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JP5594979B2 - 界面活性剤の配合量が低減された透明な芳香液 - Google Patents

界面活性剤の配合量が低減された透明な芳香液 Download PDF

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Description

本発明は、界面活性剤の配合量が低減されており、且つ透明で外観性状が良好な芳香液に関する。また、本発明は、該芳香液の製造方法に関する。
室内空間や収納空間の臭気による不快感をなくし、快適な空間を生み出すために、香料を配合した芳香剤が広く使用されている(例えば、特許文献1参照)。芳香剤では、通常、揮散される香気の質や強さを調整するために、香料を水等の水性溶媒に分散させた芳香液が使用されている。このような芳香液に使用される香料は親油性を示すため、従来、芳香液の製造には界面活性剤の配合が不可避とされている。
しかしながら、界面活性剤は常温で揮発しないため、界面活性剤を配合した芳香液では、使用時間の経過と共に芳香液中の界面活性剤の濃度が上昇し、香料の揮散終了後には界面活性剤が残存するという欠点がある。このような使用後の界面活性剤の残存は、外観の悪化を招き、使用者に不快な印象を与えかねない。更に、使用時間の経過に伴う界面活性剤の濃度の上昇は、芳香液の減量速度を遅延させるため、香料の揮散性にも悪影響を及ぼすことが懸念される。特に、芳香液の揮散が、容器に収容された芳香液を吸上げて容器外部に芳香液を揮散させるための吸上揮散部材を用いて行われる場合には、使用後期における界面活性剤の濃度の上昇は、該吸上揮散部材における目詰まりを招き、ひいては香料の揮散を妨げることになる。
そこで、芳香液において界面活性剤の配合量の低減を図ることができれば、従来の芳香液における上記欠点が解消され、更には芳香液の製造コストの低減をも実現可能になる。しかしながら、芳香液において、単に界面活性剤の配合量を少なくすると、香料が水性溶媒に十分に分散できず、芳香液の白濁化を招き、外観性状を損なわせてしまう。そのため、界面活性剤の配合量を低減し、且つ外観性状が良好である芳香液について、未だ開発されていないのが現状である。
特開2007-105447号公報
本発明は、界面活性剤の配合量が低減され、使用後期においても芳香液の減量速度が安定に保たれており、且つ透明で外観性状が良好な芳香液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、芳香液において、香料1重量当たり界面活性剤を0.4〜1重量部の比率を充足させ、且つ透明な芳香液に調整することによって、界面活性剤の配合量を低減して、使用後期においても芳香液の減量速度を安定に保つことが可能であり、且つ透明で外観性状が良好な芳香液を提供できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる芳香液及びその製造方法を提供する。
項1. 香料及び界面活性剤を含有する芳香液であって、香料1重量当たり界面活性剤を0.4〜1重量部の比率で含有し、且つ透明であることを特徴とする、芳香液。
項2. ナノエマルジョン形態である、項1に記載の芳香液。
項3. 香料1重量当たり界面活性剤を0.4〜1重量部の比率で香料及び界面活性剤を含有する水性溶媒を超音波処理及び/又は高圧乳化処理することにより調製される、項1又は2に記載の芳香液。
項4. 下記第1及び2工程を経て製造される、項1に記載の芳香液:
香料1重量当たり界面活性剤が0.4〜1重量部の比率を満たし、且つ香料と界面活性剤の合計量100重量部当たり水性溶媒が100〜600重量部となる比率を充足するように、香料、界面活性剤、及び水性溶媒を混合することにより、香料濃縮液を調製する第1工程、及び
第1工程で得られた香料濃縮液に対して更に水性溶媒を混合することにより、芳香液を調製する第2工程。
項5. 前記第2工程で得られた芳香液を、更にナノエマルジョン処理に供することにより製造される、項4に記載の芳香液。
項6. 水性溶媒が水である、項4又は5に記載の芳香液。
項7. 界面活性剤の濃度が0.4〜3重量%である、項1乃至6のいずれかに記載の芳香液。
項8. 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、項1乃至7のいずれかに記載の芳香液。
項9. 収容された芳香液を吸上げて容器の外部に揮散させるための吸上揮散部材を備えている容器に、項1乃至8のいずれかに記載の芳香液が容器に収容されてなることを特徴とする、芳香剤。
項11. 吸水性樹脂に、項1乃至8のいずれかに記載の芳香液が含有されてなることを特徴とする、ゲル状芳香剤。
項12. 香料1重量当たり界面活性剤を0.4〜1重量部の比率で香料及び界面活性剤を含有する水性溶媒を超音波処理及び/又は高圧乳化処理すること特徴とする、芳香液の製造方法。
項13. 下記第1及び2工程を含有する、芳香液の製造方法。
香料1重量当たり界面活性剤が0.4〜1重量部の比率を満たし、且つ香料と界面活性剤の合計量100重量部当たり水性溶媒が100〜600重量部となる比率を充足するように、香料、界面活性剤、及び水性溶媒を混合することにより、香料濃縮液を調製する第1工程、及び
第1工程で得られた香料濃縮液に対して更に水性溶媒を混合することにより、芳香液を調製する第2工程。
項14.水性溶媒が水である、項13に記載の製造方法。
