されて運用が開始されると(図3に示すステップ130の処理)、コントローラ106は、センサ102により電圧及び温度で示される装置内環境を監視する(図3に示すステップ132の処理)。装置内環境に変動が生じると(図3に示すステップ134で肯定判断されると)、変動した装置内環境に対応する最適な処理条件110をメモリ108から抽出する(図3に示すステップ136の処理)。コントローラ106は、抽出した処理条件110を情報処理装置100に設定する(図3に示すステップ138の処理)。コントローラ106は情報処理装置100の運用が終了するまで(図3に示すステップ140で肯定判断されるまで)、装置内環境に対応する最適な処理条件110を設定して処理部104を稼働させる。
しかしながら、比較例の情報処理装置100では、メモリ108に記憶された最適な処理条件110に基づいて処理部104が稼働されるために、環境変動が発生する度に情報処理装置100の運用、すなわち処理部104の稼働に支障が生じるときがある。例えば、処理条件110を設定するときに、処理部104の再起動が要求される場合、環境変動が発生する度に最適な処理条件110を設定して処理部104を再起動させる。従って、環境変動が発生する度に情報処理装置100の運用が一時的に停止される場合がある。
そこで、開示の技術では、装置の環境を示す環境情報に、処理部の稼働に支障がない処理条件幅を示す情報を対応づけるテーブルを使用する。
以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図4に、第1実施形態に係る情報処理装置10の構成を示す。情報処理装置10は、環境変更部12、検出部14、処理部16、作成部18、制御部20、及び記憶部22を含んでいる。図4では、環境変更部12の一例として、温度に関する装置環境を変更するための熱源12HC、及び電源電圧に関する装置環境を変更するための電源12Vを含んでいる。熱源12HCは、ヒータ等により装置環境を加温する発熱,ファン等により装置環境を冷却する冷却体を含むことができる。また、電源12Vは、電源電圧可変型の電源を使用することができる。
図4に、第1実施形態に係る情報処理装置10の構成を示す。情報処理装置10は、環境変更部12、検出部14、処理部16、作成部18、制御部20、及び記憶部22を含んでいる。図4では、環境変更部12の一例として、温度に関する装置環境を変更するための熱源12HC、及び電源電圧に関する装置環境を変更するための電源12Vを含んでいる。熱源12HCは、ヒータ等により装置環境を加温する発熱,ファン等により装置環境を冷却する冷却体を含むことができる。また、電源12Vは、電源電圧可変型の電源を使用することができる。
検出部14は、或る時点における装置の環境を検出する。例えば、情報処理装置10が稼働しているときに情報処理装置10内または情報処理装置10に含まれる後述する処理部の環境を検出する。装置の環境の一例には、温度及び電源電圧の少なくとも一方が定常的な状態の環境がある。なお、第1実施形態では、環境に対応する処理条件の一例として、温度及び電圧の少なくとも一方を使用する場合を説明するが、開示の技術は、温度及び電圧による環境に限定されるものではない。環境に対応する処理条件の他の一例として、湿度及び気圧の少なくとも一方でもよく、温度に、湿度及び気圧の少なくとも一方を追加してもよい。また、環境に対応する処理条件のその他の一例として、電流または電力でもよい。
処理部16は、LSI等で知られる所定処理を実行する処理部である。処理部16は、装置の環境に応じて処理を実行するときの処理条件が変動する場合がある。処理条件の一例として、処理部16が情報を授受するために設定されるインタフェースにおける遅延時間等の設定に関係するパラメータがある。本実施形態では、LSI等で知られる処理部16の稼働性能を向上させるために、処理部16の処理条件を変動する環境に応じて設定する。
ところで、任意の装置の環境に対応する処理条件は最適値を有する。任意の装置の環境では、最適値の処理条件により処理部16が最適に稼働できるが、処理条件が最適値からずれた処理条件であっても処理部16の稼働に支障がない場合がある。そこで、本実施形態では、装置の環境を示す環境情報に、処理部16の稼働に支障がない処理条件幅を示す情報が対応づけられるテーブル26を、記憶部22に記憶する。また、記憶部22には、情報処理装置10の稼働時に使用する、装置の環境に対応する処理部16の処理条件22を記憶する。
作成部18は、変動する装置の環境の各々と、処理条件幅とが対応付られるテーブル26を作成し、記憶部22に記憶する。制御部20は、情報処理装置10の稼働時に、処理条件24及びテーブル26を参照しつつ、変動する環境に応じて処理部16の処理条件を設定する制御を実行する。
図5に、第1実施形態に係る情報処理装置10の処理の流れを示す。
情報処理装置10では、作成部18において、装置の運用前に、テーブル26が未作成のとき(ステップ200において肯定判断されるとき)、運用準備処理(ステップ210の処理)が実行される。運用準備処理では、情報処理装置10の設置環境において、装置の設置環境において変動される環境を示す情報の各々に処理条件幅の情報が対応付られるテーブル26が作成される。すなわち、作成部18が環境変更部12に指示することにより、環境変更部12は強制的に環境を変更する。作成部18は、変更された環境における処理部16の処理条件幅を取得し、変更された環境を示す情報に取得した処理部16の処理条件幅を示す情報を対応付けてテーブル26に格納する。なお、運用準備処理の終了時には、現在の環境における処理部16の処理条件24が設定される。
テーブル26は環境を示す情報の各々に処理条件幅の情報が対応付られており、運用準備処理が終了すると、情報処理装置10の設置環境に適合するテーブル26として使用可能になる。情報処理装置10の運用時には、制御部20において、環境が変動するまで(ステップ230において肯定判断されるまで)、通常の運用処理(ステップ220の処理)が実行される。通常の運用処理では、設定済みの処理条件24により処理部16が稼働される。また、制御部20は、環境が変動する(ステップ230において肯定判断される)とき、検出部14により検出された環境情報により処理部16の処理条件24に対する設定を制御する補正処理(ステップ240の処理)を実行する。すなわち、検出部14により検出された環境情報で示される環境がテーブル26に記憶されている処理条件幅に含まれる場合には、処理条件24を維持して使用する。一方、検出された環境情報で示される環境が処理条件幅外の場合には、検出された環境情報に対応する処理条件幅内の処理条件24を設定する。ステップ240の処理が終了すると、情報処理装置10の運用が終了する(ステップ250で肯定判断される)まで、ステップ220の処理へ戻り、通常の運用処理及び補正処理を実行する。
従って、例えば、処理条件24を設定時に処理部16の再起動が要求される場合であっても、環境変動が発生する度に最適な処理条件24を設定するのではなく、運用に支障ない範囲で処理条件24を継続的に使用できる。従って、処理部16の再起動の回数を抑制することができる。
また、情報処理装置10は、装置を設置した環境において、運用前に、各環境を示す情報に、環境に対応する処理条件幅を対応付けてテーブル26として記憶する。従って、情報処理装置10の出荷前に、恒温槽等の特殊な試験環境により処理条件24を調査する処理を削減できる。また、出荷前の環境と設置環境とが相違する場合であっても、装置を設置した環境において、テーブル26を作成するため、情報処理装置10を設置する環境に適合する処理条件による処理部16の処理を実行させることができる。
図6に、情報処理装置10を、コンピュータ30で実現する場合の一例を示す。コンピュータ30はCPU32、メモリ34、及び不揮発性の格納部44を備えている。CPU32、メモリ34、及び格納部44はバス43を介して互いに接続されている。格納部44はHDDまたはフラッシュメモリ等によって実現できる。また、コンピュータ30はネットワークに接続するための通信制御部42を備え、通信制御部42はバス43に接続されている。また、コンピュータ30は、出力デバイスの一例としての表示装置36、キーボード及びマウス等の入力デバイスの一例としての入力装置38を備えている。表示装置36、及び入力装置38はバス43に接続されている。また、コンピュータ30は、光ディスク等の記録媒体39が装着され、装着された記録媒体39に対して読み書きするための装置(R/W装置)40を備えている。R/W装置40はバス43に接続されている。なお、表示装置36、入力装置38、及びR/W装置40は、省略してもよく、または必要に応じてバス43に接続するようにしてもよい。
