以下、実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、車線判定装置の機能を示すブロック図である。
まず、車線判定装置100の構成と処理内容について説明する。
車線判定装置100は、撮像手段1,区画線認識手段2,第一の軌跡算出手段3,車速検出手段4,方位検出手段5,第二の軌跡算出手段6,進行方向推定手段7,初期化手段8,第三の軌跡算出手段9,走行車線判定手段10,情報報知手段11によって構成され、車線判定装置100の図示しないコンピュータにプログラミングされ、予め定められた周期で繰り返し実行される。
撮像手段1は、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子によって自車外の画像を取得するものであり、例えばカメラを用いることができ、その撮像方向は、車両前方(フロントビューカメラ),車両側方(サイドビューカメラ),車両後方(リアビューカメラ)もしくは斜め方向のいずれでもよく、また、全方位を撮像する全方位カメラでもよい。また、カメラの種類に関しては、1つのカメラで撮像する単眼カメラ,2つのカメラで撮像するステレオカメラであってもよく、搭載数に関しても、車両の前後左右方向のそれぞれに配置してもよい。
区画線認識手段2は、撮像手段1により取得された画像情報を処理して画像内の区画線を認識する。ここで、区画線とは、道路管理者が設置する、道路の路面に描かれた道路鋲,ペイント,石等による線であり、道路標示の一種である。具体的には、車道中央線や車線境界線がある。また、認識した区画線から撮像手段までの距離を繰り返し演算し、更に、区画線の種別(実線,破線,点線など)を判別する機能(以下、線種判別という)を有する。
第一の軌跡算出手段3は、区画線認識手段2により演算された区画線から撮像手段までの距離に基づいて自車の走行軌跡を算出する。第一の軌跡算出手段の性能は区画線の有無やかすれなど区画線の状態の他、自車の運動にも左右される。直進時は車線内の自車の走行軌跡を精度良く描くことができるが、車線変更などで自車が旋回して自車と区画線との角度やその変化が大きくなると区画線の認識ができず軌跡が途切れてしまうため、車線変更の直後には自車がどの車線を走行しているかは認識できない。
車速検出手段4は、自車の車速を検出するものであり、例えば車両の前後左右各輪に装着された車輪速センサにより得られる値を平均して車速を検出する方法や、自車に搭載する加速度センサにより得られる自車の加速度の値を積分して車速を算出する方法などが採用可能である。
方位検出手段5は、自車の方位を検出するものであり、ジャイロセンサやヨーレイトセンサにより得られる値から自車の方位を算出する方法などが採用可能である。
第二の軌跡算出手段6は、車速検出手段4により検出した車速と方位検出手段5により検出した自車の方位を用いて自律航法により自車の走行軌跡を算出する。第二の軌跡算出手段は自律航法を用いて自車の運動に基づいた軌跡を描くので、軌跡が途切れることはないが、車速や方位の誤差が時間の経過とともに蓄積するので補正しないで使用できるのは短時間である。また、方位と位置は相対的なものであるので初期化が重要である。
進行方向推定手段7は、第一の軌跡算出手段3により算出された自車の走行軌跡に基づいて自車の進行方向を推定する。
初期化手段8は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向,車速検出手段4により検出された車速,方位検出手段5により検出された自車の方位に基づいて自律航法を初期化するか否かを判断し、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向の精度が高い場合は初期化する。
第三の軌跡算出手段9は、第一の軌跡算出手段3により算出された第一の軌跡と第二の軌跡算出手段6により算出された第二の軌跡に基づいて最終的な自車の走行軌跡を算出する。具体的には、上記の第一および第二の軌跡算出手段の特性に基づいて、第一の軌跡が有効(区画線認識手段2において区画線を認識している場合)の場合は第一の軌跡を最終的な自車の走行軌跡とし、第一の軌跡が無効(区画線認識手段2において区画線を認識していない場合)の場合は第二の軌跡で外挿して最終的な自車の走行軌跡とする。これにより、自車の走行状態に関わらず連続した走行軌跡が得られる。
走行車線判定手段10は、第三の軌跡算出手段9により算出された最終的な自車の走行軌跡に基づいて複数車線道路の中で自車が走行している車線を判定する。
情報報知部11は、走行車線判定手段10から得られる情報を乗員に分かり易く音声やモニター画面で報知する処理を行う。また、走行車線判定手段10から得られる、自車が走行している車線に基づいて乗員に報知する内容を切り替えることで、より分かり易く親切な案内を実施することが可能である。
次に、車線判定装置全体の処理内容について説明する。
図2は、本実施の形態における車線判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
まず、処理201において、区画線認識手段2により認識した区画線から撮像手段までの距離を繰り返し演算し、更に、区画線の種別(実線,破線,点線など)を判別する。
次に、処理202において、自律航法が初期化済みか否かを判定し、自律航法が初期化済みの場合には処理203に進み、自律航法が初期化済みではない場合には処理210に進む。
処理203において、処理201にて演算された区画線から撮像手段までの距離に基づいて自車の走行軌跡(第一の軌跡)を算出する。
次に、処理204において、自律航法により自車の走行軌跡(第二の軌跡)を算出する。
