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JP5393486B2 - トリエチレンテトラアミンの製造方法 - Google Patents

トリエチレンテトラアミンの製造方法 Download PDF

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JP5393486B2 JP2009551193A JP2009551193A JP5393486B2 JP 5393486 B2 JP5393486 B2 JP 5393486B2 JP 2009551193 A JP2009551193 A JP 2009551193A JP 2009551193 A JP2009551193 A JP 2009551193A JP 5393486 B2 JP5393486 B2 JP 5393486B2
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Description

本発明は、触媒を用いたエチレンジアミンジアセトニトリル(EDDN)の水素化による、トリエチレンテトラアミン(TETA)の製造方法に関する。場合によりEDDNは、付加的にエチレンジアミンモノアセトニトリル(EDMN)を含むアミノニトリル混合物の構成要素として存在していてもよい。
場合によりさらに他の官能基と置換されている脂肪族ニトリルを、触媒の存在下で相応するアミンに水素化できることは、一般的に公知である。以下に説明するように、幾つかのアミンの製造のためのこのような水素化法は、様々なアミノニトリルに対しても公知である。しかしながら今日まで、アミノニトリルEDDNから、または場合によりEDDNとEDMNとを含むアミノニトリル混合物から出発して、TETAをもアミノニトリルの直接の水素化により製造できることは、どこにも記載されていない。しかしながら従来公知のTETAの製造方法は、以下で説明するように欠点と結びついている。
従来技術には、α−アミノニトリルであるアミノアセトニトリル(AAN)、およびイミノジアセトニトリル(IDAN)、またはβ−アミノニトリルを水素化するための方法が多数記載されている。これにより、β−アミノニトリルの水素化が一般的に問題なく進行することは公知だが、その一方でα−アミノニトリルの水素化は多数の欠点、例えばC−CN結合の、またはR2N−C結合の水素添加による分解と結びついている。Handbook of Heterogeneous Catalytic Hydrogenation for Organic Synthesis,213〜215p"は、β−アミノニトリルと比較して、α−アルキルアミノニトリルまたは環状のα−アミノニトリルを用いたα−アミノニトリルの水素化の問題点を指摘している。α−アミノニトリルの公知の安定性の問題はおそらく、なぜ今日までα−アミノニトリルのAANまたはIDANをEDA(エチレンジアミン)もしくはDETA(ジエチレントリアミン)に水素化することのみが、より正確に記載されているのかという主な理由である。しかしながらEDAまたはDETAは工業的には、以下に記載するEDC法、またはMEOA法により製造される。しかしながら、より高級のα−アミノニトリルに対しては、相応する水素化が知られていない。
DE−A3003729には、脂肪族のニトリル、アルキレンオキシニトリル、およびアルキレンアミノニトリルを、溶媒系の存在下でコバルト触媒またはルテニウム触媒を用いて第一級アミンへと水素化するための方法が記載されている。使用される溶媒系は、水とアンモニアの他にエーテルまたはポリエーテルを含む。原料として使用可能なアルキレンアミノニトリルまたはアルキレンオキシニトリルはそれぞれ、複雑な一般式により定義されている。とりわけ、相応するジアミンに水素化可能な具体的な化合物または例としては、エチレンジアミンジプロピオニトリル、(EDDPN、またN−N’−ビス(シアノエチル)−エチレンジアミンとも呼ばれる)、または3,3’−(エチレンジオキシ)−ジプロピオンニトリルが記載されている。しかしながらDE−A3003729は、シアノメチル置換基を有するEDA誘導体の個々の化合物、例えばEDDN、またはEDMNの使用については、示唆を開示していない。さらに最後に挙げた例は、この文献に記載のアルキレンアミノニトリルの一般的な定義には含まれない。
EP−A0382508は、非環式脂肪族のポリニトリルを液相中でラネーコバルト触媒を用いて、好適には無水アンモニアの存在下で水素化することによる、非環式脂肪族ポリアミンのバッチ式の製造方法を記載している。この際、基本的に酸素不含の雰囲気中にラネーコバルト触媒を含む反応帯域に、ポリニトリル溶液を供給する。全反応時間の間に、ポリニトリルが反応帯域で水素と反応する最大速度以下の速度で、ポリニトリル溶液を供給する。この方法により、ポリニトリル、例えばイミノジアセトニトリル(IDAN)、ニトリロトリアセトニトリル、エチレンジアミンテトラアセトニトリル(EDTN)、または2もしくはそれ以上のシアノ基を有する、詳しく説明できない他の化合物を製造することができる。
EP−A212986は、EP−A0382508と同一の脂肪族ポリニトリルを原料流に含まれる液体状の第一級もしくは第二級アミンの存在下で、顆粒状のラネーコバルト触媒を用いて相応するポリアミンに水素化することができる、さらなる方法に関する。多数のさらなる第一級もしくは第二級アミンの他にとりわけ、不可避的に存在するアミノ成分としてエチレンジアミン(EDA)が記載されている。
EP−A1209146は、その都度ニトリルを、懸濁させ、活性化させた、アルミニウムからなる合金ベースのラネー触媒を用いて液相中で使用し、そしてアンモニア、および塩基性のアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物の不存在下で反応させる、ニトリルから第一級アミンへの連続水素化のためのさらなる方法に関する。ニトリルとしては、他の多くのものに加えてIDAN、EDTN、EDDPN、またはエチレンジアミンモノプロピオニトリル(EDMPN)も相応するエチルアミンに反応させることができる。
EP−B0913388は、ニトリル基を第一級アミンに反応させるための条件下、ニトリルと水素との接触をコバルトスポンジ触媒の存在下で反応させる、ニトリルの接触水素化のための方法に関する。コバルトスポンジ触媒は、事前に水酸化リチウムの触媒量で処理されており、かつこの方法は水の存在下で行う。ニトリルとして適しているのは、1〜30の炭化水素原子を有する脂肪族ニトリル、とりわけまたβ−アミノニトリル、例えばジメチルアミノプロピオニトリルである。相応するポリニトリルからのポリアミンのさらなる製造方法は、DE−A−2755687に開示されている。この方法では、タブレット状の水素化触媒を用いて、触媒の分解を防止する安定化剤の存在下で水素化を行う。ポリニトリルとしてはとりわけ、エチレンジアミンジプロピオニトリル(EDDPN)を使用することができる。安定化剤としてはとりわけ、EDAが適している。
US−A2006/0041170は、TETA、とりわけTETA塩の製造方法、およびそれらの医薬品としての使用に関する。これらの多段階方法では、まずEDDNを製造する。引き続きEDDNをベンズアルデヒドと反応させて、(環状)イミダゾリジン誘導体を形成する。2つのシアノ基を有するこの環状化合物を、例えば水素との反応により還元し、この際相応する環状ジアミノ化合物が得られる。このジアミノ化合物を再び酸の存在下で加水分解し、相応するTETA塩が得られる。代替的な実施例においては、環状ジアミン化合物を同様にベンズアルデヒドと反応させて相応するジイミン化合物を形成し、この化合物を引き続き再び酸の存在下で加水分解させ、相応するTETA塩が得られる。さらなる代替法としてこの文献には、EDDNと、Boc保護基(第三級ブトキシカルボニル基)との反応が記載されている。この際得られる、Boc保護基で二度保護されたEDDN誘導体を引き続き水素化し、相応する保護されたTETA誘導体を得る。Boc保護基の除去は酸性の加水分解により行い、相応するTETA塩が得られる。US−A2006/0041170に記載されている方法の欠点はとりわけ、水素化を行うためには使用する原料EDDNをまず化学的に誘導しなければならないという、多段階の水素化法であることである。さらに不利なのは、まずTETAが塩として生じ、かつ遊離塩基形態では生じないことである。
