前記特許文献1,2のように、非認証者を検知した後にエレベータの動作に制限を加えると、認証者にとっては不便になるので、安全を確認した段階で、自動的に通常動作へ復旧させることが必要となる。またエレベータの動作に制限を加えないまでも、共連れを検知した後に、非認証者が乗車中の状態である内容を報知する場合でも同様に、非認証者がいなくなったにも拘わらず報知し続けると、エレベータの利用者の不安を煽る結果となり、故障と勘違いさせる原因にもなるので、報知を自動的に終了させる技術が要望されている。
そこで以下の実施の形態では、エレベータの利用者の利便性を考慮したエレベータ制御装置について説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態であるエレベータ制御装置100の構成を模式的に示す図である。エレベータ制御装置100は、建物に設置されたエレベータ、より詳細にはエレベータのかご8の動作を制御する。エレベータ制御装置100は、エレベータ制御装置本体1、重量センサ25、光電センサ26、かご内カメラ27、乗場認証手段3、乗場表示機41、かご内表示機42およびかご内音声発信器43を備えて構成される。エレベータ制御装置本体1は、前記重量センサ25、光電センサ26、かご内カメラ27、乗場認証手段3、乗場表示機41、かご内表示機42およびかご内音声発信器43を含むハードウェア資源と互いに通信可能に構成される。エレベータ制御装置本体1は、エレベータ制御装置100を構成する前記ハードウェア資源と互いに通信可能な範囲内に設けられる。
かご8は、かご本体9と、かご本体9に形成される開口、すなわちかご本体9に利用者が乗降するための出入口に設けられるドア10とを備えて構成される。かご8は、本実施の形態では略直方体形状に形成される。かご本体9は、有底筒状に形成され、一側部に開口が形成される。ドア10は、本実施の形態では2枚のドア部分10a,10b、すなわち第1および第2のドア部分10a,10bを含んで実現される。各ドア部分10a,10bは、矩形板状に形成され、それぞれ同様な大きさに形成される。第1および第2のドア部分10a,10bは、かご本体9の開口が閉鎖された閉鎖状態において、かご本体9の中央部で互いに接するように設けられる。ドア10は、その開閉方向Xにおいて、閉鎖状態の位置を基準として、第1のドア部分10aが一方から他方に移動し、第2のドア部分10bが他方から一方に移動してかご本体9の開口を開放し、また第1のドア部分10aが開閉方向Xにおいて他端部から中央部に向かって移動し、第2のドア部分10bが開閉方向Xにおいて一端部から中央部に向かって移動してかご本体9の開口を閉鎖する。
重量センサ25は、かご8の鉛直方向上方に設けられる。光電センサ26は、エレベータの出入口(出入口付近も含む)の前記開閉方向Xに垂直な方向に一直線上に並べて設けられている。乗場表示機41および乗場認証手段3は、たとえばエレベータホールの壁部に設けられる。かご内カメラ27、かご内表示機42およびかご内音声発信器43は、たとえばかご8の内壁部に設けられる。
図2は、本発明の第1の実施の形態のエレベータ制御装置100の電気的構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置100は、エレベータ制御装置本体1、計測手段2、乗場認証手段3、報知手段4およびキャンセル手段5を備えて構成される。エレベータ制御装置本体(以下「制御装置本体」という場合がある)1は、実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17および利用者有無推定手段18を備えて構成される。前記実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17、利用者有無推定手段18、計測手段2、乗場認証手段3、報知手段4およびキャンセル手段5は、それぞれ電気的に接続されている。
制御装置本体1は、マイクロコンピュータによって実現され、制御装置本体1を構成する前記実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17および利用者有無推定手段18は、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
計測手段2は、重量センサ25、光電センサ26およびかご内カメラ27を備える。乗場認証手段3は、乗場用IC(Integrated Circuit)タグリーダ31、乗場用生体認証装置32、乗場用物理鍵33および乗場用テンキー34を備える。報知手段4は、乗場表示機41、かご内表示機42およびかご内音声発信器43を備える。キャンセル手段5は、キャンセル用ICタグリーダ51、キャンセルボタン52、キャンセル用生体認証装置53、キャンセル用物理鍵54およびキャンセル用テンキー55を備える。
実乗降人数推定手段11は、計測手段2から与えられる計測データに基づいて、かご本体9への乗車人数およびかご本体9からの降車人数を推定する。照合手段14は、乗場認証手段3から与えられる乗場認証情報と、後述する照合データベース15に保持されている保持認証情報とを照合して、乗場認証手段3を用いて乗場認証情報を入力した利用者が、予めエレベータの利用を認証されている人(以下「認証者」という場合がある)であるか否かを判断する。さらに述べると、照合手段14は、非認証者がエレベータのかご8内に乗車していることを検知する検知手段である。照合データベース15は、エレベータの利用を認証されている人の認証情報である保持認証情報と、その認証情報を有する人の行先階などの情報を保持する。
正利用人数カウント手段12は、照合手段14によってエレベータの利用が認証されていると判断された人の数を合計して、その階でのかご本体9への乗車予定人数を計数する。比較手段13は、実乗降人数推定手段11によって推定された人数と、正利用人数カウント手段12によって計数された人数とを比較して、認証者以外の人(以下「非認証者」という場合がある)がエレベータを利用しているか否か、すなわち非認証者がエレベータのかご8内に乗車しているか否かを判断し、その判断結果を、報知手段4を通じて、エレベータの利用者へ報知する。比較手段13は、非認証者がエレベータのかご8内に乗車していることを検知する検知手段として機能する。また比較手段13は、非認証者がエレベータのかごに乗車していることが検知されてから所定の時間経過後、非認証者の乗車を検知している状態を解除する経時制御手段として機能する。運転制御手段16は、たとえば乗場呼びに応じて、エレベータの運転を制御する。ドア制御手段17は、かご8のドア10を開閉方向Xに移動させて、ドア10を開閉させる。利用者有無推定手段18は、エレベータのかご8内の利用者の有無を推定する。本実施の形態において、キャンセル手段5、比較手段13および利用者有無推定手段18は、検知手段である照合手段14が非認証者の乗車を検知している状態を解除する解除手段である。
重量センサ25は、エレベータのかご8の積載重量を計測する。光電センサ26は、エレベータの利用者のかご本体9内またはかご本体9外への通過状況を計測する。光電センサは、複数の投光器および複数の受光器を備えて構成され、各投光器と各受光器とが1対1にそれぞれ対応している。投光器と受光器との間を、検出対象、本実施の形態ではエレベータの利用者が通過するときに投光器からの信号光が利用者によって遮られると、受光器が遮光された光量の変化を検出するように構成されている。かご内カメラ27は、かご8の内部を撮影する。
乗場認証手段3は、エレベータの利用登録または認証情報を入力するときに、エレベータの利用者によって操作される。乗場用ICタグリーダ31は、利用者固有のICタグを読取る。乗場用生体認証装置32は、指紋、虹彩、手のひら静脈、指静脈および顔画像などの生体固有の生体情報を読取る。乗場用物理鍵33は、所定の物理鍵を差込むことによって開錠可能に構成される鍵穴である。乗場用テンキー34は、所定の暗証番号を入力するときに用いられる。
乗場表示器41およびかご内表示器42は、たとえば液晶ディスプレイによって構成され、たとえば共連れが発生していることを表す情報を表示する。かご内音声発信器43は、スピーカによって構成され、たとえば共連れが発生していることを表す情報を音声によって出力する。
キャンセル手段5は、たとえば、認証者の家族、親戚、友人、恋人など、照合手段14によってエレベータを利用可能であるとの判断を受けられないけれども、認証者にとって不審者ではない人物と同乗する場合、共連れ状態であることを報知された不審者がエレベータのかご本体9から降車し、エレベータのかご8内の安全が確保された場合、認証動作を忘れて乗車した認証者がいる場合、および実乗降人数推定手段11が誤って多めに人数推定をした場合などは、認証者が共連れ状態をキャンセルして、かご8のドア10を閉め、出発できるようにするための手段である。キャンセル手段5は、共連れ状態をキャンセルするときにエレベータの利用者によって操作され、キャンセル信号をエレベータ装置本体1Aに与える。
さらに具体的に述べると、共連れ状態時に、キャンセル用ICタグリーダ51に認証者がICタグをかざすことによってICタグを読取らせたり、キャンセル用生体認証装置53によって指紋、虹彩、手のひら静脈、指静脈および顔画像などの生体固有の生体情報を読取らせて認証したり、キャンセルボタン52を押したり、かご8内に設けられた鍵穴であるキャンセル用物理鍵54に所定の物理鍵を差込んだり、キャンセル用テンキー55から所定の暗証番号を入力するなどして、共連れ状態をキャンセルする。