次に、処理205において、自車が直進中か否かを判定し、自車が直進中の場合には処理206に進み、自車が直進中でない場合は処理207に進む。ここで、自車が直進中か否かの判定は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向と区画線認識手段2により認識された区画線の方向との角度差が所定の角度以内(例えば2度以内)あるいは角度差の変化が所定値(例えば1度/秒)以内でかつ、車速検出手段4により検出された車速が所定の速度以上(例えば10km/h以上)でかつ、方位検出手段5により検出された自車の方位の変化率(角速度)が所定の範囲内(例えば0.2deg/s以内)の条件の下で実施する。
処理206において、自車は直進中で方位と位置の推定精度が高いと考えられるため自律航法を初期化する。この初期化の方法は、道路上の横位置(後述する図3のy)に関しては第一の軌跡の値を代入し、方位は進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向を代入する。具体的には、自車の走行軌跡を所定時間遡り、最小二乗法に基づく回帰直線の傾きを進行方向とする。
次に、処理207において、第一の軌跡が有効か否かを判定し、第一の軌跡が有効の場合には処理208に進み、第一の軌跡を第三の軌跡として算出する。一方、第一の軌跡が有効でない場合には処理209に進み、第二の軌跡を第三の軌跡として算出する。ここで、第一の軌跡が有効とは、区画線認識手段2において区画線を認識している場合を示し、第一の軌跡が有効でないとは、区画線認識手段2において区画線を認識していない場合を示す。
次に、処理210において、線種判別に基づく車線判定処理を実施する。ここでは、区画線認識手段2において認識した区画線の種別(実線,破線,点線など)を利用して自車が走行している車線を判定する。例えば日本の高速道路で片側3車線の場合、区画線の種別は一番左から実線,破線,破線,実線の順に並んでいるため、自車の両側の区画線の種別が認識できるとおのずと自車が走行している車線が判定可能である。
次に、処理211において、処理208もしくは処理209で算出した第三の軌跡を用いて自車が走行している車線を判定する。具体的には、第三の軌跡の横位置が複数車線道路のどの位置にあるかを判定すればよく、車線幅の情報を用いて決定する。なお、処理210で線種判別により自車が走行している車線が判定されている場合には、第三の軌跡を用いて判定した車線を採用せずに、線種判別により判定した車線を優先して採用する。このとき、線種判別により判定した車線と第三の軌跡により判定した車線が異なる場合は、第三の軌跡の横位置を線種判別により判定した車線位置に補正する。先に述べたように、線種の判別には所定の距離を走行することが必要で応答は遅いが、信頼性は高い。一方,自車が蛇行運転を繰り返すなどして、第一の軌跡が無効になってから長時間が経過した場合は自律航法に基づく第二の軌跡に誤差が蓄積する。その後、区画線を認識しても、区画線から撮像手段までの距離からの距離に基づく方法では、どの区画線かを特定できないので走行軌跡は描けない。このため,特別な運転条件のバックアップとして上記の線種判別による補正を用いる。
最後に、処理212において、処理211にて求めた自車の走行している車線の情報に基づいて、道路案内を切り替えて乗員に音声や画面を用いて情報を報知する。
以上説明したように、上記の車線判定装置100によれば、片側複数車線道路に設置された区画線を検出して、この区画線と自車との相対関係及び自律航法により算出した自車の走行軌跡に基づいて自車が走行している車線を判定しているので、走行車線を判定するまでの走行距離を短くすることができ、走行距離に応じて累積される誤差を小さくすることができる。従って、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる。
従って、例えばナビゲーションシステムにより、高速道路における分岐の案内や、車両前方に位置する交差点で進行方向の案内を行う場合に、車線毎に異なる経路誘導を行うことができ、乗員に対する高度な経路誘導を実現し、乗員の快適性を向上させることができる。
次に、図3を用いて、車線判定装置100における車線判定処理の具体例について、所定の道路状況に当てはめて説明する。
図3は、片側2車線の道路において、自車300が左車線から右車線に点線矢印301の軌跡を描いて車線変更した場合を示す図である。
図3において、D1は車両中心から左に見える区画線までの距離、D2は車両中心から右に見える区画線までの距離であり、自車300が左車線に存在する場合と右車線に存在する場合では対象となる区画線が異なる。また、一番左の区画線から自車300までの距離をyで表す。更に、車線幅はWとする。
まず、自車300が地点Aに存在するとき、自車300は直進中であると判定され(処理205でYES)、自律航法の初期化処理を実施する(処理206)。このとき、D1とD2が両方とも有効な場合には、例えばD1を優先して第一の軌跡312を算出し、自律航法の横位置をy1に、方位を第一の軌跡312で求めた方位に設定すると、自律航法で算出した軌跡は第二の軌跡314のようになる。更に、第一の軌跡が有効であるため(処理207でYES)、第三の軌跡に第一の軌跡を代入し(処理208)、自車が走行している車線を判定する(処理211)。この場合、y1<Wであるため、自車が走行している車線は車線位置318で示すように1(左車線)となる。また、自車300が地点Aから地点Bに達するまでは自車300は直進中であると判定(自律航法初期化フラグ311がON)されるため、その後の処理は地点Aに存在する場合と同じである。
