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JP4811305B2 - 車両用エンジンの自動停止装置 - Google Patents

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Description

本発明は、所定の停止条件が成立したときにエンジンを自動的に停止させる車両用エンジンの自動停止装置に関する。
従来より、燃費やエミッション性の向上を目的として、車速が零になることを含む所定の停止条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させると共に、エンジンの停止中に所定の始動条件が成立したときに、当該エンジンを自動的に始動させる、いわゆるアイドルストップを行うシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開2004−86434号公報
ところで、従来のアイドルストップシステムにおいて車速が零であるか否かの判定は、電磁ピックアップからなる車速センサの検出値に基づいて行っているが、その車速センサの検出精度では、およそ1km/h以下の車速を検出することがほとんどできない。このため、アイドルストップの制御を行う上では、車速センサの検出値がおよそ1km/h以下になれば車速が零になったとみなし、エンジンを自動停止させるようにしている。
しかしながら、この構成では、実際の車速が零になっていないときでもエンジンが自動的に停止されてしまう場合があり、その場合、例えばトルクコンバータを含む自動変速機等を備えた車両ではクリープ力が無くなることになる。つまり、車両が急激に停止して、いわゆる引き込みショックが発生することにより、乗員に違和感を与えてしまうという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、引き込みショックを生じることなく、エンジンの自動停止を行うことにある。
本発明の一側面によると、車両用エンジンの自動停止装置は、車両に搭載されたエンジンと、車速が零になる車速条件を含む、所定の停止条件が成立したときに、前記エンジンを自動的に停止させると共に、前記エンジンの停止中に所定の始動条件が成立したときに、前記エンジンを自動的に始動させる自動停止始動手段と、前記車速を検出する車速検出手段と、前記車両の減速中に、前記車速検出手段により検出された検出車速に基づいて当該車両の減速度を算出する減速度算出手段と、前記検出車速が予め設定された設定値になった時点から、車速が実際に零になる時点までの遅延時間を、前記算出された減速度に基づいて推定する遅延時間推定手段と、を備え、前記自動停止始動手段は、前記検出車速が前記設定値になった時点から前記遅延時間が経過したときに、前記車速条件が成立したと判断する。
この構成によると、車速検出手段により検出された検出車速に基づいて、車速が零になったことを判断するのではなく、車速検出手段により検出された検出車速に基づいて車両の減速度を算出し、その減速度に基づいて車速が零になったこと(車速が実際に零になった時点)を判断する。つまり、車両の減速度と、検出車速が設定値になった時点との情報から、車速が実際に零になる時点(遅延時間)を、直線による外挿によって推定することが可能であるため、検出車速が所定値になった時点から推定した遅延時間が経過したときに、車速が実際に零になった、つまり、車速条件が成立したと判断する。
車速検出手段により検出された検出車速に基づいて、車速が零になったことを判断する場合は、車速検出手段の検出精度に依存して、車速が実際に零になった状態を正確に判断することができないのに対し、減速度に基づいて車速が零になった状態を判断することにより、車速検出手段の検出精度に依存することなく、車速が実際に零になった状態を正確に判断することができる。従って、車両が確実に停止した状態でエンジンを自動的に停止させることができ、引き込みショックが確実に防止される。
前記エンジンの自動停止装置は、前記遅延時間推定手段によって推定された遅延時間の補正を行う補正手段をさらに備え、前記補正手段は、前記検出車速が前記設定値になった時点以降にブレーキの作動状態が変化したことを受けて、前記遅延時間の補正を行う。