格納部44には、OS45及びドライバ46が記憶されている。なお、OS45及びドライバ46は、周知の技術であるため、詳細な説明を省略する。
また、コンピュータ30は、図4に示すテーブル26としてのテーブル58を記憶するテーブルメモリ56を備えている。また、コンピュータ30は、ファームウェアメモリ48を備えている。ファームウェアメモリ48は、作成プロセス50及び制御プロセス52を記憶しており、また環境初期値を示す情報を格納する格納領域54を含んでいる。CPU32がファームウェアメモリ48に記憶された作成プロセス50を実行することで、コンピュータ30は、図4に示す作成部18として動作する。また、CPU32がファームウェアメモリ48に記憶された制御プロセス52を実行することで、コンピュータ30は、図4に示す制御部20として動作する。
また、コンピュータ30は、処理部16としてのLSI62,64を備えている。LSI62,64は、インタフェース63を介して相互に情報を授受することができる。LSI62,64は、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときの処理条件として環境に応じた遅延時間を定めることができる。LSI62,64は、処理条件としての遅延時間を内部に設定できる。LSI62,64は、情報を授受するとき、一方が送信側デバイスとなり、他方が受信側デバイスとなる。従って、LSI62,64は、内部に設定された遅延時間に従ってインタフェース63を介して情報を授受する。例えば、LSI62が送信側デバイスとして機能し、LSI64が受信側デバイスとして機能するとき、受信側デバイスであるLSI64に設定された遅延時間だけ遅延させて送信側デバイスからのデータを受信する。これにより、LSI62,64は、適切に情報を授受することができる。なお、処理条件は、送信側デバイスおよび受信側デバイスの少なくとも一方のデバイスに対して設定することができる。
また、LSI62,64は、相互に情報を授受するときの処理条件を調査するために、調整モードに設定可能である。LSI62,64は、調整部60に接続されており、調整部60からの指示によって、LSI62,64に対して調整モードの設定指示が実行される。なお、調整部60は、バス43に接続されており、詳細を後述するように、ファームウェアメモリ48に記憶されたプロセスの実行機能と協働してファームウェア72(図8参照)として機能する。調整部60の一例には、FPGA(Field Programmable Read Only Memory)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)がある。
また、コンピュータ30は、環境変更部12の電源12Vとして電源電圧を変更可能な電源66を備えており、電源66は調整部60に接続されている。また、コンピュータ30は、環境変更部12の熱源12HCとしての熱源68を備えており、熱源68は調整部60に接続されている。熱源68は、ヒータ等により装置環境を加温する発熱体68H,ファン等により装置環境を冷却する冷却体68Cを備えている。また、コンピュータ30は、検出部14としての検出器70を備えており、検出器70は調整部60に接続されている。検出器70は、電源電圧を検出するための電圧センサ70V、及び温度を検出するための温度センサ70HCを備えている。
図7に、テーブルメモリ56に記憶されるテーブル58の一例を示す。テーブル58は、各環境を示す情報の各々に、各環境に対応する処理条件幅が対応付けられる。図7の一例では、処理条件幅としてウィンドウ幅の名称を表記している。また、図7の一例では、環境初期値として、検出器70で検出される温度が30度でかつ電圧が1.5Vのときに、設定値の処理条件幅(ウィンドウ幅)が+2〜12の遅延時間幅であることを示している。第1実施形態では、処理条件としてLSI62,64の間で情報を授受するときの遅延時間を用いる。また、検出器70で検出される温度が30度でかつ電圧が初期値から1%増加(1.515V)のときに、設定値の処理条件幅(ウィンドウ幅)が+3〜13であることを示している。なお、備考には、電源66によりPOL(Pont Of Load)設定による電源設定で環境を強制的に変動させたことを示す情報が格納されている。同様に、検出器70で検出される温度が初期値から1%増加(31度)でかつ電圧が1.5Vのときに、設定値の処理条件幅(ウィンドウ幅)が+1〜11であることを示している。なお、備考には、冷却体68Cの一例としてのファンの回転数を調整することにより装置環境を強制的に冷却したり素子の発熱を利用して温度上昇させて環境を変動させたことを示す情報が格納されている。
なお、テーブル58に登録される処理条件幅(ウィンドウ幅)は、対象のデバイス、第1実施形態ではLSI62,64に適合する遅延時間幅、例えばマイクロ秒、及びナノ秒等の時間単位を用いることができる。
図8に、情報処理装置10をコンピュータ30で実現し、かつファームウェアメモリ48に記憶されたプロセスを実行する場合における機能ブロック図の一例を示す。
情報処理装置10においてCPU32がファームウェアメモリ48に記憶された作成プロセス50及び制御プロセス52を実行し、調整部60を動作させることで、コンピュータ30は、ファームウェア72として動作する。ファームウェア72は、環境制御部74、環境値取得部76、環境比較部78、ウィンドウ比較部80、インタフェース部82、及び主制御部84の各機能部を含んでいる。
環境制御部74は、情報処理装置10の環境を強制的に調整する制御を実行する機能部であり、電源66及び熱源68に接続されている。また、環境制御部74の制御側は主制御部84に接続されている。環境値取得部76は、情報処理装置10の環境を示す情報を取得する機能部であり、電圧センサ70V及び温度センサ70HCを含む検出器70に接続されている。環境比較部78は、情報処理装置10の現在環境と設定されている環境を比較する機能部であり、環境初期値を示す情報を格納する格納領域54及び環境値取得部76が入力側に接続されている。環境比較部78の出力側は、制御側は主制御部84に接続されている。
ウィンドウ比較部80は、インタフェース部82より現在設定されている処理条件を示す情報、及び現在環境に適合するテーブル58に含まれる処理条件を示す情報を取得して比較するためのものであり、インタフェース部82に接続されている。また、ウィンドウ比較部80の制御側は、主制御部84に接続されている。インタフェース部82は、タイミング調整確認IF部84及びテーブルメモリIF部86を含んでいる。インタフェース部82は、主制御部84にも接続されている。タイミング調整確認IF部84は、LSI62,64に対するインタフェースの処理条件幅(ウィンドウ幅)を調整したり確認したりする。テーブルメモリIF部86は、処理条件幅(ウィンドウ幅)を含むテーブル58をテーブルメモリ56に更新したり参照したりする。なお、主制御部84は、環境制御部74、環境値取得部76、環境比較部78、ウィンドウ比較部80、及びインタフェース部82の各々を制御する。
なお、情報処理装置10は開示の技術における情報処理装置の一例である。また、環境変更部12は、開示の技術における環境変更の一例であり、処理部16は開示の技術における処理部の一例である。また、LSI62,64の各々は、開示の技術における担当処理部の一例である。また、コンピュータ30で実行されるプログラムは、開示の技術における情報処理プログラムの一例である。また、コンピュータ30で実行されるプログラムは、コンピュータ30を開示の技術における情報処理装置として機能させるためのプログラムでもある。また、コンピュータ30に処理を実行させるためのプログラムを記録した光ディスク等の記録媒体39は開示の技術の記録媒体の一例である。
次に第1実施形態の作用を説明する。
図9に、コンピュータ30(図2)で実現される情報処理装置10の処理について、ファームウェア72において実行される処理の流れを示す。