従って従来技術には、EDDN、またはEDDNとEDMNとを含むアミノニトリル混合物を、アミノニトリルの直接の水素化によりTETAの製造、および場合によりさらなるエチレンアミンの製造のために使用することができることはどこにも記載されていない。しかしながら、他の(大規模工業的な)TETAの製造方法は公知である。
EP−A222934は、強塩基を添加して隣接するジハロアルカンを過剰量のアンモニアと水相で反応させ、この際、イミンの中間生成物が形成され、この生成物を引き続きアルキレンポリアミンと反応させてより高級のアルキレンポリアミンを形成させることによる、より高級のアルキレンポリアミンの製造方法に関する。隣接するジハロアルカンとして適しているのはとりわけ、エチレンジクロリド(EDC、または1,2−ジクロロエタン)である。アルキレンポリアミンとしてはとりわけ、エチレンジアミン、またはより高級のエチレンアミン、例えばDETAを、またTETAとテトラエチレンペンタアミン(TEPA)も使用する。この方法(EDC法)では、様々なエチレンアミンの混合物(線状のエチレンアミン、例えばEDA、DETA、TETA、TEPA、またはより高級のエチレンアミン、ならびに環状の誘導体、例えばピペラジン(Pip)またはアミノエチルピペラジン(AEPip))が生じる。どのエチレンアミンを原料であるEDCとNH3に添加するかによって、反応混合物はより高級のエチレンアミンの相応する含分を含む。例えばTEPAを適切に製造すべき場合、原料であるEDCとNH3にエチレンアミンTETAを添加する。しかしながらこの方法で生成物(エチレンアミン混合物)は、TEPAの比較的高い含分を含むが、また前述のさらなる線状の、ならびに環状エチレンアミンも含む。この方法の欠点はとりわけ、低い選択性で進行すること(得られるエチレンアミン混合物の成分に関して)、およびまず特別なエチレンアミン(例えばDETA)を製造しなければならない(このエチレンアミンを引き続き方法に導入して、一段階高級のエチレンアミン(例えばTETA)を適切に製造するか、もしくはその収率を高める)ことである。さらにこの方法は、使用する原料(ハロゲンアルカン)と生成する塩酸が原因で腐蝕の問題、ならびに生成する塩が原因で環境問題をもたらす。
US−A3,462,493は、少なくとも5倍のモル過剰量のEDAを、エチレンジクロリド、またはエチレンジブロミドと反応させる、TETAの製造方法に関する。この際に副生成物として生じるのはとりわけ、Pip、またはピペラジノエチルエチレンジアミンである。
DE−T68911508は、線状に延長されたポリアルキレンポリアミン、例えばTETAの代替的な製造方法に関する。この方法では二官能性の脂肪族アルコールを、タングステン含有触媒の存在下でアミン反応体と反応させる。二官能性脂肪族アルコールとして適しているのはとりわけ、モノエタノールアミン(MEOA)であり、アミン反応体としては例えばEDA、またはDETAを使用することができる。この方法により基本的に線状に延長されたポリアルキレンポリアミンから成る混合物(エチレンアミン混合物も)が得られる。このエチレンアミン混合物中には、エチレンアミンのDETA、TETA、TEPA、Pip、AEPip、またはより高級のエチレンアミンのピペラジン誘導体が含まれており、この際それぞれの成分の含分は、使用するアミン反応体により変わる。アミン反応体としてDETAを使用する場合、TETAとTEPAの含分が高いエチレンアミン混合物が得られる。この方法を用いる欠点は、この方法が低い選択性(得られるエチレンアミン混合物の成分に関して)で進行することであり、かつまず付加的なエチレンアミンを合成しなければならならず、二官能性の脂肪族アルコール(例えばMEOA)と反応させることである。この際大量に副生成物、例えばアミノエチルエタノールアミン(AEEA)、またはより高級のヒドロキシ基含有エチレンアミンが生じるが、これらは商業的に重要ではない。副生成物が比較的大量に生じるのは、MEOAもしくは比較的高級のエタノールアミン(例えばAEEA)が使用するアミンの代わりに、自身と反応し得るからである。(統計学的な)多数の反応混合物の可能性により、線状のTETAに対する選択性は、併産物が原因で非常に低く、かつ制御不能である。この合成は、部分的な反応でのみ可能である。
エチレンアミンの製造方法の概観をもたらすのは、SRI−Report"CEH Product Review Ethyleneamines"; SRI International,2003; 53−54pであり、ここでは上記記載の方法に相応して(原料EDCまたはMEOAを用いて)、とりわけEDAまたはDETAを製造する。この際、より高級のエチレンアミン、例えばTETAまたはTEPAが副生成物として生じるか、もしくは原料とEDAまたはDETAとの新たな反応によりより高い収率が得られる。
従って本発明の課題は、TETA、および場合によりDETAを適切に製造するための、簡便かつ低コストな方法を提供することである。
この課題は、エチレンジアミンジアセトニトリル(EDDN)を触媒と溶媒の存在下で水素化する、トリエチレンテトラアミン(TETA)の製造方法により解決される。EDDNが、EDDNを少なくとも30質量%、かつエチレンジアミンモノアセトニトリル(EDMN)を少なくとも5質量%含むアミノニトリル混合物中に存在する場合、TETAの他にさらなる主生成物としてDETAも得られる。本発明の範囲における水素化とは、EDDNまたは場合によりさらなるアミノニトリルと水素との反応を意味する。
本発明による方法は、TETA、および場合によりさらなる主成分DETAを高い反応率、および/または高い選択性で製造することができるという利点を有する。高められた選択性はとりわけ、使用するEDDNが主にTETAに水素化することで示される。この際形成される副生成物は、おもにさらなる線状エチレンアミン、例えばDETAまたはTEPAである。環状エチレンアミン、例えばAEPipの含分は、本発明による方法では比較的少ない。しかしながらさらなるエチレンアミンは、一部同様に重要な有用生成物(主に線状エチレンアミン、例えばDETA)であり、これらの単離は例えば大規模工業的な方法では価値がある。これに対して環状エチレンアミン、例えばAEPiPは、有用生成物としてはそれほど重要ではない。しかしながらAEPiPは、アミノニトリル合成に返送することができ、かつ引き続いた水素化後、同様に"工業用TETA"とも呼ばれる有用生成物が得られる。
有利な方法では、EDDN、および場合によりEDMNを完全に、またはほぼ完全に反応させる。これはとりわけ、大規模工業的な方法において重要である。と言うのも、未反応の原料は通常、製造循環に返送するか、もしくは処理しなければならないからである。比較的大量のEDDN、および/またはEDMNが反応しない方法は、EDDNもしくはEDMNの高い非安定性が原因で非常に不利である。一方ではEDDNもEDMNも比較的高い温度で分解する傾向があり、その結果分解生成物をその都度の循環に返送することができず、他方この分解は爆発的な激しさをも伴って進行しうる。本発明による方法では、アミノニトリルを完全に反応させることができるため、製造サイクルへの返送に関して苦労する必要が無い。
本発明による方法のさらなる利点は、EDC法とは異なり、塩化炭化水素を原料として使用しなくてよいことにある。その上、塩酸もしくはこれらの塩がさらなる反応生成物として生じない。前記物質の処理は、とりわけ大規模工業的な方法では(環境)問題である。MEOA法と比べて有利には、様々な原料のお陰でAEEAの形成、ならびにヒドロキシ官能基を有するさらなる化合物の形成が問題ではなくなる。
本発明による方法でアミノニトリル混合物を水素化する場合、市場の要請に従いより高い、またはより低いTETAもしくはDETA含分を製造することができることは、有利と評価することができる。このことは、原料であるEDMN対EDDNの比が基本的に、生成物におけるDETA対TETAに反映されることに基づく。従って本発明による方法では、市場で所望の量比を提供するために、特定のアミノニトリル混合組成物を適切に使用することができる。本発明による方法により、DETA少なくとも5%の他に、TETA少なくとも30%、ならびに場合によりさらなるエチレンアミン、例えばピペラジン誘導体が有用生成物として得られるエチレンアミン混合物が、高い選択性で得られる。