検出車速が前記設定値になった時点から遅延時間が経過するまでの間において、ブレーキペダルの踏み増し操作や、踏み戻し操作が行われてブレーキの作動状態が変化したときには、車両の減速度がその分変化するため、遅延時間が経過した時点と、車速が零になる時点との間にずれが生じることになる。
前記の構成では、ブレーキの作動状態が変化したことを受けて、遅延時間の補正を行うことによって、ブレーキペダルの踏み増し操作や、踏み戻し操作が行われたときであっても、車速が零になった時点を正確に判断することができ、その結果、引き込みショックの発生がより一層確実に防止される。
記エンジンの自動停止装置はさらに、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧検出手段と、前記検出車速が所定車速以上に一旦高まった後に、その所定車速よりも低くなる車速履歴条件を含むプレエンジン停止条件が成立したか否かを判定するプレエンジン停止条件判定手段と、をさらに備え、前記補正手段は、前記プレエンジン停止条件が成立した後、前記検出車速が前記設定値になるまでの間に設けた所定期間で検出された前記ブレーキ液圧の平均値を算出すると共に、前記検出車速が前記設定値になった時点以降において、検出されたブレーキ液圧が前記ブレーキ液圧の平均値に対して変化したときに、その変化方向に応じて前記遅延時間の増減補正を行う。
検出車速が前記設定値になった時点以降において検出されたブレーキ液圧が、車両の減速中における平均ブレーキ液圧に対して変化することは、ブレーキペダルの踏み増し操作や、踏み戻し操作が行われたことに相当する。また、その変化方向によって、ブレーキペダルが踏み増し操作されたか、踏み戻し操作されたかを区別することが可能である。
そうして、ブレーキペダルが踏み増し操作されたときには減速度が高まることになるため、遅延時間を短くするように補正し、ブレーキペダルが踏み戻し操作されたときには減速度が低下することになるため、遅延時間を長くするように補正する。これによって、ブレーキペダルの踏み増し操作や、踏み戻し操作が行われたときであっても、車速が実際に零になった時点を正確に判断することができ、それに従ってエンジンを自動停止することで引き込みショックの発生がより一層確実に防止される。
以上説明したように、本発明によると、車速が零になったことを車両の減速度に基づいて推定することにより、車速が実際に零になった時点を正確に判断することができ、その判断に基づいてエンジンの自動停止を実行することにより、いわゆる引き込みショックの発生を確実に防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
−アイドルストップシステムの概略構成−
図1及び図2は、本実施形態に係るエンジンの自動停止装置を含むアイドルストップシステムの実施形態を示し、このシステムEは、シリンダヘッド10及びシリンダブロック11を備えたエンジン1と、該エンジン1を制御するためのECU2(エンジンコントローラ)とを備えている。前記エンジン1には、図2に示すように4つの気筒12A〜12Dが設けられていて、該各気筒12A〜12Dの内部には、図1に示すように、クランク軸3に連結されるピストン13がそれぞれ嵌挿され、これにより、前記各気筒12A〜12D内部でピストン13の上方には燃焼室14が形成されている。
ここで、一般的に、多気筒4サイクルエンジンにおいては、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなる燃焼サイクルを行うようになっており、この実施形態の4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒12A、2番気筒12B、3番気筒12C、4番気筒12Dと呼ぶと、1番気筒(#1)、3番気筒(#3)、4番気筒(#4)、2番気筒(#2)の順にクランク角で180度ずつの位相差をもって燃焼が行われるようになっている。そうして、エンジン1の駆動に伴う出力トルクは、クランク軸3に連結されたトルクコンバータ51及び自動変速機(AT)52を介して駆動輪53に伝達されることになる。
