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JP4843850B2 - 中空ポリマー粒子の製造方法 - Google Patents

中空ポリマー粒子の製造方法 Download PDF

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JP4843850B2 JP2001044547A JP2001044547A JP4843850B2 JP 4843850 B2 JP4843850 B2 JP 4843850B2 JP 2001044547 A JP2001044547 A JP 2001044547A JP 2001044547 A JP2001044547 A JP 2001044547A JP 4843850 B2 JP4843850 B2 JP 4843850B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、中空ポリマー粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは、隠蔽性、光沢、塗膜強度、耐水性、耐アルカリ性、耐候性、耐熱性等をバランス良く備えるとともに、粒子径が均一で、かつ空孔率の高い中空ポリマー粒子、特に、紙、繊維、皮革等のコーティング、塗料等の用途における光散乱剤又は光散乱助剤として有用な中空ポリマー粒子を、効率良く製造することが可能な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
中空ポリマー粒子(内部に単一の閉鎖空孔を有するポリマー粒子)は、例えば、その空孔に各種の物質を充填させた有機系マイクロカプセル粒子として、また粒子を空孔化にすることよって生じる光散乱性を利用した有機系光散乱剤や有機系光散乱助剤等として、紙、繊維、皮革等のコーティング、塗料等の分野で従来から広く用いられている。
このような中空ポリマー粒子を製造する方法としては、例えば、少なくとも1個のカルボン酸基を含むモノマーシステムを乳化重合したコアと、異なったモノマーシステム(少なくとも1個のモノマーは、硬質で、Tgが25℃を超え、20℃で皮膜を形成せず、かつアンモニア及びアミンに対して浸透可能なポリマーを生成するもの)から重合したシェルとを有し、コアをアンモニア又はアミンで中和することにより膨潤させ、さらに乾燥させて単一の空孔をコア内に形成させる方法が開示されている(特公平3−7688号公報及び特公平3−9124号公報等)。
【0003】
しかしながら、これらの方法は、空孔をコア内に形成させる条件のコントロールが煩雑かつ困難であり、所望の空孔を有するポリマー粒子を高収率で製造することが困難であった。また、これらの方法で得られる粒子は、コーティング、塗料等の分野で要請される諸特性のうち、その一部である隠蔽性、光沢、塗膜強度、白色度等に一定の改良は認められるものの、主要な要請特性(隠蔽性、光沢、塗膜強度、白色度、耐水性、耐アルカリ性、耐候性、耐熱性等)のバランスの面で必ずしも十分に満足し得るものではない。さらには、コアをアンモニアあるいはアミンで中和膨潤する際、シェルを構成するポリマーのTgより高い温度でおこなわなくては十分な中空率が得られず工程に高温高圧環境が要求される。それ故、シェルを高Tg化、高分子化、あるいは架橋させることは困難であり、機械的な圧力、衝撃が必要な用途や耐熱性、耐油性、耐薬品性が必要な用途に適さないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたもので、隠蔽性、光沢、塗膜強度、耐水性、耐アルカリ性、耐候性、耐熱性、耐油性、耐薬品性等をバランス良く備えるとともに、粒子径が均一で、かつ空孔率の高い中空ポリマー粒子、特に、紙、繊維、皮革等のコーティング、塗料等の用途における光散乱剤又は光散乱助剤として有用な中空ポリマー粒子を、常圧で比較的低温で効率良く製造することが可能な方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明によれば、下記の中空ポリマー粒子の製造方法並びにその方法で得られる中空ポリマー粒子を用いた紙塗工用組成物及びコーティング用組成物が提供される。
【0006】
[1]不飽和カルボン酸(a−1)5〜80重量%および(a−1)と共重合可能な他のラジカル重合性モノマー(a−2)20〜95重量%からなるモノマー(a)を乳化重合させてポリマー粒子(A)を得、
得られたポリマー粒子(A)5〜1000重量部の存在下で、不飽和カルボン酸(b−1)0〜20重量%および(b−1)と共重合可能な他のラジカル重合性モノマー(b−2)80〜100重量%からなるモノマー(b)100重量部を、はじめに前記ラジカル重合性モノマー(b−2)のみを用いて重合を行い、前記モノマー(b)総量の25重量%の重合が終了した後に、前記不飽和カルボン酸(b−1)を共用して乳化重合させて、ポリマー粒子(A)の表層をモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーを含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(B)を得、
得られたポリマー粒子(B)の分散体のpHを揮発性塩基によって7以上に調整し、そのポリマー粒子(B)を中和膨潤させたのち、モノマー(b)の未反応モノマーを重合させて中空ポリマー粒子(C)を得ることを特徴とする中空ポリマー粒子の製造方法。
【0007】
