JP4610492B2 - 車両用ホイール - Google Patents
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Description
なお、「外側」とは、ホイールを車両に取付けた際、ホイールの軸方向から見て外面側となる部分をいい、「内側」は内面側をいう。
ここで、水抜き穴は、ディスクとリムで囲まれるホイール内部空間に溜った水や泥を排出し、ホイールバランスを改善させ、ホイール内側にあるブレーキから発生する熱を放散するものである。
但し、この技術は、リムの外側ビードシートの内周面に、前記ベンチレーションSのような凹部が無いディスクを嵌合し、嵌合部の外側を全周隅肉溶接する、所謂、セミフルデザインホイールと云われるホイールで、且つ、アルミホイールに関するものであり、上記スチールホイールのような水抜き穴は形成されていない。
さらに、ディスク強度(剛性)が低下すると、車両運行時のハンドルの切りに対する車体の追随性が低下し、車両の操縦安定性が悪化する場合がある。このようなことから、上記技術の場合、ディスク剛性を確保するためにディスクが厚くなって重量減が制限されるという問題が生じる。
このようにすると、ドロップ部とフランジとの嵌合部の外側部分が溶接されているため、ホイールが回転中に径方向に嵌合面を広げる応力が作用しても、ドロップ部とフランジとの嵌合部の内側部分を溶接した場合のように梃子の原理によって溶接部に過大な応力がかかることがなく、溶接部の強度が向上する。
又、本発明において、嵌合部の外側部分はV形の開先を形成するため、溶接が容易かつ確実となり、溶接強度が向上する。
又、ディスク素材用の板が小さくて済み、又前記凹部の切り欠け面積が大きくなるため、ディスクが軽量化される。又、上記した最も外側にある部分が前記湾曲部のR中心より外側に5mm以上の位置にあると、この部分がR中心より軸方向の外側に離間しているので、ディスクに複数の前記凹部を形成した場合に、その1つがリムに接触して剛性アンバランスを生じることが抑制され、ホイールの振れを抑制できる。
JISの規定する耐久強度を満足することで、自動車用ホイールをはじめとする全ての車両用ホイールに適用できる。
このようにすると、リム内周面との接触がより緊密になり、リムとディスクの嵌合面積が増大してより確実に溶接できると共に、ホイールの振れ精度が向上する。
このようにすると、溶接の溶け込み深さを深くして、溶接を確実に行うことができる。
一方、アルミニウム、マグネシウム等はスチール等に比べて比強度が高いため、鋳造によって厚肉のディスクを一体に製造するのが通常であり、飾り穴周辺の強度低下の問題は少ない。本発明ではこのような厚肉に一体成形された鋳造(鍛造)ディスクを対象としない。
又、本発明によるホイールは、溶接強度の向上によりホイールの軽量化を図るものであり、公式な耐久強度の規定を満たすものであることが好ましい。但し、公式な耐久強度の規定を有しない産業車両用(農耕用)ホイールや応急使用ホイール(自動車用テンパーホイールを含む)等であっても本発明を適用することができる。
ここで、公式な耐久強度は我国のJIS D 4103「自動車部品―ディスクホイール―性能及び表示」 であるが、将来、規格が変わった場合は、その時点で我国の日本工業規格JIS(及び/又は国際標準化機構ISO)が定めるホイールの公式な耐久強度をいう。
なお、以下の説明で「外側」とは、ホイールを車両に取付けた際、ホイールの軸方向から見て外側となる部分をいい、「内側」とは内側となる部分をいう。
また、リム及びディスクの径方向については、「内周面」又は「外周面」と表記する。
リム2は略円筒状をなし、その両端に形成された外側フランジ及び内側フランジの間にタイヤを収容するようになっている。外側フランジの内側にはタイヤのビードを受ける外側ビードシートが形成されている。外側ビードシートより内側には最も小径のドロップ部2cが形成され、外側ビードシートとドロップ部(外側)2cはサイドウォール部2aを介して滑らかに接続されている。又、ドロップ部2cとサイドウォール部2aとは断面が半円状の湾曲部2bを介して接続されている。ドロップ部2cより内側にはサイドウォール部を介して内側ビードシートが形成され、内側ビードシートは内側フランジに接続されている。以下の説明では、「ドロップ部」は、ドロップ部の外側部分(外側ビードシートに接続する部分)をいう。
リム2は、例えば所定形状の圧延形鋼を円筒形に丸めて製造することができ、又は、鋼板を丸めて円筒形にした後、ロール成形等によって所定の断面形状としてもよいが、これらの方法に限られない。
ディスク10は略円盤状をなし、中心にハブ穴が開口され、ハブ穴より外周側にハブを取付けるためのボルト孔が形成されている。
ディスクの外縁は軸方向に沿って内側へ折返されてフランジ10aを形成し、フランジ10aはフランジ端縁10bに至っている。
ディスク10は、例えば正方形の鋼板の四隅を円形に打ち抜いたものを絞り加工(プレス加工)して成形することができる(特許文献1の図3参照)。この場合、図2に示すように、鋼板の円形に打ち抜かれた部分がディスクのフランジ端縁10aとなり、鋼板のそれ以外の部分は凹部11となる。凹部11はフランジ10aより縮径に形成され、凹部11の端縁はフランジの端縁10bから軸方向外側に凹む弧状をなし、最も外側となる中央付近で最奥部10cを形成する。
最奥部10cが前記湾曲部のR中心から外側に位置する場合、ディスク10をリム2のドロップ部2c内周面に嵌合した際に、凹部11とドロップ部2c内周面との間に隙間が形成され、これが水抜き穴12となる。