次に、自車300が地点Bに到達すると、自車300は車線変更動作を開始しているため、直進中でないと判定され(処理205でNO)、自律航法初期化フラグがOFFになる。そして、自車300が地点Cに到達するまではD1,D2がそれぞれ変化するが、第一の軌跡が有効であるため(処理207でYES)、第三の軌跡に第一の軌跡を代入し(処理208)、自車が走行している車線を判定する(処理211)。従って、地点AからCまでは第一の軌跡と第三の軌跡は同一である。
次に、自車300が地点Cに到達して、D1とD2がロストすると(処理207でNO)、第二の軌跡で第三の軌跡を外挿する(処理209)。更に、自車300が地点Dに到達すると、第三の軌跡の横位置が車線幅Wを超えてくるため、自車が走行している車線位置318は2に変化する(処理211)。
次に、自車300が地点Eに到達して、D1とD2が再び有効になると(処理207でYES)、第三の軌跡は第一の軌跡に戻すため(処理208)、第二の軌跡に誤差があった場合、領域317のように第三の軌跡がジャンプする。
次に、自車300が地点Fに到達すると、自律航法初期化フラグが再びONになり、自律航法を初期化する(処理206)。このとき第二の軌跡に誤差があった場合、領域315のように第二の軌跡がジャンプする。
その後、自車300が地点Gに到達するまでは自車300は直進中であると判定(自律航法初期化フラグ311がON)される。
以上説明したように、自車から区画線までの距離と自律航法を組合せることで、正確な走行軌跡を途切れなく描くことが可能となり、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる。
なお、図3においては片側2車線道路における例を示したが、車線数は3車線以上でも適用できることは言うまでもない。
以上のように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の様態で実施することができる。
以上によれば、片側複数車線道路に設置された区画線を検出して、この区画線と自車との相対関係及び自律航法により算出した自車の走行軌跡に基づいて自車が走行している車線を判定しているので、走行車線を判定するまでに必要な走行距離を特許文献2の方法より短くすることができ、走行距離に応じて累積される誤差を小さくすることができる。従って、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる。従って、ナビゲーションシステムによる高度な経路誘導が可能になる。
次に、本発明の別の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図4は、本発明の別の実施形態における車線判定装置の機能を示すブロック図であり、図1で説明した車線判定装置に道路形状取得手段12を加えたものである。そこで、図1とは異なる構成と機能に関して説明する。
道路形状取得手段12は、車両に搭載されたGPS(Global Positioning System:衛星航法システム)受信機から出力された信号などを用いて自車位置を検出し、検出した自車位置と地図情報から自車が走行している道路の道路形状を取得する。ここで取得される道路形状は、車線数,車線幅,車線毎の区画線の種別,道路の曲率半径,分岐・合流の有無などの情報であり、道路の2次元形状や3次元形状そのものを取得する構成としてもよい。
第二の軌跡算出手段6は、道路形状取得手段12により取得された道路形状と、車速検出手段4により検出した車速と方位検出手段5により検出した自車の方位を用いた自律航法により自車の走行軌跡を算出する。ここで、自律航法とは、車速と方位から求まる車両の速度ベクトルを初期位置に足し合わせていくことで車両の位置を逐次計算する方法である。具体的には、自車の速度VSP,自車の方位変化DIRを用いて自車位置(X,Y)は(1)および(2)式で計算できる。
ここで、(Xz1,Yz1)は自車位置の前回の計算結果,Δtは計算周期である。第一の軌跡算出手段3により算出される軌跡が区画線の認識ができない場合に途切れることに対して、第二の軌跡算出手段6は自律航法を用いて軌跡を描くために軌跡が途切れることはないが、車速や方位の誤差が時間の経過とともに蓄積するので補正しないで使用できるのは短時間である。また、方位と位置は相対的なものであるので初期化が重要である。
初期化手段8は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向,車速検出手段4により検出された車速,方位検出手段5により検出された自車の方位に基づいて自律航法を初期化するか否かを判断し、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向の精度が高い場合は初期化する。また、区画線認識手段2による区画線の認識ができなくなったときにも自律航法を初期化する。
次に、図4の車線判定装置全体の処理内容について説明する。
図5は、図4に示した車線判定装置の処理内容を示すフローチャートである。
まず、処理501において、区画線認識手段2により認識した区画線から撮像手段までの距離を繰り返し演算し、更に、区画線の種別(実線,破線,点線など)を判別する。
次に、処理502において、処理501にて演算された区画線から撮像手段までの距離に基づいて自車の走行軌跡(第一の軌跡)を算出する。
次に、処理503において、自車が道路に沿って平行に走行しているか否かを判定し、自車が道路に沿って平行に走行している場合には処理504に進み、自車が道路に沿って平行に走行していない場合は処理505に進む。ここで、自車が道路に沿って平行に走行しているか否かの判定は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向と区画線認識手段2により認識された区画線の方向との角度差が所定の角度以内(例えば2度以内)あるいは角度差の変化が所定値(例えば1度/秒)以内でかつ、車速検出手段4により検出された車速が所定の速度以上(例えば10km/h以上)でかつ、方位検出手段5により検出された自車の方位の変化率(角速度)が所定の範囲内(例えば0.2度/秒以内)の条件の下で実施する。