本発明による方法では、実施態様でEDDNを(主)原料として使用する。この実施態様では、水素化される溶液中のさらなるアミノニトリルの含分は、EDDNに対して好適には≦10質量%、とりわけ≦5質量%に限定されている。本発明のさらなる実施態様においては、EDDNはアミノニトリル混合物の構成要素として存在する。このアミノニトリル混合物は、EDDN少なくとも30質量%の他に、エチレンジアミノモノアセトニトリル(EDMN)少なくとも5質量%、ならびに場合によりさらなるアミノニトリルを含む。EDDNは通常、30〜95質量%、好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは75〜90質量%、アミノニトリル混合物中に含まれている。このアミノニトリル混合物は、EDMNを通常5〜70質量%、好ましくは5〜50質量%含む。この混合物は特に好ましくは、EDMNを10〜25質量%含む。EDDNとEDMN、ならびにさらなるアミノニトリルの前述の質量%表示は、混合物中に含まれるアミノニトリルの全量に対する。付加的に存在する水、またはその他の溶媒は、この量に関する表示については考慮しない。
一般的にあらゆる種類/品質のEDDN、および場合によりEDMN、ならびにさらなるアミノニトリルを使用することができる。好ましくは、相応するアミノニトリルを水溶液の形で使用する。EDDNまたはEDMNの製造方法は、当業者に公知である。これについては、K.Masuzawa et al.,Bull.Chem.Soc.Japan,41巻 (1968),702−707ページ; H. Brown et al.,Helvetica Chimica Acta,43巻(1960),659−666ページ、および H.Baganz et al.,Chem.Ber.,90(1957),2944−2949ページを参照。好適にはEDDNおよび/またはEDMNを、EDAとホルムアルデヒドシアンヒドリン(FACH)との反応により製造する。FACHの製造方法は当業者に公知である。
さらには、EDDNおよび/またはEDMNを、EDAとホルムアルデヒドおよび青酸との反応により製造することができる。
EDDNは基本的に、本発明による方法での使用前に当業者に公知の方法により精製することができる。場合により、新たに製造するEDDNを本発明による方法で使用することもできる。EDDN合成に引き続き、精製工程を行うことができ、製造されるEDDNの水の除去が可能である。本発明による方法においてEDDNがEDDNとEDMNとを含むアミノニトリル混合物に存在する場合、アミノニトリル混合物の個々の成分を相互に別々に合成し、そして本発明による方法での使用前に相応する量でアミノニトリル混合物にまとめて一つにすることができる。
本発明の好ましい実施態様では、EDDNとEDMNを一緒に合成する。好適にはこの際、EDDNとEDMNを、EDAとFACHとの反応により製造する。FACHの濃度によって、アミノニトリル混合物中のEDDN対EDMNの比を調整することができる。好適にはEDA対FACHのモル比は1:1.5〜1:2(mol/mol)である。FACHの含分が少なければ少ないほど、アミノニトリル混合物中のEDMN含分は多くなる。好適にはこの際、EDDNとEDMNの先の記載濃度に従ってアミノニトリル混合物を製造する。この際に得られるアミノニトリル混合物において、EDDNまたはEDMNの濃度を相応する添加により上昇、または低下させることができる。
本発明による方法の実施態様においては水素化の前に、場合によりEDMNも含む原料EDDNから低沸点成分を分離する。好適には本発明による方法において、低沸点成分をほとんど含まず、場合によりEDMNを含むEDDNを使用する。EDDNと場合によりEDMNの製造のためにFACHを使用する場合、低沸点成分をFACHとEDAとの反応の前に既に除去しておくことができる。好適には低沸点成分として青酸(HCH)を分離する。この際にHCNは、FACHの分解生成物としても生じる。さらには、この箇所で場合により存在するアンモニアを分離することができる。好適にはこの分離を蒸留により、例えばサンベイ蒸留(Sambay Destillation)("Chemie Ingenieur Technik,27巻,257−261p")のような、例えば薄膜式蒸留の形で行う。場合により反応混合物を、水素化前に窒素でストリッピングすることもできる。
EDDNは常温で固体であり、EDMNも同様である。従って本発明による方法は、溶媒、例えば有機溶媒の存在下、および/または水の存在下で行う。好適には水を溶媒として使用し、場合によりまた水と有機溶媒、例えばエーテル、とりわけTHF、またはアルコール、とりわけメタノールとから成る混合物を使用することができる。しかしながら、水に加えて有機溶媒(不活性の有機化合物)の付加的な使用は有利であると実証されている。と言うのもこのことにより、水性アミノニトリル混合物の各成分の安定化を、とりわけ生成するアミンの存在下で達成することができるからである。さらには有機溶媒の使用により、使用する触媒の洗浄効果(洗浄間隔の減少、触媒取り出しの減少)が得られ、このことによりその耐用期間を向上させ、もしくはその消費を低下させ(より長い触媒寿命)、かつ触媒負荷量を改善することができる。適切な溶媒の使用によりさらに、アルキル化された副生成物、例えばAEPiPの形成を減少させることができる。
1つ以上の成分を含むことができる適切な溶媒は、好ましくは以下の特性を有するのが望ましい:
(a)溶媒は、とりわけ生成物の存在下、EDDNまたは場合によりEDMNに対して安定的に作用し、とりわけ存在する温度でこれらの分解を妨げるのが望ましい。
(b)溶媒は、良好な水素溶解性を示すのが望ましい。
(c)溶媒は、反応条件において不活性であるのが望ましい。
(d)この反応混合物(EDDN、場合により水、ならびに溶媒)は、反応条件下で一相であるのが望ましい。
(e)この溶媒選択は好ましくは、水素化に引き続いた生成物流からの生成物の蒸留分離の観点から行うのが望ましい。この際、エネルギー的に、または装置的にコストのかかる分離(例えば高沸点性(engsiedend)の混合物、または分離するのが難しい共沸混合物)を避けることができる。
(f)溶媒は、生成物と良好に分離可能であるのが望ましい、すなわち溶媒の沸点は生成物の沸点と充分に異なるのが望ましい。この際、生成物の沸点より低い沸点であるのが好ましい。
可能な溶媒(水の他に)は、有機溶媒、例えばアミド、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、およびジメチルホルムアミド(DMF)、芳香族の、および脂肪族の炭化水素例えばベンゼンおよびキシレン、アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二級ブタノール、および第三級ブタノール、アミン、例えばEDAもしくはエチレンアミン、エステル、例えば酢酸メチルエステル、または酢酸エチルエステル、およびエーテル、例えばジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、グリコールジメチルエーテル、ジグリコールジメチルエーテル、ジオキサン、およびテトラヒドロフラン(THF)である。好ましくは本発明による方法ではエーテルを使用し、より好ましくは環状エーテルを、そして特に好ましくはテトラヒドロフランを使用する。さらに好ましい実施態様においては、アルコール、とりわけメタノールを有機溶媒として使用する。
溶媒は、使用するアミノニトリル(EDDNと場合によりEDMN)に対して0.1:1〜15:1の質量比で使用する。水素化を行う溶液中のアミノニトリル混合物の濃度は、適切な供給速度もしくは滞留時間を調整できるように選択するのが望ましい。好ましくは、アミノニトリル10〜50質量%を溶媒と混合する。特に好ましい溶媒であるメタノールもしくはテトラヒドロフランについては例えば有利には、溶媒に対して20〜40質量%のアミノニトリルを使用する。
水が存在する場合、溶液中の水含分は0〜70質量%の範囲、好適には10〜50質量%の範囲である。この際、水の量の記載はアミノニトリル−水混合物に対する。