前記各気筒12A〜12Dのそれぞれの燃焼室14の頂部には、該燃焼室14内の混合気に点火して燃焼させるための点火プラグ15が設けられていて、それらの各点火プラグ15先端の電極が前記燃焼室14を臨むように配置されている。また、前記燃焼室14の側方(図1の右方向)には、先端の噴孔を燃焼室14に臨ませて燃料噴射弁16が配設されている。この燃料噴射弁16は、図示しないニードル弁及びソレノイドを内蔵し、前記ECU2からのパルス信号の入力によりそのパルス幅に対応する時間だけ開弁駆動されて、その駆動時間に応じた量の燃料を各気筒12A〜12D内に直接、噴射するように構成されている。そして、その燃料の噴射方向が前記点火プラグ15の電極付近に向かうように調整されている。
また、前記燃料噴射弁16には、図示しないが、燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給されるようになっており、その燃料供給圧は、各気筒12A〜12Dの圧縮行程中期以降で高圧の気筒内燃焼室14に燃料を噴射できるように、その燃焼室14の圧力よりも高い値に設定されている。
前記各気筒12A〜12Dの燃焼室14の上部には、該燃焼室14に向かって開口する吸気ポート17及び排気ポート18が設けられていて、これらのポート17,18に吸気弁19及び排気弁20がそれぞれ配設されている。これらの吸気弁19及び排気弁20は、図示省略のカムシャフト等からなる動弁機構により駆動され、上述のとおり、各気筒12A〜12Dが所定の位相差をもって燃焼サイクルを行うように、該各気筒毎の吸・排気弁19,20の開閉タイミングが設定されている。
また、前記吸気ポート17及び排気ポート18にそれぞれ連通するように吸気通路21及び排気通路22が設けられており、図2に示すように、前記吸気ポート17に近い吸気通路21の下流側は各気筒12A〜12D毎に独立の分岐吸気通路21aとされ、この各分岐吸気通路21aの上流端がそれぞれサージタンク21bに連通している。このサージタンク21bよりも上流の吸気通路21は各気筒12A〜12Dに共通の共通吸気通路21cであり、この通路21cには例えばバタフライ弁により通路断面積を調節して吸気流を絞るスロットル弁23と、これを駆動するアクチュエータ24とが配設され、さらに、図2にのみ示すが、スロットル弁23の上流側には吸気量を検出するためのエアフローセンサ25が配設されている。
一方、前記各気筒12A〜12Dからの排気が集合する排気通路22の集合部下流には、排気を浄化するための触媒29が配設されている。この触媒29は、いわゆる三元触媒とすればよいが、これに限るものではなく、例えば、いわゆるリーンNOx触媒であってもよい。
また、前記エンジン1には、ベルト等によりクランク軸3に駆動連結されたオルタネータ28が付設されており、このオルタネータ28によって発電された電力は、図示省略のバッテリに蓄電されるようになっている。
さらに、前記エンジンシステムEには、前記クランク軸3の回転角を検出する2つのクランク角センサ30,31が設けられており、主に一方のクランク角センサ30からの信号に基づいてエンジン回転速度を求めるとともに、それら2つのクランク角センサ30,31から出力される互いに位相のずれたクランク角信号によって、前記クランク軸3の回転方向及び回転角度を検出するようになっている。加えて、このエンジンシステムEには、カムシャフトの特定の回転位置を検出して気筒識別信号として出力するカム角センサ32、エンジン1の運転・停止を手動で切替えるオンオフ操作が行われるイグニッションスイッチ33(IGスイッチ)、アクセル操作量を検出するアクセル開度センサ34、後述するように本実施形態では特に車両が停止した状態において路面の傾斜角を検出する加速度センサ(Gセンサ)35、ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサ36、及び、車速を検出する電磁ピックアップからなる車速センサ37等が配設されている。
