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JP5468866B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な老化防止と美白作用に優れた皮膚外用剤に関する。
近年、肌のシワやハリが低下する等の肌老化の原因の一つにフリーラジカルや活性酸素の存在が注目されている。フリーラジカルや活性酸素はコラーゲン等の生体組織を分解、架橋、酸化することにより肌にダメージを与え、肌の老化を促進する。また、紫外線によってコラゲナーゼ等のマトリックスメタロプロテアーゼが活性化され、真皮中のコラーゲンを減少させることによりシワやタルミを促進することも報告されている。さらに、炎症時にはヒアルロニダーゼが活性化され、高分子のヒアルロン酸を低分子化することにより、皮膚のハリを低下させてシワ等の老化を引き起こすことが知られている。
近年、シワ・タルミ等の老化防止を目的として、レチノイン酸、α‐ヒドロキシ酸、レチノール、トコフェロール、アスコルビン酸、スーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)等の抗酸化剤を化粧料に配合する方法が知られている。また天然原料として、コラゲナーゼやヒアルロニダーゼ等の阻害効果や活性酸素消去効果を有する植物抽出物を配合する方法も一般に用いられている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3)
特開平7−258063号 特開平8−175957号 特開平8−175958号
一般にシミ、ソバカス、日焼け等に見られる皮膚の色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激により、皮膚内に存在するメラニン色素生成細胞がメラニン色素を過剰に生成し、これが皮膚内に沈着することが原因と考えられている。このような色素沈着を防ぐ方法の一つに、メラニンの過剰な生成を抑制する方法が知られている。従来、色素沈着の治療にはハイドロキノンやアスコルビン酸(ビタミンC)等を外用する処置が行われてきた。
しかしながら、これらの活性酸素消去効果、酵素阻害効果及びメラニン生成抑制効果を有する植物由来の天然原料として、本発明に用いたキツネノマゴ科クロサンドラ属植物は検討されていなかった。
皮膚の老化防止又は抗酸化を目的として用いられるSODは不安定であり、製剤化が難しく、ビタミンEも効果が充分であるとは言えない。また、合成化合物であるBHT等は安全性に問題があり、配合量に制限があることから、化学合成品ではなく、安定でかつ副作用の少ない天然原料が望まれている。同様に、安全で安定なコラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼ阻害作用を有することが老化防止に好ましい。また、抗酸化剤や美白剤して用いられるアスコルビン酸は経時的に分解しやすい等の欠点があるため、同様に安定性が高く、効果の優れた天然物由来の皮膚外用剤が望まれている。
以上のことから、安全で安定性に優れ、老化防止及び美白作用に優れた皮膚外用剤が望まれている。
本発明者らは、多くの植物抽出物について前記のような美容及び健康に関する各種評価系へのスクリーニングを実施してきた。その過程において、化粧品分野において新規の成分である、キツネノマゴ科クロサンドラ属植物より得られた抽出物は、何れの作用にも有効性を認め、しかも安全で、澱、沈殿、変色、変臭の発生が少ない非常に安定な性質を有する多機能性美容・健康用素材と成り得ることを見いだした。
このような事情により、本発明者らは鋭意検討した結果、キツネノマゴ科クロサンドラ属植物抽出物が優れた活性酸素消去作用、コラゲナーゼ阻害、ヒアルロニダーゼ阻害及びメラニン生成抑制作用をもち、安定性においても優れていることを見出した。さらに、その抽出物を含有する皮膚外用剤が、安全で安定であり、老化防止及び美白作用に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明に用いるキツネノマゴ科クロサンドラ属植物とは、一般にクロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)やクロサンドラ・プンゲンス(Crossandra Pungens)などがあり、広く販売されている。
本発明に用いるキツネノマゴ科クロサンドラ属植物抽出物とは、植物体の葉、茎、花、根等の植物体の一部又は全草から抽出したものである。好ましくは、植物体の葉、茎から抽出して得られるものが良い。その抽出方法は特に限定されず、例えば、加熱抽出したものであっても良いし、常温抽出したものであっても良い。
抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、液状多価アルコール(1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィン等)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル等)が挙げられる。好ましくは、水、低級アルコール及び液状多価アルコール等の極性溶媒が良く、特に好ましくは、水、エタノール、1,3−ブチレングリコール及びプロピレングリコールが良い。これらの溶媒は一種でも二種以上を混合して用いても良い。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈及び濾過処理、活性炭等による脱色、脱臭処理等をして用いても良い。更には、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥等の処理を行い、乾燥物として用いても良い。
本発明の皮膚外用剤には、上記抽出物をそのまま使用しても良く、抽出物の効果を損なわない範囲内で、外用剤に用いられる成分である油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、金属石鹸、pH調整剤、防腐剤、香料、保湿剤、粉体、紫外線吸収剤、増粘剤、色素、酸化防止剤、美白剤、キレート剤等の成分を配合することができる。
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品のいずれにも用いることができ、その剤形としては、例えば、化粧水、クリ−ム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、エッセンス、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデ−ション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤等の皮膚に適用されるものが挙げられる。