キャンセル手段5としてキャンセル用ICタグリーダ51をエレベータのかご8内に設置する場合は、予めエレベータを利用可能な人には、ICタグを配布しておく必要がある。配布されるICタグは、乗場認証手段3における認証に利用するICタグと同一でよい。また、キャンセル手段5として鍵穴をエレベータのかご8内に設置する場合は、予めエレベータを利用可能な人には、所定の物理鍵を配布しておく必要がある。配布する物理鍵は、乗場認証手段3における認証に利用する物理鍵と同一でよい。
また、キャンセル手段5としてキャンセルボタン52をエレベータのかご8内に設置する場合、単一のキャンセル用ボタンを設置してしまうと、非認証者であってもキャンセルすることが可能となるので、複数のキャンセル用のボタンを設置し、それら複数のボタンのブロックサインによってキャンセルするようにしてもよい。ブロックサインは、たとえば暗証番号であってもよいし、エレベータのかご8内に設けられるドア閉ボタンのような特定のボタンを長く押し続けたり、または複数回押したりするなどの方法であってもよい。ブロックサインについては、認証者に予め周知されているものとする。
図3は、本発明の第1の実施の形態のエレベータ制御装置100におけるエレベータ制御装置本体1の動作の処理手順を示すフローチャートである。図4は、重量センサ25によって計測されたかご8の積載重量の時系列変化を示すグラフである。図4の横軸は時刻t(i)を示しており、縦軸は時刻t(i)に計測されたかご8の積載重量W(i)を示している。ここで、変数iは重量センサ25のサンプリング番号であり、t(i)−t(i−1)は、重量センサ25のサンプリング周期となる。図3に示すフローチャートでは、エレベータの利用者によって乗場認証手段3が操作され、エレベータを利用するための乗場認証情報が入力されると本処理を開始し、ステップa1に移行する。
ステップa1では、制御装置本体1は、乗場認証手段3から与えられる乗場認証情報を収集して、ステップa2に移行する。ステップa2では、照合手段14は、乗場認証手段3から与えられた乗場認証情報と、照合データベース15に予め保持されている保持認証情報とを照合して、ステップa3に移行する。
ステップa3では、照合手段14は、乗場認証情報と保持認証情報とが合致しているか否かを判断し、合致していれば、乗場認証手段3を用いて乗場認証情報を入力した利用者が、予めエレベータの利用を認証されている認証者である、換言すればエレベータの利用が可能であると判断して、ステップa4に移行する。ステップa3において、乗場認証情報と保持認証情報とが合致していなければ、ステップa5に移行する。
ステップa4では、照合手段14が、エレベータの利用者による乗場呼びボタンの操作に基づく乗場呼び信号を受信し、運転制御手段16に乗場呼び登録をする。運転制御手段16は、乗場呼びに応じて、エレベータのかご8の運転を制御する。ステップa4において乗場呼び登録がされると、ステップa6に移行する。
ステップa5では、制御装置本体1は、エレベータが呼ばれていないかどうかを判断し、エレベータがまだ呼ばれていなければステップa1に戻り、エレベータが既に呼ばれていればステップa7に移行する。
ステップa6では、正利用人数カウント手段12は、照合手段14によってエレベータの利用が認証されている、すなわち認証者であると判断された人の数を合計して、当該階におけるかご本体9への乗車予定人数を計数する。当該階におけるかご本体9への乗車予定人数の初期値は零であり、正利用人数カウント手段12に予め保持されているものとする。ステップa6において乗車予定人数が計数されると、ステップa7に移行する。
ステップa7では、ドア制御手段17が、運転制御手段16からかご本体9が当該階に到着したことを受けて、ドア10を開ける。ステップa7においてドア10が開けられると、ステップa8に移行する。
ステップa8では、計測手段2は、ドア制御手段17からドア10を開けることを表すドア開信号を受けて、エレベータのかご8の積載重量、エレベータの利用者のかご本体9内またはかご本体9外への通過状況およびかご9内の画像のうちの少なくともいずれか1つを計測する。計測手段2によって計測された結果は、実際にかご本体9に乗車した人数(以下「実乗車人数」という)を推定するときに用いられる。人が乗降するのはドア10が開いているときだけであるので、本実施の形態の計測手段2は、ドア制御手段17からドア開信号を受けて前記計測をするように構成されているが、計測自体は、常時行うように構成されていてもよい。常時計測するように構成されている場合でも、ドア10が開いているときの計測結果があれば、実乗車人数を推定することは可能である。ステップa8において計測されると、ステップa9に移行する。
ステップa9では、実乗降人数推定手段11は、計測手段2から与えられる計測結果に基づいて、実乗車人数を推定する。ステップa9において実乗車人数を推定すると、ステップa10に移行する。
ステップa10では、比較手段13は、正利用人数カウント手段12から取得した乗車予定人数と、実乗降人数推定手段11から取得した実乗車人数とを比較して、実乗車人数が乗車予定人数を超えているか否か、すなわち非認証者がエレベータのかご8内に乗車しているか否かを判断する。ステップa10において、実乗車人数が乗車予定人数を超えていると判断された場合は、ステップa11に移行し、実乗車人数が乗車予定人数を超えていない、すなわち実乗車人数が乗車予定人数以下であると判断された場合は、ステップa15に移行する。ステップa11に移行することは、非認証者がエレベータのかご8内に乗車していることを検知したことに相当する。
ステップa11では、比較手段13は、ドア制御手段17がドア10を閉めることを不許可とした上で、報知手段4を通じて、共連れが発生していることを表す情報、および共連れ発生のために注意を喚起する旨を表す情報などをエレベータの利用者に報知する。具体的には、乗場表示機41またはかご内表示機42に、共連れが発生していることを表す情報を表示したり、かご内音声発信器43から、共連れが発生していることを表す情報を音声によって出力したりする。これによって正規のエレベータ利用者、すなわちエレベータの利用が認証されている利用者は、報知手段4による報知内容を受けて、エレベータのかご本体9から降車することが可能となる。ステップa11において報知手段4による報知が終了すると、ステップa12に移行する。
ステップa12では、比較手段13は、キャンセル手段5からキャンセル信号を受信したか否かを判断し、受信していなければステップa13に移行し、受信していればステップa15に移行する。ステップa12において、エレベータの利用者は、現在乗車しているエレベータが共連れ状態であることを、報知手段4から報知される情報によって認識すると、キャンセル手段5を通じて、共連れ状態をキャンセルすることができる。ステップa12において比較手段13がキャンセル信号を受信した場合、比較手段13は、共連れ状態であることを報知手段4によって報知することを停止し、ドア制御手段17がドア10を閉めることを許可する。
ステップa13では、利用者有無推定手段18は、エレベータのかご8内の利用者の有無を推定し、かご8内に利用者がいると推定した場合は、共連れ状態が解除されない、すなわち非認証者だけがエレベータのかご8内で留まっている状態であると判断してステップa14に移行し、かご8内に利用者がいないと推定した場合はステップa15に移行する。このステップa15に移行することが、非認証者の乗車を検知している状態を解除することに相当する。
ステップa13において、利用者有無推定手段18が、エレベータのかご8内の利用者の有無を推定する方法について説明する。積載重量W(i)のうちで、サンプリング番号iが最も大きな値のときの積載重量W(i)、すなわち積載重量W(i)の最新データをW(i_max)と定義すると、ステップa13において、利用者有無推定手段18は、計測手段2から積載重量W(i_max)を受信し、積載重量W(i_max)が、利用者有無推定手段18内に予め保持している所定の閾値W_judge以下である場合には、エレベータのかご8内に利用者はいない(無)と推定する。他方、積載重量W(i_max)が閾値W_judgeよりも大きな値である場合には、利用者有無推定手段18は、エレベータのかご8内に利用者がいる(有)と推定する。
利用者有無推定手段18によって、閾値W_judgeと比較される積載重量は、後述する式(1)に基づく補正後の積載重量W(i_max)であってもよい。たとえば、エレベータの重量センサ25が図に示される位置に設置されると、重量センサ25には、エレベータのかご8内の利用者の重量に加え、エレベータのかご8自体の重量およびロープの重量も計測される。エレベータのかご8が下の階へ行くほど、ロープ長が長くなるので、エレベータのかご8の位置によって重量センサ25の計測値に差が生じることがある。そこで、以下の式(1)に基づいて、計測値W(i_max)に、エレベータのかご8の位置による補正を行い、補正後積載重量rev_W(i_max)を求める。
補正後積載重量rev_W(i_max)[kg]
=W(i_max)[kg]−{ロープ密度[kg/m]×加重ロープ長[m]}…(1)
または以下の式(2)のような簡略な式に基づいて補正を行い、補正後積載重量rev_W(i_max)を求めてもよい。
補正後積載重量rev_W(i_max)[kg]
=W(i_max)[kg]−{階床×係数}[kg] …(2)