ファームウェア72は、情報処理装置10に電源が投入されると起動され、図9に示す処理ルーチンが実行される。まず、ステップ300では、テーブル58に、環境を示す情報に処理条件幅を示す情報が対応付けて登録されているか否かを判別することにより、テーブル58が存在しない初期状態であるか否かが判断される。ステップ300で否定判断されると、テーブル58が存在するため、ステップ308へ処理が移行される。一方、ステップ300で肯定判断されると、ステップ302へ処理が移行され、テーブル58の作成処理(詳細は後述)が実行される。ステップ302のテーブル58の作成処理では、温度及び電圧を強制的に変更し、変更した環境における処理条件幅を導出することによりテーブル58が作成される。
次のステップ304では、情報処理装置10の環境を通常状態(運用可能な状態)に戻す処理が実行される。情報処理装置10の通常状態の環境の一例には、強制的に環境を変更するテーブル58の作成処理の実行以前の環境がある。第1実施形態では、情報処理装置10の環境として、温度環境及び電源電圧環境が使用される。また、環境を示す値として、検出器70により検出される温度及び電源電圧の検出値が使用される。例えば、通常状態の環境は、テーブル58の作成処理以前に検出した温度及び電源電圧の検出値となる環境とする。従って、ステップ304では、検出器70により温度及び電源電圧が検出され、ステップ302の処理により強制的に変動させた装置環境がテーブル58の作成処理以前の環境に適合するまで、処理が待機される。なお、ステップ302の処理で強制的に変動させた環境が、通常状態の環境に戻るまでの待機時間が既知の場合には、予め定めた既知の一定時間だけ待機すればよい。
次のステップ306では、通常状態に戻された情報処理装置10の現在環境に適合する処理条件24が設定される。検出器70により温度及び電源電圧が検出され、検出された温度及び電源電圧に対応する処理条件幅を示す情報が、テーブルメモリ56に記憶されたテーブル58から抽出される。抽出された処理条件幅を示す情報の中心値が処理条件24である遅延時間として設定される。なお、ステップ306では、情報処理装置10の現在環境、すなわち温度及び電源電圧の値を環境初期値54として記憶される。上記ステップ302〜306の処理が運用準備処理である。
なお、上記ステップ302〜306で示される運用準備処理の結果、図7に示すテーブル58がテーブルメモリ56に記憶される。
次に、ステップ308では、運用開始処理が実行される。運用開始処理は、情報処理装置10の運用にあたって予め定めた初期処理である。次のステップ310では、検出器70により温度及び電源電圧を検出することによって、情報処理装置10の環境が監視される。次のステップ312では、ステップ310で検出される温度及び電源電圧の値が環境初期値54と相違するか否かを判別することにより、環境に変動があるか否かが判断される。現在環境の値と環境初期値54とが適合するときはステップ312で否定判断され、ステップ310へ戻り、情報処理装置10の環境監視が継続される。一方、現在環境の値と環境初期値54とが相違するときはステップ312で肯定判断され、ステップ314へ処理が移行される。上記ステップ308〜ステップ312の処理が運用処理である。
ステップ314では、ステップ306で設定された処理条件24が取得されると共に、テーブル58から現在環境に適合する処理条件幅(ウィンドウ幅)が取得される。次のステップ316では、ステップ314で取得された処理条件24が処理条件幅から逸脱するか否かを判別することにより、処理条件24が許容外か否かが判断される。処理条件24が処理条件幅に含まれるときは、ステップ316で否定判断され、ステップ310へ戻る。一方、処理条件24が処理条件幅外のときは、ステップ316で肯定判断され、ステップ318へ処理が移行される。ステップ318では、ステップ314で取得された処理条件幅の中心値が処理条件24として再設定され、ステップ320へ処理が移行される。ステップ320では、入力装置38等により運用を終了させる指示がなされたか否かが判断され、否定判断のときは、ステップ310へ戻り、肯定判断のときは本処理ルーチンが終了される。上記ステップ314〜ステップ320の処理が処理条件24の補正処理である。
次に、テーブル58を作成する処理(図8に示すステップ302の処理)を説明する。図10に、図9に示すステップ302の処理に対応し、かつ、テーブル58を作成する処理の流れの一例を示す。
ファームウェア72は、ステップ330において、変更する環境に関係する情報を取得する処理を実行する。第1実施形態では、情報処理装置10において変更する環境の一例として、温度環境及び電源電圧環境を使用する。温度環境を変更するためには、加温エネルギー付与による加温、または冷温エネルギー付与による冷却がある。具体的には、情報処理装置10は熱源68を備えており、熱源68に含まれる発熱体68H及び冷却体68Cを使用して加温または冷却する。
加温では、ヒータ等の発熱体68Hによる直接に加温エネルギーを付与すること、及び発熱体68Hで生じる加温エネルギーをファン等の伝達器を用いて伝達して付与することができる。加温エネルギーをファン等の伝達器を用いて伝達して付与する場合、ファンの回転数を制御する、つまり風量を制御することにより、付与するエネルギー量を制御することもできる。また、発熱体68Hで生じる加温エネルギーを液体等の伝達材料を用いて伝達して付与することができる。冷却では、所謂空冷としてファン等の冷却体68Cによる外気の冷温エネルギーを付与すること、及び所謂水冷として水等の液体による伝達材料を用いて伝達して冷温エネルギーを付与することができる。冷温エネルギーをファン等の冷却体68Cを用いて伝達して付与する場合、ファンの回転数を制御する、つまり風量を制御することにより、付与するエネルギー量を制御することができる。また、冷温エネルギーを水等の液体による伝達材料を用いて伝達して付与する場合、伝達材料の供給量、つまり流量を制御することにより、付与するエネルギー量を制御することができる。従って、変更する温度環境に関係する情報の一例として、冷却体68Cによる環境の制御(空冷制御または水冷制御)を示す情報、または発熱体68Hによる環境の制御(加温)を示す情報がある。
電源電圧環境を変更するためには、処理部16(LSI62,64)へ供給する電源電圧を直接変更すること、または電源電圧の出力が変更可能な変圧器を設けて変圧器により変更された電源電圧を処理部16(LSI62,64)へ供給することがある。具体的には、情報処理装置10は電源電圧が変更可能な電源66を備えており、電源66を使用して電源電圧を変更することができる。従って、変更する電源電圧環境に関係する情報の一例として、電源66による環境の制御(電源電圧制御)を示す情報がある。
第1実施形態では、変更する環境に関係する情報として、温度環境及び電源電圧環境を変更する環境を示す情報とし、発熱体68Hによる加温と冷却体68Cによる冷却、及び電源66による電源電圧を、環境の変更制御を示す情報として用いる場合を説明する。なお、開示の技術は、加温、冷却、及び電源電圧制御を示す情報の組み合わせを用いることが好ましいが、変更する環境に対応して、加温、冷却、及び電源電圧制御の何れか1つを示す情報でもよい。
次に、ステップ332では、変更する環境が選択される。つまりステップ330で取得した変更する環境に関係する情報のうち、温度環境または電源電圧環境が選択される。第1実施形態では、まず、電源電圧環境が選択される場合を説明する。次のステップ334では、ステップ332で選択した環境が強制的に変更される。例えば、ステップ334では、環境初期値54の電源電圧(例えば1.5V)のプラスマイナス5%の範囲内で1%刻みで段階的に電源電圧を変更するために、プラスマイナス1%づつ電源電圧が制御されるように電源66への指示が実行される。次のステップ336では、ステップ334で変更指示した変更環境になるまで処理が待機される。