本発明の芳香液は、使用後期においても芳香液の減量速度を安定に保つことができ、使用前期から後期に亘って均質な香気を放つことができる。また、本発明の芳香液は、界面活性剤の配合量が低減されており、使用後の残存物の量が低減されているため、使用者の満足度を高めることもできる。更に、本発明の芳香液は、界面活性剤の配合量が低減されているため、原料コストを低減できるという製造上の利点もある。
また、本発明の芳香液は、透明であり、外観性状が良好であるので、消費者に対して意匠的観点からも満足感を与えることができる。
更に、本発明の芳香液が、吸上揮散部材を備えた容器に収容され、液状芳香剤として使用される場合には、使用後期であっても、該吸上揮散部材における界面活性剤が原因となって起きる目詰まりが生じ難いため、芳香液の減量速度が減弱しない。そのため、使用後期に容器に残存する芳香液の揮散性を高めるために、容器を振盪することにより吸上揮散部材に含浸させる芳香液を増加させる必要がないため、使用者にとっては不便性を感じずに使用することができる。
芳香液(実施例2及び比較例3−4)について、回折/散乱光強度を測定した結果を示す図である。 芳香液(実施例2及び比較例4)の減量速度を測定した結果を示す図である。 芳香液(実施例2及び比較例4)の揮散開始32日後及び47日後に、残存する芳香液を撮影した写真である。 実施例IIにおいて芳香液の外観性状を評価する際に使用した判定基準の指標を示す図である。 芳香液(実施例−10及び比較例7)について、回折/散乱光強度を測定した結果を示す図である。
本発明の芳香液は、香料1重量当たり界面活性剤を0.4〜1重量部の比率で香料及び界面活性剤を含有し、且つ透明であることを特徴とするものである。
本発明の芳香液に配合される香料については、天然香料、天然香料から分離された単離香料、合成香料のいずれであってもよく、従来の芳香液に使用されている公知の油性香料を含むものを使用することができる。香料として、具体的には、炭素数6〜12のアルデヒド、アニスアルデヒド、アセタールR、アセトフェノン、アセチルセドレン、アドキサール、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、アルファダマスコン、アンブレットリッド、アンブロキサン、アミルシンナミックアルデヒド、アミルシンナミックアルデヒドジメチルアセタール、アミルバレリアネート、アミルサリシレート、イソアミルアセテート、アセチルユゲノール、イソアミルサリシレート、インドール、αイオノン、βイオノン、αメチルイオノン、βメチルイオノン、γメチルイオノン、インデン、エチルワニリン、オウランチオール、オークモスNo.1、オリボン、オキシフェニロン、カリオフィレン、カシュメラン、カルボン、ガラキソリッド、キャロン、クマリン、パラクレジールメチルエーテル、ゲラニオール、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ゲラニルニトリル、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロゲラニールアセテート、コアボン、サンダロア、サンデラ、サンタレックス、サンタリノール、メチルサリシレート、シンナミックアルコール、シンナミックアルデヒド、シスジャスモン、シトラール、シトラールジメチルアセタール、シトラサール、シトロネラール、シトロネロール、シトロネリルアセテート、シトロネリルフォーメート、シトロネリルニトリル、シクラセット、シクラメンアルデヒド、シクラプロップ、シンナミルアセテート、ジヒドロジャスモン、ジメトール、イソシクロシトラール、ジャスマール、ジャスモラクトン、ジャスモフィラン、スチラリールアセテート、スチラリールプロピオネート、セドロアンバー、セドリルアセテート、セドロール、セレストリッド、βダマスコン、αターピネオール、γターピネオール、ターピニルアセテート、チモール、デルタダマスコン、デルタC6〜C13ラクトン、トナリッド、トラセオライド、トリプラール、イソノニルアセテート、ネロール、ネリールアセテート、ネオベルガメート、ノピールアセテート、ノピールアルコール、バクダノール、ヒヤシンスジメチルアセタール、ヒドロトロピックアルコール、ヒドロキシシトロネラール、αピネン、ブチルブチレート、パラターシャリーブチルシクロヘキサノール、パラターシャリーブチルシクロヘキシルアセテート、オルトターシャリーブチルシクロヘキサノール、ジフェニルオキサイド、フルイテート、フェンチールアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、イソブチルキノリン、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルアセテート、フェニルアセトアルデハイドジメチルアセタール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルサリシレート、ベルガミールアセテート、ベンズアルデヒド、ベンジルフォーメート、ジメチルベンジルカービノール、ヘディオン、ヘリオナール、ヘリオトロピン、シス−3−ヘキセノール、シス−3−ヘキセニールアセテート、シス−3−ヘキセニールサリシレート、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘキシルサリシレート、ペンタリッド、ベルドックス、オルトボルニルアセテート、イソボルニルアセテート、イソボルネオール、エンド−ボルネオール、マンザネート、マイヨール、ミューゲアルデヒド、ミラックアルデヒド、ジヒドロミルセノール、ジミルセトール、ムゴール、ムスクTM−II、ムスク781、ムスクC14、ムスクT、ムスクケトン、ムスクチベチン、ムスクモスケン、メンサニールアセテート、メンソネート、メチルアンスラニレート、メチルユゲノール、メントール、メチルフェニルアセテート、ユゲノール、イソユゲノール、メチルイソユゲノール、γC6〜13ラクトン、ライムオキサイド、メチルラベンダーケトン、ジヒドロリナロール、リグストラール、リリアール、リモネン、リナロール、リナロールオキサイド、テトラヒドロリナロール、テトラヒドロリナリールアセテート、リナリルアセテート、リラール、ルバフラン、ローズフェノン、ローズオキサイド、ワニリン、ベンゾイン、ペルーバルサム、トルーバルサム、チュベローズ油、ムスクチンキ、カストリウムチンキ、シベットチンキ、アンバーグリスチンキ、ペパーミント油、ペリラ油、プチグレン油、パイン油、ローズ油、ローズマリー油、しょう脳油、芳油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、スペアミント油、スパイクラベンダー油、スターアニス油、ラバンジン油、ラベンダー油、レモン油、レモングラス油、ライム油、ネロリ油、オークモス油、オコチア油、パチュリ油、タイム油、トンカ豆チンキ、テレピン油、ワニラ豆チンキ、バジル油、ナツメグ油、シトロネラ油、クローブ油、ボアドローズ油、カナンガ油、カルダモン油、カシア油、シダーウッド油、オレンジ油、マンダリン油、タンジェリン油、アニス油、ベイ油、コリアンダー油、エレミ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガルバナム油、ゼラニウム油、ヒバ油、桧油、ジャスミン油、ベチバー油、ベルガモット油、イランイラン油、グレープフルーツ油、ゆず油等を挙げることができる。これらの香料は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて調香して使用することもできる。本発明の芳香液に使用される香料は、嗜好性に応じた香気が嗅知できるように調香されているものが好適に使用され、そのような香料の具体例として、ラベンダー香料、オレンジ香料、ジャスミン香料、マリン香料、石鹸香料、ストロベリー香料、ミント香料、ハーブ香料、カモミール香料、ピーチ香料、レモン香料、ライム香料、グレープフルーツ香料等が例示される。
また、本発明の芳香液に配合される界面活性剤については、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
本発明の芳香液に配合される非イオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ひまし油等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油;ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル等のポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキアルキレンデシルエーテル等のポリオキアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル等のポリオキシアルキレングリセリルエーテル脂肪酸エステル;アルキルアルカノールアミド;アルキルポリグルコシド;ソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等が例示される。これらの中でも、好ましくは、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル、及びポリオキシアルキレンアルキルエーテル;更に好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びポリオキシアルキレンデシルエーテル;特に好ましくはポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びポリオキシエチレンデシルエーテルが挙げられる。
本発明の芳香液に配合される陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩(例えば、ジ2エチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等)、N-アシルアミノ酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸、リン酸エステル等が例示される。これらの中でも、好ましくは、ジアルキルスルホコハク酸塩、更に好ましくはジオクチルスルホコハク酸塩が挙げられる。
また、本発明の芳香液に配合される陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルアンモニウム塩等が例示される。
本発明の芳香液に配合される両イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルアミドベタイン、アルキルジメチルアミンオキシド等が例示される。
これらの界面活性剤の中でも、芳香液の透明性を確保しつつ、使用前期から後期に亘って芳香液の減量速度をより一層安定に保つという観点から、好ましくは非イオン性界面活性剤が挙げられる。
本発明の芳香液において、これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の芳香液において、上記香料及び界面活性剤は、香料1重量当たり界面活性剤が0.4〜1重量部、好ましくは0.4〜0.9重量部、更に好ましくは0.4〜0.7重量部の比率を満たす範囲で含まれる。このように、従来の芳香液に比して界面活性剤の配合比率を低減させることによって、使用前期から後期に亘って芳香液の減量速度を安定に保持でき、更には使用後に残存物の量を低減させることも可能になる。もし、界面活性剤が上記比率より低い場合には香料の分散が不十分となって透明な芳香液を調製できなくなる傾向がみられ、また界面活性剤が上記比率より高い場合には使用後期において芳香液の減量速度が遅くなる傾向がみられる。