式(2)中の係数は、予め利用者有無推定手段18によって保持されているものとする。また、利用者有無推定手段18によって、閾値W_judgeと比較される積載重量は、エレベータのかご8内の利用者の振動により、微増減することがある。このため、積載重量W(i_max)または補正後積載重量rev_W(i_max)の特定期間[t(i_max−k),t(i_max)]の平均値であってもよい。これによって、エレベータのかご8内の利用者の振動により微増減する積載重量によって利用者の有無の推定結果を誤る可能性が低くなる。
ステップa14では、比較手段13は、タイムアップしたか否か、換言すれば予め定める時間が経過したか否かを判断し、予め定める時間が経過していなければ経過するまで待機し、予め定める時間が経過していればステップa15に移行する。このステップa15に移行することが、非認証者の乗車を検知している状態を解除することに相当する。
ステップa15では、ドア制御手段17は、ドア10を閉じて、その後全ての処理手順を終了する。
以上のように本実施の形態によれば、検知手段である比較手段13によって、非認証者がエレベータのかご8に乗車していることが検知された後に、解除手段であるキャンセル手段5、利用者有無推定手段18または比較手段13によって、非認証者の乗車を検知している状態が解除される。これによって、非認証者を検知した後にエレベータの動作に制限を加えても、通常動作へ復旧させることが可能となるので、エレベータの利用者の利便性を向上することができる。
また、非認証者を検知した後に、非認証者検知中であることを表す情報を報知する場合も同様に、解除手段であるキャンセル手段5、利用者有無推定手段18または比較手段13によって、非認証者の乗車を検知している状態を解除し、報知を停止させることで、後の利用者の不安を煽ることを回避することができる。また、後の利用者が故障と勘違いすることも回避することができる。また、音声による報知を停止させることによって、エレベータ周辺の居住者などの騒音となることを防止することができる。
また解除する方法として、たとえば、利用者有無推定手段18およびキャンセル手段5を設けずに、経時制御手段である比較手段13によって、一定時間経過後に、自動的に通常動作へ復旧させる方法を採る場合、他の階の乗場の利用者は、一定時間が経過して通常動作に復旧するまで待たなくてはならない。本実施の形態によれば、利用者有無推定手段18によって、エレベータのかご8内に利用者がいなくなったとき、エレベータを通常動作の状態に戻すので、他の階の乗場の利用者が待たされるという不具合が生じることを未然に防ぐことができる。また、非認証者を検知したときにエレベータのかご8内にいた利用者も、非認証者が降車したとき、一度自分も降車すれば、エレベータが利用可能な状態に戻るので、待たされるという不具合が生じることを未然に防ぐことができる。
また、本実施の形態のエレベータ制御装置100のように、非認証者を検知できるエレベータ制御装置では、非認証者ではあるけれども、不審者ではない場合を考慮する必要がある。たとえば、認証者の家族、親戚、友人、恋人などが非認証者として検知される場合である。この場合、認証者が、非認証者は不審ではないことを少なくとも手動で登録するための方法が必要であり、それによって、エレベータを通常動作に復旧させる必要がある。
本実施の形態では、エレベータのかご8内に、非認証者は不審者ではないことを認証者が登録するためのキャンセル手段5を備えるので、認証者が、不審者ではない家族などの非認証者と同乗した場合に、非認証者検知中の状態を解除して、エレベータを通常動作へ戻すことが可能となる。これによって、防犯性を確保したまま、エレベータを利用することが可能になる。また、非認証者を検知したときにエレベータのかご8内にいた認証者は、非認証者が降車したとき、非認証者検知中の状態を解除して、エレベータをすぐに通常動作へ戻すことが可能となる。これによって、防犯性を確保したまま、認証者の利便性を向上することができる。
また本実施の形態では、比較手段13は、経時制御手段としても機能し、ステップa14において、非認証者がエレベータのかご8に乗車していることが検知されてから所定の時間経過後、非認証者の乗車を検知している状態を解除するので、キャンセル手段5および利用者有無推定手段18を設けなくても、非認証者の乗車を検知している状態を解除することができる。これによって、非認証者を検知した後にエレベータの動作に制限を加えても、通常動作へ復旧させることが可能となるので、エレベータの利用者の利便性を向上することができる。
また本実施の形態では、非認証者だけがエレベータのかご8内で留まっている状態を検知すると、ステップa11において、非認証時処理手段を構成するドア制御手段17によって、非認証時の処理として、ドア10の閉鎖を禁止する閉鎖禁止処理を行う。これによって、エレベータのかご8内に留まった非認証者が自由に目的階へ移動できないように、当該階において既に登録されている行先階の登録を解除し、その後の行先階登録も、次の乗場呼び登録が行われて乗車が検知されるまで不可能とすることができるので、非認証者による犯罪を防止することができる。
また本実施の形態では、利用者有無推定手段18は、エレベータの積載重量を計測する重量センサ25から出力される積載重量データに基づいて、エレベータのかご8内の利用者の有無を推定する。これによって、たとえばかご内カメラ27によって撮影された画像に基づいて推定する場合と比較して、画像を解析するなどの処理が必要ないので、より簡単にエレベータのかご8内の利用者の有無を推定することができる。
また、報知手段4によって、非認証者が乗車中の状態、換言すれば共連れ状態であることを表す情報を報知していることを停止させてもよいし、停止させなくてもよいものとする。仮に、共連れ状態であることを表す情報を報知し続けていた場合、その後のエレベータの利用者に対して、当該エレベータを利用するか否かの選択肢を提供し、防犯性を向上させることができる。しかし、たとえば、乗場表示機41またはかご内表示機42が設置されておらず、かご内音声発信器43だけが設置されている場合などは、共連れ状態であることを表す情報を音声で発信し続けていると、エレベータの周辺の居住者などにとっては、騒音になる。このような理由によって、報知を停止せざるを得ない場合、次の乗場呼びに応答してドア10を開くときに、報知を再開するようにしてもよい。
また、ドア10が閉じた後にエレベータのかご8内の照明を消灯し、次の乗場呼びに応答して、ドア10を開いた後で、照明を点灯させるようにしてもよい。この場合、照明は報知手段4に含まれる構成とする。また、照明の点灯、消灯を司る制御機能は、照明制御手段として、エレベータ制御装置本体1に別途具備してもよいが、運転制御手段16に含まれる構成でもよい。次の乗場呼びを登録した利用者から見れば、照明の点灯していないエレベータのかご8内に利用者がいたことを知ることができ、非認証者を不審者とみなすことが可能になる。これによって、報知を停止させたとしても、その後のエレベータの利用者に対して、当該エレベータを利用するか否かの選択肢を提供し、防犯性を向上させることができる。
前述の図3に示すフローチャートでは、ステップa12において、比較手段13がキャンセル手段5からキャンセル信号を受信しない場合、ステップa13において、利用者有無推定手段18によって利用者の有無の推定を行うように構成されているが、ステップa13には移行せずにステップa14へ移行して、予め定める時間が経過したら、ドア制御手段17によってドア10を閉めるようにしてもよい。この場合、利用者有無推定手段18は不要となる。エレベータのかご8内に利用者がいないにも拘わらず、予め定める時間が経過するまで、エレベータが利用可能な状態に戻らないことになり、利用者有無推定手段18を具備する場合と比較して、利便性の妨げの軽減度合は低下するが、利用者有無推定手段18を必要としないので、エレベータ制御装置本体1の構成を簡単化することができる。
また図3に示すフローチャートでは、ステップa11において、共連れ状態であることを表す情報を報知した後、ステップa12に移行して、キャンセル手段5によって共連れ状態をキャンセルすることを可能にしているが、ステップa12には移行せずに、ステップa13へ移行して、利用者有無推定手段18によって利用者の有無の推定を行うように構成されてもよい。この場合、キャンセル手段5は不要となる。非認証者が検知、換言すれば共連れ状態が検知されると、エレベータのかご8内の利用者は一度全員降車しないと、エレベータを利用できないことになるので、キャンセル手段5を具備する場合と比較して、利便性の妨げの軽減度合は低下する。また、認証者の家族、親戚、友人、恋人などと同乗する場合、キャンセル手段5を有していないと、このままではエレベータを利用することができなくなってしまうので、ステップa14において、当該階において既に登録されている行先階の登録を解除しないようにする必要があり、キャンセル手段5を具備する場合と比較して、防犯性の度合は低下する。しかし、キャンセル手段5が不要の場合、エレベータ装置本体1の構成を簡単化することができる。
図3に示すフローチャートのステップa13では、利用者有無推定手段18が、エレベータのかご8内の利用者の有無を次のような方法で推定してもよい。すなわち、計測手段2のかご内カメラ27から、利用者がいないときの画像データを予め利用者有無推定手段18が保持しておき、利用者がいないときの画像データと、最新の画像データとを比較することによって、エレベータのかご8内の利用者の有無を推定してもよい。このようにかご内カメラ27によって撮影された画像に基づいて、エレベータのかご8内の利用者の有無を推定することによって、たとえば重量センサ25から出力される積載重量データに基づいて推定する場合と比較して、より正確にエレベータのかご8内の利用者の有無を推定することができる。