本発明に用いる上記抽出物の配合量は、本発明の皮膚外用剤全量に対し、固形物に換算して0.0001重量%以上、好ましくは0.001〜10重量%の配合が良い。0.0001重量%未満では十分な効果は望みにくい。10重量%を越えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。また、添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
次に本発明を詳細に説明するため、実施例として本発明に用いる抽出物の製造例、処方例及び実験例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す配合量の部とは重量部を、%とは重量%を示す。
製造例1 クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物
クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の全草の乾燥物20gに精製水400mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してクロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物を2.2g得た。
製造例2 クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%エタノール抽出物
クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の全草の乾燥物100gに50%エタノール1Lを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%エタノール抽出物を4.2g得た。
製造例3 クロサンドラ・インフンディブリフォルミスのエタノール抽出物
クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の全草の乾燥物100gにエタノール1Lを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮乾固して、クロサンドラ・インフンディブリフォルミスのエタノール抽出物を3.9g得た。
製造例4 クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%1,3−ブチレングリコール抽出物
クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の全草の乾燥物20gに50%1,3−ブチレングリコール400mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾過し、クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%1,3−ブチレングリコール抽出物を380g得た。
製造例5 クロサンドラ・プンゲンスの熱水抽出物
クロサンドラ・プンゲンス(Crossandra Pungens)の全草の乾燥物20gに精製水400mLを加え、95〜100℃で2時間抽出した後、濾過し、その濾液を濃縮し、凍結乾燥してクロサンドラ・プンゲンスの熱水抽出物を2.5g得た。
処方例1 化粧水
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物
(製造例1) 1.0
2.1,3−ブチレングリコール 8.0
3.グリセリン 2.0
4.キサンタンガム 0.02
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.エタノール 5.0
8.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
9.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.1
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜6及び11と、成分7〜10をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合し濾過して製品とする。
比較例1 従来の化粧水
処方例1において、クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物を精製水に置き換えたものを従来の化粧水とした。
処方例2 クリーム
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%エタノール抽出物
(製造例2) 0.5
2.スクワラン 5.5
3.オリーブ油 3.0
4.ステアリン酸 2.0
5.ミツロウ 2.0
6.ミリスチン酸オクチルドデシル 3.5
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ベヘニルアルコール 1.5
9.モノステアリン酸グリセリン 2.5
10.香料 0.1
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.パラオキシ安息香酸エチル 0.05
13.1,3−ブチレングリコール 8.5
14.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜9を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び11〜14を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分10を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
比較例2 従来のクリーム
処方例2において、クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%エタノール抽出物を精製水に置き換えたものを従来のクリームとした。
処方例3 乳液
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・プンゲンスの熱水抽出物(製造例5) 0.01
2.スクワラン 5.0
3.オリーブ油 5.0
4.ホホバ油 5.0
5.セタノール 1.5
6.モノステアリン酸グリセリン 2.0
7.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 3.0
8.ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(20E.O.) 2.0
9.香料 0.1