処理504において、自車は道路に沿って平行で方位と位置の推定精度が高いと考えられるため自律航法を初期化する。この初期化の方法は、道路上の横位置(後述する図10のy)に関しては第一の軌跡の値を代入し、方位は進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向を代入する。具体的には、自車の走行軌跡を所定時間遡り、最小二乗法に基づく回帰直線の傾きを進行方向とする。
次に、処理505において、自律航法が初期化済みか否かを判定し、自律航法が初期化済みの場合には処理506に進み、自律航法が初期化済みではない場合には処理513に進む。
処理506において、道路形状取得手段12により自車が走行している道路の道路形状(車線数,車線幅,道路の曲率半径など)を取得し、処理507において、得られた道路形状と自律航法により自車の走行軌跡(第二の軌跡)を算出する。
次に、処理508において、第一の軌跡が有効か否かを判定し、第一の軌跡が有効の場合には処理509に進み、第一の軌跡を第三の軌跡として算出する。一方、第一の軌跡が有効でない場合には処理510に進む。ここで、第一の軌跡が有効とは、区画線認識手段2において区画線を認識している場合を示し、第一の軌跡が有効でないとは、区画線認識手段2において区画線を認識していない場合を示す。
処理510において、第一の軌跡の前回算出値が有効か否かを判定し、第一の軌跡の前回算出値が有効の場合には処理511に進み、第一の軌跡の前回算出値が有効でない場合には処理512に進む。
処理511において、第二の軌跡の誤差を小さくしてから第三の軌跡を算出するため、自律航法を初期化する。この初期化は、処理504と同じ方法を用いる。
次に、処理512において、第二の軌跡を第三の軌跡として算出する。
次に、処理513において、線種判別に基づく車線判定処理を実施する。ここでは、区画線認識手段2において認識した区画線の種別(実線,破線,点線など)を利用して自車が走行している車線を判定する。例えば日本の高速道路で片側3車線の場合、区画線の種別は一番左から実線,破線,破線,実線の順に並んでいるため、自車の両側の区画線の種別が認識できるとおのずと自車が走行している車線が判定可能である。
次に、処理514において、処理509もしくは処理512で算出した第三の軌跡を用いて自車が走行している車線を判定する。具体的には、第三の軌跡の横位置が複数車線道路のどの位置にあるかを判定すればよく、車線数と車線幅の情報を用いて決定する。なお、処理513で線種判別により自車が走行している車線が判定されている場合には、第三の軌跡を用いて判定した車線を採用せずに、線種判別により判定した車線を優先して採用する。このとき、線種判別により判定した車線と第三の軌跡により判定した車線が異なる場合は、第三の軌跡の横位置を線種判別により判定した車線位置に補正する。先に述べたように、線種の判別には所定の距離を走行することが必要で応答は遅いが、信頼性は高い。一方,自車が蛇行運転を繰り返すなどして、第一の軌跡が無効になってから長時間が経過した場合は自律航法に基づく第二の軌跡に誤差が蓄積する。その後、区画線を認識しても、区画線から撮像手段までの距離からの距離に基づく方法では、どの区画線かを特定できないので走行軌跡は描けない。このため,特別な運転条件のバックアップとして上記の線種判別による補正を用いる。
最後に、処理515において、処理514にて求めた自車の走行している車線の情報に基づいて、道路案内を切り替えて乗員に音声や画面を用いて情報を報知する。
以上説明したように、上記の車線判定装置100によれば、片側複数車線道路に設置された区画線を検出して、この区画線と自車との相対関係及び自律航法により算出した自車の走行軌跡に基づいて自車が走行している車線を判定しているので、走行車線を判定するまでの走行距離を短くすることができ、走行距離に応じて累積される誤差を小さくすることができる。また、道路形状を利用した自律航法により、カーブなどの直線以外の道路においても正確な車線の判定が可能となる。従って、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することができる。
従って、例えばナビゲーションシステムにより、高速道路における分岐の案内や、車両前方に位置する交差点で進行方向の案内を行う場合に、車線毎に異なる経路誘導を行うことができ、乗員に対する高度な経路誘導を実現し、乗員の快適性を向上させることができる。
次に、図6から図9を用いて、道路形状を利用した第二の軌跡の算出方法について、所定の道路状況に当てはめて詳しく説明する。
図6は、片側2車線の右方向に旋回する道路において、自車600が右車線から左車線に点線矢印601の軌跡を描いて車線変更した場合を示す図である。
図6においては、自車600がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になったと想定している。なお、Ay軸,By軸,Cy軸は道路と垂直になす方向にとり、Ax軸,Bx軸,Cx軸はそれぞれAy軸,By軸,Cy軸と垂直になす方向(道路の接線方向)にとる。