[2]前記ポリマー粒子(B)のシェル層においてモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーの重量比率が99:1〜50:50である前記[1]に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
【0009】
[3]前記ラジカル重合性モノマー(b−2)が不飽和カルボン酸エステルおよびモノエチレン性芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種である前記[1]に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
【0011】
[4]前記ラジカル重合性モノマー(b−2)中に架橋性ラジカル重合性モノマーを含有する前記[1]に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
【0012】
[5]前記ポリマー粒子(B)を中和膨潤させる際の分散体の温度を、中空粒子(C)の殻を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)以下とする前記[1]に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
【0014】
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法で得られる中空ポリマー粒子。
[7]前記[6]記載の中空ポリマー粒子0.1〜100重量部に対し、顔料及び/又はバインダーを0〜99.9重量部含有することを特徴とする紙塗工用組成物。
【0015】
[8]前記[6]記載の中空ポリマー粒子0.1〜100重量部に対し、顔料及び/又はバインダーを0〜99.9重量部を含有することを特徴とするコーティング用組成物。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、具体的に説明する。
【0017】
1.中空ポリマー粒子の製造方法
本発明の中空ポリマー粒子の製造方法は、特定のモノマー(a)を水性媒体中で乳化重合させてポリマー粒子(A)を調製し、次いで、ポリマー粒子(A)の表層をモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーを含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(B)を調製し、次いで、ポリマー粒子(B)の分散体のpHを揮発性塩基によって7以上に調整し、ポリマー粒子(B)を中和膨潤させて、中空ポリマー粒子(C)を得ることを特徴とする。
以下、本発明の製造方法を各工程ごとに具体的に説明する。
【0018】
(1)ポリマー粒子(A)の調製
本発明においては、まず、不飽和カルボン酸(a−1)(以下、「モノマー(a−1)」ということがある)及びラジカル重合性モノマー(a−2)(以下、「モノマー(a−2)」ということがある)からなるモノマー(a)を水性媒体中で乳化重合させることによってポリマー粒子(A)を調製する。
【0019】
モノマー(a−1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等のモノ又はジカルボン酸、前記ジカルボン酸の酸無水物を挙げることができる。中でも、粒子の安定性の観点から、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等が好ましく、中でも、メタアクリル酸がさらに好ましい。
これらは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
【0020】
モノマー(a−2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、 N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。中でも、不飽和カルボン酸エステルが好ましく、特に、モノマー(a−2)の50重量%以上が、不飽和カルボン酸エステルであることが好ましい。不飽和カルボン酸エステルが、モノマー(a−2)の50重量%未満であると、中空粒子がいびつな形になり、中空率が上がらない。
また、ブタジエン、イソプレン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の架橋性モノマーを用いることができ、その好ましい配合量は、モノマー(a)の合計の0〜5重量%であり、さらに好ましくは0.2〜2重量%である。架橋性モノマーの割合が、モノマー(a)の50重量%より多いと、揮発性塩基での膨潤が十分でなくなり、中空率が低くなり隠蔽性、白色度、光沢等の特性が不十分なものとなり好ましくない。
【0021】
モノマー(a)におけるモノマー(a−1)及びモノマー(a−2)の配合量は、モノマー(a−1)5〜80重量%及びモノマー(a−2)20〜95重量%、好ましくは、モノマー(a−1)10〜60重量%及びモノマー(a−2)40〜90重量%、さらに好ましくは、モノマー(a−1)20〜50重量%及びモノマー(a−2)50〜80重量%である。
モノマー(a−1)の割合が、5重量%未満であると、揮発性塩基での膨潤性が十分でなく、中空率が低くなり隠蔽性、白色度、光沢等の特性が不十分なものとなり好ましくない。モノマー(a−1)の割合が、80重量%を超えると、粒子(A)の重合安定性が低下し、表層にモノマー(b)由来のポリマーを均一に被覆させることが困難になり、中空粒子の形状がいびつになるので好ましくない。
