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JP4968268B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ロールツーロール方式による有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも言う)の製造方法に関し、更に詳しくは、ウェット成膜工程とドライ成膜工程とを有する製造工程でロールツーロール方式により製造する有機EL素子の製造方法に関する。
近年、自発光素子として有機EL素子が注目されている。有機EL素子は、基板上に形成された第1電極(陽極又は陰極)と、その上に積層された有機発光物質を含有する有機化合物層(単層部又は多層部)即ち発光層と、この発光層上に積層された第2電極(陰極又は陽極)とを有する薄膜型の素子である。この様な有機EL素子に電圧を印加すると、有機化合物層に陰極から電子が注入され陽極から正孔が注入される。この電子と正孔が発光層において再結合し、エネルギー準位が伝導帯から価電子帯に戻る際にエネルギーを光として放出することにより発光が得られることが知られている。
この様に、有機EL素子は薄膜型の素子であるため、1個又は複数個の有機EL素子をフィルム基材上に形成した有機EL素子をバックライト等の面光源として利用した場合には、面光源を備えた装置を容易に薄型にすることが出来る。又、画素としての有機EL素子を基板上に所定個数形成した有機EL素子をディスプレイパネルとして用いて有機EL表示装置を構成した場合には視認性が高い、視野角依存性がない等、液晶表示装置では得られない利点があることから検討が進められている。
有機EL素子は、光透過性の電極(陽極)、例えばITO(インジウムチンオキサイド)の上に少なくとも発光層を有するナノメートル単位の薄膜の有機機能層を積層し、最後に薄膜の電極(陰極)を形成して得られる。しかしながら、これらの薄膜の膜厚全てを併せても全体の膜厚は0.6ミクロンにも満たない、非常に薄い多層構造の機能性薄膜の積層体である。従って機能性薄膜を形成する前の基体には優れた平面性が必要とされ、異物や突起物、キズ、折れやヒビ割れ等があると有機EL素子とした時、電圧印加時に、ショート(所謂、リーク)により発光電流の増大や非発光となることがある。
又、発光層中で電荷が移動したり励起子を形成したりして発光に至るまでの電気化学的なプロセスを妨害する、水分、酸素等に代表される物質に対して、有機EL素子は非常に敏感である。これらの物質が、最初から不純物として存在したり、製造工程中で、混入したり、ガス拡散を防止する材料層の破損部分を越えて進入したりすると、発光の効率や駆動寿命が著しく短くなり、実用的な照明や表示のための性能を得ることが出来なくなる。
又、水分及び酸素等は電極表面や内部の電気的、化学的な特性を変化させ、電子や正孔の移動を妨害する場合もあり、その結果、実用的な特性を大きく劣化させる。
有機EL素子の詳細については、オーム社から刊行されている「有機ELディスプレイ」(時任静士・安達千波矢・村田英幸、共著)の各章に詳しい記載がある。
従って、有機EL素子は、例えば、乾燥剤を封入して、ガラスや金属缶で密閉した構造の中に収めたり、又、水分や酸素等のガス成分に対して、バリア性能を有する層を基材や封止材料に形成して、性能を確保したりすることが検討されている。
一方、有機EL素子を構成している有機機能層を形成する際には、蒸着法、スパッタ法、CVD、PVD、溶剤を用いたとウェット方式で成膜し形成する方法等の様々な方法が使用出来る。これらの方法の中で、製造工程の簡略化、製造コストの低減、加工性の改善、バックライトや照明光源等のフレキシブルな大面積素子への応用等の観点からは、大気圧環境下のウェット方式で成膜する方法が有利であることが知られている。又、第1電極、第2電極及び無機機能層を形成する際には、蒸着法、スパッタ法、CVD、PVD等の真空環境下のドライ方式で成膜し形成する方法が知られている。
本発明では基材上に第1電極と発光層を含む複数からなる有機化合物層と第2電極まで形成した状態及び封止部材で密着封止した状態を含め有機EL素子と言う。
有機EL素子の製造に使用する基材としては、枚葉シート基材と帯状可撓性基材とが挙げられる。帯状の可撓性基材を使用する方法は、ロール状の帯状の可撓性基材を使用し、第1電極の形成から封止部材の貼合までを帯状の可撓性基材を使用し、封止部材を貼合した後にロール状に巻き取り回収する、又は、封止部材を貼合した後に断裁し有機EL素子を製造するロールツーロール方式と言われている製造方法である。ロールツーロール方式は、生産性の点で枚葉シート基材を使用する方式に比べ優れているため検討が進められている。
例えば、陽極が形成されている帯状可撓性基材の陽極の上に、大気圧条件で有機機能層を塗布方式で有機機能層形成用塗布液を塗布・乾燥して有機機能層を形成し、一旦巻き取り保管した後、有機機能層の上に減圧条件下で陰極を形成し、封止部材で封止するロールツーロール方式による有機EL素子の製造方法が記載されている(特許文献1参照。)。
帯状可撓性基材の上に、少なくとも第1電極と、正孔輸送層と、発光層と、電子注入層と、第2電極と、封止層又は封止フィルムとの形成体をこの順番で有する有機EL素子をロールツーロール方式により作製する際、有機EL素子の膜面への傷つき防止するため、巻き取り回収する際、巻き取り補助部材を付与し巻き取り回収する方法が記載されている(特許文献2参照。)。
陽極が形成されている帯状可撓性基材の陽極の上に、大気圧条件で有機機能層を塗布方式で有機機能層形成用塗布液を塗布・乾燥して有機機能層を形成し、一旦巻き取り保管した後、有機機能層の上に減圧条件下で陰極を形成し、吸水率が1.0%以下の封止部材で封止するロールツーロール方式による有機EL素子の製造方法が記載されている(特許文献3参照。)。
特許文献1から3に記載のロールツーロール方式による有機EL素子の製造方法は、ウェット成膜工程とドライ成膜工程とが分離しているため、ロールツーロール方式の本来の高生産性の製造方法になっていない。
ウェット成膜工程とドライ成膜工程とを連続して有機EL素子を製造する場合、次の問題点が判った。
1.ドライ成膜工程が1ユニットの場合、加熱蒸発室で1回の成膜に使用する成膜原料の量は限りがあるので、成膜原料がなくなる時点で生産を中止し、ドライ成膜工程を清掃してから再度生産開始としなければならないため、製造が成膜原料の量単位となり生産性を挙げることが難しい。
2.ドライ成膜工程が複数ユニットの場合、加熱蒸発室で1回の成膜に使用する成膜原料の量はユニット分増えるが限りがあるので、成膜原料が多くなった分製造時間は長くすること出来るが、成膜原料がなくなる時点で生産を中止し、ドライ成膜工程を清掃してから再度生産開始としなければならないため、製造が成膜原料の量単位となり生産性を挙げることが難しい。
3.ドライ成膜工程を清掃している間は製造が出来ないため、1日の生産量が決められてしまう。
4.製造の途中で、成膜材料を補充する場合は、一旦成膜室及び加熱蒸発室を大気圧に戻すため、生産を再開する際には成膜室及び加熱蒸発室を再度真空にするために時間が掛かり1日の生産量が決められてしまう。又、ドライ成膜工程の前のウェット成膜工程も当然止めることになるため、ドライ成膜工程を止める前に工程ロスをなくすため、予めリーダーを繋ぎウェット成膜工程に仕掛品がない様にする煩雑な作業が必要となる。
5.成膜材料を補充する場合、成膜材料に潮解性の高い材料(例えば、電子注入層形成用の材料)の時、加熱蒸発室を大気圧に戻すことで残存している成膜材料が急速に水分を吸着し、再度、真空排気をする際に、この水分が除去し難く、高真空を達成するまでに非常に時間が掛かり1日の生産量が決められてしまう。
6.ドライ成膜工程の真空度が低いまま、電子注入層、陰極を成膜し形成すると、発光効率の低下だけでなく、寿命等の性能が劣化し、ダークスポット等の故障の原因となる。
この様な状況から、有機EL素子をウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを有する製造工程でロールツーロール方式により製造する時、ウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを分断することなく、且つ成膜原料の量に影響されることなく、ドライ成膜工程で連続して成膜することが出来る有機EL素子の製造方法の開発が望まれている。
国際公開第06/100868号パンフレット 特開2006−294536号公報 特開2007−73332号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は、有機EL素子をウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを有する製造工程でロールツーロール方式により製造する時、ウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを分断することなく、且つ成膜原料の量に影響されることなく、ドライ成膜工程で連続して成膜することが出来る有機EL素子の製造方法を提供することである。