10.プロピレングリコール 1.0
11.グリセリン 2.0
12.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
13.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1及び10〜13を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら冷却し、45℃で成分9を加え、更に30℃まで冷却して製品とする。
処方例4 ゲル剤
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスのエタノール抽出物
(製造例3) 1.0
2.エタノール 5.0
3.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
4.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.1
5.香料 適量
6.1,3−ブチレングリコール 5.0
7.グリセリン 5.0
8.キサンタンガム 0.1
9.カルボキシビニルポリマー 0.2
10.水酸化カリウム 0.2
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜5と、成分1及び6〜11をそれぞれ均一に溶解し、両者を混合して製品とする。
処方例5 パック
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物
(製造例1) 1.0
2.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの
50%1,3−ブチレングリコール抽出物(製造例4) 0.1
3.ポリビニルアルコール 12.0
4.エタノール 5.0
5.1,3−ブチレングリコール 8.0
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
7.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.) 0.5
8.クエン酸 0.1
9.クエン酸ナトリウム 0.3
10.香料 適量
11.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分1〜11を均一に溶解し製品とする。
処方例6 ファンデーション
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの50%エタノール抽出物
(製造例2) 1.0
2.ステアリン酸 2.4
3.ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(20E.O.) 1.0
4.ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 2.0
5.セタノール 1.0
6.液状ラノリン 2.0
7.流動パラフィン 3.0
8.ミリスチン酸イソプロピル 6.5
9.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1
10.ベントナイト 0.5
11.プロピレングリコール 4.0
12.トリエタノールアミン 1.1
13.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
14.二酸化チタン 8.0
15.タルク 4.0
16.ベンガラ 1.0
17.黄酸化鉄 2.0
18.香料 適量
19.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分2〜8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。成分19に成分9をよく膨潤させ、続いて、成分1及び10〜13を加えて均一に混合する。これに粉砕機で粉砕混合した成分14〜17を加え、ホモミキサーで撹拌し75℃に保ち水相とする。この水相に油相をかき混ぜながら加え、冷却し、45℃で成分18を加え、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
処方例7 浴用剤
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物
(製造例1) 5.0
2.炭酸水素ナトリウム 50.0
3.黄色202号(1) 適量
4.香料 適量
5.硫酸ナトリウムにて全量を100とする
[製造方法]成分1〜5を均一に混合し製品とする。
処方例8 軟膏
処方 配合量(部)
1.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの熱水抽出物
(製造例1) 0.01
2.クロサンドラ・インフンディブリフォルミスの
50%1,3−ブチレングリコール抽出物(製造例4) 0.5
3.ポリオキシエチレンセチルエーテル(30E.O.) 2.0
4.モノステアリン酸グリセリン 10.0
5.流動パラフィン 5.0
6.セタノール 6.0
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
8.プロピレングリコール 10.0
9.精製水にて全量を100とする
[製造方法]成分3〜6を加熱溶解して混合し、70℃に保ち油相とする。成分1、2及び7〜9を加熱溶解して混合し、75℃に保ち水相とする。油相に水相を加えて乳化して、かき混ぜながら30℃まで冷却して製品とする。
次に、本発明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。
実験例1 フリーラジカル捕捉除去作用
フリーラジカル捕捉除去作用の評価を行った。陽性対照としてはアスコルビン酸を用いた。フリーラジカルのモデルとしては、安定なフリーラジカルであるα,α−ジフェニル−β−ピクリルヒドラジル(以下DPPHとする)を用い、試料と一定の割合で一定時間反応させ、減少するラジカルの量を波長517nmの吸光度の減少量から測定した。
フリーラジカル捕捉除去作用の測定方法
試料は、製造例1,2,3及び5に記載の抽出物を用いた。
各試料を、最終濃度0.01mg/mL(アスコルビン酸は0.01mg/mL)となるように加えた0.1M酢酸緩衝液(pH5.5)2mLに無水エタノール2mL及び0.5mM DPPH無水エタノール溶液1mLを加えて反応液とした。また、油溶性の試料の場合は無水エタノール2mLに試料を加えて反応液とした。その後、37℃で30分間反応させ、水を対照として波長517nmの吸光度(A)を測定した。また、ブランクとして試料の代わりに精製水を用いて吸光度(B)を測定した。フリーラジカル捕捉除去率は、以下に示す式より算出した。