前記ECU2は、前記各センサ及びスイッチ25,30〜37からの信号を受け、前記燃料噴射弁16に対して燃料噴射量及びその噴射時期を制御する信号を出力するとともに、点火プラグ15の点火装置27に対して点火時期を制御する信号を出力し、さらに、前記スロットル弁23のアクチュエータ24に対してスロットル開度を制御する信号を出力する。そして、以下に詳述するが、前記ECU2は、アイドル時において所定のエンジン停止条件が成立したときに、各気筒12A〜12Dへの燃料供給を停止して(燃料カット)自動的にエンジン1を停止させるとともに、その後、運転者のアクセル操作等により所定のエンジン再始動条件が成立したときには、自動的にエンジン1を再始動させるようになっている。
ここで、本実施形態に係るエンジン1は、その再始動に際し、始動モータの力を借りることなく、エンジン1を自力で始動させるようになっている。すなわち、まず、ピストン13が圧縮行程の途中で停止している気筒12で最初の燃焼を行わせて、ピストン13を押し下げることにより、クランク軸3を少しだけ逆転させ、これにより、膨張行程にある気筒12のピストン13を上昇させて、この気筒12内の混合気を圧縮する。そして、そのようにして圧縮されて温度及び圧力の高くなった膨張行程気筒12内の混合気に点火して、燃焼させることにより、クランク軸3に正転方向のトルクを与えて、エンジン1を始動するようにしている。
そのようにエンジン1を自力で始動させるためには、停止時に膨張行程にある気筒12の燃焼によってクランク軸3にできるだけ大きな正転方向のトルクを与え、これにより、続いて圧縮上死点(以下、TDCと略称)を迎える気筒12が、その圧縮反力(圧縮圧力)に打ち勝ってTDCを越えるようにしなければならない。従って、エンジン1の確実な始動のためには前記停止時膨張行程気筒12内に燃焼のための空気を十分に確保しておく必要がある。
そのために、詳しくは後述するが、アイドル時にエンジン1を自動で停止させるときに、各気筒12A〜12Dの掃気を行うべく、スロットル弁23を開方向に制御してアイドル回転速度よりもやや高い所定の回転速度となるようにする掃気制御を行う。これによって、前記の停止時膨張行程気筒12及び停止時圧縮行程気筒12へそれぞれ吸入される空気量が十分に多くなる。
尚、本実施形態では、その掃気制御に伴うエンジンの吹き上がりを防止すべく、点火時期を所定量だけ遅角させる制御を併せて実行する。
−エンジンの自動停止制御−
次に、前記ECU2によりエンジン1を自動で停止する制御について、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、図3は停止制御の手順を示すフローチャート図であり、図4は、車両が走行している状態から自動停止制御によりエンジンが停止するまでの間における、検出車速及びエンジン回転数の変化を示す説明図である。
先ずステップS1においては、プレエンジン停止条件が成立したか否かを判定する。ここで、プレエンジン停止条件には、車速が所定車速以上に一旦高まった後に、その所定車速よりも低くなる条件である車速履歴条件、バッテリ電圧が所定電圧以上であること、換言すればバッテリを充電する必要がないという条件であるバッテリ条件、空調装置が作動していない、つまり空調用コンプレッサが停止しているという条件である空調条件、及びエンジン水温が所定温度以上である、つまり冷間時でないという条件であるエンジン水温条件が含まれる。プレエンジン停止条件が成立していないのNOのときには、このステップS1を繰り返すのに対し、プレエンジン停止条件が成立したのYESのときには、ステップS2に移行する。
ステップS2では、車速センサ37により検出した車速に基づいて、例えばマップを参照することによりエンジン回転数を設定する。これによって、図4に示すように、アイドル時よりもエンジン回転数を高めるようにする。この制御は、後述する掃気制御によって車両の停止状態でエンジン回転数が一気に高くなることに伴う違和感を防止する等の理由で、エンジン回転数を段階的に高めるために行う制御である。