本発明の上記課題は、下記の構成により達成された。
1.有機エレクトロルミネッセンス素子をウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを有する製造工程を使用し、ロールツーロール方式で製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
前記ドライ成膜工程は、成膜条件を独立に制御し得る成膜室と、気圧調整室と、加熱蒸発室とを有する気相成膜ユニットを使用し、
前記気相成膜ユニットは前記成膜室の真空を維持し、前記加熱蒸発室と、前記成膜室とを分離及び接合が可能であり、
連続して成膜を行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
2.前記気相成膜ユニットは、1つの成膜室と、2つ以上の加熱蒸発室と、2つ以上の気圧調整室とを有することを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
3.前記気相成膜ユニットは、1つの成膜室と、1つの加熱蒸発室と、1つの気圧調整室とを有し、該気相成膜ユニットが2つ以上、工程に直列に配置されていることを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
4.前記気相成膜ユニットは1つの成膜室と、1つの加熱蒸発室と、1つの気圧調整室とを有し、該加熱蒸発室は交換用の加熱蒸発室を有することを特徴とする前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
5.前記気圧調整室は成膜室の内側の下部に設けた第1開口部と第2開口部とを有する分離壁と、加熱蒸発室の内側の上部に設けた第3開口部と第4開口部とを有する分離壁とから構成された空間であり、
該第1開口部を該気圧調整室側から開閉する第1遮蔽板と、該第2開口部を該気圧調整室側から開閉する第2遮蔽板と、該第3開口部を該気圧調整室側から開閉する第3遮蔽板と、該第4開口部を該気圧調整室側から開閉する第4遮蔽板と、排気管と外気導入管とを有することを特徴とする前記2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
6.前記気圧調整室は成膜室の内側の下部に設けた第1開口部を有する分離壁と、加熱蒸発室の内側の上部に設けた第2開口部を有する分離壁とから構成された空間であり、
該第1開口部を該気圧調整室側から開閉する遮蔽板と、第2開口部を該気圧調整室側から開閉する第2遮蔽板と、排気管と外気導入管とを有することを特徴とする前記2又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
7.前記成膜室は、排気管と、外気導入管と、マスクと、可撓性基材の有機機能層が形成された面側を実質非接触として搬送する搬送ロールとを有することを特徴とする前記1から6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
8.前記加熱蒸発室は気相成膜装置と、排気管と、外気導入管と、不活性ガス導入管とを有することを特徴とする前記1から7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
9.前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、ドライ成膜工程の後に、封止材貼合工程と、断裁工程とを有することを特徴とする前記1から8の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
10.前記1から9の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
ドライ成膜工程は、成膜条件を独立に制御し得る成膜室と、気圧調整室と、加熱蒸発室とを有する気相成膜ユニットを使用し、
該ドライ成膜工程は連続してステップ毎に行う工程であり、該ステップは第1ステップと、これに続く第2ステップとからなり、
該第1ステップは、該成膜室の真空を維持した状態で、次の連続する成膜に対する調整のために、該加熱蒸発室と該成膜室とを分離し、
該第2ステップは、調整した該加熱蒸発室と該成膜室とを接合することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
11.前記加熱蒸発室と成膜室との分離は、該成膜室及び該加熱蒸発室の真空を維持した状態で、気圧調整室を大気圧に戻した後、該加熱蒸発室と該成膜室とを分離することを特徴とする前記10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
12.前記加熱蒸発室と成膜室との接合は、分離された加熱蒸発室を大気圧に戻し、調整後、接合した後、気圧調整室を真空にすることを特徴とする前記10又は11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
可撓性基材の上に少なくとも、第1電極と、少なくとも1層の有機機能層と、第2電極とを有する有機EL素子をウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを有する製造工程でロールツーロール方式により製造する時、ウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを分断することなく、且つ成膜原料の量に影響されることなく、ドライ成膜工程で連続して成膜することが出来る有機EL素子の製造方法を提供することが出来た。
帯状の可撓性基材を用いたロールツーロール方式による有機EL素子の製造工程の模式図である。 図1に示す電子注入層形成工程の概略図である。 図2(b)のPで示される部分の概略図である。 図2に示す成膜室の第1開口部を遮蔽する遮蔽板を成膜室側から見た拡大概略図である。 図2(b)のQで示される部分の拡大概略図である。 図2に示す気相成膜ユニットを使用して、成膜を連続して行うフロー図である。 可撓性基材に対して直列に2つの気相成膜ユニットを配置した図1に示す電子注入層形成工程の概略斜視図である。 図7に示す第1気相成膜ユニット4a′1のG−G′に沿った拡大概略断面図である。 交換用の加熱蒸発室を有する気相成膜ユニットを使用した図1に示す電子注入層形成工程の概略図である。
本発明の実施の形態を図1から図9参照しながら説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
図1は帯状の可撓性基材を用いたロールツーロール方式による有機EL素子の製造工程の模式図である。以下に、1例としてパターン化されて形成されている第1電極を複数有する帯状の可撓性基材(以下、可撓性基材とも言う)の上にウェット方式で成膜して形成した正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層との上に、電子注入層と、第2電極とをドライ方式で成膜して形成した後、封止部材を貼合し、断裁して有機EL素子をロールツーロール方式で製造する方法を本図で説明する。
本発明におけるロールツーロール方式とは、ロール状に巻いた可撓性基材を繰り出して、間欠的或いは連続的に搬送しながら、可撓性基材の上にサブミクロンの機能性材料層の一部又は全部を形成したりして、再び、ロールに巻き取る方式、又は、機能性材料層を形成して、引き続き断裁して最終製品を得る方式を含めて、所謂ロールツーロール方式と呼称する。
本発明は電子注入層と、第2電極とをドライ方式で成膜して形成する時、成膜室内の可撓性基材を大気開放下に曝すことなく搬送し、成膜を止めることなく連続して成膜する方法を使用したロールツーロール方式による有機EL素子の製造方法に関するものである。
図中、1は正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層とをウェット方式で可撓性基材を連続搬送しながら成膜して形成し、電子注入層、第2電極をドライ方式で成膜し形成する有機EL素子の製造工程を示す。製造工程1は、供給工程2と、ウェット成膜工程3と、ドライ成膜工程4と、封止工程5、断裁工程6とを有している。
供給工程2からは巻き芯に巻き取られロール状態で供給された、ガスバリア膜と第1電極とがこの順番で既に形成された可撓性基材201aが繰り出され表面処理装置(不図示)を介して正孔輸送層形成工程3aに送られる。第1電極の形成位置は可撓性基材201aに予め付けられたアライメントマーク201b(図2参照)により判る様になっている。