次のステップ338では、処理部16(LSI62,64)が調整モードに設定される。つまりステップ338では、ファームウェア72により、処理部16(LSI62,64)に対して調整モードに設定する指示が出力される。次のステップ340では、処理条件幅が確認される(詳細は後述)。ステップ340の処理が終了すると、変更した環境に対する処理条件幅を示す情報を得ることができる。次のステップ342では、変更した環境を示す情報に処理条件幅を示す情報を対応付けられて一時的に記憶される。上記ステップ334〜342の処理が、変更する環境として選択された環境(まず電源電圧環境)について予め定めた所定強制変動範囲に対して実行される。第1実施形態は、予め定めた所定強制変動範囲の一例として、電源電圧環境は環境初期値の電源電圧のプラスマイナス5%の範囲を使用し、温度環境は環境初期値のプラスマイナス5度の範囲を使用する。
所定強制変動範囲内について処理条件幅の確認処理が終了していないときは、ステップ344で否定判断され、ステップ334へ戻る。一方、肯定判断されると、ステップ346へ処理が移行される。ステップ344では、ステップ330で取得した変更する環境を示す情報について、ステップ332の選択において全ての環境の選択(ステップ332〜344の処理)が終了したか否かが判断される。現在、電源電圧環境の選択であり、温度環境に対する処理が終了していないので、ステップ346で否定判断され、ステップ332に戻り、温度環境の選択が実行されて処理が継続される。ステップ330で取得した変更する環境について全ての処理が終了すると、ステップ346で肯定判断され、ステップ348において、テーブル58の作成及び作成されたテーブル58をテーブルメモリ56へ記憶する処理が実行される。
次に、環境に適合する処理条件幅を確認する処理(図10に示すステップ340の処理)を説明する。図11に、環境に適合する処理条件幅を確認する処理の流れの一例を示す。なお、以下の説明では、LSI62,64が情報授受するときにおいて、LSI62が送信側デバイスであり、LSI64が受信側デバイスである場合を説明する。
ファームウェア72は、ステップ350において、送信側デバイス(LSI62)から試験用に予め定められた固定値を送信データとして出力するように指示する。次のステップ352では、受信側デバイス(LSI64)の処理条件24を強制的に変更するように指示が出力される。ステップ352では、例えば、受信側デバイス(LSI64)で情報を受け取るときの遅延時間が変更される。例えば、ステップ352の処理の度に、遅延時間が段階的に変更される。次のステップ354では、LSI62とLSI64が固定値を相違なく授受できたか否かが判別されることにより、正常動作がなされたか否かが判断される。
LSI62とLSI64の情報授受が正常動作のときは、ステップ354で肯定判断され、ステップ356において、ステップ352で変更した処理条件24に対応付けられ、かつ正常動作がなされたことを示すフラグがセットされる。フラグのセットは、OKフラグをセットする(立てる)処理でもよい。一方、正常動作がなされなかったときは、ステップ354で否定判断され、ステップ358において、ステップ352で変更した処理条件24に対応付けられるフラグをリセットする。フラグのリセットはNGフラグをセットする(立てる)処理でもよい。次のステップ360では、処理条件24を変更可能な予め定めた範囲についてステップ352〜ステップ358の処理が終了したか否かを判断する。
なお、ステップ360の判断処理は、処理条件24を変更可能な予め定めた範囲に対する処理終了の判断に代えて、正常動作がなされないことが予測されるときに肯定判断されるようにしてもよい。例えば、ステップ352で強制的に変更する処理条件24に対して遅延時間を段階的に変更するときに、フラグのリセットが所定回数(例えば3〜5回の何れか)だけ連続したことを検知して肯定判断することができる。
ステップ360で否定判断されると、ステップ352へ戻り、前回設定された処理条件24から段階的に変更した処理条件24に変更して処理が継続される。一方、ステップ360で肯定判断されると、フラグがセットされた処理条件24を含む処理条件24の範囲を、処理条件幅として一時的に記憶する。従って、図11に示す処理が終了すると、図10に示すステップ334で変更した環境に対応する処理条件幅が導出されて記憶される。
図12に、情報処理装置10におけるファームウェア72の動作に関するタイミングチャートの一例を示す。
ファームウェア72では、特性Tc1に示すように定期的に環境監視が実行される(図9に示すステップ310の処理)。次に、時間taのタイミングにおいて、環境として検出される温度及び電源電圧の値が環境初期値54と相違するとき(図9に示すステップ312で肯定判断されるとき)、特性Tc2に示す時期に環境が変動したとして、処理条件24の補正処理が実行指示される。次に、ファームウェア72では、特性Tc3に示す時期に、現在設定されている処理条件24が確認される(図9に示すステップ314の処理)。また、ファームウェア72では、特性Tc4に示す時期に、テーブルメモリ56に記憶されたテーブル58を参照し現在環境に適合する処理条件幅が取得される(図9に示すステップ314の処理)。次に、ファームウェア72では、現在設定されている処理条件24が現在環境に適合する処理条件幅に含まれるとき(図9に示すステップ316で否定判断されるとき)、処理条件24を維持する処理が実行される。従って、特性Tc5に示すように、処理条件24と処理条件幅の比較結果が許容外として成立することはない。また、特性Tc6に示すように、処理条件24を再設定することもない。従って、時間taに示すタイミングでは、変動した環境として検出される温度及び電源電圧の値でも、設定済みの処理条件24で処理部16(LSI62,64)が運用可能である。
次に、特性Tc2に示すように、時間tbのタイミングにおいて、環境が変動すると、特性Tc3に示す時期に、現在設定されている処理条件24が確認され、また、特性Tc4に示す時期に、現在環境に適合する処理条件幅が取得される。次に、特性Tc5に示す時期に、設定済の処理条件24が現在環境に適合しない状態であるとして(図9に示すステップ316で肯定判断されるとき)、処理条件24を補正する処理が実行される(図9に示すステップ318)。すなわち、特性Tc6に示す時期に、取得された処理条件幅の中心値が処理条件24として再設定される。従って、時間tbに示すタイミングでは、変動した環境として検出される温度及び電源電圧の値では、設定済の処理条件24で処理部16(LSI62,64)が運用に好ましくない状態であることを示している。
以上説明したように、第1実施形態では、例えば、処理条件24の設定時に処理部16の再起動が要求される場合であっても、環境変動が発生する度に最適な処理条件24を設定するのではなく、運用に支障ない範囲で処理条件24を継続的に使用できる。従って、処理部16の再起動の回数を抑制することができる。
例えば、第1実施形態によれば、環境が周期的に変動する場合であっても、環境特性の波高値が処理条件幅に含まれていれば、処理条件24を維持することができ、処理条件24の再設定処理について実行を削減できる。また、環境が徐々に一方へ増減する変動の場合であっても、処理条件24の再設定処理の実行を削減できる。
また、第1実施形態によれば、情報処理装置10は、装置を設置した環境において、運用前に、各環境を示す情報に、環境に対応する処理条件幅を対応付けてテーブル26として記憶する。従って、情報処理装置10の出荷前に、恒温槽等の特殊な試験環境により処理条件24を調査する処理を削減できる。また、出荷前の環境と設置環境とが相違する場合であっても、装置を設置した環境において、テーブル26を作成するため、情報処理装置10を設置する環境に適合する処理条件による処理部16の処理を実行させることができる。
また、第1実施形態によれば、情報処理装置10を設置した環境において、変動する環境にの各々に対応する処理部16に対する処理条件幅を記憶することができる。従って、情報処理装置10を運用する過程において、一部の部品を交換したり修理したりして情報処理装置10の稼働に変更が生じた場合であっても、情報処理装置10に適合する処理条件幅を記憶することができる。
(第2実施形態)
次に、図面を参照して開示の技術の第2実施形態を説明する。第1実施形態では、情報処理装置10内で環境を共有するLSI62,64が、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24(遅延時間)を制御する場合を説明した。第2実施形態は、情報処理装置10内で独立した環境のLSI62,64について、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24(遅延時間)を制御する場合を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図面を参照して開示の技術の第2実施形態を説明する。第1実施形態では、情報処理装置10内で環境を共有するLSI62,64が、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24(遅延時間)を制御する場合を説明した。第2実施形態は、情報処理装置10内で独立した環境のLSI62,64について、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24(遅延時間)を制御する場合を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図13に、第2実施形態に係る情報処理装置10を、コンピュータ30で実現する場合の一例を示す。第2実施形態では、処理部16としてのLSI62,64の各々が独立した基板(ボード)90A,90Bに設けられる。基板90Aに設けられるLSI62Aは、調整部60に接続される。また、基板90Aには、各々調整部60に接続される電源66A、熱源68A、及び検出器70Aが備えられる。一方、基板90Bに設けられるLSI62Bは、調整部60に接続される。また、基板90Bには、各々調整部60に接続される電源66B、熱源68B、及び検出器70Bが備えられる。
なお、情報処理装置10に備えられるファームウェアメモリ48及び調整部60は、基板90A及び基板90Bで共通に使用する。また、基板90A及び基板90Bは、独立して処理条件24が使用される。従って、基板90Aを担当するテーブル58Aを記憶するテーブルメモリ56Aが調整部60に接続される。同様に、基板90Bを担当するテーブル58Bを記憶するテーブルメモリ56Bが調整部60に接続される。
図14に、テーブルメモリ56Aに記憶されるテーブル58Aの一例を示す。LSI62AとLSI62Bとの間で情報を送受信する処理では、何れか一方が送信デバイスとなり、他方が受信デバイスとなる。従って、LSI62A及びLSI62Bの各々は、情報授受の方向により送信デバイスおよび受信デバイスの何れかになる。第2実施形態では、テーブル58Aは、送信デバイス環境および受信デバイス環境に、処理条件幅(ウィンドウ幅)が対応付けられる。例えば、環境初期値として、送信デバイス環境の温度が30度でかつ電圧が1.5Vであり、受信デバイス環境の温度が30度でかつ電圧が1.5Vであるとき、処理条件幅(ウィンドウ幅)が+2〜12の遅延時間幅であることを示す情報が記憶される。環境変動時の一例として、電源電圧が+1%の場合、送信デバイス環境として温度が30度でかつ電圧が初期値から1%増加(1.515V)の状態である。また、受信デバイス環境として温度が30度でかつ電圧が初期値から1%増加(1.515V)の状態である。1%増加の状態であるときに、処理条件幅(ウィンドウ幅)が+3〜13の情報が記憶される。なお、図14に示すテーブル58Aの一例では、送信デバイス環境および受信デバイス環境が同一の場合を示しているが、送信デバイス環境および受信デバイス環境は相違してもよい。
なお、ファームウェア72において実行される処理は、第1実施形態と同様のため、詳細な説明を省略する。
以上説明したように、第2実施形態では、情報処理装置10内で独立した環境になるボードを複数備えた場合であっても、ファームウェア72を共通にすることにより、各々の環境に適合する処理条件24(遅延時間)を制御することができる。
(第3実施形態)
次に、図面を参照して開示の技術の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、独立した情報処理装置の各々に備えられる処理部としてのLSI62,64について、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24(遅延時間)を制御する場合を説明する。なお、第3実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図面を参照して開示の技術の第3実施形態を説明する。第3実施形態は、独立した情報処理装置の各々に備えられる処理部としてのLSI62,64について、インタフェース63を介して相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24(遅延時間)を制御する場合を説明する。なお、第3実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図15に、第3実施形態に係る独立した情報処理装置として、情報処理装置10をコンピュータ30で実現し、情報処理装置10Cをコンピュータ30Cで実現する場合の一例を示す。なお、図15では、情報処理装置10Cのうちファームウェアに関係する部分のみを表記した。また、情報処理装置10Cの構成は、第1実施形態にかかる情報処理装置10に含まれる要素と同様であり、情報処理装置10Cの各構成には、第1実施形態にかかる情報処理装置10に含まれる要素の符号に符号「C」を追記した符号を付す。
なお、コンピュータ30とコンピュータ30Cとは、通信制御部42,42Cに接続された同軸ケーブル等の高速データ通信が可能な接続線47により、情報が授受される。図15では、通信制御部42,42C及び接続線47を介するLSI62とLSI62Cとの間の情報授受として、インタフェース63が表記されている。また、第2実施形態との相違は、コンピュータ30とコンピュータ30Cとの各々にファームウェア72,72Cが送信側と、受信側とで機能することである。
次に第3実施形態の作用を説明する。
図16に、コンピュータ30及びコンピュータ30Cの間で情報授受する処理に関するシーケンスフローを示す。なお、以下の説明では、コンピュータ30におけるテーブル作成処理を説明する。すなわち、コンピュータ30におけるファームウェア72は、コンピュータ30における環境を変更する制御及び環境変更により得られる情報の記憶を実行することが可能である。ところが、コンピュータ30Cにおける環境を変更する制御及び環境変更により得られる情報を取得することができない。そこで、第3実施形態では、接続線47を用いる装置間通信により、制御信号の授受及び情報の授受が実行される。
まず、コンピュータ30のファームウェア72は、通常状態、すなわち温度及び電源電圧を強制的に変更しない状態で、環境(温度及び電源電圧)を示す情報、及びLSI62に対する処理条件(例えば現時点における遅延時間)を示す情報を取得する。ファームウェア72では、取得した情報が現時点におけるコンピュータ30の処理条件24として決定される(処理ST01)。
次に、ファームウェア72は、接続線47を用いる装置間通信により、コンピュータ30Cに対して、コンピュータ30Cの環境を示す情報の提供を要求する情報を送信する(処理ST02)。コンピュータ30Cのファームウェア72Cは、処理ST02による要求を受け取ると、LSI62Cのインタフェースに関係する環境を示す情報、すなわち温度及び電源電圧の値を取得する(処理ST03)。ファームウェア72Cは、取得したLSI62Cの環境を示す情報を、接続線47を用いる装置間通信により、コンピュータ30へ送信する(処理ST04)。
コンピュータ30のファームウェア72は、受信するコンピュータ30Cの環境を示す情報、及び処理ST01で決定した処理条件24をテーブルメモリ56に記憶する(処理ST05)。次に、ファームウェア72は、接続線47を用いる装置間通信により、コンピュータ30Cに対して、コンピュータ30Cの環境を強制的に変更する要求を示す情報を送信する(処理ST06)。コンピュータ30Cのファームウェア72Cは、処理ST06による要求を受け取ると、コンピュータ30Cの環境を強制的に変更する処理を実行する(処理ST07)。ファームウェア72Cは、環境の変更処理が環境すると、コンピュータ30Cにおいて環境を強制的に変更する処理が完了したことを示す情報を送信する(処理ST08)。