また、本発明の芳香液において、上記香料及び界面活性剤の濃度については、両者が上記配合比率を充足する限り、特に制限されず、香料や界面活性剤の種類、該芳香液の発香性の強度等に応じて適宜設定すればよい。一例として、香料の濃度として、0.5〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%;界面活性剤の濃度として、0.2〜30重量%、好ましくは0.2〜10重量%、更に好ましくは0.4〜3重量%が例示される。
本発明の芳香液は、揮発性の水性溶媒を基剤として含むことによって、香料の揮散性、香りの強度、持続性等を適宜調整される。本発明の芳香液に使用される水性溶溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコール類;及びエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらの中で、好ましくは水、エタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール;更に好ましくは水、及び3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールが挙げられる。本発明の芳香液には、これらの水性溶媒を1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の芳香液は、香料に適度な揮散速度を与えるために、水性溶媒として、少なくとも水を含むことが望ましい。本発明の芳香液において、水の濃度としては、例えば40〜99重量%、好ましくは85〜99重量%、更に好ましくは92〜98重量%が例示される。
本発明の芳香液は、上記配合成分に加えて、本発明の効果を妨げないことを限度として、他の成分を配合しても良い。本発明の芳香液に配合可能な他成分としては、例えば、防腐剤、酸化防止剤、溶剤、消臭剤、除菌剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、殺虫成分、防虫成分、忌避成分等の成分が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な防腐剤としては、具体的には、ソルビン酸、p-オキシ安息香酸メチル、p-オキシ安息香酸エチル、p-オキシ安息香酸プロピル、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2n-オクチル-イソチアゾリン-3-オン等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な酸化防止剤としては、具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸塩、イソフラボン、α-トコフェロール等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な消臭剤としては、具体的には、ジクロロイソシアヌル酸塩;イネ、松、ヒノキ、笹、柿、茶等の植物の抽出物;脱塩型ベタイン化合物;変性有機酸化合物;アルカノールアミン;安定化二酸化塩素;アルデヒド化合物;グリコールエーテル化合物;両性界面活性剤系消臭剤等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な除菌剤としては、具体的には、イソプロピルメチルフェノール、パラオキシ安息香酸エステル、PCMX、IPBC、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、二酸化塩素、ジクロロイソシアヌル酸塩、テルペン炭化水素類香料、テルペンアルコール類香料、フェノール類香料、芳香族アルコール類香料、アルデビド類香料等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な紫外線吸収剤としては、具体的には、ベンゾトリアゾール系化合物(2-(3,5-di-tert-pentyl-2-hydroxyphenyl)-2H-benzotriazole)、ベンゾフェノン系化合物(2,2 4,4 tetrahydroxy benzophenone)等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能なpH調整剤としては、具体的には、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン;クエン酸三ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩;エチレンジアミン四酢酸、水酸化ナトリウム、塩基性アミノ酸(アルギニン)、炭酸カルシウム等のカルシウム塩等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な殺虫成分としては、具体的には、ヒノキチオール、ヒバ油、アリルイソチオシアネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、プロパノール、1.8―シネオール、ピレスロイド系化合物等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な防虫成分としては、具体的には、ナフタレン系化合物、パラジクロロベンゼン系化合物、樟脳等が挙げられる。