ウェット成膜工程3は正孔輸送層をウェット方式で成膜し形成する正孔輸送層形成工程3a、発光層をウェット方式で成膜し形成する発光層形成工程3bと、電子輸送層をウェット方式で成膜し形成する電子輸送層形成工程3cとを有している。
ウェット成膜工程3は供給工程2から搬送されてくる可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク201b(図2参照)を検出装置4a16(図2参照)で読み取り、検出装置4a16(図2参照)の情報に従って、可撓性基材201aの上に形成されている第1電極のパターンに合わせて、第1電極の上に正孔輸送層、発光層、電子輸送層を順次形成し、この後、ドライ成膜工程4に搬送する。
正孔輸送層形成工程3aは、可撓性基材201a上に形成されている第1電極のパターンに合わせ正孔輸送層形成用塗布液を成膜装置により成膜し、塗膜中の溶媒を乾燥装置で除去し正孔輸送層を形成する。
発光層形成工程3bは、正孔輸送層形成工程3aから搬送されてくる可撓性基材201aの上に形成されている正孔輸送層の領域に発光層形成用塗布液を成膜装置により成膜し、塗膜中の溶媒を乾燥装置で除去し発光層を形成する。
電子輸送層形成工程3cは、可撓性基材201a上に形成されている発光層の領域に電子輸送層形成用塗布液を成膜装置により成膜し、塗膜中の溶媒を乾燥装置で除去し電子輸送層を形成する。
ウェット成膜工程3を構成している正孔輸送層形成工程3aと、発光層形成工程3bと、電子輸送層形成工程3cとで使用する成膜装置としてはパターン成膜が出来れば特に限定はなく、例えば、インクジェット方式、フレキソ印刷方式、オフセット印刷方式、グラビア印刷方式、スクリーン印刷方式等に使用する各種成膜装置が挙げられる。これらの成膜装置の使用は各工程での使用塗布液の材料に応じて適宜選択することが可能となっている。又、全面に塗布後、各工程の後で不要部分を溶媒を含んだ部材で拭き取るなどの方法でパターン成膜してもよい。
本図に示される正孔輸送層形成工程3a、発光層形成工程3b及び電子輸送層形成工程3cで使用する成膜装置及び乾燥装置の数は各層の構成により適宜配設することが可能となっている。
ドライ成膜工程4は、電子注入層形成工程4aと、第2電極形成工程4bとを有している。ドライ成膜工程4では電子輸送層形成工程3cから搬送されてくる電子輸送層までが形成された可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク201b(図2参照)を検出装置4a16(図2参照)で読み取り、検出装置4a16(図2参照)の情報に従って、電子輸送層の上に電子注入層と、第2電極とを形成する。
電子注入層形成工程4aは、複数の気相成膜ユニットを有する気相成膜ユニット4a1と、アキュームレータ4a2とを使用している。気相成膜ユニット4a1に関しては図2で詳細に説明する。
電子注入層形成工程4aは、電子輸送層形成工程3cから搬送されてくる可撓性基材201a上に形成されている電子輸送層の領域に電子注入層形成用材料を気相成膜ユニット4a1でマスクを使用しパターン状に成膜し電子注入層を形成する。
気相成膜ユニット4a1での成膜は、電子輸送層形成工程3cから搬送されてくる電子輸送層迄が形成された可撓性基材201aに設けられたアライメントマーク201b(図2参照)を電子注入層形成工程4aに配設された検出装置4a16(図2参照)により検出し、検出装置4a16(図2参照)の情報に従って気相成膜ユニット4a1のマスクとアライメントマーク201b(図2参照)との位置合わせが行われ、可撓性基材201aの搬送を停止した状態で行われる。
成膜が行われている間、電子輸送層形成工程3cから搬送されてくる可撓性基材201aはアキュームレータ4a2に溜められ、成膜が終了した後、成膜するに要する長さを気相成膜ユニット4a1に搬送する方式で行われる。
アキュームレータ4a2の大きさは電子輸送層形成工程3cの成膜速度と、電子注入層形成工程4aの成膜速度との差により適宜設定することが可能となっている。
第2電極形成工程4bは、複数の気相成膜ユニットを有する気相成膜ユニット4b1と、アキュームレータ4b2とを使用している。アキュームレータ4b2は真空状態の維持と解除とが可能な室(不図示)に設置されており、且つ、気相成膜ユニット4a1及び気相成膜ユニット4b1とはエアーツーバキュームコネクターを介して接合されていることが好ましい。この様にすることで可撓性基材201aを大気開放下に曝すことなく搬送し、電子注入層及び第2電極の形成を行うことが可能となる。
第2電極形成工程4bは、電子注入層形成工程4aから搬送されてくる可撓性基材201a上に形成されている第1電極のパターンに合わせ第2電極形成用材料を気相成膜ユニット4b1でマスクを使用してパターン状に成膜し第2電極を形成する。
気相成膜ユニット4b1での成膜は、電子注入層形成工程4aから搬送されてくる電子注入層迄が形成された可撓性基材201aに設けられたアライメントマーク201b(図2参照)を配設された検出装置4a16(図2参照)により検出し、検出装置4a16(図2参照)の情報に従って気相成膜ユニット4b1のマスクとアライメントマーク201b(図2参照)との位置合わせが行われ、可撓性基材201aの搬送を停止した状態で行われる。この段階で、基材/バリア層/第1電極(陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極(陰極)の構成を有する有機EL素子が出来上がる。
成膜が行われている間、電子注入層形成工程4aから搬送されてくる可撓性基材201aはアキュームレータ4b2に溜められ、成膜が終了した後、封止工程5に搬送する方式で行われる。
アキュームレータ4b2の大きさは電子注入層形成工程4aの成膜速度と、第2電極形成工程4bの成膜速度との差により適宜設定することが可能となっている。
第2電極形成用材料を成膜し第2電極を形成するのに使用する気相成膜装置としては、電子注入層形成工程4aで使用している気相成膜装置4a12C(図2参照)と同じであっても構わなし、第2電極形成用材料の種類により適宜選択することが可能となっている。
封止工程5では、第2電極までが形成された可撓性基材201aの第2電極が形成された側の全面に接着剤を塗設し、封止部材を貼合した後、断裁工程6に搬送する。
断裁工程6ではアライメントマークを検出装置(不図示)で読み取り、検出装置(不図示)の情報に従って断裁装置(不図示)で断裁し、個別の有機EL素子に断裁される。有機EL素子が打ち抜かれたスケルトンは巻き取り装置で巻き取られ回収される。
本発明でロールツーロール方式とは、本図に示す様にロール状に巻かれた帯状の可撓性基材を使用し、第1電極の形成から封止部材の貼合した後に断裁し有機EL素子を製造する方法、又は、封止部材を貼合した後に一旦ロール状に巻き取り保管した後に断裁し有機EL素子を製造する方法を含めて言う。
図1に示す有機EL素子の製造工程は、基材/第1電極(陽極)/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材の層構成を有する有機EL素子の一例を示したものであるが、他の代表的な層構成としては次の構成が挙げられる。
(1)基材/第1電極(陽極)/発光層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(2)基材/第1電極(陽極)/発光層/電子輸送層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(3)基材/第1電極(陽極)/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(4)基材/第1電極(陽極)/正孔輸送層(正孔注入層)/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
(5)基材/第1電極(陽極)/陽極バッファ層(正孔注入層)/正孔輸送層/有機層(発光層)/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファ層(電子注入層)/第2電極(陰極)/接着剤/封止部材
又、発光層が多層の場合は、積層する数に合わせて成膜・乾燥部のユニットを配設する必要がある。発光層の膜厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性、発光に必要な電圧等を考慮し、通常2nmから5μm、好ましくは2nmから200nmの範囲で選ばれる。更に10nmから20nmの範囲にあるのが好ましい。
電子輸送層の膜厚は、素材にもよるが0.1nmから5μmの範囲が好ましい。第2電極(陰極)としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nmから5μm、好ましくは50nmから200nmの範囲で選ばれる。