コンピュータ30のファームウェア72は、コンピュータ30Cからの環境変更完了を示す情報を受信すると、LSI62のインタフェースに関係する処理条件24、例えば遅延時間を取得する。ファームウェア72は、LSI62の環境を示す情報、LSI62Cの環境を示す情報、及び処理条件24をテーブルメモリ56に記憶する(処理ST09)。
上記処理ST06〜処理ST09の処理を繰り返すことにより、処理条件幅を示す情報を得ることができる。従って、ファームウェア72は、LSI62の環境を示す情報及びLSI62Cの環境を示す情報に、処理条件幅を対応付けてテーブル58を作成し、テーブルメモリ56に記憶する(処理ST10)。
なお、ファームウェア72は、接続線47を用いる装置間通信により、定期的にコンピュータ30Cの環境を示す情報を取得する。また、環境が変動するときには、上記実施形態と同様に、テーブルメモリ56に記憶されるテーブル58を参照し、処理条件24を維持したり変更したりする。
以上説明したように、第3実施形態では、独立したコンピュータ30,30Cであっても、ファームウェア72,72Cによる相互通信によって、各々の環境を示す情報を取得でき、適合する処理条件24(遅延時間)を設定することができる。
(第4実施形態)
次に、図面を参照して開示の技術の第4実施形態を説明する。第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、光通信により装置間で相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24を制御する。なお、第4実施形態は、第3実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図面を参照して開示の技術の第4実施形態を説明する。第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、光通信により装置間で相互に情報を授受するときに環境に応じて処理条件24を制御する。なお、第4実施形態は、第3実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図17に、第4実施形態に係る独立した情報処理装置として、情報処理装置10をコンピュータ30で実現し、情報処理装置10Cをコンピュータ30Cで実現する場合の一例を示す。図17に示すように、コンピュータ30は、LSI62に代えて光モジュール92を備えている。また、コンピュータ30は、LSI62Cに代えて光モジュール92Cを備えている。
なお、コンピュータ30とコンピュータ30Cとは、光モジュール92,光モジュール92Cに接続された光ケーブル等の高速データ通信が可能なインタフェース63により、情報が授受される。また、第3実施形態との相違は、第3実施形態がLSI62,62C間で調整する遅延時間を処理条件24とするのに対し、第4実施形態は光モジュールによる光信号の光レベルを処理条件24とする点である。
第4実施形態では、例えば、光通信による装置間通信において、情報授受に対して影響が大きい光信号の受信側における光信号の受信感度を光レベルとして、環境の変動に応じて調整することができる。また、光信号の送信側における光信号の強度(光出力レベル)を光レベルとして、環境の変動に応じて調整してもよい。光信号の受信感度の検出は、光モジュール92,92Cに内臓されている感度センサを用いることができる。また、光信号の強度(光出力レベル)の調整は、送信側の光モジュールに光出力レベルが変更可能な減衰器(例えば、アッテネータATT)を設けて調整したり、送信側の光モジュールに供給する電流量の設定を変更して調整したりすればよい。また、光モジュールが光出力レベルを変更可能な機能を具備するときには、光モジュールに対する設定変更を実行するのみで光信号の強度(光出力レベル)を変更することができる。
なお、図17では、インタフェース63により、コンピュータ30、30Cの間で情報が授受される一例を示したが、開示の技術は、インタフェース63のみにより、コンピュータ30、30Cの間で情報が授受されることに限定されるものではない。例えば、コンピュータ30とコンピュータ30Cとを、同軸ケーブル等の高速データ通信が可能な接続線47により接続して、情報が授受されるようにしてもよい。
図18に、第4実施形態において、テーブルメモリ56に記憶されるテーブル58の一例を示す。テーブル58は、各環境を示す情報の各々に、各環境に対応する処理条件幅が対応付けられる。図18では、処理条件幅として光レベルを表記している。
以上説明したように、第4実施形態では、独立したコンピュータ30,30Cを光モジュール92,92Cにより情報授受可能である。情報授受が可能な場合には、ファームウェア72,72Cによる相互通信によって、各々の環境を示す情報を取得でき、適合する処理条件24(光レベル)を設定することができる。
(第5実施形態)
次に、開示の技術の第5実施形態を説明する。なお、第5実施形態は、第1実施形態〜第4実施形態の各々に適用可能であり、第1実施形態〜第4実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、開示の技術の第5実施形態を説明する。なお、第5実施形態は、第1実施形態〜第4実施形態の各々に適用可能であり、第1実施形態〜第4実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
第1実施形態〜第4実施形態では、装置の運用に支障が生じないように、装置間またはデバイス間のインタフェースに関する処理条件24として、例えば受信側の処理条件幅(タイミングのウィンドウ幅)を遅延時間にて調整する場合を説明した。ところが、高速伝送路上ではクロックとデータ信号の位相調整の他に、伝送品質に関係するパラメータが存在する。また、データのみで伝送するインタフェースについてもパラメータは各種存在する。そこで、第5実施形態は、装置の運用に支障が生じないように、調整する各種パラメータに、開示の技術を適用する。つまり、例えば、装置の運用に関する伝送パラメータを示す情報を含めてテーブル58を作成し、作成したテーブルを参照しつつ処理条件の補正処理を実行する。
具体的には、第5実施形態では、処理条件24として、例えば伝送パラメータを示す情報を用いる。また、処理条件幅として、伝送パラメータを示す情報の情報幅または情報の率を用いる。伝送パラメータを示す情報の一例として、受信デバイスに関する情報に、ゲイン設定(増幅率)、及びPole設定(増幅させるピークの周波数)の何れか一方を示す情報がある。また、送信デバイスに関する情報に、プリエンファシス設定(予め波形を増幅しておく波形)、振幅設定、及び中心電圧の少なくとも1つを示す情報がある。
テーブル58を作成するために取得する伝送パラメータを示す情報は、環境を強制的に変更したときに、伝送パラメータも変更して処理部が動作する設定値を取得すればよい。また、振幅設定やプリエンファシス設定など範囲がある情報は、処理条件幅(ウィンドウ幅)と同様に情報を取得すればよい。
以上説明したように、第5実施形態では、各種伝送パラメータを示す情報を用いることにより、環境に応じた処理条件24の制御について、伝送品質を考慮して処理することができる。
(第6実施形態)
次に、図面を参照して開示の技術の第6実施形態を説明する。第6実施形態は、開示の技術をデバイス選定試験に適用するものである。なお、第6実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図面を参照して開示の技術の第6実施形態を説明する。第6実施形態は、開示の技術をデバイス選定試験に適用するものである。なお、第6実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図19に、第6実施形態に係る情報処理装置10をコンピュータ30で実現する場合の一例を示す。図19に示すように、第6実施形態に係るコンピュータ30は、調整部60に接続された二次メモリ94を備えている。二次メモリ94の一例として、DDR3 SDRAM(Double-Data-Rate3 Synchronous Dynamic Random Access Memory)がある。