【0022】
上記モノマー(a)を水性媒体中で乳化重合させる方法については、特に制限はなく、例えば、モノマーを一括添加して重合してもよく、また、連続的に添加して重合してもよいが、均一な粒径の粒子を安定性よく得るためには後者が好ましい。またポリマー粒子(A)の調製は、1段の重合で行ってもよく、2段以上の多段階の重合で行ってもよい。さらには、シード粒子の存在化にモノマー(a)をシード乳化重合させてもよく、特にシード粒子としてはモノマー(a)とSP値(溶解度パラメーター)が近いものが均一な粒径の粒子を安定性よく得るために好ましい。
乳化剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、有機懸濁保護剤等を挙げることができ、中でも、粒子の安定性の点でアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、有機懸濁保護剤が好ましい。
これらの乳化剤は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる
【0023】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ロジン酸カリウム、ロジン酸ナトリウム等のロジン酸塩、オレイン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等の脂肪酸のナトリウム塩又はカリウム塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族アルコールの硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリルスルホン酸等を挙げることができる。
【0024】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールのアルキルエステル、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル等を挙げることができる。
【0025】
有機懸濁保護剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等の親水性合成高分子物質、ゼラチン、水溶性でんぷん等の天然親水性高分子物質、カルボキシメチルセルロース等の親水性半合成高分子物質等を挙げることができる。
【0026】
重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等で代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸処方/スルホキシレート処方の混合系処方、ホルムアルデヒド樹脂処方等で代表される還元剤との組合せによるレドックス系の開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等を挙げることができ、中でも、粒子の安定性及び粒径の均一性の点で過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイドが好ましい。また、必要に応じて還元剤を組み合せて用いることもできる。
【0027】
重合温度は、好ましくは5〜95℃、さらに好ましくは50〜90℃である。5℃未満であると、不飽和カルボン酸の反応性が低く、粒子が不安定になることがあり、95℃を超えると、粒子が不安定になることがある。
【0028】
以上により得られるポリマー粒子(A)は、アルカリ膨潤性のコア粒子となるものであり、ポリマー粒子(A)の粒子径としては、好ましくは0.1〜2μm、さらに好ましくは0.2〜2μmである。
【0029】
(2)ポリマー粒子(B)の調製
本発明においては、ポリマー粒子(A)を調製した後に、ポリマー粒子(A)5〜1000重量部の存在下で、不飽和カルボン酸(b−1)(以下、「モノマー(b−1)」ということがある)0〜20重量%及びラジカル重合性モノマー(b−2)(以下、「モノマー(b−2)」ということがある)80〜100重量%からなるモノマー(b)100重量部を乳化重合させて、ポリマー粒子(A)の表層にモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーを含むシェル層を被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(B)を調製する。
【0030】
モノマー(b−1)としては、前述したモノマー(a−1)の例として示した不飽和カルボン酸と同じものを用いることができ、中でも、粒子の安定性の観点から、(メタ)アクリル酸、イタコン酸等が好ましい。
モノマー(b−2)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のモノエチレン性芳香族化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの非架橋性ラジカル重合性モノマーを用いることができる。さらにはジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン、ブタジエン、イソプレン、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等の架橋性ラジカル重合性モノマーを用いることもできる。中でも、スチレン等のモノエチレン性芳香族化合物が好ましく、特に、モノマー(b−2)総量の50重量%以上が、スチレン等のモノエチレン性芳香族化合物であることが好ましい。モノエチレン性芳香族化合物が、50重量%未満であると、ポリマーの屈折率が低下し、白色度、不透明度、光沢が不十分になることがある。また架橋性ラジカル重合性モノマーを(b−2)の一部として添加することは、最終的に得られた中空粒子の形状を熱や機械的ストレスあるいは溶剤、薬品による膨潤、分解等に対して保持させる上で好ましく、特にジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。その好ましい配合量はモノマー(b−2)総量の0〜50重量%で、さらに好ましくは0.1〜30重量%である。架橋性ラジカル重合性モノマーが50重量%を超えると、中空率が不十分になり好ましくない。
【0031】
モノマー(b)におけるモノマー(b−1)及びモノマー(b−2)の配合量は、モノマー(b−1)0〜20重量%及びモノマー(b −2)80〜100重量%、好ましくは、モノマー(b−1)0.1〜10重量%及びモノマー(b−2)90〜99.9重量%、さらに好ましくは、モノマー(b−1)0.2〜5重量%及びモノマー(b−2)95〜99.8重量%である。モノマー(b−1)の割合が、20重量%を超えると、重合安定性が著しく悪くなり、また、揮発性塩基処理及び加熱処理後のポリマー粒子が、変形して空孔率が低下する。
【0032】
本発明においては、前述のように、ポリマー粒子(A)5〜1000重量部、好ましくは、7〜100重量部、さらに好ましくは、10〜50重量部の存在下で、モノマー混合物(b)100重量部を乳化重合させて、ポリマー粒子(A)の表層にモノマー混合物(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーを含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(B)を調製する。
ポリマー粒子(A)が、5重量部未満であると、最終目的物である中空ポリマー粒子(C)の空孔形成が不十分となり、塗膜としたときに隠蔽性、白色度、光沢等の特性が劣ったものとなる。ポリマー粒子(A)が、1000重量部を超えると、重合安定性が悪くなり、また、揮発性塩基処理及び加熱処理後のポリマー粒子が、破裂、変形してつぶれてしまい、空孔率が低下する。
【0033】
モノマー(b)を乳化重合する方法としては特に制限はなく、前述したポリマー粒子(A)で示した例と同じ方法を用いることができる。
この場合、シェルの被覆構造を完全にするためには、モノマー(b)の一部あるいは全部を最初に一括仕込みで乳化重合させるのが好ましい。
その際、最初に一括仕込みで乳化重合させるモノマー(b)とポリマー粒子(A)の重量比率は10:1〜1:10が好ましく、さらには5:1〜1:5が特に好ましい。上記比率が10:1以上だと重合安定性に問題を生じる。また1:10以下だと、ポリマー粒子(A)の被覆が十分でなく中空粒子がいびつになり中空率が低下する。
さらには最初に一括仕込みで乳化重合させるモノマー(b)は、スチレン等のモノエチレン性芳香族化合物およびメチル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸エステルが特に好ましい。
また最初にモノマー(b−2)のみで重合を行い、モノマー(b)総量の25重量%程度の重合が終了した後に、モノマー(b−1)を共用して重合させることが中空粒子の中空率を上げるためには好ましい。
またポリマー粒子(B)のシェル層においてモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーの重量比率が99:1〜50:50であることが好ましい。さらには97:3〜80:20が好ましい。上記比率が99:1以上だと揮発性塩基による中和時に温度を高くしなくては中空率を高くすることができず好ましくない。また50:50以下だと中和膨潤時の温度、PHコントロールが難しく、様態が悪化しやすく、中空粒子がいびつに変形して好ましくない。
【0034】
以上により得られるポリマー粒子(B)は、モノマー(b)に由来するポリマー層のうち少なくとも1層はガラス転移温度(Tg)が50℃以上であることが、白色度、不透明度、光沢の向上の点から好ましい。
また、ポリマー粒子(B)の粒子径は、好ましくは0.15〜4μm、さらに好ましくは0.25〜3μmである。
【0035】
(5)中空ポリマー粒子(C)の調製
本発明においては、前工程で調製したコアシェル状のポリマー粒子(B)の分散体のPHをアンモニア、アミン等の揮発性塩基によって7以上に調整し中和膨潤させ、また、必要に応じて加温し、さらにはモノマー(b)の未反応モノマーを重合することによって、中空ポリマー粒子(C)を調製する。
【0036】
モノマー(b)に由来するポリマーは、揮発性塩基が浸透し得るため、揮発性塩基の添加によって、ポリマー粒子(A)成分が中和される。これに伴い、ポリマー粒子(A)成分が著しく吸水して、コアシェル状のポリマー粒子(A)は、内部に空孔を有する中空ポリマー粒子(C)となる。生成した粒子(C)は水分散体では粒子内部の空孔に水を含有している。この含水粒子を乾燥させることによって、分散媒である水が揮発するとともに粒子内部の水も揮発して中空となる。
なお、紙塗工用組成物や、コーティング組成物等の、水性媒体を主体とする塗料等の用途に用いる場合には、内部に水性媒体を含有するポリマー粒子水分散体(含水粒子)の状態のまま用いることができる。この場合、含水粒子は、塗料等の乾燥時に水が揮発して中空となる。
【0037】