図2は図1に示す電子注入層形成工程の概略図である。図2(a)は図1に示す電子注入層形成工程の概略斜視図である。図2(b)は図2(a)のA−A′に沿った概略断面図である。
図中、4a1は気相成膜ユニットを示す。気相成膜ユニット4a1は、一つの成膜室4a11と、第1気圧調整室4a19Aと、第1加熱蒸発室4a12と、第2加熱蒸発室4a13と、第2気圧調整室4a19Bと、移動用レール4a14とを有している。
第1加熱蒸発室4a12と、第2加熱蒸発室4a13とは別々に成膜室4a11から分離し移動用レール4a14に沿って移動(図中の矢印方向)し、再び移動用レール4a14に沿って移動(図中の矢印方向)し、成膜室4a11にセットすることが可能となっている。
移動用レール4a14の成膜室4a11側には、第1加熱蒸発室4a12と、第2加熱蒸発室4a13を成膜室4a11にセットする時に、第1加熱蒸発室4a12と、第2加熱蒸発室4a13と、成膜室4a11との位置合わせを容易にするため定位置にストッパー(不図示)が配設されており、定位置で第1加熱蒸発室4a12又は第2加熱蒸発室4a13が停止した後、上昇手段(不図示)(例えば、オイルジャッキ、エアージャッキ等)で第1加熱蒸発室4a12又は第2加熱蒸発室4a13を上昇させて成膜室4a11にセットすることが可能となっている。
4a15は成膜室4a11の可撓性基材201aの入る側と出る側に配設されたエアーツーバキュームコネクターを示し、これにより可撓性基材201aの搬送時の成膜室4a11の真空度が維持出来る様になっている。
4a16は成膜室4a11に配設された検出装置を示す。検出装置4a16により、可撓性基材201aの上に形成されている第1電極の位置を示すアライメントマーク201bを検出し、検出装置4a16の情報に基づき、成膜室4a11内のマスクとの位置合わせを行い、可撓性基材201aの搬送を止めて成膜する様になっている。
4a17は成膜室4a11内を真空にするための排気管を示し、真空ポンプ(不図示)に繋がっている。
4a18は成膜室4a11内の真空状態を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
4a111は成膜室4a11内に配設された第1開口部4a112と、第2開口部4a113を有し、第1加熱蒸発室4a12と第2加熱蒸発室4a13とを分離する分離壁を示す。4a114は第1開口部4a112の第1遮蔽板を示す。第1遮蔽板4a114はボールネジシャフト4a115に取り付けられており、ボールネジシャフト4a115の回転により第1遮蔽板4a114を移動(図中の矢印方向)させることで第1開口部4a112の開閉を可能にしている。本図は第1開口部4a112が閉じた状態を示している。4a116はボールネジシャフト4a115の回転用のモーターを示す。
4a117は第2開口部4a113の第2遮蔽板を示す。第2遮蔽板4a117はボールネジシャフト4a118に取り付けられており、ボールネジシャフト4a118の回転により第2遮蔽板4a117を移動(図中の矢印方向)させることで第2開口部4a113の開閉を可能にしている。本図は第2開口部4a113が閉じた状態を示している。4a119はボールネジシャフト4a118の回転用のモーターを示す。
4a1110は成膜室4a11内に第1開口部4a112と対向する位置に配設されたマスクを示す。4a1111は成膜室4a11内に第2開口部4a113と対向する位置に配設されたマスクを示す。
4a121は第1加熱蒸発室4a12に配設された排気管を示し、第1加熱蒸発室4a12内を真空状態にするため真空ポンプへ繋がっている。
4a122は第1加熱蒸発室4a12の掃除、成膜材料の交換等の時、第1加熱蒸発室4a12内の真空状態を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
4a123は成膜原料の酸化を防止するための不活性ガス導入手段の不活性ガス導入管を示し、途中に配設した開閉バルブ(不図示)を介して不活性ガスタンクへ繋がっている。不活性ガスとしては、N2、Ar、Ne、He等が導入される。
4a12Cは気相成膜装置を示し、成膜原料を入れ加熱するセル4a12C1、載置台4a12C2、セル4a12C1の開口部の面積を調整する調整板4a12C3とを有している。電子注入層用の成膜原料としてはストロンチウム、アルミニウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
気相成膜装置4a12Cとしては、特に限定はなく、抵抗加熱等による通常の蒸着法の他、例えばスパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法等を用いることが出来、必要に応じて選択して使用することが可能である。
4a131は第2加熱蒸発室4a13に配設された排気管を示し、第2加熱蒸発室4a13内を真空状態にするため真空ポンプへ繋がっている。
4a132は第2加熱蒸発室4a13の掃除、電子注入層用成膜原料の交換等の時、第2加熱蒸発室4a13内の真空状態を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
4a133は成膜原料の酸化を防止するための不活性ガス導入手段の不活性ガス導入管を示し、途中に配設した開閉バルブ(不図示)を介して不活性ガスタンクへ繋がっている。
4a13Cは気相成膜装置を示し、成膜原料を入れ加熱するセル4a13C1、載置台4a13C2、セル4a13C1の開口部の面積を調整する調整板4a13C3とを有している。
4a124は第3開口部4a125を有し、成膜室4a11とを分離する分離壁を示す。4a19Aは分離壁4a124と分離壁4a111と、成膜室4a11の外壁4a11A(図5参照)と、第1加熱蒸発室4a12の外壁4a12A(図5参照)とから構成される第1気圧調整室を示す。
4a126は第3開口部4a125の第3遮蔽板を示す。第3遮蔽板4a126はボールネジシャフト4a127に取り付けられており、ボールネジシャフト4a127の回転により第3遮蔽板4a126を移動(図中の矢印方向)させることで第3開口部4a125の開閉を可能にしている。本図は第3開口部4a125が閉じられた状態を示している。4a128はボールネジシャフト4a127の回転用のモーターを示す。
4a129は第1気圧調整室4a19Aを真空にする排気管を示し、真空ポンプに繋がっている。
4a1210(図6を参照)は第1気圧調整室4a19Aの真空を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
4a134は第4開口部4a135を有し、成膜室4a11とを分離する分離壁を示す。4a19Bは分離壁4a134と分離壁4a111と、成膜室4a11の外壁と、第2加熱蒸発室4a13の外壁とから構成される第2気圧調整室を示す。
4a136は第4開口部4a135の第4遮蔽板を示す。第4遮蔽板4a136はボールネジシャフト4a137に取り付けられており、ボールネジシャフト4a137の回転により第4遮蔽板4a136を移動(図中の矢印方向)させることで第3開口部4a125の開閉を可能にしている。本図は第4開口部4a135が閉じられた状態を示している。4a138はボールネジシャフト4a137の回転用のモーターを示す。
4a139は第2気圧調整室4a19Bを真空にする排気管を示し、真空ポンプに繋がっている。
4a1310は第2気圧調整室4a19Bの真空を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
第1開口部4a112と、第2開口部4a113と、第3開口部4a125、第4開口部4a135との開閉を組み合わせることで、成膜室4a11から第1加熱蒸発室4a12及び第2加熱蒸発室4a13を別々に分離し、再び成膜室4a11にセットすることが可能となっている。
本図に示される電子注入層形成工程4aの気相成膜ユニット4a1の状態は、第1加熱蒸発室4a12を使用した可撓性基材201aへの成膜が終了し、引き続き可撓性基材201aへの成膜を続けるために第2加熱蒸発室4a13を成膜室4a11にセットして可撓性基材201aへの成膜が続けられている状態を示す。
この後、第1加熱蒸発室4a12を成膜室4a11から分離するため、成膜室4a11の真空度の低下を防止するために第2開口部4a113は遮蔽板4a114で閉じられ、第1加熱蒸発室4a12の第3開口部4a125は第3遮蔽板4a126で閉じられる。又、第2開口部4a113は第2遮蔽板4a117が移動することで開かれ、第4開口部4a135は第4遮蔽板4a136が移動することで開かれる。
本図に示す気相成膜ユニット4a1を使用して、成膜を連続して行うフローは図6で説明する。