本発明の芳香液に配合可能な忌避成分としては、具体的には、N,N−ジエチル−m−トルアミド、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、p−メンタン−3,8−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジ−n−プロピルイソシンコメロネート、p−ジクロロベンゼン、ジ−n−ブチルサクシネート、カラン−3,4−ジオール、1−メチルプロピル−2−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリジンカルボキシレート、イソチオシアン酸アリル等が挙げられる。
本発明の芳香液は、外観性状として透明であることを特徴とする。本発明において、「透明」とは、水性溶媒中で香料が白濁することなく分散している状態であり、無色透明、無色半透明、有色透明、有色半透明のいずれの状態も含まれる。また、本発明において、透明な芳香液の一態様としては、水性溶媒中で香料が20〜200nm程度に微細化(即ち、ナノエマルジョン化)されて分散しているものが挙げられる。また、本発明において、透明な芳香液の他の一態様としては、以下に示す測定条件において、全てのセンサ素子で検出される回折/散乱光強度が、50以下、好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である場合が挙げられる。なお、回折/散乱光強度は、その値が小さい程、透明度が高いことを示す指標である
本発明の芳香液は、ナノエマルジョン処理を施す方法(以下、ナノエマルジョン処理法と表記する);香料、界面活性剤、及び水性溶媒を含む濃縮混合液を調製し、該濃縮混合液を用いて製造する方法(以下、濃縮化法と表記する);並びにナノエマルジョン処理と濃縮化法を併用する方法(以下、複合法と表記する)によって製造することができる。これらの製造方法は、従来の芳香液の製造方法として報告されているものではなく、新たなものである。即ち、本発明の芳香液は、界面活性剤の配合量が少なく且つ透明である点で、従来の芳香液とは異なるものであり、本発明の芳香液のかかる特徴は、前述する新規な製造方法を採用することによって、もたらされていると考えられる。以下、本発明の芳香液の製造方法について、詳述する。
<ナノエマルジョン化法>
ナノエマルジョン化法によって本発明の芳香液を調製するには、上記香料と界面活性剤の混合物、及び必要に応じて他の配合成分を水性溶媒に加えて、これを公知のナノエマルジョン処理に供すればよい。ナノエマルジョン処理は、例えば、超音波処理、高圧乳化処理、高速旋回薄膜処理、高剪断型分散処理等の公知の処理方法によって行うことができる。これらのナノエマルジョン処理方法の中でも、超音波処理及び高圧乳化処理は、物理的せん断作用に優れており、効率的にナノエマルジョン形態の芳香液を調製できるので好適である。
これらのナノエマルジョン処理は、1種の処理方法を単独で実施してもよく、また2種以上の処理方法を組み合わせて実施してもよい。
ナノエマルジョン処理条件については、芳香液の組成、芳香液に備えさせる透明度、処理方法の種類等に応じて適宜設定すればよい。例えば、1Lの芳香液を超音波処理によって調製する場合であれば、例えば、出力50〜600W、周波数10〜30KHz及び振幅10〜200μmの超音波振動を1〜30分間程度負荷すればよい。また、例えば、高圧乳化処理であれば、例えば20〜40℃の温度条件下で5〜150MPaの圧力を負荷すればよい。
ナノエマルジョン化法により製造される芳香液は、香料成分が微細化して水性溶媒に分散し、更には前述する回折/散乱光強度をも充足することにより、透明な外観性状を備えることが可能になっている。
<濃縮化法>
濃縮化法によって本発明の芳香液を調製するには、香料、界面活性剤、及び水性溶媒(芳香液に配合される水性溶媒の一部)を混合して濃縮混合液を調製し、該濃縮混合液を水性溶媒(残りの水性溶媒)と混合すればよい。このように、2段階に分けて、水性溶媒を香料と混合することによって、乳化処理等の特段の処理を行わなくても、白濁することなく透明な外観を備える芳香液を調製することができる。濃縮化法による本発明の芳香液の製造は、具体的には、以下の手順に従って実施される。
まず、香料1重量当たり界面活性剤が0.4〜1重量部の比率を満たし、且つ香料と界面活性剤の合計量100重量部当たり水性溶媒が100〜600重量部となる比率を充足するように、香料、界面活性剤、及び水性溶媒を混合することにより、香料濃縮液を調製する(第1工程)。即ち、本第1工程では、芳香液に配合される香料の全量、芳香液に配合される界面活性剤の全量、及び芳香液に配合される水性溶媒の一部を混合することにより、香料濃縮液を調製する。このように香料と界面活性剤を高濃度となるように水性溶媒に混合することによって、乳化処理等の特段の処理を行わなくても、白濁することなく透明な外観を備える香料濃縮液を得ることができる。本第1工程において、香料と界面活性剤の合計量と水性溶媒の混合比については、前述する比率を充足すればよいが、より透明性の高い芳香液を製造するという観点からは、香料と界面活性剤の合計量100重量部当たり水性溶媒が、好ましくは100〜500重量部、更に好ましくは150〜300重量部が例示される。
また、本第1工程において、香料、界面活性剤、及び水性溶媒の混合順については、特に制限されないが、透明性の高い香料濃縮液を得、ひいては最終的に製造される芳香液の透明性も高めるという観点から、まず香料と界面活性剤を混合し、香料と界面活性剤の混合液と水性溶媒を混合することが望ましい。