ポリマー粒子(B)を中和膨潤させる際の分散体の温度は、ポリマー粒子(B)のシェル層におけるモノマー(b)の未反応モノマー量にもよるが、最終的な中空粒子(C)の殻を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)以下とするのが好ましい。それ以上の温度で中和膨潤すると中のコアがシェルを破って外に飛び出し、中空率が低下する可能性がある。
【0038】
ポリマー粒子(B)を中和膨潤させたあとシェル層に存在するモノマー(b)の未反応モノマーを十分重合させる必要がある。最終的なモノマー(b)の分散体中の濃度は3000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がさらに好ましく、300ppm以下が特に好ましい。分散体中に3000ppm以上のモノマー(b)が存在すると中空粒子(C)の殻の剛性が不十分になり乾燥後の中空粒子が変形し好ましくない。
【0039】
中和膨潤後のポリマー粒子(B)のシェル層に存在するモノマー(b)の未反応モノマーを十分重合させるために重合開始剤や重合開始助剤、還元剤等を加えてもよい。重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等で代表される有機ハイドロパーオキサイド類と含糖ピロリン酸処方、スルホキシレート処方、含糖ピロリン酸処方/スルホキシレート処方の混合系処方、ホルムアルデヒド樹脂処方等で代表される還元剤との組合せによるレドックス系の開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等を挙げることができ、中でも、高い反応性を有している点からt−ブチルハイドロパーオキサイドとホルムアルデヒド樹脂の組み合わせた系が好ましい。
【0040】
ポリマー粒子(B)を中和膨潤させたあとに、新たにラジカル重合性モノマーを添加し、重合させ中空粒子(C)の殻の一部にすることも可能である。その場合、前記の開始剤系を加えるのが好ましい。
【0041】
ポリマー粒子を乾燥させて粉末状の中空ポリマー粒子を得る方法としては特に制限はないが、例えば、噴霧乾燥法(135〜155℃)、熱風乾燥機を用いたトレイ乾燥法(50〜70℃)及び流動床乾燥法(常温〜70℃)等を挙げることができる。
【0042】
本発明では、以上の製造工程により、粒子径が、0.2〜8μmで、かつ、単一の空孔を有し、容積空孔率が、20〜90%の中空ポリマー粒子(C)を得ることができる。
【0043】
2.紙塗工用組成物及びコーティング用組成物
本発明の紙塗工用組成物及びコーティング用組成物は、前述の方法で得られる中空ポリマー粒子(C)0.1〜100重量%、並びに顔料及び/又はバインダー0〜99重量%を含有することを特徴とする。
【0044】
前述の方法で得られる中空ポリマー粒子(C)を、紙塗工用組成物の顔料の一部として使用することで隠蔽性、白色度、光沢、表面強度等の物性バランスが優れた塗工紙を得ることができる。
【0045】
本発明の紙塗工用組成物及びコーティング用組成物には、顔料及び/又はバインダーを含有させることができる。
【0046】
顔料としては、有機系の顔料、無機系の顔料を挙げることができる。
無機系の顔料としては、例えば、カオリンクレー、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン(ルチル、アナターゼ)、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、サチンホワイト等を挙げることができる。
有機系の顔料としては、スチレン系、スチレン/ブタジエン系、スチレン/アクリル系、中実プラスチックピグメント、尿素樹脂粒子等を挙げることができる。
【0047】
また、バインダー(結合剤)としては、例えば、デンプン、変性デンプン、カゼイン等の天然バインダー、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル系重合体エマルジョン、ポリクロロプレンラテックス、ポリビニルアルコール等の合成バインダーを挙げることができ、これらのバインダーは、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。
中でも、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、特に、カルボキシ変性スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを単独で又はデンプン、カゼイン等の天然バインダーと組合せて用いることが好ましい。
バインダーの配合量は、好ましくは、顔料及び中空ポリマー粒子(C)の合計100重量部に対して3〜30重量部、さらに好ましくは、5〜25重量部である。バインダーの配合量が3重量部未満であると、バインダーとしての効果が得られないことがあり、30重量部を超えると紙塗工用組成物又はコーティング用組成物の粘度が上昇して塗工作業性が劣ることがある。
【0048】
本発明の紙塗工用組成物及びコーティング用組成物には、必要に応じて、各種添加剤を添加することができ、例えば、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリカルボン酸ナトリウム等の顔料分散剤;ポリグリコール脂肪酸エステル、リン酸エステル、シリコンオイル等の消泡剤;ポリアミド等の耐水化剤、ステアリン酸カルシウム等の潤滑剤等を挙げることができる。
【0049】