次に図3のステップa9において、実乗降人数推定手段11によって実乗車人数を推定する方法の一例について説明する。図5は、実乗降人数推定手段11の構成を示すブロック図である。実乗降人数推定手段11は、通過人数推定手段11aおよび進行方向推定手段11bを備えて構成される。通過人数推定手段11aおよび進行方向推定手段11bは、互いに電気的に接続されており、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
通過人数推定手段11aは、たとえばかご8のドア10に設置される光電センサ26の計測結果に基づいて、ドア10の通過人数を推定する。進行方向推定手段11bは、たとえば重量センサ25によるかご8の積載重量の計測結果に基づいて、利用者の進行方向を推定する。実乗降人数推定手段11は、通過人数推定手段11aの推定結果および進行方向推定手段11bの推定結果から、かご本体9への乗車人数とかご本体9からの降車人数とを推定する。
図6は、実乗降人数推定手段11の動作の処理手順を示すフローチャートである。図7は、進行方向の推定方法を説明するための図である。図7(a)は、重量センサ25によって計測されたかご8の積載重量の時系列変化を示すグラフであり、図7(b)は、進行方向の時系列変化を示す図である。図8は、通過人数と進行方向とを突合わせる方法を説明するための図である。図8(a)は、通過人数の推定方法の一例を示す図であり、図8(b)は、進行方向の時系列変化を示す図である。図7(a)、図7(b)、図8(a)および図8(b)の横軸は、時刻t(i)を示している。図7(a)の縦軸は時刻t(i)に計測された積載重量W(i)を示している。変数iは重量センサ25のサンプリング番号であり、自然数である。t(i)−t(i−1)は、重量センサ25のサンプリング周期となる。図6に示すフローチャートにおいて、光電センサ26から計測結果が与えられると本処理を開始し、ステップb1に移行する。
ステップb1では、通過人数推定手段11aは、ドア10を通過した人数を推定する。ドア10を利用者が通過したとき、通過を感知する光電センサ26の感知回数を通過人数とする。1回の感知時間が短い場合は、ノイズであると判断して通過人数として計数しないように、感知時間による制限を設けてもよい。通過人数推定手段11aが前述のような方法で通過人数を推定する方法を、以下「第1の通過人数推定方法」という。ステップb1で通過人数を推定すると、ステップb2に移行する。なお、「第1の通過人数推定方法」の場合、光電センサ26の受発光端子は一対のみでもよい。
ステップb2では、進行方向推定手段11bは、利用者の進行方向を推定する。ここで、図7に示すグラフの所定の期間[t(i),t(i−x)](xは変数であり、自然数)に着目し、進行方向推定手段11bは、W(i)−W(i−x)<Y1を満たすとき、所定の期間[t(i),t(i−x)]はかご本体9から降車中であると推定する。前記Y1は予め定める閾値である。また進行方向推定手段11bは、W(i)−W(i−x)>Y2を満たすとき、所定の期間[t(i),t(i−x)]はかご本体9へ乗車中であると推定する。前記Y2は、予め定められ、前記Y1とは異なる閾値である。前記x,Y1,Y2は、予め進行方向推定手段11bによって保持されているものとする。進行方向推定手段11bが前述のような方法で進行方向を推定する方法を、以下「第1の進行方向推定方法」という。ステップb2で進行方向を推定すると、ステップb3に移行する。
ステップb3では、進行方向推定手段11bは、通過人数結果と進行方向結果とを突合わせて、換言すればマッチングさせてかご本体9への乗車人数とかご本体9からの降車人数とを出力する。
次に、ステップb3において、進行方向推定手段11bによって通過人数結果と進行方向結果とを突合わせる方法について説明する。進行方向推定手段11bは、図8に示すように、降車中であると推定されている期間[t(i),t(i−x)]に通過人数が1人と推定されている場合、前記期間の降車人数を1人と出力する。しかし、通過人数を推定するための光電センサ26と進行方向を推定する重量センサ25とは、センサ系列が異なるので、互いの時系列データに時間差が生じ、降車中であると推定されている期間[t(i),t(i−x)]に通過人数が1人と推定されるとは限らない。
そこで本実施の形態では、図8(b)に示すように、通過人数の出力時刻の進行方向が仮に不明(以下「不」という)である場合、通過人数の出力時刻を±Z(Zは自然数)の範囲でずらすことによって、進行方向結果がかご本体9への乗車方向(以下「乗」という)、またはかご本体9からの降車方向(以下「降」という)と一致するか否かを探索する。探索した結果、「降」と一致した場合は、降車人数が1人と出力する。
仮に、通過人数の出力時刻を±Zの範囲でずらしても、進行方向結果が「乗」または「降」と一致しない場合は、予め進行方向推定手段11bに保持されているルールに沿って、乗車人数をN(Nは自然数)人、降車人数をM(Mは自然数)人と出力する。
本実施の形態では、図8において、通過人数の出力時刻の進行方向が仮に「不」である場合、通過人数の出力時刻を±Zの範囲でずらす例を説明したが、進行方向結果の出力期間[t(i),t(i−x)]を±Zの範囲でずらしても同様の効果が得られる。変数Zは、進行方向推定手段11bによって保持されているものとする。
ステップb1において、通過人数推定手段11aは、前記第1の通過人数推定方法とは異なる第2の通過人数推定方法で通過人数を推定してもよい。図9は、ドア10の近傍に複数個並べて設けられる光電センサ26を示す図である。図10は、第2の通過人数推定方法を説明するための図である。図10(a)は、光電センサ26の感知位置の時系列変化を示すグラフであり、図10(b)は光電センサ26の感知結果累積数の時系列変化を示すグラフである。図10(a)および図10(b)の横軸は、時刻を示している。図10(a)の縦軸は、光電センサ26の設置位置を示しており、図10(b)の縦軸は光電センサ26の感知結果累積数を示している。図10では、光電センサ26が感知した位置を黒点で示している。
ドア10を、たとえば人が通過すると、図10(a)に示すような感知結果が得られる。ここで、光電センサ26の設置位置に予め定める範囲Pを設ける。この予め定める範囲Pにおいて、N1(N1は自然数)個以上の光電センサ26が、M1(M1は自然数)回連続して感知した場合を通過開始条件S1とする。また、予め定める範囲Pにおいて、N2(N2は自然数)個以上の光電センサ26が、M2(M2は自然数)回連続して感知しなかった場合を通過終了条件E1とする。通過開始条件S1が満たされてから、通過終了条件E1が満たされるまでの間に利用者が通過したと判断し、通過人数を1人と推定する。
また、図10(b)に示す光電センサ26の感知数を累積した感知結果累積数にも予め定める範囲Qを設ける。この予め定める範囲Qにおいて、N3(N3は自然数)個以上の光電センサ26が、M3(M3は自然数)回連続して感知した場合を通過開始条件S2とする。また、予め定める範囲Qにおいて、N4(N4は自然数)個以上のセンサがM4(M4は自然数)回連続して感知しなかった場合を通過終了条件E2とする。通過開始条件S2が満たされてから、通過終了条件E2が満たされるまでの間に利用者が通過したと判断し、通過人数を1人と推定する。
2つの通過開始条件S1,S2のいずれか一方を適用してもよいし、両方適用してもよい。また2つの通過終了条件E1,E2のいずれか一方を適用してもよいし、両方適用してもよい。P,Q,Nn(nは自然数),Mn(nは自然数)は、通過人数推定手段112によって保持されているものとする。
またステップb2において、進行方向推定手段11bは、前記第1の進行方向推定方法とは異なる第2の進行方向推定方法で進行方向を推定してもよい。図11は、第2の進行方向推定方法を説明するための図である。図11(a)は、重量センサ25によって計測されたかご8の積載重量の時系列変化を示すグラフであり、図11(b)は、かご8の積載重量の時系列変化から演算される時間差分データの時系列変化を示すグラフである。図11(a)および図11(b)の横軸は、時刻t(i)を示している。図11(a)の縦軸は、かご8の積載重量W(i)を示しており、図11(b)の縦軸は、時間差分データW_diff(i)を示している。
進行方向推定手段11bは、重量センサ25から与えられた積載重量W(i)から、以下の式(3)を用いて、時間差分データW_diff(i)を演算する。
W_diff(i)=(W(i)−W(i−Δi))/(Δi) …(3)
式(3)におけるΔiは差分間隔を表す。図11(b)に示す時間差分データW_diff(i)は、かご8の積載重量が減少するとマイナスの値を示し、かご8の積載重量が増加するとプラスの値を示し、かご8の積載重量に変化がないと零の値を示す特性がある。そこで、時間差分データW_diff(i)がマイナスの値を示してから再び零の値を示すまでの期間[t(i),t(i−x)]を降車中と推定する。また、時間差分データW_diff(i)がプラスの値を示してから再び零の値を示すまでの期間を乗車中と推定する。
以上のように本実施の形態では、照合データベース15に当該認証情報保持者の行先階の情報が含まれているか、または乗場認証手段3から得られる乗場認証情報に行先階が含まれていれば、図3に示すフローチャートのステップa4において、照合手段14は、乗場呼び登録と同時に、行先階を運転制御手段16に登録することもできる。これによって、エレベータ利用者は、かご8内で行先階ボタンを押す必要がなくなり、操作性を向上させることができる。