まず、自車600がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になると、自律航法の初期化を実施する(処理511)。このとき、矢印610は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向であり、道路とのなす角がθ0であるため、このθ0を自律航法の初期方位とする。また、一番左の区画線を基準区画線に設定し、この基準区画線からの距離をyとすると、第一の軌跡の前回値から求めた基準区画線からの距離y0を自律航法の初期位置とする。なお、点線602は、基準区画線からの距離がy0で一定の位置を示す。
次に、自車600がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1を算出する。Ay軸上の道路の曲率半径R0,Ay軸からBy軸までの距離C1(自車600の車速を積分して算出する)を用いて、Ay軸とBy軸のなす角α1は(3)式で計算できる。
Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸と車両600の走行軌跡601との距離N1は(4)式で計算できる。
また、同様に、Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸とBx軸との距離M1は(5)式で計算できる。
従って、自車600がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1は(6)式で計算できる。
なお、点線603は、基準区画線からの距離がy1で一定の位置を示す。
次に、自車600がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2を算出する。By軸上の道路の曲率半径R1,By軸からCy軸までの距離C2(自車600の車速を積分して算出する)を用いて、By軸とCy軸のなす角α2は(7)式で計算できる。
By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸と車両600の走行軌跡601との距離N2は、By軸における自律航法の道路に対する方位θ1を用いて(8)式で計算できる。
なお、自律航法の道路に対する方位θ1は、車両600がBy軸からCy軸に到達するまでに方位検出手段5により検出された方位変化量δ1を用いて(9)式で計算できる。
また、同様に、By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸とCx軸との距離M2は(10)式で計算できる。
従って、自車600がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2は(11)式で計算できる。
なお、点線604は、基準区画線からの距離がy2で一定の位置を示す。
以上説明したように、曲線路においても、座標変換しながら基準区画線までの距離を求めることが可能となる。なお、n回目の座標変換に伴う計算式は(12)式から(16)式で表すことができる。
図7は、片側2車線の右方向に旋回する道路において、自車700が左車線から右車線に点線矢印701の軌跡を描いて車線変更した場合を示す図である。
図7においては、自車700がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になったと想定している。なお、Ay軸,By軸,Cy軸は道路と垂直になす方向にとり、Ax軸,Bx軸,Cx軸はそれぞれAy軸,By軸,Cy軸と垂直になす方向(道路の接線方向)にとる。
まず、自車700がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になると、自律航法の初期化を実施する(処理511)。このとき、矢印710は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向であり、道路とのなす角がθ0であるため、このθ0を自律航法の初期方位とする。また、一番左の区画線を基準区画線に設定し、この基準区画線からの距離をyとすると、第一の軌跡の前回値から求めた基準区画線からの距離y0を自律航法の初期位置とする。なお、点線702は、基準区画線からの距離がy0で一定の位置を示す。
次に、自車700がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1を算出する。Ay軸上の道路の曲率半径R0,Ay軸からBy軸までの距離C1(自車700の車速を積分して算出する)を用いて、Ay軸とBy軸のなす角α1は(17)式で計算できる。
Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸と車両700の走行軌跡701との距離N1は(18)式で計算できる。
また、同様に、Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸とBx軸との距離M1は(19)式で計算できる。
従って、自車700がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1は(20)式で計算できる。
なお、点線703は、基準区画線からの距離がy1で一定の位置を示す。
次に、自車700がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2を算出する。By軸上の道路の曲率半径R1,By軸からCy軸までの距離C2(自車700の車速を積分して算出する)を用いて、By軸とCy軸のなす角α2は(21)式で計算できる。
By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸と車両700の走行軌跡701との距離N2は、By軸における自律航法の道路に対する方位θ1を用いて(22)式で計算できる。