本発明の紙塗工用組成物及びコーティング用組成物においては、中空ポリマー粒子(C)を0.1〜100重量%、顔料及び/又はバインダーを0〜99.9重量%、好ましくは、中空ポリマー粒子(C)を1〜95重量%、顔料及び/又はバインダーを5〜99重量%含有する。中空ポリマー粒子(C)が0.1重量%未満であると、白色度、不透明度、光沢等の特性が不十分となる。
【0050】
原紙への紙被覆用組成物の塗工方法としては、例えば、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーター等を挙げることができる。
【0051】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらによっていかなる制限を受けるものではない。
なお、以下の記載において「部」及び「%」は、特別に規定しない限り重量部および重量%を示す。
また、実施例及び比較例における重合は、すべて窒素ガス雰囲気下において行った。また、ポリマー粒子の粒子径及び空孔直径は、電子顕微鏡による観察において無作為に抽出した100個の粒子の測定結果の平均値である。
【0052】
[シード粒子の水性分散体の調製] シード粒子の水性分散体の調製例を以下に示す。
シード粒子の調製例
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水109.5部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(花王(株)製 商品名:F65)0.2部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。
その一方で、メタクリル酸メチル90部、メタクリル酸10部、分子量調整剤としてオクチルチオグリコレート0.5部、乳化剤(花王(株)製 商品名:F65)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。
このモノマー混合物の水性分散体の20%を前記反応容器に投入し、反応容器内の液を攪拌しながら温度75℃まで昇温して1時間重合反応を行い、その後温度を75℃に保ちながら残りのモノマー混合物の水性分散体を連続的に2時間かけて反応容器に添加し、さらに、2時間熟成を行い、固形分40%、粒子径200nm、重量平均分子量70,000のシード粒子の水性分散体を得た。
【0053】
[ポリマー粒子Aの水性分散体の調製]
ポリマー粒子Aの水性分散体の調製例を以下の製造例1〜14に示す。
製造例1
容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水186部を投入し、これに前記シード粒子の調製例で調製したシード粒子の水性分散体を固形分で10部(水性分散体で25部)、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.5部を投入した。
その一方で、メタクリル酸メチル69.5部、メタクリル酸30部、ジビニルベンゼン0.5部(純度55%)、乳化剤(花王(株)製 商品名:F65)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマー混合物の水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持し、上記モノマー混合物の水性分散体を反応容器に連続的に3時間かけて投入した。その後、さらに2時間熟成を行ない、固形分31%、粒子径410nmのポリマー粒子A−1の水性分散体を得た。
【0054】
製造例2〜5
配合量、モノマー成分を表1に示すように変えたこと以外はポリマー粒子A−1の分散体と同様に重合を行い、ポリマー粒子A−2〜5の分散体を得た。
【0055】
【表1】
Figure 0004843850
【0056】
表1中、重合安定性は、下記を意味する。
重合安定性:反応容器・攪拌翼への凝集物付着状態により、下記〇、△及び×で判定した。
○:付着物極少量
△:付着物やや多い
×:付着物非常に多い
【0057】
[中空ポリマー粒子(B)の調製]
本発明の中空ポリマー粒子(B)の調製例を以下の実施例1〜11及び調製比較例を比較例1〜5に示す。
【0058】
実施例1 容量2リットルの反応容器に、予め、媒体として水240部を投入し、これに前述のように調製したポリマー粒子A−1の水性分散体を固形分で15部(水性分散体で48.4部)、スチレン20部、重合開始剤として過硫酸ナトリウム0.4部を投入した。
その一方で、スチレン69.5部、乳化剤(花王(株)製 商品名:F65)0.1部及び水40部を混合攪拌してモノマーの水性分散体を調製した。
次に、反応容器内の液を攪拌しながら温度80℃まで昇温、保持して30分間でスチレンの重合を行い、ポリマー粒子A−1にスチレンが複合したポリマー粒子を得た、続けてこの反応容器内の液を攪拌しながら80℃に保持して上記モノマーの水性分散体を反応容器に連続的に4時間かけて投入した。この際、モノマーの水性分散体を投入開始後2時間経過時に、アクリル酸0.5部を反応容器に一括投入してスチレンと共重合させた。
さらに上記モノマーの水性分散体をすべて反応容器に投入した直後に、ジビニルベンゼン5部、スチレン5部を一括投入し、ポリマー粒子A−1の表層にスチレン、アクリル酸、ジビニルベンゼンを重合・積層させたコアシェル状のポリマー粒子B−1を得た。
すべてのモノマーの投入終およそ15分後に攪拌しながら25%水酸化アンモニウムを5部を一括投入して、温度を90℃に上げ、2時間攪拌熟成した。25%水酸化アンモニウム投入直前の(b)の未反応モノマーの(b)全体に対する重量比率は7%であった。