本図に示す成膜室の真空状態を維持し、第1加熱蒸発室、第2加熱蒸発室を成膜室より分離し、再び成膜室にセットすることが可能な気相成膜ユニットを使用することで次の効果が挙げられる。
1.成膜室の真空状態を維持することで有機EL素子の製造にとって、故障の原因となる水分、酸素等の分子が成膜室に入り込むことを阻止出来、可撓性基材が持ち込む残留水分や酸素ガスをより効率よく排除出来る。工程変動の要因となる成膜時の圧力を安定化させることが出来、成膜品質の安定化が可能となった。
2.第1加熱蒸発室、第2加熱蒸発室が成膜室より分離し、再び成膜室にセットすることが可能であることから、交互の使用が出来、例えば、第1加熱蒸発室を使用して成膜している間に、第2加熱蒸発室の清掃、成膜原料の補充・加熱、第2加熱蒸発室の気圧調整等の次の成膜に対しての準備が出来る。このため、第1加熱蒸発室での成膜原料が少なくなって来た時点で第1加熱蒸発室を使用した成膜を中止し、第2加熱蒸発室を使用した成膜を開始することが出来、連続した成膜が可能になる。この結果、ドライ成膜工程の生産速度が全体の生産速度で律則とならなくなるためロールツーロール方式での生産効率の向上が可能となる。
3.成膜室の真空状態が維持されているため、第2加熱蒸発室への切替えが迅速に行われタイムロスがなくなり、生産効率の向上が可能となる。
4.第1加熱蒸発室、第2加熱蒸発室の清掃が成膜室と分離した状態で行われるため、清掃に伴う異物の可撓性基材への付着がなくなり、故障発生が減少し製品の品質安定化が可能となる。
図3は図2(b)のPで示される部分の概略図である。図3(a)は図2(b)のPで示される部分の拡大概略斜視図である。図3(b)は図3(a)のB−B′に沿った概略断面図である。
図中、7は成膜室4a11(図2参照)中の内部に配設された可撓性基材201aを搬送するための搬送ロールを示す。搬送ロール7は搬送ロール7aと、搬送ロール7bとの一対で構成されている。
搬送ロール7aは、両端に径が胴部7a2の径よりも大きくなっている保持部7a1と胴部7a2とから構成されており、軸方向の断面形状が凹型の形状となっている。搬送ロール7bは、径が一定の円筒状となっている。
成膜室4a11(図2参照)内での可撓性基材201aの搬送は、可撓性基材201aの裏面側201a1(電子注入層を形成しない面)を搬送ロール7bと接触するようにし、電子注入層を形成する面を搬送ロール7a側にし搬送ロール7aの両端の保持部7a1と搬送ロール7bとで可撓性基材201aの両端部を挟持し行う様になっている。
搬送ロール7aの形状は胴部7a2の径が保持部7a1の径より小さいので、両端で可撓性基材201aの両端を挟持した時、第1電極から発光層までが形成されている領域が搬送ロール7aに接触しないで搬送し可撓性基材201aの上に電子注入層を成膜し形成することが可能となっている。
尚、図1に示される製造工程1で、可撓性基材201aの搬送に使用する搬送ロール及びアキュームレータの可撓性基材201aの成膜面側には、成膜した面へのキズ発生を防止する上から本図に示す搬送ロール7aを使用することが好ましい。
図4は図2に示す成膜室の第1開口部を遮蔽する遮蔽板を成膜室側から見た拡大概略図である。図4(a)は図2に示す成膜室の第1開口部を遮蔽する遮蔽板を成膜室側から見た拡大概略斜視図である。図4(b)は図4(a)のC−C′に沿った概略断面図である。
図中、4a1141は、第1開口部4a112(図2参照)の大きさに合わせ第1遮蔽板4a114に設けられたシール部材を示す。
第1加熱蒸発室4a12(図2参照)を成膜室4a11(図2参照)から分離し移動する時、成膜室4a11(図2参照)が真空の状態で第1開口部4a112(図2参照)を第1遮蔽板4a114で閉じた後、第1気圧調整室4a19A(図2参照)を大気圧に戻すことで第1遮蔽板4a114は成膜室4a11(図2参照)側に引きつけられ分離壁4a111に密着する。この時、シール部材4a1141により成膜室4a11(図2参照)の真空度は保持することが可能となっている。
尚、第2遮蔽板4a117(図2参照)、第3遮蔽板4a126(図2参照)、第4遮蔽板4a136(図2参照)も本図に示される第1遮蔽板4a114と同じ様にシール部材が配設されている。
図5は図2(b)のQで示される部分の拡大概略図である。
図中、4a12Aは第1加熱蒸発室4a12(図2参照)の外壁を示す。4a12Bは第1加熱蒸発室4a12(図2参照)の外壁4a12Aの上部の周面に形成された凸部を示す。4a11Aは成膜室4a11(図2参照)の外壁を示す。4a11Bは成膜室4a11(図2参照)の外壁4a11Aの下部の周面に形成された凹部を示す。第1加熱蒸発室4a12(図2参照)を、一旦成膜室4a11(図2参照)から分離し、再度成膜室4a11(図2参照)にセットする時、凸部4a12Bと凹部4a11Bとを合わせる様にセットすることで第1気圧調整室4a19A(図2参照)の真空度を維持することが可能となっている。
凸部4a12B及び凹部4a11Bの形状は、第1気圧調整室4a19A(図2参照)の真空度を維持することが出来れば特に限定はない。本図は凸部4a12B及び凹部4a11Bの形状が半円形の場合を示している。
凸部4a12Bの作製方法としては特に限定はなく、例えば断面形状が円形のシール部材を外壁4a12Aの上部周面に溝を作り埋め込む方法、断面形状が半円形のシール部材を外壁4a12Aの上部周面に接着する方法、外壁4a12Aの上部周面を凸型に加工し表面をシール部材で加工する方法等が挙げられる。
凹部4a11Bの作製方法としては特に限定はなく、凸部4a12Bの形状に合わせた凹部を有するシール部材を外壁4a11Aの下部の周面に接着し形成する方法、外壁4a11Aの下部の周面を凸部4a12Bの形状に合わせ凹型に加工し表面をシール部材で加工する方法等が挙げられる。
図6は図2に示す気相成膜ユニットを使用して、成膜を連続して行うフロー図である。図1に示す製造工程で可撓性基材201aの上に形成された発光層の上に電子注入層形成工程で気相成膜ユニット4a1を使用して、発光層の上に連続して電子注入層を形成する方法に付き説明する。
Step1は、気相成膜ユニット4a1の第2加熱蒸発室4a13を使用し、可撓性基材201aの上に形成された発光層の上に電子注入層を形成している状態を示す。この時、成膜室4a11の第1開口部4a112は第1遮蔽板4a114で閉じられた状態となっている。第1加熱蒸発室4a12の成膜室4a11からの分離は、第1開口部4a112が第1遮蔽板4a114で閉じられた状態にした後、外気導入管4a1210の弁を開き第1気圧調整室4a19Aの気圧を大気圧に戻した後、第1加熱蒸発室4a12を支えているオイルジャツキ(不図示)を下げ成膜室4a11から分離し、移動用レール4a14に沿って移動する。分離した第1加熱蒸発室4a12では、以下に示す手順で次ぎの電子注入層の成膜の準備が行われる。
1)排気管4a121(図2参照)に繋げられている真空ポンプ及び不活性ガス導入管4a123(図2参照)からの不活性ガスの導入を停止し、外気導入管4a122(図2参照)のバルブを開き第1加熱蒸発室4a12の真空を解除する。
2)真空を解除した後、セル4a12C1の掃除と電子注入層形成用の成膜原料の追加、第1加熱蒸発室4a12内の掃除を行う。この後、第3開口部4a125を第3遮蔽板4a126で閉じ、排気管4a121(図2参照)に繋げられている真空ポンプを稼動して成膜室4a11の真空度に合わせ、不活性ガス導入管4a123(図2参照)からの不活性ガスの導入を行う。
3)セル4a12C1に入っている成膜原料の加熱が行われる。セル4a12C1の開口部は調整板4a12C3を移動し閉じた状態とする。
気相成膜ユニット4a1では、第2加熱蒸発室4a13と、第2気圧調整室4a19Bと、成膜室4a11との真空度を維持し、第2加熱蒸発室4a13では第4開口部4a135及び成膜室4a11の第2開口部4a113が開いた状態でマスク4a1111を介して発光層の上にパターン状に成膜され電子注入層が形成される。
尚、電子注入層の成膜は可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク201bを検出装置4a16で検出し、マスク4a1111とアライメントマーク201bとの位置合わせを行った後、可撓性基材201aの搬送を一旦停止し行われる。
Step2は、気相成膜ユニット4a1の第2加熱蒸発室4a13の電子注入層用の成膜原料の残量が少なくなり、Step1で準備された第1加熱蒸発室4a12が成膜室4a11の第1開口部4a112側にセットされた状態を示す。第1加熱蒸発室4a12の成膜室4a11の第1開口部4a112側へのセットは以下の手順で行うことが可能となっている。
1)Step1で準備された第1加熱蒸発室4a12を移動用レール4a14に沿ってストッパーに当接する位置まで移動する。