第6実施形態では、デバイス選定試験の対象デバイスをLSI62とする。デバイスの選定試験や出荷試験では、外部クロック、電源電圧、及び温度等の外部環境を変動させ、対象のデバイスが正常に動作することが確認される。そこで、デバイス選定試験では、LSI62の内部動作確認処理96A、LSI62とCPU32との情報授受確認処理96B、及びCPU62の受信確認96Cが実行される。
例えば、デバイス選定試験において、外部環境を強制的に変動させると、CPU32と二次メモリ94の間についてタイミング補正がなされていないので、LSI62まで情報が正確に伝達されない場合があり、デバイス選定試験を継続できないときがある。デバイス選定試験を継続できない理由としては、環境変動に対してCPU32と二次メモリ94の間の耐力が小さいことが考えられる。
デバイス選定試験を継続できないときには、CPU32と二次メモリ94の間についてデータ授受のタイミングを補正することにより、LSI62を対象デバイスとするデバイス選定試験を実行できる場合がある。そこで、第6実施形態では、CPU32と二次メモリ94の間についてデータ授受のタイミングの補正値を、環境を示す情報に対応づけてテーブルメモリ56に記憶されたテーブル58に予め登録しておく。なお、テーブル58に登録するタイミングの補正値は、処理条件幅(ウィンドウ幅)と同様の処理により情報を取得すればよい。
なお、第6実施形態では、開示の技術をデバイス選定試験に適用する場合を説明したが、量産試験など大量のデバイスの試験を実施する際には、デバイス単体の評価に合格したテストデバイスを使用してテーブル58を作成して、テストをしてもよい。
以上説明したように、第6実施形態では、環境変動に耐力が小さいデバイスの補正値を、テーブル58に予め登録しておくことにより、デバイス選定試験を安定的に継続させることができる。
(第7実施形態)
次に、図面を参照して開示の技術の第7実施形態を説明する。第7実施形態は、環境変動による処理条件24の補正(設定処理)が、予め定めた限界値に近づいたことを報知するものである。なお、第6実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図面を参照して開示の技術の第7実施形態を説明する。第7実施形態は、環境変動による処理条件24の補正(設定処理)が、予め定めた限界値に近づいたことを報知するものである。なお、第6実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
環境変動に応じて処理条件24を補正する場合、処理条件24に設定可能な限界値が定められている場合がある。そこで、第7実施形態では、処理条件24の設定値が、例えば、上限値または下限値になるときに、処理条件24に設定可能な限界値に到達することを示す情報を報知する。情報の報知により、デバイスを事前に交換したり保守用のデバイスを確保する支援となる情報提供が可能である。
図20に、第7実施形態に係る処理の流れを示す。なお、図20には、図9に示す処理のステップ314とステップ316の間に、ステップ370及びステップ372の処理を追加した部分が示されている。
ファームウェア72は、ステップ314において、設定済みの処理条件24、及び現在環境に適合する処理条件幅が取得されると、ステップ370の処理へ移行する。ステップ370では、環境変動に対して設定可能な処理条件幅に余裕があるか否かが判断される。ステップ370で肯定判断されるとステップ316へ処理を移行する。一方、ステップ370で否定判断されると、ステップ372において、処理条件24に設定可能な限界値に到達することを示す情報を、例えば表示装置36に表示する等の報知処理を実行した後に、ステップ316へ処理を移行する。
図21に、第7実施形態に係るテーブル58の一例として、一部を示す。例えば、電圧変動に対して動作可能な処理条件幅(ウィンドウ幅)が図21に示すテーブル58である場合、変動として許容する電圧範囲は、+6%〜−4%である。ところが、例えば電圧が+5%の時には、変動として許容する電圧範囲は、電圧増加方向については、+1%しか余裕がない。従って、変動として許容する範囲が所定以上狭くなったときに、処理条件24に設定可能な限界値に到達することを示す情報を報知する。これにより、保守者等は、報知された情報を確認することによって、環境としての電圧及び温度の補正、及び保守部品の確保の準備などの処理へ移行することができる。
以上説明したように、第7実施形態では、変動として許容する範囲が所定以上狭くなったときに、処理条件24に設定可能な限界値に到達することを示す情報を報知することができるので、環境の補正、及び保守部品の確保の準備などの処理を支援することができる。
(第8実施形態)
次に、図面を参照して開示の技術の第8実施形態を説明する。第8実施形態は、テーブル58を更新する処理を支援するものである。なお、第8実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
次に、図面を参照して開示の技術の第8実施形態を説明する。第8実施形態は、テーブル58を更新する処理を支援するものである。なお、第8実施形態は、第1実施形態と同様の構成のため、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
例えば、経時変化等で、装置の設置当初に比べてテーブル58に登録された処理条件幅が、環境変動として許容する範囲の一方側へ偏ってしまうことがある。環境変動として許容する範囲の一方側へ偏る場合には、環境変動幅が大きく、処理条件幅の補正が困難なときがある。例えば、デバイスの経年劣化等の要因で環境に対する処理条件幅がテーブル58の作成当初から変化している可能性がある。そこで、第8実施形態では、テーブル58を更新する処理が実行される。
図22に、第8実施形態に係る情報処理装置10の処理の流れを示す。なお、図22に示す処理の流れは、図5に示すステップ240の処理と、ステップ250の処理との間にステップ242及びステップ244の処理を追加したものである。
情報処理装置10では、ステップ240において補正処理が終了すると、ステップ242の試験処理へ処理が移行される。試験処理は、ステップ240において処理条件24が補正されて設定されたとき、設定された処理条件24により、処理部16でエラーが発生するか否かを試験する処理である。エラーが発生しないときは、ステップ244で肯定され、次のステップ250へ処理が移行される。一方、エラーが発生するときは、ステップ244で否定され、ステップ210へ戻り、設置当初の運用準備処理が実行される。これにより、長期使用で変化したことが予測されるテーブル58を更新することができ、継続的に適合性が高いテーブル58を使用することができる。
以上説明したように、第8実施形態では、経時変化等でテーブル58が現在環境に適合しないことが予測される場合に、テーブル58を自動的に更新するので、装置を保守等で停止させることなく、継続的に適合性が高いテーブル58を使用することができる。
なお、本実施形態では、情報処理装置10の一例として、コンピュータを対象とした場合を説明したが、コンピュータの種類に限定されるものではない。例えば、パーソナルコンピュータ、またはその他の組み込み用途のコンピュータでもよい。
また、本実施形態では、記憶媒体の一例としてのファームウェアメモリ48として、不揮発性記録媒体を適用した場合を説明した。不揮発性記録媒体の一例は、HDD、ソリッドステートドライブ(SSD)、及びシリアルフラッシュメモリなどがある。
なお、上記では情報処理装置10をコンピュータ30により実現する一例を説明した。しかし、これらの構成に限定されるものではなく、上記説明した要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良及び変更を行っても良いのはもちろんである。
また、上記では情報処理プログラムがファームウェアメモリ48に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、開示の技術における情報処理プログラムは、CD−ROMまたはDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (15)
- 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶する記憶部と、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する制御部と、