その後、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.3部とホルムアルデヒド樹脂0.1部を投入し、そのまま1時間攪拌放置して、固形分26.5%、粒子径1050nm、内径860nm、容積空孔率55%の単一の空孔を有する球状の中空ポリマー粒子C−1の水性分散体を得た。
【0059】
実施例2〜11、比較例1〜5
ポリマー粒子Aの種類、配合量及びモノマー(b)、PHアップ時における(b)の未反応モノマー重量比率、PHアップ後の熱処理温度を表2に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にして、中空ポリマー粒子Cの例である中空ポリマー粒子C−1〜11を調整した。また中空ポリマー粒子Cの範囲外の例である中空ポリマー粒子C’−1〜5は実施例1に準じて調製したが、表3および以下の[比較例の詳細な説明]の中に記述している部分を変更し調整した。
【0060】
【表2】
Figure 0004843850
【0061】
表2中、重合安定性は、下記を意味する。
重合安定性:反応容器・攪拌翼への凝集物付着状態により、下記〇、△及び×で判定した。
○:付着物極少量
△:付着物やや多い
×:付着物非常に多い
また、B-3及びB-11のPHアップ・加熱処理は増粘が著しいため、固形分18%に希釈して行った。
【0062】
【表3】
Figure 0004843850
【0063】
表3中、重合安定性は、下記を意味する。
重合安定性:反応容器・攪拌翼への凝集物付着状態により、下記〇、△及び×で判定した。
○:付着物極少量
△:付着物やや多い
×:付着物非常に多い
【0064】
実施例2〜11における中空ポリマー粒子C−2〜11は、いずれも空孔率が良好な単一空孔を有する球状中空粒子であった。また、各重合時の重合安定性、及び収率が、ともに良好であった。
【0065】
[比較例の詳細な説明]
比較例1は、ポリマー粒子(B)のPHアップ時における(b)の未反応モノマー(b)全体に対する重量比率%が1%未満であった場合で(b)をすべて添加してから2時間後にPHアップした例である。モノマー(b)の重合転化率が99%を超えた後、PHアップすると十分な中空率が得られなかった。
【0066】
比較例2は、ポリマー粒子(B)のPHアップ時における(b)の未反応モノマー重量比率%が50%を超えた場合で、(b)をすべて添加した直後にPHアップした例である。重合温度は75℃でおこなった。モノマー(b)の重合転化率が50%未満でPHアップするとコア部の膨潤圧力によりシェル層が破壊され粒子が破裂し、中空ラテックスにならなかった。
【0067】
比較例3は、モノマー(b−2)の最初の一括仕込みモノマーをポリマー粒子(A)に対し1/10以下にした例であり、ポリマー粒子(B)においてコアがかたよった構造をとる。その状態でPHアップすると中空ラテックス(C)の殻が均一にならず、乾燥後に殻が凹み、椀状粒子になってしまう。
【0068】
比較例4は、ポリマー粒子(A)の使用量がモノマー(b)100部に対し5部以下である例で、膨潤コアが少なすぎ、十分な中空率を得られなかった。
【0069】
比較例5は、ポリマー粒子(B)を中和膨潤させる際の分散体の温度を、中空粒子(C)の殻を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)より高くした例であり、コア部の膨潤圧力によりシェル層が破壊され粒子が破裂し、中空ラテックスにならなかった。
[紙塗工用組成物への適用例]
上記実施例1〜11において得られた中空ポリマー粒子C−1〜11を用いて、以下の(1)に示す配合処方で紙塗工用組成物(配合例1〜11)を調製した。また、比較例1〜5において得られた粒子C’−1〜5及び中実のプラスチックピグメント(JSR(株)製 商品名:JSR0640)及び実施例1で得られた粒子C−1を用いて、比較配合例1〜6を調製した。また、この紙塗工用組成物を評価するため、(2)に示す塗工条件で塗工紙を作成し、得られた塗工紙について(3)に示す方法で評価を行った。
【0070】
(1)紙塗工用組成物の配合処方(配合例1〜20及び比較配合例1〜14)
分散剤(東亜合成化学工業(株)製 商品名:アロンT−40)0.05重量%、水酸化ナトリウム0.2重量%を水に溶解し、コーレス分散機で攪拌しながら表4、5に示す無機系顔料を添加した。
30分間攪拌した後、さらに表4、5に示すポリマー粒子(配合例1〜11の場合:C−1〜11、並びに比較配合例1〜6の場合:C’−1〜5、JSR0640、C−1)を表4、5に示す量、接着剤としての共重合体ラテックス(JSR(株)製 商品名:JSR0619)を10重量%(固形分)及びスターチ(日本食品(株)製 商品名:MS−4600)3重量%(固形分)添加し、全固形分が62重量%になるように水を加え、紙塗工用組成物を配合処方した。
なお、比較配合例14の場合、中空ポリマー粒子C−1の配合量は0.08重量%(固形分)とした。
【0071】
(2)塗工紙の作成
市販の上質紙(坪量72g/m2)に、上記の紙塗工用組成物を乾燥後の塗工量が15g/m2(片面)となるようにロッドバーで塗工し、150℃のギヤオーブンで5秒間乾燥した。得られた片面塗工紙をラボスーパーカレンダー(由利ロール(株)製)をロール表面温度40℃、線圧10N/mで2回通し、光沢のある塗工紙を得た。
【0072】
(3)塗工紙の評価方法
上記で得られた塗工紙について、下記の方法で評価をした。結果を、表4、5に示す。
▲1▼ドライピック強度