2)ストッパーに当接した位置で、配設してあるオイルジャツキ(不図示)で第1加熱蒸発室4a12を成膜室の外壁4a11A(図5参照)と、第1加熱蒸発室4a12の外壁4a12A(図5参照)とが当接する位置まで上昇させる。この段階で第1気圧調整室4a19Aが形成される。
3)第1気圧調整室4a19Aを真空にするため外気導入管4a1210のバルブを閉じる。
4)真空ポンプを稼動し排気管4a129を介して第1気圧調整室4a19Aを成膜室4a11の真空度に合わせる。
一方、第2加熱蒸発室4a13の分離は次の手順で行われる。
1)セル4a13C1に入っている電子注入層用の成膜原料の残量が1回分の成膜量に不足する量に近づいた時点で成膜室4a11の第2開口部4a113が第2遮蔽板4a117を移動して閉じられる。
2)第2加熱蒸発室4a13の第4開口部4a135が第4遮蔽板4a136を移動して閉じられる。合わせてセル4a13C1の開口部が調整板4a13C3により閉じられる。
3)排気管4a139に繋がっている真空ポンプの稼動を停止するのに合わせ、外気導入管4a1310のバルブを開き第2気圧調整室4a19Bを大気圧に戻す。
4)第2加熱蒸発室4a13を支えているオイルジャツキを下げ成膜室4a11から分離し、移動用レール4a14に沿って移動する。
第2開口部4a113が閉じられた段階で、可撓性基材201aは第1加熱蒸発室4a12で電子注入層を成膜するために搬送され、可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク201bを検出装置4a16で検出し、マスク4a1110とアライメントマーク201bとの位置合わせが行なわれる。
Step3は、第2加熱蒸発室4a13の成膜室4a11の分離と移動が終了し、第1加熱蒸発室4a12を使用して可撓性基材201aの上に形成された発光層の上に電子注入層が形成されている状態を示している。電子注入層の形成は次の手順で行われる。
1)第1加熱蒸発室4a12の気相成膜装置4a12Cのセル4a12C1の開口部を調整板4a12C3を移動し解放する。
2)第1遮蔽板4a114を移動させて第1開口部4a112を開く。
3)第3遮蔽板4a126を移動させて第3開口部4a125を開く。
3)が終了した段階で発光層の上に電子注入層形成用の成膜がマスク4a110を介して開始される。
一方、分離された第2加熱蒸発室4a13は、次の電子注入層の成膜に備えるために、Step1で示した第1加熱蒸発室4a12の手順と同じ手順で準備が行われる。図中の他の符号は図2と同義である。
以下、Step1からStep3を繰り返し続けることで、発光層の上に電子注入層形成用の成膜が止めることなく、連続して行うことが可能となる。
図1に示す第2電極形成工程4bの気相成膜ユニット4b1は、図2から図6に示す電子注入層形成工程4aに使用した気相成膜ユニット4a1と同じ気相成膜ユニットであり、第2電極を連続して成膜し形成する方法も図6に示すStep1からStep3の繰り返しで可能である。
図7は可撓性基材に対して直列に2つの気相成膜ユニットを配置した図1に示す電子注入層形成工程の概略斜視図である。図2に示す電子注入層形成工程との違いは次のとおりである。図2に示す電子注入層形成工程は、1つの成膜室に第1加熱蒸発室と、第2加熱蒸発室とで構成され、第1加熱蒸発室と、第2加熱蒸発室とが、成膜室の真空を維持した状態で分離して移動し、再び成膜室にセットすることが可能な気相成膜ユニットを使用している。これに対して、本図に示す電子注入層形成工程は、成膜室と加熱蒸発室とが一対で構成され、成膜室の真空を維持した状態で加熱蒸発室を成膜室から分離して移動し、再び成膜室にセットすることが可能な気相成膜ユニットを可撓性基材に対して直列に2つ配置し使用していることである。
図中、4a′は電子注入層形成工程を示す。電子注入層形成工程4a′は、可撓性基材201aの搬送方向(図中の矢印方向)に直列に配設されている第1気相成膜ユニット4a′1と、第2気相成膜ユニット4a′2を使用している。第1気相成膜ユニット4a′1と、第2気相成膜ユニット4a′2とを交互に使用することで図2に示す気相成膜ユニットと同様に連続して成膜することが可能となっている。
気相成膜ユニット4a′1は、成膜室4a′11と、加熱蒸発室4a′12と、気圧調整室4a′19(図8参照)と移動用レール4a′13とを有している。
加熱蒸発室4a′12は成膜室4a′11から分離し、移動用レール4a′13に沿って移動(図中の矢印方向)し、再び移動用レール4a′13に沿って移動(図中の矢印方向)し成膜室4a′11にセットすることが可能となっている。
移動用レール4a′13の成膜室4a′11側には、加熱蒸発室4a′12を成膜室4a′11にセットする時に、加熱蒸発室4a′12と、成膜室4a′11との位置合わせを容易にするため定位置にストッパー(不図示)が配設されており、定位置で加熱蒸発室4a′12が停止した後、上昇手段(不図示)(例えば、オイルジャッキ、エアージャッキ等)で加熱蒸発室4a′12を上昇させて成膜室4a′11にセットすることが可能となっている。
4a′14は成膜室4a′11の可撓性基材201aの入る側と出る側に配設されたエアーツーバキュームコネクターを示し、これにより可撓性基材201aの搬送時の成膜室4a′11の真空度が維持出来る様になっている。
4a′15は成膜室4a′11に配設された検出装置を示す。検出装置4a′15により、可撓性基材201aの上に形成されている第1電極の位置を示すアライメントマーク201bを検出し、検出装置4a′15の情報に基づき、成膜室4a′11内のマスクとの位置合わせを行い、可撓性基材201aの搬送を止めて成膜する様になっている。
4a′16は成膜室4a′11内を真空にするための排気管を示し、真空ポンプ(不図示)に繋がっている。
4a′17は成膜室4a′11内の真空状態を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
4a′121は加熱蒸発室4a′12に配設された排気管を示し、加熱蒸発室4a′12内を真空状態にするため真空ポンプへ繋がっている。
4a′122は加熱蒸発室4a′12の掃除、成膜原料の交換等の時、加熱蒸発室4a′12内の真空状態を解除するための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
4a′123は成膜原料の酸化を防止するための不活性ガス導入手段の不活性ガス導入管を示し、途中に配設した開閉バルブ(不図示)を介して不活性ガスタンクへ繋がっている。不活性ガスとしては、図2に示す気相成膜ユニット4a1に使用する不活性ガスと同じである。
4a′129は気圧調整室4a′19(図8参照)を真空にする排気管を示し、真空ポンプに繋がっている。
4a′1210は気圧調整室4a′19(図8参照)を大気圧に戻すための外気導入管を示し、途中に開閉バルブ(不図示)が配設されている。
第2気相成膜ユニット4a′2の構成は第1気相成膜ユニット4a′1と同じであるため説明は省略する。
図7に示す第1気相成膜ユニット4a′1、第2気相成膜ユニット4a′2で可撓性基材201aの搬送には図3に示される搬送ロールが使用されている。
図8は図7に示す第1気相成膜ユニット4a′1のG−G′に沿った拡大概略断面図である。尚、第2気相成膜ユニット4a′2の内部の構成は本図に示す第1気相成膜ユニット4a′1の内部の構成と同じであるため省略する。
図中、4a′111は第1開口部4a′112を有し、成膜室4a′11と加熱蒸発室4a′12とを分離する分離壁を示す。4a′113は第1開口部4a′112の第1遮蔽板を示す。第1遮蔽板4a′113はボールネジシャフト4a′114に取り付けられており、ボールネジシャフト4a′114の回転により第1遮蔽板4a′113を移動(図中の矢印方向)させることで第1開口部4a′112の開閉を可能にしている。第1遮蔽板4a′113の構造は図4に示す遮蔽板と同じ構造となっている。本図は第1開口部4a′112が閉じた状態を示している。4a′115はボールネジシャフト4a′114の回転用のモーターを示す。
4a′116は成膜室4a′11内に、第1開口部4a′112と対向する位置に配設されたマスクを示す。
4a′12Cは気相成膜装置を示し、成膜原料を入れ加熱するセル4a′12C1と、載置台4a′12C2と、セル4a′12C1の開口部の面積を調整する調整板4a′12C3とを有している。セル4a12C1の加熱手段としては図2(b)に示すセル4a12C1の加熱手段と同じである。
4a′124は第2開口部4a′125を有し、加熱蒸発室4a′12と成膜室4a′11とを分離する分離壁を示す。4a′19は分離壁4a′124と、分離壁4a′111と、成膜室4a′11の外壁4a′117と、加熱蒸発室4a′12の外壁4a′1211とから構成された気圧調整室を示す。外壁4a′117と外壁4a′1211との接合面は図5に示す様になっている。