次いで、前記第1工程で得られた香料濃縮液と水性溶媒を混合することにより、芳香液を調製する(第2工程)。このように、第1工程で得られた香料濃縮液を、水性溶媒と混合することによって、超音波処理、高圧乳化処理等の特段の処理を要することなく、白濁のない透明な外観を備える芳香液を製造することができる。また、香料濃縮液と水性溶媒の混合液の組成が本発明の芳香液の組成となるので、本第2工程において、香料濃縮液と混合される水性溶媒の量については、芳香液に配合される水性溶媒の全量から上記香料濃縮液で配合された水性溶媒の量を除いた分に相当する量(残りの水性溶媒)に設定される。
また、本発明の芳香液に、香料及び界面活性剤以外に、他の配合成分を配合する場合には、その添加時期は当該配合成分の極性に応じて適宜設定すればよい。例えば、他の配合成分として油性成分を配合する場合、前記第1工程の段階で配合することにより香料濃縮液中に添加することが望ましい。また、他の配合成分として水溶性成分を配合する場合、前記第1及び2工程のいずれの段階で添加してもよい。
濃縮化法により製造される芳香液は、前述する回折/散乱光強度を充足することにより、透明な外観性状を備えることが可能になっている。
<複合法>
複合法によって本発明の芳香液を調製するには、前述する濃縮化法により芳香液を調製し、得られた芳香液を更に前述するナノエマルジョン処理に供すればよい。このように濃縮化法とナノエマルジョン処理を組み合わせて実施することにより、一層透明性が高い芳香液を製造することが可能になる。複合法で使用されるナノエマルジョン処理としては、前述する処理方法であればよいが、芳香液の透明性をより一層向上させるという観点から、好ましくは超音波処理及び高圧乳化処理、更に好ましくは超音波処理が挙げられる。
複合法により得られる本発明の芳香液は、香料の粒径がより細かい状態で分散しており、更に前述する回折/散乱光強度についてもより低い値を示し、透明性が一層向上している。また、複合法により製造される本発明の芳香液は、より一層の界面活性剤の配合割合の低減が可能であり、しかも外観性状の保存安定性の点でも卓越しているという利点がある。
本発明の芳香液は、液状のまま液状芳香剤の形態で使用してもよく、また吸水性ゲルに含浸させてゲル状芳香剤の形態で使用してもよい。
本発明の芳香液を液状芳香剤の形態で使用する場合、該芳香液をそのまま容器に収容して使用してもよく、また、紙、パルプ、合成繊維、合成樹脂、セルロース等の天然系樹脂等の基材に該芳香液を含浸させた状態で容器に収容して使用してもよい。
本発明の芳香液を液状芳香剤の形態で使用した芳香器の好適な一実施形態として、容器に収納された芳香液を吸上げて外部に揮散させるための吸上揮散部材を備えている容器に、本発明の芳香液が収容されている芳香器が挙げられる。ここで、上記吸上揮散部材としては、少なくとも一部が容器内の芳香液に浸漬され、更に少なくとも一部が容器外部に露出可能に又は露出して設けられるような構成を備えていればよい。また、上記吸上揮散部材は、芳香液の吸上・揮散効果に優れた繊維層で主に全体が構成されていることが望ましく、繊維層は、植物繊維やパルプ等の天然繊維、レーヨン、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)等の合成繊維又はそれらの混合繊維などの繊維質材料で構成することができる。特に、繊維層としては、スパンボンド法、スパンレース法などによって製造される不織布が好適であるが、この他、織物、編物等であってもよい。また、上記吸上揮散部材は、編織物、発泡ウレタン等の合成樹脂製のスポンジ材料であってもよい。上記吸上揮散部材の厚さは特に限定されないが、芳香液を収容する容器の大きさ、取り扱い性、香料揮散効果等の観点から、約2〜約20mm程度が好ましい
上記吸上揮散部材を備える容器に、従来の芳香液を収容して使用すると、使用期間の経過に伴って芳香液中の界面活性剤の濃度が上昇し、これが吸上揮散部材の目詰まりを起こし、その結果、使用後期における芳香液の減量速度の低下をきたして香料の揮散性が十分に発揮できなくなる傾向があった。これに対して、本発明の芳香液は、界面活性剤の配合量が従来の芳香液に比して低減されており、使用後期に残存する界面活性剤の上記悪影響が回避されていることが1つの利点として挙げられる。即ち、本発明の芳香液によれば、上記吸上揮散部材を備える容器に収容して使用しても、使用後期においても芳香液の減量速度を安定に保つことができ、使用前期から後期に亘って均質な香気を放つことが可能になっている。
また、本発明の芳香液をゲル状芳香剤の形態にする場合、アクリルアミド−アクリル酸塩共重合体等の公知の吸水性樹脂に、本発明の芳香液を含浸させることにより、該吸水性樹脂に本発明の芳香液を含有させればよい。従来の芳香液を使用したゲル状芳香剤では、使用後期において、濃度が上昇した界面活性剤によって香料の揮散性が妨げられる傾向があった。これに対して、本発明の芳香液を使用したゲル状芳香剤によれば、使用前期から後期に亘って安定に香料を揮散させることができ、従来の芳香液を使用したゲル状芳香剤の欠点が解消されている。
以下、実施例等を挙げて、本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例I 芳香液の調製(ナノエマルジョン化法)及び評価
<芳香液の調製>
表1に示す組成の芳香液を下記の方法に従って調製した。
Figure 0005594979
実施例1−5、比較例1、3及び5の芳香液の調製法
親水性消臭剤、親水性防腐剤、ジエタノールアミン、及び消泡剤(シリコン)を混合し、親水性混合物を作製した。また、別途、ラベンダー系香料、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩を混合し、親油性混合物を作製した。
次いで、上記親水性混合物に、上記親油性混合物を少しずつ攪拌しながら添加し、更に適量の水を加えて全量1000gの原料混合液を得た。