フリーラジカル捕捉除去率(%)=(1−A/B)×100
これらの試験結果を表1に示した。本発明のクロサンドラ・インフンディブリフォルミス及びクロサンドラ・プンゲンスの抽出物は、安定で優れたフリーラジカル捕捉除去作用を有していることが認められた。なお、アスコルビン酸は、100℃、1時間の熱処理で失活するが、本発明のクロサンドラ・インフンディブリフォルミス及びクロサンドラ・プンゲンスの抽出物は、活性に変化はなかった。
実験例2 B16マウスメラノーマを用いたメラニン生成抑制試験
対数増殖期にあるB16マウスメラノーマをφ60mmdishに3×10個の細胞を播種し、最終濃度1μg/mLの試料を含むEagles’MEM(10%牛胎児血清含有)培地を加え、37℃、5%COの条件下にて培養した。培養5日後に細胞をdishから剥離し、細胞を超音波破砕した後、4NNaOHを加え60℃で2時間の処理を行い、分光光度計でO.D.475nmを測定した。尚、超音波処理後の細胞破砕液をLowryの方法(J.Biol.Chem.,193,265−275,1951)でタンパク定量し、タンパク量当りのメラニン量を比較することによって、メラニン生成抑制効果の指標とした。
これらの試験結果を表2に示した。本発明のクロサンドラ・インフンディブリフォルミス及びクロサンドラ・プンゲンスの抽出物は、優れたメラニン生成抑制作用を有していることが認められた。
実験例3 コラゲナーゼ阻害試験
製造例1,2,3及び5を試料として用い、コラゲナーゼ阻害作用を測定した。最終濃度が1mg/mLの試料液50μLに酵素液として50U/mLのコラゲナーゼ Type IV(シグマ製)水溶液を50μL加えた。基質溶液として0.39mg/mLのPz−ペプタイド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH、シグマ製)を含む20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を400μL加えて混合し、37℃、30分反応させた後、25mMクエン酸0.5mLを加えて反応を停止させた。酢酸エチル2.5mLを加え、酢酸エチル層について320nmにおける吸光度を測定した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。なお、対照には試料の代わりに精製水を用い、ブランクとしてコラゲナーゼの代わりに20mM塩化カルシウム入りトリス塩酸緩衝液(pH7.1)を用いた。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の320nmにおける吸光度(O.D.320)
B:対照ブランクのO.D.320
C:試料のO.D.320
D:試料ブランクのO.D.320
これらの実験結果を表3に示した。その結果、本発明のクロサンドラ・インフンディブリフォルミス及びクロサンドラ・プンゲンスの抽出物は優れたコラゲナーゼ阻害作用を示した。
実験例4 ヒアルロニダーゼ阻害試験
製造例1,2,3及び5を試料として用い、ヒアルロニダーゼ阻害作用をMorgan−Elson法を応用した方法〔食品衛生学雑誌,31,3(1990)〕に準じて測定した。すなわち、最終濃度0.1mg/mLの試料液に0.1M酢酸バッファ(pH4.0)175μLを加え、さらにヒアルロニダーゼの酵素活性を250U/mL、ヒアルロン酸の濃度を0.4mg/mL、活性化剤のコンパウンド48/80を0.08mg/mLになるようにして全量を500μLに調整した後、ヒアルロニダーゼ反応を37℃で40分間実施した。反応後にp−ジメチルアミノベンズアルデヒド試薬を加えて発色させ、585nmにおける吸光度を測定した。また、各試料の阻害作用は、次の式から求められる阻害率で算出した。なお、対照には試料液の代わりに精製水を用い、ブランクとしてヒアルロニダーゼの代わりに0.1M酢酸バッファ(pH4.0)を用いた。
阻害率(%)=〔1−(C−D)/(A−B)〕×100
A:対照の585nmにおける吸光度(O.D.585)
B:対照ブランクのO.D.585
C:試料のO.D.585
D:試料ブランクのO.D.585
これらの実験結果を表4に示した。その結果、本発明のクロサンドラ・インフンディブリフォルミス及びクロサンドラ・プンゲンスの抽出物は優れたヒアルロニダーゼ阻害作用を示した。
実験例5 使用試験1
処方例1の化粧水、処方例2のクリーム、比較例1の従来の化粧水及び比較例2の従来のクリームを用いて、女性20人(22〜48才)を対象に1ヶ月間の使用試験を行った。使用後、肌のシワ、タルミの改善効果をアンケートにより判定した。
これらの試験結果を表5に示した。その結果、本発明の抽出物を含有する皮膚外用剤は優れたシワ、タルミの改善作用を示した。なお、試験期間中、皮膚トラブルは一人もなく、安全性においても問題なかった。また、処方成分の劣化についても問題なかった。
実験例6 使用試験2
処方例1の化粧水、処方例2のクリーム、比較例1の従来の化粧水及び比較例2の従来のクリームを用いて、シミ、ソバカスに悩む女性20人(22〜48才)を対象に1ヶ月間の使用試験を行った。使用後、シミ、ソバカスの改善効果をアンケートにより判定した。
これらの試験結果を表6に示した。その結果、本発明の抽出物を含有する皮膚外用剤は、優れたシミ、ソバカスの改善作用を示した。なお、試験期間中、皮膚トラブルは一人もなく、安全性においても問題なかった。また、処方成分の劣化についても問題なかった。
以上のことから、クロサンドラ属植物の抽出物は、優れた抗酸化作用、コラゲナーゼ阻害、ヒアルロニダーゼ阻害及びメラニン生成抑制作用を有し、安定性にも優れていた。さらに、これらの抽出物を含有する皮膚外用剤は、安全で優れた老化防止及び美白作用を示した。よって、本発明のクロサンドラ属植物の抽出物を含有する皮膚外用剤は、老化防止用あるいは美白用皮膚外用剤として特に有効である。

Claims (4)

  1. クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の抽出物を含有することを特徴とする美白剤。
  2. クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の抽出物を含有することを特徴とする抗酸化剤。
  3. クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の抽出物を含有することを特徴とするコラゲナーゼ阻害剤。
  4. クロサンドラ・インフンディブリフォルミス(Crossandra infundibuliformis)の抽出物を含有することを特徴とするヒアルロニダーゼ阻害剤。
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