水素化を行う溶液には場合により、付加的な添加剤が含まれていてよい。添加剤としては基本的に、水酸化物、例えばアルカリ金属水酸化物、アルコラート、アミド、アミンが考慮される。好適には添加剤としてはアミン、好ましくはEDAとアンモニア、とりわけEDAが適している。さらにまた、酸性の添加剤、例えばケイ酸塩が、溶液中に付加的に含まれていてよい。これらの物質は、純物質として、または溶媒中に溶解させて添加することができる。好適には、本発明による方法は添加剤を加えて行う。
ニトリル官能基のアミンへの水素化のための触媒として、活性種として周期表の第8副族(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt)の1つ以上の元素、好ましくはFe、Co、Ni、RuまたはRh、特に好ましくはCoまたはNiを含む触媒を使用することができる。その中に含まれているのは、いわゆる骨格触媒(Raney(登録商標)型とも呼ばれる:以降ラネー触媒)であり、これらは水素化活性金属およびさらなる成分(好ましくはAl)から成る合金の溶出(活性化)によって得られる。該触媒は、付加的に1つ以上の助触媒を含んでいてよい。好ましい実施態様においては、本発明による方法でラネー触媒を使用し、好ましいのはラネーコバルト触媒またはラネーニッケル触媒、および特に好ましくは少なくとも1のCr、Ni、またはFe元素でドープしたラネーコバルト触媒、またはMo、Cr、またはFe元素でドープしたラネーニッケル触媒である。
該触媒は、完全触媒または担持触媒として使用することができる。担体として、有利には金属酸化物、例えばAl23、SiO2、ZrO2、TiO2、金属酸化物の混合物または炭素(活性炭、カーボンブラック、グラファイト)が用いられる。
該酸化物触媒は、使用前に反応器の外側または反応器中で、水素を含むガス流中での活性金属酸化物の還元によって、高められた温度で活性化させる。触媒を反応器の外側で還元させる場合、その後、酸素を含むガス流による不動態化または不活性材料中への埋め込みを行うことができ、こうして空気による制御不能な酸化が回避され、かつより安全な操作が可能となる。不活性材料としては、有機溶媒、例えばアルコール、およびまた水、または1つのアミン、好ましくは反応生成物を使用することができる。活性化の際の例外は骨格触媒であり、該触媒は例えばEP−A1209146に記載されているような水性塩基による溶出によって活性化することができる。
実施方法(懸濁水素化、流動床法、固定床水素化)に従って、該触媒を粉末、破片状または成形体(好ましくは押出成形体、またはタブレット)として使用する。
特に好ましい固定床触媒は、EP−A1742045に開示されている、Mn、Pおよびアルカリ金属(Li、Na、K、Rb、Cs)でドープされたコバルト完全触媒である。これらの触媒の触媒活性組成物は、水素による還元前に、それぞれ酸化物として計算して、コバルト55〜98質量%、とりわけ75〜95質量%、リン0.2〜15質量%、マンガン0.2〜15質量%およびアルカリ金属、とりわけナトリウム0.05〜5質量%から成る。
さらなる適切な触媒は、EP−A963975に開示されている触媒であり、該触媒の触媒活性組成物は水素による処理前に、ZrO222〜40質量%、CuOとして計算された銅の酸素含有化合物1〜30質量%、NiOとして計算されたニッケルの酸素含有化合物15〜50質量%(この際、Ni:Cuのモル比は1より大きい)、CoOとして計算されたコバルトの酸素含有化合物15〜50質量%、Al23もしくはMnO2として計算されたアルミニウムおよび/またはマンガンの酸素含有化合物0〜10質量%を含み、かつモリブデンの酸素含有化合物を含まない触媒、例えば、この文献中で開示される、ZrO2として計算されたZr33質量%、NiOとして計算されたNi28質量%、CuOとして計算されたCu11質量%およびCoOとして計算されたCo28質量%の組成を有する触媒Aである。
さらに適しているのは、EP−A696572の中で開示されている触媒であり、該触媒の触媒活性組成物は水素による還元前に、ZrO220〜85質量%、CuOとして計算された銅の酸素含有化合物1〜30質量%、NiOとして計算されたニッケルの酸素含有化合物30〜70質量%、MoO3として計算されたモリブデンの酸素含有化合物0.1〜5質量%、およびAl23もしくはMnO2として計算されたアルミニウムおよび/またはマンガンの酸素含有化合物0〜10質量%を含む。それは例えば、この文献中で具体的に開示される、ZrO231.5質量%、NiO50質量%、CuO17質量%およびMoO31.5質量%の組成を有する触媒である。同じように適しているのは、WO−A99/44984の中で記載される、(a)鉄または、鉄をベースとする化合物またはそれらの混合物、(b)(a)に対して0.001〜0.3質量%の、Al、Si、Zr、Ti、Vの群から選択された2、3、4または5個の元素をベースとする助触媒、(c)(a)に対して0〜0.3質量%のアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属をベースとする化合物、ならびに(d)(a)に対して0.001〜1質量%のマンガンを含有する触媒である。
懸濁法に対しては、好ましくはラネー触媒を使用する。ラネー触媒の場合、活性触媒は二成分の合金(アルミニウムまたはケイ素を有するニッケル、鉄、コバルト)から酸またはアルカリを用いて一方のパートナーを溶出することにより「金属スポンジ」として製造される。当初の合金パートナーの残りがしばしば相乗作用する。
本発明による方法において使用するラネーニッケル触媒は、好ましくはコバルトまたはニッケルから成る、特に好ましくはコバルトと、アルカリに溶解性のさらなる合金成分とからなる合金から出発して製造される。この溶解性の合金成分において、好ましくはアルミニウムを使用するが、他の成分、たとえば亜鉛およびケイ素、またはこれらの成分から成る混合物を使用することもできる。
ラネー触媒の活性化のために、溶解性の合金成分を完全にまたは部分的にアルカリで抽出し、このために例えば水酸化ナトリウム水溶液を使用することができる。この触媒は、その後で例えば水または有機溶媒で洗浄することができる。
触媒中には、1つの、またはそれ以上の他の元素が助触媒として存在していてもよい。助触媒の例は、周期表の副族IB、VIBおよび/またはVIIIの金属、例えばクロム、鉄、モリブデン、ニッケル、銅などである。
溶解性の成分(一般にアルミニウム)の溶出による触媒の活性化は、反応器自体の中で行うか、または反応器中に充填する前に行うことができる。予め活性化された触媒は、空気敏感性および発火性であり、従って一般に媒体、例えば水、有機溶媒または本発明による反応の際に添加される材料(溶剤、出発材料、生成物)中で貯蔵および取り扱われるか、または室温で固体の有機化合物中に埋め込まれる。
本発明による好ましい実施態様においては、Co/Al合金からアルカリ金属水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて溶出し、かつ次に水を用いて洗浄することにより得られ、かつ有利に助触媒として少なくとも元素Fe、Ni、Crの一つを含有するラネーコバルト−骨格−触媒を使用する。
このような触媒は一般に、コバルトの他になお、
Al 1〜30質量%、特にAl 2〜12質量%、殊にAl 3〜6質量%、
Cr 0〜10質量%、特にCr 0.1〜7質量%、殊にCr、0.5〜5質量%、とりわけCr 1.5〜3.5質量%、
Fe 0〜10質量%、特にFe 0.1〜3質量%、特に好ましくはFe 0.2〜1質量%、および/または
Ni 0〜10質量%、特にNi 0.1〜7質量%、特に好ましくはNi 0.5〜5質量%、とりわけNi 1〜4質量%を含み、
この際、この質量表示はそれぞれ触媒総質量に対する。
本発明による方法における触媒として、例えば有利にはコバルト−骨格−触媒「Raney 2724」(W.R.Grace&Co.社)を使用することができる。この触媒は、次の組成を有する:
Al:2〜6質量%、Co:≧86質量%、Fe:0〜1質量%、Ni:1〜4質量%、Cr:1.5〜3.5質量%。
同様に本発明に従って、Ni/Al合金からアルカリ金属水酸化物水溶液、例えば水酸化ナトリウム水溶液を用いて溶出し、かつ次に水を用いて洗浄することにより得られ、かつ好ましくは助触媒として元素Fe、Ni、Crの少なくとも一つを含むニッケル−骨格−触媒を使用する。
このような触媒は通常ニッケルの他になお、
Al 1〜30質量%、特にAl 2〜20質量%、殊にA l5〜14質量%、