斯くして得られた原料混合液500mLに対して、超音波ホモジナイザー(US-600TCVP、株式会社日本精機製作所製)を用い、出力600W、振動数19.5kHz、振幅30μmの条件にて30分間ナノエマルジョン処理を施すことにより、芳香液を得た。
比較例2、4及び6の芳香液の調製法
親水性消臭剤、親水性防腐剤、ジエタノールアミン、及び消泡剤(シリコン)を混合し、親水性混合物を作製した。また、別途、ラベンダー系香料、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩を混合し、親油性混合物を作製した。
次いで、上記親水性混合物に、上記親油性混合物を少しずつ攪拌しながら添加し、更に適量の水を加えて全量1000gの芳香液を得た。
<芳香液の透明度の評価>
芳香液(実施例1−5及び比較例1−6)を肉眼で外観を観察した。その結果、実施例1−5及び比較例2、4及び6の芳香液は透明であり、美感を感じる良好な外観であった。一方、比較例1、3及び5の芳香液は白濁しており、美感が損なわれていた。
更に、芳香液(実施例2及び比較例3及び4)の透明度を分析するために、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて、下記測定条件で回折/散乱光強度を測定した。
使用機器:島津製作所 レーザー回折式粒度分布測定装置 SALD-2200
使用セル:回分セル
屈折率パラメーター:1.60−0.50i
ブランク:純水
分散方法:手攪拌
測定手順:予めセルを純水で満たし攪拌しながらブランク測定を行った後、純水を全て排出し、芳香液と入れ替えて測定した。
それぞれの芳香液について、回折/散乱光強度を測定した結果を図1に示す。実施例2及び比較例4の芳香液では、回折/散乱光強度が全てのセンサ素子において10以下であった。一方、比較例3の芳香液では、回折/散乱光強度が半数以上のセンサ素子において10を遙かに超えていた。
以上のように、肉眼での観察結果及び回折/散乱光強度の測定結果の双方から、界面活性剤の配合割合が低いがナノエマルジョン処理をしている芳香液(実施例1−4)、並びに界面活性剤の配合割合が高い芳香液(比較例2、4及び6)では、透明で外観が良好であったのに対して、単に界面活性剤の配合割合を低くした芳香液(比較例1、3及び5)には、白濁して外観が悪化していることが確認された。
<芳香液の減量速度の測定及び官能評価>
具体的には、芳香液(実施例2及び比較例4)400mLを、450ml容の容器(開口部の面積:約12cm)に入れた。次に、容器内の芳香液を吸い上げて容器外に揮散させるための吸上揮散部材を、芳香液が入れられた容器に差し込んだ。該吸上揮散部材は、その一部が容器内の芳香液に浸漬され、且つ他の一部が容器外部に露出している帯状構造(縦約39cm、横約3cm、厚さ約1cm)である。
斯くして調製した、芳香液が揮散可能になった容器を、室内に静置し、芳香液の揮散を開始させた。芳香液の揮散開始から53日後まで、経時的に芳香液の残存量を測定した。また、芳香液の揮散開始前、開始44日後、及び開始57日後に、芳香液が入った容器をそのまま、22℃、無風無臭に近い状態に保ったステンレス製庫(容積:1000L)の中に移動させ、20分間静置した後に、6名の香気評価専門のパネラーにより、芳香液から嗅知される香気を以下の基準に従って判定した。
評価基準
・香気の強度
1点:弱い
2点:やや弱い
3点:ちょうどよい
4点:やや強い
5点:強い
・嗜好性
−2点:悪い
−1点:やや悪い
0点:どちらともいえない
+1点:やや良い
+2点:良い
・総合評価
−2点:悪い
−1点:やや悪い
0点:どちらともいえない
+1点:やや良い
+2点:良い
芳香液の減量速度の測定結果を図2に示す。図2の縦軸の芳香液の残存割合(%)は、揮散開始時の芳香液の重量に対する、残存する芳香液の重量の割合である。揮散開始から揮散開始20日後までは、芳香液の減量速度は、実施例2及び比較例4は、略同一であったため、図2には揮散開始20日以降の芳香液の減量速度の測定結果を示す。更に、揮散開始32日後及び47日後に残存する芳香液を写真撮影した結果を図3に示す。この結果から、実施例2の芳香液では、揮散開始53日後まで減量速度が一定で安定であり、揮散開始53日後には、吸上揮散部材に浸透している芳香液以外には、芳香液の残存が殆ど認められなかった。これに対して、比較例4の芳香液では、揮散開始20日後から53日後に亘って徐々に芳香液の減量速度が減じており、揮散開始53日後でも、吸上揮散部材に浸透している芳香液以外にも、芳香液の残存が認められた。
更に、実施例2の芳香液の官能評価の結果を表2に示す。表2から明らかなように、実施例2の芳香液では、揮散開始44日後及び57日後では、嗅知される香気に差は認められなかった。これに対して、比較例4の芳香液では、揮散開始44日後及び57日後では、嗅知される香気に差が認められた。
これらの結果から、実施例2の芳香液では、使用開始時から使用後期に亘って、芳香液の減量速度が安定であり、嗅知される香気も一定であることが明らかとなった。これに対して、実施例2に比べて界面活性剤の配合割合が高い比較例4の芳香液では、使用後期において芳香液の減量速度が徐々に減じてしまい、使用後期において、嗅知される香気も一定に維持できないことが確認された。
以上の結果から、界面活性剤の濃度を高めることによって透明な芳香液が得られるが、高濃度の界面活性剤は却って、使用後期において芳香液の減量速度を減じさせ、ひいては使用後期の芳香液の芳香効果を悪化させることが明らかとなった。
Figure 0005594979
実施例II 芳香液の調製(ナノエマルジョン化法)及び評価
<芳香液の調製>
表3に示す組成の芳香液を下記の方法に従って調製した。
実施例9の芳香液の調製法