しかし、乗場認証手段3を通じて乗場呼びを運転制御手段16に登録した利用者が、何らかの理由でかご本体9に乗車しなかった場合、照合手段14が行先階も運転制御手段16に登録してしまうと、かご本体9に誰も乗車させないままエレベータのかご8が行先階へ移動してしまい、無駄な運転をすることとなる。したがって、他の利用者の待ち時間が悪化したり、省エネルギーの観点からも好ましくない動作となったりする。
そこで、照合データベース15に行先階の情報が含まれているか、または乗場認証手段3から得られる乗場認証情報に行先階が含まれている場合、図3に示すフローチャートのステップa9における実乗車人数の推定によって、かご本体9に乗車した人がいたと推定された後で、照合手段14は運転制御手段16に行先階を登録するようにしてもよい。これによって、エレベータのかご8が無駄に移動することを防ぐとともに、利用者がかご8内で行先階ボタンを押す必要がなくなり、操作性を向上させることができる。
また図3に示すフローチャートのステップa1における乗場認証手段3は、エレベータ利用者が特定の認証動作をしなくても、乗場認証情報を収集する方法を採ることもできる。たとえば、乗場を広範囲に撮影している利用者撮影手段であるカメラによって、エレベータ利用者がカメラに顔を近づけなくても、予め保持されている各個人の顔画像と、カメラによる撮影によって取得した顔画像とを比較して顔認証をすることによって、乗場認証情報を収集することができる。また、遠距離でもICタグを読取り可能なリーダによって、ポケットまたはかばんなどからICタグを取出さなくても乗場認証情報を収集することができる。これによって、エレベータの利用者は認証動作をする必要がなくなり、操作性を一層向上させることができる。さらに、共連れ状態が検知され、防犯性を確保することもできる。
また図3に示すフローチャートのステップa10において、比較手段13は、正利用人数カウント手段12から乗車予定人数を取得し、実乗降人数推定手段11から実乗車人数を取得して、乗車予定人数と実乗車人数とを比較するように構成されているが、比較対象がかご内人数であっても同様の効果が得られる。たとえば、実際にかご8内にいる人数(以下「実かご内人数」という)は、ステップa9で実乗降人数推定手段11によって求められる実乗車人数と実降車人数とから、間接的に以下の式(4)を用いて求められる。
実かご内人数=前回の実かご内人数+実乗車人数−実降車人数 …(4)
また、本来、かご8内にいるべき人数(以下「かご内予定人数」という)は、ステップa9で実乗降人数推定手段11によって求められる実降車人数と、ステップa6で正利用人数カウント手段12によって求められる乗車予定人数とから、間接的に以下の式(5)を用いて求められる。
かご内予定人数=前回の実かご内人数+乗車予定人数−実降車人数 …(5)
そして、ステップa10において、比較手段13は、実かご内人数と、かご内予定人数とを比較して、具体的には実かご内人数が、かご内予定人数を超えているか否かを判断して、実かご内人数がかご内予定人数を超える場合、ステップa11において共連れが発生していることを表す情報をエレベータの利用者に報知するようにしてもよい。
また図3に示すフローチャートのステップa7において、ドア制御手段17が、利用者が1人ずつしか通過できない幅でドア10を開くように制御することで、ステップa9において実乗降人数推定手段11がより高精度に人数を検知することができる。図12は、ドア制御手段17によるかご8のドア10の開き方を示す図である。図13は、遮蔽物10cを出現させたときのドア制御手段17によるかご8のドア10の開き方を示す図である。
図3に示すフローチャートのステップa7において、ドア制御手段17は、かご8のドア10を開くときに、図12に示すように、利用者が1人ずつしか通過できない幅Wnまでしかドア10が開かないように、ドア10の開き方を制御する。またドア10に、利用者が1人ずつしか通過できないようにするための一対の遮蔽物10cを備えておき、ドア制御手段17によって、ドア10を開くときに、図13に示すように、利用者が1人ずつしか通過できない幅Wnをあけて、一対の遮蔽物10cを出現させることとしてもよい。利用者が1人ずつしか通過できない幅Wnのデータは、予めドア制御手段17によって保持されているものとする。このようなドア10の制御方法を、以下「第1のドア制御方法」という。
ドア制御手段17は、前述の第1のドア制御方法とは異なる第2のドア制御方法で、ドア10の開き方を制御するようにしてもよい。すなわち、図3に示すフローチャートのステップa7において、ドア制御手段17は、かご8のドア10を開くときに、図12に示すように、ドア10の開口部分の幅が、利用者が1人ずつしか通過できない幅Wnになるまで予め定める第1の速度で開くようにし、その後は、第1の速度よりも遅い第2の速度でドア10を全開になるまで開くように制御する。
また図3に示すフローチャートのステップa7において、ドア制御手段17は、かご8のドア10を開くときに、図13に示すように、利用者が1人ずつしか通過できない幅となるように一対の遮蔽物10cを、予め定める第1の速度で出現させ、その後は、第1の速度よりも遅い第2の速度で一対の遮蔽物10cを退避させるように制御してもよい。第1の速度と第2の速度とは、予めドア制御手段17によって保持されているものとする。
ドア制御手段17は、前述の第1および第2のドア制御方法とは異なる第3のドア制御方法で、ドア10の開き方を制御するようにしてもよい。すなわち、図3に示すフローチャートのステップa7において、ドア制御手段17は、かご8のドア10を開くときに、図12に示すように、利用者が1人ずつしか通過できない幅Wnまで開き、予め定める時間の経過後にドア10を全開まで開くように、ドア10の開き方を制御する。または、図3のステップa7において、ドア制御手段17は、かご8のドア10を開くときに、図13に示すように、利用者が1人ずつしか通過できない幅となるように一対の遮蔽物10cを出現させ、予め定める時間の経過後に一対の遮蔽物10cを退避させるように、ドア10の開き方を制御してもよい。
利用者が1人ずつしか通過できない幅Wnまでしかドア10が開かないと、大きな荷物を抱えているなどの理由で、ドア10を通過することができない人も、前述の第2および第3のドア制御方法では、予め定める時間の経過後にドア10を通過することができるようになる。
またドア10の近傍にドア開登録手段を設けておき、図3のステップa7において、ドア制御手段17が前述の第2または第3のドア制御方法によってドア10を制御している場合に、利用者がドア開登録手段を操作したとき、ドア制御手段17によって、直ぐにドア10が全開まで開くようにドア10を制御するようにしてもよいし、直ぐに遮蔽物10cを退避するように制御してもよい。ここで、「ドア開登録手段」とは、たとえば、エレベータのドア10を開くためのボタンである。このような制御方法を採用することによって、利用者はドア10が全開するまで待つことなく、ドア10を通過することができるようになる。
またドア10の近傍にドア閉ボタンを設けておき、図3のステップa7において、ドア制御手段17が前述の第2または第3のドア制御方法によってドア10を制御している場合に、利用者がドア閉ボタンを操作すると、ドア制御手段17によって、ドア10が反転して閉まるようにドア10を制御してもよいし、遮蔽物10cを出現させて通過できなくなるように制御してもよい。これによって、外気が寒いなどの理由でドア10を即座に閉めたり、または遮蔽物10cで外気を即座に遮断したりすることができる。またドア10を即座に閉めることによって、エレベータのかご8を迅速に出発させることが可能となる。
また、乗場認証手段3は、必ずしもエレベータホールに設置されていなくてもよい。たとえば、建物のエントランスに設置されてもよいし、エレベータホールの入口などに設置されるセキュリティゲートによって実現されてもよい。これらの場合でも、エレベータホールに設置される場合と同様の効果を得ることができる。
また本実施の形態では、ドア10は、2枚のドア部分すなわち第1のドア部分10aと第2のドア部分10bとで構成され、第1および第2のドア部分10a,10bが、図1のドア中央部から開閉方向Xの各両端部へ移動することで、ドア10が開くものとしているが、このようなドアに限定されない。例えば、ドア10は、1枚のドア部分によって構成され、この1枚のドア部分が出入口の一端部から他端部へ移動することで、ドア10を開くようにしてもよい。
また、2枚のドア部分すなわち第1および第2のドア部分10a,10bは、必ずしもそれぞれ1枚の矩形板状部材で構成されていなくてもよい。例えば、第1および第2のドア部分10a,10bは、それぞれ2枚以上の複数枚の矩形板状部材によって多段に構成され、第1のドア部分10aと第2のドア部分10bとがドア中央部から各両端部へ移動するときは、複数枚の矩形板状部材が重なり合いながら、移動するようにドア10を開くものであってもよい。同様に、ドア10が1枚のドア部分によって構成される場合、1枚のドア部分は、必ずしも1枚の矩形板状部材で構成されていなくてもよく、例えば、2枚以上の複数枚の矩形板状部材によって多段に構成され、1枚のドア部分が一端部から他端部へ移動するときは、複数枚の矩形板状部材が重なり合いながら、移動するようにドア10を開くものであってもよい。