続くステップS3では、車速センサ37により検出した車速に基づき車両の減速度を算出すると共に、ブレーキ液圧センサ36により検出したブレーキ液圧に基づき平均ブレーキ液圧を算出する。尚、平均ブレーキ液圧の算出は、少なくとも車速センサ37により検出した車速が0km/hになるまで(後述するステップS4でYESになるまで)の間継続して行われる。そうして、ステップS4では、車速センサ37により検出した車速が0km/hになったか否かを判定する。つまり、1km/h未満を検出することが困難な電磁ピックアップからなる車速センサ37の検出精度の関係上、車速センサ37の検出車速が1km/h未満で、車速を0km/hとみなすことができるか否かを判定する。この判定がNOのときには、ステップS4を繰り返す一方、判定がYESのときにはステップS5に移行する。ここで、判定がYESでステップS5に移行した場合も、図4に破線で示すように、実際の車速は0km/hになっていない。
ステップS5では、算出した車両の減速度に基づいて、遅延時間を設定する。つまり、図5(a)に示すように、車速センサ37の検出車速が0km/hになる前における車両の減速度の大きさ(同図における直線の傾き)に基づいて、直線外挿により、車速が実際に0km/hになる時点を設定する。従って、減速度が相対的に大きいときには、遅延時間は相対的に短くなり(t1参照)、減速度が相対的に小さいときには、遅延時間は相対的に長くなる(t2参照)。
続くステップS6では、平均ブレーキ液圧に対してブレーキ液圧センサ36により検出したブレーキ液圧が変化したか否かを判定する。検出したブレーキ液圧が平均ブレーキ液圧よりも小さくなった、「マイナス側に変化」のときには、例えば図5(b)に破線で示すように、ブレーキペダルが踏み戻しされて減速度が低下したと判断することができるため、ステップS7に移行して、遅延時間に対し、予め設定した所定時間αを足し合わせる。これに対し、検出したブレーキ液圧が平均ブレーキ液圧以上になった、「プラス側に変化」のときには、例えば図5(b)に一点鎖線で示すように、ブレーキペダルが踏み増しされて減速度が高まったと判断することができるため、ステップS8に移行して、遅延時間から予め設定した所定時間αを差し引く。また、検出したブレーキ液圧が平均ブレーキ液圧に対し変化していない、「変化なし」のときには、そのままステップS9に移行する。
そうして、ステップS9において遅延時間をダウンカウントし、続くステップS10で遅延時間が0msec以下になったか否か、換言すれば車速センサの検出値が0km/hになった時点から、設定又は補正した遅延時間が経過したか否かを判定する。遅延時間が経過していないのNOのときにはステップS6に戻る一方、遅延時間が経過したのYESのときにはステップS11に移行する。
ステップS11では、エンジン停止条件(燃料カット条件)が成立したか否かを判定する。ここでのエンジン停止条件には、ブレーキスイッチがオンでかつ、アクセルがオフであること等が含まれる。エンジン停止条件が成立していないのNOのときには、ステップS11を繰り返す一方、成立したのYESのときにはステップS12に移行する。
ステップS12では、Gセンサ35の検出値に基づいて路面の傾斜角を算出し、路面勾配が急勾配であるか否かを判定する。ここで、車両の停止直後は、慣性によりGセンサ35の検出値が一定にならないため、図4に示すように、前記の遅延時間が経過した時点からさらに所定時間が経過した後に、Gセンサ35の検出値に基づいて路面の傾斜角を算出することが好ましい。ステップS12の判定において、急勾配であるのYESのときには、エンジン1の再始動時に車両の飛び出しや後ずさりが発生することから、アイドルストップを禁止すべくそのままフローを終了する。
一方、ステップS12で急勾配でないのNOのときには、ステップS13に移行し、スロットル弁23を開方向に制御してエンジン回転数を高めることによる掃気制御(図4参照)と共に、前述したように吹き上がり防止のための点火時期のリタード制御を行い、その後にステップS14でアイドルストップを実行(燃料カットによるエンジン1の自動停止)する。
従って、ステップS3により減速度算出手段41及び平均ブレーキ液圧算出手段42が構成され、ステップS5により遅延時間推定手段43が構成される。また、ステップS6,7,8により補正手段44が構成される。
このように、前記のアイドルストップシステムでは、車速センサ37の検出値に基づいて車速が零になったことを判定するのではなく、車速センサ37の検出値に基づいて算出した車両の減速度に基づいて車速が零になったことを判定するため、車速センサ37の検出精度に依存することなく、車速が零になったことを正確に判定することが可能になる。それによって、エンジン1の自動停止のタイミングを適正化して、いわゆる引き込みショックの発生を防止することができる。