Cr 0〜10質量%、特にCr 0.1〜7質量%、殊にCr 1〜4質量%、および/または
Fe 0〜10質量%、特にFe 0.1〜7質量%、殊にFe 1〜4質量%を含み、
この際に質量表示は、それぞれの触媒の総質量に対する。
本発明による方法における触媒として、例えば有利には、Johnson Matthey社のニッケル−骨格−触媒A4000を使用することができる。該触媒は、以下の組成を有する:
Al≦14質量%、Ni≧80質量%、Fe1〜4質量%、Cr1〜4質量%。
該触媒は、場合により低下させた活性および/または選択性で、例えばWO99/33561に、およびその中で引用されている文献に開示されている、当業者に公知の方法により再生することができる。
触媒の再生は、もともとの反応器内で(その場で)、または触媒を除去して(その場所以外で)行うことができる。固定床法の場合、好ましくはその場で再生させ、懸濁法の場合には好ましくは触媒の一部を連続的に、または非連続的に取り除き、その場以外で再生させて、返送する。
本発明による方法を実施する温度は、好ましくは40〜150℃、70〜140℃、とりわけ80〜130℃の範囲である。
水素化の際に存在する圧力は一般的に、5〜300bar、好ましくは30〜250bar、特に好ましくは40〜160barである。
好ましい実施態様においてはEDDNもしくはEDDNを含むアミノニトリル混合物を、EDDNおよび場合によりアミノニトリル混合物の残りの成分が水素化の際に水素と反応する速度以下の速度で水素化に供給する。
この供給速度は好ましくは、ほぼ完全な反応率が達成されるように調整する。これは温度、圧力、混合物の種類、および触媒の量と種類、反応媒体の量と種類、反応内容物の混合レベル、滞留時間などに影響を受ける。
本発明による方法では、1つ(またはそれ以上)の溶媒を使用し、この際溶媒をまずEDDN、またはアミノニトリル混合物と完全に混合する。場合により添加剤も含むことができる生成溶液を、引き続き触媒を含む反応槽に供給する。代替的には、溶媒の部分量を、EDDN、溶媒、および場合により添加剤を含む溶液とは別に、反応槽に加えることもできる。場合により、添加剤を別に、または溶媒の部分量に溶解させて計量供給する。
場合によりEDDNを水溶液として供給し、かつ有機溶媒を別に、添加剤とともに、または添加剤無しで供給する。
場合により、例えばセミバッチ法の場合には、溶媒の一部を触媒と一緒に反応槽に装入することができ、これに溶液を計量供給する。通常、溶液に含まれるEDDNの供給、ならびに場合により含まれるさらなるアミノニトリル、例えばEDMNの供給は、EDDNが水素化の際に水素と反応する速度以下の速度で行う。
EDDNの水素化による、本発明によるTETAの製造方法は、触媒反応に適した通常の反応槽内で、固定床法、流動床法、懸濁法で連続的に、半連続的に、または非連続的に行うことができる。水素化の実施に適しているのは、アミノニトリルおよび触媒と、気体状の水素とを圧力下で接触させることが可能な反応槽である。
懸濁法での水素化は、撹拌反応器、ジェットループ型反応器、ジェットノズル型反応器、泡鐘塔型反応器で、もしくは同種の、または異なる反応器のカスケードで行うことができる。固定床触媒を用いた水素化のためには、管型反応器も、管束型反応器も可能である。
固定床触媒の場合、塔底法、または細流法でアミノニトリルを衝突させる。ただし好ましくは、半連続的な運転方法、および好ましくは連続的な運転方法で懸濁法を使用する。
ニトリル基の水素化は、熱を放出しながら起こり、通常この熱は排出しなければならない。この排熱は、組み込まれた伝熱面、冷却ジャケット、または外部にある熱交換器により、反応器周囲の循環内で行うことができる。水素化反応器、もしくは水素化反応器カスケードは、直線的な通路で延びていてよい。代替的にはまた反応器排出物の一部を、好ましくは循環流の予備的な後処理なしに反応器入口に返送する循環運転方式も可能である。こうして、反応溶液の最適な希釈を達成することができる。とりわけ、循環流は外部の熱交換器を用いて単純かつ低コストで冷却することができ、これにより反応熱を排出することができる。反応器は断熱式に運転されてもよく、この際、反応溶液の温度上昇を、冷却された循環流により制限することができる。反応器自体は冷却する必要がないため、単純かつ低コストな構造様式が可能である。別の選択肢は、冷却された管束型反応器(固定床の場合のみ)である。両方の稼働方法の組み合わせも可能である。この際に好ましくは、固定床反応器を、懸濁反応器に後接続させる。
本発明による方法により、主生成物として線状エチレンアミン(C6生成物)、TETA(第一の場合)、ならびにさらなるエチレンアミンが副生成物として得られる。本発明による方法でEDDNとEDMNを含むアミノニトリル混合物を使用する場合、主成分として両方の線状アミン(C6生成物とC4生成物)、TETA、およびDETA(第二の場合)を、ならびに副成分としてさらなるエチレンアミンを含むエチレンアミン混合物が得られる。
両方の場合において副成分は、線状の、また環状のエチレンアミン、またはその他の副生成物であり得る。最も重要な環状の副生成物として、第一の場合ではAEPip(C6(副)生成物)が形成される。TETA対AEPipの比は、生成物中で通常、3:1〜20:1である。この比は例えば、溶媒の選択、触媒の選択、水の量の選択、および/または添加剤の添加により制御することができる。第一の場合、DETAは同様に(線状の)副生成物である。さらなる副反応としては分解反応があるが、この反応はとりわけ溶媒の選択、計量供給速度の選択、原料の純度の選択、および/または触媒の選択により、制御し、かつ最小限にすることができる。第二の場合では、主にEDMNから形成されているPipがさらなる重要な環状副生成物(C4(副)生成物)として生じる。DETA対Pipの比の形成と制御については、TETA対AEPipと同様の記述が当てはまる。本発明による方法を、第二の場合を用いて以下の反応式1で説明するが、この際EDDNとEDMNを一緒に例えばFACHから出発して製造することができる。
Figure 0005393486
第一の場合では、主成分(TETA)として線状のエチレンアミンが一つだけ存在する一方、反応生成物が2つの線状のエチレンアミンを主成分として(TETAとDETA)を含むので、第二の場合では"エチレンアミン混合物"という言葉を使用する。従って、これまでに、もしくはこれ以降に記載する副生成物は、言葉の定義に対しては両方の場合において考慮しない。
第一の場合ではTETAが、使用するEDDNの量に対して好ましくは≧70質量%、とりわけ≧85質量%、特に好ましくは>90質量%の選択性で得られる。第二の場合では、原料EDDNとEDMNの比が基本的に水素化後、相応する生成物TETAとDETAに反映されている。
"さらなるエチレンアミン"という言葉には、本発明の範囲において、あらゆるTETA(第一の場合)、およびあらゆるTETAとDETA(第二の場合)、少なくとも2つのエチレン単位と、少なくとも2つの官能基(この際これらの官能基は、第一級、第二級、または第三級アミノ基から選択されている)とを含む様々な炭化水素含有化合物と理解されるべきである。本発明においてさらなるエチレンアミンとは、環状化合物、例えばピペラジン(Pip)、ならびにピペラジンの誘導体でもあると理解されるべきである。同様にエチレンジアミン(EDA)は、さらなるエチレンアミンと理解されるべきである。さらなるエチレンアミンはとりわけ、ジエチレントリアミン(DETA;第一の場合のみ)、ピペラジン(Pip)、アミノエチレンピペラジン(AEPip)、またはテトラエチレンペンタアミン(TEPA)である。
水素化に引き続き、得られる生成物(TETAまたはエチレンアミン混合物)を、例えば溶媒、および/または触媒を当業者に公知の方法で分離することによって、場合によりさらに精製することができる。とりわけ、主生成物(TETAと場合によりDETA)は、一緒に、またはそれぞれ当業者に公知の方法に従って反応生成物から単離することができる。両方の主生成物を、例えば蒸留により一緒に単離する場合、これらを引き続き両方の個々の生成物に単離することができる。こうして最終的に純粋なTETAと純粋なDETAが得られる。その他の不純物、副生成物、またはさらなるエチレンアミン、例えばTEPAまたはPipは、同様に当業者に公知の方法でその都度の生成物から分離することができる。場合によりTETAもまた、少量で形成されるジアミノエチルピペラジン、またはピペラジニルエチレンジアミンと一緒に単離することができる。