また本実施の形態では、重量センサ25は、かご8の鉛直方向上方に設けられるとしているが、このような重量センサに限定しない。重量センサ25の計測結果は、乗車人数および降車人数といった乗車した物体の検出に利用されるため、かご8に乗車した物体の重さを計測できれば良い。そのため、重量センサ25をかご8の底辺に設けても良い。重量センサ25をかご8の底辺に設けることによって、かご8に乗車した物体の重さを直接計測することができる。本実施の形態のように重量センサ25をかご8の鉛直方向上方に設けると、重量センサ25の計測量には、かご8に乗車した物体の重さに加え、かご8自体の重さおよびロープの重さが加算されることになるが、かご8およびロープ分の重さを差し引けば、重量センサ25をかご8の底辺に設けた場合と同等の計測結果が得られる。
また本実施の形態では、図9に、ドア10の近傍に複数個並べて設けられる光電センサ26を示しているが、図9は、説明を簡易にするために、模式的に示した図であって、光電センサ26は乗場側またはかご8側のどちらに設置されていてもよい。また光電センサ26は、必ずしも目視可能な位置に設置する必要はない。例えば、一般的には、エレベータのドア10は、乗場側のドアと、かご8側のドアによって構成されるが、この場合、光電センサ26は、乗場側のドアとかご8側のドアとの間に設置されていてもよい。また、光電センサ26は、必ずしも各乗場に1つずつ設置する必要はなく、かご8側のドアに装着され、かご8の移動と共に、光電センサ26も移動し、各階で計測できるようにしてもよい。
また、光電センサ26は、一般的に、発光端子と受光端子とによって構成されるが、発光および受光の各端子は、必ずしも1対1に対応している必要はない。発光側がビームを広角に発射することで、1つの発光端子と、複数の受光端子とで、複数の計測結果を測定することも可能であり、そのような光電センサ26を用いても、本発明を実施することは可能である。
また本実施の形態では、図13において、一対の遮蔽物10cを出現させることとしているが、必ずしも、一対である必要はない。ドア10を1人ずつしか通過できない幅となるように、片側のみから遮蔽物10cを出現させてもよい。
また、図示していないが、認証情報登録手段を、エレベータ制御装置本体1内に設けるか、もしくはエレベータ制御装置100内に設けてエレベータ制御装置本体1と電気的に接続してもよい。認証情報登録手段とは、新規の認証者の認証情報を照合データベース15に追加登録する、あるいは不要になった認証情報を照合データベース15から削除する、あるいは照合データベース15に登録済みの認証情報を変更するための手段である。認証情報登録手段は、エレベータ制御装置100もしくはエレベータ制御装置本体1の管理者あるいは管理者から委託された者によって操作可能なものとする。
本実施の形態では、エレベータを例に説明しているが、出入口の確保された閉空間において、その閉空間の積載重量を計測できる重量センサ、その閉空間および閉空間の出入口を感知する光電センサ、その閉空間および閉空間の出入口を撮影するカメラを、計測手段とする構成にすることによって、前述の実施の形態の方法によって閉空間への共連れを検出することができる。
<第2の実施の形態>
次に本発明の第2の実施の形態であるエレベータ制御装置200について説明する。前述の第1の実施の形態では、共連れを検知し、防犯性を向上しているが、乗場で認証を受けた人が、何らかの理由により、エレベータのかご本体9に乗車せず、その代わりに非認証者がエレベータのかご本体9に乗車した場合、乗車予定人数と実乗車人数とが一致し、非認証者がエレベータを利用することができてしまうという、いわゆるなりすましの問題がある。本実施の形態では、なりすましを防止し、より防犯性を向上させた上で、正当な利用者の利便性の向上を図るための方法について説明する。
図14は、本発明の第2の実施の形態のエレベータ制御装置200の電気的構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置200は、エレベータ制御装置本体1、計測手段2、乗場認証手段3、報知手段4、キャンセル手段5およびかご内認証手段6を備えて構成される。本実施の形態のエレベータ制御装置200は、前述の第1の実施の形態のエレベータ制御装置100と構成が類似しているので、構成が異なる部分についてのみ説明し、対応する箇所には同一の参照符を付して、第1の実施の形態と共通する説明を省略する。
かご内認証手段6は、かご内用ICタグリーダ61、かご内用生体認証装置62、かご内用物理鍵63およびかご内用テンキー64を備える。かご内認証手段6は、エレベータのかご8内で認証情報を入力するときに、エレベータの利用者によって操作される。かご内用ICタグリーダ61は、利用者固有のICタグを読取る。かご内用生体認証装置62は、指紋、虹彩、手のひら静脈、指静脈および顔画像などの生体固有の生体情報を読取る。かご内用物理鍵63は、所定の物理鍵を鍵穴に差込むことによって開錠可能に構成される鍵穴である。かご内用テンキー64は、所定の暗証番号を入力するときに用いられる。
また本実施の形態の照合手段14は、乗場認証手段3から与えられる乗場認証情報と、照合データベース15に保持されている保持認証情報とを照合して、乗場認証手段3を用いて乗場認証情報を入力した利用者が、予めエレベータの利用を認証されている人であるか否かを判断するとともに、かご内認証手段6から与えられるかご内認証情報と、照合データベース15に保持されている保持認証情報とを照合して、かご内認証手段6を用いてかご内認証情報を入力した利用者が、予めエレベータの利用を認証されている人であるか否かを判断する。
図15は、本発明の第2の実施の形態のエレベータ制御装置200におけるエレベータ制御装置本体1の動作の処理手順を示すフローチャートである。エレベータの利用者によって乗場認証手段3が操作され、エレベータを利用するための乗場認証情報が入力されると本処理を開始し、ステップc1に移行する。図15に示すフローチャートのステップc1〜ステップc5の処理は、前述の図3に示すフローチャートのステップa1〜ステップa5の処理と同一であり、また図15のステップc6〜ステップc8の処理は、図3のステップa7〜ステップa9の処理と同一であり、また図15のステップc13〜ステップc18の処理は、図3のステップa10〜ステップa15の処理と同一であるので、ステップc1〜ステップc8およびステップc13〜ステップc18の各処理の説明を省略する。
ステップc5において、エレベータが既に呼ばれている場合はステップc6に移行する。ステップc8の処理後、ステップc9に移行する。ステップc9では、制御装置本体1は、かご内認証手段6から与えられるかご内認証情報を収集して、ステップc10に移行する。ステップc10では、照合手段14は、かご内認証手段6から与えられたかご内認証情報と、照合データベース15に予め保持されている保持認証情報とを照合して、ステップc11に移行する。
ステップc11では、照合手段14は、かご内認証情報と保持認証情報とが合致しているか否かを判断し、合致していれば、かご内認証手段6を用いてかご内認証情報を入力した利用者が、予めエレベータの利用を認証されている、換言すればエレベータの利用が可能であると判断して、ステップc12に移行する。ステップc11において、かご内認証情報と保持認証情報とが合致していなければ、ステップc13に移行する。このように、かご内認証情報と保持認証情報とが合致しない場合は、後述するステップc12の処理によって、乗車予定人数にカウントされないので、共連れを検知した状態となり、ステップc14へ移行することとなり、防犯性は保たれる。
ステップc12では、正利用人数カウント手段12は、かご内認証手段6からの認証情報を基に、照合手段14によってエレベータの利用が認証されていると判断された人の数を合計して、当該階におけるかご本体9への乗車予定人数を計数する。当該階におけるかご本体9への乗車予定人数の初期値は零であり、正利用人数カウント手段12に予め保持されているものとする。ステップc12において乗車予定人数が計数されると、ステップc13に移行する。
本実施の形態において、キャンセル手段5を構成するキャンセル用ICタグリーダ51、キャンセル用生体認証装置53、キャンセル用物理鍵54およびキャンセル用テンキー55の各装置は、それぞれかご内認証手段6を構成するかご内用ICタグリーダ61、かご内用生体認証装置62、かご内用物理鍵63およびかご内用テンキー64の各装置と同一であってもよい。ただし、キャンセル手段5を構成する各装置とかご内認証手段6を構成する各装置とが同一である場合、比較手段13によって共連れを検知した後のステップc15におけるキャンセル処理と、ステップc9のかご内認証情報の収集処理との区別をつける必要がある。ステップc13の比較手段13による比較処理によって、共連れ状態と判断された場合、共連れ状態中に、既にステップc10で照合済みのかご内認証情報がかご内認証手段6から入力された場合は、キャンセル動作とみなす。たとえば共連れ状態中であったとしても、ステップc10で照合していないかご内認証情報がかご内認証手段6から入力された場合は、ステップc9のかご内認証情報の収集動作であるとみなす。
またステップc9において、かご内認証手段6は、利用者が特定の認証動作をしなくても、かご内認証情報を収集する方法を採ることもできる。たとえば、エレベータのかご8内を撮影しているカメラによって、利用者がカメラに顔を近づけなくても、予め保持されている各個人の顔画像と、カメラによる撮影によって取得した顔画像とを比較して顔認証をするか、または遠距離でもICタグを読取り可能なリーダによって、ポケットまたはかばんなどからICタグを取出さなくてもかご内認証情報を収集することができる。これによって、利用者は認証動作をする必要がなくなり、操作性を一層向上させることができる。さらに、共連れが検知され、防犯性を確保することもできる。