また、減速度に基づいて直線外挿により推定される遅延時間は、ブレーキペダルの踏み操作量が変化することに応じて補正されることで、ブレーキの作動状態が変化することに起因して車速が零になる時点の推定がずれてしまうことが防止され、車速が零になる時点の推定精度を高めることができる。その結果、エンジン1の自動停止時における引き込みショックの発生を確実に防止することができる。
尚、前記の実施形態では、エンジン1の再始動を始動モータを用いずに行うようにしているが、エンジン1の再始動を始動モータを用いて行う構成において、本発明を適用することも可能である。その場合は、エンジン1の自動停止前における掃気制御は不要になる。
また、前記の実施形態では、遅延時間の補正に係るブレーキの作動状態の変化を、平均ブレーキ液圧と、検出したブレーキ液圧との関係に基づいて判断しているが、これは一例であり、ブレーキの作動状態の変化は、これ以外にも種々の方法で判断することが可能であり、適宜の方法を採用することができる。
さらに、前記の実施形態では、車速センサ37の検出車速が0km/hとなる時点からの遅延時間を推定しているが、車速センサ37の検出車速が0km/hよりも大きいの所定値となる時点からの遅延時間を推定するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明は、いわゆる引き込みショックの発生を防止しつつ、エンジンを自動的に停止させることができるから、車両用エンジンの自動停止装置として有用である。
本発明の実施形態に係るアイドルストップシステムの概略構成図である。 エンジンの吸気系及び排気系の構成を示す模式図である。 エンジンの自動停止に係る制御を示すフローチャートである。 車両の走行中の状態からエンジンの自動停止までの間における検出車速及びエンジン回転数の変化の一例を示すタイムチャートである。 (a)減速度に基づく遅延時間の推定方法、(b)ブレーキの作動状態の変化に伴う遅延時間の補正方法、をそれぞれ説明する図である。
符号の説明
1 エンジン
12 気筒
2 ECU(自動停止始動手段)
36 ブレーキ液圧センサ(ブレーキ液圧検出手段)
41 減速度算出手段
42 平均ブレーキ液圧算出手段
43 遅延時間推定手段
44 補正手段

Claims (1)

  1. 車両に搭載されたエンジンと、
    車速が零になる車速条件を含む、所定の停止条件が成立したときに、前記エンジンを自動的に停止させると共に、前記エンジンの停止中に所定の始動条件が成立したときに、前記エンジンを自動的に始動させる自動停止始動手段と、
    前記車速を検出する車速検出手段と、
    前記車両の減速中に、前記車速検出手段により検出された検出車速に基づいて当該車両の減速度を算出する減速度算出手段と、
    前記検出車速が予め設定された設定値になった時点から、車速が実際に零になる時点までの遅延時間を、前記算出された減速度に基づいて推定する遅延時間推定手段と、
    前記遅延時間推定手段によって推定された遅延時間の補正を行う補正手段と、
    ブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧検出手段と、
    前記検出車速が所定車速以上に一旦高まった後に、その所定車速よりも低くなる車速履歴条件を含むプレエンジン停止条件が成立したか否かを判定するプレエンジン停止条件判定手段と、を備え、
    前記自動停止始動手段は、前記検出車速が前記設定値になった時点から前記遅延時間が経過したときに、前記車速条件が成立したと判断し、
    前記補正手段は、前記プレエンジン停止条件が成立した後、前記検出車速が前記設定値になるまでの間に設けた所定期間で検出された前記ブレーキ液圧の平均値を算出すると共に、前記検出車速が前記設定値になった時点以降において、検出されたブレーキ液圧が前記ブレーキ液圧の平均値に対して変化したときに、その変化方向に応じて前記遅延時間の増減補正を行うエンジンの自動停止装置。
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