好ましい実施態様においては本発明による方法を、溶媒としてテトラヒドロフラン、またはメタノールを使用して行う。水素化の際の温度は、好適には80〜140℃、圧力は好適には40〜120barである。好適には水素化を、EDAの、および/またはアンモニアの存在下で行う。
以下の実施例により、本発明による方法を説明する。割合は、特に記載のない限り質量%で記載されている。導入される内部標準、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DEGDME)により、場合により形成される揮発性の分解成分の測定によって、生成物の定量化ができる。この定量化はガスクロマトグラフ(GC)を用いて行い、この際その都度取り出した試料に対して、均質化のためにメタノールを加える。
実施例:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン(FACH)合成のための一般的な手法
変法a)
プロペラ撹拌機を有する6lの反応槽に、ホルムアルデヒド(30%)6000g(60mol)を装入し、そして水酸化ナトリウム溶液(1mol/l)でpH値を5.5に調整する。2.5時間以内に青酸1661g(61.2mol)を、撹拌機下部にある加熱したU字管を介して気体で供給し、この際反応温度は30℃に、そしてpH値は5.5に保つ。30分の後撹拌時間後、pH値を硫酸(50%)で2.5に調整する。リービッヒ滴定を介して、相応する含分を測定する。
変法b)
プロペラ撹拌機を有する6lの反応槽に、ホルムアルデヒド(30%)7000g(70mol)を装入し、そして水酸化ナトリウム溶液(1mol/l)でpH値を5.5に調整する。3時間以内に青酸1938g(71.4mol)を、撹拌機下部にある50℃に加熱したU字管を介して気体で供給し、この際反応温度は30℃に、そしてpH値は5.5に保つ。10分の後撹拌時間後、pH値を硫酸(50%)で2.5に調整する。低沸点成分、とりわけ青酸を分離するために、反応排出物をサンベイ蒸留(例えば"Chemie Ingenieur Technik, 27巻, 257−261pに記載)(1mbar、30℃)に供する。リービッヒ滴定により相応する含分を測定し、そして場合により水の添加によりFACH含分を43〜44%もしくは67%に調整する。
実施例1:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法a)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、FACH(42.5%)536.5g(4mol)を装入し、そして氷冷下最大35℃の温度で、2時間以内にエチレンジアミンを132g(2.2mol)滴加する。反応バッチは、薄い黄色からオレンジを経て茶色に変色する。短い後撹拌時間後、遊離した青酸を、窒素でストリッピングにより除去する(フォルハード(Volhard)滴定)。リービッヒ滴定により、97.2%というFACHの反応率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
a)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、内部標準13.8g、ならびにTHF106g中の水4.2gから成る混合物を計量供給する。反応混合物を、さらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで28%、ならびにTETAで30%である。さらに、C4生成物(Pip+DETA)については4質量%であることが判明する。
b)同じ製品を同様にセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15ml、およびEDA5.4gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、内部標準13.8g、ならびにTHF106g中の水4.2gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで12%、ならびにTETAで43%である。さらに、C4生成物(Pip+DETA)については4質量%であることが判明する。
実施例1aと比較して、TETA形成に対するEDAの肯定的な影響が示される。
実施例2:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法b)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA132g(2.2mol)を装入し、そして氷冷下最大30℃の温度で、2時間以内にFACH(44.6%)を511.2g(4mol)滴加する。4.5時間の後撹拌時間後、薄い黄色の溶液を移し替える。FACHの反応率は、リービッヒ滴定によれば99.2%である。反応バッチは、遊離青酸を0.11%含む(フォルハード滴定による測定)。滴定により、使用するFACHに対して91.7%というEDDNの収率が得られる。EDMNは、滴定により測定できない。反応させるエチレンジアミン(EDDNへと反応しないもの)からEDMNが形成されるという仮定の下、総アミノニトリル収率として95.7%、ひいては4%というEDMNの収率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
a)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、内部標準13.8g、ならびにTHF106g中の水4.2gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで27%、ならびにTETAで47%である。さらに、C4生成物については8質量%と検出される。
FACH合成後の低沸点成分の分離により、明らかにより高いエチレンアミンの収率を得ることができることが判明する。EDDN合成におけるEDAの過剰量によりEDMNが形成され、このEDMNを水素化してC4生成物のDETAとPipにする。
b)同じ製品を同様にセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15ml、およびEDA13.5gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、内部標準13.8g、ならびにTHF106g中の水4.2gから成る混合物を計量供給する。反応混合物を、さらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで8%、ならびにTETAで82%である。さらに、C4生成物については16質量%と検出される。
EDAの添加により、変法2b)ではより線状のTETAが形成される。同様に、EDA縮合に基づくC4生成物の増加が示される。C4生成物の質量%表示において、EDA縮合による質量増加は考慮されている。
実施例3:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法b)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA132g(2.2mol)を装入し、そして氷冷下最大30℃の温度で、約2時間以内にFACH(67%)を340.8g(4mol)滴加する。3時間の後撹拌時間後、黄色の溶液を移し替える。FACHの反応率は、リービッヒ滴定によれば99.5%である。反応バッチは、遊離青酸を0.08%含む(フォルハード滴定による測定)。滴定により、使用するFACHに対して82.9%というEDDNの収率が得られる。EDMNは、滴定により測定できない。反応させるエチレンジアミン(EDDNへと反応しないもの)からEDMNが形成されるという仮定の下、総アミノニトリル収率として90.5%、ひいては8%というEDMNの収率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
a)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、内部標準13.8g、ならびにTHF106g中の水10gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで10%、ならびにTETAで69%である。付加的に、C4生成物13%(PipとDETA)という選択性が得られる。
