JP4974925B2 - 防振装置 - Google Patents
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Description
また特許文献1に記載された技術では、シェイク振動の入力時に受圧室に惹起される負圧によっても、オリフィス通路が受圧室に連通されることになる。この場合、シェイク振動の振幅によってオリフィス通路の液柱共振周波数が変化するので、通常時においてシェイク振動に対する防振性能が十分に発揮できなくなるという問題がある。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結され、略筒状に形成された第1取付部材と、前記振動発生部および前記振動受部のいずれか他方に連結され、前記第1取付部材の内周側に配置された第2取付部材と、前記第1取付部材と前記第2取付部材との間を弾性的に支持する弾性体と、隔壁の一部が前記弾性体で構成され、液体が封入された主液室と、隔壁の一部がダイヤフラムで構成されるとともに液体が封入され、液圧の変化に応じて内容積が拡縮可能な副液室と、前記主液室と前記副液室との間に設けられた仕切部材と、前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有し、前記主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合に、前記主液室の半径方向に移動して前記オリフィス通路を狭窄しうる弁体を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、弁体がオリフィス通路を狭窄すると、オリフィス通路の流路抵抗が増加するため、液柱共振周波数が低周波側にシフトする。その結果、キャビテーションを発生させる振動が入力された場合に、オリフィス通路が目詰まりした状態になる。これにより、主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力されても、主液室からオリフィス通路に液体が流入し難くなるので、主液室内の正圧が大きくなる。そのため、次に主液室の液圧が下降する方向の荷重が入力されても、主液室内の負圧は大きくならない。したがって、キャビテーションの発生を抑制することができる。
また、主液室の半径方向に移動する弁体を採用することで、既存の防振装置に対して簡単に弁体を付加することができる。さらに、通常時において主液室とオリフィス通路との間における液体の流通を阻害することがないので、オリフィス通路の液柱共振を所定周波数で発生させることが可能になり、防振特性を十分に発揮することができる。
これに加えて、オリフィス通路を閉塞することなく狭窄する弁体を採用することで、弁体が別部材に当接して異音が発生するのを防止することができる。
この構成によれば、通常時において、主液室とオリフィス通路との間で液体を円滑に流通させることが可能になり、防振特性を十分に発揮することができる。
この構成によれば、板ばねの他方端部が、通常時には開口部を開放するように付勢され、主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合には主液室の半径方向に移動してオリフィス通路を狭窄することができる。これにより、別途付勢手段を設ける必要がなくなり、製造コストを低減することができる。
(エンジンマウント)
図1は、本実施形態におけるエンジンマウントの全体構成を示す断面図である。
図1に示すように、エンジンマウント(防振装置)10は、自動車における振動発生部であるエンジンを、振動受け部である車体へ支持するものである。なお、以下の説明において、図中の符号Sはエンジンマウント10の軸心を示しており、この軸心Sに沿った方向をエンジンマウント10の軸方向とする。
本実施形態のエンジンマウント10では、オリフィス通路34によりシェイクオリフィスが形成されている。シェイクオリフィスの路長及び断面積(すなわち流路抵抗)は、車両におけるシェイク振動の周波数(例えば、8〜12Hz程度)において液柱共振が生じるように設定(チューニング)されている。この液柱共振によりシェイク振動を減衰させることで、エンジンマウント10が防振性能を発揮しうるようになっている。
図2は第1実施形態の仕切部材の説明図であり、図2(a)は上方からの斜視図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線における側面断面図である。図2に示すように、仕切部材130の外周には、下板部31、底筒部32および上板部33を壁面とするオリフィス通路34が形成されている。オリフィス通路34の一方端部において底筒部32に貫通孔が形成され、オリフィス通路34の主液室15A側の開口部35Aが形成されている。またオリフィス通路34の他方端部において下板部31に切り欠きが形成され、オリフィス通路34の副液室15B側の開口部35Bが形成されている。開口部35A,35Bを挟んでオリフィス通路34の反対側には、オリフィス通路34の短絡を阻止する閉塞部36が設けられている。
図3は、図2(a)のP矢視における側面図である。図3に示すように、板ばね40の他方端部40cの幅hは、オリフィス通路34の開口部35Aの幅Hより小さくなっている。また他方端部40cの長さdは、開口部35Aの長さDより小さくなっている。これにより、他方端部40cが半径方向外側に撓み変形した場合に、他方端部40cが開口部35Aからオリフィス通路34に侵入し、開口部35Aおよびオリフィス通路34の流路を狭窄しうるようになっている。