4a′126は第2開口部4a′125の第2遮蔽板を示す。第2遮蔽板4a′126はボールネジシャフト4a′127に取り付けられており、ボールネジシャフト4a′127の回転により第2遮蔽板4a′126を移動(図中の矢印方向)させることで第2開口部4a′125の開閉を可能にしている。本図は第2開口部4a′125が閉じられた状態を示している。4a′128はボールネジシャフト4a′127の回転用のモーターを示す。
第1遮蔽板4a′113及び第2遮蔽板4a′126の構造は図4に示す第1遮蔽板4a114の構造と同じになっている。
次に図7に示す電子注入層形成工程4a′で第1気相成膜ユニット4a′1により可撓性基体の上に形成されている発光層の上にマスクを介して電子注入層の成膜が行われている状態から、図8に示す第1気相成膜ユニット4a′1と、第2気相成膜ユニット4a′2を使用して連続して電子注入層を成膜する手順に付き説明する。
Step1:第2気相成膜ユニット4a′2で成膜室の真空を維持した状態で加熱蒸発室が分離され、加熱蒸発室の清掃と電子注入層用成膜原料の補充が行われる。
Step2:第2気相成膜ユニット4a′2の加熱蒸発室を移動し成膜室にセットし、加熱蒸発室の気圧調整、電子注入層用成膜原料の加熱、気圧調整室の気圧調整を行う。
Step3:第1気相成膜ユニット4a′1での成膜が中止され、加熱蒸発室4a′12が成膜室4a′11の真空を維持した状態で成膜室4a′11から分離される。
Step4:第1気相成膜ユニット4a′1の成膜が中止した時点で、準備された第2気相成膜ユニット4a′2の成膜室の開口部、加熱蒸発室の開口部、セルの開口部が開けられ電子注入層の成膜がマスクを介して開始される。
以降、Step1からStep4を繰り返すことで連続して成膜を行うことが可能となる。
加熱蒸発室の分離、分離した加熱蒸発室の成膜の準備、加熱蒸発室の成膜室へのセット、及び電子注入層の成膜の具体的な手順を以下に示す。
(加熱蒸発室4a′12の分離)
1)セル4a′12C1に入っている電子注入層用の成膜原料の残量が1回分の成膜量に不足する量に近づいた時点で第1開口部4a′112が第1遮蔽板4a′113を移動して閉じられる。第1開口部4a′112が第1遮蔽板4a′113で閉じることで成膜室4a′11は真空を維持する状態となっている。
2)加熱蒸発室4a′12の第2開口部4a′125が第2遮蔽板4a′126を移動して閉じられる。合わせてセル4a′12C1の開口部が調整板4a′12C3により閉じられる。
3)気圧調整室4a′19の排気管4a′129に繋がっている真空ポンプの稼動を停止するのに合わせ、外気導入管4a′1210のバルブを開き気圧調整室4a′19を大気圧に戻す。
4)加熱蒸発室4a′12を支えているオイルジャツキ(不図示)を下げ、加熱蒸発室4a′12を成膜室4a′11から分離し、移動用レール4a′13に沿って移動する。
(分離した加熱蒸発室4a′12の成膜の準備)
1)加熱蒸発室4a′12の排気管4a′121(図7参照)に繋げられている真空ポンプ及び不活性ガス導入管4a′123(図7参照)からの不活性ガスの導入を停止し、外気導入管4a122(図7参照)のバルブを開き加熱蒸発室4a′12を大気圧に戻す。
2)大気圧に戻した後、セル4a′12C1の掃除と電子注入層用の成膜原料の補充、加熱蒸発室4a′12内の掃除を行う。この後、第2開口部4a′125を第2遮蔽板4a′126で閉じ、排気管4a′121(図7参照)に繋げられている真空ポンプを稼動して成膜室4a′11の真空度に合わせ、不活性ガス導入管4a′123(図7参照)からの不活性ガスの導入を行う。
3)セル4a′12C1に入っている電子注入層用の成膜原料の加熱が行われる。セル4a′12C1の開口部は調整板4a′12C3を移動し閉じた状態とする。この後、第2気相成膜ユニット4a′2の成膜状況に応じて加熱蒸発室4a′12を成膜室4a′11にセットするため移動用レール4a′13に沿って移動する。
(加熱蒸発室4a′12の成膜室4a′11へのセット)
1)加熱蒸発室4a′12の清掃、セル4a′12C1への電子注入層用の成膜原料の補充が終了し真空状態に保たれた加熱蒸発室4a′12を移動用レール4a′13に沿ってストッパーに当接する位置まで移動する。
2)ストッパーに当接した位置で、配設してあるオイルジャツキで加熱蒸発室4a′12を、成膜室の外壁4a′117と、第1加熱蒸発室4a′12の外壁4a′1211とが当接する位置まで上昇させる(図5参照)。この段階で気圧調整室4a′19が形成される。
3)気圧調整室4a′19を真空にするため外気導入管4a′1210のバルブを閉じる。
4)真空ポンプを稼動し排気管4a′129を介して排気し気圧調整室4a′19を成膜室4a′11の真空度に合わせる。この後、第2気相成膜ユニット4a′2での電子注入層の成膜が終了し、可撓性基材201aとマスクとの位置合わせが終了した時点で第1気相成膜ユニット4a′1での電子注入層の成膜が開始される。
(電子注入層の成膜)
1)可撓性基材201aとマスクとの位置合わせ
第1開口部4a′112が閉じられた段階で、可撓性基材201aは第2気相成膜ユニット4a′2で電子注入層を成膜するために第2気相成膜ユニット4a′2に搬送する。搬送に伴い、可撓性基材201aに付けられたアライメントマーク201bを第2気相成膜ユニット4a′2に配設されている検出装置で検出し、第2気相成膜ユニット4a′2の成膜室に配設されているマスクとアライメントマーク201bとの位置合わせが行なわれる。
2)加熱蒸発室4a′12のセル4a′12C1の開口部を調整板4a′12C3を移動し解放する。
3)第1遮蔽板4a′113を移動させて第1開口部4a′112を開く。
4)第2遮蔽板4a′126を移動させて第2開口部4a′125を開く。
4)が終了した段階で発光層の上に電子注入層形成用の成膜がマスク4a′116を介して開始される。
図1に示す第2電極形成工程4bの気相成膜ユニット4b1は、図7、図8に示す電子注入層形成工程4a′に使用した第1気相成膜ユニット4a′1と同じ気相成膜ユニットが使用することが可能である。又、第2電極を連続して成膜し形成する方法も電子注入層の成膜と同じ方法で可能である。
図9は交換用の加熱蒸発室を有する気相成膜ユニットを使用した図1に示す電子注入層形成工程の概略図である。図9(a)は交換用の加熱蒸発室を有する気相成膜ユニットを使用した図1に示す電子注入層形成工程の概略斜視図である。図9(b)は図9(a)の概略平面図である。
図2に示す電子注入層形成工程との違いは次のとおりである。図2に示す電子注入層形成工程は、1つの成膜室に第1加熱蒸発室と、第2加熱蒸発室とで構成され、第1加熱蒸発室と、第2加熱蒸発室とが、成膜室の真空を維持した状態で分離して移動し、再び成膜室にセットすることが可能な気相成膜ユニットを使用している。これに対して、本図に示す電子注入層形成工程4a″は、成膜室と加熱蒸発室とが一対で構成され、成膜室の真空を維持した状態で加熱蒸発室を成膜室から分離して移動し、交換用の加熱蒸発室を成膜室にセットすることが可能な気相成膜ユニットを使用していることである。
図中、4a″1は気相成膜ユニットを示す。気相成膜ユニット4a″1は、成膜室4a″11と、加熱蒸発室4a″12と、交換用の加熱蒸発室4a″13と気圧調整室4a′19(図8参照)と移動用レール4a″14とを有している。加熱蒸発室4a″12と、交換用の加熱蒸発室4a″13とは移動用レール4a″14に沿って移動(図中の矢印方向)することが可能となっており、加熱蒸発室4a″12と、交換用の加熱蒸発室4a″13とを交互に使用することで図2に示す気相成膜ユニットと同様に連続して成膜することが可能となっている。
本図に示す気相成膜ユニット4a″1の構成は図7に示す気相成膜ユニット4a′1と同じであるため詳細な報告は省略する。
次に図9に示す気相成膜ユニット4a″1により可撓性基体の上に形成されている発光層の上にマスクを介して電子注入層の成膜が行われている状態から、加熱蒸発室4a″12と、交換用の加熱蒸発室4a″13を使用して連続して電子注入層を成膜する手順に付き説明する。
Step1:気相成膜ユニット4a″1で成膜室の真空を維持した状態で加熱蒸発室4a″12が分離され、加熱蒸発室4a″12の清掃と電子注入層用成膜原料の補充が行われる。
Step2:加熱蒸発室4a″12の分離に合わせ、予め、清掃、電子注入層用成膜原料の補充、加熱、気圧調整を行った交換用の加熱蒸発室4a″13を移動し成膜室にセットし、気圧調整室の気圧調整を行う。
Step3:加熱蒸発室4a″12の分離に合わせ、可撓性基体を次の成膜を行う位置とマスクの位置とを合わせ可撓性基体の搬送を停止する。
Step4:成膜室の開口部、加熱蒸発室の開口部、セルの開口部が開けられ電子注入層の成膜がマスクを介して開始される。