比較できるように、実施例2aに対してより多くの水を添加する。EDDN合成におけるEDAの過剰量によりEDMNが形成され、このEDMNを水素化してC4生成物のDETAとPipにする。
b)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、THF15ml、およびEDA13.5gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、内部標準13.8g、ならびにTHF106g中の水10gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで5%、ならびにTETAで76%である。さらに、C4生成物については16%という選択性が得られる。
EDA添加により、より線状のTETAが形成される。同様に、EDA縮合に基づくC4生成物の増加が示される。
c)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、THF106g中の内部標準13.8gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで9%、ならびにTETAで76%である。付加的に、C4生成物については12%(PipとDETA)という選択性が得られる。
実施例3aと比較して、付加的な水を添加せずにすみ、このことはTETAに対して肯定的な影響をもたらす。
実施例4:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法b)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA132g(2.2mol)を装入し、そして氷冷下最大50℃の温度で、35分以内にFACH(67%)を340.8g(4mol)滴加する。1時間の後撹拌時間後、ほとんど透明な溶液を移し替える。FACHの反応率は、リービッヒ滴定によれば99.2%である。反応バッチは、遊離青酸を0.07%含む(フォルハード滴定による測定)。滴定により、使用するFACHに対して87.7%というEDDNの収率が得られる。EDMNは、滴定により測定できない。反応させるエチレンジアミン(EDDNへと反応しないもの)からEDMNが形成されるという仮定の下、総アミノニトリル収率として93%、ひいては5%というEDMNの収率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
a)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、THF106g中の内部標準13.8gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで10%、ならびにTETAで76%である。付加的に、C4生成物(PipとDETA)については11%という選択性が得られる。
試験4aは、3cの結果を裏付けている。ここでもまた、EDDN合成におけるEDAの過剰量により、C4生成物(DETAとPip)の収率は約11%である。
b)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、THF15ml、およびEDA13.5gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、THF106g中の内部標準13.8gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで4%、ならびにTETAで80%である。さらに、C4生成物については15%という選択性が得られる。
実施例4bで裏付けられるのは、EDAと僅かな量の水の存在下での水素化により、AEPip形成を明らかに抑制できるということである。C4生成物について15質量%という含分は、EDDN合成において存在するEDA過剰量、ならびに水素化におけるEDAでは、一般的なものである。
実施例5:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法b)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA180g(3mol)を装入し、そして氷冷下最大50℃の温度で、約1時間以内にFACH(67%)を511.2g(6mol)滴加する。1.5時間の後撹拌時間後、明るい黄色の溶液を移し替える。FACHの反応率は、リービッヒ滴定によれば99.2%である。反応バッチは、遊離青酸を0.02%含む(フォルハード滴定による測定)。滴定により、使用するFACHに対して92.6%というEDDNの収率が得られる。EDMNは、滴定により測定できない。反応させるエチレンジアミン(EDDNへと反応しないもの)からEDMNが形成されるという仮定の下、総アミノニトリル収率として94.5%、ひいては2%というEDMNの収率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
a)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、THF106g中の内部標準13.8gから成る混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで10%、ならびにTETAで77%である。付加的に、C4生成物について3%(PipとDETA)という選択性が得られる。
EDDN合成の際にEDAについて半分のモル量を用いることによって、水素化後のC4生成物の含分がわずか3%になることが判明する。
b)得られる製品はセミバッチ法で水素化する。この際270mlのオートクレーブに、Crをドープしたラネーコバルト触媒3.25g、THF15ml、およびEDA13.5gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大100barの全圧で圧入する。120分以内に、原料EDDN溶液13.8g、THF106g中の内部標準13.8gからなる混合物を計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。この排出物をメタノールで均質化する。選択性は、AEPipで6%、ならびにTETAで82%である。
さらにC4生成物については、7%という選択性が得られる。
この場合でも、C4生成物の含分は実施例4bの含分より明らかに低い。
前述の実施例により、使用するFACH含分の品質は、EDDN製造の際に反応持続時間と生成物の色に対して影響を有することがわかる。これに加えて、FACHを蒸留により精製すれば、引き続いた水素化の際により高い選択性が得られる。添加剤の添加は、さらに選択性に対して線状エチレンアミンの点で肯定的な影響を与える。水の量は同様に、線状のTETAの形成に対して影響を与える。
実施例6:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法b)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA132g(2.2mol)を装入し、そして氷冷下最大50℃の温度で、35分以内にFACH(67%)を340.8g(4mol)滴加する。1時間の後撹拌時間後、ほとんど透明な溶液を移し替える。FACHの反応率は、リービッヒ滴定によれば99.2%である。反応バッチは、遊離青酸を0.07%含む(フォルハード滴定による測定)。滴定により、使用するFACHに対して87.7%というEDDNの収率が得られる。EDMNは、滴定により測定できない。反応させるエチレンジアミン(EDDNへと反応しないもの)からEDMNが形成されるという仮定の下、総アミノニトリル収率として93%、ひいては5%というEDMNの収率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