以上のように本実施の形態によれば、かご内で認証させることで、なりすましも防止して、共連れを検知し、防犯性をより向上させることができる。
<第3の実施の形態>
次に本発明の第3の実施の形態であるエレベータ制御装置300について説明する。前述の第1および第2の実施の形態では、非認証者を検知し、防犯性を向上しているが、非認証者への直接的な対策は何もされていない。本実施の形態では、非認証者を検知した場合に、外部に発報する方法について説明する。また、非認証者の不審度が高くないにも拘わらず、安易に外部に発報し続けると、発報そのものが形骸化してしまうという問題がある。そこで本実施の形態では、非認証者の不審度によって、発報先または発報の是非を判断する方法について説明する。
図16は、本発明の第3の実施の形態のエレベータ制御装置300の電気的構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置300は、エレベータ制御装置本体1A、計測手段2、乗場認証手段3、報知手段4、キャンセル手段5およびかご内認証手段6を備えて構成される。本実施の形態のエレベータ制御装置300は、前述の第2の実施の形態のエレベータ制御装置200と構成が類似しているので、構成が異なる部分についてのみ説明し、対応する箇所には同一の参照符を付して、第2の実施の形態と共通する説明を省略する。
制御装置本体1Aは、実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17および利用者有無推定手段18を含む前述の制御装置本体1に、さらに発報手段19および不審度推定手段20を備えて構成される。制御装置本体1Aを構成する実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17、利用者有無推定手段18、発報手段19および不審度推定手段20は、それぞれ電気的に接続されている。
制御装置本体1Aは、マイクロコンピュータによって実現され、制御装置本体1Aを構成する前記実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17、利用者有無推定手段18、発報手段19および不審度推定手段20は、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
発報手段19は、共連れを検知した場合、外部に発報する。不審度推定手段20は、エレベータの利用者の不審度を推定する。不審度とは、不審の度合いを表す。
図17は、本発明の第3の実施の形態のエレベータ制御装置300におけるエレベータ制御装置本体1Aの動作の処理手順を示すフローチャートである。エレベータの利用者によって乗場認証手段3が操作され、エレベータを利用するための乗場認証情報が入力されると本処理を開始し、ステップd1に移行する。図17に示すフローチャートのステップd1〜ステップd14の処理は、前述の図15に示すフローチャートのステップc1〜ステップc14の処理と同一であり、また図17のステップd16〜ステップd18の処理は、図15のステップc15〜ステップc17の処理と同一であるので、ステップd1〜ステップd14およびステップd16〜ステップd18の各処理の説明を省略する。
ステップd14の処理後、ステップd15に移行する。ステップd15では、発報手段19は、共連れを検知し、非認証者がエレベータのかご8内、少なくとも建物内にいることを外部の発報先に発報する。発報先は、建物の住民、建物の防犯管理者、建物オーナ、エレベータや建物の保守会社、警備会社および警察などである。発報の配信方法として、携帯電話や固定電話への音声配信、FAX、パーソナルコンピュータメール、携帯電話メールなどの文字配信、その他インターネット回線や専用通信回線などを利用した文字や音声やデータの配信などがあり、いずれの配信方法であってもよい。発報手段19は、非認証者がエレベータのかご8内にいることを外部に発報するとき、計測手段2のかご内カメラ27から、共連れが発生しているかご8内の画像を受信し、その受信した画像を発報先に送信するようにしてもよい。発報手段19が外部の発報先に発報すると、ステップd16に移行する。
なお、発報先を特定するためのアドレスや電話番号などのデータは、予めエレベータ制御装置本体1内か、エレベータ制御装置100内に保持されているものとし、エレベータ制御装置100内に保持されている場合は、エレベータ制御装置本体1と電気的に接続される手段に保持されているものとする。また、発報先を特定するためのデータは、上記認証情報登録手段によって、追加、削除および変更が可能なものとする。
ステップd18において予め定める時間が経過すると、ステップd19に移行する。ステップd19では、発報手段19は、共連れを検知し、非認証者がエレベータのかご8内、少なくとも建物内にいることを外部の前記発報先に発報する。発報手段19が外部の発報先に発報すると、ステップd20に移行する。ステップd20では、ドア制御手段17は、ドア10を閉じて、全ての処理手順を終了する。
前述の図17に示すフローチャートでは、発報手段19が外部の発報先に発報する条件として、非認証者がエレベータのかご本体9に乗車していることを検知することとしているが、これ以外の条件を付加してもよい。たとえば、かご内カメラ27で撮影した画像を解析することによって、エレベータのかご8内で暴れている人物、またはエレベータのかご8内に不自然に長く留まっている人物を検知する技術が開発されている。そこで本実施の形態では、非認証者がエレベータのかご本体9に乗車していることを検知し、かつ前述のような画像解析によってエレベータのかご8内で暴れている人物を検知したときに、発報手段19が外部の発報先に発報するようにしてもよい。
また、発報手段19による発報処理の処理手順は、ステップd15およびステップd19に限定されない。たとえば、ステップd15の発報処理およびステップd19の発報処理の両方を行わずに、いずれか一方だけを行うようにしてもよい。
また、ステップd15の発報処理およびステップd19の発報処理において、発報の是非および発報先の選択の条件として、非認証者の不審度を利用してもよい。前述のように不審度は、不審度推定手段20が推定する。
次に不審度推定手段20によって不審度を推定する方法について説明する。ステップd13〜ステップd20の間、不審度推定手段20は、非認証者の不審度を状況から推定する。不審度推定手段20は、たとえば、ステップd14の報知処理直後の場合、非認証者が、認証者の家族、親戚、友人、恋人などである可能性があるので、不審度を「低」と推定する。また不審度推定手段20は、非認証者が検知されているにも拘わらず、予め定める時間が経過してもステップd16においてキャンセル信号が受信されず、ステップd17においても利用者がいなくならない場合、不審度を「中」と推定する。さらに不審度推定手段20は、非認証者を検知しているにも拘わらず、非認証者乗車中の状態が解除されず、やむを得ずステップd18においてタイムアップした場合、不審度を「高」と推定する。前述のような方法で不審度を推定する方法を、以下「第1の不審度推定方法」という。
前述のように不審度推定手段20による不審度の推定結果を受けて、たとえば、ステップd14の報知処理直後では、非認証者が検知されているけれども、不審度推定手段20の推定結果では、不審度が「低」である。したがって発報手段19は、たとえば、非認証者の検知はしたが、外部の発報先への発報は行わない。その後、予め定める時間が経過すると、不審度が「中」になるので、発報手段19は、たとえば建物の住民、建物の防犯管理者、建物オーナ、エレベータや建物の保守会社などの発報先へ発報する。また不審度が「高」になった場合、発報手段19は、警備会社および警察などの発報先へ発報する。
不審度推定手段20は、前記第1の不審度推定方法とは異なる第2の不審度推定方法で不審度を推定してもよい。第1の不審度推定方法では、不審度を「低」、「中」、「高」の三段階で示したが、必ずしも三段階に限定されない。たとえば、不審度は、非認証者を検知してからの経過時間に対して単調増加する以下の式(6)によって与えられる数値であってもよい。
不審度=非認証者検知後の経過時間(sec)×係数 …(6)
係数は、予め不審度推定手段20によって保持されているものとする。不審度が数値で与えられる場合、発報手段19は、不審度の数値と閾値とを比較して、この比較結果から発報の是非および発報先が決まるようにすればよい。閾値は、発報手段19に予め保持されているものとする。
本実施の形態において、かご内認証手段6は必ずしも必要としない。この場合、ステップd1〜ステップd12の処理は、前述の第1の実施の形態における図3のステップa1〜ステップa9の処理に置き換わる。
以上のように本実施の形態によれば、共連れを検知した場合、外部の発報先に発報することで、建物内に進入した非認証者に対して、対策を講じることとなり、建物の防犯性をより向上させることができる。
また、不審度に応じて、発報先を変更したり、あるいは非認証者を検知したとしても、発報しなかったりすることで、発報が形骸化してしまうことを防止することができる。
<第4の実施の形態>