前記複数の各環境を示す環境情報に、前記条件幅情報を対応づけたテーブルを作成すると共に、作成したテーブルを前記記憶部に記憶させる作成部と、
を備え、
前記記憶部には、前記装置を前記装置の運用場所に設置してから、設置した前記装置の運用場所における複数の環境の各々に前記条件幅情報を対応づけたテーブルが前記作成部によって記憶される情報処理装置。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶する記憶部と、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する制御部と、
を備え、
前記記憶部は、前記処理条件として、情報の入出力について遅延させる遅延時間を示す情報、及び光情報の入出力について光強度を増減させる増減情報の少なくとも一方が登録されたテーブルを記憶する情報処理装置。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶する記憶部と、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する制御部と、
を備え、
前記制御部は、現在の前記所定の処理条件が現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に含まれるとき、現在の前記所定の処理条件を維持し、現在の前記所定の処理条件が現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に含まれないとき、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に基づいて、現在の処理条件を求め、求めた現在の処理条件を前記所定の処理条件として設定する情報処理装置。 - 前記記憶部は、前記環境情報として、前記処理部の周辺温度、及び前記処理部に供給する電圧の少なくとも一方が登録されたテーブルを記憶する
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。 - 前記制御部は、前記所定の処理条件が前記処理部において情報の処理を中止することを示す予め定めた境界条件になるとき、前記処理部において情報の処理を中止することを示す情報を報知する報知部を含む
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶部に記憶し、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する
ことを含み、
前記複数の各環境を示す環境情報に、前記条件幅情報を対応づけたテーブルを作成すると共に、作成したテーブルを前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に、前記装置を前記装置の運用場所に設置してから、設置した前記装置の運用場所における複数の環境の各々に前記条件幅情報を対応づけたテーブルを記憶させる
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶部に記憶し、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する
ことを含み、
前記記憶部に記憶される前記テーブルには、前記処理条件として、情報の入出力について遅延させる遅延時間を示す情報、及び光情報の入出力について光強度を増減させる増減情報の少なくとも一方が登録される
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶部に記憶し、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する
ことを含み、
前記所定の処理条件を調整する制御を実行する場合は、現在の前記所定の処理条件が現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に含まれるとき、現在の前記所定の処理条件を維持し、現在の前記所定の処理条件が現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に含まれないとき、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に基づいて、現在の処理条件を求め、求めた現在の処理条件を前記所定の処理条件として設定する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。 - 前記記憶部に記憶される前記テーブルには、前記環境情報として、前記処理部の周辺温度、及び前記処理部に供給する電圧の少なくとも一方が登録される
請求項6〜請求項8の何れか1項に記載の情報処理方法。 - 前記所定の処理条件を調整する制御を実行する場合は、前記所定の処理条件が前記処理部において情報の処理を中止することを示す予め定めた境界条件になるとき、前記処理部において情報の処理を中止することを示す情報を報知する
請求項6〜請求項9の何れか1項に記載の情報処理方法。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶部に記憶し、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する
ことを含み、
前記複数の各環境を示す環境情報に、前記条件幅情報を対応づけたテーブルを作成すると共に、作成したテーブルを前記記憶部に記憶させ、
前記記憶部に、前記装置を前記装置の運用場所に設置してから、設置した前記装置の運用場所における複数の環境の各々に前記条件幅情報を対応づけたテーブルを記憶させる
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶部に記憶し、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する
ことを含み、
前記記憶部に記憶される前記テーブルには、前記処理条件として、情報の入出力について遅延させる遅延時間を示す情報、及び光情報の入出力について光強度を増減させる増減情報の少なくとも一方が登録される
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。 - 所定の処理条件に従って情報を処理する処理部を含む装置の複数の環境の各々を示す環境情報に、前記複数の環境の各々において前記処理部が処理可能な処理条件の幅を示す条件幅情報を対応づけたテーブルを、記憶部に記憶し、
前記テーブルに基づいて、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に、前記所定の処理条件が含まれるように、前記所定の処理条件を調整する制御を実行する
ことを含み、
前記所定の処理条件を調整する制御を実行する場合は、現在の前記所定の処理条件が現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に含まれるとき、現在の前記所定の処理条件を維持し、現在の前記所定の処理条件が現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に含まれないとき、現在の前記装置の環境を示す環境情報に対応する前記条件幅情報に基づいて、現在の処理条件を求め、求めた現在の処理条件を前記所定の処理条件として設定する
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。 - 前記記憶部に記憶される前記テーブルには、前記環境情報として、前記処理部の周辺温度、及び前記処理部に供給する電圧の少なくとも一方が登録される
請求項11〜請求項13の何れか1項に記載の情報処理プログラム。 - 前記所定の処理条件を調整する制御を実行する場合は、前記所定の処理条件が前記処理部において情報の処理を中止することを示す予め定めた境界条件になるとき、前記処理部において情報の処理を中止することを示す情報を報知する
請求項11〜請求項14の何れか1項に記載の情報処理プログラム。
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