以降、Step1からStep4を繰り返すことで連続して成膜を行うことが可能となる。尚、加熱蒸発室の分離、分離した加熱蒸発室の成膜の準備、加熱蒸発室の成膜室へのセット、及び電子注入層の成膜の具体的な手順は図8に示す第1気相成膜ユニット4a′1の場合と同じである。
尚、本発明の有機EL素子の製造方法に使用する材料は、国際公開第06/100868号パンフレット、特開2006−294536号公報、特開2007−73332公報等に記載されている公知の材料を使用することが可能である。
可撓性基材の上に少なくとも、第1電極と、少なくとも1層の有機機能層と、第2電極とを有する有機EL素子をウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを有する製造工程でロールツーロール方式により製造する時、ドライ成膜工程に図2から図9に示す気相成膜ユニットを使用し、成膜を連続して行うことで次の効果が挙げられる。
1.従来、ロールツーロール方式による生産効率の向上は、成膜原料の補充に伴うドライ成膜工程での停滞が律速であったが、成膜原料の補充に伴うドライ成膜工程での成膜室、加熱蒸発室全体の大気開放による停滞がなくなることで成膜室を常に真空下に置くことが出来、ロールツーロール方式による生産効率の向上が可能となった。
2.成膜原料の補充に伴うドライ成膜工程での停滞がなくなり、ウェット成膜工程とドライ成膜工程とが分断することなく、アキュームレータやリーダーベースの連結によるわずかな加熱蒸着室の切替え時間を付与するだけで連続して成膜が行うことが出来、ロールツーロール方式による本来の一貫生産が可能となり、生産効率の向上が可能となった。
3.成膜原料の量に影響されることなく、且つ加熱蒸発室の汚れも成膜原料の補充の時に清掃されるため加熱蒸発室からの異物の付着がなくなり安定した成膜が連続して行うことが可能となり、安定した性能の有機EL素子の製造が可能となった。
4.成膜中の加熱蒸発室の緊急のトラブルに対してもアキュームレータを活用して予備の加熱蒸着室に切替えることが出来るため、他の材料種の加熱蒸着室と停止したり、他の材料種の成膜室を大気開放する必要がなく、生産再開までの時間を大幅に短縮することが可能となり、工程の安定的な稼動が可能となった。
1 製造工程
2 供給工程
201a 可撓性基材
201b アライメントマーク
3 ウェット成膜工程
4 ドライ成膜工程
4a、4a′、4a″ 電子注入層形成工程
4a1、4b1、4a″1 気相成膜ユニット
4a′1 第1気相成膜ユニット
4a′2 第2気相成膜ユニット
4a11、4a′11、4a″11 成膜室
4a12、4a′12 第1加熱蒸発室
4a′12、4a″12、4a″13 加熱蒸発室
4a13 第2加熱蒸発室
4a14、4a′13、4a″14 移動用レール
4a15、4a′14 エアーツーバキュームコネクター
4a16、4a′15 検出装置
4a17、4a121、4a129、4a139、4a131、4a′16、4a′121、4a′129 排気管
4a18、4a122、4a132、4a1210、4a1310、4a′17、4a′122、4a′1210 外気導入管
4a123、4a133、4a′123 不活性ガス導入管
4a125 第3開口部
4a19A 第1気圧調整室
4a19B 第2気圧調整室
4a′19 気圧調整室
4a111、4a124、4a134、4a′111、4a′124 分離壁
4a112、4a′112 第1開口部
4a113、4a′125 第2開口部
4a114、4a′113 第1遮蔽板
4a1141 シール部材
4a117、4a′126 第2遮蔽板
4a12C、4a13C、4a′12C 気相成膜装置
4a125 第3開口部
4a126 第3遮蔽板
4a136 第4遮蔽板
4a11A、4a12A、4a′117、4a′1211 外壁
4a12B 凸部
4a11B 凹部
4a135 第4開口部
4a2、4b2 アキュームレータ
4b 第2電極形成工程
5 封止工程
6 断裁工程
7a、7b 搬送ロール

Claims (12)

  1. 有機エレクトロルミネッセンス素子をウェット成膜工程と、ドライ成膜工程とを有する製造工程を使用し、ロールツーロール方式で製造する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    前記ドライ成膜工程は、成膜条件を独立に制御し得る成膜室と、気圧調整室と、加熱蒸発室とを有する気相成膜ユニットを使用し、
    前記気相成膜ユニットは前記成膜室の真空を維持し、前記加熱蒸発室と、前記成膜室とを分離及び接合が可能であり、
    連続して成膜を行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記気相成膜ユニットは、1つの成膜室と、2つ以上の加熱蒸発室と、2つ以上の気圧調整室とを有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記気相成膜ユニットは、1つの成膜室と、1つの加熱蒸発室と、1つの気圧調整室とを有し、該気相成膜ユニットが2つ以上、工程に直列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記気相成膜ユニットは1つの成膜室と、1つの加熱蒸発室と、1つの気圧調整室とを有し、該加熱蒸発室は交換用の加熱蒸発室を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 前記気圧調整室は成膜室の内側の下部に設けた第1開口部と第2開口部とを有する分離壁と、加熱蒸発室の内側の上部に設けた第3開口部と第4開口部とを有する分離壁とから構成された空間であり、
    該第1開口部を該気圧調整室側から開閉する第1遮蔽板と、該第2開口部を該気圧調整室側から開閉する第2遮蔽板と、該第3開口部を該気圧調整室側から開閉する第3遮蔽板と、該第4開口部を該気圧調整室側から開閉する第4遮蔽板と、排気管と外気導入管とを有することを特徴とする請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記気圧調整室は成膜室の内側の下部に設けた第1開口部を有する分離壁と、加熱蒸発室の内側の上部に設けた第2開口部を有する分離壁とから構成された空間であり、
    該第1開口部を該気圧調整室側から開閉する遮蔽板と、第2開口部を該気圧調整室側から開閉する第2遮蔽板と、排気管と外気導入管とを有することを特徴とする請求項2又は3に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記成膜室は、排気管と、外気導入管と、マスクと、可撓性基材の有機機能層が形成された面側を実質非接触として搬送する搬送ロールとを有することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記加熱蒸発室は気相成膜装置と、排気管と、外気導入管と、不活性ガス導入管とを有することを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、ドライ成膜工程の後に、封止材貼合工程と、断裁工程とを有することを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 請求項1から9の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
    ドライ成膜工程は、成膜条件を独立に制御し得る成膜室と、気圧調整室と、加熱蒸発室とを有する気相成膜ユニットを使用し、
    該ドライ成膜工程は連続してステップ毎に行う工程であり、該ステップは第1ステップと、これに続く第2ステップとからなり、
    該第1ステップは、該成膜室の真空を維持した状態で、次の連続する成膜に対する調整のために、該加熱蒸発室と該成膜室とを分離し、
    該第2ステップは、調整した該加熱蒸発室と該成膜室とを接合することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  11. 前記加熱蒸発室と成膜室との分離は、該成膜室及び該加熱蒸発室の真空を維持した状態で、気圧調整室を大気圧に戻した後、該加熱蒸発室と該成膜室とを分離することを特徴とする請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  12. 前記加熱蒸発室と成膜室との接合は、分離された加熱蒸発室を大気圧に戻し、調整後、接合した後、気圧調整室を真空にすることを特徴とする請求項10又は11に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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