なお、自律航法の道路に対する方位θ1は、車両700がBy軸からCy軸に到達するまでに方位検出手段5により検出された方位変化量δ1を用いて(23)式で計算できる。
また、同様に、By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸とCx軸との距離M2は(24)式で計算できる。
従って、自車700がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2は(25)式で計算できる。
なお、点線704は、基準区画線からの距離がy2で一定の位置を示す。
以上説明したように、曲線路においても、座標変換しながら基準区画線までの距離を求めることが可能となる。なお、n回目の座標変換に伴う計算式は(26)式から(30)式で表すことができる。
図8は、片側2車線の右方向に旋回する道路において、自車800が左車線から右車線に点線矢印801の軌跡を描いて車線変更した場合を示す図である。
図8においては、自車800がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になったと想定している。なお、Ay軸,By軸,Cy軸は道路と垂直になす方向にとり、Ax軸,Bx軸,Cx軸はそれぞれAy軸,By軸,Cy軸と垂直になす方向(道路の接線方向)にとる。
まず、自車800がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になると、自律航法の初期化を実施する(処理511)。このとき、矢印810は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向であり、道路とのなす角がθ0であるため、このθ0を自律航法の初期方位とする。また、一番左の区画線を基準区画線に設定し、この基準区画線からの距離をyとすると、第一の軌跡の前回値から求めた基準区画線からの距離y0を自律航法の初期位置とする。なお、点線802は、基準区画線からの距離がy0で一定の位置を示す。
次に、自車800がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1を算出する。Ay軸上の道路の曲率半径R0,Ay軸からBy軸までの距離C1(自車800の車速を積分して算出する)を用いて、Ay軸とBy軸のなす角α1は(31)式で計算できる。
Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸と車両800の走行軌跡801との距離N1は(32)式で計算できる。
また、同様に、Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸とBx軸との距離M1は(33)式で計算できる。
従って、自車800がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1は(34)式で計算できる。
なお、点線803は、基準区画線からの距離がy1で一定の位置を示す。
次に、自車800がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2を算出する。By軸上の道路の曲率半径R1,By軸からCy軸までの距離C2(自車800の車速を積分して算出する)を用いて、By軸とCy軸のなす角α2は(35)式で計算できる。
By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸と車両800の走行軌跡801との距離N2は、By軸における自律航法の道路に対する方位θ1を用いて(36)式で計算できる。
なお、自律航法の道路に対する方位θ1は、車両800がBy軸からCy軸に到達するまでに方位検出手段5により検出された方位変化量δ1を用いて(37)式で計算できる。
また、同様に、By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸とCx軸との距離M2は(38)式で計算できる。
従って、自車800がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2は(39)式で計算できる。
なお、点線804は、基準区画線からの距離がy2で一定の位置を示す。
以上説明したように、曲線路においても、座標変換しながら基準区画線までの距離を求めることが可能となる。なお、n回目の座標変換に伴う計算式は(40)式から(44)式で表すことができる。
図9は、片側2車線の右方向に旋回する道路において、自車900が左車線から右車線に点線矢印901の軌跡を描いて車線変更した場合を示す図である。
図9においては、自車900がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になったと想定している。なお、Ay軸,By軸,Cy軸は道路と垂直になす方向にとり、Ax軸,Bx軸,Cx軸はそれぞれAy軸,By軸,Cy軸と垂直になす方向(道路の接線方向)にとる。
まず、自車900がAy軸に到達したときに、第一の軌跡が無効になると、自律航法の初期化を実施する(処理511)。このとき、矢印910は、進行方向推定手段7により推定された自車の進行方向であり、道路とのなす角がθ0であるため、このθ0を自律航法の初期方位とする。また、一番左の区画線を基準区画線に設定し、この基準区画線からの距離をyとすると、第一の軌跡の前回値から求めた基準区画線からの距離y0を自律航法の初期位置とする。なお、点線902は、基準区画線からの距離がy0で一定の位置を示す。
次に、自車900がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1を算出する。Ay軸上の道路の曲率半径R0,Ay軸からBy軸までの距離C1(自車900の車速を積分して算出する)を用いて、Ay軸とBy軸のなす角α1は(45)式で計算できる。
Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸と車両900の走行軌跡901との距離N1は(46)式で計算できる。
また、同様に、Ay軸とBy軸のなす角α1が十分に小さいと仮定すると、By軸上におけるAx軸とBx軸との距離M1は(47)式で計算できる。
従って、自車900がBy軸に到達したときの基準区画線からの距離y1は(48)式で計算できる。
なお、点線903は、基準区画線からの距離がy1で一定の位置を示す。
次に、自車900がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2を算出する。By軸上の道路の曲率半径R1,By軸からCy軸までの距離C2(自車900の車速を積分して算出する)を用いて、By軸とCy軸のなす角α2は(49)式で計算できる。
By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸と車両900の走行軌跡901との距離N2は、By軸における自律航法の道路に対する方位θ1を用いて(50)式で計算できる。
なお、自律航法の道路に対する方位θ1は、車両900がBy軸からCy軸に到達するまでに方位検出手段5により検出された方位変化量δ1を用いて(51)式で計算できる。
また、同様に、By軸とCy軸のなす角α2が十分に小さいと仮定すると、Cy軸上におけるBx軸とCx軸との距離M2は(52)式で計算できる。
従って、自車900がCy軸に到達したときの基準区画線からの距離y2は(53)式で計算できる。
なお、点線904は、基準区画線からの距離がy2で一定の位置を示す。
以上説明したように、曲線路においても、座標変換しながら基準区画線までの距離を求めることが可能となる。なお、n回目の座標変換に伴う計算式は(54)式から(58)式で表すことができる。
図6から図9において説明した方法では、計算周期を短くすることで演算誤差が小さくなるため、例えば、演算周期は100ms以下であることが望ましい。また、演算周期を短くするとM(n)の項が非常に小さい値となるため、M(n)の項を無視してy(n)を求める方式としてもよい。
次に、図10を用いて、車線判定装置100における車線判定処理の具体例について、所定の道路状況に当てはめて説明する。
図10は、片側2車線の右方向に旋回する道路において、自車1000が右車線から左車線に点線矢印1001の軌跡を描いて車線変更した場合を示す図である。
図10において、D1は車両中心から左に見える区画線までの距離、D2は車両中心から右に見える区画線までの距離であり、自車1000が左車線に存在する場合と右車線に存在する場合では対象となる区画線が異なる。また、一番左の区画線から自車1000までの距離をyで表す。また、Wは車線幅であり、道路形状取得手段12により取得してもよいが、D1とD2を足した値を採用してもよい。
まず、自車1000が地点Aに存在するとき、自車1000は道路に沿って平行に走行していると判定され(処理503でYES,自律航法初期化フラグ1011がON)、自律航法の初期化処理を実施する(処理504)。このとき、D2のみが有効であるため(D1は破線の切れ目のため検出できず)、D2を用いて第一の軌跡1014を算出し(処理502)、自律航法の位置をy5に、方位を第一の軌跡1014で求めた方位に設定すると、自律航法で算出した軌跡は図6から図9で説明した方法を用いると第二の軌跡1015のようになる(処理507)。ここで、車線位置1019の前回の計算値は2(右車線)であるため、y5はy1に車線幅Wを足し合わせて算出する(y5=y1+W)。更に、第一の軌跡1014が有効であるため(処理508でYES)、第三の軌跡1017に第一の軌跡1014を代入し(処理509)、自車が走行している車線を判定する(処理514)。この場合、y5>Wであるため、自車が走行している車線は車線位置1019で示すように2(右車線)となる。また、自車1000が地点Aから地点Bに達するまでは道路に沿って平行に走行していると判定(自律航法初期化フラグ1011がON)されるため、その後の処理は地点Aに存在する場合と同じである。なお、自車1000が地点Aから地点Bに達する途中でD1が有効となるが、D2のほうが連続して検出しているため、D2を優先して第一の軌跡1014を算出する。ただし、D1が所定の演算回数以上(例えば5回以上)連続して検出できた場合にはD1に切り替えて第一の軌跡1014を算出してもよい。
次に、自車1000が地点Bに到達すると、自車1000は車線変更動作を開始しているため、道路に沿って平行に走行していないと判定され(処理503でNO)、自律航法初期化フラグ1011がOFFになる。そして、自車1000が地点Cに到達するまではD1,D2がそれぞれ変化するが、第一の軌跡1014が有効であるため(処理508でYES)、第三の軌跡1017に第一の軌跡1014を代入し(処理509)、自車が走行している車線を判定する(処理514)。従って、地点AからCまでは第一の軌跡1014と第三の軌跡1017は同一である。
次に、自車1000が地点Cに到達して、D1とD2が無効になると(処理508でNO)、自律航法初期化フラグ1011がONになり第一の軌跡1014を用いて自律航法を初期化(処理511)した後に、第二の軌跡1015で第三の軌跡1017を外挿する(処理512)。更に、自車1000が地点Dに到達すると、第三の軌跡1017が車線幅Wより小さくなるため、自車が走行している車線位置1019は1(左車線)に変化する(処理514)。