先に得られた溶液の引き続いた水素化を連続的に、流動障害物とディスク型撹拌機とを有する270mlのオートクレーブで行う。この際、Crをドープしたラネーコバルト触媒を22g装入し、そして連続的に20NLの水素を送り込む。1時間あたりEDDN溶液4.5gを、内部標準2g、EDA4.9g、ならびにTHF30gとともに送り込む。この水素化は120℃で、かつ100barで行う。26時間にわたって平均で、C4生成物についてはPip2.6質量%、DETA19.5質量%、ならびにC6生成物についてはAEPip5.6質量%、およびTETA79.9質量%を単離することができる。EDDNに対して、これはC6生成物について96%の収率に相応する。
実施例7:
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法b)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA120g(2mol)を装入し、そして氷冷下最大70℃の温度で、30分以内にFACH(67%)を340.8g(4mol)滴加する。1時間の後撹拌時間後、透明な黄色っぽいオレンジ(gelb−orange)の溶液を移し替える。FACHの反応率は、リービッヒ滴定によれば99.3%である。反応バッチは、遊離青酸を0.12%含む(フォルハード滴定による測定)。滴定により、使用するFACHに対して91.6%というEDDNの収率が得られる。EDMNは、滴定により測定できない。反応させるエチレンジアミン(EDDNへと反応しないもの)からEDMNが形成されるという仮定の下、総アミノニトリル収率として94.3%、ひいては3%というEDMNの収率が得られる。
トリエチレンテトラアミン
先に得られた溶液の引き続いた水素化を連続的に、流動障害物とディスク型撹拌機とを有する270mlのオートクレーブで行う。この際、Crをドープしたラネーコバルト触媒を22g装入し、そして連続的に20NLの水素を送り込む。1時間あたりEDDN溶液4.5gを、内部標準2g、EDA4.9g、ならびにTHF30gとともに送り込む。この水素化は120℃で、かつ100barで行う。26時間にわたって平均で、C4生成物についてはPip2.4質量%、DETA13.2質量%、ならびにC6生成物についてはAEPip4.8質量%、およびTETA84.1質量%を単離することができる。EDDNに対して、これはC6生成物について98%の収率に相応する。
実施例8:水素化における負荷の影響
もともとの一連の試験において、負荷の影響をTETA/AEPipの比にのみ基づいて考慮した。
ホルムアルデヒドシアンヒドリン
FACHを一般的な手法で変法a)に従って製造する。
エチレンジアミンジアセトニトリル
2lの反応槽に、EDA132g(2.2mol)を装入し、そして氷冷下最大35℃の温度で、1.5時間以内にFACH(45%)を506.6g(4mol)滴加する。1時間の後撹拌後、FACH(45%)14.3g(0.1mol)を後供給し、そして40℃に加熱する。リービッヒ滴定により、100%というFACHの反応率が得られる。
(EDDN水素化 様々な負荷)
270mlのオートクレーブに、Crをドープした(乾燥状態の)ラネーコバルト触媒3.25g、ならびにTHF15mlを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大200barの全圧で圧入する。規定の時間以内に、先に得られたEDDN水溶液13.8g、内部標準4.2g、ならびにTHF106g中の水4.2gを計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。異なる時間に対して試料を取り、これらの試料をメタノールを用いて均質化する。完全添加後、EDDNを検出することはできない。
TETA/AEPipの比は、
a)60分の添加:TETA/AEPip:2.2
b)180分の添加:TETA/AEPip:3.3
b)180分の添加:TETA/AEPip:4.5
に従って測定する。
80℃の水素化温度で、かつ60分の計量添加で、わずか1.3というTETA/AEPipの比が得られる。
実施例9(添加剤としてアンモニア):
アンモニアの存在下での水素化のために、実施例7で得られたEDDN溶液を使用する。
a)270mlのオートクレーブに、Crをドープした(乾燥状態の)ラネーコバルト触媒3.25g、THF15ml、およびEDA5.2gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大200barの全圧で圧入する。60分以内に、先に得られたEDDN水溶液13.8g(43質量%)、内部標準4.2g、ならびにTHF106g中の水4.2gを計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。異なる時間に対して試料を取り、これらの試料をメタノールを用いて均質化する。完全添加後、EDDNを検出することはできない。60分間の後水素化時間後、TETAとAEPipの比は4.1である。
さらなる試験では、EDAに対して付加的にアンモニア12gを装入する。これによりこの比を、9.0に高めることができた。
270mlのオートクレーブに、Crをドープした(乾燥状態の)ラネーコバルト触媒3.25g、THF15ml、およびアンモニア12gを装入する。オートクレーブを120℃に加熱し、そして水素を最大200barの全圧で圧入する。60分以内に、先に得られたEDDN水溶液13.8g(43質量%)、内部標準4.2g、ならびにTHF106g中の水4.2gを計量供給する。反応混合物をさらに60分間、反応条件下で撹拌する。異なる時間に対して試料を取り、これらの試料をメタノールを用いて均質化する。完全添加後、EDDNを検出することはできない。60分間の後水素化時間後、TETAとAEPipの比は5.7である。

Claims (11)

  1. エチレンジアミンジアセトニトリル(EDDN)を触媒と溶媒の存在下で水素化し、かつ圧力が30〜250barである、トリエチレンテトラアミン(TETA)の製造方法。
  2. EDDNが、EDDNを少なくとも30質量%、かつエチレンジアミンモノアセトニトリル(EDMN)を少なくとも5質量%含むアミノニトリル混合物中に存在することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. Co/Al合金からアルカリ金属水酸化物水溶液による溶出によって得られ、かつ助触媒として少なくとも1の元素Fe、Ni、またはCrを含む、ラネー触媒を使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記溶媒が水、および/または有機溶媒であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
  5. 圧力が40〜160bar、および/または温度が70℃〜140℃であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記アミノニトリル混合物中に、EDMNが10〜25質量%含まれていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
  7. 水素化の後に、TETA、および/またはジエチレントリアミン(DETA)、および場合によりその都度得られる反応生成物中に副生成物として含まれているさらなるエチレンアミンを単離することを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
  8. EDDN、および/またはEDMNを、エチレンジアミン(EDA)とホルムアルデヒドシアンヒドリン(FACH)との反応により、またはEDAとホルムアルデヒドおよび青酸との反応により製造することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
  9. EDDNを、EDDNが水素化の際に水素と反応する速度以下の速度で水素化に供給することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記水素化を、添加剤の存在下で行うことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. ほとんど低沸点成分を含まないEDDNを使用することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
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