次に、上記したリム2とディスク10とを嵌合し、溶接接合する態様について、図1及び図4を参照して説明する。図4は、図1の部分拡大図である。
図1において、リム2のドロップ部2cの内周面にディスク10のフランジ10aの外周面が嵌合されて嵌合部が形成される。そして、嵌合部の外側部分5が溶接され(溶接部W)、リム2とディスク10が接合される。ここで、フランジ10aの端縁10bと湾曲部2bのR中心との距離をmとする。
図4(a)は、m>0となるよう(端縁10bがR中心より内側に位置するよう)嵌合した場合を示す。この場合、フランジ10aとリム2との嵌合長さ(軸方向の長さ)が長くなるので、継手構造全体で強度を確保するとともに、振れを抑制することができる。又、ディスクとリムの大きさによっては、嵌合長さを適宜調整してディスクとリムの強度をバランスさせてホイールの耐久強度を向上させることができる。一方、mが大きくなると、余分な嵌合長さが生じてホイール重量が増える。
このようなことから、本発明において、mの上限を15mmとする。つまり、フランジの端縁10bが湾曲部のR中心から内側へ15mm向かう位置より外側に位置する。
なお、m≦0とする場合、ディスクがリムに対して斜めに嵌合しないよう、所定の治具を用いて嵌合するとよい。
本発明においては嵌合部の外側部分5が溶接されるため、従来のように嵌合部の内側(図7の溶接部W100)を溶接した場合に比べ、溶接部の強度が向上する。この理由としては以下のことが考えられる。まず、回転中のディスクは楕円状にゆがむため、ディスクの径方向(図1の左右方向)に、ディスク10とリム2の嵌合部を広げる(左右に開く)応力が作用する。このため、嵌合部の内側を溶接した場合、嵌合部を広げる応力は嵌合部の外側(図7の50)から溶接部(図7のW100)に伝達し、この際、梃子の原理により溶接部に掛かる応力が高くなると考えられる。
一方、嵌合部の外側(図1のW)を溶接した場合、嵌合部を広げる応力は嵌合部の外側の溶接部に直接負荷されるだけであり、溶接部に掛かる応力は従来に比べて低くなる。
そのため、本発明においては従来に比べて溶接強度を確保できる。その結果として、ホイールの耐久強度が向上するので、その分だけディスク厚を薄くしたり、凹部(図2の11)による切欠きの面積を大きくすることによりディスクを軽量化し、ひいてはホイールを軽量化することができる。
又、ディスク厚、前記凹部の面積及びm寸法等の組み合わせにより、溶接部を全周溶接しなくともよくなる場合がある。つまり、本発明においては溶接部に掛かる応力が低減されるため、ディスク厚、前記凹部の面積及びm寸法等の組み合わせにより、断続溶接でも充分な溶接強度が確保される場合がある。
このようにすると、特許文献1記載の技術と同様な理由によりディスク素材用の板が小さくて済み、又凹部11の切り欠け面積が大きくなるため、ディスクが軽量化される。hは好ましくは5mm以上とする。この理由も特許文献1記載の技術と同様であり、最奥部10cがR中心より軸方向の外側に離間しているので、ディスクに複数の凹部を形成した場合に、その1つがリムに接触して剛性アンバランスを生じることが抑制されるためである。その結果、ホイールの振れを抑制することができる。
本発明において水抜き穴12が存在する場合、1ヶ所の溶接Wの長さ(ディスク10の外周方向の溶接長さ)は、最長で、隣接する水抜き穴12に挟まれたフランジ10fの周方向長さとなるが、既に述べたように溶接強度が応力に対して充分確保されるため、1ヶ所の溶接長さが15mm以上であれば足りる。従って、ホイールの強度と生産性の観点から、上記範囲で1ヶ所の溶接長さを設定すればよい。
2a 外側サイドウォール
2b 湾曲部
2c (外側)ドロップ部
5 嵌合部の外側部分
10 ディスク
10a (ディスクの)フランジ
10b フランジの端縁
10c (凹部の端縁の)最奥部
11 凹部
12 水抜き穴
Claims (4)
- 外側ビードシートを経て外側サイドウォール部から湾曲部を経て縮径となり、軸方向に平行なドロップ部を有するリムと、外縁を前記軸方向に沿って内側に折り返して成るフランジを有するディスクとを備えた車両用ホイールであって、
前記ディスクの外縁に前記フランジより縮径の凹部が形成され、前記凹部の端縁は前記フランジの端縁から軸方向外側に凹む弧状をなし、かつ前記凹部の端縁のうち最も外側にある部分が前記湾曲部のR中心より外側に位置し、
前記ドロップ部の外側内周面と前記フランジの外周面との嵌合部のうち前記凹部の前記リムと前記ディスクが接触しない部分を除いた外側部分のみの一部が溶接され、前記フランジの端縁が前記湾曲部のR中心から内側へ15mm向かう位置より外側に位置することを特徴とする車両用ホイール。 - JIS D 4103 による耐久強度の規定を満たすことを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
- 前記ドロップ部の外側内周面の形状に沿うよう、前記フランジの外周面が削られていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ホイール。
- 前記嵌合部から外側に向かって形成される開先の角度が広がるよう、前記フランジの外周面又は前記ドロップ部の外側内周面が削られていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用ホイール。
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