次に、自車1000が地点Eに到達して、D1とD2が再び有効になると(処理508でYES)、第三の軌跡1017は第一の軌跡1014に戻すため(処理509)、第二の軌跡1015に誤差があった場合、領域1018のように第三の軌跡1017がジャンプする。
次に、自車1000が地点Fに到達すると、自車1000は道路に沿って平行に走行していると判定され(処理503でYES)、自律航法初期化フラグ1011が再びONになり、自律航法を初期化する(処理504)。このとき第二の軌跡1015に誤差があった場合、領域1016のように第二の軌跡1015がジャンプする。
その後、自車1000が地点Gに到達するまでは自車1000は道路に沿って平行に走行していると判定(自律航法初期化フラグ311がON)される。
以上説明したように、自車から区画線までの距離と道路形状を考慮した自律航法を組合せることで、正確な走行軌跡を途切れなく描くことが可能となり、自車の走行車線を迅速且つ正確に判定することが出来る。
なお、図10においては、片側2車線道路における例を示したが、車線数は3車線以上でも適用可能であり、左車線から右車線への車線変更の際にも適用できることは言うまでもない。
また、合流や分岐の前後においては、区画線の種別が変則的になる場合が多いため、処理513による線種判別に基づく車線判定処理は実施しないことが望ましい。具体的には、合流や分岐の前後の所定距離間(例えば200m)は処理513は実施しない。ただし、道路形状取得手段12により合流や分岐の前後における区画線の種別が取得できている場合はこの限りではない。
次に、図11を用いて、車線判定装置100における情報報知処理の具体例について説明する。
図11(a)は、自車が片側3車線道路を走行している際に、画面1100に道路1101上を走行する自車のカーマーク1102を表示し、更に、自車がどの車線を走行しているかを示すインジケータ1103を表示している場合を示す図である。
インジケータ1103は、自車が片側3車線道路のどの車線を走行しているかを示しており、車線判定処理514の処理結果に基づいて自車のカーマーク1104を表示する。この場合、車線判定処理514により自車が第2車線(左から2車線目)を走行中であると判定されたため、自車のカーマーク1104を第2車線に表示している。
同様に、図11(b)は、自車が片側3車線道路を走行している際に、画面1110に道路1111上を走行する自車のカーマーク1112を表示し、更に、自車がどの車線を走行しているかを示すインジケータ1113を表示している場合を示す図である。
インジケータ1113は、自車が片側3車線道路のどの車線を走行しているかを示しており、車線判定処理514の処理結果に基づいて自車の走行している車線をハッチング1114として表示する。この場合、車線判定処理514により自車が第2車線(左から2車線目)を走行中であると判定されたため、ハッチング1114を第2車線に表示している。
また、インジケータ1103およびインジケータ1113は、区画線認識手段2による認識結果や第三の軌跡算出手段9の算出結果に基づいて表示する/表示しないを切り替える。具体的には、所定時間以上(例えば5秒以上)区画線認識手段2により区画線が認識できなかった場合や、所定時間以上(例えば5秒以上)区画線の上(各車線の境界上)を走行した場合はインジケータの表示を中止する。前者は、区画線認識手段2により区画線が認識できないと自律航法のみで第三の軌跡を算出し続けることになり、自律航法の誤差が拡大するためにインジケータの表示を中止する。後者は、区画線の上(各車線の境界上)を走行中の場合には車線位置が左右にハンチングする可能性が高いため、インジケータの表示を中止する。
なお、インジケータ1103およびインジケータ1113においては、自車の現在の走行車線を自車のカーマーク1104やハッチング1114で表示するのではなく、ナビゲーションの経路案内に基づいてこの先の分岐や交差点などを通過する際に最も適した車線を自車のカーマーク1104やハッチング1114を点滅表示するなどして乗員に報知する方式としてもよい。例えば、片側3車線の高速道路を走行中に、この先に左に分岐する道路があり、ナビゲーションによる経路案内も左に分岐している場合、インジケータ1113の第1車線(一番左の車線)をハッチング1114で点滅表示する。これにより、乗員は事前に適した走行車線を知ることができるため、安心感が向上する。
また、上記を実現するためには、ナビゲーションの経路案内を開始する際に、あらかじめ適切な車線位置も含めて誘導経路を作成することが望ましく、更には、VICS(道路交通情報通信システム)などから交通情報を取得して、交通渋滞や工事による車線規制にも対応して車線位置を含めた誘導経路を作成することが望ましい。
以上説明したように、画面を用いて乗員に情報を報知することで、乗員の安心感や快適性を向上することができる。
以上のように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の様態で実施することができる。
以上によれば、片側複数車線道路に設置された区画線を検出して、この区画線と自車との相対関係及び道路形状を考慮した自律航法により算出した自車の走行軌跡に基づいて自車が走行している車線を判定しているので、走行車線を判定するまでに必要な走行距離を特許文献2の方法より短くすることができ、走行距離に応じて累積される誤差を小さくすることができる。更に、区画線が検出できない場合にも、道路形状を考慮した自律航法により自車の走行軌跡を補間することで、特許文献3の方法では実現できなかったカーブなどの曲線路で車線変更する場合の車線判定が可能となる。従って、正確な車線判定が可能なため、ナビゲーションシステムによる高度な経路誘導が可能になる。