RI型印刷機を使用し、タックNo.9のインキで数回重ね刷りを行い、印刷面のピッキング状態を肉眼で判定した(5点満点で数値が大きいほうが良好)。
▲2▼ウェットピック強度
RI型印刷機を使用し、モルトンロールで試験片上に給水を行った後に1回印刷を行い、印刷面のピッキング状態を肉眼で判定した(5点満点で数値の大きいほうが良好)。
▲3▼白紙光沢
未印刷塗工紙を村山式光沢計を用い、入射角75度,反射角75度で測定した。数値の大きい方が、良好である。
▲4▼白色度
ハンター比色、白色度計を用いてブルーフィルターによって測定する。数値の大きい方が、良好である。
▲5▼不透明度
ハンター比色、白色度計を用いてグリーンフィルターで測定する。数値の大きい方が、良好である
▲6▼ 耐熱性
サンプルをラボグロスカレンダー(由利ロール(株)製)をもちいて、ロール表面温度180℃、線圧3N/mで1回通した後、▲5▼と同様に不透明度を求め、▲5▼で求めた不透明度との差をデータにした。小さい方が良好である。
▲7▼ 王研式透気平滑度
王研式透気平滑度計を用いてサンプルの平滑度を求めた。大きい方が良好である。
【0073】
【表4】
Figure 0004843850
【0074】
*1:EMC社製 商品名:UW−90
*2:Huer社製 商品名:HS
*3:ECC社製 商品名:カルピタール90
【0075】
【表5】
Figure 0004843850
【0076】
*1:EMC社製 商品名:UW−90
*2:Huer社製 商品名:HS
*3:ECC社製 商品名:カルピタール90
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、塗工性が優れ、かつ塗膜の特性、例えば、隠蔽性、白色度、不透明度、光沢、塗膜強度、耐水性、耐アルカリ性、耐候性、耐熱性、耐薬品性等をバランス良く備えるとともに、粒子径が均一で、かつ空孔率の高い中空ポリマー粒子、特に、紙、繊維、皮革等のコーティング、塗料等の用途における光散乱剤又は光散乱助剤として有用な中空ポリマー粒子を、効率良く製造することが可能な方法を提供することができる。
本発明のポリマー粒子は、上記の他にも種々の用途に用いることができ、例えば、塗料、インキ、繊維・皮革処理剤、インクジェット紙の吸収性充填剤、製紙工程の内添充填剤、修正インキ、修正リボン用の高隠蔽性顔料、マイクロカプセル材料又は電子写真に用いられるトナーの中間材料としても有用である。
また、感熱プリンター用紙、熱転写プリンター用紙や感熱紙の感熱層下塗りの断熱層等、空気による断熱特性を利用する用途、樹脂、セメント、コンクリート内添による軽量化などの空気による軽量化を利用する用途にも有用である。
さらには半導体封止材料等に添加し、空気の低誘電性を利用する用途に用いることができる。

Claims (8)

  1. 不飽和カルボン酸(a−1)5〜80重量%および(a−1)と共重合可能な他のラジカル重合性モノマー(a−2)20〜95重量%からなるモノマー(a)を乳化重合させてポリマー粒子(A)を得、
    得られたポリマー粒子(A)5〜1000重量部の存在下で、不飽和カルボン酸(b−1)0〜20重量%および(b−1)と共重合可能な他のラジカル重合性モノマー(b−2)80〜100重量%からなるモノマー(b)100重量部を、はじめに前記ラジカル重合性モノマー(b−2)のみを用いて重合を行い、前記モノマー(b)総量の25重量%の重合が終了した後に、前記不飽和カルボン酸(b−1)を共用して乳化重合させて、ポリマー粒子(A)の表層をモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーを含むシェル層で被覆させたコアシェル状のポリマー粒子(B)を得、
    得られたポリマー粒子(B)の分散体のpHを揮発性塩基によって7以上に調整し、そのポリマー粒子(B)を中和膨潤させたのち、モノマー(b)の未反応モノマーを重合させて中空ポリマー粒子(C)を得ることを特徴とする中空ポリマー粒子の製造方法。
  2. 前記ポリマー粒子(B)のシェル層においてモノマー(b)に由来するポリマーと(b)の未反応モノマーの重量比率が99:1〜50:50である請求項1に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
  3. 前記ラジカル重合性モノマー(b−2)が不飽和カルボン酸エステルおよびモノエチレン性芳香族化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
  4. 前記ラジカル重合性モノマー(b−2)中に架橋性ラジカル重合性モノマーを含有する請求項1に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
  5. 前記ポリマー粒子(B)を中和膨潤させる際の分散体の温度を、中空粒子(C)の殻を構成するポリマーのガラス転移温度(Tg)以下とする請求項1に記載の中空ポリマー粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法で得られる中空ポリマー粒子。
  7. 請求項6記載の中空ポリマー粒子0.1〜100重量部に対し、顔料及び/又はバインダーを0〜99.9重量部含有することを特徴とする紙塗工用組成物。
  8. 請求項6記載の中空ポリマー粒子0.1〜100重量部に対し、顔料及び/又はバインダーを0〜99.9重量部を含有することを特徴とするコーティング用組成物。
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