次に本発明の第4の実施の形態であるエレベータ制御装置400について説明する。前述の第1〜第3の実施の形態では、共連れを検知し、防犯性を向上しているが、共連れとして検知された非認証者は、本来、建物内にいてはいけない人物である可能性が高く、建物内で問題を起こす可能性がある。問題を起こした場合、後で非認証者の特定が必要となるが、そのとき、エレベータのかご8内に設置されたかご内カメラ27で撮影された画像は、非認証者を特定するための重要なデータとなる。画像を高密度に録画すると、録画された画像データのサイズが大きくなり、限られた記憶容量を多く使用することになるので、適切な期間のみ高密度に記録できるように、高密度記録の適切な開始条件および終了条件が必要となる。本実施の形態では、共連れを検知した場合、かご内カメラ27で撮影している画像を、高密度で録画する方法について説明する。
図18は、本発明の第4の実施の形態のエレベータ制御装置400の電気的構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置400は、エレベータ制御装置本体1B、計測手段2、乗場認証手段3、報知手段4、キャンセル手段5およびかご内認証手段6を備えて構成される。本実施の形態のエレベータ制御装置400は、前述の第3の実施の形態のエレベータ制御装置300と構成が類似しているので、構成が異なる部分についてのみ説明し、対応する箇所には同一の参照符を付して、第3の実施の形態と共通する説明を省略する。
制御装置本体1Bは、実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17、利用者有無推定手段18、発報手段19および不審度推定手段20を含む前述の制御装置本体1Aに、さらに画像レコーダ21および高密度録画手段22を備えて構成される。制御装置本体1Bを構成する実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17、利用者有無推定手段18、発報手段19、不審度推定手段20、画像レコーダ21および高密度録画手段22は、それぞれ電気的に接続されている。
制御装置本体1Bは、マイクロコンピュータによって実現され、制御装置本体1Bを構成する前記実乗降人数推定手段11、正利用人数カウント手段12、比較手段13、照合手段14、照合データベース15、運転制御手段16、ドア制御手段17、利用者有無推定手段18、発報手段19、不審度推定手段20、画像レコーダ21および高密度録画手段22は、マイクロコンピュータ上のソフトウェアによって構成されている。
高密度録画手段22は、共連れを検知した場合、かご内カメラ27によって撮影された画像を高密度に画像レコーダ21に録画する。
図19は、本発明の第4の実施の形態のエレベータ制御装置400におけるエレベータ制御装置本体1Bの動作の処理手順を示すフローチャートである。エレベータの利用者によって乗場認証手段3が操作され、エレベータを利用するための乗場認証情報が入力されると本処理を開始し、ステップe1に移行する。図19に示すフローチャートのステップe1〜ステップe15の処理は、前述の図17に示すフローチャートのステップd1〜ステップd15の処理と同一であり、また図19のステップe17〜ステップe21の処理は、図17のステップd16〜ステップd20の処理と同一であるので、ステップe1〜ステップe15およびステップe17〜ステップe21の各処理の説明を省略する。
ステップe15の処理後、ステップe16に移行する。ステップe16では、高密度録画手段22は、共連れが検知されたことを受けて、かご内カメラ27によって撮影された画像を画像レコーダ21に、共連れが検知されていないときよりも高密度に録画する高密度録画処理を開始する。高密度録画手段22による高密度録画の終了条件は、高密度録画中の経過時間で規定されてもよいし、他の階で停止するまででもよいし、利用者有無推定手段18によってかご8内の利用者がいないと判断されるまででもよい。
高密度録画手段22による高密度録画処理の処理手順は、図19のステップe16に限定しない。ステップe16の高密度録画処理において、高密度録画の是非および録画開始条件として、非認証者の不審度を利用してもよい。前述のように不審度は、不審度推定手段20が推定する。不審度推定手段20による不審度推定方法は、前述の第3の実施の形態の方法と同一であるので、不審度推定方法に関する詳細な説明を省略する。
本実施の形態では、非認証者を検知して、非認証者の不審度が「中」以上である場合に、高密度録画手段22によって画像レコーダ21に高密度録画を開始する。または、不審度が予め定める閾値以上である場合に、高密度録画手段22によって画像レコーダ21に高密度録画を開始する。閾値は、高密度録画手段22に予め保持されているものとする。
本実施の形態において、かご内認証手段6は必ずしも必要としない。この場合、図19のステップe1〜ステップe12の処理は、前述の第1の実施の形態における図3のステップa1〜ステップa8の処理に置き換わる。また、発報手段19は必ずしも必要としない。この場合、図19のステップe15およびステップe20の処理は不要となる。
以上のように本実施の形態によれば、共連れを検知したとき、エレベータのかご8内に設置されたかご内カメラ27によって撮影された画像が、高密度録画手段22によって画像レコーダ21に高密度に録画されることになるので、非認証者を特定しやすくなり、建物の防犯性をより向上することができる。
また、制御装置本体1Bが利用者有無推定手段18を備えて構成されると、エレベータのかご8内に利用者がいなくなったことを、高密度録画手段22による高密度録画の終了条件の1つとすることができ、画像レコーダ21の記憶領域を効率的に利用することができる。
また、非認証者を検知した場合に、不審度を、高密度記録の開始の条件の1つとすることができるようにすることで、画像レコーダ21の記憶容量を効率的に利用することができる。
<第5の実施の形態>
次に本発明の第5の実施の形態であるエレベータ制御装置500について説明する。前述の第1〜第4の実施の形態では、乗場に設置される乗場認証手段3を用いることを前提として、共連れを検知し、防犯性を向上しているが、乗場認証手段3を用いることを前提として各階床で共連れを検知しようとした場合、各階の乗場に乗場認証手段3を設置しなければならず、コストがかかる。また、認証者は認証動作を忘れて乗車してしまうことがあるが、非認証者を検知するエレベータ制御装置において、認証動作を忘れた認証者は、非認証者として扱われる。このとき、乗場認証手段3が乗場にしか無い場合、認証動作を忘れてかご本体9に乗車した認証者は、一度降車して、認証動作をしてから、再度乗車しなければならない。本実施の形態では、エレベータのかご8内にのみかご内認証手段6を設置して、全階床で非認証者を検知する方法について説明する。
図20は、本発明の第5の実施の形態のエレベータ制御装置500の電気的構成を示すブロック図である。エレベータ制御装置500は、エレベータ制御装置本体1、計測手段2、報知手段4、キャンセル手段5およびかご内認証手段6を備えて構成される。本実施の形態のエレベータ制御装置500は、前述の第1および第2の実施の形態のエレベータ制御装置100,200と構成が類似しているので、構成が異なる部分についてのみ説明し、対応する箇所には同一の参照符を付して、第1および第2の実施の形態と共通する説明を省略する。
図21は、本発明の第5の実施の形態のエレベータ制御装置500におけるエレベータ制御装置本体1の動作の処理手順を示すフローチャートである。エレベータの利用者によって乗場呼びボタンが操作されると、本処理を開始し、ステップf1に移行する。図21に示すフローチャートのステップf1〜ステップf14の処理は、前述の図15に示すフローチャートのステップc4、ステップc6〜ステップc18の処理と同一であるので、ステップf1〜ステップf14の各処理の説明を省略する。
図21に示すフローチャートでは、ステップf9において非認証者を検知した後に、ステップf10〜ステップf14の処理を行うこととしているが、前述の第3の実施の形態のように発報手段19を併用して、図17のステップd14〜ステップd20の処理を行うことも可能である。また、前述の第4の実施の形態のように高密度録画手段22および画像レコーダ21を併用して、図19のステップe14〜ステップe21の処理を行うことも可能である。
以上のように本実施の形態によれば、乗場の乗場認証手段3を利用する場合に比べて安価に複数階床で共連れを検知し、なりすましも防止し、防犯性を向上することができる。
また認証手段として、エレベータのかご8内にかご内認証手段6を備えて非認証者を検知する場合、乗場の乗場認証手段3のみを備えて構成される場合のように、認証者が認証動作を忘れてエレベータのかご本体9に乗車したとき、一度降車して、認証動作をしてから、再度乗車しなければならないという不具合が生じることを未然に防止することができる。
前述の各実施の形態は、本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲内において本発明の構成を変更することができる。
1,1A,1B エレベータ制御装置本体、2 計測手段、3 乗場認証手段、4 報知手段、5 キャンセル手段、6 かご内認証手段、8 かご、9 かご本体、10 ドア、11 実乗降人数推定手段、12 正利用人数カウント手段、13 比較手段、14 照合手段、15 照合データベース、16 運転制御手段、17 ドア制御手段、18 利用者有無推定手段、19 発報手段、20 不審度推定手段、21 画像レコーダ、22 高密度録画手段、25 重量センサ、26 光電センサ、27 かご内カメラ、41 乗場表示機、42 かご内表示機、43 かご内音声発信器、100,200,300,400,500 エレベータ制御装置。