親水性消臭剤、親水性防腐剤、ジエタノールアミン、及び消泡剤(シリコン)を混合し、親水性混合物を作製した。また、別途、ラベンダー系香料、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩を混合し、親油性混合物を作製した。
次いで、上記親水性混合物に、上記親油性混合物を少しずつ攪拌しながら添加し、更に適量の水を加えて全量1000gの原料混合液を得た。
斯くして得られた原料混合液500mLに対して、超音波ホモジナイザー(US-600TCVP、株式会社日本精機製作所製)を用い、出力600W、振動数19.5kHz、振幅30μmの条件にて30分間ナノエマルジョン処理を施すことにより、芳香液を得た。
実施例10の芳香液の調製法
水60gに親水性消臭剤、親水性防腐剤、ジエタノールアミン、及び消泡剤(シリコン)を混合し、親水性混合物を作製した。また、別途、ラベンダー系香料、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノールを混合し、親油性混合物を作製した。上記で得られた親水性混合物及び親油性混合物を混合し、香料濃縮液を作成した。
次いで、上記香料濃縮液に残水を攪拌しながら添加して全量1000gの芳香液(超音波処理前)を得た。
斯くして得られた芳香液(超音波処理前)500mLに対して、超音波ホモジナイザー(US-600TCVP、株式会社日本精機製作所製)を用い、出力600W、振動数19.5kHz、振幅30μmの条件にて30分間ナノエマルジョン処理を施すことにより、芳香液を得た。
比較例7の芳香液の調製法
親水性消臭剤、親水性防腐剤、ジエタノールアミン、及び消泡剤(シリコン)を混合し、親水性混合物を作製した。また、別途、ラベンダー系香料、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩を混合し、親油性混合物を作製した。
次いで、上記親水性混合物に、上記親油性混合物を少しずつ攪拌しながら添加し、更に適量の水を加えて全量1000gの芳香液を得た。
<芳香液の透明度の評価>
調製直後の芳香液(実施例9−10及び比較例7)の外観性状を下記判定基準に従って評価した。また、各芳香液を、−20から40℃への昇温と40℃から−20℃への降温を1日当たり1サイクルで繰り返すサイクル試験に10日間供して、サイクル試験保存後の外観性状についても、下記判定基準に従って評価した。
外観性状の判定基準
◎:肉眼では親油性成分の粒子が全く確認されず、透明である。
○:肉眼では親油性成分の粒子が僅かに確認されるが、ほぼ透明である。
△:肉眼で若干の白濁が確認され、半透明である。
×:肉眼で明らかな白濁が確認され、不透明である。
参考のため、上記判定基準の指標を図4に示す。
結果を表3に併せて示す。この結果、ナノエマルジョン化法で製造した芳香液(実施例9)でも、透明で良好な外観性状を備えていた。更に、濃縮化法とナノエマルジョン化法を併用して製造した芳香液(実施例10)では、界面活性剤の配合割合を大幅に低減させても、優れた透明性を備えることができ、しかも保存後の外観性状も非常に良好であった。これに対して、界面活性剤の配合量を低減して従来法で製造した芳香液(比較例7)では、白濁しており、美感が損なわれていた。
Figure 0005594979
表中の配合成分の単位はgである。
ラベンダー香料は、稲畑香料(株)製のものを使用した。
ポリオキシエチレンデシルエーテルは商品名「ノイゲン XL−100」(第一工業製薬(株)製);ポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテルは商品名「ノイゲン HC−400」(第一工業製薬(株)製)をそれぞれ使用した。
更に、芳香液(実施例9−10及び比較例7)の回折/散乱光強度を上記実施例Iと同条件で測定した。結果を図5に示す。ナノエマルジョン化法(超音波処理)を行って製造した芳香液(実施例9−10)では、回折/散乱光強度が全てのセンサ素子において20以下という非常に低い値を示した。これに対して、界面活性剤の配合量を低減して従来法で製造した芳香液(比較例7)では、回折/散乱光強度が、1/3程度のセンサ素子において50を遥かに超えていた。
以上の結果からも、ナノエマルジョン化法を用いて製造した芳香液は、界面活性剤の配合量が少なくても、透明で外観が良好であることが確認された。とりわけ、ナノエマルジョン化法及び濃縮化法を併用して製造した芳香液は、透明性が格段優れ、しかも保存安定性でも優れていることが確認された。

Claims (2)

  1. 芳香液を吸上げて容器の外部に揮散させるための吸上揮散部材を備えている容器に、油性香料、並びに界面活性剤としてポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩を含有する芳香液が収容されてなる芳香剤であって、
    上記芳香液が、油性香料1重量部当たり上記界面活性剤を0.4〜重量部の比率で含有する水性溶媒を超音波処理及び/又は高圧乳化処理することにより調製される、透明のナノエマルジョン形態を有し、
    上記芳香液中の上記界面活性剤の濃度が0.37〜3重量%である
    ことを特徴とする芳香剤。
  2. ポリオキシアルキレン硬化ひまし油エーテルがポリオキシエチレン硬化ひまし油エーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルがポリオキシエチレンデシルエーテル、及びジアルキルスルホコハク酸塩がジオクチルスルホコハク酸ナトリウムである、請求項1記載の芳香剤。
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