次に、第1実施形態に係るエンジンマウントの作用を説明する。
図6はエンジンマウントの作用のフローチャートである。
従来技術に係るエンジンマウントでは、路面の凹凸等により、主液室の液圧が上昇する方向の荷重(以下「正荷重」という。)が入力されると(S10,S12)、主液室内の液圧が上昇する(S14)。これにより、液体がオリフィス通路を通って副液室に移動するため(S16)、主液室内の正圧は大きくならず、大気圧にとどまる(S18)。そのため、次に主液室の液圧が下降する方向の荷重(以下「負荷重」という。)が入力されると、主液室の負圧が大きくなる(S20)。これにより、主液室の液体の一部が気化して気泡が発生する(キャビテーション:S22)。そして、再び正荷重が入力されて主液室の液圧が上昇し(S24)、気泡が消滅する際に、異音が発生するという問題がある(S26)。
しかしながら、特許文献2に記載された発明では、シェイク振動の入力時に主液室に惹起される負圧によっても、若干ながら短絡路が連通状態になる。この場合、オリフィス通路に液体が流入し難くなり、防振性能が十分に発揮できなくなるという問題がある。
図4は、本実施形態に係るエンジンマウントに正荷重が入力された場合の動作説明図であり、図2(b)に相当する断面図である。図4に示すように、本実施形態に係るエンジンマウントでは、大きな正荷重が入力され、主液室の液圧が急激に上昇すると(S14)、板ばね40の内面に液圧が作用し、板ばね40の他方端部40cが半径方向外側に向かって撓み変形する(S50)。これにより、他方端部40cが開口部35Aからオリフィス通路34に侵入し、オリフィス通路34の流路断面積を狭窄する(S52)。なお、他方端部40cの先端とオリフィス通路34の外径との隙間Wが、最も狭窄された流路になる。このように板ばね40は正圧弁(狭窄弁)として機能する。
続けて負荷重が入力され、主液室内の液圧が低下すると(S62)、図4に示す板ばね40が半径方向内側に向かって撓み変形し、開口部35Aおよびオリフィス通路34を開放して(S64)、図2(b)に示す初期状態に復帰する(S66)。
この構成によれば、板ばね40によりオリフィス通路34を狭窄することで、キャビテーションを発生させる振動に対してオリフィス通路34が目詰まりした状態になる。これにより、主液室15Aからオリフィス通路34に液体が流入しないので、主液室15A内の正圧が大きくなる。そのため、続けて大きな負荷重が入力されても、主液室15A内の負圧は大きくならない。したがって、キャビテーションの発生を抑制することができる。これに伴って、気泡の消滅に伴う異音の発生を防止することができる。
これに加えて、オリフィス通路34を閉塞することなく狭窄する板ばね40を採用することで、板ばね40が仕切部材130や外筒などに当接して異音が発生するのを防止することができる。
図5は第2実施形態の仕切部材の説明図であり、図2のA−A線に相当する部分における断面図である。なお図5(a)は無負荷状態であり、図5(b)は正荷重が入力された状態である。図5に示す第2実施形態では、板ばね40が、底筒部32の半径方向外側に固定されている点で、半径方向内側に固定されている第1実施形態とは相違している。なお第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
このように、本実施形態に係るエンジンマウントでは、第1実施形態と同様にキャビテーションの発生を抑制することが可能であり、これに伴って気泡の消滅に伴う異音の発生を防止することができる。
例えば、前記実施形態では取付部材の上方にエンジンが固定されるエンジンマウントを例にして説明したが、これとは逆に取付部材の下方にエンジンが固定される、いわゆる吊り下げ型のエンジンマウントに本発明を適用することも可能である。
また、前記実施形態では主液室と副液室との圧力差に応じてたわみ変形するメンブラン部材を採用したが、圧力差に応じて所定範囲内で自在に移動しうるガタ部材や、両者の機能を併有するガタメンブラン部材等を、仕切部材に追加することも可能である。
Claims (3)
- 振動発生部および振動受部のいずれか一方に連結され、略筒状に形成された第1取付部材と、
前記振動発生部および前記振動受部のいずれか他方に連結され、前記第1取付部材の内周側に配置された第2取付部材と、
前記第1取付部材と前記第2取付部材との間を弾性的に支持する弾性体と、
隔壁の一部が前記弾性体で構成され、液体が封入された主液室と、
隔壁の一部がダイヤフラムで構成されるとともに液体が封入され、液圧の変化に応じて内容積が拡縮可能な副液室と、
前記主液室と前記副液室との間に設けられた仕切部材と、
前記主液室と前記副液室とを連通するオリフィス通路と、を有し、
前記主液室の液圧が上昇する方向の荷重が入力された場合に、前記主液室の半径方向に移動して前記オリフィス通路を狭窄しうる弁体を備えていることを特徴とする防振装置。 - 前記オリフィス通路は、前記主液室の半径方向に向けて開口する開口部を備え、
前記弁体が、前記開口部を開放するように付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。 - 前記弁体は板ばねで構成され、
前記板ばねの一方端部が、前記開口部の周囲に固定されるとともに、
前記板ばねの他方端部が、前記開口部から離間配置されていることを特徴とする請求項2に記載の防振装置。
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